(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087251
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/22 20060101AFI20170220BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20170220BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20170220BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20170220BHJP
H05B 33/06 20060101ALI20170220BHJP
H05B 33/26 20060101ALI20170220BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20170220BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
H05B33/22 Z
H05B33/04
H05B33/14 A
H05B33/12 B
H05B33/06
H05B33/26 Z
G09F9/30 365
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-198018(P2013-198018)
(22)【出願日】2013年9月25日
(65)【公開番号】特開2015-65012(P2015-65012A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏浩
【審査官】
本田 博幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−110014(JP,A)
【文献】
特開2003−091246(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/138817(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50 − 51/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられた複数の画素電極と、
それぞれの前記画素電極の少なくとも周縁に載るように隣同士の前記画素電極の間の領域に設けられた絶縁層と、
前記複数の画素電極及び前記絶縁層を連続的に覆う共通層を含むように設けられた有機エレクトロルミネッセンス膜と、
前記有機エレクトロルミネッセンス膜の上に設けられた共通電極と、
前記有機エレクトロルミネッセンス膜及び前記共通電極を覆うように封止する封止層と、
を有し、
それぞれの前記画素電極は、前記周縁を含む端部に上面が窪む凹部を有し、
前記共通層は、それぞれの前記画素電極の前記凹部に対応して、上面が窪む凹部を有し、
前記絶縁層は、それぞれの前記画素電極の前記凹部の少なくとも一部を避けるように前記周縁に載り、
前記共通層の前記凹部は、それぞれの前記画素電極の前記凹部の前記少なくとも一部に接触していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
それぞれの前記画素電極の下に設けられた配線層をさらに有し、
それぞれの前記画素電極の前記凹部の少なくとも一部は、前記配線層に電気的に接続していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
それぞれの前記画素電極の前記凹部は、前記配線層に電気的に接続する部分と、前記配線層に電気的に接続しない部分と、を有し、
前記共通層の前記凹部は、それぞれの前記画素電極の前記凹部の前記配線層に電気的に接続しない前記部分に接触していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
前記複数の画素電極は、横方向及び縦方向に配列され、
それぞれの前記画素電極の前記凹部は、前記横方向の一方にずれた位置で前記縦方向に延びる領域から、前記縦方向の一方にずれた位置で前記横方向に延びる領域にわたって、連続的に形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項5】
基板と、
前記基板に設けられた複数の画素電極と、
それぞれの前記画素電極の少なくとも周縁に載るように隣同士の前記画素電極の間の領域に設けられた絶縁層と、
前記複数の画素電極及び前記絶縁層を連続的に覆う共通層を含むように設けられた有機エレクトロルミネッセンス膜と、
前記有機エレクトロルミネッセンス膜の上に設けられた共通電極と、
前記有機エレクトロルミネッセンス膜及び前記共通電極を覆うように封止する封止層と、
それぞれの前記画素電極の下に設けられた配線層と、
を有し、
それぞれの前記画素電極は、前記周縁を含む端部に上面が窪む凹部を有し、
それぞれの前記画素電極の前記凹部の少なくとも一部は、前記配線層に電気的に接続し、
前記複数の画素電極は、横方向及び縦方向に配列され、
それぞれの前記画素電極の前記凹部は、前記横方向の一方にずれた位置で前記縦方向に延びる第1領域から、前記縦方向の一方にずれた位置で前記横方向に延びる第2領域にわたって、連続的に形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
