(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
吸収タンポンは、通常、中心の長手方向軸線とタンポンの外周面を画定する半径とを有する実質的に円筒形の圧縮吸収材料の塊などの、細長い圧縮吸収構造を組み込む。タンポンは多くの場合、タンポンブランクと呼ばれる吸収材料の成形された塊を最初に得ることによって形成される。このブランクは、シート状材料のロール、連続した吸収材料の部分、ランダムに又はほぼ均一に配向された吸収材料の塊、個別に調製された又は成型された吸収材料の塊などの形態であってもよい。
【0012】
タンポンブランクは、比較的圧縮されておらず、比較的低密度を有する。タンポンブランクは、その後、全体的な寸法が使用前のブランクの寸法より小さい製品を形成するよう圧縮される。圧縮されたタンポンは、タンポン全体にわたって概して均一の密度を有してもよく、又はそれらは、米国特許第6,310,296号(Frieseら)、及び同第5,911,712号(Leutwylerら)に記載されるように、異なる密度の領域を有してもよく、それらの開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。タンポンはまた通常、カバー又は他の何らかの表面処理、及び抜去ひも又は他の除去機構を含む。
【0013】
タンポンの「外表面」とは、本明細書において使用前又は膨張前の圧縮されたタンポンの目に見える表面を意味する。
【0014】
タンポンの「長さ」とは、本明細書においてタンポンの最大寸法に沿ったタンポンの直線的な伸張を意味する。
【0015】
タンポンの「周囲」とは、本明細書において、タンポンの長さの寸法に実質的に垂直な平面に延びる外表面の一部分でタンポンの外表面に沿って測定される距離を意味する。換言すれば、タンポンの長さは、直交するデカルト座標系のx軸線に沿って延びており、周囲は、典型的に前記座標系のy,z平面に位置する。正確な測定値は重要ではないが、本発明に好適なタンポンの呼び径の例は9〜20mmの範囲である。更に、呼び長さは40〜60mmであってもよい。
【0016】
用語「オーバーラップ」は、本明細書で使用するとき、材料シートから形成され、個々の膣内器具を実質的に封入する構造を指す。
【0017】
用語「膣内器具」は、タンポンなどの膣管内に配置されるよう設計された器具、又は失禁/ペッサリー用器具を意味することがある。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「脆弱要素」及び「脆弱線」は、一列に配置された一連の脆弱要素を意味するものとする。これらの脆弱要素は、穿孔、厚みを減らした領域、スリット、刻み線、密度を減らした領域などであってよい。脆弱線は、機械的に穿孔してもよく、又は超音波若しくはレーザーを用いて付けてもよい。
【0019】
先行技術における既知のパッケージ化されたタンポン6の例を
図1に示す。パッケージ化されたタンポン6は、オーバーラップ30内にタンポン10を包含する。タンポン10は、挿入端14、抜去端18、及び挿入端と抜去端との間に位置する中心部16を有する圧縮された細長い吸収構造体12を有する。タンポン10は、外表面20と、タンポンの周りを360°延びる周囲102とを有する。
【0020】
図1に示される例では、オーバーラップ30は開封機構を有する。この先行技術の例では、オーバーラップはフィンガーリフトタブ32を有し、これによってユーザーはオーバーラップの周りに延びる穿孔線34及び36に沿ってオーバーラップを破って開封することができる。典型的には、この種の開封機構は、フィンガーリフトの寸法に相当する幅を有する中央部分と、挿入端を覆う部分と、抜去端を覆う部分との複数の部分にオーバーラップが破断される結果となる。ユーザーがフィンガーリフトタブを持ち上げて切り離すことによりオーバーラップを開けると、ユーザーは残りの部分を更に引き剥がさなければならないことがある。これは、複数の断片に対処しながらタンポンを開封するために両手を使わなければならないため、ユーザーにとって不便さが残り、複数の断片は、静電気を有してユーザーの手、指、及び/又はタンポンに断片がくっつく原因となることがある。これにより、タンポンをユーザーの体に挿入するときに、タンポン上にオーバーラップが残る危険性が増すことがある。この残ったオーバーラップの断片は、タンポンが流体を吸収する際にタンポンから分離し、それによってユーザーが取り除くまで体内に残ることがある。
