(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
動脈瘤の嚢内に配置されるように構成された拡張可能な挿入物であって、前記拡張可能な挿入物は、第1部分と前記第1部分に結合された第2部分とを有しており、前記拡張可能な挿入物は、前記第1部分と前記第2部分とが軸に沿って直線的に整列している第1構成と、前記第2部分が前記第1部分に少なくとも部分的に重なっている第2構成と、の間において移行可能であり、
前記第1部分及び前記第2部分は、前記動脈瘤の嚢内に配置されて前記拡張可能な挿入物が前記第2構成にある場合に非線形の既定の構成をとるように構成されており、前記第1部分及び前記第2部分は、前記第2構成にある場合に前記拡張可能な挿入物の内部容積を規定する外側境界の少なくとも一部を共同で形成し、少なくとも前記第1部分又は前記第2部分が前記第2構成において前記軸から完全にずれており、
前記第1部分及び前記第2部分がそれぞれ凹面と凸面とを有しており、前記第1部分及び前記第2部分の一方の前記凸面は、前記第2構成にある場合に前記第1部分及び前記第2部分の他方の前記凹面に隣接している、拡張可能な挿入物と、
第1多孔性部分であって、
血管を通じた挿入のための折畳構成であって、当該折畳構成において、前記第1多孔性部分は第1幅を有するととともに第1多孔性部分軸に関して対称である、折畳構成と、
動脈瘤の嚢内の少なくとも一部を占有するための拡張構成であって、当該拡張構成において、前記第1多孔性部分は、前記第1幅よりも大きい第2幅を有するとともに前記第1多孔性部分軸に関して対称である、拡張構成と、を有する第1多孔性部分と、
前記第1多孔性部分に結合された第2多孔性部分であって、
前記血管を通じた挿入のための折畳構成であって、当該折畳構成において、前記第2多孔性部分は第3幅を有するととともに第2多孔性部分軸に関して対称である、折畳構成と、
前記動脈瘤の嚢内の少なくとも一部を占有するための拡張構成であって、当該拡張構成において、前記第2多孔性部分は、前記第3幅よりも大きい第4幅を有するとともに前記第2多孔性部分軸に関して対称である、拡張構成と、を有する第2多孔性部分と、を備え、
前記第1多孔性部分及び前記第2多孔性部分は互いに独立して拡張するように構成されており、
前記第1部分及び前記第2部分はそれぞれ、管状メッシュ材料から形成された平らな2層のリボン状のストランドから形成される、装置。
前記第1部分及び前記第2部分がそれぞれ多孔性メッシュを含み、前記多孔性メッシュが、前記第1構成にある場合に第1多孔率を有し、前記第2構成にある場合に第2多孔率を有する、請求項1に記載の装置。
前記拡張可能な挿入物が、前記第1構成において、血管を通じた挿入のために構成され、前記第2構成において、前記動脈瘤の嚢の少なくとも一部を占有するように構成されている、請求項1に記載の装置。
前記第1部分が多孔性メッシュの第1層と多孔性メッシュの第2層とを含み、前記第1層及び前記第2層が、同じ多孔率又は異なる多孔率のいずれか一方を有する、請求項1に記載の装置。
前記第1部分及び前記第2部分の少なくとも一方が第1セグメント及び第2セグメントを含み、前記第1セグメント及び前記第2セグメントは関節セグメントによって結合されており、前記第1セグメント及び第2セグメントはそれぞれ、前記関節セグメントの断面寸法よりも大きい断面寸法を有している、請求項1に記載の装置。
前記拡張可能な挿入物の前記第1部分が、第1端部と、前記第1端部とは異なる第2端部と、を含み、前記拡張可能な挿入物の前記第2部分が、第1端部と、前記第1端部とは異なる第2端部と、を含み、前記第1部分の前記第1端部が前記第2部分の前記第1端部に結合されている、請求項1に記載の装置。
前記第1部分及び前記第2部分がそれぞれ多孔性メッシュを含み、前記拡張可能な挿入物が前記第2構成にある場合、前記第1部分の前記多孔性メッシュが、第1幅を有する多次元形状を有し、前記拡張可能な挿入物が前記第2構成にある場合、前記第2部分の前記多孔性メッシュが、前記第1幅よりも小さい第2幅を有する多次元形状を有する、請求項1に記載の装置。
前記第1部分及び前記第2部分がそれぞれ多孔性メッシュを含み、前記第1部分及び前記第2部分の少なくとも一方の前記多孔性メッシュが、前記多孔性メッシュを形成するように編まれた複数のワイヤを含み、前記ワイヤが、正に帯電した金属を含む、請求項1に記載の装置。
前記第1部分及び前記第2部分がそれぞれ、ニチノール、白金、タンタル、延伸充填管の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせでできている多孔性メッシュを含む、請求項1に記載の装置。
前記第1部分及び前記第2部分の少なくとも一方が、前記第1部分又は前記第2部分の前記少なくとも一方に結合された放射線不透過性マーカを含む、請求項1に記載の装置。
前記第1部分及び前記第2部分の少なくとも一方が多孔性メッシュを含み、前記拡張可能な挿入物が前記第2構成にある場合、前記多孔性メッシュの少なくとも一部が前記動脈瘤の頚部の少なくとも一部にわたって配置されるように構成されており、前記多孔性メッシュの前記一部が前記動脈瘤の前記頚部の少なくとも一部における内皮細胞の付着用の足場となっている、請求項1に記載の装置。
前記拡張可能な挿入物が前記動脈瘤内に配置されると、前記拡張可能な挿入物の前記第1部分及び前記第2部分の少なくとも一方の少なくとも一部が前記動脈瘤の頚部の少なくとも一部にわたって配置され、前記動脈瘤の前記頚部の少なくとも一部にわたって配置された前記一部が血管から前記動脈瘤への体液の流れを遮断するように構成されている、請求項1に記載の装置。
前記動脈瘤の頚部における内皮細胞の付着を促進するため、前記第1多孔性部分及び前記第2多孔性部分の少なくとも一方の少なくとも一部が、前記拡張構成において、前記動脈瘤の前記頚部の少なくとも一部上に配置されるように構成されている、請求項17に記載の装置。
前記第1多孔性部分が、その折畳構成において第1容積を占有するように、かつ、その拡張構成において前記第1容積よりも大きい第2容積を占有するように構成されており、
前記第2多孔性部分が、前記第2多孔性部分の第1セグメントが前記第2多孔性部分の第2セグメントと重なるように、その拡張構成において3次元構成に湾曲するように構成されており、その拡張構成にある前記第2多孔性部分が、その拡張構成にある前記第1多孔性部分を受容するように構成された内部領域を規定する、請求項17に記載の装置。
動脈瘤内に配置されて、前記動脈瘤の嚢によって規定される容積の少なくとも一部を占有するように構成された拡張可能な挿入物であって、前記拡張可能な挿入物の少なくとも一部が、前記動脈瘤の頚部の少なくとも一部にわたって配置されるように構成され、前記拡張可能な挿入物は、血管を通じた挿入のための折畳構成と、前記動脈瘤内に配置された場合の3次元拡張構成と、を有する、拡張可能な挿入物を備え、
前記拡張可能な挿入物は第1多孔性部分及び第2多孔性部分を含み、前記第1多孔性部分又は前記第2多孔性部分の少なくとも一方が、管状メッシュ材料から形成された平らな2層のリボン状のストランドから形成され、
前記第1多孔性部分は、血管を通じた挿入のための折畳構成と前記動脈瘤の嚢を占有するための拡張構成とを有し、前記第1多孔性部分は、その折畳構成において細長く、
前記第2多孔性部分は、前記血管を通じた挿入のための折畳構成と前記動脈瘤の嚢を占有するための拡張構成とを有し、前記第2多孔性部分は、その折畳構成において細長く、
前記第1多孔性部分及び前記第2多孔性部分はそれぞれ、前記動脈瘤内に配置されてそれぞれの前記拡張構成にある場合に非線形の既定の構成をとるように構成され、前記第1多孔性部分及び前記第2多孔性部分は、前記拡張可能な挿入物が前記3次元拡張構成にある場合に前記拡張可能な挿入物の内側領域を規定する外側境界の少なくとも一部を共同で形成し、
前記第1多孔性部分及び前記第2多孔性部分はそれぞれ凹面と凸面とを有しており、前記第1多孔性部分及び前記第2多孔性部分の少なくとも一方の前記凸面は、前記第1多孔性部分及び前記第2多孔性部分がそれぞれ前記拡張構成にある場合に前記第1多孔性部分及び前記第2多孔性部分の他方の前記凹面に隣接している、装置。
前記折畳構成において、前記第1多孔性部分が第1長さを有し、前記第2多孔性部分が、前記第1多孔性部分の前記第1長さよりも短い第2長さを有する、請求項25に記載の装置。
前記第1多孔性部分及び前記第2多孔性部分がそれぞれ、関節セグメントによって結合された少なくとも第1セグメント及び第2セグメントを含み、前記第1セグメント及び前記第2セグメントのそれぞれが凹面及び凸面を有しており、前記凸面が前記凹面に隣接している、請求項1に記載の装置。
前記第1多孔性部分の前記第1セグメント及び前記第2セグメントはそれぞれ、前記第1多孔性部分の前記関節セグメントの断面寸法よりも大きい断面寸法を有しており、前記第2多孔性部分の前記第1セグメント及び前記第2セグメントはそれぞれ、前記第2多孔性部分の前記関節セグメントの断面寸法よりも大きい断面寸法を有している、請求項29に記載の装置。
前記第1多孔性部分及び前記第2多孔性部分は、前記第2構成において、前記動脈瘤の不規則形状の嚢の壁の少なくとも一部との接触を許容するように適応している、請求項17に記載の装置。
前記拡張構成において、3次元の前記拡張可能な挿入物は、前記動脈瘤の不規則形状の嚢の壁の少なくとも一部との接触を許容するように適応している、請求項25に記載の装置。
前記第1多孔性部分及び前記第2多孔性部分の少なくとも一方は第1セグメント及び第2セグメントを含み、前記第1セグメント及び前記第2セグメントは関節セグメントによって結合されており、前記第1セグメント及び前記第2セグメントはそれぞれ、前記関節セグメントの断面寸法よりも大きい断面寸法を有している、請求項17に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0023] 循環血管内に動脈瘤などの血管異常を経験した患者、及び、出血性発作を含むその異常による影響を経験した患者を治療するための医療デバイス及び治療方法が本明細書中に記載される。例えば、本明細書中に記載されるデバイス及び方法は、蛇行状であり小径の、及び/又はそうでなければ到達が困難な血管系に存在する血管異常の治療に有用であり得る。より具体的には、本明細書中に記載されるデバイス及び方法は、嚢状(風船型又はイチゴ型とも呼ばれる)動脈瘤、分部動脈瘤、瘻及び神経血管系内の異常を含む血管系内の他の異常の治療に有用であり得る。本明細書中に記載される医療デバイス及び治療方法では、動脈瘤と、動脈瘤膨隆が(例えば、動脈瘤の頚部に)形成している親血管との間における開口部の内皮化を促進しつつ出血事象を低減することができる。
【0010】
