(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可変機構は、前記冷却ブロックと前記冷却ガス供給部との間に、前記冷却ガスの向きを可変とする調整部を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の射出成形機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。また、充填工程におけるスクリュの移動方向(
図1および
図2において左方向)を前方、計量工程におけるスクリュの移動方向(
図1および
図2において右方向)を後方として説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態による射出成形機を示す図である。
図2は、
図1の射出装置の要部を示す側面図である。
【0011】
図1および
図2に示すように、射出成形機は、金型装置内に成形材料を充填する射出装置40を備える。射出装置40は、シリンダ41、スクリュ43、冷却ブロック44、冷却ガス供給部としての冷却ファン45、成形材料供給部としてのホッパ46などを含む。
【0012】
シリンダ41は、シリンダ41の外周に設けられるヒータなどの加熱源H1〜H4から供給される熱で成形材料を加熱する。シリンダ41の後部には成形材料供給口41aが形成され、成形材料供給口41aを介してホッパ46からシリンダ41内に成形材料が供給される。
【0013】
尚、本実施形態では、成形材料供給部としてホッパ46が用いられるが、成形材料の供給速度を制御できるフィードスクリュなどが用いられてもよい。
【0014】
スクリュ43は、シリンダ41内において回転自在に且つ進退自在に配設される。計量工程では、スクリュ43を回転させて、シリンダ41内に供給された成形材料をスクリュ43に形成される螺旋状の溝43aに沿って前方に送り、徐々に溶融させる。溶融させた成形材料がスクリュ43の前方に送られ、シリンダ41の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ43が後退させられる。スクリュ43の前方に所定量の成形材料が蓄積すると、スクリュ43の回転が停止され、計量工程が完了する。その後、充填工程では、スクリュ43を前進させて、スクリュ43の前方に蓄積された成形材料をシリンダ41の前端に設けられるノズル42から射出し、金型装置内に充填する。ノズル42の外周にはヒータなどの加熱源H5が設けられてよい。
【0015】
スクリュ43に形成される螺旋状の溝43aの深さは、一定でもよいし、場所によって異なってもよい。
【0016】
冷却ブロック44は、シリンダ41の後部を挿入させる挿入孔を有し、シリンダ41の後部に形成される成形材料供給口41aを冷却する。成形材料供給口41aの温度は成形材料(例えば樹脂ペレット)が溶融しない温度に保たれる。成形材料供給口41aの目詰まりが防止できる。
【0017】
冷却ファン45は、冷却ブロック44を冷却する冷却ガスを噴出する。冷却ファン45から出た冷却ガスは冷却ブロック44に当たることにより、冷却ガスの流れ方向が変わる。冷却ファン45から噴出された冷却ガスは、冷却ブロック44の表面に沿って流れ、冷却ブロック44の熱を奪う。冷却ガスの種類は、特に限定されないが、例えば空気であってよい。
【0018】
シリンダ41の温度を上げる立ち上げ時や射出成形時に、冷却ファン45からの冷却ガスの噴出方向(
図2において紙面垂直方向)は、冷却ブロック44の表面に沿って流れる冷却ガスの流れ方向(
図2において上下方向)に対して垂直とされてよい。冷却ファン45の噴出口の大口径化によって冷却ファン45から冷却ブロック44に向けて大量の冷却ガスが供給でき、冷却ブロック44が冷えやすい。従って、冷却ブロック44の内部に流す冷却液の使用量が減り、ゼロにすることも可能である。
【0019】
尚、立ち上げ時や射出成形時に、冷却ファン45からの冷却ガスの噴出方向は、冷却ブロック44の表面に沿って流れる冷却ガスの流れ方向に対して斜めとされてもよい。この場合も、冷却ファン45の噴出口の大口径化によって、冷却ブロック44への冷却ガスの供給量が増加する。
【0020】