【0021】
この制御のされない包装材の開封は、より薄い梱包材料で発生することもあり、この場合、破断が脆弱線に沿った所定の経路を通らないことがあり、破壊された包装材の複数の断片を生じることもある。
【0022】
包装材は、オーバーラップ材料のシート又は1つの連続片から一般に形成され得るが、オーバーラップは、オーバーラップ材料の単一のシート又は1つの連続片として実質的に機能するよう十分に共に接合された複数の材料片から作製されてもよい。
図1の先行技術の例では、材料は当該技術分野において既知の任意の手段で共に接合される。材料の接合位置は、一般にシームと呼ばれる。オーバーラップは、透明でも、着色されていても、又は開封方向(矢印、点線など)を含み得る印刷図形を有していてもよい。典型的には、本明細書に用いるのに好適な包装材料は、可撓性高分子フィルムであり、任意の厚みを有していてもよい。更に、シームを含むオーバーラップの表面は、印刷を有していてもよい。シームを含むオーバーラップ上に印刷すると、穿孔はユーザーにとってより識別し易くなることがある。
【0023】
図2を参照すると、本発明の一実施形態を形成するのに使用されるオーバーラップのシートが示されている。
【0024】
この図に示されるように、包装材は、挿入端42、抜去端46、中心部44、第1縁部52、及び第2縁部54を有する方形の材料シート40から形成されてよい。中心部44は、挿入端の方向にある上部中心域44aと、抜去端の方向にある下部中心域44bとを更に有する。シート40が管に形成されると、縁部52及び54は重なり合う。これらの縁部は、長手方向に共に接合され得る(タンポンの側部に沿ったシームが得られる)。縁部を封止すると2層シームが形成される。
【0025】
この実施形態では、脆弱要素66及び63から形成された単一の脆弱線が存在する。
図2に示される実施形態では、脆弱要素66は、傾斜したように、つまり対角線方向に示されている。結果として得られたオーバーラップで包含されたタンポンを
図3に示す。
【0026】
更にオーバーラップの特定領域で脆弱長:ランド長の特定の比を使用することにより、タンポンの周りを完全に開封し、一体的な単一片を維持しているが、タンポンをオーバーラップから衛生的に取り出せる、オーバーラップを提供することができる。例えば、脆弱要素として開口長を有するスリット又は穿孔を使用する場合、下部中心域44b(脆弱要素63を含む)での開口長:ランド長の比が例えば約1:1(例えば、約2:3〜約3:2、好ましくは約4:5〜約5:4)の範囲であり、例えば上部中心域44aでの開口長:ランド長の比が少なくとも約2:1であると、ユーザーが両手の指で挿入端及び抜去端を掴み、オーバーラップ上でねじり、引っ張り、及び/又は曲げて、少ない力で上部中心域44aを開封し得ることが見出された。ユーザーは、次に、下部中心域44bまで脆弱線を更に分離するようオーバーラップを軽くねじり続ける。ユーザーは、その後、挿入端を掴んだままオーバーラップを基部から片手で引き剥がすことができる。挿入端上のオーバーラップにより、ユーザーの指がタンポンに触れることなく、元の状態で残される。オーバーラップは単一の材料片として維持される。上部中心域44aにある穿孔は、下部中心域44bの開口長と比べてより長い開口長を有するため、脆弱線は、一般に上部中心域44a(パッケージ化されたタンポンの中心部に相当する)で最初に開封され、その後、下部中心域44b(パッケージ化されたタンポンの下端に相当する)で開封されるであろう。タンポンの挿入端は、ユーザーがオーバーラップを完全に取り除く(体に挿入する直前)までオーバーラップ内に維持されるであろう。当然のことながら、オーバーラップをねじって開封し、引き剥がす工程は、1つの工程内で達成され得る。上記はある種の材料に関する比の例を述べているが、材料及び坪量の選択により開口領域:ランド領域の比を変更することができる。上記は、開口長、ランド長、及びそれらの比の例を提供している。一実施形態では、開口長:ランド長の比は、形成された脆弱線が抜去端でより強く、パッケージ化されたタンポンの中心部でより弱くなるように調整される。別の実施形態では、開口長:ランド長は穿孔線全体で一定である。特定の材料及び特定の大きさのタンポンについてこれを達成する任意の比が許容可能であるが、脆弱線は、1)タンポンからの内部膨張力(圧縮繊維は時間の経過に伴い弛緩する傾向があるため)、及び2)脆弱線を破断することのない環境からの外力(例えば、消費者がタンポンをハンドバック又はズボンのポケットに入れたときにオーバーラップにかかる力)、及び3)製造時のプロセス、にオーバーラップが耐えられるよう最適化される必要がある。好ましい一実施形態では、脆弱線の破断に必要なねじる力は、約25ニュートン(「N」)未満である。
