(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087291
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】脱毛ヘッドのための新規毛抜配置
(51)【国際特許分類】
A45D 26/00 20060101AFI20170220BHJP
【FI】
A45D26/00 F
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-546809(P2013-546809)
(86)(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公表番号】特表2014-501152(P2014-501152A)
(43)【公表日】2014年1月20日
(86)【国際出願番号】IB2011055975
(87)【国際公開番号】WO2012090160
(87)【国際公開日】20120705
【審査請求日】2013年6月27日
【審判番号】不服2016-61(P2016-61/J1)
【審判請求日】2016年1月4日
(31)【優先権主張番号】10016124.9
(32)【優先日】2010年12月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508117514
【氏名又は名称】ブラウン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】マティアス、フイジンガ
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ、クルーグ
(72)【発明者】
【氏名】ユーディット、フォン、ダーレン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル、ノデーラー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン、ジンドリンガー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、シュタイナー
【合議体】
【審判長】
内藤 真徳
【審判官】
宮下 浩次
【審判官】
平瀬 知明
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−514320(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/056923(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にヒトの皮膚の毛髪を引き抜くための、脱毛装置(1)のための脱毛ヘッド(3)であって、回転軸(20)回りに回転することができ、かつ、前記毛髪を掴み引き抜くための多数の引き抜きユニットを有する回転シリンダー(5)を有し、それぞれの引き抜きユニットが、第1のクランプ要素(11)と、第2のクランプ要素(12)と、第3のクランプ要素(13)とを有し、前記第1のクランプ要素(11)が前記第2のクランプ要素(12)と共に、第1の閉鎖可能な引き抜き間隙(14)を形成し、前記第2のクランプ要素(12)が前記第3のクランプ要素(13)と共に、第2の閉鎖可能な引き抜き間隙(16)を形成し、前記第1のクランプ要素及び前記第2のクランプ要素は、可動的に取り付けられ、かつ、前記第1の引き抜き間隙及び前記第2の引き抜き間隙を閉じるために、作動要素によって一緒に作動され得て、前記第1のクランプ要素及び前記第2のクランプ要素は、同じ方向に移動し、前記第3のクランプ要素(13)は、前記第1のクランプ要素(11)及び前記第2のクランプ要素(12)が前記第1の引き抜き間隙及び前記第2の引き抜き間隙を閉じる方向に関して固定され、
複数の前記第1のクランプ要素(11)が共通の支持体(34)の上に配置されており、及び/又は、複数の前記第2クランプ要素(12)が共通の前記支持体(34)の上に配置され、
前記第2のクランプ要素(12)及び/又は前記第3のクランプ要素(13)は、前記支持体(34)の円周を超えて互いに軸方向にオフセットして配置される、
ことを特徴とする、脱毛装置(1)のための脱毛ヘッド(3)。
【請求項2】
前記第1のクランプ要素(11)及び前記第2のクランプ要素(12)は、単一の構成要素として設計されている、請求項1に記載の脱毛装置(1)のための脱毛ヘッド(3)。