それぞれの前記画素電極の前記凹部は、前記第1領域から前記第2領域にわたって、連続的に前記配線層に電気的に接続していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
それぞれの前記画素電極の前記凹部は、前記第1領域と前記第2領域の接続領域のみで前記配線層に電気的に接続していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項8】
基板と、
前記基板に設けられた複数の画素電極と、
それぞれの前記画素電極の少なくとも周縁に載るように隣同士の前記画素電極の間の領域に設けられた絶縁層と、
前記複数の画素電極及び前記絶縁層を連続的に覆う共通層を含むように設けられた有機エレクトロルミネッセンス膜と、
前記有機エレクトロルミネッセンス膜の上に設けられた共通電極と、
前記有機エレクトロルミネッセンス膜及び前記共通電極を覆うように封止する封止層と、
を有し、
それぞれの前記画素電極は、前記周縁を含む端部に上面が窪む凹部を有し、
前記複数の画素電極は、横方向及び縦方向に配列され、前記縦方向の両側にある前記端部にそれぞれ前記凹部が形成された第1グループの前記画素電極と、前記横方向の両側にある前記端部にそれぞれ前記凹部が形成された第2グループの前記画素電極と、を含み、
前記第1グループの前記画素電極と前記第2グループの前記画素電極が、前記横方向及び前記縦方向に交互に配列されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項9】
基板と、
前記基板に設けられた複数の画素電極と、
それぞれの前記画素電極の少なくとも周縁に載るように隣同士の前記画素電極の間の領域に設けられた絶縁層と、
前記複数の画素電極及び前記絶縁層を連続的に覆う共通層を含むように設けられた有機エレクトロルミネッセンス膜と、
前記有機エレクトロルミネッセンス膜の上に設けられた共通電極と、
前記有機エレクトロルミネッセンス膜及び前記共通電極を覆うように封止する封止層と、
を有し、
それぞれの前記画素電極は、前記周縁を含む端部に上面が窪む凹部を有し、
前記複数の画素電極は、横方向及び縦方向に配列され、
それぞれの前記画素電極は、前記縦方向に長い平面形状を有し、
それぞれの前記画素電極の前記凹部は、前記横方向の一方にずれた位置で前記縦方向に延びることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
それぞれの前記画素電極の前記凹部は、隣同士の間隔をあけて並ぶ複数の分割凹部からなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、有機膜を陽極と陰極で挟み込んだ構造を有している(特許文献1参照)。通常、複数の有機膜が積層されており、その一層は発光層である。複数の画素に一色(例えば白色)の発光を得るためには、発光層にするための有機膜を全体的に連続するように設ける。あるいは、複数の画素に複数色の発光を得るためには、発光層にするための有機膜は画素ごとに分離されるが、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層又は電子輸送層などにするための有機膜は連続的に設ける。いずれの場合であっても、少なくとも1層の有機膜が隣同士の画素にわたって連続的に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−216338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高画質の表示装置では、画素の微細化によって、隣同士の画素が接近するようになってきた。そのため、いずれかの画素で発生した光がその隣の画素に入り込むことがあった。そして、隣同士の画素の色が異なる場合には混色が生じるという問題があった。なお、特許文献1には、隣の画素への電流のリークによって、非発光とすべき画素が発光してしまう問題について開示されているが、光自体が隣の画素に入り込むという問題について言及されていない。
【0005】
本発明は、隣同士の画素の混色の防止を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、基板と、前記基板に設けられた複数の画素電極と、それぞれの前記画素電極の少なくとも周縁に載るように隣同士の前記画素電極の間の領域に設けられた絶縁層と、前記複数の画素電極及び前記絶縁層を連続的に覆う共通層を含むように設けられた有機エレクトロルミネッセンス膜と、前記有機エレクトロルミネッセンス膜の上に設けられた共通電極と、前記有機エレクトロルミネッセンス膜及び前記共通電極を覆うように封止する封止層と、を有し、それぞれの前記画素電極は、前記周縁を含む端部に上面が窪む凹部を有していることを特徴とする。本発明によれば、有機エレクトロルミネッセンス膜の共通層で発生した光は、画素電極の凹部で乱反射、拡散又は屈曲するので、隣の画素の光として認識しにくくなる。これにより、隣同士の画素の混色を防止することができる。
【0007】
(2)(1)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記絶縁層は、それぞれの前記画素電極の前記凹部に載ることで、上面が窪む凹部を有し、前記共通層は、前記絶縁層の前記凹部に対応して、上面が窪む凹部を有していることを特徴としてもよい。
【0008】