【0027】
脆弱要素66は、約2:1の開口長:ランド長の比を有し、主として上部中心域44aに配置される。一実施形態では、上部中心域44aにおける開口長:ランド長は900:400(μm)であり、下部中心域44bにおける開口長:ランド長は450:550〜500:500(μm)である。
【0028】
更に、脆弱要素66は、穿孔パターンを形成するよう開口長:ランド長の複数の組み合わせを組み込んでもよい。例えば、下部中心域44から始まる一実施形態では、開口長:ランド長の比は450:500であってもよい。穿孔線が領域44aに入る場合、開口長:ランド長の比は、800:500になり、次に900:400になり、最後に800:500に戻ってもよい。
【0029】
脆弱線は必ずしも直線である必要はない。オーバーラップに形成される場合、脆弱要素及び結果として得られる脆弱線は、対角線、曲線、又は、例えば角度、湾曲、及び/若しくは変曲点などの変曲を有することで方向を変える線であってもよい。この種の実施形態で脆弱線を得るには、材料シートは適切なパターンで脆弱要素を有する必要があると考えられる。一実施形態では、脆弱線は、タンポンの抜去部から始まり、中心部で終結するように傾斜する。具体的には、脆弱線は、長手方向軸線に垂直な平面からある角度で傾斜していてもよい。これは
図4に示されており、角度αは、長手方向軸線X−Xに垂直に延びる平面Y−Yに対する脆弱線によって形成される。別の実施形態では、脆弱線は、シートの下部5〜25%(下部中心域44b)から始まり、上部中心域44aで終結する(
図2に示される)。傾斜角は、包装材を単一片に保つという要望とのバランスが考慮される。角度が小さいほど、パッケージにかかるより大きい分力が、脆弱線を破断し得る剪断力に変換される。しかしながら、傾斜角が小さいと、包装材料が脆弱線の端から端まで破れてパッケージが2つの残片に分かれる可能性がより高くなる。角度が大きいほど、包装材料が脆弱線の端から端まで破れてパッケージが2つの残片に分かれる可能性が低くなる。しかしながら、脆弱線を破断するのに、より大きな円周方向にねじる力を必要とすることがある。発明者らは、約15°〜約45°の角度が有用であり、上記の特性のバランスを取るには約20°〜約35°の角度が好ましいことを見出した。タンポンは様々な吸収力を提供するのに種々の大きさになるため、タンポンの包装に使用されるシートは異なる寸法を有することがある。多くの場合、より高い吸収力にはより大きなタンポンが求められ、その結果、より大きなオーバーラップのシートが必要とされる。オーバーラップシートの大きさが増すにつれて実際に穿孔のある領域も増し、それによって脆弱線はより大きな領域に及ぶであろう。穿孔領域は、
図2に示される中心域44である。例えば、o.b.(登録商標)light absorbency tampon(Germany)では、穿孔角は、23.5mmに及ぶ穿孔領域を生じさせる29°であってもよい。o.b.(登録商標)super plus absorbency tampon(Germany)では、同じ角度(29°)を使用すると、34mmの穿孔領域が生じる。その他の例を以下の表に示す。
【0031】
更に別の実施形態では、脆弱線は、直線ではなく、下部中心域44bから始まり、上部中心域に延び、下部中心域で終結する曲線である(図示なし)。これらの実施形態では、オーバーラップの抜去端部分は脆弱線の破断後に容易に取り除かれ、オーバーラップの挿入部分をある程度元の状態で残す。これにより、ユーザーは、引き続きタンポンの挿入端に実際に触れたり又は汚したりすることなくタンポンを取り扱うことができる。
【0032】
好ましい実施形態では、本発明による脆弱線は、タンポンの周囲の全体に延びている。本明細書で使用するとき、用語「周囲の全体に延びる」は、脆弱線が膣内器具の外表面20の周囲で360°連続していることを意味するものとする。
【0033】
