(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一次流路が、(i)該一次流路及び一つ又はそれ以上の反応試薬チャンバ;及び(ii)前記一つ又はそれ以上の反応チャンバ及び一つ又はそれ以上の試薬チャンバエアーベントポートを接続する一つ又はそれ以上の試薬多管接合部によって前記反応ゾーンで交差する、請求項1に記載のアッセイカートリッジ。
前記反応ゾーンが、第一の反応温度制御ゾーン及び第二の反応温度制御ゾーンを備え、そして前記流体ネットワークが、該反応ゾーンにおいて実行される反応中、流体のボリュ
ームを該第一と第二の温度制御ゾーンの間で、往復させるように構成される、請求項1に記載のアッセイカートリッジ。
前記一次流路が(i)該一次流路及び一つ又はそれ以上の検出試薬チャンバ;及び(ii)該一つ又はそれ以上の検出試薬チャンバ及び一つ又はそれ以上の検出チャンバエアーベントポートを接続する検出試薬多管接合部によって前記検出ゾーンで交差する、請求項1に記載のアッセイカートリッジ。
前記カートリッジが更に、各々凍結乾燥されたPCR試薬を含む複数の再構成チャンバを備え、そして接触工程(viii)が一つ又はそれ以上の該凍結乾燥されたPCR試薬を再構成することを含む、請求項8に記載の方法。
請求項11に記載の流体ネットワークとインターフェースで接続するように構成されるシステムであって、該システムが、該流体ネットワーク内で流体の動きを駆動するように構成される流体制御マニホールドを含んでなる、上記システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明、並びに、その追加の目的、機能及び利点は、或る好ましい実施態様の以下の詳細な記述からより完全に理解されるであろう。本明細書において用語「測定する」又は「測定」が使用される場合、それらは、制限するものではないが、定性的及び定量的な測定を包含し、サンプル中の物又は性質の存在を検出すること、物又は性質の量を測定すること、及び/又は物又は性質を同定することを含む種々の目的に対して実行される測定を包含すると理解される。本明細書において、別途定義されない限り、本発明に関連して使用される科学的及び技術的用語は、当業者によって通常理解される意味を有するものとする。更に、文脈によって別途要求されない限り、単数用語は複数を、そして複数用語は単数を含むものとする。冠詞「a」及び「an」は本明細書において、物品の文法的目的の一つ又は一つより多い(つまり、少なくとも一つ)ことを意味するために使用される。例として、「エレメント(an element)」は一つのエレメント又は一つより多いエレメントを意味する。
【0017】
本発明は、アッセイカートリッジ、システム及びその使用方法に関し、ここでカートリッジは、生物学的流体サンプルについてマルチプレックス核酸測定を実行するための流体ネットワーク及び一つ又はそれ以上のチャンバ及びゾーンを含む。特に、本発明のアッセイカートリッジは、核酸測定の一つ又はそれ以上の工程、例えば、細胞溶解、核酸抽出、精製、増殖、及びPCRアプリコンの検出を実行するように構成される。カートリッジは、カートリッジとインターフェース接続するように構成された読み取り機を含むアッセイシステムにおいて使用できる。読み取り機の一つの実施態様は、制限するものではないが、光検出アセンブリ、アンプル破壊機構、電極接触ピンアセンブリ、カートリッジの流体ネットワーク内での流体の動きを可能にするように構成される流体制御マニホールド、流体制御用の一つ又はそれ以上の光センサ、及び一つ又はそれ以上のヒータアセンブリを含む一つ又はそれ以上の読み取り機部品とカートリッジが整列するように囲み内に位置決めされる囲み、カートリッジトレイ、及び取り付けフレームを含む。
【0018】
アッセイカートリッジは、アッセイ測定を実行するために必要な電子部品及び/又は活性機械的部品、例えば、一つ又はそれ以上の電気エネルギ源、電流計、電位計、光検出器、温度モニター又は制御器、ポンプ、バルブなどを含むことができる。好ましくは、電子部品及び/又は活性機械的部品の幾つか又は全ては別々の読み取り機内に配置される。読み取り機は、アッセイカートリッジ上でアッセイを実行するためのアッセイカートリッジへの適切な電気的、水力学的、流体的及び/又は光学的な接続も含むことができる。そのような配置を用いて、アッセイカートリッジは低コストでありそして廃棄できるように設計できて、一方、(より高価で複雑な部品を保持する)読み取り機は再使用できる。本発明のアッセイシステムを用いる好ましいアッセイ手順は、カートリッジを読み取り機中に挿入することを含み、それによって(カートリッジ及び読み取り機上の電気的、流体的及び/又は光学的コネクタを用いて)カートリッジへの適切な電気的、流体的及び/又は光学接続がなされ、そしてカートリッジ中でアッセイが実行される。サンプルは、好ましくは、カートリッジを読み取り機中に挿入する前にカートリッジ内に導入される。アッセイは、一つ又はそれ以上のアッセイ試薬をカートリッジに追加することも含むが、好ましい実施態様において、一つ又はそれ以上のアッセイ試薬はカートリッジ中に乾燥及び/又は湿潤形態で保存される。
【0019】
本発明のアッセイカートリッジは、好ましくは、サンプルを処理しそして解析するために要求される全ての工程を実行するための全ての要求される試薬及び流体機構を含む。
図1(a)は、流体ネットワーク並びにカートリッジ内の試薬保存及び処理のゾーンの模式的表示である。カートリッジ内の流体ネットワークは、アッセイの実行中にカートリッジ中で使用される及び/又は実行される試薬及び他の材料/操作のための一つ又はそれ以上のチャンバ(3)に一次流路を接続している一次流路(1)、及び一つ又はそれ以上の流体導管(2)を含むことができる。一次流路は入口(4)、(
図1(a)において、一次流路に沿って点AとBの間に描かれる)精製ゾーン、(
図1(a)において、一次流路に沿って点BとCの間に描かれる)反応ゾーン、及び(
図1(a)において、一次流路に沿って点CとDの間に描かれる)検出ゾーンを含む。また、一次流路は一つ又はそれ以上のエアーベントポート(5)も含む。流体導管は一次流路と交差し、そしてチャンバを一次流路に、並びに各チャンバを追加のエアーベントポート(6)に接続する。流体ネットワークは一次流路中の流体のボリュームを測定するように構成される。
【0020】
図1(a)において示される通り、カートリッジは、複数のチャンバ(3)、例えば、サンプルチャンバ(3a)、混合チャンバ(3b)、一つ又はそれ以上の液体及び/又は試薬チャンバ(3c〜f)、及び一つ又はそれ以上の廃棄物チャンバ(8a〜b)を含むことができる。チャンバは、サンプル入口内に導入されたサンプルがサンプルチャンバに引き出され得るように、そしてサンプルの計量されたボリュームが、一次流路を交差している及び/又はそれに沿って位置付けられた一つ又はそれ以上のチャンバ/ゾーンに引き続いて送達され、そしてその中で処理されるように、複数の流体導管を介して一次流路に接続される。ベントポートは、大気圧とチャンバ中の流体の平衡が可能になるように、又は正圧若しくは負圧をかけることによって、特定のチャンバ/ゾーン内に又はそれから外に向けられた流体の動きが可能になるように、種々のチャンバ、精製、反応及び検出のゾーンと(直接的に又はベント導管を通して)流体連通状態にある流体ネットワーク中に位置付けられる。
【0021】
特定の実施態様において、流体ネットワーク内の流体導管は、
図1(b)において示されるように、(i)一次流路とチャンバ(3)を接続している第一の導管(12)、及び(ii)チャンバを追加のエアーベントポート(6)に接続している第二の導管(13)を含む多管流体接合部(11)を含み、ここで、第一の導管は、流体接合部から遠位位置で、つまり、(
図1(b)において点Eとして表される)、一次流路が第一の導管によって交差する点で、光学流体センサ(7a)と連通状態にある。流体流の向きは矢印(1a)によって示される。一つの実施態様において、流体は一次流路(1)を通して向けられ、そして流体流が光センサ(7a)(点F)に達するとき、つまり、光センサが多管流体接合部(11)の第一の流体導管と連通状態にあるとき、流体流路はベント(5a)によって大気圧にベントされ、その結果、流体流を点Fで停止する。ベント(5a)が開かれるとき、ベント(5b)は閉じられた状態に留まる。一旦、点Fでの流体流が停止されると、ベント(5a)が閉じられ、そして空気がベント(5b)によって導入され、流体は一次流路(1)中に上流へと押される。この方法によって流体の計量されたボリュームが生み出され、ここでボリュームはベント(5b)及び一次流路の交点と、接合部(点、F)と連通状態にある光センサの間の距離によって規定される。サンプルチャンバ流体接合部も、サンプルチャンバ流体接合部から遠位位置でサンプルチャンバ光学流体センサ(7a)と連通状態にあり、そして流体ネットワークを横断する流体の計量されたボリュームは、サンプルチャンバ流体接合部と遠位位置の間の距離によって代わりに規定される。以下により詳細に論じられる通り、この代替実施態様において、一旦、一次流路中の流体の先端が、多管流体接合部と連通状態にある光センサに到達すると、流体の先端は接合部のチャンバ内に逆流できる。チャンバの内容物は次いで一次流路内に再度導入できて、そして一次流路に沿って、カートリッジ中の引き続くチャンバ/ゾーンへと前方方向に向けられる。従って、流体流路中の測定された流体のボリュームは、マイクロ流体チャンネルの幾何寸法によって規定される。
【0022】
カートリッジ内のチャンバの各々は、
図1(b)において示される通り、多管流体接合部を介して一次流路とインターフェース接続する。上述の通り、流体は一次流路に沿って前方又は逆方向に向けられ得て、ここで流体流の向きは、流体ネットワーク中に位置決めされるベントポートによって制御される。ベントポートは、例えば、一つ又はそれ以上のポートをシールすること、一つ又はそれ以上のポートを大気圧に開くこと、一つ又はそれ以上のポートを正圧源に接続すること、及び/又は一つ又はそれ以上のポートを負圧源に接続することの組合せによって、読み取り機が、カートリッジ中の流体の動きを制御することを可能にする制御ポートとして作用する。
【0023】
同様に、もし、チャンバが混合チャンバであれば、流体の計量されたボリュームは、第一の流体導管を介して一次流路に沿ってチャンバ内に向けられ、ここでそれは一つ又はそれ以上の試薬と混合され得て、引き続いて一次流路に再度向けられる。混合チャンバは一つ又はそれ以上の試薬チャンバにも接続され得て、そして試薬の計量されたボリュームは、サンプルの計量されたボリュームが混合チャンバに導入される前又は後に、混合チャンバ内に向けることができる。従って、一次流路は、(i)一次流路と混合チャンバを接続している第一の混合チャンバ導管、及び(ii)混合チャンバを混合チャンバベントポートに接続している第二の混合チャンバ導管を含む混合チャンバ多管接合部によって交差する。好ましい実施態様において、混合チャンバ流体接合部は、混合チャンバ流体接合部から遠位位置で、混合チャンバ光センサと連通状態にあり、そして一次流路を横切る流体の計量されたボリュームは、混合チャンバ接合部と遠位位置の間の距離によって規定される。好ましい実施態様において、一次流路は更に、サンプル、及びサンプルに添加される一つ又は複数の試薬の混合を助けるように、混合チャンバ流体接合部から遠位位置で一連のZ移行部を含む。
【0024】
流体ネットワークは、
図1(b)を参照して上で述べられた通り、試薬チャンバからの試薬の容量を測定する、つまり、試薬チャンバに接続された多管流体接合部と連通状態にある光センサに試薬が達するまで、試薬チャンバの内容物は第一の導管内に放出されそして一時流路内に流れる。試薬流体先端が光センサに到達するとき、流路中のベントが大気圧に開かれ、試薬流先端が光センサで停止され、ベントが閉じられ、そして流体の計量されたボリュームを望まれる方向に向けて流れるよう、第二のベントが開かれる。
図1(b)において示され実施態様において、一次流路中の流体先端は光センサ(7a)に到達し、そしてチャンバ(3)内に逆流される。その後、チャンバ(3)の内容物は一次流路内に再度導入され、そして一次流路に沿って前方方向に、カートリッジ中の引き続いくチャンバ/ゾーンに向けられる。チャンバは、本明細書において述べられそして
図1(a)において説明された通り、オーバーフロー光センサ(7b)も含むことができる。
【0025】
ベントポートは、好ましくは、流体チャンバ又はカートリッジ内の導管と流体連通状態にあるカートリッジの面上の開口部である。積層されたカートリッジ構造において、ベントポートは、例えば、面状の流体ネットワークを規定するカートリッジ本体に対してシールする被覆層における開口部によって、又は反対側上で流体ネットワークと連通するカートリッジ本体の一つの面上にむき出しの貫通穴によって供することができる。ベントポートは、例えば、流体流を空気のスラグ(slugs)を用いてセグメント化するために、本発明の流体導管を通過する液流内に空気を導入するために使用され得る。空気の導入は、導管を逐次通過する二つの液体のスラグの混合を防ぎ、液体を導管から排除し、及び/又は洗浄工程の効率を向上させるために使用できる。好ましくは、ベントポートは、カートリッジ本体の幅に沿った共通場所で単一列において配置される。制御点のそのような配置及び構成によって、有利にも、読み取り機とカートリッジの間のインターフェースが簡略されることが可能になる。例えば、そのような好ましい構成を使用することによって、カートリッジを読み取り機と流体連通状態に置くために、読み取り機が単一流体嵌合デバイスを使用することが可能になる。そのような構成によって、流体適合デバイスを作動し、そしてそれをカートリッジ本体とシール係合状態にするために、単一モータ又は作動デバイスが使用できるという点で、一つ又は複数の運動制御サブシステムが簡略化されることも可能になる。
【0026】
流体導管はカートリッジ内の如何なる位置にも置くことができ、そして如何なる角度にも向けることができる。有利なことに、流体チャンネルは、主として面状ネットワーク中に置かれ、好ましくは、例えば、機械加工された、ダイカットされた、レーザカットされた及び/又は成形されたカートリッジ本体部品を使用する多層カートリッジ設計を可能にするよう、外面の近位に置かれる。好ましい導管幾何形状には、円形、半円形、楕円、四角又は矩形である断面を有する導管が挙げられる。幅は、好ましくは、特定の断面積に対する表面積を最小化するよう、高さに近い。幅及び高さは、用途、サンプル容量及びカートリッジ設計に依存してナノメータからセンチメータの範囲まで広く変えることができる。幅及び高さに対する好ましい範囲は0.05〜10ミリメータ、好ましくは、0.25〜3ミリメータ、最も好ましくは0.5〜2ミリメータである。指刺しからの血液のような低容量サンプルに適応されるカートリッジは、好ましくは、高さ/幅<1ミリメータ、好ましくは0.25と1.0ミリメータの間を有する小さい導管を有し得る。
【0027】
流体チャンネルは、好ましくは、カートリッジにおける面の間に流体流路を走らせるために「Z−移行部」を含む。そのようなZ−移行部を有する導管は、連続して配置される第一、第二及び第三の導管セグメントを含み得て、第一及び第三の導管セグメントは異なる面状の流体ネットワーク中に置かれ、そして第二の導管セグメントは二つの流体ネットワークを接続しそして他の二つのセグメントに対して或る角度で配置される。例として、Z−移行部は、上面近くの流体導管から底面近くの流体導管へと、及びその逆に、流体流/流路を走らせる。Z−移行部は、それらが(以下に述べられるような)細管ブレークを供し、そしてもし、流体導管が一つの面に拘束されるならばあり得るであろうよりもより複雑な流体ネットワークを可能にする点で有利である。Z−移行部は流体の流れを受動的に制御し、そして流体流の混合を防ぐために使用され得る。本発明の或る実施態様では、流体流を第一の面状ネットワークから第二の面状ネットワークに向かわせる第一のZ−移行部、流体流を第一の面状ネットワークに戻すよう再度向かわせる第二のZ−移行部、及び二つのZ−移行部を接続する第二の面状ネットワーク中の接続セグメントを含む導管である「二重Z−移行部」が採用される。そのような二重Z−移行部は、連続して配置される第一、第二、第三、第四、及び第五の導管セグメントを含むことができて、ここで第一及び第五のセグメントは第一の面状流体ネットワーク中に置かれ、第三のセグフメントは第二の面状流体ネットワーク中に置かれ、第二及び第四のセグメントは二つの面状流体ネットワークの間に流れを向けるように置かれる。二重Z−移行部は妨害なしにチャンネルを横切る(チャンネルを「飛び越える」)ために、又は別のタイプの境界を横切るために使用できる。
【0028】
流体ネットワークは、部分的に、カートリッジのために選択された材料に依存して、多くの異なる方法でカートリッジ内に形成できる。限定するものではないが、ステレオリソグラフィ、化学的/レーザエッチング、一体成形(つまり、製造中に部品が成形されているとき、チャンネルが形成される)、機械加工、積層などを含むカートリッジ本体材料に適する、如何なる公知の方加工法も採用できる。そのような加工方法は単独で又は組み合されて使用できる。本発明の或る実施態様において、カートリッジは、一つ又はそれ以上の流体ネットワーク(好ましくは、面状流体ネットワーク)をその間に規定するように、カートリッジ本体、及びカートリッジ本体の表面に嵌合する一つ又はそれ以上の被覆層を含む。同様に、Z−移行部及び/又はポートは、上方及び下方の面上のチャンネルの間で流体接続を形成するよう、所定の場所でカートリッジ本体内に選択的に成形できるか、またはそれから機械加工できる。
【0029】
カートリッジの一つの好ましい実施態様は、「積層」プロセスを用いて加工できて、それによって、カートリッジ本体の機能面が、流体ネットワークを形成するための被覆層を用いてシールされる。例えば、カートリッジ本体の一つ又はそれ以上の表面における凹部(例えば、チャンネル、溝、縦穴など)は、本明細書において所謂「機能面」と称される物を供する。層を覆うために機能面をシールする/噛合させることによって、流体部品(例えば、導管、チャンバなど)を含む流体ネットワークが形成され、そして少なくともその幾つかはカートリッジ本体中の凹部によって、そして被覆層の表面によって部分的に規定される。被覆層は、好ましくは、マイラフィルムのようなプラスチックフィルムから構成される。被覆層は、カートリッジ層に対して被覆層をシールするために接着剤を用いて被覆できる。被覆層をカートリッジ本体に噛合させる他の方法は当業者に公知であろう、例えば、シールはヒートシール、超音波溶着、RF(無線周波数)溶着、溶媒溶着(表面の一方又は両方を軟化する又は部分的に溶解する溶媒を部品の間に塗布すること)、介入する接着剤層(例えば、両面テープなど)の使用によって達成できる。有利なことに、プラスチックフィルムを大きなシート又はロールで処理するために入手可能な自動化の有利な点を取るように、パターン化された沈着によって作り出されるカートリッジ機構(例えば、電極又は誘電層のパターン化された沈着及び/又は、乾燥した試薬丸薬を形成するための又は固定化された結合試薬との結合領域を形成するための試薬のパターン化された沈着)が、被覆層上に作り出される。
【0030】