(3)(1)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記共通層は、前記画素電極の前記凹部に対応して、上面が窪む凹部を有し、前記絶縁層は、それぞれの前記画素電極の前記凹部の少なくとも一部を避けるように前記周縁に載り、前記共通層の前記凹部は、それぞれの前記画素電極の前記凹部の前記少なくとも一部に接触していることを特徴としてもよい。
【0009】
(4)(1)又は(2)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、それぞれの前記画素電極の下に設けられた配線層をさらに有し、それぞれの前記画素電極の前記凹部の少なくとも一部は、前記配線層に電気的に接続していることを特徴としてもよい。
【0010】
(5)(3)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、それぞれの前記画素電極の下に設けられた配線層をさらに有し、それぞれの前記画素電極の前記凹部の少なくとも一部は、前記配線層に電気的に接続していることを特徴としてもよい。
【0011】
(6)(5)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、それぞれの前記画素電極の前記凹部は、前記配線層に電気的に接続する部分と、前記配線層に電気的に接続しない部分と、を有し、前記共通層の前記凹部は、それぞれの前記画素電極の前記凹部の前記配線層に電気的に接続しない前記部分に接触していることを特徴としてもよい。
【0012】
(7)(1)から(3)のいずれか1項に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記複数の画素電極は、横方向及び縦方向に配列され、それぞれの前記画素電極の前記凹部は、前記横方向の一方にずれた位置で前記縦方向に延びる領域から、前記縦方向の一方にずれた位置で前記横方向に延びる領域にわたって、連続的に形成されていることを特徴としてもよい。
【0013】
(8)(4)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記複数の画素電極は、横方向及び縦方向に配列され、それぞれの前記画素電極の前記凹部は、前記横方向の一方にずれた位置で前記縦方向に延びる第1領域から、前記縦方向の一方にずれた位置で前記横方向に延びる第2領域にわたって、連続的に形成されていることを特徴としてもよい。
【0014】
(9)(8)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、それぞれの前記画素電極の前記凹部は、前記第1領域から前記第2領域にわたって、連続的に前記配線層に電気的に接続していることを特徴としてもよい。
【0015】
(10)(8)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、それぞれの前記画素電極の前記凹部は、前記第1領域と前記第2領域の接続領域のみで前記配線層に電気的に接続していることを特徴としてもよい。
【0016】
(11)(1)から(4)のいずれか1項に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記複数の画素電極は、横方向及び縦方向に配列され、前記縦方向の両側にある前記端部にそれぞれ前記凹部が形成された第1グループの前記画素電極と、前記横方向の両側にある前記端部にそれぞれ前記凹部が形成された第2グループの前記画素電極と、を含み、前記第1グループの前記画素電極と前記第2グループの前記画素電極が、前記横方向及び前記縦方向に交互に配列されていることを特徴としてもよい。
【0017】
(12)(1)から(4)のいずれか1項に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記複数の画素電極は、横方向及び縦方向に配列され、それぞれの前記画素電極は、前記縦方向に長い平面形状を有し、それぞれの前記画素電極の前記凹部は、前記横方向の一方にずれた位置で前記縦方向に延びることを特徴としてもよい。
【0018】
(13)(12)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、それぞれの前記画素電極の前記凹部は、隣同士の間隔をあけて並ぶ複数の分割凹部からなることを特徴としてもよい。
【0019】
(14)(2),(3),(5)及び(6)のいずれか1項に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記共通電極は、前記共通層の前記凹部に対応して、上面が窪む凹部を有していることを特徴としてもよい。
【0020】
(15)(14)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記封止層は、前記共通電極の前記凹部に対応して湾曲していることを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置の一部を拡大した平面図である。
【
図3】
図2に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置のIII−III線断面図である。
【
図4】実施形態の変形例1に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の一部を拡大した平面図である。
【
図5】
図4に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置のV−V線断面図である。
【