タンポン上に配置されると、オーバーラップは2層シームを含む連続した脆弱線を有する。したがって、脆弱線は、封入されたタンポンの周囲の全体に延びている。タンポンの包装に使用するとき、オーバーラップは、タンポンの抜去端18付近に一端を有し、もう一端が挿入端14に向けて配置され得る脆弱線を有する。一実施形態では、脆弱線は、得られたオーバーラップを開封するとき、タンポンの挿入端を保持する部分がタンポン上に残り、タンポンの抜去端を保持する部分もタンポン上に残っているが、容易に引き剥がせるように配置及び構成される。
【0034】
縁部の重なり及び封止材は、脆弱線を損なわず、その結果、ユーザーがオーバーラップを開封すると脆弱線が封止されたオーバーラップを貫通して周囲全体で破断する。封止材は、脆弱線が、重なり合った領域を通って延び、機能することを妨げない。脆弱線が一連のスリットから形成されている場合、縁部でシームを形成することでスリットが閉鎖されることはない。むしろスリットが十分に開封された状態にとどまり、容易に破断される。
【0035】
脆弱線を破断すると、得られた開封後のオーバーラップは単一の材料片として取り除かれ得る。脆弱線が異なるシーム部分から始まり、異なるシーム部分で終結するので、脆弱線は、開封時に包装材を別個の片に分割しないと考えられる。脆弱線の終点及び始点は、重なり合わないように十分に離される。
【0036】
図3は、タンポン10の周りに包装されてオーバーラップ100を形成する材料シート40を示す。縁部52及び54は重なり合っており、2層シーム70を形成するよう接合される。1本の連続した脆弱線60が存在する。縁部52及び54を接合して2層シーム70を形成することにより、脆弱領域、とりわけ脆弱要素が消されたり、閉鎖されたりしない。
【0037】
シームは、材料の層を共に接合するだけでなく、汚染物質がパッケージ化された物品に侵入しないよう防止するバリアを提供する。シームは、共に接合されている材料及び外部条件に応じて任意の厚みであってもよい。例えば、防水性の提供が期待される封止材は、通気防止に使用される封止材(例えば、乾燥食品の包装に使用される封止材)より厚いことがある。本発明では、封止材又はシームの厚みは重要ではない。
【0038】
シーム70は、重なり合った縁部を共にしっかり保持する任意の寸法を有していてもよい。外表面を形成する縁部の端縁が下部の材料に対してしっかり封止されていることが好ましいが、シームは端縁まで達している必要はない。
【0039】
図3に示される実施形態では、第2縁部は第1縁部に重なって、部分的にオーバーラップ100の外表面を形成する。オーバーラップは実質的に管状の円筒である。両端は、オーバーラップ内のタンポンが完全にオーバーラップ内に収容され、環境から分離されるように閉じられる。シーム70は、縁部54の端縁56まで達しており、比較的滑らかな表面を形成する。この図の膣内器具は、挿入端42を通って抜去端46に延びる長手方向軸線XXを有する。
【0040】
図3では、長手方向軸線XXから外側に延びて長手方向軸線XXを含む平面が示される。脆弱線はタンポンの周囲を少なくとも360°延びているため、脆弱線はこの平面と少なくとも3箇所の固有の位置で交差する。
図3の実施形態では、固有の位置は、平面が包装材の縁部にある2つの脆弱要素及び縁部間にある脆弱要素と交差する位置を含む。したがって、平面は少なくとも3箇所の固有の位置m’、m’’、m’’’で脆弱線と交差する。
【0041】
長手方向のシームは、長手方向の接続領域であり、重なり合う縁部(52及び54)を共に接合する。本発明では、長手方向の接続領域は、1つの連続した封止線である必要はなく、むしろ不連続で互いにずれた複数の封止線であってもよい。これについては以下で更に説明する。
【0042】
この実施形態では、
図2で要素63及び66として特定される2つの脆弱要素が存在する。脆弱要素63は、主として縁部54の下部中心域44bに存在する。一実施形態では、少なくとも1つの脆弱要素63が脆弱要素66になり、それぞれの縁部を越えて中心部44に延びている。脆弱要素66は、縁部54から縁部52に延びている。
図2に示される実施形態では、脆弱要素66は、傾斜したように、つまり対角線方向に示されている。脆弱要素は、縁部及び中心域について異なる特性を有していてもよい。具体的には、中心部44にある脆弱要素は、タンポンの抜去端46にある脆弱要素より脆弱であってよい。
【0043】