凹部は、例えば、カートリッジ本体中に成形でき、エッチィングされ又はそれから機械加工され得る。同様に、流体部品は、カートリッジ本体と噛合される被覆層中の凹部によっても少なくとも部分的に規定され得る。流体部品は、カートリッジ本体と被覆層の間に配列されるガスケット層から切り出される領域によっても少なくとも部分的に規定される。カートリッジ本体及び/又は被覆層中の開口部は、流体ネットワークへのアクセスポート、例えば、サンプル導入ポート、ベントポート、試薬追加ポートなどを供するために使用できる。ベントポートによって、好ましくは、チャンバ中の流体と大気圧の平衡が可能になり、又は正圧若しくは負圧をかけることによって、特定のチャンバ内に又はそれから外に向けられた流体の動きが可能になる。好ましい実施態様において、流体は、大気の正圧又は負圧をかけることによって、流体先端に直接圧力をかけることなく、流体ネットワーク中を動かされる。ベントポートは、好ましくは、ポートを通した液体サンプル又は試薬の漏れを防ぐように設計され、そして空気流を許すが、水溶液に対してはバリアとして作用する、耐エアロゾル性フィルタ、膜又はフィルタ材料(例えば、Gore−Tex(登録商標)のような多孔性親油性材料から作られるフィルタ又は膜)、及び空気に対しては多孔性であるが、それらが水溶液と接触するようになるときはシールする材料(例えば、セルロースガム含浸フィルタ)を含むことができる。
【0031】
好ましい実施態様は、第一の側部及び第二の、好ましくは、反対側の側部、及び第一の流体ネットワークをその間に形成するように第一の側と嵌合される一つ又はそれ以上の被覆層、及び第二の流体ネットワークをその間に形成するように第二の側と嵌合される一つ又はそれ以上の被覆層を持つカートリッジ本体を有するカートリッジを含む。カートリッジ本体を通る(成形、エッチィング、機械加工などによって成形できる)貫通孔は、第一の流体ネットワーク及び第二の流体ネットワークを連接するために、そしてZ−移行部を供するために使用できる。追加の流体的な複雑さは、複数のカートリッジ本体層及びこれらの層の間の追加の流体ネットワークを有する積層されたカートリッジ本体を採用するによってカートリッジ内に構築できる。
【0032】
本発明のカートリッジ中の液体の動きに亘る高度な制御は、カートリッジ中に活性バルブエレメントを導入せずに、細管ブレークを含む流体ネットワークの使用を通して達成できる。本明細書において使用されるような「細管ブレーク」は、細管作用の下で、又は閾圧力未満の低い圧力勾配の駆動力の下で導管を通して動いている液体に対してバリアとして作用する流体導管中の領域のことである。細管ブレークの好ましい例において、閾値圧を上回る圧力をかけることは、流体を、バリアを通して押すよう作用する。細管ブレークは、例えば、i)(例えば、水に対する接触角によって示されるような)導管の表面について、湿潤表面からより少なく湿潤表面への移行;ii)導管幅における、細管流を促進する狭い幅の領域からより広い幅の領域への移行;iii)導管の表面に関して、粗さにおける移行;iv)鋭角又は方向の変化;及び/又はv)断面幾何形状の変化を導入することによって流体導管内に設計できる。別の実施態様において、流体導管は、導管内に突き当たり、そして閾圧未満の圧力によって駆動される流れを阻止する柔軟な壁/ダイアフラムを有する。より高圧をかけることによって、柔軟な壁/ダイアフラムは流路から無理やり押し出され、そして流体を流す。一つの実施態様において、ダイアフラムは、気体を通過させ得るものの、液体の流れを或る圧力まで防ぐ材料(例えば、Gore−Tex)で作られる。好ましい細管ブレークは、流体導管において鋭角又は方向における変化を含む。
【0033】
本発明の一つの実施態様において、液体は、細管ブレーク(好ましくは、Z−移行部)を含む出口導管を含むチャンバ内に導入される。液体は出口導管に入るがZ−移行部で停止する。次いで(例えば、チャンバに正圧をかける、又は導管の他の端部に負圧をかけることによって)圧力勾配がかけられ、それによって液がZ−移行部を通り、導管の残りの部分内に流れることになる。
【0034】
サンプルチャンバ(3a)は、カートリッジ中で解析されるべきサンプルを受け取るように適応される。サンプルチャンバは、チャンバ内にサンプルを導入するためのサンプル導入ポートを含む(サンプル導入ポートの設計に関しては、それらの開示が参照することにより本明細書に取り込まれているものとする、2003年12月23日に出願された米国仮出願番号10/744,726及び
図35(a〜b)及び47(a〜b)、並びに2010年12月3日に出願された米国仮出願番号12/959,952の添付テキストが参照される)。ポートは、好ましくは、サンプルチャンバへのアクセスを供する、カートリッジ中の開口部である。又は、ポートは、例えば、それを通して、例えば、針又はカヌーレを使用して、サンプルがサンプルチャンバ内に注射され得る膜又はセプタムであり得る。好ましくは、カートリッジはサンプル導入ポートをシールするための、そしてサンプルの漏れ及び使用者及び/又は付随する装置がバイオハザードに対してむき出しにされる可能性を防ぐためのシール可能な密封装置も含む。好ましくは、シール/キャップ機構は、サンプルチャンバが容易にアクセスされて、そしてシールされるように、ヒンジ付き構成を利用する。特に好ましい実施態様において、シール/キャップ機構は、例えば、ゴム、プラスチックなどの柔軟なヒンジを組み込む。最も好ましくは、サンプルチャンバは、サンプルチャンバをシールするためのキャップを含むモジュラー取り外し可能挿入物を受け取るように適応され、そして構成される。サンプルチャンバ内でのモジュラー取り外し可能挿入物の使用によって、主要カートリッジ本体用の材料の独立した選択も可能になる。代替実施態様において、サンプル導入ポートのシールは、ポートに接着テープを適用することによって達成される。サンプルチャンバは、液体サンプルの追加の際に再構成するアッセイの実行において使用される乾燥試薬を含むことができる。
【0035】
サンプルチャンバは、例えば、サンプル自身の内に存在し得る、又はサンプルをサンプルチャンバ内に導入するために綿棒などを使用する結果として存在し得る粒子状物質を除去するためのフィルタも含むことができる。好ましい実施態様は、如何なる粒子状物質をも除去するためのみならず、血漿から赤血球(RBC)を分離するためにも設計されるフィルタを採用できる;例えば、ここで特定のアッセイ/アッセイ様式はサンプルとして血漿を要求する。そのようなフィルタは一体クロスフローフィルタ、インラインフィルタなどであってよい。好ましくは、フィルタはサンプル導管の入口に又はその近くに配置される。上述の通り、サンプルチャンバは(i)一次流路とサンプルチャンバを接続している第一のサンプルチャンバ導管;及び(ii)オーバーフロー廃棄物チャンバを介して、サンプルチャンバをサンプルチャンバエアーベントポートに接続している第二のサンプルチャンバ導管;を含むサンプルチャンバ多管流体接合部によって一次流路に接続される。液体サンプルはサンプルチャンバに添加され、そしてオペレータはキャップを閉める。サンプルの添加後、カートリッジは、処理のためにサンプルの事前に定義された容量を測定する。サンプルのボリュームが測定された後、流体スラグは混合チャンバ(3b)内に動かされ、そこでそれは試薬チャンバ(3c)中に保存された試薬の計量されたボリュームと組み合わされる。
【0036】
試薬チャンバは、サンプル処理中に使用される液体試薬を保持するために適合される(カートリッジ中の試薬チャンバの設計に関して、2003年12月23日に出願されたUSSNs10/744,726及び2010年12月3日に出願された12/959,952が引き合いに出され、その開示は参照することにより本明細書に組み入れられている)。試薬チャンバに保持されることができる液体試薬は、緩衝液、アッセイ希釈剤、結合試薬(例えば、タンパク質、受容体、リガンド、ハプテン、抗体、抗原、核酸など)を含有する溶液、酵素及び/又は酵素基質を含有する溶液、対照試薬を含有する溶液、ECL共反応物(co-reactant)(例えば、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸のような第三級アミン)及びトリプロピルアミン)を含有するECL読み取り緩衝液、洗浄溶液、消泡剤、抽出試薬(例えば、洗浄剤、酸、塩基などを含有する溶液)などを含む。カートリッジは、例えば、カートリッジ中のサンプル処理に必要とされる試薬の数に応じて及び/又はアッセイフォーマットにより、1つ、2つ又はそれ以上の試薬チャンバを有することができる。試薬チャンバは、上記のようにそして
図1(b)に図示されるような一次流路に接続される。場合により、例えば、試薬溶液がカートリッジフルイディクスを妨げ又はさもなければアッセイ性能に影響を与え得る粒子を含有することが予測される場合、フィルタエレメントは試薬導管の前又は中に置かれる。
【0037】
好ましくは、アッセイが液体試薬の使用を必要とする場合、これらの液体試薬の幾つか又はすべては、使用者又は読み取り機によって行われる必要がある操作の数及び複雑性を最小化するために、試薬チャンバ中に液体形態で保存される。1つの好ましい実施態様では、1つ又は複数の試薬チャンバは、カートリッジ製作の時点で必要な1つ又は複数のアッセイ試薬で充填され、そしてその後密閉されることができる。液体試薬を保存するのに使用されるとき、試薬チャンバは、保存中チャンバからの試薬の漏出及び/又は蒸発ロスを防止するように設計される必要がある。好ましい実施態様では、アッセイ試薬放出機構は、試薬カートリッジからアッセイ試薬を放出するために読み取り機内に組み込まれ得る。アッセイ試薬放出機構は、好ましくは試薬チャンバを係合し、そしてその内容物を放出/回収するように適合及び構成される。
【0038】
試薬チャンバは、アンプル(例えば、ガラス、プラスチックなど)、パウチ(例えば、プラスチック、金属ホイル、プラスチック/金属ホイルラミネート、ゴムなど)、ブリスタパック、シリンジなどの容器、又はその後の流体送達のために液体を充填され、密閉されそしてカートリッジ中に滴下され得るその他の容器である。好ましい材料は、それらの化学的不活性及びそれらの蒸発ロスへの抵抗性の理由で、ガラス、良好な水蒸気バリア性を備えたプラスチック(例えば、エチレン及びノルボルネンの共重合体のような環状オレフィン共重合体、ナイロン6、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニリデン及びポリクロロトリフルオロ−エチレン)及び金属ホイル/プラスチックラミネートを含む;他の好適な材料は当業者に明らかとなり得る。アンプルは好ましくは、ガラス又は硬質プラスチックのように衝撃で粉砕又は破損するようにできる材料を含む。壊れやすいアンプルを組み込んでいる実施態様はまた、好ましくは、アンプルを破裂させる際に起こり得る実質的にすべてのフラグメントが流体ネットワークに入り、そして恐らく流体流を閉塞/ブロックすることが許容されないことを確実にするためのフィルタを含む。試薬チャンバは試薬チャンバから試薬を移動させるための出口ポート(又はドレーン)を含む。出口は、ガラスの破片がカートリッジフルイディクスに入ることを阻止するためのフィルタエレメントを含むことができる。
【0039】
場合により、アンプルは試薬チャンバとして使用され、そしてアンプルは円筒状アンプルを受けるように適合されるアンプルクレードル中に置かれる(アンプルクレードルの設計に関して、2010年12月3日に出願されたUSSN12/959,952の
図36及び添付文が引き合いに出され、その開示は参照することにより本明細書に組み入れられている)。アンプルクレードル、即ち、試薬チャンバは、側壁及び側壁から突出する複数のサポートブラケットを含み、そしてサポートブラケットは円筒状アンプルに対しマルチポイント架台を備えるように構成される。試薬チャンバは、側壁から突出する3つ、4つ又はそれ以上のサポートブラケット、チャンバの各端にある少なくとも1つのブラケットを含むことができる。ブラケットは好ましくは、試薬チャンバの幅がウェルの深さの増加とともに狭くなるように内側に傾斜される(その場合、側壁それ自体は傾斜される必要はない)。1つの実施態様では、チャンバの側壁も傾斜される。ブラケットは、アンプルの長さに大きい許容誤差を可能にするアンプルのマルチポイントクレードル(例えば、3又は4ポイントクレードル設計)を備える。アンプルと接触しそして支持する支持台の表面は斜めで(示されるように)又は平面であってよい。ブラケットの幅(即ち、チャンバの長さに沿った寸法)は、アンプル破壊中にアンプルの相対的に小さい領域に力を集めるように狭くてよい(例えば、<5mm又は2mm未満)。
【0040】
カートリッジベースのアッセイシステムの重要な検討は、使用に先立つカートリッジの長期保存;即ちカートリッジの「貯蔵期間」に関する。液体媒質中に溶解されるとき、あるアッセイ試薬(特に酵素、酵素基質、抗体、タンパク質、受容体、リガンド、ハプテン、抗原、核酸など生物試薬及び/又は結合試薬)は、それらの貯蔵期間を向上させるために特別な取り扱い及び保存を必要とする。ある例では、液体媒質中に溶解されたアッセイ試薬は、特別な取り扱い及び保存条件により厳密なコンプライアンスで取り扱われたとしても、それらの貯蔵期間は実行不可能なほどに短い。更に、特別な取り扱い及び保存条件を観察する必要性が、そのような試薬を用いるカートリッジベースのシステムの複雑性及びコストを増加させる。特別な取り扱い及び保存条件は除外されないとしても実質的に減少できて、そしてシステムの複雑性及びコストはより安定で乾燥した、又は脱水された形態のアッセイ試薬を用いることによって最小化されることができる。乾燥試薬の使用はまた、混合操作を単純化し、そしてカートリッジの容量及び重量を減少させることができる。乾燥形態で含まれ得る試薬は、生物試薬、結合試薬、pH緩衝液、洗浄剤、消泡剤、抽出試薬、ブロッキング剤などを含む。乾燥試薬はまた、糖(例えば、蔗糖又はトレハロース)などの乾燥試薬を安定化するのに使用される賦形剤を含むことができる。酸性又は塩基性サンプル(例えば、元々酸性/塩基性の試薬及び/又は抽出されあるいはその反対に酸性/塩基性試薬で処理されるサンプル)を用いるアッセイでは、乾燥試薬は中和試薬(例えば、酸、塩基、又はpH緩衝液)を含むことができる。
【0041】
乾燥試薬は多くのやり方でカートリッジにおいて用いられ得る。乾燥試薬は、使用者により又は読み取り装置による使用に先立って充填される試薬チャンバ中で保存できる。同様に、乾燥試薬は、一次流路に沿って流体導管内のような流体成分中に、又はチャンバ中に、最も好ましくは精製、反応、及び検出ゾーン内で保存されることができる。1つの実施態様では、試薬は乾燥丸薬の形態で提供され、そして試薬再構成チャンバ中に保持される。試薬再構成チャンバは一次流路と流体連通し、流体がチャンバに入りそして乾燥試薬丸薬を溶解することを可能にする。1つの実施態様では、試薬再構成チャンバは、チャンバの下部に(又は丸薬の位置の下に)流体入口を、そしてチャンバの上部に(又は丸薬の位置の上に)位置する排出口を有する。チャンバは入口と排出口間に丸薬を保持するが、好ましくは圧力の上昇なしにチャンバへの流体の容易な導入を可能にするために、丸薬周りに流体経路を備える。丸薬は、チャンバ壁によって規定される機能を保持する丸薬により、入口と排出口間に保持され得る。機能を保持する丸薬は、傾斜ブラケット(アンプルを保持するための機能の関連で上記のように)によって規定されるクレードルであってよい。あるいは、チャンバの壁は、丸薬の形状に一致するように形作られ、そして好ましくはマルチポイント接触を通して丸薬を堅固に保持するシートを備えるようにチャンバの下部に向けて先細になる。この場合、ビード周りの流体経路は、それらがビードと完全に一致しないように壁の形状を変形させることにより、又は明確な位置でビードとの接触を破るローブ(lobe)を導入することにより備えられ得る。1つの実施態様では、ビードは球状又は円筒状であり、そして丸薬シートは、ビード周りに流体経路を備えるローブの存在を除いて、断面が長方形で又は一般的に円形である傾斜壁によって規定される。1つの好ましい実施態様では、チャンバの上部近くの内部直径は、排出口に入るのに先立って破裂するためにチャンバ中に形成される気泡を許容するように、少なくとも0.1”又は0.125”又は約0.15”である。1つの特定の実施例では、丸薬は、それぞれ
図3f及び3gに示される長方形又は三葉壁設計によるチャンバの使用を通して保持される。
【0042】
操作中、流体スラグは入口ポートを通して試薬再構成チャンバに導入され、一方でチャンバ中の空気は排出口ポートを通して存在する。流体スラグ容量は丸薬に達してそして好ましくは完全に浸漬するが、排出口ポートに達しないように選択される。乾燥丸薬は流体スラグ中に溶解される。これで乾燥試薬を含有する流体スラグは、次いで入口を通して後ろに除去される。場合により、スラグ中の試薬の再構成及び混合は、入口を通してチャンバの中へそして外からスラグを繰り返し引っ張ることにより、又はスラグをチャンバへ導入後、チャンバの中にそして排出口の外に流体を通過させる気泡を形成させるために、入口を通して空気を導入することにより補助できる。
【0043】
他の実施態様では、流体スラグは乾燥丸薬を溶解させるためにチャンバに導入され、そして次いで排出口ポートを通して除去される。
【0044】
乾燥試薬は、適切な流体部材中に乾燥試薬を沈着させることにより、例えば、粉末若しくはペレットの形態で試薬を沈着させることにより、又はスクリーン印刷インク中に乾燥試薬を組み込むことにより、カートリッジの製作中に挿入されることができる。あるいは、試薬は溶液で挿入でき、そして次いで溶媒を除くために乾燥できる。1つの好ましい実施態様では、乾燥試薬は、1つ又はそれ以上の事前に定義された位置に試薬を含有する溶液を沈着させることにより、そして続いて液体サンプル又は適切な溶媒の添加時点で、乾燥試薬が溶液に溶解するような条件下に乾燥試薬丸薬を形成するように試薬を乾燥することにより、基材上に形成できる。用語「丸薬」は、一般的に基材上の乾燥しかし再溶解可能試薬の量に言及し、そしていずれの特定の3次元形状を意味するものではないように本明細書で使用される。丸薬は基材に取り付けられ又は独立している。基材上の丸薬の位置は、本明細書では「丸薬ゾーン」といわれる。基材は好ましくはカートリッジの部材、例えば、カートリッジボディ、チャンバ、カバー層、電極アレイなどである。丸薬ゾーンの好適位置は、液体試薬及びサンプルが検出チャンバへのそれらの導入に先立って乾燥薬剤をピックアップするように、サンプルチャンバ、試薬チャンバ、一次流路、流体導管、及び/又は再構成チャンバを含む。代わりに又は加えて、試薬丸薬は検出ゾーン内に位置されることができる。好ましい実施態様では、試薬チャンバは、乾燥試薬がアンプルの破裂時点で再構成されるように、液体試薬をアンプル及び乾燥試薬丸薬中に保持する。
【0045】
乾燥試薬が沈着される丸薬ゾーンは、沈着溶液(及びそれ故に溶液の乾燥を可能にした後に残る乾燥試薬)の容量を基材の特定の領域に限定する境界によって規定されることができる。本発明の1つの実施態様によれば、カートリッジは境界面によって境を接する丸薬ゾーンを含み、境界面は上昇又は低下し(好ましくは、上昇し)及び/又は丸薬ゾーンよりも異なる疎水性(好ましくはより疎水性)から成る。好ましくは、境界面は丸薬ゾーン内の基材面に対して、0.5〜200μm、又は好ましくは2〜30μm、又は最も好ましくは8〜12μmだけより高い。尚更に好ましくは、境界面は、輪郭のはっきりしたエッジ(即ち、丸薬ゾーンと境界線間のインターフェースにおいて急勾配の境界壁及び/又は鋭角をもたらす)を有する。好ましくは、丸薬ゾーン面は、境界面より10度未満、好ましくは15度未満、より好ましくは20度未満、より好ましくは30度未満、尚更に好ましくは40度未満、及び最も好ましくは50度未満の水に対する接触角を有する。