[0024] 動脈瘤の容積のすべて又はほぼすべてを占有するための、及び/若しくは、動脈瘤における又はその近傍における内皮化を促進するための医療デバイスの種々の実施形態を本明細書中に記載する。いくつかの実施形態では、医療デバイスは、正に帯電した織材料又は編材料を含む拡張可能な挿入物を含む。ブレード又はウィーブを形成するフィラメント又はストランドは、デバイス、したがって、異常内における内皮細胞の補充及び/又は保持を促進するように構成されている。拡張可能な挿入物は、管状の又は他の送達拘束物(delivery constraint)(例えば、カテーテル又はカニューレ)からの解放時に動脈瘤の嚢内において非線形の既定の3次元形状をとるように構成されている。正に帯電した織材料又は編材料は特定の多孔率を有しており、拡張可能な挿入物が拡張構成にある場合、フィラメント又はストランド間に複数の開口部を含む。このような開口部は、血液環境において部位に補充された内皮細胞を定着させるのに理想的である。材料の正の帯電は血液及び体組織の負の電荷の存在下で内皮化を促進する。言い換えると、血液及び組織の電荷に対する拡張可能な挿入物の正の帯電(比較すると負の)は、異常に内皮化を促進する環境を提供する。異常内の内皮化は、最終的には、異常を親血管から封じることにつながり得る。例えば、動脈瘤の頚部上における内皮層の成長及び発展により動脈瘤を親血管から封じることができ、異常における流動力学が平衡することを可能にする。したがって、デバイスは、異常の治癒を促進し、再疎通を防止するように構成され得る。これは、異常血流に抗する体内から組織が形成され、異常を形成し得た血流圧力を再分配することが理由である。内皮化による治癒時、治療後の異常における再疎通を予め排除する手法で圧力が親血管に沿って一様に分配される。さらに、内皮化工程が終了すると親血管内からの血液は封じた異常にそれ以上のアクセスを有しない。さらに、拡張可能な挿入物の少なくとも一部は、挿入物が動脈瘤内に配置されると、この部分が親血管から動脈瘤への血液の流れを阻害するように動脈瘤の頚部上に配置され得る。したがって、拡張可能な挿入物は、動脈瘤の頚部上における内皮層の成長及び発展の前に及びそれに加えて血流の阻害を提供する。
【0011】
[0025] 本明細書中に記載される医療デバイスは、挿入部(例えばガイドワイヤ)と、例えばメッシュ状の構成に織られた又は編まれたフィラメントで形成された拡張可能な挿入物と、を含み得る。本明細書において、メッシュ及びブレードという用語はそれぞれ、織られた又は編まれたフィラメントの布地又は材料、もしくはワイヤ又は高分子のストランドを意味し得る。医療デバイスの拡張可能な挿入物は、血管内送達のために圧縮されるか折り畳まれるように構成され得る。いくつかの実施形態では、医療デバイスは、折畳構成又は圧縮構成にある間、例えばマイクロカテーテル、カニューレ、送達管又はシースなどの送達デバイスを通じて挿入され得る。いくつかの実施形態では、医療デバイスは、そのような送達デバイスを使用することなく配置され得る。
【0012】
[0026] 医療デバイスの拡張可能な挿入物は、拡張可能な挿入物が神経血管系の狭い拘束部(constraints)内及び/又は送達カテーテルの内腔内に適合し得る直径を有するように、折畳構成又は圧縮構成を有し得る。医療デバイスの拡張可能な挿入物は、例えば、圧縮及び拡張することができるストランド(例えば、ストランド又はフィラメントのメッシュ又はブレード配置)の配置で形成され得る。そのような材料には、ニチノール、MP35N、ステンレス鋼、コバルトクロム、チタン、白金、タンタル、タングステン又はそれらの合金、もしくはポリエステル、ポリエチレン(PET)、ダクロン(Dacron)、PEEK、ベクトラン(vectron)及び縫合材料が含まれ、及び、Fort Wayne Metals of Fort Wayne, Indiana, California Fine Wire Company of Graver Beach, California、他の金属製造業者、Ethicon Inc. of Somerville, New Jersey, Genzyme of Cambridge, Massachusetts、 Poly-Med, Inc. of Anderson, South Carolina及び/又は他の医療グレード縫合糸及び繊維製造業者から入手可能である。拡張可能な挿入物は、医療デバイスの挿入部上及び/又は医療デバイスの挿入部に沿って圧縮され得る。挿入部は例えばワイヤであってよい。いくつかの実施形態では、医療デバイスは、送達デバイスの内腔内に移動可能に配置可能な挿入部を含む。挿入部の遠位部は、拡張可能な挿入物に結合され得る。拡張可能な挿入物は、異常部(例えば、動脈瘤)内に配置される間又は異常(例えば、動脈瘤)内に挿入されているとき、折畳構成から拡張構成に移行し得る。
【0013】
[0027] いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物は、超弾性材料又は形状記憶材料(例えば、ニチノールなどの)のフィラメントによって形成されてよく、ブレード又はメッシュは、拡張可能な挿入物を医療デバイスの挿入部に取り付ける前に既定の形状に設定されてよい。このような一実施形態においては、拡張可能な挿入物は、配置されて拡張すると、付勢された既定の形状をとる。既定の形状は、球の形状などの一般的な形状であってよく、又は、患者内の標的動脈瘤の形状に基づく特別仕様の形状であってもよい。適切な材料についてはより詳細に本明細書中に記載される。
【0014】
[0028] 本明細書中に記載される医療デバイスは、(本明細書中において「開口部」又は「孔」とも呼ばれる)可変的なサイズのアパーチャを有する織メッシュ又はブレードで形成された1つ又は複数の拡張可能な挿入物を含み得る。言い換えれば、デバイスは、特定の多孔率又は孔密度を有する材料で形成される。いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物は、フィラメントの密度が変化するメッシュ又はブレードの部分を有してよく、かつ、より低密度(すなわち、より高い多孔率)の部分又はバンドによって離間する高密度に目の開いたフィラメント(すなわち、より低い多孔率)の部分又はバンドを含んでもよい。より低密度のブレード部分はより大きな開口部をブレードに有し得るが、より高密度のブレード部分はより小さな開口部をブレードに有し得る。材料(例えば、内皮細胞などの体組織)は、拡張可能な挿入物のメッシュの間隙に入る及び/又は付着することを促進され得る。例えば、より高密度のブレード部分は、より大きな内皮細胞の付着を促進するために使用されてよく、より低密度のブレード部分は、全体の重量及び/又は患者内に植え込まれる材料を低減するために使用されてよい。より低密度の部分は、また、拡張可能な挿入物の最終形状を左右し得る。例えば、より低密度の部分(より目の粗い)メッシュ又はブレードは挿入物の拡張の作用を左右し得る。
【0015】
[0029] いくつかの実施形態では、医療デバイスは、送達カテーテル(例えば、マイクロカテーテル)の内腔を通じて医療デバイスを挿入することによって血管系内の所望の治療部位に送達され得る。拡張可能な医療デバイスは、折畳構成又は圧縮構成において送達カテーテルを通じて挿入され得る。拡張可能な医療デバイスの拡張可能な挿入物は、送達カテーテルの遠位端を通じて治療部位(例えば動脈瘤の嚢内)に出されることが可能であり、拡張構成に移行し得る。いくつかの実施形態では、送達カテーテルは、拡張可能な挿入物を圧縮するため又は折り畳むために使用される。例えば、拡張可能な挿入物は、付勢された拡張構成で形成されてよく、カテーテルの内腔内に配置されると圧縮される。拡張可能な挿入物は、カテーテルの外部に出されると、その付勢された拡張構成をとることができる。拡張構成において、拡張可能な挿入物の第1部分は拡張可能な挿入物の第2部分に実質的に重なっている。拡張可能な挿入物の第1部分と第2部分とは、別々の構造であってよく、若しくは、一体型の又は一体的に構成されたデバイスの一部であってもよい。
【0016】
[0030] 本明細書中に記載される拡張可能な挿入物などの医療デバイスは、第1多孔性部材と、第1多孔性部材に連結された第2多孔性部材と、を含み得る。第1多孔性部材及び第2多孔性部材のそれぞれが第1端部と第2端部とを含む。第1多孔性部材及び第2多孔性部材はそれぞれ、血管を通じた挿入のための折畳構成及び動脈瘤の嚢によって規定された容積の少なくとも一部を占有するための拡張構成を有する。いくつかの実施形態では、第1多孔性部材は、実質的に細長く、かつ、その拡張構成においてその折畳構成よりも大きな幅を有する。第2多孔性部材は、実質的に細長く、かつ、その拡張構成において折畳構成よりも大きな幅を有する。いくつかの実施形態では、例えば第1多孔性部材及び第2多孔性部材のそれぞれがそれらの拡張構成にある場合、第1多孔性部材の幅は第2多孔性部材の幅よりも大きい。
【0017】
[0031] いくつかの実施形態では、第1多孔性部材は、その折畳構成において第1容積を占有するように、及び、その拡張構成においてより大きな第2容積を占有するように構成されている。例えば、第1多孔性部材は、その拡張構成において、その折畳構成におけるほぼ細長形状の第1多孔性部材よりも大きな容積を占有するほぼ球形、長円形又は他の適切な形状を有し得る。第2多孔性部材は、第2多孔性部材の第1セグメントが第2多孔性部材の第2セグメントと重なるように、拡張構成において3次元構成に移行又は湾曲するように構成され得る。その拡張構成において、第2多孔性部材は、その拡張構成にある第1多孔性部材を受容するように構成された内部領域を規定し得る。例えば、いくつかの実施形態では、第2多孔性部材は、第1多孔性部材を受容するように構成された、開いた内部領域を有するほぼ球形の形状を有する。
【0018】
[0032] いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される拡張可能な挿入物などの医療デバイスは第1多孔性部材と第2多孔性部材とを含み得る。第1多孔性部材及び第2多孔性部材のそれぞれは第1端部と第2端部とを含む。第1多孔性部材及び第2多孔性部材はそれぞれ、血管を通じた挿入のための折畳構成と、動脈瘤の嚢によって規定された容積の少なくとも一部を占有するための拡張構成と、を有する。第1多孔性部材及び第2多孔性部材は、それぞれ折畳構成において実質的に細長い。その拡張構成において、第1多孔性部材は、第2セグメントと重なるように構成されており、かつ、内部領域を規定する第1セグメントを含む3次元形状を有する。第2多孔性部材は、第1多孔性部材及び第2多孔性部材のそれぞれがそれら各々の拡張構成にある場合、第1多孔性部材の内部領域に配置されるように構成されている。いくつかの実施形態では、第2多孔性部材は第1多孔性部材と一体型に又は一体的に形成されてよい。いくつかの実施形態では、第2多孔性部材は、第1多孔性部材を形成するものと同じフィラメントを使用して織られてもよく又は編まれてもよい。