【請求項3】
前記回転シリンダー(5)の前記回転軸(20)は、前記第1のクランプ要素(11)及び/又は前記第2のクランプ要素(12)の外側に位置決めされている、請求項1または2に記載の脱毛装置(1)のための脱毛ヘッド(3)。
【請求項4】
前記作動要素から独立して前記第1のクランプ要素(11)及び前記第2のクランプ要素(12)に作用する第1のバネ要素(26)が、前記第1の引き抜き間隙(14)を開くために設けられており、前記作動要素から独立して前記第2のクランプ要素(11)及び前記第3のクランプ要素(13)に作用する第2のバネ要素(28)が、前記第2の引き抜き間隙(16)を開くために設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の脱毛装置(1)のための脱毛ヘッド(3)。
【請求項5】
前記バネ要素(26、28)は、つる巻きバネとして設計されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の脱毛ヘッド(3)。
【請求項6】
前記クランプ要素は、プラスチックで作製されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の脱毛ヘッド(3)。
【請求項7】
手持ち式のハウジング(2)及びモータ駆動脱毛ヘッド(3)を有し、前記脱毛ヘッド(3)が請求項1〜6のいずれか一項によって設計されていることを特徴とする、特にヒトの皮膚の毛髪を引き抜くための、脱毛装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にヒトの皮膚の毛髪を引き抜くための、脱毛装置のモータ駆動脱毛ヘッドに関する。本発明は更に、脱毛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脱毛装置は、毛髪を、可能な場合、その毛根を含めて除去するのに役立つ。既知の脱毛装置は、例えば、毛髪が隣接するクランプ要素の間に掴持され、皮膚に対してクランプ要素の運動によって引き抜かれるような様式で設計されている。これは典型的に、クランプ要素が、毛髪を捕獲するためにいずれの場合にも所定の位置で閉じられ、掴持された毛髪と共に閉じられた状態で別の所定の位置に移動させられ、次に、引き抜かれた毛髪を解放するために再び開かれることを必要とする。この運動のパターンを実行するために、クランプ要素は、例えば、電動モータによって回転するように設定される回転シリンダー上に配置され得る。クランプ要素の開閉は、様々な様式で設計され得る制御機構によって制御される。概して、この制御機構は、クランプ要素が閉じられ、又は開かれるように、クランプ要素に作用する作動要素を有する。
【0003】
この形の回転シリンダーは、例えば、欧州特許第547 386 A号で既知である。脱毛装置としてそこで開示されている回転シリンダーは、可動クランプ要素が作動要素と連結されるような様式で設計されている。このクランプ要素は、引き抜き運動を実行するために互いに向かって移動し得る。この工程では、1つのクランプ要素がいずれの場合にも、左及び右から中心のクランプ要素に向かって移動する。
【0004】
更に、脱毛装置は、作動要素がロッドの形態で設計され、回転シリンダーのシャフトの周囲に配置される、欧州特許第1 203 544 A1号で既知である。ロッドは全て、クランプ要素が開かれた状態に向かう方向にロッドによって事前にプレテンションされるような様式で単一の戻しバネに連結される。クランプ要素を閉じるために、ロッドは、クランプ要素が戻しバネのバネ力を乗り越えることによって軸方向に移動させられるような様式で作動される。これらは、ロッドの作動されていない状態の間、戻しバネの作用によって移動させられ、クランプ要素が結果として開かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第547 386 A号
【特許文献2】欧州特許第1 203 544 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、可能な限り完全かつ無痛の脱毛工程を実現するために、関連する時間及び努力の消費を適度に保ちつつ、脱毛装置に数多くのクランプ要素を有することである。そのようにすることで、脱毛は、濃い発毛及び薄い発毛を有する皮膚の両方に有効であるべきである。
【0007】
