(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、効率よくチップ抵抗器を製造できるチップ抵抗器の製造方法を提供することをその主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面によると、導電材料よりなる少なくとも3つの導電性長板と、抵抗材料よりなる抵抗体部材と、を用意する工程と、上記少なくとも3つの導電性長板のいずれか1つの延びる方向である長手方向に交差する短手方向に沿って、上記少なくとも3つの導電性長板を互いに離間した状態に配列する工程と、上記少なくとも3つの導電性長板に上記抵抗体部材を接合することにより、抵抗器集合体を形成する工程と、上記抵抗器集合体を、打ち抜きにより、2つの電極と上記2つの電極に接合された抵抗部とを各々が含む複数のチップ抵抗器に、一括して分割する工程と、を備える、チップ抵抗器の製造方法が提供される。
【0006】
好ましくは、上記抵抗器集合体を形成する工程においては、溶接を用いる。
【0007】
好ましくは、上記抵抗器集合体を形成する工程においては、高エネルギービーム溶接を用いる。
【0008】
好ましくは、上記抵抗器集合体を形成する工程においては、上記高エネルギービーム溶接として、電子ビーム溶接もしくはレーザビーム溶接を用いる。
【0009】
好ましくは、上記少なくとも3つの導電性長板のいずれか1つを折り曲げる工程を更に備える。
【0010】
好ましくは、上記折り曲げる工程は、上記一括して分割する工程と同時に行う。
【0011】
好ましくは、上記少なくとも3つの導電性長板のいずれか1つの厚さは、上記抵抗体部材の厚さよりも薄い。
【0012】
好ましくは、上記抵抗体部材は、複数の抵抗体長板を有し、上記抵抗器集合体を形成する工程においては、上記複数の抵抗体長板をそれぞれ、上記少なくとも3つの導電性長板のうちの2つに接合する。
【0013】
好ましくは、上記抵抗器集合体を形成する工程においては、上記少なくとも3つの導電性長板のうち互いに隣接するいずれか2つに挟まれた位置に、上記複数の抵抗体長板をそれぞれ配置する。
【0014】
好ましくは、上記抵抗器集合体を形成する工程においては、上記少なくとも3つの導電性長板のうち互いに隣接するいずれか2つと、上記長手方向および上記短手方向のいずれにも直交する厚さ方向視において重なる位置に、上記複数の抵抗体長板をそれぞれ配置する。
【0015】
本発明の第2の側面によると、第1電極と、上記第1電極に対し第1方向に離間している第2電極と、上記第1電極および上記第2電極に接合された抵抗部と、を備え、上記抵抗部は、上記第1方向、および、上記第1方向に交差する第2方向に広がる面に沿う形状であり、上記第1電極は、上記第1方向を向く第1側面と、上記第2方向を向く第2側面と、上記第1側面および上記第2側面につながる曲面と、を有する、チップ抵抗器が提供される。
【0016】
好ましくは、上記第1電極および上記抵抗部につながる第1中間層と、上記第2電極および上記抵抗部につながる第2中間層と、を更に備え、上記第1中間層および上記第2中間層は、互いに同一の材料よりなる。
【0017】
好ましくは、上記抵抗部は、上記第1電極と上記第2電極とに挟まれている。
【0018】
好ましくは、上記第1中間層は、幅広部および幅狭部を含み、上記幅広部は、上記第1方向および上記第2方向のいずれにも交差する第3方向に露出し、上記幅狭部の上記第1方向における寸法は、上記幅広部の上記第1方向における寸法よりも小さい。
【0019】
好ましくは、上記第1電極および上記第2電極は、上記抵抗部の同じ側に位置している。
【0020】
好ましくは、上記第1側面は、線状痕が形成された線状痕形成面と、上記線状痕形成面につながり且つ破断痕が形成された破断痕形成面とを有する。
【0021】
好ましくは、上記第1電極は、上記第1方向および上記第2方向に沿う形状の板状部と、上記板状部に対し傾斜し且つ上記板状部よりも上記抵抗部に近接する斜行部と、を含む。
【0022】
好ましくは、上記抵抗部の厚さは、上記第1電極の厚さよりも薄い。
【0023】
本発明の第3の側面によると、導電材料よりなる2つの導電性長板と、抵抗材料よりなる抵抗体長板と、を用意する工程と、上記抵抗体長板を上記2つの導電性長板の間に配置する工程と、上記2つの導電性長板の各々を上記抵抗体長板に接合する工程と、上記2つの導電性長板のいずれか1つの延びる方向である長手方向に交差する短手方向に沿って、上記2つの導電性長板および上記抵抗体長板を、せん断によって切断する工程と、を備える、チップ抵抗器の製造方法が提供される。
【0024】
好ましくは、上記各導電性長板を折り曲げる工程を更に備える。
【0025】
好ましくは、上記折り曲げる工程は、上記切断する工程と同時に行う。
【0026】
好ましくは、上記接合する工程においては、溶接を用いる。
【0027】
好ましくは、上記接合する工程においては、高エネルギービーム溶接を用いる。
【0028】
好ましくは、上記接合する工程においては、上記高エネルギービーム溶接として、電子ビーム溶接もしくはレーザビーム溶接を用いる。
【0029】
好ましくは、上記接合する工程の前に、上記2つの導電性長板の各々を上記抵抗体長板に対し固定する工程を更に備え、上記接合する工程においては、上記2つの導電性長板の各々を上記抵抗体長板に対し固定した状態で、溶接を行う。
【0030】
好ましくは、上記固定する工程は、第1挟持器具および第2挟持器具によって、上記2つの導電性長板および上記抵抗体長板を挟む工程を含み、上記挟む工程においては、上記第1挟持器具によって、上記2つの導電性長板の一方を上記抵抗体長板に対し押し付け、且つ、上記第2挟持器具によって、上記2つの導電性長板の他方を上記抵抗体長板に対し押し付ける。
【0031】
好ましくは、上記配置する工程は、上記2つの導電性長板および上記抵抗体長板を、基台に載せる工程を含み、上記固定する工程は、上記基台に載せられた上記2つの導電性長板および上記抵抗体長板を、押え付け器具によって上記基台に押え付ける工程を含み、上記押え付け器具には、一方向に沿って延びる2つの長穴が形成されており、上記基台に押え付ける工程においては、上記2つの導電性長板の一方と上記抵抗体長板とが接触している部分に、上記2つの長穴の一方を重ね、且つ、上記2つの導電性長板の他方と上記抵抗体長板とが接触している部分に、上記2つの長穴の他方を重ね、上記接合する工程においては、高エネルギービームが上記各長穴を通過するように、上記高エネルギービームを照射する。
【0032】
本発明の第4の側面によると、第1電極と、上記第1電極に対し第1方向に離間している第2電極と、上記第1電極および上記第2電極に接合された抵抗部と、を備え、上記第1電極は、互いに反対側を向く表面および裏面を有し、上記抵抗部は、上記第1方向、および、上記第1方向に交差する第2方向に広がる面に沿う形状であり、上記第1電極は、上記第2方向における一方を向く第1電極側面と、上記第2方向の他方を向く第2電極側面と、を有し、上記第1電極側面は、線状痕が形成された第1電極線状痕形成面と、上記第1電極線状痕形成面につながり且つ破断痕が形成された第1電極破断痕形成面と、を有し、上記第1電極線状痕形成面は、上記第1電極破断痕形成面よりも、上記表面側に位置している、チップ抵抗器が提供される。
