(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デジタルスピーカー駆動装置は、前記第1のデジタル信号に所定の演算処理を施すデジタル減衰器を有する請求項1から3のいずれかに記載のパーソナルコンピュータ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下,本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。なお、本願発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。本願発明は、発明の属する通常の技術などに基づいて以下の実施例を種々に変形して実施することができる。
【0039】
(実施例1)
図1(e)にΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数のスピーカー駆動素子からなるデジタルスピーカー装置のシステム形態の第1の実施例を示す。1bitのデジタル入力信号(210)はΔΣ変調器(201)に入力される、ΔΣ変調器(201)でnbitの複数のデジタル信号(211)に変換する。nbitの複数のデジタル信号は後置フィルター(202)でミスマッチシェーピングされたm個のデジタル信号(212)に変換される。m個のデジタル信号は、スピーカー駆動回路(2031〜203s)によりs個の駆動素子(2041〜204s)を駆動してアナログ音声を振動膜(213)により直接変換する。前記ΔΣ変調器(201)と後置フィルター(202)とスピーカー駆動回路(2031〜203s)とそれらの回路に電源を供給する電源回路(205)がデジタルスピーカー装置(200)の構成要素である。
【0040】
図2aに前記第1の実施例における電源回路(205)の内部構成を示す。外部電源もしくは電池等からの電源(251)は、複数のレギュレータ回路(2521〜252n)があり、それぞれΔΣ変調器(201)と後置フィルター(202)とスピーカー駆動回路(2031〜203s)に供給線(2531〜253n)を介して供給されている。スピーカー駆動回路(2031〜203s)に電源を供給するレギュレータ回路(252a)は供給電圧を可変する手段(254)を持つことができる。これにより、デジタルスピーカーを駆動するデジタル信号の振幅を調整することが可能となり、デジタルスピーカーの音量の調整が可能となる。
【0041】
(実施例2)
図2bにΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数のスピーカー駆動素子からなるデジタルスピーカー装置のシステム形態の第2の実施例を示す。本実施例では、デジタルスピーカーの音量の調整をするために、スピーカー駆動回路(2031〜203s)に電源を供給するレギュレータ回路(252a)が供給電圧を可変する手段(254)を持たなくても、デジタルスピーカー装置に入力される1bitのデジタル入力信号(210)からデジタル的に調整している。
【0042】
(実施例3)
図2cにΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数のスピーカー駆動素子からなるデジタルスピーカー装置のシステム形態の第3の実施例を示す。本実施例では、デジタルスピーカーの音量の調整をするために、スピーカー駆動回路(2031〜203s)に電源を供給するレギュレータ回路(252a)の供給電圧を可変する手段(254)として、デジタルスピーカー装置に入力される1bitのデジタル入力信号(210)の情報をもとにデジタル的に調整している。
【0043】
図2a〜
図2cに示したような、スピーカー駆動回路(2031〜203s)がそれぞれ2値(−1,1)を持つ回路だとすると、デジタルスピーカーの駆動状態としてs+1個のレベルを持つことが可能である。この場合m=sであり、ΔΣ変調器(201)には2n>(s+1)の関係を満たしている。
図3aに2値の駆動状態を持つスピーカー駆動回路(300a)の実施例を示す。PMOS素子(301)とNMOS素子(302)からなる2種類のスイッチ回路がそれぞれ出力端子を介してスピーカー駆動素子(204)
に接続されている。2値のデジタル信号である入力信号Aは反転回路(303)を介して一方のスイッチ回路の入力に接続されている。入力信号Aの状態に応じてスピーカー駆動回路(300a)は2値(−1,1)の状態を持つ。
【0044】
図2a〜