図6】実施形態の変形例2に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の一部を拡大した平面図である。
【
図7】
図6に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置のVII−VII線断面図である。
【
図8】実施形態の変形例3に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の一部を拡大した平面図である。
【
図9】実施形態の変形例4に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の一部を拡大した平面図である。
【
図10】実施形態の変形例5に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の一部を拡大した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の斜視図である。有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、ガラスなどからなる光透過性の第1基板10を有する。第1基板10は、画像表示のための画像表示領域を有する。第1基板10には、画像を表示するための素子を駆動するための集積回路チップ12が搭載されている。第1基板10には、外部との電気的接続のために、フレキシブル配線基板14が接続されている。
【0024】
図2は、
図1に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置の一部を拡大した平面図である。第1基板10には、複数の画素電極16が設けられている。複数の画素電極16は、縦方向及び横方向に配列されている。画素電極16の少なくとも周縁に載るように、絶縁層18が設けられている。絶縁層18は、隣同士の画素電極16の間の領域に設けられる。絶縁層18は、それぞれの画素電極16の周縁を囲むようになっている。絶縁層18は、画素電極16の一部(端部を除く部分)を露出させる開口OPを有する。
【0025】
図3は、
図2に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置のIII−III線断面図である。
【0026】
第1基板10には、第1基板10からの不純物に対するバリアとなるアンダーコート20が形成され、その上に半導体層22が形成されている。半導体層22を覆ってゲート絶縁膜24が形成されている。ゲート絶縁膜24の上にはゲート電極26が形成され、ゲート電極26を覆って層間絶縁膜28が形成されている。第1基板10の上(層間絶縁膜28の上)には、複数の配線層30が設けられている。配線層30の一部は、層間絶縁膜28を貫通しており、半導体層22の上でソース電極又はドレイン電極として機能し、薄膜トランジスタを構成している。配線層30を覆うように、層間絶縁膜28上にパッシベーション膜32が形成されている。パッシベーション膜32は、上面が凸凹になっているので、これを平坦化するために下地層34が形成されている。下地層34は、アクリル樹脂などの樹脂からなる。
【0027】
画素電極16は、下地層34の上に設けられている。画素電極16は陽極である。画素電極16は、周縁を含む端部に上面が窪む凹部16aを有する。凹部16aは、画素電極16の下面では下方向に突出する。凹部16aは下地層34を貫通する。凹部16aに対応して下地層34は穴34a(貫通穴)を有している。
図2に示すように、画素電極16の凹部16aは、横方向の一方にずれた位置で縦方向に延びる第1領域R1から、縦方向の一方にずれた位置で横方向に延びる第2領域R2にわたって、連続的に形成されている。つまり、画素電極16の凹部16aは、L字状の平面形状になっている。
【0028】
複数の画素電極16の下方に配線層30が設けられている。画素電極16の凹部16aの少なくとも一部は、配線層30に電気的に接続している。詳しくは、下地層34の上にある画素電極16は、下地層34を貫通する穴34aを介して、凹部16aによって配線層30に接合している。画素電極16の凹部16aは、第1領域R1から第2領域R2にわたって、連続的に配線層30に電気的に接続している。つまり、画素電極16の凹部16aの配線層30とのコンタクト部36は、
図2に示すようにL字状の平面形状になっている。
【0029】
絶縁層18は、画素電極16の端部の上に載るようになっている。絶縁層18は、画素電極16の凹部16aに載ることで上面が窪む凹部18aを有する。画素電極16の凹部16a(
図2参照)に対応して、絶縁層18の凹部18aも、横方向の一方にずれた位置で縦方向に延びる第1領域R1から、縦方向の一方にずれた位置で横方向に延びる第2領域R2にわたって、連続的に形成される。つまり、絶縁層18の凹部18aもL字状の平面形状になる。
【0030】
第1基板10には有機エレクトロルミネッセンス膜38が設けられている。有機エレクトロルミネッセンス膜38は、複数の画素電極16及び絶縁層18に載るようになっている。有機エレクトロルミネッセンス膜38は、図示しないが複数層からなり、少なくとも発光層を含み、さらに、電子輸送層、正孔輸送層、電子注入層及び正孔注入層のうち少なくとも一層を含む。発光層は、一色(例えば白色)の光のみを発するように構成されている。
【0031】
有機エレクトロルミネッセンス膜38は、複数の画素電極16及び絶縁層18を連続的に覆う共通層40を含む。