【0033】
好ましくは、上記第2電極側面は、線状痕が形成された第2電極線状痕形成面と、上記第2電極線状痕形成面につながり且つ破断痕が形成された第2電極破断痕形成面と、を有し、上記第2電極線状痕形成面は、上記第2電極破断痕形成面よりも、上記裏面側に位置している。
【0034】
好ましくは、上記抵抗部は、互いに反対側を向く抵抗部表面および抵抗部裏面と、上記第2方向における一方を向く第1抵抗部側面と、上記第2方向の他方を向く第2抵抗部側面と、を有し、上記抵抗部表面は、上記表面の向く方向と同一方向を向き、上記第1抵抗部線状痕形成面は、上記第1抵抗部破断痕形成面よりも、上記抵抗部表面側に位置している。
【0035】
好ましくは、上記第2抵抗部側面は、線状痕が形成された第2抵抗部線状痕形成面と、上記第2抵抗部線状痕形成面につながり且つ破断痕が形成された第2抵抗部破断痕形成面と、を有し、上記第2抵抗部線状痕形成面は、上記第2抵抗部破断痕形成面よりも、上記抵抗部裏面側に位置している。
【0036】
好ましくは、上記第1抵抗部破断痕形成面の幅は、上記第1電極破断痕形成面の幅よりも、大きい。
【0037】
好ましくは、上記第1電極線状痕形成面の幅は、上記抵抗部から離れるほど大きくなる。
【0038】
好ましくは、上記第1電極および上記抵抗部につながる第1中間層と、上記第2電極および上記抵抗部につながる第2中間層と、を更に備え、
上記第1中間層および上記第2中間層は、互いに同一の材料よりなる。
【0039】
好ましくは、上記抵抗部は、上記第1電極と上記第2電極とに挟まれている。
【0040】
好ましくは、上記第1中間層は、幅広部および幅狭部を含み、
上記幅広部は、上記第1方向および上記第2方向のいずれにも交差する第3方向に露出し、上記幅狭部の上記第1方向における寸法は、上記幅広部の上記第1方向における寸法よりも小さい。
【0041】
好ましくは、上記第1電極は、上記第1方向および上記第2方向に沿う形状の板状部と、上記板状部に対し傾斜し且つ上記板状部よりも上記抵抗部に近接する斜行部と、を含む。
【0042】
本発明の第5の側面によると、本発明の第2または第4の側面によって提供されるチップ抵抗器と、実装基板と、上記実装基板および上記チップ抵抗器との間に介在しているハンダ層と、を備える、チップ抵抗器の実装構造が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1〜
図18を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
【0045】
図1は、本実施形態にかかるチップ抵抗器の実装構造の断面図である。
図2は、
図1のII−II線に沿う断面図である。
図3は、
図1のIII−III線に沿う断面図である。
図4は、
図1に示したチップ抵抗器の実装構造の平面図である。
図5は、
図1の∨−∨線に沿う図(一部省略)である。
【0046】
これらの図に示すチップ抵抗器の実装構造800は、チップ抵抗器101と、実装基板801と、ハンダ層802とを備える。
【0047】
実装基板801は、たとえばプリント配線基板である。実装基板801は、たとえば、絶縁基板と、当該絶縁基板に形成されたパターン電極(図示略)とを含む。チップ抵抗器101は実装基板801に実装されている。チップ抵抗器101と、実装基板801との間には、ハンダ層802が介在している。ハンダ層802は、チップ抵抗器101と実装基板801とを接合している。
【0048】
図6は、
図1に示したチップ抵抗器の正面図である。
【0049】
チップ抵抗器101は、第1電極1と、第2電極2と、抵抗部3と、第1中間層4と、第2中間層5と、を備える。
【0050】
第1電極1は導電材料よりなる。このような導電材料としては、たとえば、Cu,Ni,Feが挙げられる。チップ抵抗器101が実装基板801に実装された状態において、第1電極1はハンダ層802に接合している。第1電極1は、ハンダ層802を介して、実装基板801におけるパターン電極(図示略)に導通している。本実施形態において、第1電極1は、板状部181と、斜行部182とを含む。
【0051】
板状部181はXY平面に沿って広がる板状である。板状部181は、第1電極1の大部分を占めている。斜行部182はXY平面に対し傾斜している形状である。具体的には、斜行部182は、板状部181から離れるほど方向Z1に向かって傾斜している。斜行部182は、方向Yに沿って延びる帯状である。斜行部182は板状部181につながっている。
【0052】
第1電極1は、表面11と、裏面12と、2つの側面13(第1側面)と、側面14(第2側面)と、2つの曲面15とを有する。
【0053】
表面11は方向Z1を向き、裏面12は方向Z2を向く。側面13,14および曲面15は、方向Zに直交するいずれかの方向を向く。具体的には、各側面13は方向Yを向き、側面14は方向Xを向く。そして曲面15は側面13および側面14につながる。
【0054】
図7は、
図6のVII−VII線に沿う部分拡大断面図である。
【0055】
側面13は、線状痕形成面131と、破断痕形成面132とを有する。線状痕形成面131には線状痕が形成されている。線状痕は、方向Zに延びる線状の複数の細い溝よりなる。破断痕形成面132は、線状痕形成面131につながっている。破断痕形成面132には破断痕が形成されている。破断痕は、金属が引きちぎられる際に形成される凹凸形状である。
図6に示すように、本実施形態において、線状痕形成面131は破断痕形成面132よりも裏面12側に位置している。チップ抵抗器101が実装基板801に実装された状態において、線状痕形成面131はハンダ層802に覆われている。このような構成によると、線状痕形成面131を構成する細い溝をハンダがつたうことにより、側面13のより多くの領域をハンダ層802によって覆うことができる。なお、本実施形態と異なり、破断痕形成面132が線状痕形成面131よりも裏面12側に位置していてもよい。
【0056】
図6に示すように、側面13と同様に、側面14は、線状痕形成面141と、破断痕形成面142とを有する。側面14における線状痕形成面141および破断痕形成面142は、側面13における線状痕形成面131および破断痕形成面132と同様であるから、説明を省略する。
【0057】
第2電極2は、第1電極1と同様の構成を有する。具体的には次のとおりである。
【0058】
第2電極2は導電材料よりなる。このような導電材料としては、たとえば、Cu,Ni,Feが挙げられる。チップ抵抗器101が実装基板801に実装された状態において、第2電極2はハンダ層802に接合している。第2電極2は、ハンダ層802を介して、実装基板801におけるパターン電極(図示略)に導通している。本実施形態において、第2電極2は、板状部281と、斜行部282とを含む。
【0059】
板状部281はXY平面に沿って広がる板状である。板状部281は、第2電極2の大部分を占めている。斜行部282はXY平面に対し傾斜している形状である。具体的には、斜行部282は、板状部281から離れるほど方向Z1に向かって傾斜している。斜行部282は、方向Yに沿って延びる帯状である。斜行部282は板状部281につながっている。