図2cに示したような、スピーカー駆動回路(2031〜203s)がそれぞれ3値(−1,0,1)を持つ回路だとすると、デジタルスピーカーの駆動状態として2×s+1個のレベルを持つことが可能である。この場合m=2×sであり、ΔΣ変調器(201)には2n>(2×s+1)の関係を満たしている。
図3bに3値の駆動状態を持つスピーカー駆動回路(300b)の実施例を示す。PMOS素子(301)とNMOS素子(302)からなる2種類のスイッチ回路がそれぞれ出力端子を介してスピーカー駆動素子(204)に接続されている。2値のデジタル信号である入力信号Aはイネーブル端子付きのバッファー回路(304b)と反転回路(303a)を介してそれぞれのスイッチ回路の入力に接続されている。入力信号AとBの状態に応じてスピーカー駆動回路(300b)は3値(−1,0,1)の状態を持つ。このような回路を一般にHブリッジ回路と呼ぶ。
【0045】
図3aと
図3bに示したようなスイッチ回路では、相補型のMOSトランジスタであるPMOSとNMOSを使っているが、NMOSトランジスタのみ、もしくはPMOSトランジスタのみを利用してスイッチ回路を構成することも可能である。またMOSトランジスタ以外の半導体を利用したスイッチング素子を利用してスイッチ回路を構成することも可能である。
【0046】
図2に示したような、ΔΣ変調器と後置フィルター回路と複数のスピーカー駆動回路と駆動素子からなるデジタルスピーカー装置の実施例においては、ΔΣ変調器以降の伝送信号本数が複数必要なことから、必要な配線本数を削減するためにはΔΣ変調器と後置フィルター回路と複数のスピーカー駆動回路は一体で構成することが望ましい。ΔΣ変調器と後置フィルター回路と複数のスピーカー駆動回路と駆動素子からなる、デジタル信号処理回路は半導体上に一体形成されるか、もしくは同一パッケージに同封されること形態をとることで必要な信号線の本数を削減することが可能である。
【0047】
(実施例4)
ΔΣ変調器と後置フィルター回路と複数のスピーカー駆動回路と駆動素子からなるデジタルスピーカー装置の第4の実施例を、
図4a(裏面図)、
図4b(側面図)に、ΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路を半導体上に一体形成するか、もしくは同一パッケージに同封したデジタルスピーカー駆動装置(402)と複数のスピーカー駆動素子からなるデジタルスピーカー装置(400)のシステム実施形態として示す。1bitのデジタル入力信号(403)はΔΣ変調器と後置フィルター回路と複数のデジタル信号を駆動回路が内蔵されたデジタルスピーカー駆動装置(402)に入力され、複数のデジタルスピーカー駆動信号(401)が出力される。電源供給線(404)はデジタルスピーカー駆動回路(402)に電源を供給する。複数のデジタルスピーカー駆動信号(401)とスピーカー駆動素子の間の距離が短くなるように、デジタルスピーカー駆動回路(402)はスピーカー駆動素子の近傍に配置する。
図4にあるようにスピーカーの真後ろに配置することで配線距離を最短にすることが可能になる。
【0048】
以上述べてきたような、本特許の第1から4の実施例によれば、デジタルスピーカー装置に入力されたデジタル入力信号は、デジタルスピーカー装置の中で一度もアナログ信号に変換されることなく、複数のデジタル信号が複数のスピーカー駆動素子を駆動することで、デジタル信号をアナログ音声に直接変換することが可能になる。途中でアナログ信号に変換されないので、アナログ変換に必要なA/D変換回路が不要になり、消費電力や必要な半導体面積の削減が可能になり、低価格なデジタルスピーカー装置を提供することが
出来る。デジタルスピーカー装置は低い駆動電圧で大きな音圧が出せるので、デジタル信号処理回路を半導体上に一体形成する場合、高電圧を扱うための特殊な半導体技術を用いなくても良く、低電圧用の半導体技術を用いてデジタルスピーカー装置に必要な一体型のデジタルスピーカー駆動装置を提供することが出来る。低い駆動電圧で駆動しているために電磁輻射(EMI)が小さく、電磁輻射を抑えるためのコストを低減することが可能になる。デジタル信号源とデジタルスピーカー装置の間のA/D(D/A)変換器が無いので音質の劣化を避けることが可能になる。
【0049】
(実施例5)