図3に示す例では、有機エレクトロルミネッセンス膜38の全体が共通層40である。あるいは、複数層からなる有機エレクトロルミネッセンス膜38の少なくとも1層(少なくとも1層を除く)が共通層40(例えば電子注入層)であり、少なくとも1層からなる残りの層は、画素電極16ごとに切断された層であってもよい。2層以上の発光層を含むタンデム構造からなる有機エレクトロルミネッセンス膜38では、隣同士の発光層の間に配置された電子及び正孔を供給するためのチャージジェネレーション層が共通層40であってもよい。
【0032】
共通層40は、画素電極16の凹部16aに対応して、上面が窪む凹部40aを有する。共通層40の凹部40aは、絶縁層18の凹部18aに対応している。共通層40の凹部40aも、画素電極16の凹部16a(
図2参照)に対応して、横方向の一方にずれた位置で縦方向に延びる第1領域R1から、縦方向の一方にずれた位置で横方向に延びる第2領域R2にわたって、連続的に形成される。つまり、共通層40の凹部40aもL字状の平面形状になる。
【0033】
有機エレクトロルミネッセンス膜38の上には共通電極42が設けられている。共通電極42は陰極である。共通電極42は、共通層40の凹部40aに対応して、上面が窪む凹部42aを有する。共通電極42の凹部42aも、画素電極16の凹部16a(
図2参照)に対応して、横方向の一方にずれた位置で縦方向に延びる第1領域R1から、縦方向の一方にずれた位置で横方向に延びる第2領域R2にわたって、連続的に形成される。つまり、共通電極42の凹部42aもL字状の平面形状になっている。
【0034】
画素電極16及び共通電極42に電圧をかけることにより各々から正孔と電子を有機エレクトロルミネッセンス膜38に注入する。注入された正孔と電子が発光層で結合して光を発する。画素電極16の端部と共通電極42の間には、絶縁層18が介在しているので、両者間のショートが防止されている。
【0035】
共通電極42の上には封止層44が設けられている。封止層44は、有機エレクトロルミネッセンス膜38も覆う。封止層44は、有機エレクトロルミネッセンス膜38を水分から遮断するように封止している。封止層44は、共通電極42の凹部42aに対応して湾曲している。詳しくは、封止層44の下面(共通電極42との界面)が、共通電極42の凹部42aの上では曲面になっている。また、封止層44の上面(その上の層との界面)も、共通電極42の凹部42aの上方では曲面になっている。
【0036】
封止層44の湾曲する部分も、画素電極16の凹部16a(
図2参照)に対応して、横方向の一方にずれた位置で縦方向に延びる第1領域R1から、縦方向の一方にずれた位置で横方向に延びる第2領域R2にわたって、連続的に形成される。つまり、封止層44の湾曲する部分もL字状の平面形状になる。
【0037】
封止層44の上には充填層46が設けられている。本実施形態によれば、有機エレクトロルミネッセンス膜38の共通層40から封止層44に入射した光は、湾曲した封止層44の表面(他の層との界面)で乱反射するので、隣の画素の光として認識しにくくなる。これにより、隣同士の画素の混色を防止することができる。
【0038】
第1基板10と間隔をあけて対向するように、第2基板48が配置されている。第2基板48の第1基板10側の面には、カラーフィルタ層50が設けられている。カラーフィルタ層50は、ブラックマトリクス52及び着色層54を含む。上述した有機エレクトロルミネッセンス膜38の発光層(図示せず)が単一色(例えば白色)を発するので、本実施形態ではカラーフィルタ層50を設けてフルカラー表示を可能にしている。有機エレクトロルミネッセンス膜38が、異なる色(例えば、赤、緑及び青)を発する複数の発光層を含む場合、発光層が複数色の光を発するので着色層54は不要である。第1基板10と第2基板48との間に充填層46が設けられている。
【0039】
図4は、実施形態の変形例1に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の一部を拡大した平面図である。
図5は、
図4に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置のV−V線断面図である。
【0040】
この例でも、絶縁層118は、画素電極116の凹部116aに載ることで、上面が窪む凹部118aを有する。共通層140の凹部140aは、絶縁層118の凹部118aに対応している。複数の画素電極116は、横方向及び縦方向に配列されている。画素電極116の凹部116aは、横方向の一方にずれた位置で縦方向に延びる第1領域R1から、縦方向の一方にずれた位置で横方向に延びる第2領域R2にわたって、連続的に形成されている。絶縁層118に深い凹部118aを形成した状態では、共通層、共通電極、封止層がその凹部に深く入り込んだ構造となる。これにより、封止層の、第1基板に対する接触面積が増え、封止層の密着性が向上し、封止層の剥がれを防止する構造とすることができる。
【0041】
図2に示す例との違いは、画素電極116の凹部116aが、第1領域R1と第2領域R2の接続領域のみで配線層130に電気的に接続している点である。つまり、画素電極116の凹部116aの配線層130とのコンタクト部136は、
図4に示すように、第1領域R1と第2領域R2によって描かれるL字の角部に位置している。その他の内容は、上記実施形態で説明した内容が該当する。
【0042】
図6は、実施形態の変形例2に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の一部を拡大した平面図である。