【0019】
[0033] いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物は、超弾性形状記憶合金繊維又は高分子繊維を含む編組管の形態である。いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物は、ほぼ球形の輪郭に誘導する形状変形を引き起こすことができる。いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物は、螺旋輪郭に誘導する形状変形を引き起こすことができる。いくつかの実施形態では、形状変形には、半径方向の拡張及び/又は軸方向の短縮への誘導を含み得る。
【0020】
[0034] 本明細書中に記載される医療デバイスは、動脈瘤の嚢によって規定された容積の少なくとも一部を占有するために、及び/又は、例えば、出血性発作につながるおそれのある動脈瘤への血流を阻止又は停止するための動脈瘤の頚部の内皮化を促進するために使用され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能とすることができ、かつ動脈瘤における内皮細胞の付着を促進するような大きさのアパーチャを有し得る織メッシュ又は編ストランドを形成するためにワイヤ又は高分子フィラメントが使用され得る。
【0021】
[0035] 特に明示しない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される単数形「a」「an」及び「the」は複数形を含むことに留意されたい。したがって、例えば、用語「内腔」は、単一の内腔又は内腔の組み合わせを意味するものである。さらに、用語「近位」及び「遠位」は、医療デバイスを患者に挿入するであろう操作者(例えば、外科医、医師、看護師、技術者等)にそれぞれ近づく及びそこから離れる方向を意味するとともに、デバイスの先端部(すなわち遠位端)は最初に患者の体内に挿入される。したがって、例えば、最初に患者の体内に挿入される端部は医療デバイスの遠位端とされ得るが、患者の体の外側にある、又は、患者の体内にその後に挿入される端部は医療デバイスの近位端とされ得る。さらに、同様に識別される要素を説明するために使用される用語「第1」、「第2」、「第3」等は、単に明確化の目的のためであり、優先順位を意味するものでも、そのような数値の識別子が特許請求の範囲内の特定の要素に関連するものでなければならないことを意味するものでもない。
【0022】
[0036]
図1及び
図2は、一実施形態に係る第1構成及び第2構成それぞれにおける血管用医療デバイス100の概略図である。医療デバイスは、動脈瘤の治癒を促進するように構成されている。さらに具体的には、医療デバイスの少なくとも一部は、動脈瘤の嚢によって規定された容積の少なくとも一部を占有するように構成されており、いくつかの実施形態では、医療デバイスの少なくとも一部は、動脈瘤の頚部上における内皮細胞の付着を促進するように構成されている。動脈瘤頚部上における内皮化が完了すると、親血管(すなわち、動脈瘤が形成されている血管)からの動脈瘤嚢への血流が妨げられる。
【0023】
[0037] 医療デバイス100は、挿入部102と、拡張可能な挿入物110と、を含み得る。挿入部102は、拡張可能な挿入物110に、例えば拡張可能な挿入物110の近位部112に結合されている。いくつかの実施形態では、挿入部102は拡張可能な挿入物110に脱着可能に結合されている。このようにして、挿入部102は、動脈瘤への拡張可能な挿入物の送達後に拡張可能な挿入物110から分離され得るとともに患者の血管系から取り外され得る。挿入部102は、例えば、ガイドワイヤ又はワイヤの遠位端部であってよい。医療デバイス100は、例えば、拡張可能な挿入物110を動脈瘤に送達するために(
図1及び
図2の破線で示される)カニューレ又はカテーテル104とともに使用され得る。
【0024】
[0038] 拡張可能な挿入物110は、動脈瘤内(例えば、動脈瘤の嚢内)に配置されるように構成されている。拡張可能な挿入物110は第1部分120と第2部分130とを有する。
図1に示すように、拡張可能な挿入物110は、第1部分120と第2部分130とがほぼ直線的に整列されている第1構成を有する。その第1構成において、拡張可能な挿入物110は、血管を通じた挿入のために構成されている。拡張可能な挿入物110は、その第1構成にある場合、動脈瘤の頚部を通じた挿入のためにも構成されている。
【0025】
[0039] 拡張可能な挿入物110は、その第1構成と、
図2に示すような、第2部分130が第1部分120に少なくとも部分的に重なっている第2構成との間で移行可能である。例えば、第2部分130は、第1部分120及び第2部分130の複数のセグメントが重なるように複数回屈曲する、湾曲する及び/又はねじれるように構成され得る。さらに、第1部分120及び第2部分130の少なくとも一方は、第1部分又は第2部分のそれぞれがそれ自身と重なるように複数回屈曲又は湾曲するように構成され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物110は、複数の第1部分及び複数の第2部分を有するものと理解され得る。言い換えれば、拡張可能な挿入物は、動脈瘤の容積のすべて又はほぼすべてを占有するため、その展開構成においてそれ自身に連続的に重なり得る。
【0026】
[0040] その第2構成において、拡張可能な挿入物110は、動脈瘤の嚢によって規定された容積の少なくとも一部を占有するように構成されている。いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物110がその第2構成にある場合、拡張可能な挿入物の少なくとも一部は動脈瘤の頚部上に配置されるように構成されている。例えば、拡張可能な挿入物110の、第2部分130が第1部分120に重なっている部分が動脈瘤の頚部上に配置されるように構成され得る。したがって、拡張可能な挿入物110の、動脈瘤頚部上に配置された部分は、増加した密度(例えば、第1部分120又は第2部分130個々と比較すると二重の密度)を有し、これにより、血流が動脈瘤の嚢に入ることを制限する又は妨げる。拡張可能な挿入物110の、動脈瘤頚部上に配置された部分は、動脈瘤頚部における内皮細胞の付着のための足場とされ得る。例えば、拡張可能な挿入物110の、動脈瘤頚部上に配置可能な部分は、本明細書中により詳細に記載されるように、多孔性メッシュを含むことなどにより多孔性とされ得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物110の第1部分120及び第2部分130は第2構成に付勢される。
【0027】
[0041] 上記のように、いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物110の少なくとも一部が多孔性である。例えば、いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物110の少なくとも一部は、拡張可能な挿入物110の壁又は層が複数の開口部又は間隙118を規定するように、メッシュ(例えば、織られた、編まれた又はレーザ切断された)材料を含み得る、及び/又は、メッシュ(例えば、織られた、編まれた又はレーザ切断された)材料で構成され得る。より具体的には、いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物110の第1部分120及び第2部分130の少なくとも一方又は両方が多孔性メッシュを含み得る。多孔性メッシュは、拡張可能な挿入物110がその第1構成にある場合に第1多孔率を有し、拡張可能な挿入物がその第2構成にある場合に第2多孔率を有する。より具体的には、いくつかの実施形態では、多孔性メッシュは、拡張可能な挿入物がその第1構成にある場合よりも拡張可能な挿入物110がその第2構成にある場合に、より高い多孔率を有し得る。例えば、1つ又は複数の個々の孔又は開口部は、第1構成にある場合よりも第2構成にある場合に大きくなるため、多孔性メッシュの多孔率は上昇し得る。例えば、多孔性メッシュは、第2構成において拡張され、それによって、メッシュのフィラメント間の空間(したがって、メッシュの1つ又は複数の開口部の大きさ)が増加する。言い換えれば、孔開口部の総量が増加され得る。別の例において、多孔性メッシュの多孔率は、拡張可能な挿入物110がその第1構成に折り畳まれていたときには閉じていた1つ又は複数の開口部が、拡張可能な挿入物がその第2構成に移行したときに再び開かれるために増加され得る。言い換えると、いくつかの孔が増加され得る。
【0028】
[0042] いくつかの実施形態では、第1部分120と第2部分130とは同じ多孔率又は異なる多孔率の1つを有し得る。例えば、第1部分120は、第2部分130の多孔率よりも高い多孔率を有し得る。別の例においては、第2部分130は、第1部分120の多孔率よりも高い多孔率を有し得る。さらに別の例においては、第1部分120と第2部分130とは拡張構成においてほぼ同等の多孔率を有し得る。
【0029】
[0043] いくつかの実施形態では、第1部分120及び第2部分130の少なくとも一方は、1つ、2つ、3つ又はそれを超える層を含む。例えば、いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物110の第1部分120は、多孔性メッシュの第1層(
図1又は
図2に図示せず)と、多孔性メッシュの第2層(
図1又は
図2に図示せず)と、を含む。第1層と第2層とは、同じ多孔率を有してもよく又は異なる多孔率を有してもよい。いくつかの実施形態では、第1層は第2層からずれている。したがって、第1部分の多孔率は、第1層及び第2層の多孔率と、第1層が第2層からずれている状態とによって決定される。
【0030】
[0044] いくつかの実施形態では、第1部分120又は第2部分130の少なくとも一方などの拡張可能な挿入物110の少なくとも一部は、例えば、ニチノールなどの形状記憶材料を含むことができ、所望の形状をとるように予備形成することができる。したがって、そのような一実施形態においては、拡張可能な挿入物110の一部(例えば、第1部分120及び/又は第2部分130)は、第2拡張構成に付勢されることができ、拡張可能な挿入物の一部を拘束する又は圧縮することによって第1折畳構成に移行させられ得る。
【0031】
[0045] いくつかの実施形態では、第1部分120又は第2部分130の少なくとも一方などの拡張可能な挿入物110の少なくとも一部が、以下にさらに詳細に記載される、正に帯電した材料を含み得る。
【0032】