図5にΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数のスピーカー駆動素子からなるデジタルスピーカー装置のシステム形態の第5の実施例を示す。1bitのデジタル入力信号(510)はΔΣ変調器(501)に入力され、ΔΣ変調器(501)でnbitの複数のデジタル信号(511)に変換する。nbitの複数のデジタル信号は後置フィルター(502)でミスマッチシェーピングされたm個のデジタル信号(512)に変換される。m個のデジタル信号は、スピーカー駆動回路(5031〜503s)によりs個の駆動素子(5041〜504s)を駆動してアナログ音声を振動膜(513)により直接変換する。前記ΔΣ変調器(501)と後置フィルター(502)とスピーカー駆動回路(5031〜503s)とそれらの回路に電源を供給する電源回路(505)がデジタルスピーカー装置(500)の構成要素である。本実施例では、s個の複数の駆動素子が組み合わさって複数(2個)のスピーカーの振動膜(513a,513b)を駆動している。複数の駆動素子をΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路が複数のスピーカー素子を駆動してアナログ音声を直接変換するのであれば、駆動素子数(s)とスピーカー振動膜の枚数(r)の間に任意の組み合わせが可能である。一般にr≧1でs>1であればよい。
【0050】
(実施例6)
図6にΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数のスピーカー駆動素子からなるデジタルスピーカー装置のシステム形態の第6の実施例を示す。1bitのデジタル入力信号(610)はΔΣ変調器(601)に入力され、ΔΣ変調器(601)でnbitの複数のデジタル信号(611)に変換する。nbitの複数のデジタル信号は後置フィルター(602)でミスマッチシェーピングされたm個のデジタル信号(612)に変換される。m個のデジタル信号は、スピーカー駆動回路(6031〜603s)によりs個の駆動素子(6041〜604s)を駆動してアナログ音声を振動膜(613)により直接変換する。前記ΔΣ変調器(601)と後置フィルター(602)とスピーカー駆動回路(6031〜603s)とそれらの回路に電源を供給する電源回路(605)がデジタルスピーカー装置(600)の構成要素である。
【0051】
本実施例では、s個の複数の駆動素子が組み合わさってスピーカーの振動膜(613)を駆動するために複数のコイルを束ねて巻いている。複数のコイルを巻く場合、複数のコイル線を撚って(604a)巻いても良いし、並べて(604b)巻いても良い。また、一部のコイルだけ独立させても良い。デジタルスピーカー装置に必要な複数の駆動素子は一般に任意の配置が可能である。
【0052】
(実施例7)
図7にΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数のスピーカー駆動素子からなるデジタルスピーカー装置のシステム形態の第7の実施例を示す。1bitのデジタル入力信号(710)はΔΣ変調器(701)に入力され、ΔΣ変調器(701)でnbitの複数のデジタル信号(711)に変換する。nbitの複数のデジタル信号は後置フィルター(702)でミスマッチシェーピングされたm個のデジタル信号(712)に変換される。m個のデジタル信号は、駆動回路(7031〜703s)によりs個の駆動コイル(7041〜704s)を駆動して磁歪素子(713)に磁場を加える。磁歪素子(713)と機械的に接続された駆動部(714)により音声信号を直接変換する。前記ΔΣ変調器(701)と後置フィルター(702)と駆動回路(7031〜603s)とそれらの回路に電源を供給する電源回路(705)がデジタルスピーカー装置(700)の構成要素である。
【0053】
本実施例では、s個の複数の駆動素子が組み合わさって磁歪素子(713)と機械的に接続された駆動部(714)を駆動するために複数のコイルを巻いている。磁歪素子(713)はコイルや磁石等による外部からの磁界に応じてnsec〜μsecの速さで素子寸法が変化するものであり。通常のボイスコイルに代わって磁歪素子(713)を使えば、骨伝導用のデジタルスピーカー装置(700)を実現出来る。本実施例は骨伝導用のデジタルスピーカー装置(700)以外にも、磁歪素子を使ってアナログ値を制御する、自動車用部品用途の噴射弁、ポンプ、ポジショナー、リニアアクチュエータ等のアクチュエータ、トルクセンサ等のセンサのデジタル制御にも応用可能である。
【0054】
(実施例8)
図8a〜