一実施形態では、オーバーラップの端部は、非平滑化表面又はエンボス加工を有する。例えば、挿入及び抜去端は、滑り止めラッカーから作製されたパターンで印刷されてもよく、又は端部がパターンを有するように機械的に若しくは超音波でエンボス加工されてもよい。パターンは、パッケージ化されたタンポンの握り部又は取り扱いを向上させ得る。
【0044】
シームは、当該技術分野において既知の任意の手段で形成され得るが、前述したように脆弱線の開口領域が著しく損なわれないことが重要である。
【0045】
オーバーラップのシートの別の例を
図5に示す。この実施形態では、複数の脆弱要素が存在し、そのうちの2つは縁部になければならない。図示されるように、複数の脆弱要素62、63、64、及び66が存在する。脆弱要素62は縁部52にあり、脆弱要素63及び64は縁部54にある。脆弱要素66は、縁部52から縁部54の端縁まで延びている。先の
図2にあるように、脆弱要素は、タンポンを最終的に収容する管に形成されると1つの脆弱部60(
図6に示される)を形成する。包装は、脆弱要素が互いに位置合わせされ、重なり合って1本の連続した脆弱線60を形成するように行われる。
【0046】
前述したように、シート40がタンポンを収容するために管に形成されると、縁部52及び54は重なり合い、2層シーム70を形成するよう接合される。一実施形態では、シート40は単プライの材料であり、その結果、縁部52及び54が重なり合うと2層シームは2プライを有する。包装は、脆弱要素が互いに位置合わせされ、重なり合って(
図3に示されるパッケージ化タンポンと同様に)1本の連続した脆弱線を形成するように行われる。縁部52及び54を接合又はシールして2層シームを形成することにより、脆弱領域が消されたり、閉じられたりしない。
【0047】
図7では、第1縁部が第2縁部に重なって部分的にオーバーラップ100の外表面を形成する、別の実施形態が示される。この実施形態では、脆弱要素は、水平線として縁部154から始まり、その後、縁部152に向けて対角線状に傾斜する。縁部154における脆弱要素164及び縁部152における脆弱要素162は、それぞれ水平であり、シート140が円筒形の膣内器具の周りに包装されると、脆弱要素166に重なって連続した脆弱線160(
図8に示される)を形成するように配列される。縁部152の端縁150は、部分的にオーバーラップ100の外表面を形成する。
【0048】
上記は1本の脆弱線について述べているが、オーバーラップが中心部にある多数の点で最初に開封するように、複数の脆弱線を有することができる。
【0049】
脆弱線160に沿ってタンポン10を取り出すために包装材を開封すると、最初の破断工程においてオーバーラップ100がタンポン10の周囲で対角線状に、つまりある勾配で主に破断し、次の工程においてタンポンが開封されたオーバーラップ100から取り出される。オーバーラップを対角線状に開封すると、大きな開封領域が得られ、わずかな操作でタンポンを容易に取り出すことができる。開封されたオーバーラップは、単一片に維持され、片手で容易に取り外して捨てることができる。複数の包装材の小さな断片がユーザーの指にくっついたり又はトイレに落ちたりする問題は、それによって解消する。
【0050】
隣接する脆弱要素間の距離は、脆弱線全体に渡って実質的に等しいことが、本発明では一般に好ましい。しかしながら、望ましい場合には、ユーザーが脆弱線に沿って包装材を開封する際に体験する破断力の特性(破断伝搬時の破断力の増加/減少)に作用するよう異なる間隔を使用することができる。本発明の脆弱線の特に好ましい実施形態は、包装されたタンポンの周囲の一部の全体に延びている脆弱線であり、いくつかの実施形態では、脆弱線は包装されたタンポンの周囲を越えて更に周りに延びている。
【0051】
吸収体の形成に有用な吸収材料には、繊維、発泡体、超吸収体、ヒドロゲルなどが挙げられる。本発明に好ましい吸収材料には、発泡体及び繊維が挙げられる。吸収性発泡体には、親水性発泡体、水性流体で濡れやすい発泡体、並びに発泡体自体を形成する気泡壁が液体を吸収する発泡体、を挙げることができる。
【0052】