[0046] 拡張可能な挿入物110は、拡張構成にある場合、種々の異なる形状、大きさ及び構成を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、拡張構成にある場合、拡張可能な挿入物110はほぼ球形とされ得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物110はほぼ螺旋状であってよい。いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物110は、ほぼ環状、円盤形状又は輪形状であってよい。いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物110は、患者内の標的動脈瘤の形状に基づく特別仕様の形状であってよく、例えば、撮像デバイスによって検出された標的動脈瘤の形状に従い形状模型が作られる。例えば、動脈瘤の形状の画像は、血管造影図を使用して取得され、拡張可能な挿入物110は、血管造影図に示される動脈瘤の形状に従い模型が作られ得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物110は、様々な外周又は外径を有する複数の部分を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、拡張構成にある場合、拡張可能な挿入物110は、第1外周を有する第1部分と、第2外周を有する第2部分と、第3外周を有する第3部分と、を含み得る。このような一実施形態においては、第2外周は、第1外周及び第3外周のそれぞれよりも小さくされ得る。
【0033】
[0047] 医療デバイス100の使用の一例では、カテーテル104が血管内に挿入され、動脈瘤などの血管異常近辺の所望の治療部位に誘導され得る。拡張可能な挿入物110は治療部位への送達のためカテーテル104の細長い内腔内に挿入される。カテーテル104の遠位部は血管内の動脈瘤の近傍に配置される。拡張可能な挿入物110はカテーテル内部の第1位置からカテーテル外部の第2位置に移動させられる。拡張可能な挿入物110がその第1位置にある場合、第1部分120及び第2部分130のそれぞれは第1構成にある。例えば、第1構成において、第1部分120及び第2部分130のそれぞれは、カテーテル104の内腔内において圧縮されることも折り畳まれることもでき、ほぼ線形の構成である。
【0034】
[0048] 拡張可能な挿入物110は、その第2位置に移動した場合に動脈瘤の嚢に入ることができるように、動脈瘤と流体連通している血管壁の開口部に対して配向され得る。拡張可能な挿入物110が動脈瘤の嚢内に誘導され、かつ配置されるように、拡張可能な挿入物110は、挿入部102の補助によりその第1位置からその第2位置に移動させられ得る。拡張可能な挿入物110がその第2位置にある場合、第1部分及び第2部分のそれぞれは第2構成を有する。例えば、第2構成において、第1部分120及び第2部分130のそれぞれは3次元形状に拡張され得る。第2構成において、第1部分120の3次元形状は第2部分130の3次元形状と類似してもよく又は異なってもよい。第2構成において、拡張可能な挿入物110の第1部分120は第2部分130に実質的に重なっている。いくつかの実施形態では、第1部分及び第2部分のそれぞれがそれら各々の第2構成にある場合、第2部分130は、第1部分によって規定された内部領域に配置されている。
【0035】
[0049] 第1部分120及び第2部分130はそれら各々の第2構成に同時に又は順次移行し得る。例えば、いくつかの実施形態では、第2部分130は、第1部分120がその第2構成に移行する前にその第2構成に移行する。拡張可能な挿入物110は、拡張可能な挿入物110の壁が動脈瘤の壁の少なくとも一部に接触するように及び/又は拡張可能な挿入物の一部が動脈瘤の頚部上に配置されるように、付勢された、拡張可能な構成をとることができる。拡張可能な挿入物110が動脈瘤の頚部上にあると、親血管から動脈瘤嚢内へのさらなる血流を実質的に低減することができる及び/又は妨げることができる。その理由は、拡張可能な挿入物が、親血管から流れる血液の物理的な流れ阻害部(flow disruptor)として、ならびに頚部/血管壁の内皮化を促進するための、動脈瘤頚部における内皮細胞の付着のための足場として機能し得るからである。挿入部102は、その後、拡張可能な挿入物110の近位端から取り外され、カテーテル104を通じて除去され得る。
【0036】
[0050]
図3、
図4、
図5A、
図5B及び
図5Cは、一実施形態による医療デバイスを示す。医療デバイス200は、医療デバイス100について上述したものと同じ特徴及び機能のすべて又はいくつかを含み得る。医療デバイス200は、挿入部202と、拡張可能な挿入物210と、を含む。拡張可能な挿入物210は、その近位端において挿入部202の遠位端に脱着可能に結合されている。
【0037】
[0051] 拡張可能な挿入物210は第1部分220と第2部分230とを含む。
図3及び
図5Aに示すように、拡張可能な挿入物210は、第1部分220と第2部分230とがほぼ直線的に整列された、第1構成すなわち折畳構成を有する。この手法で、拡張可能な挿入物210は、血管Vを通じて動脈瘤Aなどの治療部位に送達するためのカテーテル204の内腔内に配置され得る。
図2に示すように、その第1構成において、拡張可能な挿入物210は第1幅W
1を有する。
図4及び
図5B〜5Cに示すように、拡張可能な挿入物210は第2構成すなわち拡張構成又は展開構成に移行可能である。挿入部202は、拡張可能な挿入物210を第1構成から第2構成に移行させるように構成されている。拡張可能な挿入物210がその第2構成にある場合、挿入部202は拡張可能な挿入物210から取り外され得る。
【0038】
[0052] その第2構成において、拡張可能な挿入物210は、動脈瘤Aの嚢によって規定された容積の少なくとも一部を占有するように構成されている。したがって、拡張可能な挿入物210は、第2の拡張構成において、その第1幅W
1よりも大きい第2幅W
2を有する。例えば、拡張可能な挿入物210は、その第1構成においては、実質的に狭く、細長くすることができ、その第2構成においては3次元形状をとることができる。
図3〜
図5Cに示す実施形態では、拡張可能な挿入物210は、その第2構成においてほぼ球形の形状を有する。拡張可能な挿入物210は、その3次元形状が動脈瘤の形状のあらゆる不規則性に適応することができるように弾性を有してよい。第2構成において、拡張可能な挿入物210の第2部分230は第1部分220に少なくとも部分的に重なっている。拡張可能な挿入物が動脈瘤Aの嚢内においてその第2構成にある場合、拡張可能な挿入物210の少なくとも一部は、動脈瘤Aの頚部N上に配置されるように構成されている。本明細書中により詳細に記載されるように、拡張可能な挿入物210は、動脈瘤Aの頚部Nにおける内皮細胞の付着を促進するように構成されている。
【0039】
[0053]
図3に示される実施形態では、第1部分(又は部材)220は第1リボン状のストランドであり、第2部分(又は部材)230は、第1部分とは別個の第2リボン状のストランドである。他の実施形態において、拡張可能な挿入物は、第1部分と、別個の部分の代わりに、(例えば、一体型に又は一体的に構成された)単一リボン状のストランドである第2部分と、を含み得る。第1部分220の第1端部222は第2部分230の第1端部232に結合されている。接着剤、機械的なカプラ、溶接部等又は前述の任意の組み合わせなどの、第1部分220の第1端部222を第2部分230の第1端部232に結合するのに適切な任意の機構を使用できる。例えば、第1端部222、232はバンド240によって結合され得る。バンド240は、また、挿入部202の、拡張可能な挿入物210への結合を補助するように構成され得る。バンド240は、例えば放射線不透過性マーカであってよく又は放射線不透過性マーカを含んでよい。
【0040】
[0054] 第1部分220の第2端部224及び第2部分230の第2端部234はそれぞれ、それらに結合された放射線不透過性マーカ242、244をそれぞれ有している。放射線不透過性マーカ242、244は、治療部位への送達時及び/又は植え込み後における拡張可能な挿入物210の画像化を容易にするように構成されている。拡張可能な挿入物210がその第2構成にある場合、マーカ242、244は完全に動脈瘤Aの嚢内に配置されるように構成されている。したがって、マーカ242、244は動脈瘤A又は血管Vの壁を穿刺せず、マーカ242、244は動脈瘤頚部における内皮細胞の付着を妨げない。マーカ242、244が動脈瘤の頚部に又はその近傍に配置された場合、親血管からの血液はマーカの周囲に凝塊する傾向があるためこれも有益である。
【0041】
[0055] 拡張可能な部材210がその第1構成とその第2構成との間で移行すると、第1部分220及び第2部分230の少なくとも一方もまた第1構成と第2構成との間で移行可能である。第1部分又は部材220は、第1部分220が実質的に細長くて第1幅を有する第1の折畳構成を有する。第1部分220は、第1部分220が第1幅よりも大きい第2幅を有する第2の拡張構成を有する。例えば、第1部分220は、ほぼ線形で細長い、折畳構成から、拡張構成又は展開構成における多次元(例えば、3次元)形状に移行可能とされ得る。
図4及び
図5Cに示すように、第1部分220は、拡張構成において、拡張可能な挿入物210に全体的に球形の形状を付与する3次元形状を有し得る。第1部分220は、その第2の拡張構成に付勢され得る。
【0042】
[0056] 第1部分又は部材220は多孔性であり、例えば、多孔性メッシュを含んでもよく、又は、多孔性メッシュで構成されてもよい。多孔性メッシュは、拡張可能な挿入物210が少なくともその第2構成にある場合、フィラメントの一部の間に開口部又は間隙が存在する手法で共に織られた又は編まれたフィラメントを使用して形成され得る。例えば、多孔性メッシュは複数の編組ワイヤを含み得る。適切なメッシュ材料については本明細書中により詳細に記載される。多孔性メッシュは、第1部分220が第1構成にある場合は第1多孔率を有することができ、第1部分220が第2構成にある場合は第2多孔率を有することができる。例えば、第1部分220が、その第1の折畳構成から、その第2の拡張構成に移行すると、メッシュの開口部の大きさが増加するようにメッシュが拡張し得るため、メッシュの多孔率が増加する。多孔性メッシュは、メッシュが動脈瘤A内に配置されると、凝塊形成及び内皮細胞付着を促進する足場として機能するように構成されている。具体的には、内皮細胞はメッシュの開口部に移動する。
【0043】