請求項1に記載の特徴の組み合わせによって、この目的が実現される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、特にヒトの皮膚の毛髪を引き抜くための、脱毛装置(1)のための脱毛ヘッド(3)であって、回転軸(20)回りに回転することができ、かつ、毛髪を掴み引き抜くための多数の引き抜きユニットを有する回転シリンダー(5)を有し、それぞれの引き抜きユニットは、第1のクランプ要素(11)と、第2のクランプ要素(12)と、第3のクランプ要素(13)とを有し、第1のクランプ要素(11)は第2のクランプ要素(12)と共に、第1の閉鎖可能な引き抜き間隙(14)を形成し、第2のクランプ要素(12)は第3のクランプ要素(13)と共に、第2の閉鎖可能な引き抜き間隙(16)を形成し、第1のクランプ要素及び第2のクランプ要素は、可動的に取り付けられ、かつ、第1の引き抜き間隙及び第2の引き抜き間隙を閉じるために、作動要素によって一緒に作動され得て、第1のクランプ要素及び第2のクランプ要素は、同じ方向に移動することを特徴とする、脱毛装置(1)のための脱毛ヘッド(3)に関する。
【0009】
特にヒトの皮膚の毛髪を引き抜くための脱毛装置の、本発明による脱毛ヘッドは、回転軸回りに回転することができる回転シリンダーを有する。多数の引き抜き間隙が、毛髪を引き抜くための回転シリンダー上に設けられる。本発明によれば、第2の閉鎖可能な引き抜き間隙が、第1の閉鎖可能な引き抜き間隙に隣接して見出される。第1の閉鎖可能な引き抜き間隙は、第1のクランプ要素及び第2のクランプ要素によって決定される。これらのクランプ要素は、したがって、この工程では引き抜き間隙を閉じ、任意に少なくとも1つの毛髪を引き抜くために、互いに向かって移動することができる。第2のクランプ要素は、類似の様式で第3のクランプ要素と共に、第2の閉鎖可能な引き抜き間隙を形成することができる。
【0010】
本発明によれば、第1のクランプ要素及び第2のクランプ要素は、可動的に取り付けられる。第1のクランプ要素及び第2のクランプ要素は、作動要素によって一緒に作動され得るべきである。これは、第1の引き抜き間隙及び第2の引き抜き間隙を閉じるのに役立つ。この目的のため、作動要素は、例えば、第1のクランプ要素に圧力を加えることができ、それによって、それを第2のクランプ要素に向かって移動させる。これは、第1の引き抜き間隙を閉じさせる。作動要素は、第2のクランプ要素がまた、第3のクランプ要素に向かって移動されるような様式で移動し続けることができ、第2の引き抜き間隙もまた、本質的に連続運動で同じ作動要素によって、第1の引き抜き間隙の後に又は第1の引き抜き間隙と同時に、この様式で閉じられる。
【0011】
本発明によれば、第1のクランプ要素及び第2のクランプ要素は、第1の引き抜き間隙及び第2の引き抜き間隙を閉じる工程の間、同じ方向に移動するものである。同じ方向への第1のクランプ要素及び第2のクランプ要素の運動は、多くの利点を有する。1つには、この運動の順序は、非常に小型であるように回転シリンダーを設計することを可能にする。結果として、回転シリンダーは、小型の脱毛装置が設けられ得るように、小さな全体寸法を有し得る。更に、いくつかのクランプ要素及びそれ故のいくつかの引き抜き間隙は、一定寸法の回転シリンダー上に位置し得る。
【0012】
別の態様では、引き抜き間隙は概して、必要に応じてたびたび閉じられ、再び開かれることができ、クランプ要素は、開口工程の間、閉じる運動の方向と反対方向に移動する。この開口運動は、クランプ要素が十分に大きな空隙に開くことができることを必要とする。この空隙が2つの方向に開口運動に利用される必要があるとき、対応する回転シリンダーは、本発明による開口運動と同様に小型であることができず、即ち、これほど多くの引き抜き間隙を、一定寸法の回転シリンダー上に設けることができない。
【0013】
更に、同じ方向での第1のクランプ要素と第2のクランプ要素との複合運動は、この運動の種類、又は特に有効なクランプ力を互いに連結することを可能にする。第1のクランプ要素及び第2のクランプ要素が共通の作動要素によって同じ方向に移動されるとき、回転シリンダーは、毛髪がいくつかの引き抜き間隙にねじ込まれると、クランプ力の自己増幅がもたらされる様式で設計され得る。例えば、いくつかの毛髪が第1の引き抜き間隙にねじ込まれる場合、第1のクランプ要素と第2のクランプ要素との間の空隙は、部分的にのみ閉じる。これは、作動要素の所定の運動距離によって、第2のクランプ要素が第3のクランプ要素に対して増大した圧力で押し付けられる効果を有する。特に濃い発毛を有する皮膚の領域を脱毛するとき、これは、両方の引き抜き間隙が特に高いクランプ力を及ぼす効果を有する。この様式で、非常に濃い発毛を有する皮膚の領域からの毛髪が特に効率的に除去される。これはまた、装置を特に濃い発毛を有する皮膚の領域に有効にし、生じる引き抜き力の自動調整の種類を処理されるべき皮膚の領域に割り当てる。