図8cにΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数の静電型スピーカー駆動素子からなるデジタルスピーカー装置のシステム形態の第8の実施例を示す。1bitのデジタル入力信号(810)はΔΣ変調器(801)に入力され、ΔΣ変調器(801)でnbitの複数のデジタル信号(811)に変換する。nbitの複数のデジタル信号は後置フィルター(802)でミスマッチシェーピングされたm個のデジタル信号(812)に変換される。m個のデジタル信号は、駆動回路(8031〜803s)によりs個の静電型素子(8041〜804s)を駆動して音声信号を得る。前記ΔΣ変調器(801)と後置フィルター(802)と駆動回路(8031〜803s)とそれらの回路に電源を供給する電源回路(805)がデジタルスピーカー装置(800)の構成要素である。
【0055】
図8bには、ΔΣ変調器(801)と後置フィルター(802)と駆動回路(8031〜8034)と4個の静電型素子(8041〜8044)を同一基板上に一体で形成(820)した実施例を示している。このような一体型のデジタルスピーカー装置(820)はたとえばシリコンプロセス技術を使いデジタル回路と静電スピーカー素子を同じシリコン基板上に作ることで実現可能であり、さらに
図8cのようなデジタルスピーカー装置を使ったヘッドフォン装置(830)への組み込みが容易である。
【0056】
(実施例9)
図9aにΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数のスピーカー駆動素子と複数のスピーカーからなるデジタルスピーカー装置のシステム形態の第9の実施例を示す。1bitのデジタル入力信号(910)はΔΣ変調器(901)に入力され、ΔΣ変調器(901)でnbitの複数のデジタル信号(911)に変換する。nbitの複数のデジタル信号は後置フィルター(902)でミスマッチシェーピングされたm個のデジタル信号(912)に変換される。m個のデジタル信号は、デジタル信号(920)で制御されたデジタル遅延制御回路(905)により遅延を個別に制御された後に、駆動回路(9031〜903s)によりs個のスピーカー(9041〜904s)を駆動して音声信号を得る。前記ΔΣ変調器(901)と後置フィルター(902)と駆動回路(9031〜903s)とデジタル遅延制御回路(905)とそれらの回路に電源を供給する電源回路(906)がデジタルスピーカー装置(900)の構成要素である。
【0057】
図9bには、前記ΔΣ変調器(901)と後置フィルター(902)と駆動回路(9031〜903s)とデジタル遅延制御回路(905)とそれらの回路に電源を供給する電
源回路(906)がデジタルスピーカー装置(900)を大画面の平面テレビ(930)に接続した場合の実施形態を表わしている。複数のスピーカーを平面テレビの上下左右に配置し、それぞれのスピーカーを駆動する信号の遅延を制御することで再生音の指向性を変化させることが可能になる。たとえば家庭用ゲーム機器(940)からの信号でデジタルスピーカー装置(900)の複数のスピーカーへのデジタル信号の遅延時間を制御するようにすれば、ゲームの内容に応じて音声を上下左右に振り分けたりすることで、ゲームの臨場感を増すことが可能になる。
【0058】
同様に平面テレビのリモートコントロール機器からの信号でデジタルスピーカー装置(900)の複数のスピーカーへのデジタル信号の遅延時間を制御するようにすれば、視聴している番組の内容に応じて、画面中央部に集中するように再生音の指向性をつけたり、部屋のどこにいても聞こえるように再生音に無指向性をつけたりすることが可能になる。
【0059】
実施例1〜9にあるような、ΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数のスピーカー駆動素子と複数のスピーカーからなるデジタルスピーカー装置に、デジタル信号源の信号をデジタル信号として入力することで、デジタルスピーカー装置を使ったデジタル音響システムを構築することが可能である。
【0060】
(実施例10)
図10にΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数のスピーカー駆動素子と複数のスピーカーからなるデジタルスピーカー装置(1002)に、デジタル信号源(1003)としての 携帯デジタル音源再生装置であるからのデジタル信号を接続(1001)し、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換することなくアナログ音声に直接変換するデジタルスピーカー装置を使ったデジタル音響システムの第10の実施例を示す。本実施例ではデジタルスピーカー装置に給電する電源として電池(1004)を使っているが、外部から別電源で給電することも可能である。
【0061】
(実施例11)