タンポンブランクは、流体透過性のカバーによって実質的に包囲又は封入されていてもよい。したがって、カバーは、タンポンの外表面の大部分を包囲する。これは、米国特許第4,816,100号(Friese)又は米国特許出願公開第2008−0064581 A1号、名称「Tampon Having Apertured Film Cover Thermobonded to Fibrous Absorbent Structure」(Lochteら)に開示されるように達成されてもよく、これらの開示は参照することによって本明細書に組み込まれる。更に、タンポンの挿入端14、対向する抜去端18、又はその両方は、カバーによって包囲されていてもよい。当然ながら、処理や他の理由のために、タンポン10の表面のある部分にはカバーがなくてもよい。例えば、タンポン10の挿入端14及びこの端に隣接する円筒面の一部分が、タンポン10が流体を受け入れやすいようにカバーなしで露出されていてもよい。
【0053】
カバーは、不織布又は有孔の高分子フィルムであってもよい。カバーは、体腔へのタンポン10の挿入を容易にすることができ、また繊維がタンポン10から分離する可能性を低くすることができる。
【0054】
本発明で使用するのに好適な包装材料の例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、セロハン、ポリアミド、ポリ(塩化ビニル)、エチレンビニルアセテートコポリマーなどから製造された高分子フィルムである。あるいは、熱収縮性フィルム、延伸フィルム、又は予め延伸された弾性材料(pre-stretched elastic material)を使用して、本発明の包装材を形成してもよい。所定の組成物に限定されるものではないが、熱収縮性フィルム及びストレッチフィルムの好ましい組成物は、ポリエチレン及びポリプロピレンなどの主要ポリオレフィン、又はポリ(塩化ビニル)を含む。熱収縮性ではないが、ポリスチレン及びポリエチレンテレフタレート(PET)も本発明で使用するのに好適である。本発明の一実施形態では、包装材料は、共押出ポリプロピレンフィルムから形成される。それらの材料からなる包装材は、接着剤で接合することによっても閉じられる。その他の一般に閉塞性の材料には、アルミホイルなどの金属箔が挙げられる。閉塞性の包装材料は多くの場合に好ましいが、別の状況では、不織布、織布、スクリム、メッシュ、及び紙などの非閉塞性又は多孔質の材料を使用してもよい。かかる非閉塞性材料は、閉塞材料での積層又はコーティングなどによる組み合わせによって閉塞性にすることができる。セルロース系の紙の場合、例としては、ポリオレフィン組成物などの高分子フィルムとの積層、又はワックスによる紙のコーティング若しくは含浸が挙げられる。前述の材料は、様々な化合物でコーティングされ、そのバリア特性又は封止能力を改善することができる。前述の材料の任意の好適な組み合わせも本発明の範囲内である。一実施形態では、オーバーラップ材料は、Treofan(Treofan Germany GmbH & Co.KG.Am Prime Parc 17,65479 Raunheim,Germany)からTreofan Crystal−GNRの名前で入手可能な、無光沢透明で熱収縮性の片面処理済OPPフィルムである。
【0055】
いくつかの実施形態では、本発明で包装材料として使用するのに好適な材料は、タンポンを包装した後、包装材料自体を熱シールで閉じることにより包装材を形成するため、熱シール性である。その結果、熱に曝された包装材の領域にシームが生成される。包装材料を閉じるための代替法は、接着、エンボス加工、圧着、縫合、縫製、巻き込み(entangling)、機械的インターロック、常温圧接、又は超音波接合である。いくつかの実施形態では、本明細書に用いる包装材料は、持ち運び時加えて取り扱い時に、すなわち包装材の開封時に音の小さいタンポンの包装材を提供するため、低い曲げ弾性率を有する。
【0056】
オーバーラップ材料の表面は、シート表面に含まれる任意の印刷にシーリング/保護を提供するようコーティングされてもよい。コーティングは、摩擦握り部の提供(上述したように、摩擦係数を増加させる)及び処理(一部のインク又はコーティングは粘着性表面を生じることがある)に役立つこともある。一実施形態では、オーバーラップシートは、Siegwerk Drckfarben AG(Alfred−Keller−Strasse 55,53721 Siegburg,Germany)からMr Varnish Masterbatch−MB00の名前で販売されている仕上げ材でコーティングされる。コーティングは、重なりシームのシーリングを著しく妨げないことが重要であり、又はシームは、意図した使用で十分安定でないことがある。しかしながら、