【0060】
第2電極2は、表面21と、裏面22と、2つの側面23と、側面24と、2つの曲面25とを有する。
【0061】
表面21は方向Z1を向き、裏面22は方向Z2を向く。側面23,24および曲面25は、方向Zに直交するいずれかの方向を向く。具体的には、各側面23は方向Yを向き、側面24は方向Xを向く。そして曲面25は側面23および側面24につながる。
【0062】
図6に示すように、側面23は、線状痕形成面231と、破断痕形成面232とを有する。側面23における線状痕形成面231および破断痕形成面232は、側面13における線状痕形成面131および破断痕形成面132とそれぞれ同様であるから、説明を省略する。
【0063】
図6に示すように、側面23と同様に、側面24は、線状痕形成面241と、破断痕形成面242とを有する。側面24における線状痕形成面241および破断痕形成面242は、側面23における線状痕形成面231および破断痕形成面232と同様であるから、説明を省略する。
【0064】
抵抗部3は抵抗材料よりなる。このような抵抗材料としては、たとえば、CuとMnとの合金、NiとCrとの合金、NiとCuとの合金、ないしFeとCrとの合金が挙げられる。CuとMnとの合金は、比較的軟らかい。一方、NiとCrとの合金、NiとCuとの合金、および、FeとCrとの合金は比較的硬い。抵抗部3を構成する材料である抵抗材料の抵抗率は、第1電極1ないし第2電極2を構成する材料である導電材料の抵抗率よりも、大きい。抵抗部3は、第1電極1および第2電極2に接合している。本実施形態において抵抗部3は、第1電極1および第2電極2に挟まれた位置に配置されている。
【0065】
なお、本実施形態においては、板状部181よりも抵抗部3に近接する位置に斜行部182が位置している。同様に、板状部281よりも抵抗部3に近接する位置に斜行部282が位置している。
【0066】
抵抗部3は、抵抗部表面31と、抵抗部裏面32と、2つの抵抗部側面33とを有する。
【0067】
抵抗部表面31は、表面11や表面21が向く方向と同一方向(すなわち方向Z1)を向く。抵抗部裏面32は、抵抗部表面31とは反対方向を向く。抵抗部裏面32は、裏面12や裏面22が向く方向と同一方向(すなわち方向Z2)を向く。抵抗部裏面32よりも、抵抗部裏面32が向く方向(すなわち方向Z2)側に、裏面12の少なくとも一部、および、裏面22の少なくとも一部が位置している。
【0068】
図4、
図6等に示す各抵抗部側面33は、第1電極1および第2電極2が離間する方向と交差する方向(方向Y)を向く。
図6に示すように、各抵抗部側面33は、線状痕形成面331と、破断痕形成面332とを有する。線状痕形成面331および破断痕形成面332は、上述の線状痕形成面131および破断痕形成面132とそれぞれ同様であるから、説明を省略する。
【0069】
図1に示すように、第1中間層4は、第1電極1と抵抗部3との間に介在している。第1中間層4は、第1電極1および抵抗部3につながっている。本実施形態において第1中間層4は、第1電極1および抵抗部3を接合するべく第1電極1もしくは抵抗部3に高エネルギービームを照射する際に、形成されたものである。そのため、第1中間層4は、第1電極1を構成する材料と、抵抗部3を構成する材料と、が混合した材料よりなる。
【0070】
第1中間層4は、幅広部43および幅狭部44を含む。幅広部43は方向Z2に露出している。幅狭部44は幅広部43よりも方向Z1側に位置する。幅狭部44の方向Xにおける寸法は、幅広部43の方向Xにおける寸法よりも小さい。幅広部43の方向Xにおける寸法はたとえば1〜1.5mmであり、幅狭部44の方向Xにおける寸法はたとえば0.5〜1mmである。なお、幅広部43の表面にはバリ(図示略)が形成されている場合がある。
【0071】
第1中間層4と同様に、第2中間層5は、第2電極2と抵抗部3との間に介在している。第2中間層5は、第2電極2および抵抗部3につながっている。本実施形態において第2中間層5は、第2電極2および抵抗部3を接合するべく第2電極2もしくは抵抗部3に高エネルギービームを照射する際に、形成されたものである。そのため、第2中間層5は、第2電極2を構成する材料と、抵抗部3を構成する材料と、が混合した材料よりなる。よって、第2中間層5および第1中間層4は、互いに同一の材料よりなる。
【0072】
第2中間層5は、幅広部53および幅狭部54を含む。幅広部53は方向Z2に露出している。幅狭部54は幅広部53よりも方向Z1側に位置する。幅狭部54の方向Xにおける寸法は、幅広部53の方向Xにおける寸法よりも小さい。幅広部53の方向Xにおける寸法はたとえば1〜1.5mmであり、幅狭部54の方向Xにおける寸法はたとえば0.5〜1mmである。なお、幅広部53の表面にはバリ(図示略)が形成されている場合がある。
【0073】
次に、チップ抵抗器101の製造方法について説明する。
【0074】
まず、
図8、
図9に示すように、導電性部材701を用意する。本実施形態において導電性部材701はリードフレームであり、少なくとも3つの導電性長板711を有する。本実施形態において導電性部材701は6つの導電性長板711を有する。複数の導電性長板711はそれぞれ、一方向に沿って延びている。導電性部材701において、複数の導電性長板711は、複数の導電性長板711のいずれか一つの延びる方向である長手方向に交差する短手方向に互いに離間した状態に、配列されている。
図9に示すように、各導電性長板711は断面形状が長矩形状である。なお、本実施形態においては導電性部材701を形成することにより、少なくとも3つの導電性長板711が、互いに離間した状態に配列される。
【0075】
同様に、
図10、
図11に示すように、抵抗体部材702を用意する。本実施形態において抵抗体部材702は抵抗体フレームであり、複数の抵抗体長板721を有する。本実施形態において抵抗体部材702は5個の抵抗体長板721を有する。複数の抵抗体長板721はそれぞれ、一方向に沿って延びている。抵抗体部材702において、複数の抵抗体長板721は、複数の抵抗体長板721の延びる長手方向に交差する短手方向に互いに離間した状態に、配列されている。
図11に示すように、各抵抗体長板721は断面形状が長矩形状である。なお、
図10においては、理解の便宜上、抵抗体部材702にハッチングを付している。
図10以降の平面図においても同様である。本実施形態と異なり、抵抗体部材702は、複数の導電性長板711の平面視のサイズに相当する大きな平板であってもよい。
【0076】
次に、
図12、
図13に示すように、抵抗器集合体703を形成する。抵抗器集合体703を形成するには、導電性部材701における少なくとも3つの導電性長板711に、抵抗体部材702を接合する。本実施形態においては、複数の抵抗体長板721をそれぞれ、少なくとも3つの導電性長板711のうちの互いに隣接するいずれか2つに接合する。このとき、少なくとも3つの導電性長板711のうち互いに隣接するいずれか2つに挟まれた位置に、複数の抵抗体長板721はそれぞれ配置される。
【0077】