図11にΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数のスピーカー駆動素子と複数のスピーカーからなるデジタルスピーカー装置(1102)に、デジタル信号源(1103)としての携帯電話装置からのデジタル信号を接続(1101)し、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換することなくアナログ音声に直接変換するデジタルスピーカー装置を使ったデジタル音響システムの第11の実施例を示す。本実施例ではデジタルスピーカー装置にヘッドフォン型のデジタルスピーカー装置を使っているが、ヘッドフォン型以外の任意のデジタルスピーカー装置を使うことが可能である。
【0062】
(実施例12)
図12にΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数のスピーカー駆動素子と複数のスピーカーからなるデジタルスピーカー装置(1202)に、デジタル信号源(1203)としてのパーソナルコンピューター装置からのデジタル信号を接続し、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換することなくアナログ音声に直接変換するデジタルスピーカー装置を使ったデジタル音響システムの第12の実施例を示す。一つの振動膜に複数のコイルを配置したデジタルスピーカー装置を使っているが、複数のスピーカーを配置したデジタルスピーカー装置を使うことも可能である。
【0063】
(実施例13)
図13にΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数のスピーカー駆動素子と複数のスピーカーからなるデジタルスピーカー装置(1302)に、デジタル信号源(1303)としてのアクティブ消音用のデジタル音声処理装置からのデジタル信号を接続し、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換することなくアナログ音声に直接変換するデジタルスピーカー装置を使ったデジタル音響システムの第13の実施例を示す。集音用マイク(1304)からの周囲のノイズを打ち消す信号をデジタル音声処理装置で計算してデジタルスピーカー装置(1302)に入力することで低消費電力のアクティブ消音用のデジタル音響システムが構築可能である。本実施例はテレビ電話や遠隔会議用のエコーキャンセル用のデジタル音響システムにも応用可能である。本実施例は同様にコンサートや球場等の大規模拡声装置の遅延制御用のデジタル音響システムにも応用可能である。
【0064】
(実施例14)
図14にΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数のスピーカー駆動素子と複数のスピーカーからなるデジタルスピーカー装置(1402)に、デジタル信号源(1403)としての携帯電話装置からのデジタル信号を無線通信技術(Bluetooth(登録商標)等)により接続(1401)し、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換することなくアナログ音声に直接変換するデジタルスピーカー装置を使ったデジタル音響システムの第14の実施例を示す。本実施例ではデジタルスピーカー装置にヘッドフォン型のデジタルスピーカー装置を使っているが、ヘッドフォン型以外の任意のデジタルスピーカー装置を使うことが可能である。また、本実施例ではデジタル信号源(1403)としての携帯電話装置を使った例を示しているが、本実施例はデジタル信号源から、デジタルスピーカー装置(1402)にデジタル信号を無線通信技術により接続する任意のデジタル音響システムに応用可能である。
【0065】
(実施例15)
図15aにΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数のスピーカー駆動素子からなるデジタルスピーカー装置のシステム形態の第15の実施例を示す。1bitのデジタル入力信号(1510)はΔΣ変調器(1501)に入力され、ΔΣ変調器(1501)でnbitの複数のデジタル信号(1511)に変換する。nbitの複数のデジタル信号はフォーマッター(1502a)によりm個のデジタル信号(1512a)に変換されフィルター(1502b)でミスマッチシェーピングされたm個のデジタル信号(1512b)に変換される。m個のデジタル信号は、スピーカー駆動回路(15031〜1503s)によりs個の駆動素子(15041〜1504s)を駆動してアナログ音声を振動膜(1513)により直接変換する。前記ΔΣ変調器(1501)とフォーマッター(1502a)とフィルター(1502b)とスピーカー駆動回路(15031〜1503s)とそれらの回路に電源を供給する電源回路(1505)がデジタルスピーカー装置(1500)の構成要素である。