[0057] 拡張可能な挿入物210の第1部分220は多孔性メッシュの第1層と多孔性メッシュの第2層とを含む。この手法で、第1部分220の密度は第1層又は第2層のいずれか個々の密度よりも高くなる。そのような二重の密度構造により、例えば、第1部分220の第1層及び第2層が動脈瘤Aの頚部N上に配置された場合、動脈瘤Aへの血流を制限する又は妨げることができる。多孔性メッシュの第1層と多孔性メッシュの第2層とは、同じ多孔率を有してもよく又は異なる多孔率を有してもよい。多孔性メッシュの第1層は多孔性メッシュの第2層からずらされることができる。この手法で、第1部分220の全体的な多孔率は第1層又は第2層のいずれか個々の多孔率よりも高くなる。多孔性メッシュの第1層と第2層とは任意の適切な手法で互いに結合され得る。例えば、第1部分220は、中を貫通する細長い内腔を有する細長い管状メッシュを使用して形成され得る。そのような一実施形態においては、細長いメッシュは、メッシュの第1側又は層がメッシュの第2側又は層上に、又はその近傍に配置され、したがって、二重の密度又は二重の層のメッシュ構造を形成するように、管状構造からリボン状の構造に平らにされ得る。
【0044】
[0058] 拡張可能な挿入物210の第2部分又は部材230は、第1部分220と同じ又は類似するように構成されることができ、かつ第1部分220と同じ又は類似の手法で使用され得る。拡張可能な部材210がその第1構成とその第2構成との間において移行すると、第2部分230も、第2部分が実質的に細長く、かつ第3幅を有する第1の折畳構成と、第2部材が第3幅よりも大きい第4幅を有する第2の拡張構成との間において移行可能である。例えば、第2部分230は、ほぼ線形で細長い、折畳構成から、拡張構成における、多次元(例えば3次元)形状に移行可能とされ得る。
図4及び
図5Cに示すように、第2部分230は、拡張構成において、拡張可能な挿入物210に全体的に球形の形状を付与する3次元形状を有し得る。第2部分230はその第2の拡張構成に付勢され得る。
【0045】
[0059] 第2部分230は多孔性であり、多孔性メッシュを含むことも、多孔性メッシュで構成することもできる。多孔性メッシュは、拡張可能な挿入物210の第1部分220について上述した多孔性メッシュと同じ又は類似するように構成され得るとともに、それと同じ又は類似の手法で使用され得る。例えば、多孔性メッシュは、拡張可能な挿入物210が少なくともその第2構成にある場合に多孔性であるフィラメントのウィーブ又はブレードを含み得る。さらに、第2部分230の多孔性メッシュは、第2部分230が第1構成にある場合は第1多孔率、第2部分230が第2構成にある場合は第2多孔率を有し得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物210の第2部分230は多孔性メッシュの第1層と多孔性メッシュの第2層とを含み、これらは同じ又は異なる多孔率であってよい。この手法で、第2部分230の総密度は第1層又は第2層のいずれか個々の密度よりも高くなる。多孔性メッシュの第1層は、第2部分230の全体的な多孔率が第1層又は第2層のいずれか個々の多孔率よりも高くなるように、多孔性メッシュの第2層からずらされ得る。第1部分220について上述したのと同様、第2部分230の多孔性メッシュの第1層及び第2層は、リボン状の構造に平らにされた一体的に構成された細長い管状メッシュから形成され得る。
【0046】
[0060] 拡張可能な挿入物210の第1部分220及び第2部分230は同じ大きさであってよく又は異なる大きさであってもよい。例えば、
図5Aに示すように、第1部分220は、その第1の折畳構成において、その第1の折畳構成にある第2部分230の長さよりも短い長さを有し得る。この手法で、マーカ242、244は動脈瘤Aの頚部Nを通じて順次導入され、これにより、拡張可能な挿入物210をより狭い頚部Nを通じて導入することが可能になる。別の例においては、第1部分220と第2部分230とは同じ幅を有してもよく又は異なる幅を有してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、その第1構成における第1部分220の第1幅は、その第1構成における第2部分230の第3幅よりも広い。その第2構成における第1部分220の第2幅は、また、その第2構成における第2部分230の第4幅よりも広くされ得る。別の例において、第2部分230の第4の拡張幅は、第1部分220の第2の拡張幅よりも広くされ得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入物210がその第2構成にある場合、第1部分220の多孔性メッシュは、第1幅を有する多次元形状を有することができ、拡張可能な挿入物がその第2構成にある場合、第2部分230の多孔性メッシュは、第1幅よりも小さい第2幅を有する多次元形状を有し得る。
【0047】
[0061] いくつかの実施形態では、例えば、拡張可能な挿入物がその第2構成において拡張される場合、第1部分220(又は第1部分の多孔性メッシュ)は約8mmの幅を有し得る。拡張可能な挿入物がその第2構成において拡張される場合、第2部分230(又は第2部分の多孔性メッシュ)は約9.5mmの幅を有し得る。したがって、第1部分220が拡張構成において第2部分230よりも小さな全体サイズを有する実施形態においては、その第2構成において、第1部分220は第2部分230によって形成された、開いた内部領域内に配置されるように構成され得る。
【0048】
[0062] いくつかの実施形態では、医療デバイス200の変形が予期される。例えば、そのような一実施形態においては、拡張可能な挿入物の第1部分は、中を貫通する内腔を規定する第1管状メッシュを含むことができ、拡張可能な挿入物の第2部分は、第1管状メッシュの内腔内に配置された第2管状メッシュを含むことができる。第1管状メッシュ構造及び第2管状メッシュ構造は実質的にリボン状のストランドに形成され得る。したがって、拡張可能な挿入物は4層密度を有する。拡張可能な挿入物は、第1部分及び第2部分によって形成されたストランドに加えて追加のリボン状のストランドを含み得る。例えば、拡張可能な挿入物は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つのストランドを含むことができ、各ストランドは所望の層数(例えば、2つ、4つ又はそれを超える数の層)を有する。したがって、所望の量の密度を有する拡張可能な挿入物が形成され得る。上記のように、高密度の構造により、親血管から動脈瘤内への血流が妨げられる。拡張可能な挿入物の各層又は一部は他の層又は部分と同じ密度を有してもよく又は異なる密度を有してもよい。さらに、拡張可能な挿入物の各層又は一部は、他の層又は部分と同じ多孔率を有してもよく又は異なる多孔率を有してもよい。
【0049】
[0063]
図6は、医療デバイスの別の実施形態の一部を示す。医療デバイス300は、前実施形態において上述したものと同じ又は類似の特徴及び機能を含むことができる。例えば、医療デバイス300は、拡張可能な挿入物310と、挿入部又は部材(
図6に図示せず)と、を含む。拡張可能な挿入物310は拡張構成で示され、拡張可能な挿入物210について上述したものと同じ又は類似の手法で、拡張可能な挿入物が実質的に細長い、圧縮構成又は折畳構成と、拡張構成との間で移行し得る。拡張構成において、拡張可能な挿入物310の第1部分320には拡張可能な挿入物の第2部分330が重なっている。さらに、拡張可能な挿入物310がその拡張構成にある場合、第1部分320の少なくとも一部は、第2部分320によって規定された、開いた内部領域336内に配置されている。
【0050】
[0064] 拡張可能な挿入物310は多孔性メッシュのリボン状のストランドを含む。多孔性メッシュの少なくとも一部は、拡張可能な挿入物310が拡張構成において動脈瘤の頚部上に配置されるように構成されている。拡張可能な挿入物310が拡張構成にある場合、多孔性メッシュは、複数回屈曲する、湾曲する及び/又はねじれてほぼ球形の形状になるように構成されている。多孔性メッシュは、拡張可能な挿入物210の多孔性メッシュよりも広いリボン状の構造とされ得る。この手法で、拡張可能な挿入物310の多孔性メッシュは、拡張可能な挿入物210の多孔性メッシュよりも短い長さであってよいものの、なお動脈瘤内(及び動脈瘤の頚部上)において、拡張可能な挿入物210と同様の量の被覆度を提供する。多孔性メッシュは、拡張可能な挿入物310の所望の密度及び多孔率によって、1つ、2つ又はそれを超える数の層を含み得る。いくつかの実施形態では、第1放射線不透過性マーカ342が拡張可能な挿入物310の第1端部312に結合されており、第2放射線不透過性マーカ344が拡張可能な挿入物の第2端部314に結合されている。拡張可能な挿入物310は、放射線不透過性マーカ342、344が完全に動脈瘤の嚢内に配置され、多孔性メッシュが動脈瘤の頚部上に配置されるように完全に動脈瘤内に配置されるように構成されている。いくつかの実施形態では、放射線不透過性マーカは動脈瘤の側部に配置されるように構成されている(すなわち、動脈瘤の頚部から離れて配置されている)。
【0051】
[0065]
図7は、医療デバイスの別の実施形態を示す。医療デバイス400は、前の実施形態において上述したものと同じ又は類似の特徴及び機能を含むことができる。例えば、医療デバイス400は、拡張可能な挿入物410と、挿入部又は部材402と、を含む。拡張可能な挿入物410は動脈瘤の嚢を占有するような大きさにされており、挿入部材402は拡張可能な挿入物の動脈瘤の嚢内への送達を容易にするように構成されている。拡張可能な挿入物410は拡張構成で示されており、前の実施形態において上述したものと同じ又は類似の手法で、圧縮構成又は折畳構成と拡張構成との間で移行し得る。
【0052】
[0066] 拡張可能な挿入物410は、360度の螺旋状又は輪状構造として動脈瘤内において拡張されるように構成された多孔性メッシュの少なくとも1つのリボン状のストランドを含む。拡張構成において、拡張可能な挿入物410の第1部分420には拡張可能な挿入物の第2部分(
図7に図示せず)が重なっており、これに拡張可能な挿入物の第3部分450が重なっている。この手法で、拡張可能な挿入物410の少なくとも一部は、挿入物材料(例えば、前実施形態に上述した多孔性メッシュ)の2つ、3つ、4つ又はそれを超える数の層を含み、これは、動脈瘤内から動脈瘤の頚部上に配置され、高密度の流れ阻害部(dense flow disruptor)として機能し得る。
【0053】
[0067]
図8は、医療デバイスの別の実施形態を示す。医療デバイス500は、医療デバイス400について上述したものと同じ又は類似の特徴及び機能を含むことができる。例えば、医療デバイス500は、拡張可能な挿入物510と、挿入部又は部材502と、を含む。医療デバイス500は、マイクロカテーテル504を使用して動脈瘤又は他の血管異常部に送達され得る。拡張可能な挿入物510は、動脈瘤の嚢によって規定された容積の少なくとも一部を占有するような大きさにされており、挿入部材502は拡張可能な挿入物の動脈瘤の嚢内への送達を容易にするように構成されている。拡張可能な挿入物510は拡張構成において示されており、前実施形態において上述したものと同じ又は類似の手法で、圧縮構成又は折畳構成と拡張構成との間で移行し得る。