冷却ファン45は、例えば複数の羽根45aおよび複数の羽根45aと共に回転する回転軸45b等で構成され、回転軸45bの軸方向から冷却ガスを吸引し、回転軸45bの軸方向に冷却ガスを噴出してよい。冷却ファン45の薄型化が可能であり、射出装置40の大型化が抑制できる。
【0021】
尚、冷却ファン45は、多種多様であってよく、吸引方向と噴出方向とが異なるものでもよく、例えばシロッコファンなどでもよい。
【0022】
冷却ファン45は、例えば冷却ブロック44を挟んで左右両側に設けられてよい。冷却ブロック44が左右両側から冷却され、冷却ブロック44が冷えやすい。尚、冷却ファン45の数は3つ以上でもよく、例えば冷却ブロックの左右両側面および下面に取り付けられてもよい。また、冷却ファン45の数は1つでもよい。
【0023】
冷却ブロック44には、冷却ガスを流す冷却ガス流路47が形成されてよい。冷却ガス流路47は、例えば冷却ブロック44の表面に溝状に形成される。冷却ガス流路47を形成する壁部がフィンの役割を果たす。冷却ガス流路47に沿って冷却ガスが流れるので、流れが安定化する。
【0024】
冷却ガス流路47の一端部から他端部にかけて、冷却ガス流路47の溝深さおよび溝幅は一定であってよく、冷却ガス流路47の断面積は一定であってよい。尚、本明細書において、「冷却ガス流路の断面積」とは、冷却ガス流路の流れ方向に対して垂直な断面の面積を意味する。
【0025】
立ち上げ時や射出成形時には、シリンダ41の一部(冷却ブロック44よりも前方の部分)が加熱される。そこで、立ち上げ時や射出成形時に、冷却ガス流路47に沿って流れる冷却ガスの流れ方向は、シリンダ41の軸線に対して垂直であってよい。冷却ブロック44から前方(加熱源H1〜H5)に向かう冷却ガスの流れが形成されにくい。冷却ガスによる加熱源H1〜H5の冷却が抑制でき、加熱効率をほとんど阻害しない。
【0026】
尚、立ち上げ時や射出成形時に、冷却ガス流路47に沿って流れる冷却ガスの流れ方向はシリンダ41の軸線に対して平行でもよい。冷却ブロック44から後方に向かう流れが形成されればよい。
【0027】
冷却ブロック44には、冷却ブロック44から前方に向かう冷却ガスの流れを遮る風除け部48が設けられてよい。風除け部48は、例えば冷却ブロック44の前面に取り付けられる。複数(例えば3つの)の風除け部48は、冷却ブロック44の左右両側面および下面から突出し、冷却ブロック44から加熱源H1〜H5に向かう冷却ガスの流れを遮る。
【0028】
図3は、風除け部の変形例を示す側面図である。
図3に示すように、冷却ブロック44には、冷却ブロック44から上方に向かう冷却ガスの流れを遮る風除け部49が設けられてよい。風除け部49は、例えば冷却ブロック44の上面に取り付けられ、冷却ブロック44の左右両側面から左右方向外側に突出する。冷却ブロック44の上方に配設される成形材料乾燥機などの設備に対する冷却ガスの影響が軽減できる。
【0029】
図4は、本発明の一実施形態による可変機構を示す上面図である。
図4において、可変機構の他、可変機構を作動させる駆動装置、および駆動装置を制御する制御部も示す。
図5は、
図4に示すヒンジの回動軸が前後方向に平行とされる場合における、冷却ブロックに対する冷却ファンの向きの変化を後方から見た図である。
図5において、冷却ブロックの側面に対する冷却ファンの噴出口の状態が平行な状態を実線で、斜めの状態を1点鎖線で、垂直な状態を2点鎖線でそれぞれ示す。
図6は、
図5の状態からの、冷却ブロックに対する冷却ファンの距離の変化を示す図である。
図7は、
図4に示すヒンジの回動軸が上下方向に平行とされる場合における、冷却ブロックに対する冷却ファンの向きの変化を上方から見た図である。
図7において、冷却ブロックの側面に対する冷却ファンの噴出口の状態が平行な状態を実線で、斜めの状態を1点鎖線で、垂直な状態を2点鎖線でそれぞれ示す。
図8は、
図7の状態からの、冷却ブロックに対する冷却ファンの距離の変化を示す図である。
図4〜
図8において、シリンダを加熱する加熱源の図示を省略する。
【0030】