導電性長板711に抵抗体部材702を接合するには、たとえば、溶接を用いることができる。好ましくは、溶接として高エネルギービーム溶接を用いることができる。高エネルギービーム溶接としては、電子ビーム溶接もしくはレーザビーム溶接が挙げられる。高エネルギービーム溶接を行う場合、
図13に示すように、高エネルギービーム881(電子ビームやレーザビーム)を、たとえば、方向Z1に沿って、導電性長板711もしくは抵抗体長板721に照射する。高エネルギービーム881のエネルギーを受けて導電性長板711もしくは抵抗体長板721が溶融したのち、導電性長板711および抵抗体長板721が接合される。なお本実施形態と異なり、導電性長板711および抵抗体部材702を接合するには、ハンダや銀ペーストなどを使用するろう接を用いてもよい。もしくは、導電性長板711および抵抗体部材702を接合するには、超音波接合を用いてもよい。
【0078】
次に、
図14〜
図16に示すように、抵抗器集合体703を、打ち抜きにより、複数のチップ抵抗器101に一括して分割する。
図14においては、抵抗器集合体703におけるチップ抵抗器101となるべき領域を、それぞれ、2点鎖線で示している。一つの抵抗器集合体703から、たとえば40個程度のチップ抵抗器101を得ることができる。抵抗器集合体703を複数のチップ抵抗器101に分割するには、平面視のサイズが複数のチップ抵抗器101に相当する2つの打ち抜き金型831,832(
図15参照)を用いる。打ち抜き金型831と打ち抜き金型832とで抵抗器集合体703を挟みこむことにより、抵抗器集合体703を打ち抜く。抵抗器集合体703を打ち抜くことにより、上述の第1電極1における曲面15や、上述の第2電極2における曲面25が形成されることがある。
【0079】
図16に示すように、抵抗器集合体703を打ち抜く工程と同時に、複数の導電性長板711のいずれか1つを折り曲げる工程を行う。本実施形態では、第1電極1や第2電極2における抵抗部3に近接する部位が、第1電極1や第2電極2における抵抗部3から遠い部位よりも、上述の高エネルギービーム881が進行する方向Z1側に位置するように、各導電性長板711を折り曲げる。以上のようにしてチップ抵抗器101を複数製造することができる。
【0080】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0081】
本実施形態においては、少なくとも3つの導電性長板711に抵抗体部材702を接合することにより、抵抗器集合体703を形成する。このような構成によると、
図14に示した方向Yにおける単位長さ当たりにおいて得ることのできるチップ抵抗器101の数を多くすることができる。また、本実施形態においては、抵抗器集合体703を、打ち抜きにより、複数のチップ抵抗器101に一括して分割する。このような構成によると、チップ抵抗器101を順次切断する必要がない。そのため、チップ抵抗器101の製造の効率化を図ることができる。以上より、本実施形態にかかる方法は、チップ抵抗器101を効率よく製造するのに適する。
【0082】
また、打ち抜きによりチップ抵抗器101を製造するため、チップ抵抗器101の平面視の寸法精度は、打ち抜き金型831,832の形状の寸法精度により規定される。そのため、チップ抵抗器101の抵抗部3の方向Yにおける寸法精度も、打ち抜き金型831,832の寸法精度により規定される。本実施形態にかかる方法によると、抵抗器集合体703を打ち抜く前に、所望の寸法精度となっている打ち抜き金型831,832を選択することができる。よって、従来のようにストリップを順次切断する場合に比べ、抵抗部3の方向Yにおける寸法誤差をより小さくすることが可能となる。抵抗部3の方向Yにおける寸法誤差を小さくすることができると、抵抗部3の抵抗値すなわちチップ抵抗器101の抵抗値が所望の値となっているものを、より多く得ることができる。チップ抵抗器101の抵抗値が所望の値となっている場合、チップ抵抗器101の抵抗値を微調整するトリミングを行う手間を省ける。よって、トリミングを行うべきチップ抵抗器101の数を削減できる。これは、チップ抵抗器101の製造の効率化に適する。
【0083】
本実施形態においては、導電性部材701としてリードフレームを用い、抵抗体部材702として抵抗体フレームを用いる。そのため、複数の導電性長板711や複数の抵抗体長板721を別々に保持する必要がなく、ハンドリングしやすい。
【0084】
本実施形態においては、従来のチップ抵抗器の製造方法にて用いていたリールを使用しない。そのため、リールに抵抗材料や導電材料よりなるストリップを巻きつける必要もない。よって、リールにストリップを巻きつけるための大型の装置を用いる必要がない。また、リールからストリップを引き出すことも必要ない。よって、リールからストリップを引き出すための大型の装置を用いる必要もない。
【0085】
リールを用いてチップ抵抗器を製造する場合には、ストリップのある箇所でトラブルが生じると、製造ライン全体が停止する不具合が生じる。しかしながら、本実施形態においてはリールを用いないため、このような不具合が生じない。
【0086】
高エネルギービーム881として電子ビームを用いて、導電性長板711と抵抗体長板721とを接合する場合、真空チャンバー内に導電性長板711および抵抗体長板721を収容する必要がある。本実施形態においては、各導電性長板711や抵抗体長板721の方向Yにおける寸法は、100mm程度であるから、真空チャンバー内に収容するために導電性長板711や抵抗体長板721を切断する、などといった作業を行う必要がない。したがって、本実施形態にかかる方法は、チップ抵抗器101の製造効率化を図るのに適する。
【0087】
本実施形態においては、高エネルギービーム881を、方向Z1に沿って照射する。このような構成によると、導電性長板711および導電性長板721のうち方向Z2側の部位が、高エネルギービームのエネルギーを吸収しやすいため、溶融しやすい。よって、チップ抵抗器101における第1中間層4には、方向Z2に露出する幅広部43が形成される。幅広部43の表面にはバリ(図示略)が形成される場合がある。また、本実施形態においては、第1電極1や第2電極2における抵抗部3に近接する部位が、第1電極1や第2電極2における抵抗部3から遠い部位よりも、高エネルギービーム881が進行する方向Z1側に位置するように、各導電性長板711を折り曲げる。このような方法によると、幅広部43の表面にバリが形成されたとしても、当該バリは、チップ抵抗器101の凹んだ部分に形成されるのみであり、チップ抵抗器101の方向Z1側に形成されるわけではない。そのため、チップ抵抗器101を移動させる際に用いる保持部材(図示略)がチップ抵抗器101を掴む時に当該バリに接触するおそれを、回避できる。これは、チップ抵抗器101を安定して移動させるのに適する。
【0088】
なお、本実施形態と異なり、リードフレームを用いなくてもよい。
図17、
図18に示すように、導電性部材701として、互いに分離された状態の複数の導電性長板711を、パレット882に配置してもよい。同様に、抵抗体部材702として抵抗体フレームを用いなくてもよい。
図17、
図18に示すように、パレット882に配置された導電性長板711どうしの隙間に、抵抗体長板721を配置するとよい。そして導電性長板711および抵抗体長板721をパレット882に配置した後に、導電性長板711と抵抗体長板721とを接合するとよい。