【0046】
1つの好ましい実施態様では、丸薬ゾーンは、陥凹カット(depression cut)によって規定され又は基材へ成形される。別の実施態様では、丸薬ゾーン周りの境界面は基材に適用される境界材料によって規定される。1例を挙げれば、丸薬ゾーンは基材に適用される膜又はガスケット中のカットアウト、好ましくは接着テープの膜中のカットアウトによって規定される。別の好ましい実施態様では、境界線は、例えば、フォトリソグラフィー、パターン化沈着、スクリーン印刷などのようなパターン化コーティングを形成する確立された技術を使用して丸薬ゾーンの境界線を規定するように、コーティングを適用することによって物理的に規定されることができる。1例を挙げれば、パターン化誘電体コーティングは基材材料の表面上にスクリーン印刷できて、パターンは開口部を含み、その境界線は丸薬ゾーンを規定する。試薬は次いで丸薬ゾーン境界線内で、基材上で調合できて、その後乾燥試薬丸薬を形成するために乾燥される。
【0047】
廃棄物チャンバは過剰又は廃液を保持するように適合される(廃棄物チャンバの設計に関して、2003年12月23日に出願されたUSSNs10/744,726、及び2010年12月3日に出願された12/959,952が引き合いに出され、本開示は参照することにより本明細書に組み入れられている)。廃棄物チャンバのサイジングは好ましくは、アッセイに使用され得るサンプル及び液体試薬の予想容量に従って行われる。好ましくは考慮に入れられる廃棄物チャンバに対する別のサイジング関連因子は、それらは発泡し又は泡立つように廃棄物チャンバに入るので、廃液の可能性にかかわる。そのような例では、フォーミング又はバブリングが予想される場合、廃棄物チャンバ容量は、そのようなフォーミング又はバブリングから生じることができるいずれの問題をも回避するために、十分に増加され得る。
【0048】
上記のように、廃棄物チャンバは、廃棄物チャンバ導管を介して一次流路にそして排出口ポートに(例えば排出口導管を通して)リンクする。廃棄物チャンバは、廃液を廃棄物チャンバ導管を通して廃棄物チャンバに送達されること、そして好ましくは廃棄物の流れに含まれる空気が廃棄物チャンバ排出口ポートを通して脱出することを可能にするように構成される。場合により、廃棄物チャンバは廃液を保持するスポンジのような水吸収材料を含有し、そしてカートリッジの廃棄時に廃液の漏れを防止する。廃棄物チャンバの構成及び配置を設計するときに好ましく考慮される要素は、廃棄物チャンバからの流体がカートリッジの流体ネットワークに逆流すること(「逆流」)ができるという可能性を排除すること又は実質的に減少させることに関連している。
【0049】
上記のように、サンプルはサンプル入口を介して加えられ、そしてサンプルチャンバに保存される。サンプルの定量容量は、更なる試薬が試薬チャンバを介して加えることができる混合チャンバに送達される。好ましい実施態様では、試薬の定量容量は先ず混合チャンバに送達され、それに続いてサンプルチャンバからのサンプルの定量容量が加えられる。混合は、混合チャンバに直接又は間接に接続された1つ又はそれ以上の排出口ポートを開口及び閉鎖することにより、混合チャンバの内容物をエアレーションすることによって促進される。好ましい実施態様では、混合チャンバは、消泡剤、例えば、SE−15、Antifoam204、AntifoamA、AntifoamB、AntifoamC、AntifoamY−30、及びその組み合わせ(Sigma-Aldrich Corp., St. Louis, MO,
www.sigmaaldrich.comから市販)を含む。混合チャンバ中に流体を通してポンプで送り込まれる空気は一定量の流体を変位させる。混合チャンバは好ましくは、エアレーション中に空気口導管への流体の脱出を阻止し、そして流体流を混合チャンバ中へ又はそこから供給するためにサイズが決められそして形作られる。
【0050】
図1(a)に示されるように、混合後、サンプルは、サンプル中の標的材料、例えば、核酸を潜在的妨害物質から精製するために混合チャンバから精製ゾーンへ送達される。基本設計は、一般的にサンプル中のすべての核酸を標的とする(ガラス膜に結合するような)方法、並びに特定配列を標的とする(膜又は特定のキャプチャ配列を示す他の固相支持体に結合するような)方法を含む、核酸のキャプチャ、洗浄及び溶離するために種々の公知の方法で使用するのになじみやすい。精製ゾーンは廃棄物チャンバ(8a)、1つ又はそれ以上の精製試薬チャンバ(3d〜e)、及び一体化精製膜(9)を含むことができる。好ましい実施態様では、精製ゾーンは、遠位端から近位端まで、(i)(a)一次流路及び精製試薬チャンバを接続する第1の精製試薬チャンバ導管;及び(b)精製試薬チャンバ及び精製試薬チャンバ空気口ポートを接続する第2の精製試薬チャンバ導管を含む、精製多導管流体接合部;(ii)精製ゾーンの一次流路中に位置付けられる一体化精製膜;及び(iii)(a)一次流路及び廃棄物チャンバを接続する第1の廃棄物チャンバ導管;及び(b)廃棄物チャンバ及び廃棄物チャンバ空気排出口ポートを接続する第2の廃棄物チャンバ導管を含む、廃棄物多導管流体接合部を含む。精製膜は一次流路内の支持フリット上に位置付けられることができ、そして膜はカートリッジ組み立てに先立って圧縮されることができる。特定の実施態様では、膜はガラス繊維膜を含む。
【0051】
操作中、精製する予定の材料を含有する溶液は、材料が膜に結合されている条件下に膜を通して通過される。残存溶液は廃棄物チャンバ中に収集される。1つ又はそれ以上の洗浄緩衝液は汚染物質を除去するために膜を通して通過され、そしてフロースルーは廃棄物チャンバ中に収集される。各緩衝液による洗浄工程は、洗浄の質を改善するために1回又はそれ以上の回数反復できる。場合により、精製物質の膜からの溶離に先立って、膜は空気をそれに通すことにより乾燥される。精製材料は次いで膜を通して溶離緩衝液を通過させることによって膜から溶離される。
【0052】
幾つかの核酸の精製法は、核酸の溶離中そして場合により、核酸の溶離に先立つマトリックスの洗浄中、精製マトリックスの加熱が有効である。精製ゾーンの1つの実施態様は、i)膜への一次流路を加熱する予熱ゾーン、及び/又はii)膜キャリアを囲みそして一体化膜を加熱する膜加熱ゾーンを含む。より具体的な実施態様では、膜からの精製物質の溶離中(そして、場合により膜の洗浄及び乾燥中)、膜に流れ込む流体及び/又は膜自体は約60〜80℃、及び好ましくは約70℃に加熱される。
【0053】
溶離液は次いで一次流路に沿って反応ゾーンに向けられる。反応ゾーンにおいて反応の実施に必要な試薬は、カートリッジ内の1つ又はそれ以上の試薬チャンバ中に保存できて、及び/又は乾燥丸薬として反応ゾーン中の一次流路内及び/又は1つ又はそれ以上の再構成チャンバ(10a及び10d)中に保存できる。本発明の1つの実施態様では、カートリッジは空の又は乾燥試薬だけを含有する1つ又はそれ以上の再構成チャンバを有する。アッセイの実施に先立って、使用者又は読み取り機は液体試薬を、場合により、チャンバ中に存在するいずれかの乾燥試薬を再構成するこれらのチャンバ中へ(例えば、試薬排出口ポートを通して又は上記のサンプル導入ポートに類似の試薬導入ポートを通して)投薬する;試薬はこのようにアッセイで用いるために調製される。好ましい実施態様では、すべての試薬はカートリッジ中に液体及び/又は乾燥型で保存され、そしてアッセイ又はアッセイの工程を実施するのに先だって、使用者又は読み取り機は試薬を投薬するために1つ又は複数の試薬アンプルを壊し、及び/又は流体ネットワーク中の流体は流路中で乾燥試薬を再構成する。密閉可能閉鎖はそれらの添加後試薬の漏出を阻止するために使用され得る。反応ゾーンはまた、第1の反応温度制御ゾーン(10b)及び第2の反応温度制御ゾーン(10c)を含み、そして流体ネットワークは反応ゾーンにおいて行われる反応中、第1と第2の反応温度制御ゾーン間で流体のボリュームを往復するように構成される。
【0054】
一次流路は反応ゾーン出口から検出ゾーンまで通じている。検出ゾーンは、(i)一次流路及び1つ又はそれ以上の検出試薬チャンバ;及び(ii)1つ又はそれ以上の検出試薬チャンバ及び1つ又はそれ以上の検出試薬空気排出口ポート、を接続する検出試薬多導管接合部によって交差される。検出ゾーンはサンプルで物理的計測を実施するように適合される。好ましい実施態様では、検出ゾーンはルミネセンスを測定するように構成され、そしてこの点において、2003年12月23日に出願されたUSSNs10/744,726及び2010年12月3日に出願された12/959,952が引き合いに出され、本開示は参照することにより本明細書に組み入れられている。測定がサンプルの照明又は光学観測(例えば、光吸収、光ルミネセンス、反射率、化学ルミネセンス、電気化学ルミネセンス、光散乱などの測定のように)を必要とする場合、照明及び/又は観察を可能にするために、検出ゾーンは少なくとも1つの透明な壁を配置させ得る。固相結合アッセイで用いられるとき、検出ゾーンは好ましくは、その上に(好ましくは、一連の固定化結合試薬、最も好ましくは一連の固定化抗体及び/又は核酸)固定化された1つ又はそれ以上の結合試薬(例えば、抗体、タンパク質、受容体、リガンド、ハプテン、核酸など)を有する表面(好ましくは、チャンバの壁)を含む。特に好ましい実施態様では、検出ゾーンは電気化学ルミネセンス検出ゾーンであり、最も好ましくは1つ又はそれ以上の電極上に固定された1つ又はそれ以上の結合試薬を有する。1つの好ましい実施態様では、カートリッジはその上に固定された一連の結合試薬を有する作用電極を含む。別の好ましい実施態様では、カートリッジは各々その上に固定された一連の結合試薬を有する一連の独立した制御可能な作用電極を含む。結合試薬のカートリッジ使用アレイでは、アレイの少なくとも2つのエレメントは、関心のある被検体に対する特異性が異なる結合試薬を含む。カートリッジで使用される検出技術に応じて、検出ゾーンもまた検出温度制御領域を含むことができる。好ましい実施態様では、検出ゾーンは電気化学ルミネセンス検出ゾーンであり、そして検出ゾーンは、約20〜40℃、好ましくは20〜35℃、及び最も好ましくは25〜35℃間に検出ゾーンの温度を維持するように設計された検出温度制御領域を含む。
【0055】
用途、製作方法、サンプルサイズなどに応じて、検出ゾーン中の一次流路寸法はナノメートルから数十センチメートルの範囲であり得て、そして容量はピコリットルからミリリットルの範囲であり得る。ある好ましい実施態様は、0.05〜20mm、より好ましくは1〜5mmの範囲であり得る幅を、及び0.01〜20mm、より好ましくは0.05〜0.2mmの範囲の高さ(好ましくは、特にこの表面が結合試薬を固定するのに使用されるとき、決まった用量に対して検出ゾーンの下部の表面積を増加させるような幅未満又はそれと等しい)を有する。好ましくは、高さは幅未満又はそれと等しい。好ましくは、検出ゾーンは、0.1〜1000μL、より好ましくは1〜200μL、より好ましくは2〜50μL、最も好ましくは5〜25μLの間にサンプル容量を収容するように設計される。検出ゾーン中の一次流路は好ましくは、高さより大きい又は等しい幅を有する。
【0056】
カートリッジは検出ゾーン内に1つ又はそれ以上の検出領域を含むことができる。複数検出領域を含んでなるカートリッジは、複数サンプルでのアッセイが並行して行われることができるように、各検出領域に対して別々の流体システム(例えば、複数サンプルチャンバ及び/又は試薬チャンバ及び関連の流体導管)を含むことができる。ある好ましい実施態様では、複数検出領域は単一サンプルチャンバとリンクしており、そして試薬チャンバ、廃棄物チャンバなど他の流体部材の使用を共有することができる。これらの実施態様では、2つの検出領域は異なるセットのアッセイを実施するために使用でき、それ故に1つの検出領域を備えるカートリッジに対するサンプルで実施され得る測定の数を増加させる。
【0057】
複数の検出領域を用いる他の実施態様では、1つ又はそれ以上の複数の検出領域は、計量アッセイ対照/較正サンプルのための対照/較正領域として使用される。1つのそのような実施態様では、第1及び第2の検出領域は、1つ又はそれ以上の被検体で1つ又はそれ以上のアッセイのパネルを行うように各々構成される。1つの検出領域(試験領域)はサンプルを分析するのに使用される。他の検出領域(対照領域)は、関心のある1つ又はそれ以上の被検体の所定の更なる量(この所定の更なる量は、好ましくは、更なる量を含んでなる試薬丸薬ゾーンを通してサンプルを通過させることによって供給される)を有する、スパイクサンプルを分析するのに使用される。2つの領域間でのシグナルの変化は被検体の変化に対するシグナルの応答性の算出を可能にし、そしてシステムを較正し及び/又はカートリッジが適切に機能しているかを測定するのに使用され得る。対照領域を用いる別の実施態様では、対照領域はサンプル又はその誘導体を分析するのに使用されないで、別々の対照又はキャリブレータマトリックス中の被検体を測定するのに使用される。対照領域でのシグナルは、バックグラウンドシグナルを(被検体のないマトリックスを使用することにより)測定するのに、機器を(較正パラメータを測定するための所定量の被検体を備えたキャリブレータマトリックスを用いることにより)較正するのに、又はカートリッジが適切に機能しているかを(所定量の被検体を備えた対照マトリックスを用い、そしてシグナルが所定の許容域内に入ることにより)測定するのに使用できる。
【0058】
本発明の好ましい実施態様は
図2(a)に描写される。
図2(a)に描写されるカートリッジは、上記に及び
図1(a〜b)に図示される流体ネットワーク及び複数のチャンバを含む。カートリッジは、核酸の抽出、精製、増幅、及びPCRアンプリコンの検出の1つ又はそれ以上の工程を含み、マルチプレックス核酸測定及び場合によりサンプル処理を実施するのに較正される。好ましい実施態様では、約45分以下での全分析時間に対して、カートリッジは、溶解、精製、及び約15分以下での溶離工程、約5分以下での逆転写、約15分以下での増幅、約5分以下での検出試薬結合、及び約5分以下での検出を実施するように構成される。試薬及び他の物質及び/又はアッセイの実施中にカートリッジ中で使用され及び/又は実施される操作のために、一次流路及び1つ又はそれ以上の流体導管、並びに複数のチャンバを含み。カートリッジは上記のような流体ネットワークを含む。一次流路は、サンプル入口(21)、精製ゾーン(22)、PCR反応ゾーン(23)、及び検出ゾーン(24)を含む。好ましい実施態様では、すべてのアンプリコンは一度検出されると検出ゾーン(24)から廃棄物チャンバ(30)に動く。また、一次流路はまた1つ又はそれ以上の空気口ポート(25)を含む。
図1(a〜b)において具体化されるカートリッジのように、
図2(a)に描写されるカートリッジの流体導管は、一次流路にチャンバを、並びに更なる空気口ポート(示されず)に1つ又はそれ以上のチャンバを接続する一次流路を交差させ、そして流体ネットワークはカートリッジ内で流体ネットワーク中の流体のボリュームを計量するように構成される。
図2(a)に示されるように、カートリッジは、複数の試薬チャンバ(26)、サンプルチャンバ(27)、混合チャンバ(28)、廃棄物チャンバ(29及び30)、及び複数の再構成チャンバ(31)を含む。
【0059】
図2(b)〜(c)に示されるように、
図1(a)〜(b)を参照して上記のように、排出口ポートは好ましくは、カートリッジ内で流体チャンバ又は導管と流体連通しているカートリッジの表面上の開口部である。排出口ポートは、例えば、1つ又はそれ以上のポートを密閉し、1つ又はそれ以上のポートを大気圧に開口し、1つ又はそれ以上のポートを陽圧源に接続し、及び/又は1つ又はそれ以上のポートを陰圧源に接続することを組み合わせて、読み取り機がカートリッジ中の流体の動きを制御することを可能にする制御ポートとして機能する。
図2(b)に示されるように、排出口ポートはカートリッジボディの幅に沿って共通位置で1列に配置される。制御点のそのような配置及び構成は、読み取り機とカートリッジ間のインターフェースが有利に単純化されることを可能にする。マニホールドインターフェースポートは、好ましくは
図2(b)(25a及び25b)に示されるように両側に沿ってカートリッジの周辺に1列又は複数列に位置される。
【0060】
図2(c)は
図2(b)(25c)に示されるマニホールドインターフェースポートの断面図であり、マニホールドがカートリッジと嵌め合う点においてカートリッジに組み込まれるエアロゾルバリアを描写する。エアロゾルフィルタは分析中に生成され得るエアロゾルによる汚染を最小化する。1つの実施態様では、エアロゾルバリアは、95%濾過効率より大きく、そして好ましくは99%濾過効率より大きく、0.75μm未満に至るまで、そして好ましくは0.50μm未満を達成する。1つの実施態様では、エアロゾルバリアは、例えばPorexから市販の10μmの細孔径フィルタを含む。好ましくエアロゾルバリアは、読み取り機のマニホールドインターフェースが汚染されないように、読み取り機よりもむしろ消耗品に作られる。
【0061】
図2(a)に描写されるカートリッジの操作の詳細なフローダイアグラムは
図3(a)に示される。液体サンプルは、サンプルチャンバへ一次流路に沿って流体接続されるサンプル入口に導入される。サンプル入口のキャップは密閉される。サンプルの添加後、カートリッジは混合チャンバ(溶解チャンバ)まで溶解緩衝液の容量を計量し、そしてカートリッジはそれに続いて混合チャンバまでサンプルのボリュームを計量する。混合チャンバの内容物の混合は、混合チャンバに直接及び/又は間接に接続される、1つ又はそれ以上の排出口ポートを介して混合チャンバの内容物を通気することにより容易にされる。また、混合は、
図3(b)に示されるように、混合チャンバ流体接合部へ遠位位置で(そして好ましくは、
図1(b)中において位置7aに従動する位置で)一次流路における一連のZ−転移の追加によって更に容易にできる。溶解チャンバ(32)中の溶液は、混合を促進するために一連のZ−転移(垂直セクション(33))を通して移動する。
図1(b)を参照して上記のように、流体ネットワーク上の流体チャンネルをモニターする光学センサは、計量及び混合操作の両方で使用される。溶解緩衝液は、グルタチオンイソチオシアナート(5M)、NaCl(300mM)、Tris−HCl、pH7.4(60mM)、1%トリトンX−100、及び場合により消泡剤を含む。好ましい実施態様では、混合チャンバはチャンバへの流体添加に先立って消泡剤の乾燥丸薬を含む。カオトロピック塩グルタチオンイソチオシアナートは、サンプル中に存在し得るグラム陰性及びより少ない程度にグラム陽性菌を溶解し、そしてそれはまたヌクレアーゼを含むサンプル中のタンパク質を変性させる。
【0062】