射出成形機は、冷却ブロック44の周辺における冷却ガスの経路を可変とする可変機構50を有する。可変機構50は、冷却ブロック44に対する冷却ファン45の配置を可変とする機構であってよい。「配置」は、向き、および距離の少なくとも一方を含んでよい。可変機構50は、例えば回転軸53、駆動軸55、およびヒンジ57を含む。
【0031】
回転軸53は、冷却ブロック44に回転自在に取り付けられる。冷却ブロック44は、回転軸53を回転自在に支持する軸受を保持してよい。
【0032】
駆動軸55は、回転軸53と共に回転する。駆動軸55は、回転軸53に対してスプライン結合され、駆動軸55の軸方向に直線移動自在とされる。回転軸53および駆動軸55により、伸縮自在な伸縮ロッドが構成される。
【0033】
ヒンジ57は第1取付部57aおよび第2取付部57bを含み、第1取付部57aには駆動軸55が固定され、第2取付部57bには冷却ファン45が固定される。第2取付部57bは、第1取付部57aに対して回動軸57cを中心に回動自在とされる。
【0034】
ヒンジ57は、冷却ブロック44に対する冷却ファン45の向きを可変とする。これにより、冷却ブロック44の周辺における冷却ガスの向き、および冷却ブロック44の冷却効率が調整できる。
【0035】
冷却ファン45の噴出口は、例えば冷却ブロック44の側面に対して平行な状態(θ=0°)と、斜めの状態と、垂直な状態(θ=90°)とに切り替え可能とされる。平行な状態の場合に、冷却ブロック44の側面に冷却ガスが当たりやすく、冷却ブロック44の冷却効率が高い。
【0036】
尚、冷却ブロック44の側面に対する冷却ファン45の噴出口の角度θは、0〜90°の範囲内の任意の角度で停止できる。
【0037】
上記可変機構50によれば、ヒンジ57の回動軸57cが回転軸53を中心に回転自在とされ、回動軸57cの向きが可変とされる。
【0038】
シリンダ41の温度を下げる立ち下げ時には、ヒンジ57の回動軸57cは
図7や
図8に示すように上下方向に平行とされてよく、この回動軸57cを中心に冷却ファン45が回動自在とされてよい。
【0039】
冷却ファン45が例えば
図7や
図8に2点鎖線で示すように冷却ブロック44に対して垂直な状態(θ=90°)とされた場合、冷却ファン45からの冷却ガスの噴出方向が前向きとされ、シリンダ41が効率良く冷却できる。
【0040】
また、冷却ファン45が例えば
図7や
図8に1点鎖線で示すように冷却ブロック44に対して斜めの状態とされた場合、前方に向かうほどシリンダ41に近づく冷却ガスの流れが形成でき、冷却ガスがシリンダ41に当たりやすい。
【0041】
一方、立ち上げ時や射出成形時には、ヒンジ57の回動軸57cは
図5および
図6に示すように前後方向に平行とされてよく、この回動軸57cを中心に冷却ファン45が回動自在とされてよい。
【0042】
冷却ファン45が例えば
図5や
図6に2点鎖線で示すように冷却ブロック44に対して垂直な状態(θ=90°)とされた場合、冷却ファン45からの冷却ガスの噴出方向が下向きとされ、前向きの冷却ガスの流れが抑制でき、シリンダ41の加熱効率が良い。また、冷却ブロック44の上方に配設される設備に対する冷却ガスの影響が軽減できる。
【0043】
尚、冷却ファン45は、例えば
図5や
図6に1点鎖線で示すように冷却ブロック44に対して斜めの状態とされてもよいし、
図5や
図6に実線で示すように冷却ブロック44に対して平行な状態とされてもよい。角度θが変わると、冷却ブロック44の冷却効率が変わる。
【0044】
ところで、ヒンジ57の回動軸57cの向きが変更されるとき、その変更に応じて冷却ガス流路47の向きが変更されてもよい。この場合、例えば冷却ブロック44は冷却ブロック本体と放熱部とを含み、冷却ブロック本体はシリンダ41が挿入される挿入孔を有し、放熱部には冷却ガス流路が形成される。冷却ブロック本体に対する放熱部の向きが可変とされることにより、冷却ガス流路47の向きが可変とされる。尚、冷却ブロック本体に対する放熱部の距離が可変とされてもよい。冷却ブロック本体に対する放熱部の配置は、冷却ブロックに対する冷却ファンの配置の変更に応じて変更されてよい。
【0045】
尚、本実施形態の冷却ファン45は、冷却ブロック44に対して平行な状態(例えば
図5〜