【0054】
[0068] 拡張可能な挿入物510は、
図8に示すように、動脈瘤内においてほぼ環状又は円盤形状の構造として拡張されるように構成された多孔性メッシュを含む。拡張構成において、拡張可能な挿入物510の第1端部部分512は拡張可能な挿入物の第2端部部分514と係合している及び/又は重なっている。拡張可能な挿入物510は、第1密度の多孔性メッシュを有する第1部分520と、第2のより高い密度の多孔性メッシュを有する第2部分530と、を含む。より具体的には、多孔性メッシュのウィーブ又はブレードは、拡張可能な挿入物の第1部分520よりも第2部分530においてより高い密度を有する。拡張可能な挿入物510は、第2部分530の少なくとも一部が動脈瘤の頚部上に配置されるように動脈瘤内(又は他の血管異常部)に配置されるように構成されている。その理由は、より高い密度が拡張可能な挿入物への内皮細胞の付着を促進するからである。拡張可能な挿入物510は、(
図8に示すように)第1端部部分512及び/又は第2端部部分514の1つに配置され得る少なくとも1つの放射線不透過性マーカ542を含む。より高い密度の第2部分530が動脈瘤の頚部上に配置されるように拡張可能な挿入物510がその拡張構成において動脈瘤内に配置される場合、少なくとも1つの放射線不透過性マーカ542は動脈瘤の嚢内に動脈瘤の頚部から離れて配置される。
【0055】
[0069]
図9は、医療デバイスの別の実施形態を示す。医療デバイス600は、前の実施形態において上述したものと同じ又は類似の特徴及び機能を含むことができる。例えば、医療デバイス600は、拡張可能な挿入物610と、挿入部又は部材602と、を含む。拡張可能な挿入物610は、動脈瘤の嚢によって規定された容積の少なくとも一部を占有するような大きさにされており、挿入部材602は、拡張可能な挿入物の動脈瘤の嚢内への送達を容易にするように構成されている。拡張可能な挿入物610は拡張構成で示されており、前の実施形態において上述したものと同じ又は類似の手法で、圧縮構成又は折畳構成と拡張構成との間で移行し得る。
【0056】
[0070] 拡張可能な挿入物610は、少なくとも2つのメッシュ層を有する多孔性メッシュのリボン状のストランドを含む。
図9に示すように、拡張可能な挿入物610はほぼ螺旋状又はコイル形状の構造として動脈瘤内に拡張するように構成されている。拡張可能な挿入物610は、頚部における内皮細胞の付着を促進するため、挿入物の少なくとも一部が動脈瘤の頚部上に配置されるように動脈瘤内(又は他の血管異常部)に配置され得る。拡張可能な挿入物610は、
図9に示すように、拡張可能な挿入物610の端部に配置され得る少なくとも1つの放射線不透過性マーカ642を含む。挿入部材602は、放射線不透過性マーカにおいて拡張可能な挿入物に脱着可能に結合され得る。
【0057】
[0071]
図10は、医療デバイスの別の実施形態を示す。医療デバイス700は、医療デバイス600について上述したものと同じ又は類似の特徴及び機能のすべてを含む。例えば、医療デバイス700は、拡張可能な挿入物710と、挿入部又は部材702と、拡張可能な挿入物の端部に結合された放射線不透過性マーカ742と、を含む。拡張可能な挿入物710は、管状又は丸められたブレード構造で形成された多孔性メッシュを含む。丸められたブレード構造は、例えば、前述した平らなリボン状の構造よりも高い柔軟性を拡張可能な挿入物710に付与することができる。
【0058】
[0072]
図11は、医療デバイスの別の実施形態を示す。医療デバイス800は、前の実施形態において上述したものと同じ又は類似の特徴及び機能を含むことができる。例えば、医療デバイス800は、拡張可能な挿入物810と、挿入部又は部材802と、を含む。医療デバイス800は、マイクロカテーテル804を使用して、動脈瘤又は他の血管異常部に送達され得る。拡張可能な挿入物810は、動脈瘤の嚢の容積の少なくとも一部を占有するような大きさであってよく、挿入部材802は、拡張可能な挿入物の、マイクロカテーテル804から動脈瘤の嚢内への送達を容易にするように構成されている。拡張可能な挿入物810は拡張構成で示されており、前の実施形態において上述したものと同じ又は類似の手法で、圧縮構成又は折畳構成と拡張構成との間で移行し得る。
【0059】
[0073] 拡張可能な挿入物810は第1部材820及び第2部材830を含む。第1部材820及び第2部材830は拡張可能な挿入物810の第1端部812及び拡張可能な挿入物の第2端部814において結合されている。第1部材820と第2部材830とは、また、第1端部812と第2端部814との間にある拡張可能な挿入物810の少なくとも1つの中間部において互いに結合されている。第1部材820と第2部材830とは、例えば、放射線不透過性マーカ842、844、846を使用して結合され得る。結合の各位置は、拡張可能な挿入物が動脈瘤内に送達され、動脈瘤の形状に適合するように動脈瘤内において拡張する際、拡張可能な挿入物810が折れ曲がる箇所(folding point)となるように構成されている。したがって、拡張可能な挿入物810は、例えば、動脈瘤の形状に応じて屈曲することも折り曲げることもできない挿入物と比較すると、動脈瘤内においてより高密度に充填することができる。拡張可能な挿入物810の第1部材820及び第2部材830の少なくとも1つは、管状又は丸められたブレード構造で形成された多孔性メッシュを含む。
【0060】
[0074]
図12は医療デバイスの別の実施形態を示す。医療デバイス900は、前の実施形態において上述したものと同じ又は類似の特徴及び機能を含むことができる。例えば、医療デバイス900は、拡張可能な挿入物910と、挿入部又は部材902と、を含む。拡張可能な挿入物910は動脈瘤の嚢を占有するような大きさにされており、挿入部材902は、マイクロカテーテル(
図12に図示せず)から動脈瘤の嚢内への、拡張可能な挿入物の送達を容易にするように構成されている。拡張可能な挿入物910は拡張構成で示されており、前の実施形態において上述したものと同じ又は類似の手法で、圧縮構成又は折畳構成と拡張構成との間で移行し得る。
【0061】
[0075] 拡張可能な挿入物910は、一連の収縮された部分930、932、934、936によって分離された一連の拡張可能な部分920、922、924、926、928を含む。拡張可能な部分920、922、924、926、928は、例えば、球、円盤、放物線等に似た形状を含む、任意の適切な多次元形状に拡張するように構成され得る。さらに、各拡張可能な部分920、922、924、926、928は、別の拡張可能な部分の拡張した形状と異なる拡張した形状を有し得る。
【0062】
[0076]
図12に示すように、拡張可能な挿入物910がその拡張構成にある場合、拡張可能な部分920、922、924、926、928はより多孔であり、かつ密度が低い。その後収縮された部分930、932、934、936。各拡張可能な部分920、922、924、926、928の密度及び/又は多孔率は他の拡張可能な部分920、922、924、926、928とは変えることができ、各拡張可能な部分920、922、924、926、928の密度及び/又は多孔率は各々の拡張可能な部分の長さ及び/又は幅に沿って変えることができる。例えば、第1拡張可能な部分920は、第1収縮部分930の近傍においてより高密度及び/又はより低多孔性とすることができ、第1拡張可能な部分920の中央の、より広い部分においてより低密度及び/又はより多孔性とすることができる。さらに、拡張可能な部分920、922、924、926、928はそれぞれ、拡張可能な挿入物910がその折畳構成にある場合よりも広い幅を有するように構成されており、収縮された部分930、932、934、936はそれぞれ、拡張可能な部分920、922、924、926、928の幅よりも狭い幅を有するように構成されている。したがって、拡張可能な挿入物910は、動脈瘤の形状に適合させるため、収縮された部分930、932、934、936において屈曲する、湾曲する及び/又は折れ曲がるように構成されている。
【0063】
[0077] 拡張可能な挿入物910がその拡張構成にある場合、第1の拡張可能な部分920は、他の拡張可能な部分922、924、926、928の幅よりも大きな幅を有するように構成されている。第1の拡張可能な部分920は、
図12に示されるように、拡張可能な部分920、922、924、926、928の最近位とされ得る。拡張可能な挿入物910がその拡張構成において動脈瘤内に配置されると、第1の拡張可能な部分920は動脈瘤の頚部上に配置されるように構成されている。この手法で、第1の拡張可能な部分920は、動脈瘤の頚部において親血管から動脈瘤への血液の流れを制限するための流れ阻害部として機能するように構成されている。残りの、より遠位の、拡張可能な部分922、924、926、928は動脈瘤を塞栓するため動脈瘤内に充填されるように構成されている。
【0064】
[0078] 拡張可能な挿入物910は、挿入物の第1端部912に結合されている第1放射線不透過性マーカ942と、挿入物の第2端部914に結合されている第2放射線不透過性マーカと、を含む。放射線不透過性マーカ942、944は、拡張可能な挿入物910がその拡張構成において動脈瘤内に配置されると、完全に動脈瘤の嚢内に配置されるように構成されている。
【0065】
[0079]
図13は、医療デバイスの別の実施形態を示す。医療デバイス1000は、前実施形態において上述したものと同じ又は類似の特徴及び機能を含むことができる。例えば、医療デバイス1000は、拡張可能な挿入物1010と、挿入部又は部材1002と、を含む。拡張可能な挿入物1010は動脈瘤の嚢を占有するような大きさにされており、挿入部材1002は、拡張可能な挿入物の、動脈瘤の嚢内への送達を容易にするように構成されている。拡張可能な挿入物1010は拡張構成で示されており、前の実施形態において上述したものと同じ又は類似の手法で、圧縮構成又は折畳構成と拡張構成との間において移行し得る。
【0066】
[0080] 拡張可能な挿入物1010は、第1多孔性部材1020と第2多孔性部材1030と、を含む。第1多孔性部材1020は、拡張可能な挿入物1010がその拡張構成にある場合、多次元形状を有するように構成されている多孔性メッシュを含む。したがって、第1多孔性部材1020は、拡張構成において、折畳構成にある第1多孔性部材の第1幅よりも大きい第2幅を有する。第1多孔性部材1020は、例えば、