一度サンプルが溶解されると、それは一次流路に向き直されて、そしてカートリッジの精製ゾーンに移動する。精製ゾーンは廃棄物チャンバ(29)、1つ又はそれ以上の精製試薬チャンバ(26)、及び一体化精製膜(示されず)を含む。好ましい実施態様では、精製ゾーンは、近位から遠位端まで、(i)(a)一次流路及び精製試薬チャンバを接続する第1の精製試薬チャンバ導管;及び(b)精製試薬チャンバ及び精製試薬チャンバ空気口ポートを接続する第2の精製試薬チャンバ導管を含む精製多導管流体接合部;(ii)精製ゾーンの一次流路中に位置付けられる一体化精製膜;及び(iii)(a)一次流路及び廃棄物チャンバを接続する第1の廃棄物チャンバ導管;及び(b)廃棄物チャンバ及び廃棄物チャンバ空気口ポートを接続する第2の廃棄物チャンバ導管を含む廃棄物多導管流体接合部を含む。特に好ましい実施態様では、精製ゾーンは更に、一体化精製膜に先立つ、及び膜からの核酸の回収を最大化するために溶離緩衝液を加熱するように構成される予熱領域(示されず)を含む。好ましくは、予熱領域は、約60〜80℃の間、より好ましくは約65〜75℃の間、及び最も好ましくは約70℃に予熱領域なしで流体を加熱するために、添付のカートリッジ読み取り機中の1つ又はそれ以上の加熱エレメント(又はブロック)と流体連通している。
【0063】
上記のように、精製膜、例えばガラス繊維膜は一次流路内で支持フリット上に位置付けられることができ、そして膜はカートリッジ組み立てに先立って圧縮され得る。精製ゾーン中の一次流路の幾何図形は、好ましくは膜の直径にわたって均一な流体流をもたらすように構成される。好ましい実施態様では、精製ゾーン中の一次流路は、相対的に低い保持容量の均一流を確実にするために、高い縦横比の流体流路をもたらすように構成される。これは膜上の核酸の効率的なキャプチャを容易にする。好ましい実施態様では、ガラス膜はカットされ、そしてカートリッジの製作過程の単一工程においてその場で組み立てられる。
図3(c〜d)に示されるように、結果としての設計は、その間に挟まれているガラス膜材料(36)を備えた上部(34)及び基部(35)プラスチックキャリアから成る。上部キャリア上のナイフエッジ(37)は膜材料を切り開き、そして次いでそれは超音波エネルギの適用により下部キャリアに溶着される。パネル(c)は超音波溶着後のフィルタの構成を示す。ナイフエッジ(37)は超音波溶着中に融解し、そして溶着ビードを形成する。フィルタの厚み、上部キャリア中の凹部の深さ、及び溶着の深度は、フィルタ圧縮の量を決定する。この方法は膜材料の取り扱いを最小化し、そしてそれは膜の再現可能な事前圧縮を容易にする。
【0064】
膜材料を支持する基部プラスチックキャリアの開口部設計は、膜材料の露出表面積を増加させるように最適化できる。基部プラスチックキャリアのための開口部設計の限定されない例は
図3(e)に描写される。この設計は、
図3(e)に示される限定されない実施態様において十字形状になっている支持パターン(38)を特長付ける。示される設計は露出膜表面積を最適化し、それにより流体が膜を通過すると生じる圧力損失を顕著に減少させる。フィルタを横断して適度の圧力損失、例えば、流体マトリクスに無関係に約15psi未満及び好ましくは10psi未満を維持しながら、更なるパラメータは核酸の回収を最小化するのに調整できる。そのような更なるパラメータは、溶着深度に限定されるものではないが、膜直径及び事前圧縮、及び溶解緩衝液製剤を含む。迅速熱サイクルを容易にするためそしてコンパクトなカートリッジ設計を提供するために、精製ゾーン中の抽出容量を最小化することが好ましい。1つの実施態様では、膜の保持容量は、10μL未満、好ましくは5μL未満、そして最も好ましくは2μL未満である。一定容量の溶解緩衝液が膜に加えられ、そして溶離液は廃棄物チャンバに収集される。膜は、汚染物質を除去するために、好ましくはエタノール(最も好ましくは70%エタノール/水)を含む、洗浄緩衝液の膜への添加を含む洗浄サイクルにより洗浄され、溶離緩衝液が加えられ(好ましくは1mMEDTAを含む、10mMTris1.0mM、pH7.5)、そして精製サンプルは一次流路に沿ってPCR反応ゾーンに向けられる。
【0065】
好ましい実施態様では、反応ゾーンは、気泡形成を減少させるために、実質的に接着フリー及び/又はシームフリーである。反応ゾーンにおける反応の実施に必要な試薬は、カートリッジ内の及び/又は一次流路に保存される乾燥丸薬として1つ又はそれ以上の試薬チャンバ中で、及び/又は反応ゾーン中の一次流路に流体接続された1つ又はそれ以上の再構成チャンバ中で保存できる。適切な試薬を含有する凍結乾燥丸薬は再構成チャンバ中で保存でき、そして1つの実施態様では、各チャンバはPCR反応ゾーンにおいて行われる手順の特定の工程で使用される試薬を含む。1つの特定の例では、丸薬は、それぞれ
図3f及び3gに示される長方形又は三葉壁設計を備えたチャンバの使用を通して保持される。
【0066】
特定の実施態様では、カートリッジは複数の再構成チャンバを含む:(a)第1のチャンバは、第1のストランドプライマー、スーパースクリプト−3(逆転写酵素)、dNTP’s、及びcDNA形成に必要な他の試薬を収容する;(b)次のチャンバは、dNTP’s、プライマー、及びTaqポリメラーゼを含むPCR増幅のための試薬を含有する丸薬を収容する;(c)特定の適用がネステッドPCR増幅プロトコールを必要とする場合、第3のチャンバは更なるプライマーを含むことができる;(d)第4のチャンバは、Taqポリメラーゼを阻害するためにそして流体サンプルのイオン強度を増加させるために、凍結乾燥EDTA及び塩を収容し、PCR増幅が完了した後最終変性工程のためにそれを調製する;(e)第5の再構成チャンバは、サンプルが変性した後、キャプチャアレイへ提示直前に再構成される検出プローブを含有する丸薬を保持する。第1のチャンバ中の試薬は次いで再構成され、そして精製サンプルによって一次流路に加えられ、ここでは、流体はcDNA合成を可能にするために反応ゾーンに向けられる。好ましい実施態様では、反応ゾーンはcDNA合成中約47℃に維持される。第2のチャンバ中の試薬は次いで再構成され、そして一次流路中において流体に加えられる。ゲノム増幅中の重要な工程は、その中で長いピースの二本鎖DNAが別々に融解する初回の変性であり、プライマー結合配列を露出し、そしてプライマーがTaqポリメラーゼによる伸長前に結合することを可能にする。好ましい実施態様では、二本鎖ゲノムDNAはサイクル前に約90秒間変性される。この工程の完了時に、一本鎖ゲノム材料を含有する液体サンプルは、第1の反応温度制御ゾーン(約96℃に維持される)から第2の反応温度制御ゾーン(約60℃に維持される)まで動き、ここではプライマーはTaqポリメラーゼの作用を通して結合しそして伸長される。カートリジはPCR反応ゾーンのこれらの2つの反応温度ゾーン間で液体を往復し、そしてこの過程は約45分まで繰り返され、検出可能PCRアンプリコンの生成をもたらす。場合により、更なるプライマーが第3のチャンバ中に再構成され、そして一次流路中で流体と併せられ、次いでネステッド配列の増幅のためにもう一度第1及び第2の反応温度制御ゾーンを通して循環される。第4のチャンバの内容物は再構成され、そして最終変性工程のために一次流路に向けられる。好ましくは、最終変性工程は約94℃で実施される。
【0067】
好ましい実施態様では、第1及び第2の反応温度制御ゾーン間の流路は、各反応温度調節ゾーン間の液体の位置を決定するために、圧力センサの使用を可能にする制限ゾーンを含む。液体が制限ゾーンを横切るとき、駆動圧は増加し、流路中の液体の位置を表示しそして密閉ループ制御を可能にする。制限ゾーンは
図3(h)に描写される。好ましい実施態様では、制限ゾーンの長さは約0.1−1.0インチの間そしてより好ましくは約0.375インチであり、そして断面の幅及び高さは5ミルと40ミルとの間、そしてより好ましくは約10ミル(1ミル=0.001インチ)である。従って、本発明は、i)第1の温度制御ゾーン中で流体スラグをインキュベートすること、ii)制限ゾーンを通して第2の反応ゾーンに流体スラグを動かすために圧力又は真空を使用すること、iii)流体スラグが反応ゾーンを完全に通過するときを決めるために、加えられた圧力をモニターすること、及びiv)流体の動きを止めるためにそして第2の温度制御ゾーン中で流体スラグをインキュベートするために、加えられた圧力及び真空を放出すること:を含んでなる方法を含む。本発明はまた、第2から第1の温度制御ゾーンに流体スラグを動かすための類似の方法、並びに温度ゾーン間で流体スラグを繰り返し動かすことにより温度間に流体スラグを循環させるための方法を含む。
【0068】
一次流路は反応ゾーン出口時から検出ゾーンへ通じている。検出ゾーンは、(i)一次流路及び1つ又はそれ以上の検出試薬チャンバ;及び(ii)1つ又はそれ以上の検出試薬チャンバ及び1つ又はそれ以上の検出試薬空気口ポート、を接続する検出試薬多導管接合部によって交差される。検出ゾーンはPCR反応ゾーンにおいて生成されるPCRアンプリコンで物理的測定を実施するように適合される。検出プローブは再構成されそして一次流路に向き、ここではプローブは反応ゾーンで形成されるPCRアンプリコンと混合される。特に好ましい実施態様では、検出ゾーンは、
図4に描写される核酸検出アッセイを用いてPCRアンプリコンを検出するように構成される。簡単には、固有の標的特異的キャプチャ配列から成るオリゴヌクレオチドプローブ(41)は、検出ゾーンにおいて分離電極(42)に固定化される。これらのキャプチャオリゴヌクレオチドは、5’末端(43)でチオール化されそしてスルホSMCCリンカー化学を通してウシ血清アルブミン(BSA)(44)に共有結合され、そしてBSAは炭素ベース電極上に吸着される。検出プローブ(45)は3’ビオチン残基を含有する固有のオリゴヌクレオチドプローブ配列から成る。これらのプローブは1:1比でECL−標識ストレプトアビジン(46)に結合される。キャプチャ及び検出プローブの両方は、PCRで使用されるプライマー結合部位(47)に内在する固有の配列である。この方法は、遊離PCRプライマーの存在下に生じ得る可能な競合的結合イベントを最小化するように使用できる。検出プローブ及びアンプリコンは検出ゾーン中でインキュベートされ、検出緩衝液が加えられ、検出ゾーンは場合により洗浄され、そして電極誘導ルミネセンスが検出される。
【0069】
検出ゾーンは一段か又は二段フォーマットでアッセイを実施するように構成できる。一段形式では、キャプチャ表面は、単一容量中に被検体及び検出プローブを含有する溶液に露出され、そして分析前に規定時間インキュベートされる。二段アッセイは被検体及び検出プローブを分離する:被検体溶液は先ずキャプチャ表面でインキュベートされ、その後検出プローブの添加及び第2のインキュベーションが続く。洗浄工程は、検出プローブの添加前にいずれもの非結合被検体を除去するために2工程間に組み込まれ得る。好ましい実施態様では、一段アッセイフォーマットは検出ゾーン中で用いられる。
【0070】
好ましくは、アッセイカートリッジ中の電極は流体経路に沿って2次元アレイ中でパターン化される。アレイ及び/又は流体経路は好ましくは直線的配置であるが、他の形状(例えば、円弧、曲線、ジグザグなど)もまた使用できる。好ましい実施態様では、検出ゾーンにおける一次流路は検出ゾーン中で均一なフロースルーアウトを維持するように構成され、そして流路は正方形又はU形状の配置を含む。最も好ましくは、流れの方向に沿った流路の長さは流れの方向に垂直な幅よりも大きく、電極の活動領域は流路の幅のかなりの部分(好ましくは60%より大きく、より好ましくは80%より大きい)を占め、及び/又は電極上の流路の高さは流路の幅と比べて小さい。特に好ましい実施態様では、電極はCCDカメラを用いて画像化され、電気化学ルミネセンスは検出ゾーン中の全電極表面にわたって同時にトリガーされ、そしてカメラは発光電気化学ルミネセンスを検出するように全電極を撮像する。
【0071】
2003年12月23日に出願された同時係属のUSSN10,744,726及び添付文書の
図1(c)に図示されるように、電極アレイ(好ましくはカーボンインクから成る)は、電極、導線、及び電気接点部分を形作るために基材層に適用される。誘電体層は好ましくは、アッセイドメイン及びインピーダンスセンサを規定するために電極の上方に適用される。あるいは、電気接点は基材の反対側に印刷できて、そして基材を通して導電スルーホールを介して電極又は導線に接続できる。
【0072】
2002年6月28に出願された同時係属US特許出願番号10/185,274、2003年12月23日に出願された10/744,726、及び2010年12月3日に出願された12/959,952は、これによって参照することにより本明細書に組み入れられており、電極誘導ルミネセンスアッセイで用いるようにそして本発明のアッセイカートリッジとともに使用するように適合される、電極及び誘電材料、電極パターン及びパターニング技術及び固定化技術の多くの例を提供する。本発明における電極は好ましくは導電材料から成る。電極は、金、銀、白金、ニッケル、鋼、イリジウム、銅、アルミニウム、導電性合金などの金属を含んでよい。それらはまた、酸化物被覆金属(例えば酸化アルミニウム被覆アルミニウム)を含んでよい。電極は、分子状炭素の導電形態などの非金属導体を含んでよい。電極はまた、半導性材料(例えばシリコン、ゲルマニウム)又はインジウム錫酸化物(ITO)、アンチモン錫酸化物(ATO)などの半導性膜から成り得る。電極はまた、導電性複合材料、インク、ペースト、ポリマブレンド、金属/非金属複合材料などから成ることができる。そのような混合物は、非導電性材料と混合した導電性又は半導体材料を含んでよい。好ましくは、電極材料は実質的にシリコンベース材料を含んでいない。
【0073】
本発明のアッセイカートリッジ中で使用される電極(特に作用電極)は、発光化学種からルミネセンスを有利に誘導することができる。作用電極用の好ましい材料は、第三級アルキルアミン(トリプロピルアミンのような)の存在下に、ルテニウム−tris−ビピリジンから電気化学ルミネセンスを誘導することができる材料である。そのような好ましい材料の例は、白金、金、ITO、炭素、炭素高分子複合材料、及び導電性高分子を含む。
【0074】
好ましくは、電極は、炭素、カーボンブラック、黒鉛炭素、カーボンナノチューブ、炭素フィブリル、黒鉛、炭素繊維及びその混合物から成る。有利なこととして、それらは導電性炭素高分子複合材料、マトリックスに浸漬した導電性粒子(例えばカーボンインク、カーボンペースト、金属インク)、及び/又は導電性高分子から成る。本発明の1つの好ましい実施態様は、アッセイカートリッジ、好ましくは、炭素、好ましくは炭素層、より好ましくはカーボンインクのスクリーン印刷層を含む、電極(例えば、作用電極及び/又は対極)を有するアッセイカートリッジである。幾つかの有用なカーボンインクは、Acheson Colloids Co. (例えば, Acheson 440B, 423ss, PF407A, PF407C, PM-003A, 30D071, 435A, Electrodag 505SS, 及びAquadag(商標)), E. I. Du Pont de Nemours and Co. (例えば, Dupont 7105, 7101, 7102, 7103, 7144, 7082, 7861D, E100735 62B及びCB050), Advanced Conductive Materials (例えば, PTF 20), Gwen Electronics Materials (例えば, C2000802D2) 及びConductive Compounds Inc (例えば, C-100), 及びErcon Inc. (例えば, G-451, G-449 及び150401) で製造された材料を含む。
【0075】
電極は、成形過程(即ち、電極の製作中)により、パターン化沈着により、パターン化印刷により、選択エッチングにより、ダイス切断又はレーザドリリングなどの切断方法を通して、及び/又は電子技術微細加工の技術分野で公知の技術により、パターンに形成できる。電極は自立型であってよく、又は別の材料上で、例えば膜、プラスチックシート、接着シート、紙、裏張り、メッシュ、フェルト、繊維性材料、ゲル、固体(例えば金属、セラミックス、ガラス)、エラストマ、液体、テープ、接着剤、他の電極、誘電性材料など上で支えることができる。支持体、又は基材は、剛性又は可撓性、フラット又は変形、透明、半透明、長方形又は反射性であってよい。好ましくは、支持体はアセテート又はポリスチレンなどのプラスチックのフラットシートを含む。電極材料は、ペインティング、スプレーコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、レーザ印刷、スピンコーティング、蒸発コーティング、化学蒸着などの当技術分野で公知の種々のコーティング又は沈着方法により支持体に適用できる。支持電極は、フォトリソグラフィー技術(例えば、電極の微細加工における確立された技術)を用いて、選択的エッチングにより、及び/又は選択的沈着(例えば、マスクを通して行われる蒸発又はCVD方法)によりパターン化できる。好ましい実施態様では、電極は導電炭素/高分子複合材料の押出膜から成る。別の好ましい実施態様では、電極は基材上に沈着されたスクリーン印刷導電インクから成る。電極は別の導電材料によって支持できる。幾つかの用途では、スクリーン印刷カーボンインク電極は、電極の導電性を改善するために導電性金属インク(例えば、銀インク)層の全体を覆って印刷される。好ましくは、アッセイカートリッジにおいて、小型化設計は、比較的同じような長さの短い印刷電極導線(好ましくは1.5cm未満、より好ましくは1.0cm未満)を有する電極の使用を可能にする。導線を短く保つことにより、下層の銀層のような導電性金属層なしにスクリーン印刷炭素電極を使用することが可能である。
【0076】
本発明の好ましい実施態様によれば、電極表面(好ましくはカートリッジ又はアッセイプレートの作用電極表面)は誘電体表面によって反発され、誘電体表面は上げられ又は下げられ(好ましくは隆起して)、及び/又は電極表面と異なる疎水性(好ましくはより疎水性)より成る。好ましくは、誘電体境界は、電極表面に対して0.5〜100μm、又は好ましくは2〜30μm、又は最も好ましくは8〜12μmだけ高い。更により好ましくは、誘電体境界は、輪郭の明瞭なエッジ(即ち、電極と誘電体境界間のインターフェースにおいて急勾配境界壁及び/又は急角度を備える)を有する。
【0077】
好ましくは、第1の電極表面は、水に対して誘電体表面よりも10度少ない、好ましくは15度少ない、より好ましくは20度少ない、より好ましくは30度少ない、更により好ましくは40度少ない、そして最も好ましくは50度少ない前進接触角を有する。隆起し及び/又は電極表面よりもより疎水性である誘電体表面を有する1つの利点は試薬沈着過程においてであり、ここで誘電体境界は電極表面の境界内に試薬を閉じ込めるのに使用できる。特に、電極と誘電体境界間のインターフェースにおいて急勾配境界壁及び/又は急角度を備える輪郭の明瞭なエッジを有することは、溶液の「ピンニング(pinning)」液滴及びそれらを電極表面に閉じ込めるために特に有用である。本発明の特に好ましい実施態様では、誘電体境界は、電極上及び/又は周りにパターン化誘電性インクを印刷することによって形成され、パターンは1つ又はそれ以上のアッセイドメインを電極上に露出するために設計される。
【0078】