図8において実線で示す状態)から、回動軸57cを中心として一方向に回動自在とされるが、両方向に回動自在とされてよい。冷却ファン45が、冷却ブロック44に対して平行な状態から両側に傾斜できる。この場合、回動軸57cは、冷却ファン45の中心近傍を通るように配設されてよい。
【0046】
上記可変機構50によれば、冷却ファン45は、冷却ブロック44に対して直線移動自在とされる。これにより、冷却ブロック44に対する冷却ファン45の距離が可変とされる。
【0047】
冷却ファン45は、回転軸53および駆動軸55で構成される伸縮ロッドの伸縮によって、冷却ブロック44に近い状態と、冷却ブロック44から遠い状態との間で直線移動させられる。
【0048】
例えば、立ち上げ時や射出成形時に、冷却ブロック44に対する冷却ファン45の距離が長い場合、冷却ガスが冷却ブロック44の広い範囲に当たりやすく、冷却ブロック44を均等に冷却することができる。また、冷却ブロック44に対する冷却ファン45の距離が変わることで、冷却ブロック44の冷却効率が変わる。
【0049】
また、立ち下げ時に、冷却ブロック44に対する冷却ファン45の距離が長い場合、シリンダ41を冷却するため前向きとされた冷却ガスの流れが冷却ブロック44の周辺部材によって遮られにくく、シリンダ41の冷却効率が良い。
【0050】
また、立ち下げ時に、冷却ブロック44と冷却ファン45との距離を変えることにより、シリンダ41における冷却ガスの当たる場所が変更できる。当該場所は、変わり続けてもよく、往復してもよい。尚、当該場所を変更するため、冷却ブロック44に対する冷却ファン45の向きが変化してもよい。
【0051】
可変機構50は、モータなどの駆動装置で駆動されてよい。駆動装置として、例えば回転モータ54、駆動モータ56、ヒンジ駆動モータ58が用いられる。
【0052】
回転モータ54を駆動させると、回転軸53が回転される。「回転」は、1回転未満の回転、1回転以上の回転のいずれでもよい。回転方向は、反転されてもよいし、反転されなくてもよい。回転軸53の回転に伴って、駆動軸55およびヒンジ57が回転され、ヒンジ57の回動軸57cの向きが変化する。
【0053】
駆動モータ56を駆動させると、ボールねじ機構において駆動モータ56による回転運動が直線運動に変換され、駆動軸55およびヒンジ57が直線移動される。その結果、冷却ファン45が冷却ブロック44に対して直線移動される。
【0054】
ヒンジ駆動モータ58を駆動させると、第1取付部57aに対して第2取付部57bが回動し、冷却ブロック44に対する冷却ファン45の向きが変わる。
【0055】
制御部60は、回転モータ54、駆動モータ56、およびヒンジ駆動モータ58などの駆動装置を制御する。制御部60は、メモリなどの記憶部およびCPUを有し、記憶部に記憶されたプログラムをCPUに実行させることにより、可変機構50の駆動装置を制御する。
【0056】
制御部60は、冷却ブロック44の温度を温度センサによって監視し、監視結果に基づいて可変機構50の駆動装置を制御してよい。例えば、冷却ブロック44の温度が設定温度になるように、可変機構50の駆動装置が制御されてよい。冷却ブロック44に対する冷却ファン45の配置が変わることにより、冷却ファン45による冷却ブロック44の冷却効率が変わる。そのため、冷却ファン45による冷却ブロック44の冷却効率が制御できる。例えば、制御部60は、温度センサの測定温度と設定温度との差が大きい場合には、冷却ブロック44に対する冷却ファン45の向きを変えてよい。また、制御部60は、温度センサの測定温度と設定温度との差が小さい場合には、冷却ブロック44に対する冷却ファン45の距離を変えてよい。
【0057】
制御部60は、シリンダ41の温度を温度センサによって監視し、監視結果に基づいて可変機構50の駆動装置を制御してよい。例えば、シリンダ41の温度が設定温度になるように、可変機構50の駆動装置が制御されてよい。冷却ブロック44に対する冷却ファン45の配置が変わることにより、冷却ファン45によるシリンダ41の冷却効率が変わる。そのため、冷却ファン45によるシリンダ41の冷却効率が制御できる。例えば、制御部60は、温度センサの測定温度と設定温度との差が大きい場合には、冷却ブロック44に対する冷却ファン45の向きを変えてよい。また、制御部60は、温度センサの測定温度と設定温度との差が小さい場合には、冷却ブロック44に対する冷却ファン45の距離を変えてよい。