図13に示すような放物線、球、円盤等に似た形状を含む任意の適切な多次元形状に拡張するように構成され得る。親血管から動脈瘤への血液の流れを遮断及び/又は停止するために拡張可能な部材1010が動脈瘤の嚢内に配置されると、第1多孔性部材1020は動脈瘤の頚部上に配置されるように構成されている。さらに、第1多孔性部材1020の多孔性メッシュは動脈瘤の頚部における内皮細胞の付着を促進するように構成されており、これにより動脈瘤の頚部上を治癒する。
【0067】
[0081] 第2多孔性部材1030は、拡張可能な挿入物1010がその拡張構成にある場合に多次元形状を有するように構成されている多孔性メッシュを含む。したがって、第2多孔性部材1030は、拡張構成において、折畳構成における第2多孔性部材の第3幅よりも大きい第4幅を有する。第2多孔性部材1030は、例えば、
図13に示すような管、球、円盤、放物線等に似た形状を含む、任意の適切な多次元形状に拡張するように構成され得る。
図13に示される実施形態では、第1多孔性部材1020の第2幅は第2多孔性部材1030の第4幅よりも大きい。第2多孔性部材1030は、第1多孔性部材1020が第2多孔性部材1030と動脈瘤の頚部との間に配置されるように動脈瘤の嚢内に配置されるように構成されている。第2多孔性部材1030は動脈瘤を塞栓するために動脈瘤内に充填されるように構成されている。
【0068】
[0082] 放射線不透過性マーカ1044が第1多孔性部材1020と第2多孔性部材1030との間に配置されており、第1多孔性部材と第2多孔性部材とを結合するために使用され得る。拡張可能な挿入物1010は、放射線不透過性マーカ1044において屈曲する、湾曲する、及び/又は折れ曲がるように構成されており、これにより、拡張可能な挿入物1010を動脈瘤の嚢の形状に適合させることができる。別の放射線不透過性マーカ1042は拡張可能な挿入物1010の端部近傍に配置することができ、挿入部1002を拡張可能な挿入物に結合するために使用され得る。放射線不透過性マーカ1042、1044は、拡張可能な挿入物1010がその拡張構成において動脈瘤内に配置されると、完全に動脈瘤の嚢内に配置されるように構成されている。
【0069】
[0083]
図14及び
図15は、医療デバイスの別の実施形態を示す。医療デバイス1100は、前実施形態において上述したものと同じ又は類似の特徴及び機能を含むことができる。例えば、医療デバイス1100は、第1多孔性部材1120と、第2多孔性部材1130と、第1多孔性部材1120及び第2多孔性部材1130に脱着可能に結合可能な挿入部又は部材1102と、を含む。
【0070】
[0084] 第1多孔性部材1120は第1端部1122と第2端部1124とを有する。
図14に示すように、第1多孔性部材1120は血管を通じた挿入のための折畳構成を有する。その折畳構成において、第1多孔性部材1120は、実質的に細長く、第1長さを有する。
図15に示すように、第1多孔性部材1120は動脈瘤の嚢を占有するための拡張構成を有する。第1多孔性部材1120がその拡張構成にある場合、それは3次元形状を有しており、開いた内部領域1126を規定する。第1多孔性部材1120は任意の適切な3次元形状を有し得る。例えば、第1多孔性部材1120は、
図15に示すように、ほぼ球形の形状に湾曲するように構成され得る。さらに、その拡張構成において、第1多孔性部材1120は、第2セグメントと重なるように構成された第1セグメントを含み、これは、例えば、拡張可能な挿入物210及び310について上述したものと多くの点において類似し得る。例えば、第1多孔性部材1120は、第1多孔性部材1120の高密度部分を形成するため、多孔性メッシュの第2セグメントと重なるように構成された第1セグメントを有するメッシュを含み得る。
【0071】
[0085] 第2多孔性部材1130は第1端部1132と第2端部1134とを有する。第2多孔性部材1130は、血管を通じて挿入するための折り畳まれた第1構成(
図14又は
図15に図示せず)を有する。その折畳構成において、第2多孔性部材1130は、実質的に細長く、第1多孔性部材の第1長さより短い第2長さを有し、かつ第1容積を占有するように構成されている。
図14及び
図15に示すように、第2多孔性部材1130は、動脈瘤の嚢の容積の少なくとも一部を占有するための、拡張した第2構成を有する。第2多孔性部材1130は、その拡張構成にある場合、3次元形状を有しており、第1容積よりも大きい第2容積を占有するように構成されている。第2多孔性部材1130は任意の適切な3次元形状を有し得る。例えば、
図14及び
図15に示すように、第2多孔性部材1130は、ほぼボール(例えば、球形、丸形、長円形等)形状に拡張するように構成され得る。拡張構成において、第2多孔性部材1130は、第1多孔性部材1120の多孔率と同じ多孔率を有してもよく又は異なる多孔率を有してもよい。第2多孔性部材1130は、第1多孔性部材及び第2多孔性部材のそれぞれが展開構成又は拡張構成にある場合、第1多孔性部材1120の内部領域1126に配置されるように構成されている。
【0072】
[0086]
図14及び
図15に示す実施形態では、第2多孔性部材1130は第1多孔性部材1120に結合されている。特に、第1多孔性部材1120の第1端部1122は第2多孔性部材1130の第1端部1132に結合されている。第1多孔性部材1120及び第2多孔性部材1130の少なくとも1つは放射線不透過性マーカを含む。
図14に示すように、第1放射線不透過性マーカ1142は、第1多孔性部材と第2多孔性部材とを互いに結合するために第1多孔性部材1120及び第2多孔性部材1130の第1端部1122、1132に配置され得る。第2放射線不透過性マーカ1144は第2多孔性部材1130の第2端部1134に配置され得る。第1多孔性部材1120及び第2多孔性部材1130がそれら各々の拡張構成にある場合、第2放射線不透過性マーカ1144は、第1多孔性部材1120によって規定された内部領域内に配置されている。
【0073】
[0087] 使用時、第1多孔性部材1120及び第2多孔性部材1130並びに第1放射線不透過性マーカ1142及び第2放射線不透過性マーカ1144は完全に動脈瘤内に配置されている。まず、第2多孔性部材1130が動脈瘤内に挿入され、その中においてその拡張構成をとり得る。その後、第1多孔性部材がその拡張構成に移行する際、第1多孔性部材が湾曲する、巻く又はそうでなければ第2多孔性部材1130の周りを包むように、第1多孔性部材1120が動脈瘤内に挿入され得る。第1多孔性部材1120は、第1多孔性部材の一部が動脈瘤の頚部上に配置されるように動脈瘤内に配置されるよう構成されている。例えば、第1セグメントが第2セグメントに重なっている第1多孔性部材1120の高密度部分は、動脈瘤頚部における内皮細胞の付着を促進するため動脈瘤の頚部上に配置され得る。第2多孔性部材1130は、細胞付着及び/又は凝塊形成のため動脈瘤の嚢内に追加の多孔性メッシュを提供することによって動脈瘤を塞栓させる。したがって、動脈瘤を通る血流がさらに阻止されるように第2多孔性部材が動脈瘤の嚢の容積の一部を占有する。
【0074】
[0088] 医療デバイス1100は、別個の第1多孔性部材1120及び第2多孔性部材1130それぞれを含むが、他の実施形態においては、第1多孔性部材及び第2多孔性部材は、異なるように構成されることができる。例えば、
図16を参照すると、医療デバイス1200の一実施形態が示される。医療デバイス1200は、医療デバイス1100又は他の前実施形態について上述したものと同じ又は類似の特徴及び機能を含むことができる。例えば、医療デバイス1200は、第1多孔性部材1220と、第2多孔性部材1230と、第1多孔性部材及び第2多孔性部材に脱着可能に結合可能な挿入部又は部材(
図16に図示せず)と、を含む。第1多孔性部材1220及び第2多孔性部材1230のそれぞれは、形態及び機能において、上述した第1多孔性部材1120及び第2多孔性部材1130それぞれに類似し得る。
【0075】
[0089]
図16に示す実施形態では、しかしながら、第2多孔性部材1230は第1多孔性部材1220と一体的に構成されている。
図16では、第1多孔性部材1220及び第2多孔性部材1230は拡張構成で示されるが、単に説明目的のため、第2多孔性部材1230は第1多孔性部材1220から離間して示されていることに留意されたい。使用時、それら各々の展開された又は拡張構成において、第2多孔性部材1230は、医療デバイス1100について
図15に示したものと類似の手法で第1多孔性部材1220によって規定された内部領域1226内に配置されている。さらに、医療デバイス1200は2つの放射線不透過性マーカ1242、1244を含む。第1放射線不透過性マーカ1242は第1多孔性部材1220の多孔性メッシュの端部に配置されており、第2放射線不透過性マーカ1244は第2多孔性部材1230の多孔性メッシュの反対端に配置されている。
【0076】
[0090] いくつかの実施形態では、医療デバイスは、拡張構成にある場合、実質的に連続的な外部表面を有する拡張可能な挿入物を含む。
図17A及び
図17Bを参照すると、一実施形態による医療デバイス1300の一部が折畳構成及び拡張構成のそれぞれにおいて示される。医療デバイス1300は、他の実施形態について本明細書中に記載されたものと同じ又は類似の特徴及び機能を含むことができる。例えば、医療デバイス1300は、(例えば、血管を通じて送達するための)折畳構成から(例えば、動脈瘤内おける配置のための)拡張構成に移行するように構成された拡張可能な挿入物1310を含み得る。拡張可能な挿入物1310は、少なくとも第1部分1320及び第2部分1330を含み、かつさらなる部分1340、1350、1360を含み得る。拡張可能な挿入物1310がその拡張構成にある場合、拡張可能な挿入物1310は、部分1320、1330、1340、1350、1360の少なくとも2つの縁端が重なるように、実質的に連続的な外部表面を有する3次元形状(例えば、ほぼ球形の形状)を有する。例えば、
図17Bに示すように、第1部分1320の縁端と第2部分1330の縁端は重なることができる。言い換えれば、拡張可能な挿入物1310は、拡張可能な挿入物1310の部分1320、1330、1340、1350、1360の縁端間に開口部又は空間がほとんど又は全く残らないように拡張構成に移行する。
【0077】
[0091]
図18は、一実施形態により本明細書中に記載される、動脈瘤への血流を遮断し、動脈瘤の治癒を促進するために医療デバイスを使用する方法80を示すフローチャートである。方法80では、82において、カテーテルを血管の動脈瘤の近傍に配置する工程を含む。例えば、カテーテルの遠位部は血管から動脈瘤への開口部の近傍に配置され得る。カテーテルは、動脈瘤への送達のため医療デバイスの少なくとも一部を受容するように構成され得る細長い内腔を規定する。
【0078】