【0089】
以下に、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの実施形態において参照する図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0090】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0091】
図19は、本実施形態にかかるチップ抵抗器の実装構造の断面図である。
図20は、
図19のXX−XX線に沿う断面図である。
図21は、
図19のXXI−XXI線に沿う断面図である。
図22は、
図19に示したチップ抵抗器の実装構造の平面図である。
図23は、
図19のXXIII−XXIII線に沿う図(一部省略)である。
【0092】
これらの図に示すチップ抵抗器102は、第1電極1および第2電極2の厚さ(方向Zにおける寸法)が、抵抗部3の厚さ(方向Zにおける寸法)よりも大きい点において、チップ抵抗器101と主に異なる。また、チップ抵抗器102における第1電極1および第2電極2はXY平面に沿う板状であり、第1電極1および第2電極2はいずれも斜行部を含まない。
【0093】
チップ抵抗器102の製造方法は、導電性部材701における導電性長板711(
図9参照)の厚さが、抵抗体部材702における抵抗体長板721(
図11参照)の厚さよりも、大きい点を除き、チップ抵抗器101の製造方法とほぼ同様であるから、説明を省略する。なお、チップ抵抗器102を製造する際には導電性長板711を折り曲げる工程を行わない。
【0094】
本実施形態にかかるチップ抵抗器102は、第1実施形態で述べたのと同様の理由により、効率よく製造するのに適する。
【0095】
本実施形態にかかるチップ抵抗器102を製造する際において、導電性部材701としてリードフレームを用い、抵抗体部材702として抵抗体フレームを用いる。そのため、複数の導電性長板711や複数の抵抗体長板721を別々に保持する必要がなく、ハンドリングしやすい。
【0096】
本実施形態においては、従来のチップ抵抗器の製造方法にて用いていたリールを使用しない。そのため、リールに抵抗材料や導電材料よりなるストリップを巻きつける必要もない。よって、リールにストリップを巻きつけるための大型の装置を用いる必要がない。また、リールからストリップを引き出すことも必要ない。よって、リールからストリップを引き出すための大型の装置を用いる必要もない。
【0097】
リールを用いてチップ抵抗器を製造する場合には、ストリップのある箇所でトラブルが生じると、製造ライン全体が停止する不具合が生じる。しかしながら、本実施形態においてはリールを用いないため、このような不具合が生じない。
【0098】
本実施形態にかかるチップ抵抗器102を製造する際において、真空チャンバー内に収容するために導電性長板711や抵抗体長板721を切断する、などといった作業を行う必要がない。したがって、本実施形態にかかる方法は、チップ抵抗器102の製造効率化を図るのに適する。
【0099】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0100】
図24は、本実施形態にかかるチップ抵抗器の実装構造の断面図である。
図25は、
図24に示したチップ抵抗器の実装構造の平面図である。
図26は、
図24のXXVI−XXVI線に沿う図(一部省略)である。
【0101】
これらの図に示すチップ抵抗器103は、第1電極1および第2電極2のいずれもが、抵抗部3の同じ側に位置している点において、第2実施形態にかかるチップ抵抗器102と主に異なるが、その他の点については同様であるから説明を省略する。
【0102】
次に、チップ抵抗器103の製造方法について簡単に説明する。
【0103】
まず、
図8〜
図11を参照して説明したのと同様に、導電性部材701および抵抗体部材702を用意する。
【0104】
次に、
図27、
図28に示すように、抵抗器集合体703を形成する。抵抗器集合体703を形成するには、導電性部材701における少なくとも3つの導電性長板711に、抵抗体部材702を接合する。本実施形態においては、複数の抵抗体長板721をそれぞれ、少なくとも3つの導電性長板711のうちの互いに隣接するいずれか2つに接合する。このとき、方向Z視において、少なくとも3つの導電性長板711のうち互いに隣接する2つのいずれにも重なる位置に、複数の抵抗体長板721はそれぞれ配置される。
【0105】
抵抗器集合体703を形成したのちは、抵抗器集合体703を打ち抜く上述した工程を経ることにより、チップ抵抗器103が製造される。なお、チップ抵抗器103を製造する際にも、導電性長板711を折り曲げる工程は行わない。
【0106】
本実施形態にかかるチップ抵抗器103は、第1実施形態で述べたのと同様の理由により、効率よく製造するのに適する。
【0107】
本実施形態にかかるチップ抵抗器103を製造する際において、導電性部材701としてリードフレームを用い、抵抗体部材702として抵抗体フレームを用いる。そのため、複数の導電性長板711や複数の抵抗体長板721を別々に保持する必要がなく、ハンドリングしやすい。
【0108】
本実施形態においては、従来のチップ抵抗器の製造方法にて用いていたリールを使用しない。そのため、リールに抵抗材料や導電材料よりなるストリップを巻きつける必要もない。よって、リールにストリップを巻きつけるための大型の装置を用いる必要がない。また、リールからストリップを引き出すことも必要ない。よって、リールからストリップを引き出すための大型の装置を用いる必要もない。
【0109】
リールを用いてチップ抵抗器を製造する場合には、ストリップのある箇所でトラブルが生じると、製造ライン全体が停止する不具合が生じる。しかしながら、本実施形態においてはリールを用いないため、このような不具合が生じない。
【0110】
本実施形態にかかるチップ抵抗器103を製造する際において、真空チャンバー内に収容するために導電性長板711や抵抗体長板721を切断する、などといった作業を行う必要がない。したがって、本実施形態にかかる方法は、チップ抵抗器103の製造効率化を図るのに適する。
【0111】
チップ抵抗器103に電流が流れる際、抵抗部3のうち抵抗として機能する部位は、平面視(方向Z視)において第1電極1および第2電極2に挟まれた隙間に重なる部位である。そのため、チップ抵抗器103における抵抗値は、第1電極1および第2電極2の離間距離により規定されるといえる。よって、第1電極1および第2電極2の離間距離を、抵抗器集合体703の段階から調整することにより、チップ抵抗器103の抵抗値を微調整することができる。チップ抵抗器103の抵抗値を微調整することができると、トリミングをすべきチップ抵抗器103の個数の削減を図ることが可能となる。これは、チップ抵抗器103の製造効率化を図るのに適する。
【0112】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
【0113】
図29は、本発明の第4実施形態にかかるチップ抵抗器の実装構造の断面図である。