電極は、試薬の固定化を改善するために化学的又は機械的処理によって改良され得る。表面は、試薬の固定化用に官能基を導入するために、又はその吸着特性を増強するために処理できる。表面処理はまた、電極表面の性質、例えば表面への水の広がり又は電極表面での電気化学的過程の動力学に影響を及ぼすように使用できる。電磁放射線、電離放射線、プラズマ、又は酸化剤、求電子剤、求核剤、還元剤、強酸、強塩基及び/又はその組み合わせなどの化学試薬への露出を含んで使用できる。1つ又はそれ以上の電極の部材をエッチングする処理は、電極の粗さ及びそれ故に表面積を増加させることによって特に有利であり得る。高分子マトリックス又はバインダ中に導電粒子又は繊維(例えば、炭素粒子又はフィブリル)を有する複合電極の場合に、高分子の選択的エッチングは導電粒子又は繊維を露出するのに使用できる。
【0079】
1つの特に有用な実施態様は電極の改良であり、そしてより広範にはプラズマ、具体的には低温プラズマ、またグロー放電と呼ばれる処理により本発明に組み込まれる材料である。処理は、処理中にプラズマと接触する電極の表面特性を変えるために行われる。プラズマ処理は、例えば、電極の物理的性質、化学組成、又は表面化学的性質を変えることができる。これらの変化は、例えば、試薬の固定化に資する、汚染物質を減少させる、他の材料への接着を改善する、表面の湿潤性を変える、材料の沈着を容易にする、パターンを創出する、及び/又は均一性を改善できる。有用なプラズマの例は、酸素、窒素、アルゴン、アンモニア、水素、フッ化炭素、水及びその組み合わせを含む。酸素プラズマは、炭素−高分子複合材料中に炭素粒子を露出するのに特に好ましい。酸素プラズマはまた、試薬の結合を可能にするために、カルボン酸又は他の酸化炭を機能的に炭素又は有機材料(これらは、例えば、活性エステル又は塩化アシルとして活性化され得る)に導入するために使用され得る。同様に、アンモニア含有プラズマは、アッセイ試薬に結合用にアミノ基を導入するために使用できる。
【0080】
電極表面の処理は、固定化を改善する又は容易にする、電極の湿潤性を変える、表面積を増加させる、試薬の固定化(例えば、脂質、タンパク質又は脂質/タンパク質層)の結合能力又は被検体の結合を増加させる、及び/又は電極での電気化学反応の動力学を変えるために有益であり得る。幾つかの適用では、しかしながら、未処理電極を使用することは好ましいといえる。例えば、発明者らは、適用が大きな動的範囲を、そしてそれ故に電極の面積当りの高い結合能力を必要とするとき、カーボンインク電極を固定化に先立ってエッチングすることが有利なことを見出している。本発明者らは、酸化エッチングが(例えば、酸化プラズマによって)、トリプロピルアミン(TPA)の酸化能力及び水に対する接触角の両方が非エッチングインクに対して減少する点で更なる利点を有することを発見している。水に対する低接触角は、試薬が小容量の水性緩衝液中で試薬の適用により電極上に吸着されることを可能にし、そして小容量が電極表面に均等に広がることを可能にする。驚くべきことに、本発明者らは、優れたアッセイ法はまた、インク中の高分子バインダの存在にもかかわらず、非エッチングインクカーボンインク電極上で行われ得ることを見出している。実際に、高い選択性又は低い非特異的結合を必要とする幾つかの用途では、露出炭素の表面積を最小化すために、そしてそれ故にバックグラウンドシグナル及び試薬の非特異的結合から露出炭素への試薬のロスを最小化するために、非エッチングインクカーボンインク電極を使用することが好ましい。使用されるインク及びインクを適用するのに使用される工程に応じて、電極表面は水溶液によって容易に湿潤性になり得ない。本発明者らは、電極表面上への溶液の広がりを容易にするために、低濃度の非イオン性界面活性剤を試薬溶液に加えることにより、試薬の吸着中に電極の低湿潤性を代償することができることを見出している。小容量の溶液からの試薬の固定化中、均等な広がりは特に重要である。例えば、我々は、0.005〜0.04%のトリトン X−100(登録商標)の添加が、電極へのタンパク質の吸着に影響を与えることなく、そして電極表面に流体を限定するために、電極上に又は隣接して適用される誘電体膜(好ましくは0.5〜100μm、又はより好ましくは2〜30μm、又は最も好ましくは8〜12μmの厚みの、そして輪郭の明瞭なエッジを有する印刷された誘電体膜)の能力を破壊することなく、非エッチングインクカーボンインク表面に広がることを可能にすることを見出している。好ましくは、トリトン X−100のような非イオン性洗浄剤が、試薬(例えば、キャプチャ試薬)の非エッチングインクスクリーン印刷電極(即ち、試薬の固定化を可能にするために)上へ広がりを容易にするために使用されるとき、試薬を含有する溶液は電極表面上で乾燥することを可能にされる。この乾燥工程は固定化過程の効率及び再現性を大きく改善させることが見出されている。
【0081】
電極は、他の材料をそれらに結合させるのに使用されることができる化学官能基で誘導体化できる。材料はこれらの官能基に共有結合できて、又はそれらは誘導体化若しくは非誘導体化電極に非共有結合的に吸着できる。電極は、それらの表面に共有結合される化学官能基によって製造されることができる。これらの化学官能基は、限定されるものではないが、COOH、OH、NH
2、活性化カルボキシル(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)−エステル)、ポリ−(エチレングリコール)、チオール、アルキル((CH
2)
n)基、及び/又はその組み合わせ)を含む。特定の化学官能基(例えば、COOH、OH、NH
2、SH、活性化カルボキシル)は試薬を電極に結合するのに使用できる。有用な固定化及びバイオコンジュゲーション技術への更なる参照では、G. Hermanson, A. Mallia and P. Smith, 固定化アフィニティリガンド技術(Academic Press, San Diego, 1992)及び G. Hermanson, バイオコンジュゲート技術(Academic Press, San Diego, 1996)を参照されたい。
【0082】
好ましい実施態様では、NHS−エステル基は、求核化学官能基(例えば、アミン)を持つ他の分子又は材料を結合するのに使用される。好ましい実施態様では、求核化学官能基は、天然か及び/又は化学的誘導体化により生体分子上及び/又は中に存在している。好適な生体分子の例は、限定されるものではないが、アミノ酸、タンパク質及びその機能性フラグメント、抗体、抗体の結合フラグメント、酵素、核酸、及びその組み合わせを含む。これは多くのそのような可能な技術の1つであり、そしてここで与えられる例及び多くの他の類似材料及び/又は生体分子に一般に適用可能である。好ましい実施態様では、ECLに使用され得る試薬はNHS−エステル基を介して結合されることができる。
【0083】
電極への材料の非特異的結合の拡大を制御することは望ましいといえる。簡単には、非限定例により、タンパク質、抗体、抗体の結合フラグメント、細胞、細胞内粒子、ウイルス、血清及び/又は1つ又はそれ以上のその成分、ECL標識(例えば、Ru
II(bpy)
3及びRu
III(bpy)
3誘導体)、シュウ酸塩、トリアルキルアミン、抗原、被検体、及び/又はその組み合わせ)の非特異的吸着を減少させ又は阻止することは望ましいといえる。別の実施例では、生体分子の結合を増強させることは望ましいといえる。
【0084】
非特異的結合を減少させ又は阻止することができる1つ又はそれ以上の化学構造(また保護基として公知の)は、電極中、上又は近接して存在できる。そのような部分、例えばPEG部分及び/又は荷電残基(例えば、リン酸塩、アンモニウムイオン)は、電極に結合又はコーティングできる。有用な保護試薬の例は、タンパク質(例えば、血清アルブミン及び免疫グロブリン)、核酸、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドのブロック共重合体、ポリエチレンイミン及び洗浄剤又は界面活性剤(例えば、ブリッジ、トリトン、ツイーン、Thesit、ルブロール、Genapol、プルロニックス(例えば、F108)、Tetronic、Tergitol、及びスパンの商標名で公知の非イオン性洗浄剤/界面活性剤の種類)を含む。
【0085】
電極に使用される材料は、非特異的結合を減少させるために界面活性剤で処理できる。例えば、電極は、当業者には周知の界面活性剤及び/又は洗浄剤(例えば、ツイーン、トリトン、プルロニックス(例えば、F108)、スパン、及びブリッジシリーズの洗浄剤)で処理され得る。PEGの及び/又はPEG(例えば、オリゴ−又は多糖類、他の親水性オリゴマ又はポリマ)(“ポリエチレングリコール化学: Biotechnical and Biomedical Applications”, Harris, J.M. Editor, 1992, Plenum Press)と同じように挙動する分子の溶液は、界面活性剤及び/又は洗浄剤の代わりに及び/又は併せて使用されることができる。上記に掲載されたような特定の実体(entities)の望ましくない非特異的吸着は、保護剤の競合的非特異的吸着によって、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン又は免疫グロブリンG(IgG)などのタンパク質によってブロックできる。表面上の残存非占有部位をブロックするために、アッセイ試薬を電極上で吸着又は共有結合することができ、そしてそれに続いて電極を保護剤で処理することができる。
【0086】
アッセイカートリッジで使用される電極は好ましくは、非多孔性で、しかしながら、使用目的によっては、多孔性電極(例えば、炭素繊維又は微小繊維のマット、焼結金属、及び濾過膜に沈着された金属膜、紙又は他の多孔性基材)を使用することは有利である。これらの用途は:i)電極表面への物質輸送を増加させる(例えば、溶液中の分子を電極表面上の分子へ結合させる動力学を増加させるため);ii)電極表面上で粒子をキャプチャする;及び/又はiii)ウェルから液体を除去するために、電極を通した溶液の濾過を用いる用途を含む。
【0087】
好ましいアッセイカートリッジは、誘電体インク、膜又は他の電気絶縁材料(以後誘電体と称する)を使用することができる。本発明における誘電体は、電極間の電気伝導性を阻止するために、パターン化領域を規定するために、材料を互いに接着させるために(即ち、接着剤として)、材料を支持するために、マスクとして、インディシアとしてアッセイドメインを規定するために、及び/又はアッセイ試薬及び他の流体を含有するために、使用されることができる。誘電体は非導電性でそして有利なこととして非多孔性(即ち、材料の透過を許容しない)であり、そして電極誘導ルミネセンス測定中に直面される媒体の存在下での溶解又は分解に抵抗性である。本発明における誘電体は液体、ゲル、マトリックス中に分散される固体又は材料であってよい。それらは非硬化形態で沈着されそして固体になるように硬化され得る。誘電体に使用される材料は、高分子、フォトレジスト、プラスチック、接着剤、ゲル、ガラス、非導電性インク、非導電性ペースト、セラミックス、エラストマ、シリコーン、熱可塑性プラスチックを含む。好ましくは、本発明の誘電体材料は実質的にシリコーンを含まない。非導電性インクの例は、Acheson Colloids Co.(例えば、Acheson451SS、452SS、PF−455、PD039A、PF−021、ML25251、ML25240、ML25265、及びElectrodag38DJB16clear)、Nazdar(例えば、NazdarGS2081、3400SPL)、及び E. I. du Pont de Nemours & Co.(例えば、Dupont:5018、3571、及び5017)によって製造される材料などのUV硬化性誘電体を含む。
【0088】
ある好ましい実施態様に基づく誘電体は、種々の手段、例えば、印刷、スプレー、ラミネート加工によって適用されることができ、又は接着剤、グルー、溶媒で又は機械的締結具によって取り付けられることができる。誘電体層中のパターン及び/又は穴は、成形過程(即ち、層の製作中に)により、選択的エッチングにより及び/又はダイス切断又はレーザドリリングなどの切断方法によって形成できる。誘電体は、確立されたフォトリソグラフィー技術(例えば、半導体エレクトロニクス工業において使用される技術)の使用を通したパターンにおいて、及び/又は蒸発又はCVD方法を用いたパターン化沈着によって(例えば、マスクを通した沈着によって)沈着及び/又はエッチングされることができる。好ましい実施態様では、誘電体インクは、印刷(例えば、インクジェット印刷、レーザ印刷、又はより好ましくはスクリーン印刷)によって基板上に沈着され、そして場合によりUV硬化される。好ましくは、スクリーン印刷誘電体はUV硬化性で、溶媒ベース誘電体よりもエッジ解像力改善を可能にする。別の好ましい実施態様では、非導電性高分子膜は接着剤を用いて支持体に取り付けられる。
【0089】
電極表面の領域に流体を限定するために電極上に又は隣接して印刷される誘電たインクを用いるとき、誘電体膜は、好ましくは、0.5〜100μm、又はより好ましくは2〜30μm、又は最も好ましくは8〜12μmの厚みを有し、そしてまた好ましくは、急勾配壁の輪郭の明瞭なエッジを有する。
【0090】
カートリッジ中のパターン化電極の使用は、ある固有の設計及び/又は性能制約を課することができる。特に、パターン化電極リード線の使用は、特にしばしば比較的高い電流を必要とする電気化学ルミネセンスのような用途において、リード線に沿った電圧降下にかかわる問題をもたらすことができる。カーボンインクのようなほんの中程度に導電性材料の薄層を含んでなる電極を使用するとき、問題はしばしば最大である。問題は多層パターン化電極(ここではカーボンインクのような露出された中程度導電性の材料の導電性は、銀インクのようなより導電性材料を超えてそれを印刷することにより増加される)の使用により部分的に軽減され得るが、この方法は更なる製作工程を導入する。あるいは問題は、電圧降下を最小化するように、リード線を短く(好ましくは、それで電極と電気接点間の抵抗は500オーム未満、より好ましくは300オーム未満、最も好ましくは100オーム未満になる)保つことにより、そして電圧降下を電極から電極まで一貫させるようにリード線をほぼ同じ長さに保つことにより、複数のアッセイ電極を有するシステムにおいて軽減できる。
【0091】
複数の作用電極を含んでなるアッセイカートリッジでは、電極から電極まで電曲リード線をわたる圧力降下の変動性は、この変動性が測定値の変動性に対して最小の影響を有するように、アッセイ測定の経過中にかけられた電位よりも好ましくは小さい。特に好適な実施態様では、リード線をわたる圧力降下の変動性は、アッセイ測定の経過中にかけられた電位の20%未満、より好ましくは10%未満又は最も好ましくは2%未満である。あるいは、リード線の均一性はリード線をわたる抵抗の変動の点から記載され得て、それは好ましくは50オーム未満、より好ましくは10オーム未満、最も好ましくは1オーム未満である。
【0092】
電極及び/又は接点の配置がリード線を均一な長さに保つことを困難にする場合、リード線抵抗の整合は、各電極リード線の長さと幅の比を幾何学的に整合させることにより実現できる(一貫した版厚と仮定して)。この長さと幅の比は以後「平方数(number of squares)」と称する。通常、スクリーン印刷カーボンインクを用いた好ましいカートリッジベースの構成では、電極リード線は4〜5平方のオーダーである。市販のインクは通常厚み当り1平方当りの抵抗で規定されるインク抵抗(オーム/平方/ミル)を有し、そして選択されたインクに応じて広範に変動し得る。特に好ましい実施態様では、約15オーム/平方/ミルを測定するインク抵抗を有するカーボンインクが使用される。1つの好ましい実施態様でリード線をわたる両端から測定された全抵抗は通常、5平方リード線を用いた構成では450オームのオーダーである。
【0093】
本発明の別の態様によれば、電極表面は、電極アレイ上の1つ又はそれ以上の適切な位置、即ちキャプチャ表面に試薬を含んでなる溶液を投薬することにより、BSA又は他の特異的結合試薬のようなアッセイ試薬でコーティングされる。好ましくは、アッセイ試薬は、電極上に固定層を形成するために(即ち、共有結合の形成、非特異的吸着又は特異的結合相互作用を介して)表面上に集まる。好ましい実施態様では、指定の位置への正確な容量送達は、所望の電極表面だけ及び/又はその所望の部分の完全カバレージをもたらす。指定の位置への正確な容量送達は、市販の投薬装置;例えば、BioDotの市販装置で容易に達成し得る。
【0094】
液体(例えば、アッセイ試薬又はアッセイ試薬を含んでなる液体)の限局的沈着を介して表面(例えば、アッセイ電極)上に、事前に定義された領域の完全カバレージを実現することは、表面上の液体の前進接触角が高い場合達成するのが困難であり得て、それにより(未処理カーボンインク電極上で界面活性剤フリーの水溶液で観察されているように)表面上への液体の拡散を阻止する。拡散は、それをより湿潤性にするために表面を化学的に修飾することにより、又は界面活性剤を液体に加えることにより加速できるが、しかしながら、多くの場合に、表面又は液体の物理的性質を変えることは望ましくない。あるいは、発明者らは、液体の優れたそして制御良好な拡散が、衝撃駆動流体拡散を用いることにより、高接触角ヒステリシス(即ち、表面での液体の前進及び後退接触角の大きな差、好ましくは10度より大きい、より好ましくは30度より大きい、より好ましくは50度より大きい、最も好ましくは70度より大きい)を有する、カーボンインク電極のような表面で実現できることを見出している。そのような結果は、表面改質又は界面活性剤の使用により達成できる。流体は、高前進接触角にもかかわらず、表面にわたって液体の拡散を、投薬流体のボリューム及び速度によって指示されたサイズに駆動するために(好ましくは、200cm/sより大きい、より好ましくは500cm/sより大きい、最も好ましくは800cm/sより大きい)、高速で表面に(好ましくは、マイクロピペット、マイクロシリンジのような流体マイクロディスペンサ、ソレノイド弁制御マイクロディスペンサ、圧電駆動ディスペンサ、インクジェットプリンタ、バブルジェットプリンタなどを用いて)沈着される。低後退接触角は一度それが広かると流体の顕著な後退を阻止する。衝撃駆動拡散技術を用いて、表面上で所定容量の液体の定常状態拡散面積(即ち、その容量を有する液滴がゼロに近づく速度で表面に接触されたとき広がる面積)よりもかなり大きい(好ましくは少なくとも1.2の係数だけ、より好ましくは少なくとも2の係数だけ、尚好ましくは少なくとも5の係数だけ)表面の領域を、所定容量の液体でコーティングすることは可能である。
【0095】