図9に示される一実施形態では、脆弱線200は、縁部204、206においても、穿孔に重なる又は穿孔に隣接して延びる、対応する印刷線202を有する。印刷線は、少なくとも一方の縁部に延びていてもよいが、容易な開封のためにシーム領域の脆弱部の維持に役立つようコーティングも少なくとも一方の縁部に存在する。
【0057】
現在入手可能なタンポンでは、オーバーラップは、例えば米国特許第3856143号(Simon)に開示されるように、タンポン上に配置されることがある。Simonは、タンポンを包含する筒状オーバーラップの一端を回転して閉じるためのプロセス及び装置を開示しており、この中で円形頭部は包装材の閉じられる端部の方向に向いており、余分な筒状包装材の材料は円形頭部を越えて延びている。驚くべきことに、オーバーラップ上の脆弱線の傾斜方向に対する、オーバーラップを閉じる回転の方向は、以降のプロセス中にオーバーラップの一体性に影響を与えることが見出された。脆弱線が立ち上がる方向(例えば、
図10に示されるような時計回り)で回転が生じる場合、回転が反時計回りに生じる場合よりオーバーラップが脆弱化される可能性が低く、これは消費者が使用のためにパッケージをねじって開封すると考えられる方向であるためである。したがって、タンポン300は、脆弱線304が時計方向に立ち上がるようにオーバーラップ302に封入される。オーバーラップ302の上端306は、矢印308で示される時計方向に回転されて回転密閉部310を形成する。
図11に示されるように、オーバーラップ302の上端306の余分な材料は、一般にSimonの米国特許第3856143号に記載されるように、タンポン300の半球端312上に折り返される。
【0058】
本発明には、上記の説明に従って製造されるオーバーラップ内にパッケージ化されたタンポンの開封方法も含まれる。この方法では、タンポン又は膣内器具は、長手方向軸線を有し、オーバーラップによって実質的に封入されており、オーバーラップは、長手方向軸線に一般に平行に配置された長手方向の重なりシームを有し、オーバーラップは、オーバーラップブランクの第1縁部に対向するオーバーラップブランクの第2縁部に配置されるオーバーラップ材料の第2プライの上に重ねて置かれた、第1縁部に配置される材料の1つのプライであり、オーバーラップは、少なくとも3箇所の固有の位置でパッケージ化された器具の長手方向軸線を含む平面と交差する実質的に連続した脆弱線を有する。ユーザーは、膣内器具の両端を掴み、反対方向にねじり、引っ張り、及び/又は曲げて、連続した脆弱線を破断するであろう。オーバーラップの抜去部で軽く引っ張ることで、ユーザーはオーバーラップを取り除き、膣内器具の中心部及び抜去部を露出させる。その後、ユーザーは、例えば抜去端を広げる(指での挿入に役立つ)など、膣内器具を更に操作することができる。これを行うと、ユーザーは抜去端を掴み、オーバーラップを挿入端から取り除き、タンポンを体腔に挿入することができる。
【0059】
上記の明細書及び実施形態は、本明細書に開示された発明の完全かつ非限定的な理解を助けるために提示されている。本発明の多数のバリエーション及び実施形態が、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく行われ得るので、本発明は、以下に添付される「特許請求の範囲」に帰する。
【0060】
〔実施の態様〕
(1) 長手方向軸線を有するパッケージ化された細長い膣内器具であって、
a.前記細長い膣内器具と、
b.前記細長い膣内器具を実質的に封入し、前記長手方向軸線に一般に平行に配置された長手方向の重なりシームを有するオーバーラップであって、
i.前記シームが、オーバーラップブランクの第1縁部に対向する前記オーバーラップブランクの第2縁部に配置されるオーバーラップ材料の第2プライ上に重ねて置かれた、前記第1縁部に配置されるオーバーラップ材料の1つのプライを含み、
ii.前記オーバーラップが、少なくとも3箇所の固有の位置で前記パッケージ化された器具の前記長手方向軸線を含む平面と交差する実質的に連続した脆弱線を有し、
iii.前記脆弱線が、前記長手方向の重なりシームを横切って延びており、前記重なりシームの各プライで重ね合わされた脆弱要素を含み、