図30は、
図29のXXX−XXX線に沿う断面図である。
図31は、
図29のXXXI−XXXI線に沿う断面図である。
図32は、
図29に示したチップ抵抗器の実装構造の平面図である。
図33は、
図29のXXXIII−XXXIII線に沿う図(一部省略)である。
【0114】
これらの図に示すチップ抵抗器の実装構造805は、チップ抵抗器201と、実装基板801と、ハンダ層802とを備える。
【0115】
実装基板801は、たとえばプリント配線基板である。実装基板801は、たとえば、絶縁基板と、当該絶縁基板に形成されたパターン電極(図示略)とを含む。チップ抵抗器201は実装基板801に実装されている。チップ抵抗器201と、実装基板801との間には、ハンダ層802が介在している。ハンダ層802は、チップ抵抗器201と実装基板801とを接合している。
【0116】
チップ抵抗器201は、第1電極1と、第2電極2と、抵抗部3と、第1中間層4と、第2中間層5と、を備える。
【0117】
図32、
図33に示すように、第1電極1は、表面11と、裏面12と、側面13a(第1電極側面)と、側面13b(第2電極側面)と、側面14と、を有する。
【0118】
表面11および裏面12は互いに反対側を向く。具体的には、表面11は方向Z1を向き、裏面12は方向Z2を向く。側面13aは方向Yにおける一方を向き、側面13bは方向Yにおける他方を向く。側面14は方向Xを向く。本実施形態においては、チップ抵抗器101とは異なり、第1電極1には曲面15が形成されていない。そのため、側面14は、側面13aおよび側面13bに直接つながっている。
【0120】
図34に示すように、側面13aは、線状痕形成面131a(第1電極線状痕形成面)と、破断痕形成面132a(第1電極破断痕形成面)と、を有する。破断痕形成面132aは、線状痕形成面131aにつながっている。線状痕形成面131aおよび破断痕形成面132aの具体的形状は、チップ抵抗器101における、線状痕形成面131および破断痕形成面132とそれぞれ同様であるから、説明を省略する。
【0121】
本実施形態においては、線状痕形成面131aは、破断痕形成面132aよりも、表面11側に位置している。本実施形態では、線状痕形成面131aの幅(方向Zにおける寸法)は、抵抗部3から離れるほど大きくなっている。線状痕形成面131aは表面11につながっている。一方、破断痕形成面132aは裏面12につながっている。
【0122】
図35に示すように、側面13bは、線状痕形成面131b(第2電極線状痕形成面)と、破断痕形成面132b(第2電極破断痕形成面)と、を有する。破断痕形成面132bは、線状痕形成面131bにつながっている。線状痕形成面131bと、破断痕形成面132bと、の具体的形状は、チップ抵抗器101における、線状痕形成面131および破断痕形成面132とそれぞれ同様であるから、説明を省略する。
【0123】
本実施形態においては、線状痕形成面131bは、破断痕形成面132bよりも、裏面12側に位置している。すなわち、破断痕形成面および線状痕形成面の位置関係は、側面13aおよび側面13bで上下逆になっている。線状痕形成面131bは裏面12につながっている。一方、破断痕形成面132bは表面11につながっている。本実施形態では、線状痕形成面131bの幅(方向Zにおける寸法)は、抵抗部3から離れるほど大きくなっている。
【0124】
側面14は、チップ抵抗器101のように線状痕形成面141および破断痕形成面142を有していてもよいし、平坦な面であってもよい。側面14の面の具体的構成は、後述の導電性長板711の製造方法によって決定される。
【0125】
ここで述べた点を除き、第1電極1は、チップ抵抗器101における第1電極1と同様であるから、同様の点についての説明は省略する。
【0126】
図32、
図33に示すように、第2電極2は、表面21と、裏面22と、側面23a,23b,24と、を有する。
【0127】
表面21および裏面22は互いに反対側を向く。具体的には、表面21は方向Z1を向き、裏面22は方向Z2を向く。側面23aは方向Yにおける一方を向き、側面23bは方向Yにおける他方を向く。側面24は方向Xを向く。本実施形態においては、チップ抵抗器101とは異なり、第2電極2には曲面25が形成されていない。そのため、側面24は、側面23aおよび側面23bに直接つながっている。
【0128】
図34に示すように、側面23aは、線状痕形成面231aと、破断痕形成面232aと、を有する。破断痕形成面232aは、線状痕形成面231aにつながっている。線状痕形成面231aと、破断痕形成面232aと、の具体的形状は、チップ抵抗器101における、線状痕形成面131および破断痕形成面132とそれぞれ同様であるから、説明を省略する。
【0129】
本実施形態においては、線状痕形成面231aは、破断痕形成面232aよりも、表面21側に位置している。本実施形態では、線状痕形成面231aの幅(方向Zにおける寸法)は、抵抗部3から離れるほど大きくなっている。線状痕形成面231aは表面21につながっている。一方、破断痕形成面232aは裏面22につながっている。
【0130】
図35に示すように、側面23bは、線状痕形成面231bと、破断痕形成面232bと、を有する。破断痕形成面232bは、線状痕形成面231bにつながっている。線状痕形成面231bおよび破断痕形成面232bの具体的形状は、チップ抵抗器101における、線状痕形成面131および破断痕形成面132とそれぞれ同様であるから、説明を省略する。
【0131】
本実施形態においては、線状痕形成面231bは、破断痕形成面232bよりも、裏面22側に位置している。すなわち、破断痕形成面および線状痕形成面の位置関係は、側面23aおよび側面23bで上下逆になっている。そして、線状痕形成面231bは裏面22につながっている。一方、破断痕形成面232bは表面21につながっている。本実施形態では、線状痕形成面231bの幅(方向Zにおける寸法)は、抵抗部3から離れるほど大きくなっている。
【0132】
側面24は、チップ抵抗器101のように線状痕形成面241および破断痕形成面242を有していてもよいし、平坦な面であってもよい。側面24の面の具体的構成は、導電性長板711の製造方法によって決定される。
【0133】
ここで述べた点を除き、第2電極2は、チップ抵抗器101における第2電極2と同様であるから、同様の点についての説明は省略する。
【0134】
図32、
図33に示すように、抵抗部3は、抵抗部表面31と、抵抗部裏面32と、抵抗部側面33a(第1抵抗部側面)と、抵抗部側面33b(第2抵抗部側面)と、を有する。
【0135】
抵抗部表面31は、表面11や表面21が向く方向と同一方向(すなわち方向Z1)を向く。抵抗部裏面32は、抵抗部表面31とは反対方向を向く。抵抗部裏面32は、裏面12や裏面22が向く方向と同一方向(すなわち方向Z2)を向く。抵抗部裏面32よりも、抵抗部裏面32が向く方向(すなわち方向Z2)側に、裏面12の少なくとも一部、および、裏面22の少なくとも一部が位置している。
【0136】
図32等に示す抵抗部側面33aは、方向Yにおける一方を向いている。