【0014】
第1のクランプ要素及び第2のクランプ要素が単一の構成要素として設計されるときに有利である。1つには、クランプ要素は、この様式で軽量にされ、不活性質量がほとんどなく、迅速に互いに向かって移動することができる。更に、記載されたクランプ力の自己増幅は、残りのクランプ要素から独立して、異なる隣接する引き抜き間隙に対して別々に開発することができる。
【0015】
第3のクランプ要素が定置式であるときにもまた有利である。この様式で、第3のクランプ要素は、第1のクランプ要素及び/又は第2のクランプ要素によってもたらされる高圧に耐えることができる。更に、記載されたクランプ力の自己増幅効果は次に、第1の引き抜き間隙及び第2の引き抜き間隙内の毛髪の数に大部分依存するようになる。更に、ほとんどの部分が可動的ではないデバイスは、機械的により単純であり、したがって生産するための費用効率もより高い。
【0016】
更に、それは、作動要素から独立して第1のクランプ要素及び第2のクランプ要素に作用する第1のバネ要素が、第1の引き抜き間隙を開くための設けられるときに有利である。あるいは又は加えて、作動要素から独立して第2のクランプ要素及び第3の要素に作用する第2のバネ要素は、第2の引き抜き間隙を開くためにも設けられる。これに関連するバネ要素は、つる巻きバネの形態で有利に設計され得る。つる巻きバネは、長い耐用年数を有し、動的に迅速な運動のサイクルでさえ、適切なバネ力をもたらす。
【0017】
本発明は、第1のクランプ要素の選択された配置によって、利用可能な空隙が非常に良好に利用され得て、結果として、第1のクランプ要素及び第2のクランプ要素の多くの対が、本発明による脱毛ヘッド内に位置することができる、利点を有する。多くのクランプ要素の対は、脱毛工程全体が比較的無痛工程であるように、ほぼ連続的な毛髪の引き抜きを可能にする。バネ要素が作動要素から独立して第1のクランプ要素に作用するため、大きな開口幅が非常に迅速に実現され得る。これは順に、非常に徹底的な脱毛を可能にする。
【0018】
この脱毛ヘッドでは、回転シリンダーの回転軸は、延在することができ、本発明に関連して、好ましくは第1のクランプ要素の外側に延在する。これの1つの利点は、回転シリンダーの回転軸に最大限に延在する第1のクランプ要素はそれ故に、比較的小さく、したがって低質量を有することである。これは、その運動力学に良い効果をもたらし、比較的低い騒音発生を有する本発明による脱毛ヘッドの操作を可能にする。
【0019】
回転シリンダーの改善された機械的構造、特にクランプ力の自己増幅効果もまた、本発明に関連して、クランプ要素の一部、又は更にはプラスチックからクランプ要素の全てを生産することを可能にする。
【0020】
第3のクランプ要素は、回転シリンダー内に強固に配置され得る。結果として、この機械的構造は、単純化され、小さな全体寸法のみが必要とされる。具体的には、いくつかの第2のクランプ要素は、いずれの場合にも共通の支持体の上に配置される。この場合では、第2のクランプ要素が支持体の円周を超えて互いに軸方向にオフセットして分配されるときに、特に有利である。連続的な引き抜き領域は、引き抜き工程が高速で連続的に生じる、この様式で実行され得る。作動要素は好ましくは、軸方向に第1のクランプ要素を突くロッドの形態で設計される。そのようなロッドは、非常に費用効率良く生産され得て、第1のクランプ要素の作動のための非常に単純かつ頑丈な機械的構造を可能にする。
【0021】
第1のクランプ要素及び第2のクランプ要素は、小さな寸法にもかかわらず高い機械的荷重を吸収することができるように、金属で製造される可能性があり、その硬度により、確実に毛髪を掴持することができる。しかしながら、第1のクランプ要素及び第2のクランプ要素は好ましくは、プラスチックで製造される。この様式で、非常に費用効率が高い生産が可能である。加えて、本発明による脱毛ヘッドの重量は、比較的低く保たれ得る。更なる利点は、第1のクランプ要素のストライキングの間、騒音及び振動減衰にある。
【0022】