【0066】
図15bに本実施例で使われるフィルター回路(1502b)の構成要素を示す。ミスマッチシェーピングするために、選択回路(1505)に入力されたm個のデジタル信号(1512a)は、選択回路のm個のデジタル信号の出力を遅延素子と加算器で構成された積分回路(1506a)と積分回路(1506b)により選択回路のm個のデジタル信号の使用頻度を計算して使用頻度の小さい順に選択するように働いている。
【0067】
(実施例16)
図16にΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数のスピーカー駆動素子からなるデジタルスピーカー装置のシステム形態の第16の実施例を示す。本実施例で使われるフィルター回路(1602b)の構成要素を示す。ミスマッチシェーピングするために、選択回路(1605)に入力されたm個のデジタル信号(1612a)は、選択回路のm個のデジタル信号の出力を遅延素子と加算器で構成されたn段の積分回路(16061〜1606n)により選択回路のm個のデジタル信号の使用頻度を計算して使用頻度の小さい順に選択するように働いている。本実施例のようにフ
ィルター回路は1段以上の任意の段数の積分回路で構成することが出来る。
【0068】
(実施例17)
図17aにΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と3値のスイッチング増幅器からなる複数のスピーカー駆動素子で構成されたデジタルスピーカー装置のシステム形態の第17の実施例を示す。1bitのデジタル入力信号(1710)はΔΣ変調器(1701)に入力される。ΔΣ変調器(1701)は、そのデジタル入力信号をn bitの複数のデジタル信号(1711)に変換する。n bitの複数のデジタル信号はフォーマッター(1702a)によりm個のデジタル信号(1712a)に変換される。m個のデジタル信号(1712a)は、フィルター(1702b)に入力されてミスマッチシェーピングされ、m個のデジタル信号(1712b)に変換される。スピーカー駆動回路(17031〜1703s)は、それぞれがm個のデジタル信号の一部が入力されるs個の駆動素子(17041〜1704s)を駆動してアナログ音声を振動膜(1713)により直接生成する。なお、駆動素子(17041〜1704s)は、s個の3値のスイッチング増幅器からなる。前記ΔΣ変調器(1701)とフォーマッター(1702a)とフィルター(1702b)と3値のスイッチング増幅器からなるスピーカー駆動回路(17031〜1703s)とそれらの回路に電源を供給する電源回路(1705)がデジタルスピーカー装置(1700)の構成要素である。
【0069】
例えば、s=8の場合において、8個の3値のスイッチング増幅器からなるスピーカー駆動回路でデジタルスピーカー装置を構成する場合を考える。それぞれの駆動装置は、−1、0、+1の3値の状態を持つことが出来る。したがって、8個の3値のスイッチング増幅器からなるスピーカー駆動回路は、−8,−7・・・−1、0、+1・・・+7、+8(=17通り)の状態を持つことが出来るので、フォーマッター(1702a)が出力するデジタル信号(1712a)のbit数はm=17になる。同様にm=17の状態をバイナリーで記述する為に必要なビット数は5 bitなので、1 bitのデジタル入力信号(1710)をn=5 bitのデジタル信号(1711)に変換するΔΣ変調器(1701)を用意すれば良い。
【0070】
図17bに3値のスイッチング増幅器からなるスピーカー駆動回路の実施例を示す。
図17bでは、符号17031から1703sが付されたうちの一例としてスピーカー駆動回路1703sの回路を示す。スピーカー駆動回路1703sは、第1と第2のソーストランジスタ301と第1と第2のシンクトランジスタを有している。第1のソーストランジスタと第1のシンクトランジスタとは直列に接続されており、それぞれのゲートに入力信号Aが入力される。また、第2のソーストランジスタと第2のシンクトランジスタとは直列に接続されており、それぞれのゲートに入力信号/Aが入力される。また、第1のソーストランジスタ及び第1のシンクトランジスタとの接続点と第2のソーストランジスタ及び第2のシンクトランジスタとの接続点とが、それぞれデジタルスピーカーの対をなすデジタル信号端子に接続される。なお、このような回路は、モーターの制御の分野においては一般にHブリッジ回路と呼ばれている。