図34に示すように、抵抗部側面33aは、線状痕形成面331a(第1抵抗部線状痕形成面)と、破断痕形成面332a(第1抵抗部破断痕形成面)と、を有する。破断痕形成面332aは線状痕形成面331aにつながっている。線状痕形成面331aおよび破断痕形成面332aの具体的形状は、チップ抵抗器101における、線状痕形成面131および破断痕形成面132とそれぞれ同様であるから、説明を省略する。
【0137】
図34に示すように、本実施形態においては、線状痕形成面331aは、破断痕形成面332aよりも、抵抗部表面31側に位置している。線状痕形成面331aは抵抗部表面31につながっている。一方、破断痕形成面332aは抵抗部裏面32につながっている。なお、抵抗部3を構成する材料よりも、第1電極1や第2電極2を構成する材料の方が硬い場合には、
図34に示すように、破断痕形成面332aの幅が、破断痕形成面132aの幅および破断痕形成面232aの幅よりも大きくなることがある。
【0138】
図32等に示す抵抗部側面33bは、方向Yにおける他方を向いている。抵抗部側面33bは、第1電極1における側面13bと、第2電極2における側面23bとにつながっている。
図35に示すように、抵抗部側面33bは、線状痕形成面331b(第2抵抗部線状痕形成面)と、破断痕形成面332b(第2抵抗部破断痕形成面)と、を有する。破断痕形成面332bは線状痕形成面331bにつながっている。線状痕形成面331bおよび破断痕形成面332bの具体的形状は、チップ抵抗器101における、線状痕形成面131および破断痕形成面132とそれぞれ同様であるから、説明を省略する。
【0139】
本実施形態においては、線状痕形成面331bは、破断痕形成面332bよりも、抵抗部裏面32側に位置している。すなわち、破断痕形成面および線状痕形成面の位置関係は、抵抗部側面33aおよび抵抗部側面33bで上下逆になっている。線状痕形成面331bは抵抗部裏面32につながっている。一方、破断痕形成面332bは抵抗部表面31につながっている。
【0140】
ここで述べた点を除き、抵抗部3は、チップ抵抗器101における抵抗部3と同様であるから、同様の点についての説明は省略する。
【0141】
次に、チップ抵抗器201の製造方法について説明する。
【0142】
まず、
図36〜
図38に示す2つの導電性長板711と、抵抗体長板721とを用意する。各導電性長板711は導電材料よりなる。抵抗体長板721は抵抗材料よりなる。本実施形態において、2つの導電性長板711の幅(短手方向の寸法)は同一である。
【0143】
次に、抵抗体長板721を2つの導電性長板711の間に配置する。本実施形態では、抵抗体長板721と2つの導電性長板711とを基台870(
図38参照)に載せた状態で、抵抗体長板721を2つの導電性長板711の間に配置する。
【0144】
次に、2つの導電性長板711の各々を抵抗体長板721に対し固定する。本実施形態において2つの導電性長板711の各々を抵抗体長板721に対し固定するには、第1挟持器具871および第2挟持器具872を用いる。具体的には、第1挟持器具871および第2挟持器具872によって、2つの導電性長板711および抵抗体長板721を挟む。第1挟持器具871は、2つの導電性長板711の一方を抵抗体長板721に押し付ける。第2挟持器具872は、2つの導電性長板711の他方を抵抗体長板721に押し付ける。
【0145】
図39〜
図41に示すように、本実施形態では更に、基台870に載せられた2つの導電性長板711および抵抗体長板721を、押え付け器具875によって基台870に押え付ける。これは、2つの導電性長板711および抵抗体長板721が基台870から浮き上がることを防止するためである。
図40では、理解の便宜上、押え付け器具875にハッチングを示している。押え付け器具875には、2つの長穴875a,875bが形成されている。各長穴875a,875bは一方向に沿って延びている。本実施形態においては、各長穴875a,875bは、平面視において矩形状である。
図40に示すように、基台870に載せられた2つの導電性長板711および抵抗体長板721を、押え付け器具875によって基台870に押え付ける際、2つの導電性長板711の一方と抵抗体長板721とが接触している部分891に、長穴875aを重ねる。同様に、基台870に載せられた2つの導電性長板711および抵抗体長板721を、押え付け器具875によって基台870に押え付ける際、2つの導電性長板711の他方と抵抗体長板721とが接触している部分892に、長穴875bを重ねる。
【0146】
次に、
図40、
図41に示すように、抵抗器集合体703を形成する。抵抗器集合体703を形成するには、2つの導電性長板711の各々を抵抗体長板721に接合する。導電性長板711を抵抗体長板721に接合するには、たとえば、溶接を用いることができる。好ましくは、溶接として高エネルギービーム溶接を用いることができる。高エネルギービーム溶接としては、電子ビーム溶接もしくはレーザビーム溶接が挙げられる。高エネルギービーム溶接を行う場合、
図41に示すように、高エネルギービーム881(電子ビームやレーザビーム)を、たとえば、方向Z1に沿って、導電性長板711もしくは抵抗体長板721に照射する。本実施形態においては、高エネルギービーム881が各長穴875a,875bを通過するように、高エネルギービーム881を照射する。高エネルギービーム881のエネルギーを受けて導電性長板711もしくは抵抗体長板721が溶融したのち、導電性長板711および抵抗体長板721が接合される。
【0147】
なお本実施形態と異なり、導電性長板711および抵抗体長板721を接合するには、ハンダや銀ペーストなどを使用するろう接を用いてもよい。もしくは、導電性長板711および抵抗体長板721を接合するには、超音波接合を用いてもよい。
【0148】
次に、
図42、
図43に示すように、抵抗器集合体703をせん断によって切断する。
図40においては、抵抗器集合体703における切断線を2点鎖線で示している。具体的には、2つの導電性長板711のいずれか1つの延びる方向である長手方向に交差する短手方向に沿って、2つの導電性長板711と抵抗体長板721とを、せん断によって切断する。本実施形態では、抵抗器集合体703を、端から順次切断してゆく。
【0149】
抵抗器集合体703を切断するには、金型841および金型843を用いる。
図42に示すように、金型841を降下させると、導電性長板711および抵抗体長板721に、金型841および金型843が食い込む(
図42では、抵抗体長板721について示しているが、導電性長板711についても同様である)。このとき、金型841および金型843によって、導電性長板711および抵抗体長板721には線状痕が形成される。金型843によって導電性長板711に線状痕が形成されることにより、上述の線状痕形成面131a,231aが形成される。金型843によって抵抗体長板721に線状痕が形成されることにより、上述の線状痕形成面331aが形成される。金型841によって導電性長板711に線状痕が形成されることにより、上述の線状痕形成面131b,231bが形成される。金型841によって抵抗体長板721に線状痕が形成されることにより、上述の線状痕形成面331bが形成される。
【0150】
次に、