好ましくは、コーティングされる予定の領域は、事前定義領域(例えば、周囲の棚又は窪み、表面に沈着され又は印刷されたパターン化材料の形状を成す境界、及び/又は湿潤性のような物理的性質が異なる周辺領域を備えるインターフェースを介して形成される境界)に沈着流体を限定するために、バリアとして機能する物理的境界によって規定される。より好ましくは、液体は事前定義領域でよりも周辺領域でより高い後退接触角を有する(好ましくは、その差は10度より大きい、より好ましくは30度より大きい、最も好ましくは50度より大きい)。尚より好ましくは、周辺領域もまた、液体に対して低接触角ヒステリシス(好ましくは20度未満、最も好ましくは10度未満)を呈する。高後退角及び/又は低ヒステリシスを有する周辺領域を用いることにより、沈着速度又は拡散率における不正確さに対する許容度はかなり改善されるようになる。好ましい沈着方法では、少量の試薬は十分な速度により事前定義領域上で調剤され、事前定義領域にわたってそしてわずかに周辺領域上に広がり、液体は次いで(その高後退接触角に因り)周辺領域を後退して離れるが、しかし、(その低後退接触角に因り)事前定義面積のサイズよりも小さく後退する。本発明の特に好ましい実施態様では、事前定義面積は電極(好ましくはカーボンインク電極)の露出面積であり、そして周辺領域は電極上でパターン化された誘電体インクによってもたらされる。
【0096】
上記のように、核酸、タンパク質、又は他の特異的結合試薬のようなアッセイ試薬は、表面(例えば、電極表面、好ましくはカーボンインク電極表面)での事前定義位置上に試薬を含んでなる溶液を(例えば、衝撃駆動拡散を介して)沈着することによりパターン化され得て、そして試薬が表面上に(例えば、共有結合、非特異的相互作用及び/又は特異的結合相互作用を介して)固定化されるようになることを可能にする。好ましくは、コーティングされる予定の領域は、流体閉じ込め領域を形成するために、事前定義領域(例えば、周囲の棚又は窪み、表面上に沈着され又は印刷されたパターン化材料の形状を成す境界、及び/又は湿潤性のような物理的性質が異なる周辺領域を備えるインターフェースを介して形成される境界)に沈着流体を限定するように、バリアとして機能する物理的境界によって規定される。
【0097】
ある好ましい実施態様では、核酸、タンパク質、又は他の結合試薬(好ましくはタンパク質に関係する結合試薬)は、非特異的吸着によりカーボンインク電極上に固定化される。固定化手順中に、アッセイ試薬溶液が電極上で乾燥することを可能にすることは有利であり得る。好ましくは、固定化手順は更に、タンパク質溶液のような保護剤(例えば、BSA又はカゼインの溶液)により表面上の非コーティング部位をブロッキングすること、表面を洗浄溶液(好ましくは界面活性剤、保護剤、及び/又は蔗糖のようなタンパク質安定剤を含んでなる緩衝溶液)で洗浄すること、及び/又は表面を乾燥することを含む。
【0098】
本発明の好ましい固定化手順では、カーボンインク電極のような表面に吸着させる種々のアッセイ試薬の能力の差に因る不正確さは、第1及び第2の結合パートナーにかかわる特異的結合相互作用を介して固定することにより減少される。そのような固定化技術は、表面の性質の小さな変動によってあまり影響されないようである。一例として、核酸は、核酸相補体(第2の結合パートナー)によってコーティングされた表面上での核酸溶液(第1の結合パートナー)のパターン化沈着によりパターン化され得る。あるいは、第1の結合パートナー(好ましくは、ビオチン)で標識されたアッセイ試薬は、第2の結合パートナー(好ましくは、抗ビオチン、ストレプトアビジン、又はより好ましくはアビジン)でコーティングされた表面上でのアッセイ試薬のパターン化沈着によりパターン化され得る。最も好ましくは、第2の結合パートナーはアッセイ試薬と同じパターンで沈着される。類推により、方法は、限定されるものではないが、ハプテン−抗体、核酸−相補的核酸、受容体−リガンド、金属−金属リガンド、糖−レクチン、ボロン酸−ジオールなど、を含む種々の公知の第1の結合パートナー−第2の結合パートナーペアのいずれかを使用するのに適合され得る。
【0099】
熟練者は、本発明のカートリッジの製作に好適な材料を容易に選択することができる可能性がある。好適な材料は、ガラス、セラミックス、金属及び/又はアクリル高分子(例えばルーサイトなど)、アセタール樹脂(例えばデルリンなど)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(例えば、Tフロン)、ポリスチレン、ポリプロピレン、ABS、PEEKなどのようなプラスチックを含む。好ましくは、材料は、カートリッジの使用又は保存中にそれらと接触するいずれの溶液/試薬にも不活性である。ある特定の実施態様では、カートリッジの少なくとも幾つかの部分は、例えば、カートリッジの検出チャンバ内の組成分析のために、又はカートリッジ内で規定される流体ネットワークを通した液体の動きをモニターし制御するために、カートリッジ内部での流体又は表面の光学的疑問を可能にする窓の備えるために、ガラス又はアクリル高分子のような透明及び/又は半透明材料から製作される。
【0100】
アッセイカートリッジは、好ましくは、読み取り機装置を介して選択的に制御されるように適応されそして構成される。これに関して、それらの開示が参照することにより本明細書に取り込まれている、
図1(a)、23及び34及び2002年12月23日に出願された米国仮出願番号10/744,726の添付テキスト並びに
図42〜46、及び2010年12月3日に出願された米国仮出願番号12/959,952の添付テキストが参照される。
図5(a)は読み取り機の簡略化された模式図を画く。読み取り機(50)は、好ましくは、ハウジング(51)、及び光検出器(52)を含み、そして読み取り機は、カートリッジ(53)、及び/又はカートリッジの処理のための光検出器を受け取りそして位置付けるように適応されそして構成される。読み取り機は、一つ又はそれ以上の以下の物を含むことができる支援サブシステムも含む;サンプルの取り扱いのためのサンプル入手/前処理/保存のサブシステム;カートリッジの電気的接点を電気的に接触させ、そしてカートリッジ検出ゾーン(54)内の電極に電気エネルギを供給するための電気的サブシステム;及びシステム及びサブシステムの操作を制御しそして調節し、そして光検出信号を入手、処理及び保存するための制御サブシステム。
【0101】
本発明の好ましい実施態様において、アッセイカートリッジは最小の活性な機械的又は電子的部品を有するか又は全く有しない。アッセイを実行するとき、そのようなアッセイカートリッジはこれらの機能を供する読み取り機内に導入できる。例えば、読み取り機は、アッセイ電極に電気的エネルギをかけるための、そしてアッセイ電極での得られた電位又は電流を測定するための電子回路を有することができる。読み取り機は、アッセイ電極で生み出される発光を測定するための一つ又はそれ以上の光検出器を有し得る。使用され得る光検出器は、制限するものではないが、光電子増倍管、アバランシュフォトダイオード、フォトダイオード、フォトダイオードアレイ、CCDチップ、CMOSチップ、フィルムを含む。光検出器は、レンズ、フィルタ、シャッタ、絞り、ファイバーオプティックス、光導波路なども含む光検出システム内に構成できる。読み取り機は、流体をカートリッジに供給し、流体の存在を確かめ、及び/又は流体を適切な制御された温度に維持するためのポンプ、バルブ、ヒーター、センサなども有することができる。読み取り機は、読み取り機自身に搭載されて、又は別個のアッセイ試薬瓶、又はアッセイ試薬保存デバイスからの何れかで、アッセイ試薬を保存しそして供するために使用できる。好ましい実施態様において、サンプルの解析のために要求される全てのアッセイ試薬はアッセイカートリッジ内に保存される。読み取り機は、読み取り機の中に、又はそこから外にカートリッジを動かすための運動制御器のようなカートリッジ取り扱いシステムも有することができる。読み取り機は、機械的及び/又は電子的スブシステムを制御し、入手したデータを解析し、及び/又はグラフィックユーザインターフェース(GPU)を供するためのマイクロプロセッサを有することができる。読み取り機は、カートリッジに接続するための電気的、機械的及び/又は光学的なコネクタも含むことができる。
【0102】
例示的読み取り機は
図5(b)において描かれる。読み取り機は、ハウジング、及び(示されていない)ハウジング内に位置付けられる囲み;読み取り機における解析中にアッセイカートリッジ(52)を保持するためのカートリッジトレイ(51);及び限定するものではないが、(i)少なくとも一つの光検出器(54)を含む光検出アセンブリ(53);(ii)アンプル破壊機構(55);(iii)(示されていない)カートリッジトレイに亘って位置付けられる電極接触ピンアセンブリ;(iv)カートリッジ(56)の流体ネットワーク内に流体の動きを駆動するように構成される流体制御マニホールド;
(v)一つ又はそれ以上のヒータアセンブリ(57);及び(vi)一つ又はそれ以上の光学流体センサ(58)を含む、一つ又はそれ以上の読み取り機部品とカートリッジを整列させるように構成される囲い中の(示されていない)搭載枠を含む。
【0103】
カートリッジ中のアンプルは連続的に(一度に一つ)又は平行して(同時に又は実質的に同時に)破ることができる。好ましい実施態様において、カートリッジ中の各アンプルは独立して破られる。制限するものではないが、ハンマを用いて又はばねの力の下に保持されたハンマを放つことによって(その場合、活性駆動エレメントはばねを装填するために使用できる)、ハンマをモータ、ソレノイド、又は他の活性駆動エレメントに直接的に接続することを含む、アンプルを破るべくハンマエレメントを駆動するための種々の異なる方法が利用できる。好ましい実施態様において、カートリッジ読み取り機は、カートリッジ中の各アンプルを独立して破るように構成されるソレノイド駆動機構を含む。
【0104】
カートリッジの別個の領域の温度を高い精度で制御する能力は特に好ましい。上述の通り、アッセイカートリッジは複数の別個の温度制御ゾーンを含むことができ、そして付随する読み取り機は、各温度制御ゾーンに対して、適宜、熱的に隔離されたアルミニウム加熱及び/又は冷却ブロックを有するカートリッジトレイを含む。
図6(a〜b)において示される通り、加熱エレメントは、頂部側上に位置付けられる加熱ブロック及び二つの底部ヒーター板を通してカートリッジとインターフェース接続する。
図6(a〜b)において示された加熱ブロック中に形成される少なくとも三つの別個の加熱ゾーンがある。一つの加熱ゾーン(63)は精製ゾーンを加熱するように構成される。この精製加熱ブロックは精製ゾーンを囲むように構成され、精製プロセスの乾燥及び溶離の工程中に最大の熱伝達を可能にする。他の加熱ゾーン(61及び62)はカートリッジのPCR反応ゾーンを加熱するように構成される。これらのゾーン(61及び62)は、変性サイクル及びアニール/伸長サイクルのために二つの異なる温度を維持する。下方ヒーターは、それらを互いに熱的に絶縁する空気間隙によって分離された二つの平面ヒーターである。好ましい実施態様において、加熱ブロックはカートリッジの頂部及び底部の表面を加熱するように構成され、そして精製及び検出のゾーン中の一次流路は、迅速熱サイクリングのために熱伝達を最大化するように構成される。
図6(c)はカートリッジ及びその内の種々の温度制御ゾーンの別の実施態様を示す。カートリッジは、約70℃に維持される精製ゾーン(64)、二つの温度制御領域、つまり、約96℃に維持される変性領域(65)、及び約60℃に維持されるアニール/伸長領域(66)を含むPCR反応ゾーン、そして約20〜40℃、好ましくは、20〜35℃、そして最も好ましくは25〜35℃に維持される検出ゾーン(67)を含む。好ましい実施態様において、読み取り機は更に、加熱及び冷却の両方が可能な検出ゾーンとインターネット接続する、ヒーター/冷却デバイス、例えば、熱電気的ペルチェ(Peltier)エレメントを含む。
【0105】
好ましい実施態様において、カートリッジ中のPCR増幅の工程には、カートリッジの合計処理時間の約15分かそれ未満が割り当てられる。約34〜45サイクルの間のPCRを成就するために、検出ゾーンにおける各サイクルにおいて変性及びアニール/伸長のために、流体サンプルが温度設定点間で費やす時間は最短化されるべきである。合計PCR時間に影響し得る二つの因子は、(i)一つの温度ゾーンから別の温度ゾーンに動くときに経過する時間、及び(ii)従来のサーマルサイクラにおける傾斜(ramp)速度に似ている、流体サンプルが温度設定点に達するためにかかる時間である。流体サンプルが一つの温度ゾーンから別の温度ゾーンに移行するのにかかる時間は、ポンプ速度を調節することによって調節できる。好ましい実施態様において、検出ゾーンにおける二つの反応温度制御ゾーンの間の流体移行の間の経過時間は5秒未満であり、そして、好ましくは、1秒未満である。流体サンプルが設定点に達する時間を最少化するために、検出ゾーンは曲がりくねった形状を含み、その結果、加熱面に接触する流体の表面積が増加する。カートリッジの検出ゾーンにおけるチャンネルは0.080’’×0.020’’である。このアスペクト比、並びにヒータ及び制御器の温度フィードバックによって、熱サイクル中の迅速な温度上昇及び下降が可能になる。約20秒の合計サイクル時間によって、PCR信号が35という少ないサイクルで効果的に生み出される。温度制御ゾーンの各々の温度は、好ましくは、抵抗加熱エレメント及び熱電対フィードバック制御を有するWatlowヒータ制御器のパネルを用いて制御される。熱的に伝導性のガスケット材料は、好ましくは、加熱ブロックとカートリッジの間で良好な熱伝達があることを確保するために使用される。この熱制御構成を用いることによって、カートリッジの熱制御ゾーン内の温度が±0.5℃の正確さで維持できる。好ましい実施態様において、温度制御ゾーンの各々は、適切な温度で独立に維持できる。
【0106】
PCRカートリッジに関与する全ての処理工程を通して液体サンプルの動きは、カートリッジ上のベントポートを、カートリッジに対してシールする流体制御マニホールドに噛合させることによって制御される。流体制御マニホールドは、各ベントポートがシールされ、周囲圧力に開かれ又は圧力/真空源に接続されることを可能にするバルブを含む。圧力を用いるカートリッジを通した正確な流体の動きは、閉ループ制御を供する光センサの使用を通して達成される。
図7において示されたマニホールドは、蒸気接合プロセスを用いて互いに積層される精密に機械加工された多層アクリルで作られたアクリル片である。マニホールドのチャンネルは、好ましくは、抵抗を低下するために、そして高い容量の空気が比較的低い圧力で通ることを可能にするために大きな寸法を有する。好ましくは、流体制御マニホールドはカートリッジ中の流体と接触するようにならず、そしてカートリッジベントポート中のエアロゾルフィルタによって保護され、その結果、汚染のリスクが低減されそして洗浄の必要性が最小化される。
【0107】
一つの実施態様において、流体制御マニホールド(70)は少なくとも二つのタイプのバルブを含む。第一のタイプは、機械加工された開口部/ポートを有する二つのディスク;テフロンステータ及びステンレス鋼ローター、から構成される。カートリッジ(72)上の特定のベントは、ステータ及びローター上で各々対応するポートを整列させることによってポンプ又は大気圧に連接される。ステータとローターの間の張力は、ディスクの間の気密シールを供するために調節できて、一方、互いに対するディスクの自由回転も可能にする。ローターの正確な位置決めは光エンコーダーの使用を通して可能となる。読み取り機は、カートリッジ上の如何なる二つのベントポートも如何なる一つの時間にも扱う(address)ことができるように、つまり、一つのポートは真空又は圧力部に接続され、第二のポートは周囲雰囲気に開かれ、そして残りのポートはシールされた状態に残されるように、少なくとも二つの回転せん断バルブを含む。流体流を早い時間スケールで停止するために、二つの早く作用する(示されていない)ソレノイド安全弁は、回転せん断バルブと、かけられた圧力を約10ミリ秒の応答時間で迅速に開放できるカートリッジの間に組み込まれる。ソレノイドの過熱を防ぐために、それらが必要なときにのみ働かされるように、バルブの電子制御が必要ならば含むことができる。
【0108】
読み取り機において使用される少なくとも二つのタイプのポンプがある。液体の動きに対して圧力を生み出すために、空気シリンダを駆動する線形アクチュエータが使用される。流体ネットワーク中の全ての液体の動きはこの高精度空気シリンダから駆動される。他のポンプは、高容量及び高圧のダイアフラムポンプである。このポンプは、カートリッジ処理中に、一つの機能だけを作用し、それは、一体化精製膜を乾燥することである。抽出膜の乾燥は、如何なる残留洗浄緩衝剤の追い払いにも役立ち、そして高容量の空気を必要とする。
【0109】
カートリッジ中の液体の動きの閉ループフィードバック制御は、読み取り機中の赤外線反射光センサの使用を通してカートリッジ中の液体の動きを監視することによって達成される。これらのセンサは、
図5(b)において示されるように、カートリッジの下方に位置付けられる。光センサは、高速マイクロプロセッサを使用して、閉ループ決定論的制御を通してバルブを制御するための情報をフィードバックするように機能する。光センサからのデータは、適切でない流体処理をもたらす可能性のある潜在的な混信及び潜在的な偽信号を排除するために連続的に集められる。光センサフィードバックループの応答時間は約30マイクロ秒であり、流体サンプルの場所と挙動の完全な像を生み出すために、全てのセンサがサイクルされることを可能にする。
【0110】
読み取り機は、好ましくは、自己充足的ユニットとしてパッケージされる。発光に基づくアッセイを採用する好ましい実施態様において、より小さい遮光領域が読み取り機ハウジング全体の内に組み込まれる。これによって、読み取りが周囲の光に影響されないことを確保するための遮光囲い内で、発光に基づくアッセイが実行されることが可能になる。好ましくは、電子部品及び他の熱発生部品は、遮光囲いの外側に置かれる。
【0111】
カートリッジ取り扱いサブシシステムは、好ましくは、カートリッジをカートリッジハウジング内に引き入れ、そしてカートリッジを読み取り機内に選択的に位置付ける、例えば、カートリッジをセンサ/検出器の下に位置付けるためのモータを含む。一つの好ましい実施態様において、読み取り機ハウジング内へのカートリッジの後退は、連接された機構の同期化された/調和された操作のために、読み取り機内の一つ又はそれ以上の機構に機械的に接続される。例えば、カートリッジの後退は、カートリッジがチャンバに入った後、遮光囲いに対してドアを閉じるための機構;カートリッジの電気的接触を係合すべく、つまり、電極列の電極接触と電気的接触状態に置かれるべく、読み取り機の電気的接触を可能にするための(以下により詳細に述べられる)アッセイ電子サブシステム;カートリッジの流体ポートを係合する、つまり、カートリッジの流体ポートと流体連通状態に置かれる(例えば、カートリッジの流体ポートと流体制御マニホールドの間の圧力シールを確立する)ための流体取り扱いサブシステムの流体制御マニホールド;及び/又は一つ又は複数のアンプルのような試薬カートリッジが、カートリッジ後退/位置付け工程中に破壊されることを可能にする流体取り扱いサブシステムの試薬カートリッジ破壊機構;に機械的に接続できる。
【0112】
好ましい実施態様において、バーコード読み取り機が、好ましくは、カートリッジ上の同定マーク/ラベルを自動的に走査するために、読み取り機上/内に組み込まれる;例えば、それが読み取り機内に引き込まれるように。ラベルは、実行されるべき特定のアッセイ、検量パラメータ、及び/又はアッセイを実行するために要求される如何なる他の情報にも関する符号化された情報を含むことができる。
【0113】