加えて、本発明は、特にヒトの皮膚の毛髪を引き抜くための脱毛装置に関し、本発明による手持ち式のハウジング及び脱毛ヘッドを備える。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下の図面に示される例示の実施形態によって、本発明が更に詳細に説明される。
【
図1】典型的な脱毛装置であるが、本発明に従って細部まで設計されていない、例示の実施形態の側面図。
【
図2】本発明による回転シリンダーを介する断面図。
【
図6】開いた引き抜き間隙で示される、クランプ要素の操作様式の概略図。
【
図7】閉じた引き抜き間隙で示される、クランプ要素の操作様式の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、一般的なタイプの典型であるが、本発明に従って細部まで設計されていない、脱毛装置1の例示の実施形態の側面図を示す。脱毛装置1は、ハウジング2を有する。このハウジングは典型的に、モータ及び電源アダプタを有する。加えて、それは、歯車ユニットも有し得る。ハウジング2の上に配置されているのは、脱毛ヘッド3である。この装置の更なる主要構成要素はスイッチ4であり、このハウジングの前面の中央に配置される。このスイッチで、回転シリンダー5が次に、脱毛工程を実施するために発動され得る。回転シリンダー5は、例えばその外側壁上に、適切な駆動要素を介して(場合により歯車ユニットも介して)モータに連結され得る歯車を有し得る。この描写された回転シリンダーは、多数の引き抜きユニットを有するが、そのそれぞれが、1つの閉鎖可能な引き抜き間隙のみ及び2つのクランプ要素のみを有しており、したがって本発明に従って設計されていない。しかしながら、この描写された回転シリンダー5は、この回転シリンダーが数多くの従来の脱毛装置及び脱毛ヘッドと適合するため、本発明による回転シリンダーと容易に置き換えられ得る。
【0025】
図2は、本発明による回転シリンダー5を介する断面図を示す。まず初めに、この回転シリンダーは、周囲面10を有する。第1のクランプ要素11、隣接する第2のクランプ要素12、及び隣接する第3のクランプ要素13は、周囲面10と本質的にぴったり重なる。第1の引き抜き間隙14は、第1のクランプ要素11と第2のクランプ要素12との間に設けられる。第2の引き抜き間隙16は、第2のクランプ要素12と第3のクランプ要素13との間に設けられる。この3つのクランプ要素がこの囲まれた2つの引き抜き間隙と共に、毛髪を掴み引き抜くための引き抜きユニットを形成する。回転シリンダー5は、その上に配置される多数のそのような引き抜きユニットを有する。それらの全ては、周囲面10と本質的にぴったり重なる。それらは、軸方向及び/又は半径方向にオフセットして配置され得る、及び配置されることが好ましい。
【0026】
回転シリンダー5は、2つの横方向の側面18によって横方向に隣接する。回転シリンダー5は、中心軸20を囲む。プッシュロッド22は、側面を通じて回転シリンダー5の中に横方向に突出する。プッシュロッド22は、作動され、即ち、回転シリンダー5の中により深く押し込められ得るプッシャヘッド24を有する。
【0027】
プッシュロッド22の形態の作動要素に押し込むと同時に、クランプ要素は、引き抜き間隙が閉じるように、互いに向かって移動される。バネは、引き抜き間隙の開口を実行し、プッシュロッド22の復帰運動も実行する。第1の引き抜き間隙14は、第1のバネ要素26によって再び開かれ得る。第2の引き抜き間隙16は、第2のバネ要素28によって再び開かれ得る。バネ要素は、例えば、第1のつる巻きバネ及び第2のつる巻きバネの形態で設計され得る。
【0028】
有利な実施形態では、回転シリンダー5は、重ねて配置されている多数のディスクからなる。
図2に描写された回転シリンダーは、外側つかみ具30を使用して組み立てられ得る。外側つかみ具30は、ストップディスクのように機能する。それには、可動クランプ要素のための端止めが設けられる。本発明に関連して、そのような端止めは、第3のクランプ要素13として更に機能を果たすように(任意に)設計され得る。
【0029】
誘導ディスク34の形態の支持体は、外側つかみ具及び端止めの間に設けられる。この誘導ディスクの形状は、クランプ要素の誘導及び固着を可能にする。
【0030】
本発明による回転シリンダー5の設計は、