iv.前記脆弱線が、前記脆弱線の破断時に前記オーバーラップが単一構造体として残り得るように配置及び構成される、オーバーラップと、を含む、パッケージ化された細長い膣内器具。
(2) 前記脆弱線の少なくとも一区間が、前記オーバーラップブランクの前記第1縁部から前記オーバーラップブランクの前記第2縁部まで実質的に連続して延びている、実施態様1に記載のパッケージ化された細長い膣内器具。
(3) 前記脆弱線が、前記パッケージ化された器具の第1端部付近から始まり、前記第1端部に対向する前記パッケージ化された器具の第2端部に向けて延びている、実施態様1に記載のパッケージ化された細長い膣内器具。
(4) 前記脆弱線が、前記長手方向軸線に垂直な平面から約15°〜約45°傾斜される、実施態様1に記載のパッケージ化された細長い膣内器具。
(5) 長手方向軸線を有するパッケージ化された細長い膣内器具であって、
a.前記細長い膣内器具と、
b.前記細長い膣内器具を実質的に封入し、前記長手方向軸線に一般に平行に配置された長手方向の重なりシームを有するオーバーラップであって、
i.前記オーバーラップが、それぞれ対応する長さを有する開口部及びランド部を含む、前記パッケージ化された器具の前記長手方向軸線に垂直な平面に対して約20°〜約35°の角度で前記器具の周りに配置された、実質的に連続した脆弱線を有し、
ii.前記脆弱線が、前記パッケージ化された細長い膣内器具の抜去端付近から始まり、前記脆弱線に沿った開口長:ランド長の比は約3:2未満であり、前記抜去端から遠位では前記脆弱線に沿った開口長:ランド長の比は少なくとも約2:1である、オーバーラップと、を含む、パッケージ化された細長い膣内器具。
(6) 前記抜去端付近の前記脆弱線に沿った開口長:ランド長の前記比が約5:4未満である、実施態様5に記載のパッケージ化された細長い膣内器具。
(7) 長手方向軸線を有する細長い膣内器具を封入するオーバーラップを開封する方法であって、
a.前記オーバーラップの挿入端及び抜去端を掴む工程であって、前記オーバーラップが、前記パッケージ化された器具の前記長手方向軸線に垂直な平面に対して約20°〜約35°の角度で前記器具の周りに配置された実質的に連続した脆弱線を有する、工程と、
b.前記オーバーラップの単一構造体を維持しながら前記脆弱線を破断する工程と、
c.前記細長い膣内器具から前記オーバーラップの前記抜去端を取り除く工程と、
d.前記細長い膣内器具の前記抜去端を掴む工程と、
e.前記細長い膣内器具の前記挿入端から前記オーバーラップを取り除く工程と、
f.前記細長い膣内器具を膣内に挿入する工程と、を含む、方法。
(8) 前記脆弱線を破断する工程が、前記オーバーラップの両端を前記長手方向軸線の周りで反対方向にねじることを含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記脆弱線を破断する工程が、前記オーバーラップの両端を前記長手方向軸線に垂直に曲げることを含む、実施態様7に記載の方法。
(10) 前記脆弱線を破断する工程が、前記オーバーラップの両端を前記長手方向軸線に沿って反対方向に引っ張ることを含む、実施態様7に記載の方法。
【0061】
(11) タンポンのオーバーラップの半球端を封止する方法であって、
a.長手方向のシームを有する筒状オーバーラップを形成する工程であって、前記筒状オーバーラップの第1端部が前記タンポンの抜去端に対応し、前記筒状オーバーラップの第2端部が前記タンポンの前記半球端に対応し、脆弱線が前記筒状オーバーラップの前記第2端部に向かう第1方向に立ち上がる、工程と、
b.前記筒状オーバーラップの一部を折り返して封止することにより前記筒状オーバーラップの前記第1端部を閉じる工程と、
c.前記筒状オーバーラップにタンポンを挿入する工程と、
d.前記筒状オーバーラップの前記第2端部を閉じる工程であって、
i.前記タンポンの前記半球端を越えて延びている余分な筒状オーバーラップ材料を前記第1方向にねじる工程と、
ii.前記余分な筒状オーバーラップ材料を前記筒状オーバーラップの前記第1端部に向けて折り返し、前記余分な筒状オーバーラップ材料を前記タンポンの前記半球端に沿わせる工程と、による工程と、を含む、方法。
(12) 前記第1方向が時計回りである、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記第1方向が反時計回りである、実施態様11に記載の方法。