アッセイ電子サブシステムは、好ましくは、電気的接触、センサ及び電子回路を含む。電気的接触は、好ましくは、電極列との電気的接触状態に置かれるように適応されそして構成される。一つの好ましい実施態様において、読み取り機の電子回路は、特定の電極対(つまり、上でより詳細に論じられたペアワイズファイアリング(pair-wise firing))を扱うための、そしてその電極対によって形成された回路に、事前に定義された電圧波形をかけるためのアナログスイッチ及びトランスインピーンス増幅回路を含むことができる。実際の出力電圧及び電流は診断目的のために、随意に測定できる。好ましくは、電子回路は、(上で論じられた通り)容量的又は導電的測定のためにAC波形(例えば、500Hz又はそれ未満)も適用可能である。
【0114】
発光に基づくアッセイを実行するように構成される読み取り機の一つの特に好ましい実施態様において、読み取り機は、読み取り機チャンバから発する光/発光を検出及び/又は測定するために、光検知器、例えば、フォトダイオード(最も好ましくは、符号化されたフォトダイオード)、光電子増倍管、CCD検出器、CMOS検出器などを採用できる。もし、冷却されたフォトダイオードが採用されるならば、電子制御システムによる選択的制御を供するフォトダイオードパッケージ自身内に熱電クーラー及び温度センサが一体化できる。
【0115】
コンピュータ化された制御システムは、好ましくは、カートリッジに基づくシステムの操作を選択的に制御するために利用される。コンピュータ化された制御システムは、読み取り機内に、読み取り機から分離されて外部に収容するシステム中に完全に一体化できる、及び/又は読み取り機内に部分的に一体化され、及びそれから分離できる。例えば、読み取り機は、好ましくは、読み取り機及び/又はそのサブシステムを制御するようにプログラムされる(示されていない)汎用コンピュータシステムとの通信のための外部通信ポート(例えば、RS−232、平行、USB、IEEE1394など)を有して構成できる。一つの好ましい実施態様において、単一の内蔵されたマイクロプロセッサは電子装置を制御するために、そしてカートリッジ操作を調節するために使用できる。加えて、マイクロプロセッサは、内蔵されたオペレータインターフェース、接続性及びデータ管理操作も支援し得る。内蔵されたオペレータインターフェースは、好ましくは、一体化されたディスプレイ及び/又は一体化されたデータ入力デバイス(例えば、キイパッド)を利用できる。コンピュータ化された制御システムは、好ましくは、カートリッジの結果及び装置構成パラメータを保存するための不揮発性記憶装置も含むことができる。
【0116】
好ましくは、読み取り機は、カートリッジを機械的に係合し、そしてそれをしかるべき位置に動かし/整列するカートリッジ取り扱いサブシステムを有する。好ましくは、このプロセスは、カートリッジを遮光囲い内に位置付けることを含む。また読み取り機は、カートリッジに適切な流体的及び/又は電子的接続をさせ、そして、随意に、カートリッジ試薬チャンバ中に存在する如何なる試薬チャンバ(例えば、試薬アンプル)の破壊又は突き刺しも行う。上で論じたように、一つの好ましい実施態様において、カートリッジを遮光囲い内に位置付けた際に、電気的接触及び流体マニホールドが各々の係合点でカートリッジを係合するように、カートリッジ取り扱い機の動きは流体的及び電子的な取り扱い機(及び、随意に、試薬カートリッジ解放機構)に物理的に接続されるであろう(そして、随意に、試薬カートリッジ解放機構は、如何なる試薬カートリッジからも試薬を放出する)。次に、要求されるか又は好ましい場合、電子制御システムは、カートリッジのゾーン、つまり、精製ゾーン(精製ゾーン中の予熱領域、追加の温度制御領域又は両者)、反応ゾーン中の第一及び/又は第二の反応温度制御ゾーン、及び検出ゾーンを適切な所定の温度にするために、そしてカートリッジをそのような目標温度に維持するために、一つ又はそれ以上の加熱エレメントを操作し始める。
【0117】
アッセイカートリッジは、サンプル、例えば、細菌、ウイルス、生物毒素などにおける1つ又はそれ以上の生物学的薬剤の多重検出に使用され得る。「生物学的薬剤」は同定できるいずれもの生体材料、例えば、細胞、ウイルス、天然タンパク質、糖タンパク質、複合体、単糖、核酸、脂質、及びリポタンパク質、並びに毒素、特に核酸及びタンパク質に基づく毒素、いずれも天然及び合成毒素を意味する。本発明のカートリッジ及び方法を用いて検出されることができる生物学的製剤の非例示リストは、上気道感染と関連する病原体(例えば、インフルエンザA、インフルエンザB、呼吸系発疹ウイルス、連鎖球菌種)、食品及び水中に見出される病原体(例えば、サルモネラ、リステリア、クリプトスポリジア、カンピロバクター、大腸菌0157など)、性行為感染症(例えば、HIV、梅毒、ヘルペス、淋疾、HPVなど)、及び血液伝播病原体及び潜在的バイオテロリズム剤(例えば、炭疽菌、ペスト菌、天然痘、野兎病菌、リシン、ボツリヌス毒素、staphエンテロトキシン(限定されるのもではないが、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含む)などの選択A、B及びC病原因子(agent)のCDCリスト中の病原体及び毒素、バンコマイシン耐性エンテロコッカス(VRE)、クロストリジウム・ディフィシル、エンテロウイルス性髄膜炎など)を含む。好ましいパネルはまた、サイトカイン、成長因子、アポトーシス経路の成分、P450酵素の発現、腫瘍関連遺伝子の発現、病原体(例えば、上記に掲載された病原体)などに対するmRNAコーディングのmRNAレベルを測定する核酸アレイを含む。好ましいパネルはまた、個体(例えば、SNP解析)、病原体、腫瘍細胞などの遺伝子型解析のための核酸アレイを含む。
【0118】
特に好ましい実施態様では、カートリッジは、病原因子ごとに標的とされる2つのDNA又はRNA配列を有する少なくとも下記の8つの病原因子のパネルを含む:炭疽菌(BA)、ペスト菌(YP)、野兎病菌(FT)、ブルセラ種、痘瘡ウイルス(天然痘)、エボラウイルス、マールブルグウイルス、及びベネズエラウマ脳炎(VEE)。
【0119】
本発明はまたキットを含む。キットは本発明のアッセイカートリッジを作るのに必要な解体部材を含むことができる。あるいは、キットは1つ又はそれ以上の容器中に、本発明のアッセイカートリッジ及びアッセイを実施するのに必要な少なくとも1つの更なるアッセイ試薬を含むことができる。1つ又はそれ以上のアッセイ試薬は、限定されるものではないが、関心のある被検体に特異的なアッセイ試薬(好ましくは標識結合試薬、より好ましくは電気化学ルミネセンス標識)、ECLコリアクタント、酵素、酵素基質、抽出試薬、アッセイ較正基準及び対照、洗浄溶液、希釈剤、緩衝液、標識(好ましくは、電気化学ルミネセンス標識で標識された結合試薬)などを含むことができる。
【0120】
本発明は、上記のようにアッセイカートリッジ(好ましくはアッセイカートリッジ)及び読み取り機(好ましくは読み取り機)を含む。これらは別々の部材として供給されることができる。本発明はまた、アッセイカートリッジ(好ましくはカートリッジ)及び読み取り機(好ましくは読み取り機)を含むアッセイシステムを含む。
【実施例】
【0121】
[実施例1]核酸の抽出及び精製
核酸の抽出及び精製に使用される方法。核酸は、グアニンイソチオシアナート(GuSNC)緩衝液中で溶解によりサンプルから抽出される。臨床サンプル中の潜在的干渉物質からの核酸の精製は、GuSNCの存在下に核酸をシリカマトリクスに結合させることによって行われる。この方法をテストするために、複合タイプの精製マトリックスは、どれが最大の結合能力を有するか、そしてどれが本発明のカートリッジに好適な小フォーマットに容易に組み込むことができるかを決めるために、プロトタイプミニカラム部材中でテストされた。Whatmanガラス繊維膜(GF/D及びGF/Fタイプ; Whatmantd.から市販), 3MEmpore膜(3M, St. Paul, Minnesotaから市販), 及びSigmaサイズ分画二酸化ケイ素粒子(Sigma-Aldrich Co., St. Louis, Missouriから市販)が、可能な候補としてテストされた。WhatmanGF/D、GF/F、及び3MEmporeがテストされ、そして全核酸の結合能力が比較された。WhatmanGF/Dは、他のマトリックスと比べて最大の結合能力を有することが認められた(約8.3μg/mg)。最も重要なこととして、GF/Dはカートリッジの流体流路へ容易に一体化され得て、そして膜の全結合能力はGF/Dの更なる層を単に加えることにより調整されることができる。
【0122】
核酸の抽出及び精製のための緩衝液はスピンカラム法を用いて最初に調合されそして最適化された。次いで更なる特性化及び最適化が、カートリッジへの膜の組み込みを容易にするために、そしてカートリッジ中に予想されるものを模倣する条件下で膜を通した流体流を調べるために、ミニカラムプロトタイプ(
図8)を用いて行われた。プロトタイプの内部は、支持フリット、事前圧縮機構、及び不要な流体保持を最小化するように設計される機構を含む、カートリッジ中で使用され得るのと類似の幾何図形を含んだ。このプロトタイプを用いて、膜の厚み及び縦横比は流体の保持を最小化するために最適化された。2層のGF/D膜ディスクを用いて、各々0.81”の直径が好ましいことが認められた。設計方法はまた、定位置に膜を確実に保持するために、そしてそれが種々の溶媒で濡れるにつれて、膜の容量の変動を減少させるように膜の事前圧縮を備えるために開発された。
【0123】
抽出プロトタイプシステムは、圧力センサ及び関連流体ラインに併せて、カラムを通して空気/緩衝液を引き込むために、小型カラム及びポンプから構成された。圧力、ポンプ速度、及び精製カラムを通した流量が制御された。このプロトタイプを用いて、GuSNC溶解緩衝液と混合された液体サンプルは、核酸を結合するために精製カラムを通過された。洗浄緩衝液(溶解緩衝液及びエタノール)は、汚染物質を除くためにカラムを逐次的に通過された。最後に、精製マトリックスは、結合核酸を放出させるために、溶離緩衝液(低イオン強度水性緩衝液)の導入前に空気流により乾燥及び加熱された。
【0124】
ガラス繊維膜を通したサンプル及び緩衝液の流れに関する実際の結果。精製マトリックス最適化中に検討された重要な因子は、空気圧で流体を駆動するとき、カラム図形がカラムの直径を横断する均一流を容易にすることを確実にすることであった。種々の縦横比(厚み/直径)での設計のテストの結果、最大の縦横比カラムはより均一な流れを有し、そしてより低い流体保持を有することを明らかにした。カラムを通して空気を通過させることにより低縦横比カラムを乾燥するとき、膜表面の小さな領域の乾燥は、膜の直径を横断する完全乾燥を本質的に阻止する低抵抗性経路をもたらした。高縦横比カラムは、恐らくカラムの全容量がより均等に調べられることから、核酸のより効率的なキャプチャをもたらした。抽出及び溶離工程における目標は、増幅過程における出発材料として使用できる最小可能容量でDNA/RNAを回収することであった。小抽出容量は、急速熱サイクルを容易にし得て、そしてコンパクトカートリッジ設計を可能にし得る。プロトタイプ精製チャンバ図形の保持容量及び縦横比は約4μLであった。
【0125】
カートリッジ設計において、流体の動きは空気圧又は真空の適用によって駆動される。精製部材における設計の別の検討材料は、サンプル及び精製試薬が、カートリッジ内のシールを損ない得ない適正圧力(即ち、約0.5atm又は7psi未満)を用いて(アッセイカートリッジにおけるサンプル溶解及び精製に対して割り当てられる15分に適合する)、適正な流量でGF/D膜を通して駆動できることを確実にしている。
図9はミニカラムプロトタイプを用いたモデル生物由来のDNAの典型的な精製の圧力トレースを示し、そしてi)GuSNC溶解緩衝液におけるサンプルの装填;ii)清浄GuSNC溶解緩衝液(緩衝液1)及びエタノール(緩衝液2)によるカラムの洗浄;iii)空気流によるカラムの乾燥;及びiV)低イオン強度溶離緩衝液による核酸の溶離中に作られた圧力を示す。簡単には、100μLの大腸菌一夜培養液はGuSCN中で溶解されて、そしてミニカラム固定においてGF/D膜上で精製された。流体の動きは、流体運動工程では1〜2mL/分又は空気乾燥では273mL/分の速度で作動する空気圧シリンダ(シリンジ)よって作られる真空によって駆動された。
【0126】
異なる粘度の多くの異なる臨床マトリックスがミニカラムプロトタイプによってテストされた。全血サンプル(約4cpsの粘度)は容易に処理され、そして
図9に示されるものと類似の圧力プロファイルを生じさせたが、サンプル装填中若干高い圧力プロファイル (約5psi)を有した。喀痰は、サンプル装填中に顕著な圧力上昇をもたらした(喀痰の粘度は数百cpsであり得る)。この効果は、装填に先立って粘度を減少させるために、喀痰サンプルを還元剤ジチオトレイトール(DTT)で処理することにより著しく減少され得た。
図10は、未処理喀痰と比べて、50倍まで多いDTT処理喀痰が許容できる圧力を維持しながら装填され得ることを示す。簡単には、テストサンプルは、等量のリン酸緩衝生理食塩水の添加によって均質化されて、そして1Xストックを作るために2mmガラスビーズで渦流攪拌された。次いで連続希釈がなされ、そして室温において1時間0.1%DTTで処理されるか(三角形)又は未処理(ダイアモンド)であった。複製物は次いで、カラム圧力をモニターしながらミニカラムプロトタイプ中で精製された。データは、喀痰希釈の関数として最大の実測圧力を示す(1=非希釈)。各サンプルタイプに
対する最大濃度ポイントは、圧力規格を超えることなく作動され得る最大の濃度である。
【0127】
核酸精製の効率。プロトタイプミニカラムを用いて、核酸溶離効率に及ぼす温度の影響も検討された。精製マトリックスからの核酸の最適溶離は、溶離緩衝液及びGF/Dマトリクスの温度を70℃に上げることにより行われた。この情報は、精製マトリックスが核酸溶離の最適温度を実現することを可能にするために、それが加熱エレメントの組み込みに至ったことで、最終カートリッジ及び読み取り機の設計を助けた。
図11は、ゲノムDNA、プラスミドDNAを含む複数のタイプの核酸、及び(ゲノムDNA及びRNAを含有する)全細菌溶解物がキャプチャされそして精製膜から溶離され得ることを示す。簡単には、仔ウシ胸腺由来の精製高分子量ゲノムDNA、精製プラスミドDNA、又は種々のサイズの高分子量ゲノムDNA及びRNAの混合物を含有する細菌溶解物はすべて、核酸抽出及び精製プロトタイプを用いた精製にかけられた。各サンプルタイプに対してフロースルー(FT)材料及び溶離材料は比較のために保持された。精製後、溶離液及びプールされたフロースルー画分は、1%アガロースゲル上で溶解され、そしてエチジウムブロミド染色により可視化された。フロースルー材料(サンプル装填中にキャプチャされなかった核酸)に対するレーン中のバンドの不存在は、核酸のキャプチャが非常に効率的であったことを示す。1つの例外は高分子量の仔ウシゲノムDNAであった;あるDNAはフロースルー中に認められたが、50%より大きいDNAは膜上でキャプチャされた。高レベルの純度がプロトタイプを使用して達成され得た。カラム洗浄プロトコールは100000当り1〜10個の洗浄品質を日常的に達成し、ヘモグロビン、(EDTAのような)抗凝固剤、フミン酸又はフルボ酸、及び残りの溶解緩衝液成分などの臨床サンプルにおけるTaqポリメラーゼの潜在的干渉物質を除去するのに十分であると認められたレベルであった。
【0128】
図12は、清浄緩衝液、全血又は1μg/μLのフミン酸又はフルボ酸を含有する溶液へスパイクされた核酸に対するPCR増幅結果を与える。炭疽菌由来の100fgのDNAは、PBS(緩衝液だけ、薄灰色線条)、全血(血液スパイク−ダークグレイ線条)、又は1μg/μLのフミン酸又はフルボ酸(フミンスパイク−白色線条)を含有する緩衝液へスパイクされた。サンプルは次いで、プロトタイプ(+精製)を使用してか又はなしで(−精製)で精製された。精製サンプルからの溶離液又は未精製サンプルからの材料は、精製及び潜在的PCR阻害剤の除去の効果を決定するためにPCRによって増幅された。増幅後、サンプルは16プレックスアッセイプレートを用いて解析された。
図12は、BAの回収及び検出を示す。精製なしで、血液及びフミン酸はPCR反応を完全に阻害し、アッセイシグナルをバックグラウンドレベルに低減した。精製プロトタイプカラム及びプロトコールを用いて、これらのマトリックス中にPCRアッセイシグナルを回収し、そして清浄緩衝液(PBS)で認められたものとほぼ同等のシグナルを生成することができた。
【0129】
細胞溶解プロトコールの効率。多くのグラム陽性及びグラム陰性モデル細菌の効率的溶解を達成するための緩衝液の使用は、プロトタイプ精製システムで示された。1つの検討では、植物性炭疽菌(無莢膜性Ames菌株)は、細胞溶解及び核酸精製プロトコールの成績を立証し、そしてそれらを標準的実験室手法と比較するために使用された。溶解手順は植物性細菌を約2分で完全に溶解するのに十分ロバストであった。その上、この方法は、並列で比較したとき、従来の多段階労働集約的溶解法(Qiagen)より優れていた。溶離産物のリアルタイム解析でのCT値は
図13に示される。簡単には、植物性無莢膜性炭疽菌(Ames菌株)は、いずれかの溶解緩衝液及び前述の方法論又はQiagen QiaAmp手順を用いて溶解及び精製された。本方法で得られたCT値はQiagen法で得られたものより低く又は同等であった。コロニー形成解析は、溶解緩衝液の添加前又は後で標的生物のアリコートを用いて行われた。溶解緩衝液の添加後に生菌はなかったことから、細菌細胞の溶解における溶解緩衝液の有効性を確認した。
【0130】
[実施例2]核酸増幅。
プライマー選択。16遺伝子標的(8薬剤、6RNA及び10DNA標的を含む16遺伝子標的)を増幅するために、リアルタイムPCRアッセイのために選択されていたプライマーが使用された。プライマーは、プライミング領域間で配列に向けられるプローブの使用を通して増幅産物の検出を可能にするのに十分長い増幅産物を生成した。ある場合には、増幅効率を改善するために、又はすべてのプライマーが類似の融解温度を有することを確実にするために、プライマーに小変更がなされた(長さの若干の変更又は標的配列に沿った小変化)。最終プライマー配列は
図14に与えられる。
【0131】
逆転写アッセイ形式。最終反応カクテル中の3つの病原体はRNAゲノムを有した:ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)、マールブルグウイルス(MV)、及びエボラウイルス(EV)。これらの病原体のそれぞれと関連した2つの標的を増幅するために、逆転写(RT)工程が必要であった。最終RT反応カクテル中に存在するオリゴヌクレオチドプライマー数を低減するために、すべてのRT反応は第1の鎖合成プライマーとして逆PCRプライマーを利用した。関心のある標的に特異的なcDNA鋳型だけが合成され得ることから、cDNA合成のこの方法はまた別のレベルの特異性を伝達し得る。
【0132】