【0058】
制御部60は、冷却ブロック44の温度、およびシリンダ41の温度の両方の監視結果に基づいて、可変機構50の駆動装置を制御してもよい。
【0059】
尚、可変機構50の構成要素は、多種多様であってよい。例えば、回転軸53、駆動軸55、およびヒンジ57は、単独で使用されてもよく、任意の2つの組合せで使用されてもよい。また、ヒンジ57の代わりに、リンク機構が使用されてもよい。また、可変機構50の駆動装置として、油圧シリンダなどが用いられてもよい。また、可変機構50は手動で駆動されてもよい。
【0060】
図9は、変形例による可変機構を示す上面図である。
図10は、
図9の可変機構の動作を示す上面図である。
図9および
図10に示す可変機構50Aは、冷却ブロック44と冷却ファン45との間に、冷却ガスの向きを可変とする調整部を有する。
【0061】
調整部は、例えば互いに平行な複数の羽板52Aを含む。冷却ファン45に対する複数の羽板52Aの向きは可変とされ、複数の羽板52Aの間を通る冷却ガスの向きが可変とされる。これにより、冷却ブロック44の周辺における冷却ガスの向き、および冷却ブロック44の冷却効率が調整できる。
【0062】
複数の羽板52Aは、互いに平行な状態のまま、適当な駆動装置または手動によって向きを変更される。
【0063】
尚、可変機構として、
図4に示す可変機構50と、
図9に示す可変機構50Aとの組合せが用いられてもよい。
【0064】
以上、射出成形機の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0065】
例えば、上記実施形態の射出装置は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式でもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。スクリュ・プリプラ方式では可塑化シリンダ内にスクリュが配設され、プランジャ・プリプラ方式では可塑化シリンダ内にプランジャが配設される。プリプラ方式の場合、冷却ブロックは可塑化シリンダを冷却する。
【0066】
また、上記実施形態の冷却ガス流路は、直線状であるが、その形状に限定されず、例えば渦巻状、放射状でもよい。冷却ガス流路に沿って、渦巻状の流れや放射状の流れが形成できる。また、冷却ガス流路の断面形状は、矩形状に限定されず、例えば、三角形状、台形状でもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、冷却ガス流路の一端部から他端部にかけて、冷却ガス流路の溝深さおよび溝幅が一定であり、冷却ガス流路の断面積が一定であるが、変化してもよい。例えば、冷却ガス流路の一端部から他端部にかけて、冷却ガス流路の断面積が連続的または断続的に大きくなってよい。冷却ガス流路の断面積が大きいほど冷却ガスの流動抵抗が小さく、冷却ガス流路の断面積が大きくなる方向に冷却ガスが向かいやすい。冷却ガス流路の断面積の変化は、冷却ガス流路の溝深さの変化、および冷却ガス流路の溝幅の変化の少なくとも一方の変化を伴う。また、冷却ガス流路の断面積が変化する場所は、冷却ガス流路の一端部から他端部までの全体でなくてもよく、冷却ガス流路の少なくとも一部であればよい。例えば、射出成形時や立ち上げ時に、冷却ファンから冷却ブロックの中央部に当たる冷却ガスが下に流れやすくなるように、冷却ガス流路の中央部から下端部にかけて冷却ガス流路の断面積が変化してよい。また、射出成形時や立ち上げ時に、冷却ファンから冷却ブロックの中央部に当たる冷却ガスが上に流れにくくなるように、冷却ガス流路の中央部から上端部にかけて冷却ガス流路の断面積が変化してよい。冷却ブロックの放熱面積を増やすため、冷却ガス流路の一端部から他端部にかけて溝深さが深くなったり浅くなったりしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、冷却ファン45から噴出される冷却ガスが、シリンダ41の一部(冷却ブロック44よりも前方の部分)を冷却するが、冷却ブロック44よりも後方の設備を冷却してもよい。