図7は、
図6に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置のVII−VII線断面図である。
【0043】
この例では、
図6に示すように、絶縁層218は、画素電極216の凹部216aの少なくとも一部を避けるように周縁に載る。言い換えると、絶縁層218の開口OPは、画素電極216の凹部216aの一部も露出させるようになっている。
図6の例では、L字状の凹部216aの角部を除く両端部が、絶縁層218の開口OPから露出している。
【0044】
有機エレクトロルミネッセンス膜238の共通層240の凹部240aは、
図7に示すように、画素電極216の凹部216aの少なくとも一部に接触している。共通層240が発光層であれば、その凹部240aで発生した光も画像を構成する要素になる。
【0045】
画素電極216の凹部216aは、配線層230に電気的に接続する部分(
図6に示すコンタクト部236)と、配線層230に電気的に接続しない部分(
図7参照)と、を有する。これについては、変形例1で説明した内容が該当する。
【0046】
画素電極216の凹部216aのうち配線層230とのコンタクト部236は、
図6に示すように、絶縁層218で覆われている。したがって、有機エレクトロルミネッセンス膜238の共通層240の凹部240aは、
図7に示すように、画素電極216の凹部216aの配線層230に電気的に接続しない部分に接触する。
【0047】
図8は、実施形態の変形例3に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の一部を拡大した平面図である。
【0048】
この例でも、複数の画素電極316は、横方向及び縦方向に配列されている。複数の画素電極316は、縦方向の両側にある端部にそれぞれ凹部316aが形成された第1グループの画素電極316Aと、横方向の両側にある端部にそれぞれ凹部316bが形成された第2グループの画素電極316Bと、を含む。第1グループの画素電極316Aと第2グループの画素電極316Bが、横方向及び縦方向に交互に配列されている。
【0049】
第1グループの画素電極316Aには、縦方向の両側に凹部316aが形成されているので、その上方で封止層が湾曲することで、縦方向に進行する光を乱反射させる。これに対して、第2グループの画素電極316Bには、横方向の両側に凹部316bが形成されているので、その上方で封止層が湾曲することで、縦方向に進行する光を乱反射させる。こうすることで、縦方向及び横方向の両方に進む光を乱反射させて、隣同士の画素の混色を防止することができる。
【0050】
図9は、実施形態の変形例4に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の一部を拡大した平面図である。
【0051】
この例でも、複数の画素電極416は、横方向及び縦方向に配列されている。画素電極416は、縦方向に長い平面形状を有する。画素電極416の凹部416aは、横方向の一方にずれた位置で縦方向に延びている。これによれば、ストライプ配列のカラーフィルタにおいて、同じ色の着色層が縦方向に延び、横方向には異なる色の着色層が配列される場合、混色の影響が大きくなる横方向への光の進行を妨げることができる。
【0052】
図10は、実施形態の変形例5に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の一部を拡大した平面図である。
【0053】
この例では、画素電極516の凹部516aは、隣同士の間隔をあけて並ぶ複数の分割凹部556からなる。その他の詳細は、変形例4で説明した内容が該当する。これによれば、凹部516aが分割されるので光の散乱が大きくなるので、混色防止効果が大きくなる。また、凹部516aを分割することで、レイアウトの自由度が増し、フォトリソグラフィを適用して形成した場合にレジストの形成がしやすくなる。
【0054】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。例えば、共通層、共通電極及び封止層の少なくとも1つは、上面が凹部を有しないように平坦になっていてもよいし、上面が盛り上がる凸部を有していてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 第1基板、12 集積回路チップ、14 フレキシブル配線基板、16 画素電極、16a 凹部、18 絶縁層、18a 凹部、20 アンダーコート、22 半導体層、24 ゲート絶縁膜、26 ゲート電極、28 層間絶縁膜、30 配線層、32 パッシベーション膜、34 下地層、34a 穴、36 コンタクト部、38 エレクトロルミネッセンス膜、40 共通層、40a 凹部、42 共通電極、42a 凹部、44 封止層、46 充填層、48 第2基板、50 カラーフィルタ層、52 ブラックマトリクス、54 着色層、116 画素電極、116a 凹部、118 絶縁層、118a 凹部、130 配線層、136 コンタクト部、140 共通層、140a 凹部、216 画素電極、216a 凹部、218 絶縁層、230 配線層、236 コンタクト部、238 エレクトロルミネッセンス膜、240 共通層、240a 凹部、316 画素電極、316a 凹部、316b 凹部、316A 第1グループの画素電極、316B 第2グループの画素電極、416 画素電極、416a 凹部、516 画素電極、516a 凹部、556 分割凹部、OP 開口、R1 第1領域、R2 第2領域。