RT条件の予備的検討中に、発明者らは、逆転写酵素の存在がそれに続くPCR反応に強い阻害効果を有し得ることを見出した。この効果は公知であり(Sellner LN et aI., Nucleic Acids Res. 1992, 20, 1487-90)、そして通常カートリッジフォーマットにおける処理を複雑にし得る手順として、PCRを実施する前にRT産物を希釈することによって回避される。RT産物を希釈する代わりに、RT混合物中の逆転写酵素の量を最小化し、そしてtRNAを反応混合物に加えることによって、PCRに対するRTの影響を除去することができた。DNA増幅へのRTの妨害をテストするために、DNA標的(FT)を取り上げ、そして完全RT及びPCRプロトコールを用いてそれを処理した。一段RT&PCRプロトコール(RT及びPCR工程を通して存在するすべてのプライー)、及び二段RT&PCRプロトコール(RT工程中に存在するRNA標的のためだけの逆PCRプライマー)の両方をテストした。
図15は、tRNAの添加がPCRにおいてRT酵素の阻害効果を完全に逆転することを示す(パネルBを参照)。パネルAは、本16プレックスプライマーミックス及び一段RT及びPCRプロトコール(RT工程中に存在するDNA及びRNA標的に対するすべてのプライマー)を用いた、DNA標的(FT)の増幅を示す。パネルBは、二段RT及びPCRプロトコール(RNA標的のための逆プライマーだけがRT工程中に存在した−残りのプライマーはRT工程の完了後に加えられた)を用いて、同じDNA標的(FT)の増幅を示す。両方の場合に、異なるRT酵素:スーパースクリプトII(レーン1、2)、スーパースクリプトIII(レーン3、4)、MMLV(レーン5、6)又はNoRT酵素(レーン7、8)を比較した。また0.2μg/rxn酵母tRNAの存在(レーン1、3、5及び7)又は不存在(レーン2、4、6及び8)下の反応の進行を比較した。各反応は、1pgのFTDNA、10分、46℃RT工程及び33サイクルのPCR(94℃で45秒及び63℃で60秒)を用いて行われた。結果は、i)tRNAの存在はRTがDNA標的の増幅を阻害することを阻止するのに重要であること;ii)二段プロトコールは一段プロトコールよりも清浄なPCR産物を与えること、及びiii)二段プロトコール中のRT酵素間にほとんど差がないことを示すが、しかしながら、スーパースクリプトIIIは一段プロトコールにおいて最低レベルの増幅アーチファクトを示した。
【0133】
逆転写のためのインキュベーション時間はまたRNA標的を用いて最適化された。これを決定するために、VEE、MV、又はEVのRNAの固定量を使用して、そしてRTを46℃で30秒及び6分間の間行った。RT反応後、RTは97℃(Taqポリメラーゼをも活性化する条件)で不活性化され、そしてDNAのRT産物は33サイクルのPCRにより増幅された。2分だけの短いRT時間はRNA標的(データは示されず)の検出を可能にするのに十分であった。
【0134】
PCR条件の最適化。本16プレックス増幅反応のためのPCR増幅条件を最適化する最初の取り組みは、多くの異なる反応パラメータの迅速な評価を可能にする従来の温度計を用いて行われた。カートリッジ中で使用され得る熱サイクル方法(2つの温度帯間の流体の運動)を多少模倣するために、異なる温度に保たれる加熱ブロック間で反応管を動かすことによって作動する、市販の熱サイクラー(Robo−Cycler)を選択する。
【0135】
効率的な増幅を達成するために、幾つかの相互に関係する反応パラメータ;i)15分でより多くのサイクルを行う能力とより速いPCRサイクル間でバランスするPCRサイクル時間の効果;ii)所定のサイクル時間に対して、アニール/伸長相で費やされる時間vs.変性相で費やされる時間の最適比を検討し、そしてiii)迅速増幅条件でのアニール/伸長及び変性温度を最適化した。増幅産物の検出は、下記のようにマルチプレックスECLサンドイッチハイブリダイゼーションフォーマットを用いてマルチウェルプレート中で実施された。
【0136】
図15(c)は、PCRサイクル持続時間と15分増幅反応において行われことができるPCRサイクルの数間のトレードオフを調べるために、モデル6−プレックスPCRアッセイを用いた実験の結果を示す。DNA(100fgのBA、FT又はYPのDNA)は、15分の6−プレックス増幅プロトコール(生物当り2遺伝子標的)を用いて増幅された。その5分の増幅プロトコールにおけるPCRサイクルの数は、各サイクルの持続時間を20から30秒まで調整することにより、30から45サイクルまで変動した。産物は6−プレックスECLサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイで解析された。グラフは、40〜45サイクルが行われたとき、最適シグナルが認められることを示す。この実験では、各サイクルの60%はアニール/伸長工程(54℃で)にかけられて、そして各サイクルの40%は変性(95℃で)にかけられた。
【0137】
図16(a)は、BA−PA標的に対して、56℃のアニーリング温度及びサイクル時間の60%をアニール/伸長工程にかけるサイクルは、高速(20秒)全サイクル時間を用いるとき最適増幅を与えた。グラフはまた、これらの値が温度及びアニール/伸長時間の小さな変化に良好なロバスト性をもたらすことを示す。この実験では、BAのDNAは、20秒のPCRサイクル時間、及び95℃の変性温度を用いてPCRの45サイクル下に増幅された。各PCRサイクルにおける時間の割合がアニール/伸長工程に割り当てられたように、アニーリング温度は変動した。グラフは、ECLサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイを用いて測定したようなBA−PA増幅産物の量を示す。類似の結果は他の標的で観察された。
図16(b)〜(e)は、高速PCRサイクルの最適変性温度が95〜97℃間にあったことを示す。BAのDNA(100fg)は、45サイクル(8秒の変性−12秒のアニール/伸長)を用いて15分の全PCRアッセイ時間で増幅された。アニール/伸長及び変性温度の異なる組み合わせがテストされた。BA−PA及びBA−CAP増幅産物は、ECLサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイによって測定された。温度サイクリング中に増幅溶液が実際に設定アニール/伸長及び変性温度に達したことを確認するために、発明者らは増幅管において熱電対でテストを行ったことを指摘した。
【0138】
PCR反応フローセルプロトタイプにおける増幅の実証。本発明のカートリッジでは、PCR増幅は2つの異なる温度ゾーン間で反応混合物を動かすことにより達成される。簡易システムで本方法を実地に試みるために、射出成形PCR反応フローセルプロトタイプを開発した。またフローセルを保持しそしてカートリッジ上で2つの温度ゾーンを確立するために、加熱エレメントによる増幅テストベッドを開発した(
図17)。サンプルをフローセルへ装填後、2つの温度ゾーン間にサンプルスラグを循環させるために、空気シリンダポンプが空気圧/真空をかけるのに使用された。部材間に滑らかなインターフェースを形成させるために、気泡生成は、1つの表面上にエネルギーダイレクタを組み込むことにより、及び超音波溶着を使用することにより軽減されることができる。均一加熱は、フローセルの上部及び下部に加熱エレメントを備えることにより達成された。Robocycler熱サイクラーを用いた実験に基づいて明らかにされたように、最適20秒PCRサイクル時間を用いて、発明者らはフローセル中で熱電対を使用し、フローセル中の溶液が最適アニール/伸長と変性温度間で循環され得ることを検証した。
【0139】
最適化16−プレックスPCRプロトコール及びRobocyclerを用いて開発された試薬はフローセルフォーマットへ移動された。すべてのアッセイにわたる最適増幅効率を決定するための実験が、フローセルプロトタイプ及びRobocyclerを比較するために使用された。増幅効率を決定するために、ECLハイブリダイゼーションアッセイにおいて所望のシグナルを与えるのに、既に較正された合成材料の公知量が増幅の標的として使用された。10サイクルの増幅後に測定可能なECL読み出しを発生させたが、しかし検出か又は増幅システムを飽和させなかった標的レベルが選択された。増幅効率を測定するこの方法は、35〜45サイクルを通した広範な増幅が使用されるとき、導入される潜在的な変動を減少させる。理想的な反応では、各PCRサイクルは、倍加したサイクル当り2に等しい増幅因子をもたらし得る。単一コピー検出の必要性を考慮して、マルチプレックス中の全アッセイに対して約1.7の最小増幅因子を実現することを目指した。1.6のより低い増幅因子においてさえも、45サイクルの増幅は>10
9の全増幅をもたらし得て、本ECLハイブリダイゼーションアッセイの検出限界は通常10
7コピー未満であることを考えると、単一分子検出には十分すぎるほどであり得る。
【0140】
図18は、本16標的の各々に対してフローセルプロトタイプにおいて測定された増幅効率の表である。大部分のアッセイは選択された目標を優に上回る増幅因子を有する。表はまた、Robocycler熱サイクラーを用いて測定される増幅効率をもたらす;フローセル/テストベッドでの増幅と市販の熱サイクラーを用いた増幅間に有意差は見られなかった。
【0141】
また最適化急速サイクリングPCR増幅プロトコール(ゲノムDNAを完全に折り畳まないそしてTaqポリメラーゼを活性化するための初期の90秒変性工程を除いた20秒サイクル時間)を用いてゲノムDNAを効率的に増幅するために、PCR増幅フローセルプロトタイプ及びテストベッドの能力をテストした。増幅DNAは次いで、下記に詳細に記載されたECLサンドイッチハイブリダイゼーションでテストされたフローセルから除去された。
図19(a)〜(d)はSA ゲノムDNAの増幅の結果を示す。発明者らは、わずか35サイクルにおいて背景に高シグナルの100fgのSAゲノムDNAを検出することができることを見出した。ゲノム材料のこのレベルで、サイクル数を45に増加させることによりシグナルの最小改善だけが見られたことから、増幅反応は35サイクルで既に飽和に達していること、そして有効な増幅はわずかに12分(35サイクルX20秒/サイクル=〜12分)で実現され得ることを示唆した。
【0142】
[実施例3]核酸検出
核酸検出アッセイの構築。標的アンプリコンの検出は、電気化学ルミネセンス技術を用いるサンドイッチハイブリダイゼーションフォーマットを用いて実施された(
図4)。臨界パラメータのハイスループット評価を可能にするために、先ず検出アッセイが開発され、そしてMeso Scale Diagnostics, LLC(MSD, Gaithersburg, MD)市販MULTI-ARRAY(登録商標)プレート材料及び SECTOR(登録商標) イメージャプレート読み取り機を使用して、96ウェルプレート読み取り機で最適化された。これらのプレートは、結合アッセイのための両方の固相支持体、並びにECL測定のための電気エネルギ源として機能する各ウェル中にカーボンインク電極を一体化している。
図4に示されるように、各増幅標的はそれを2つのオリゴヌクレオチドプローブ:カーボンインク電極上に固定化されたキャプチャプローブ及びECL標識にリンクされた検出プローブに結合することによって測定された。プローブの結合は、電極に電位をかけることにより、そしてECL標識からの発光を測定することによって計測された。2つのプローブ配列は、プライマー結合領域間に標的を結合するため、プライマーからの潜在的妨害を除くため、及び標的に対する特異性の更なるレベルを与えるために選択された。プローブ選択ソフトウェアは、プローブが大体同じ融解温度を有して、標的生物に特有で、そしてヒトDNAと結合し得ないことを確実にするために使用された。最終プローブ配列は
図20(a)で与えられる。
【0143】
キャプチャプローブアレイは、電極に印刷された溶液滴のアレイからの直接吸着によって電極に固定化された。直接吸着を強化するために、SMCCリンカー化学を通してBSAにプレリンクされる5’チオール化キャプチャプローブを使用した。過去の研究は、この方法がプローブの再現性のある固定化をもたらすのに有効に機能することを示しており、一方でそれらがそれらの標的配列を結合するように、それらは適切に与えられていることを確実にする。種々の量の付着キャプチャプローブを備えるBSAが1:1から10:1までのチャレンジ比でテストされ、そして5:1より大きなチャレンジ比はテストしたモデルアッセイで最大のECLシグナルを発生することが見出された。
【0144】
キャプチャプローブのアレイは、カスタムアレイ印刷器具を用いてMULTI−ARRAYプレートのウェル中で印刷された。 検出プローブは3’ビオチン残基で標識された。サンドイッチハイブリダイゼーション複合体の形成がECLによって検出され得るように、検出プローブはECl標識(SULFO-TAG(商標))されたストレプトアビジンに1.1比で事前結合された。検出プローブは3’ビオチン残基を含有する固有のオリゴヌクレオチド配列から成る。
【0145】
サンドイッチハイブリダイゼーションアッセイフォーマットの最適化。初期のアッセイ最適化は本マルチウェルプレートフォーマットで行われ、プローブ濃度、緩衝液調合、プローブ配列選択及び手順の開発、及び非特異的結合を減少させるために、プローブアッセイをブロッキングする試薬を含み、多くの因子を効率的に最適化することができた。この作業の一部として、一段又は二段反応として現行のハイブリダイゼーションアッセイを比較した。一段アッセイでは、増幅産物はキャプチャ及び検出プローブと同時に混合される。二段アッセイでは、産物は先ず固定化キャプチャプローブに結合され、そして次いで検出プローブに結合することが可能である(場合により、非結合サンプルを最初に洗い流した後)。いずれかのフォーマットでは、アレイは洗浄され、そしてECL読み取り緩衝液(MSD T Read Buffer, Meso Scale Diagnostics, LLC, Gaithersburg MDから市販)がECL測定の実施に先立って加えられる。本PCR増幅反応の最終段階として、Taq阻害剤を加え、そして次いで二本鎖産物を脱ハイブリダイゼーションし、そしてそれらをキャプチャ及び検出プローブに結合しやすくするようにに、変性反応を行う。
【0146】
発明者らは、幾つかの標的に対する増幅産物が本ハイブリダイゼーションアッセイにおいて予想より低いシグナルを与えることを見出した。例えば、完全長アンプリコンはVEEの5’UTRから生成され、そしてNSP4はキャプチャ及び検出プローブ結合領域だけを含有する短い合成標的よりも更に低いECLシグナルを与えた。この差異は、キャプチャ又は検出プローブの結合をブロックする標的アンプリコン中の内部ループ又は折り畳みの形成に因るためであろうと推測した。予想レベルにシグナルを回収するのに使用され得る2つの方法を見出した。第1の方法は、ブロッキングDNAの短いピースをハイブリダイゼーション反応に加えることにかかわる。ブロッキングDNA配列は、二次構造の形成に関与する標的配列中の領域に相補的になるように選択され(二次構造の形成をブロックするために)、しかしまたそれらがプローブ結合配列と重なり合わないように選択される。第2の方法はPCRプライマーを再設計することにかかわる:アンプリコンの長さを短縮するため、及び二次構造形成に関与するヌクレオチドを除去するために、標的配列上でプライマーの1つの位置を変える(
図20(b)及び下の表1)。
【0147】
【表1】
【0148】
【表2】
【0149】
図21(a)〜(b)は、VEEの5’UTR及びNSP4標的のシグナル対するこれらの方法の効果を示す。図は、二次構造形成をブロックするためのブロッキング配列の使用が有効で、そして2〜5倍のアッセイシグナル増加をもたらし得ることを示す。アンプリコンを短縮する第2の方法はアッセイシグナルの100倍増加をもたらした。VEEアッセイではアンプリコン短縮方法を実施した。
【0150】
マルチウェルプレートフォーマットにおける16−プレックスECLハイブリダイゼーションアッセイの性能。
図22(a〜b)は、マルチウェルプレートフォーマットにおける本最適化16−プレックスECLサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイの性能を示す。結果を標的配列コピーの数と関連付けることができるように、これらの結果は本16遺伝子標的の合成バージョンを含有するサンプルを用いてもたらされた。検出限界は、一般的に大体10
6〜10
7コピー(アッセイ容量は約100μL)の範囲内であった。これらの検出限界は、この15分、45サイクルPCRプロトコールに基づく単一コピーから生成し得る増幅産物の量よりも有意に低い。サイクル当りのこの算出増幅効率(約1.7又はより大きい)に基づき、単一コピーは〜1.7
45=2x10
10コピーの増幅産物を生成し得る。
図22(a−b)はまた、異なるキャプチャプローブに対して各標的の交差反応の実測レベルを示す。一般的に、交差反応のレベルは検出レベル以下であった。非特異的キャプチャプローブに対して標的の低レベルの交差反応(1%のオーダーで)を検出した場合では5例が見られて、そして幾つかの更なる最適化が必要となり得る。
【0151】
カートリッジフォーマットにおけるマルチプレックスECLサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイの性能。
図23(a)〜(b)は、モデル6−プレックスパネル(BA、FT及びYPに対する本6遺伝子標的)からアンプリコンを測定するためのECLシグナルを示す。Robocycler熱サイクラーで33サイクルの増幅を用いて、それに続くEDTAによるTaq酵素のクエンチング及び95℃での二本鎖産物の変性により、BA、FT又はYPから1pgのゲノムDNAを増幅した。変性産物は、6つの標的配列に対する検出プローブと組み合わされ、そして同じ標的に対するキャプチャプローブのアレイを保持するイムノアッセイカートリッジに装填された。残りの工程段階(キャプチャプローブアレイとのインキュベーション、ECL読み取り緩衝液によるアレイの洗浄及びECLの測定)は、イムノアッセイ読み取り機を用いて自動的に行われた。反応動力学をテストするために、1から15分までインキュベーション時間を変動するように読み取り機をプラグラム化した。また測定の希釈直線性を特性化するために、10分インキュベーションを用いてサンプルの連続希釈を行った。
図23(a)のグラフは、5分インキュベーションにより、負の対照(BSA)アッセイスポットで測定されバックグラウンド以上に大規模オーダーであった。バックグラウンドからのシグナルの識別は、1分の短いインキュベーション時間でも可能であった。
図23(b)の表は、(10分のインキュベーション時間で)増幅産物が100倍だけ希釈され得て、そして尚バックグラウンド以上に顕著にシグナルを生じることを示す。一般的に、アッセイシグナルは希釈により直線的に減少したが、幾つかのアッセイのシグナルは生サンプルで飽和された。5分インキュベーションを用いて、カートリッジフローセルにおいてバックグラウンド以上に大規模シグナルオーダーを得る能力は、最終16プレックスアッセイのカートリッジ電極への保定にほとんどリスクがないことを示唆する。
【0152】
本発明は本明細書に記載の特定の実施態様によってその範囲が限定されるものではない。実際、本明細書に記載のものに加えて、本発明の種々の変更は、前述の明細書及び添付図面から当業者に明らかになるものである。そのような変更は請求の範囲内に含まれる予定のものである。種々の刊行物が本明細書に引用され、その開示はそれらの全体で参照することにより組み入れられる。