図3の分解図においても特によく見ることができる。左側に見えるのは、多数のプッシュロッド22を担持する外側つかみ具30である。外側つかみ具30に隣接するのは、例として強調されるクランプ要素40のクランプ要素の第1の層である。このクランプ要素はまた、プッシャフィードスルー38を有する。プッシュロッド22は、これらのフィードスルー38を通じて引き出され、作動要素としてプッシュロッド22によって作動される1つのフィードスルー38のみを提供するクランプ要素なしで、更なる内側に位置するクランプ要素上に力を及ぼすことができる。加えてクランプ要素40のリングは、回転軸フィードスルー36があるような様式で配置される。そのような回転軸フィードスルーは、回転シリンダーの層の全てに設けられる。クランプ要素40の層に隣接するのは、誘導ディスク34である。この誘導ディスク34内に、またその中央にも設けられるのは、回転軸フィードスルー36(この分解図の記載では、互いに同一又は類似である構成要素は、同じ参照記号によって示される)である。クランプ要素40の層と対照的に、このディスクは一体型部品である。このディスクに隣接するのは、クランプ要素である。これらのクランプ要素は再び、層を形成するが、連結されない。更なる隣接する要素は、右方向に、更なるストップディスク32、クランプ要素40の更なる層、更なる誘導ディスク34など、同様にプッシュロッド22を有する外側つかみ具30である。
【0031】
図4は、本発明による同じ回転シリンダー5の斜視図を提供する。この図は、回転シリンダー5の周囲面の本質的部分である。回転シリンダー5の有利な構造により、この周囲面10は、特に数多くの引き抜きユニットを収容することができる。異なるクランプユニットのうちの第1のクランプ要素11、第2のクランプ要素12、及び第3のクランプ要素13は、いずれの場合にも例として示される。互いに同一又は類似である構成要素は、いずれの場合にも対応する参照記号によって示される。
【0032】
図5は、斜視図において、例えば、第1のクランプ要素11として又は第2のクランプ要素12として使用するのによく適しているであろう、例示のクランプ要素40を示す。このクランプ要素は、円筒形状をして、いわばシャフト部の形で設計されるベース42を有する。ベース42は、ベース42の中心軸回りに回転する能力が維持されることによって、確実かつ単純な支持体を可能にする。本体44は、このベースに連結される。これは、つかみ具46で上方に終端する。つかみ具の上面は、回転シリンダー5の周囲面10とぴったり重なる。したがって、それは概して、弓形表面、回転シリンダーの周囲面10の湾曲に対応する湾曲を有する。横方向に、クランプつかみ具46は、クランプ表面48を有する。クランプ要素40の本体44は、ネック50を有する。ネック50及びそれを囲むくぼみは、つる巻きバネに支持体を設けることができる。これは、引き抜き間隙を開くための力を生み出す2つのクランプ要素とつる巻きバネとの間に位置決めすることを単純な様式で可能にする。
【0033】
図6及び7は再び、回転シリンダー5の操作様式を概略的に示す。脱毛シリンダー5の部分は、ガイド52として簡略化した様式で描写される。そのようなガイドは、例えば、隣接する誘導ディスク34と組み合わせてストップディスク32によって設けられ得る。しかしながら、他の種類のガイドもまた可能である。このガイドは、少なくともその外端部で、即ち、クランプ表面48を有するクランプつかみ具46の領域で、クランプ要素40の変位を有利に可能にする。この運動は、一部分において回転運動(図のように)又は横方向変位でもあり得る。脱毛工程の間、毛髪は、第1の引き抜き間隙14及び第2の引き抜き間隙16に送り込まれ得る。可動の第1のクランプ要素及び可動の第2のクランプ要素12は、1つの面から作用する力によって定置式の第3のクランプ要素に向かって移動され得る。この工程では、第1の引き抜き間隙14及び第2の引き抜き間隙16が閉じる。このように、クランプ力が増大され、それによって次に毛髪が引き抜かれ得る。クランプ力が所定の作動要素の振幅運動によって作動される範囲において、第2の引き抜き間隙16に作用する力は、第1の引き抜き間隙14内に既に位置する毛髪の数と共に増大する。これは、脱毛を特に効率化する増幅効果につながる。
【0034】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきでない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法はそれぞれ、記載された値及びその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味するものとする。