図43に示すように、金型841を更に降下させると、導電性長板711および抵抗体長板721へのせん断荷重が増加する。そして、導電性長板711および抵抗体長板721に破断が生じ、導電性長板711および抵抗体長板721が切断される。このとき、導電性長板711および抵抗体長板721に破断痕が形成される。導電性長板711や抵抗体長板721に破断痕が形成されることにより、上述の破断痕形成面が形成される。
【0151】
本実施形態では、抵抗器集合体703を切断する工程(導電性長板711および抵抗体長板721をせん断によって切断する工程)と同時に、各導電性長板711を折り曲げる工程を行う。すなわち、
図42〜
図45に示すように、金型841および金型843によってせん断を行う際に、金型841および金型842によって、導電性長板711および抵抗体長板721を挟み込む。
図44に示すように、金型841には凸部841aが形成されている。一方、金型842には凹部842aが形成されている。金型841および金型842によって、導電性長板711および抵抗体長板721を挟み込むと、チップ抵抗器201が
図44の下側に向かって凸形状となるように、導電性長板711が折り曲げられる。凸部841aは、抵抗体長板721に押し付けられるので、抵抗体長板721は、導電性長板711よりも先にせん断される可能性がある。このようにして、
図29に示したチップ抵抗器201を一つ得ることができる。
【0152】
次に、
図42〜
図45を参照して説明した工程と同様の工程を複数回繰り返すことにより、抵抗器集合体703から、チップ抵抗器201を複数個得ることができる。
【0153】
なお、本実施形態とは異なり、抵抗器集合体703を切断する工程(導電性長板711および抵抗体長板721をせん断によって切断する工程)と同時に、各導電性長板711を折り曲げる工程を行う必要は必ずしもない。たとえば、抵抗器集合体703を切断する工程(導電性長板711および抵抗体長板721をせん断によって切断する工程)の前に、各導電性長板711を折り曲げてもよい。
【0154】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0155】
本実施形態においては、2つの導電性長板711および抵抗体長板721を、せん断によって切断する。このような構成によると、たとえば導電性長板711および抵抗体長板721をダイシングにより切断する場合に比べ、削り粉が生じない。そのため、導電性長板711および抵抗体長板721のより多くの部分を、チップ抵抗器201として用いることができる。したがって、導電性長板711および抵抗体長板721のうち、チップ抵抗器201にならずに無駄となる部分をより少なくすることができる。導電性長板711および抵抗体長板721を、チップ抵抗器201を製造するために、より有効に活用することができる。
【0156】
本実施形態においては、各導電性長板711を折り曲げる工程は、2つの導電性長板711および抵抗体長板721を切断する工程と同時に行う。このような構成によると、チップ抵抗器201の製造時間の短縮を図ることができる。
【0157】
本実施形態においては、2つの導電性長板711および抵抗体長板721を接合する工程の前に、2つの導電性長板711の各々を抵抗体長板721に対し固定する。2つの導電性長板711および抵抗体長板721を接合する工程においては、2つの導電性長板711の各々を抵抗体長板721に対し固定した状態で、溶接を行う。このような構成によれば、導電性長板711および抵抗体長板721を接合する際に、導電性長板711および抵抗体長板721が位置ずれすることを防止できる。これにより、より確実に、導電性長板711および抵抗体長板721を接合することができる。
【0158】
本実施形態においては、2つの導電性長板711の一方と抵抗体長板721とが接触している部分891に長穴875aを重ね、且つ、2つの導電性長板711の他方と抵抗体長板721とが接触している部分892に、長穴875bを重ねる。高エネルギービーム881が各長穴875a,875bを通過するように、高エネルギービーム881を照射する。このような構成によれば、導電性長板711および抵抗体長板721が基台870から浮き上がることを防止しつつ、部分891および部分892に高エネルギービーム881を照射することが可能となる。これにより、所望の箇所に高エネルギービーム881を照射することができる。
【0159】
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
【0160】
図46は、本発明の第5実施形態にかかるチップ抵抗器の実装構造の断面図である。
【0161】
同図に示すチップ抵抗器202は、抵抗部3の厚さが、第1電極1や第2電極2の厚さと異なる点において、チップ抵抗器201と異なる。本実施形態においては、抵抗部3の厚さは、第1電極1や第2電極2の厚さよりも厚い。抵抗部3の厚さは、第1電極1や第2電極2の厚さよりも薄くてもよい。
【0162】
チップ抵抗器202の製造方法は、2つの導電性長板711および抵抗体長板721を基台870に押え付ける際に用いる押え付け器具875の構成が異なり、その他の点は、チップ抵抗器201の製造方法と同様である。但し、抵抗体長板721の厚さは、導電性長板711の厚さよりも厚い。
【0163】
図47〜
図49に示すように、押え付け器具875は、抵抗用押え付け部材876と、導体用押え付け部材877,878とを含む。
図48では、理解の便宜上、押え付け器具875にハッチングを示している。抵抗用押え付け部材876および導体用押え付け部材877,878は、互いに別体である。抵抗用押え付け部材876は抵抗体長板721を基台870に押え付けるものである。導体用押え付け部材877は、2つの導電性長板711の一方を基台870に押え付けるものである。導体用押え付け部材878は、2つの導電性長板711の他方を基台870に押え付けるものである。本実施形態においては、導体用押え付け部材877と抵抗用押え付け部材876との間に、長穴875aが形成されている。また、導体用押え付け部材878と抵抗用押え付け部材876との間に、長穴875bが形成されている。本実施形態においても、高エネルギービーム881が各長穴875a,875bを通過するように、高エネルギービーム881を照射する。
【0164】
このように、互いに別体の抵抗用押え付け部材876および導体用押え付け部材877,878を用いると、抵抗体長板721および導電性長板711の厚さが異なっていても、抵抗用押え付け部材876および導体用押え付け部材877,878によって、抵抗体長板721および2つの導電性長板711のいずれもを、基台870に確実に押え付けることができる。これにより、導電性長板711および抵抗体長板721が基台870から浮き上がることを防止しつつ、部分891および部分892に高エネルギービーム881を照射することが可能となる。これにより、所望の箇所に高エネルギービーム881を照射することができる。
【0165】
また、本実施形態によっても、第4実施形態で述べたのと同様の作用効果を奏する。
【0166】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。