[0092] 84では、任意選択で、医療デバイスの拡張可能な挿入物がカテーテル内に挿入される。拡張可能な挿入物は第1部分と第2部分とを含み、そのそれぞれが、第1(例えば、挿入又は折畳)構成及び第2(例えば、展開又は拡張)構成を有する。第2構成においては、第1部分が第2部分に実質的に重なっている。第1部分及び第2部分のそれぞれが、また、多孔性メッシュを含む。多孔性メッシュは、第1構成にある場合は第1多孔率を有し、第2構成にある場合は第2多孔率を有する。第2多孔率は、例えば、第1多孔率よりも高くされ得る。拡張可能な挿入物は、カテーテル内に挿入される前、その第2構成において付勢され得る。拡張可能な挿入物がカテーテルの内腔に配置される際、拡張可能な挿入物はその第1構成にある。拡張可能な挿入物は、カテーテルが血管内に配置された後、カテーテルが血管内に導入される前、又はその間の任意の時にカテーテル内に挿入され得る。
【0079】
[0093] 86では、拡張可能な挿入物が、任意選択で、動脈瘤と流体連通している血管壁の開口部に対して配向される。本明細書中により詳細に記載されるように、この手法において、拡張可能な挿入物がカテーテルから出されると、拡張可能な挿入物は動脈瘤の嚢に入るように配向される。
【0080】
[0094] 88では、拡張可能な挿入物はカテーテル内部の第1位置からカテーテル外部の第2位置に移動する。例えば、拡張可能な挿入物は、カテーテルの内腔内部の第1位置から、カテーテル外部の血管又は動脈瘤の少なくとも1つにおける第2位置に移動し得る。上記のように、拡張可能な挿入物は、カテーテル内部のその第1位置にある場合、その第1構成にある。カテーテルの拘束物の外部のその第2位置にある場合、拡張可能な挿入物はその第2構成に移行する。拡張可能な挿入物の第2部分は、第1部分がその第2構成に移行する前に、その第2構成に移行し得る。それら各々の第2構成では、第2部分は第1部分によって規定された内部領域に配置され得る。例えば、第2部分は、それが多次元の拡張した形状を有するその第2構成に移行することができ、その後、第1部分は、それが第2部分の周りにおいて多次元の拡張した形状に湾曲するその第2構成に移行し得る。
【0081】
[0095] 医療デバイスは、拡張可能な挿入物をその第1位置からその第2位置に移動させるように構成された挿入部を含み得る。挿入部は、例えば、拡張可能な挿入物の第1部分又は第2部分の1つに結合されたワイヤであってよい。90では、挿入部は、任意選択で、拡張可能な挿入物から取り外される。例えば、挿入部は、拡張可能な挿入物が動脈瘤内に挿入された後などに拡張可能な挿入物の近位端から取り外すことができる。92では、挿入部は、任意選択で、カテーテルを通じて血管から除去される。
【0082】
[0096] 拡張可能な挿入物が動脈瘤内又は他の標的血管異常部に配置された後、拡張可能な挿入物が動脈瘤内に適切に配置されたかどうかを判断するために患者の体の動脈瘤を含む部分が(例えば、X線又は他の適切な撮像技術を使用して)画像化され得る。例えば、拡張可能な挿入物はX線を使用して視認可能な1つ又は複数の放射線不透過性マーカを含み得る。別の例においては、処置後の内皮細胞の付着及び/又は動脈瘤の頚部の損傷部修復の成功を判断するため、拡張可能な挿入物の植え込み後の所望の時間に、患者に放射線不透過性色素を静脈内に注入することができる。放射線不透過性色素が動脈瘤の近傍にある親血管内において視認できるが、動脈瘤それ自体内において視認できなければ、拡張可能な挿入物は正常に動作し動脈瘤内へのさらなる血流を妨げている。放射線不透過性色素が動脈瘤内に視認できれば、親血管からの血流は完全に妨げられておらず、保健医療医により追加の治療オプションが考慮され得る。
【0083】
[0097] 本明細書中に記載される種々のデバイスは、例えば、延伸充填管DFT(登録商標)を含む、定義された目的に適した任意の材料で作製することができる。DFTはワイヤ、ケーブル又はリボンとして入手可能である。DFTは、2つ以上の材料の所望の物理的及び機械的特性を、拡張可能な挿入物に使用され得る単一のワイヤ又はリボンシステムに組み合わせるために開発された金属と金属との複合材料(metal-to-metal composite)である。
【0084】
[0098] ブレード又はメッシュ(例えば、拡張可能な挿入物)用のフィラメント又はワイヤには、例えば、MP35N、ステンレス鋼、ニチノール、コバルトクロム、チタン、白金、タンタル、タングステン又はそれらの合金、もしくはポリエステル、ポリエチレン(PET)、ダクロン(Dacron)、PEEK、ベクトラン(vectron)などの材料のフィラメント及び縫合材料を含み得る。各ストランドは、例えば、約.002”の、.0005”〜.010”の直径を有してもよい。いくつかの実施形態では、メッシュ又はブレードの外部材料は体温において超弾性であるニチノールで形成することができ、内部材料は放射線不透過性とすることができる。または、代わりとして、さらなる放射線不透過性を提供するためにブレードに白金ワイヤを含んでもよい。
【0085】
[0099] 適切な材料は、それらの電気陽性度に基づき選択され得る。例えば、拡張可能な挿入物には、以下の表1に示すチタン、タングステン又は別の材料又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。使用時、拡張した拡張可能な挿入物の正に帯電した材料は血管異常内及び血液中の領域に電気的に良好な領域を形成し、血液、体液又は組織を含む異常はその後内皮化を生じさせるために予め処置される。
【0087】
[0100] いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される拡張可能な挿入物は、管状ブレード又は(メッシュ、ウィーブ又は繊維を形成する)織られたフィラメントのシートで形成され得る。フィラメントは、ワイヤ又は高分子又は他の適切な材料とされ得る。拡張可能な挿入物は編組ワイヤ(例えば、NiTiワイヤ)とすることができ、かつワイヤタイプ及びワイヤサイズを混合したものを含むことができる(例えば、NiTiワイヤと白金ワイヤ、及び例えば0.00125”ワイヤで編まれた0.001”ワイヤ)。拡張可能な挿入物は、また、高分子繊維で作製することも、高分子繊維と金属ワイヤとを共に混合したもので形成されることもできる。
【0088】
[0101] 拡張可能な挿入物のメッシュは、編組、ウィービング、溶接又はレーザ切断を含むが、それらに限定されない種々の異なる形態によって形成され得る。メッシュは、例えば、約0.5cm〜約70cmの範囲の作動長さを有し得る。いくつかの実施形態では、メッシュは30cmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、メッシュは約0.5〜60mmの範囲の直径を有し得る。いくつかの実施形態では、メッシュは、拡張した場合、約10mm以下の直径を有し得る(例えば、外部多孔性部材又は部分については約9.5mm、内部多孔性部材又は部分については約8mm)。メッシュは、単一の密度を有し得るか、2つ以上の密度を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、可変密度の数は約2〜約10の範囲とされ得る。例えば、第1密度は約100PPIとすることができ、第2密度は約40PPIとすることができる(PPI=ピックス/インチ)。ブレードパターンは任意の適切なパターン、例えば、1目1本取り(one-over-one)構成又は1目2本取り(two-over-one)構成等とすることができる。メッシュのストランド数は約4ストランド〜約288ストランドの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、ストランド数は約48ストランドである。ブレードには4、8、16、24、32、64、72、96、128、144、192及び288の公倍数のストランドが商用編組機を使用して入手可能である。
【0089】
[0102] 単一の拡張可能な挿入物は同じサイズのワイヤを含むことも、2つの異なるワイヤサイズの組み合わせを含むこともできる。例えば、拡張可能な挿入物は、24の.001”ワイヤ及び24の.0005”ワイヤを有し得る。より太いワイヤは拡張可能な挿入物にさらなる強度を付与することができ、より細いワイヤは密度を提供することができる。加えて、拡張可能な挿入物のメッシュを作製するためにワイヤ数、ワイヤの直径、ブレード角度又は横糸打ち込み数/インチの任意の組み合わせを使用することができる。
【0090】
結論
[0103] 本発明の種々の実施形態を上述したが、それらは単に例として示したものにすぎず、限定的でないものと理解すべきである。上述した方法及び工程が特定の順序で起こる特定の事象を示す場合、本開示の利益を有する当業者は、特定の工程の順序は変更してもよく、そのような変更は本発明の変形形態に従うものであることを理解するだろう。さらに、特定の工程は、可能である場合は並列工程で同時に実施してもよく、上述のように順次実施してもよい。例えば、拡張可能な挿入物は拡張可能なカテーテルを動脈瘤の近傍に配置するのと同時にカテーテル内に挿入され得る。
【0091】
[0104] 実施形態を特に示し、かつ記載したが、形態及び細部における種々の変更を実施できることは理解されよう。例えば、特定の特徴及び/又は構成要素の組み合わせを有する種々の実施形態を記載したが、本明細書中に記載される任意の実施形態の任意の特徴及び/又は構成要素の任意の組み合わせ又は二次組み合わせを有する他の実施形態も可能である。種々の構成要素の特定の構成もまた変更することができる。
【0092】
[0105] 例えば、1つ又は2つの多孔性部材又は部分(例えば、多孔性部材1020、1030)を含む実施形態(例えば、医療デバイス1010)を本明細書中に示し、かつ記載するが、他の実施形態においては、任意の適切な数の多孔性部材又は部分を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、医療デバイス1010は、また、第1端部及び第2端部を有しており、第1多孔性部材1020及び第2多孔性部材1030の少なくとも1つに結合されている第3多孔性部材(図示せず)を含むことができる。第1多孔性部材1020及び第2多孔性部材1030と同様、第3多孔性部材は血管を通じて挿入するための折畳構成と動脈瘤の嚢を占有するための拡張構成とを有し得る。第3多孔性部材は実質的に細長くすることができ、かつその拡張構成において、その折畳構成におけるその幅よりも大きな幅を有する。
【0093】
[0106] 別の例では、例示して記載した医療デバイスの放射線不透過性マーカが医療デバイスの拡張可能な挿入物に異なるように配置され得る。さらに、種々の構成要素のサイズ及び特定の形状は示した実施形態とは異なり得るが、なお本明細書中に記載される機能を提供する。