【0071】
図17bの表により表されるように、入力信号/AとAの状態に応じてスピーカー駆動回路(1703s)は3値(−1,0,1)の状態を持つ。なお、一般には、/AはAの反転を表すが、本実施例では、/AとAとは同じ値になる場合もある。
【0072】
図17a、17bで示されるような、ΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と3値のスイッチング増幅器からなる複数のスピーカー駆動素子で構成されたデジタルスピーカー装置のシステムでは、入力されるデジタル信号の振幅が小さい時には、スピーカー駆動回路(1700b)が0の状態を多くなるように駆動されるように構成でき、無駄なスイッチング動作を避けることが可能となり低消費電力のデ
ジタルスピーカー装置を実現することが可能になる。同時に、スイッチング動作に起因するノイズや電磁輻射等も削減する効果がある。
【0073】
(実施例18)
図18にΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と3値のスイッチング増幅器からなる複数のスピーカー駆動素子で構成されたデジタルスピーカー装置のシステム形態の第18の実施例を示す。1 bitのデジタル入力信号(1810)はΔΣ変調器(1801)に入力される、ΔΣ変調器(1801)でn bitの複数のデジタル信号(1811)に変換する。n bitの複数のデジタル信号はフォーマッター(1802a)によりm個のデジタル信号(1812a)に変換される。m子のデジタル信号(1812a)は、フィルター(1802b)に入力されてミスマッチシェーピングされ、m個のデジタル信号(1812b)に変換される。スピーカー駆動回路(18031〜1803s)は、それぞれがm個のデジタル信号の一部が入力されるs個の駆動素子(18041〜1804s)を駆動してアナログ音声を振動膜(1813)により直接生成する。なお、駆動素子(18041〜1804s)は、s個の3値のスイッチング増幅器からなる。
【0074】
1bitのデジタル入力信号(1810)はピーク感知器(1806)にも入力され、デジタル入力信号の振幅値に応じた制御信号(1816)を出力する。ピーク感知器(1806)は、デジタル入力信号の表す音声の振幅値を算出し、制御信号(1816)は、この算出の結果に応じて出力される。例えば、振幅値は所定の長さの間の音声の大きさとして算出される。制御信号(1816)は前記フォーマッター(1802a)に入力される。前記フォーマッター(1802a)は、前記振幅値に応じて前記フィルター(1802b)へ入力されるデジタル信号(1812a)のbit数を最大m bitまでの間で変更する制御を行う。すなわち、前記振幅値が0または小さければ、0ビットまたは0に近い少ないビット数のデジタル信号(1812a)がフォーマッターにより出力され、前記振幅値が大きければ、mに近い大きなビット数のデジタル信号(1812a)がフォーマッターにより出力される。なお、例えば、デジタル信号(1812a)のbit数は、所定の時間の間、同じ値となる信号を除いて算出される。
【0075】
前記ΔΣ変調器(1801)とフォーマッター(1802a)とフィルター(1802b)と3値のスイッチング増幅器からなるスピーカー駆動回路(18031〜1803s)とピーク感知器(1806)とそれらの回路に電源を供給する電源回路(1805)がデジタルスピーカー装置(1800)の構成要素である。
【0076】
以上のように、
図18などを参照して、ΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と3値のスイッチング増幅器からなる複数のスピーカー駆動素子で構成されたデジタルスピーカー装置にピーク感知器を加えて入力されるデジタル信号の振幅に応じてフィルターへ入力されるデジタル信号のbit数を動的に制御するようなシステムを説明した。このようなシステムでは、入力されるデジタル信号の振幅が小さい時には、フィルターでミスマッチシェーピングを行う際の、動作するユニット数が少なくなるので、ユニットの特性バラツキの範囲が小さくなる。これにより、効果的に雑音の抑制を行うことが可能となるので、高品質の音声再生が可能なデジタルスピーカー装置を実現することが可能になる。同時に、スイッチング動作に起因するノイズや電磁輻射等も削減する効果がある。
【0077】
(実施例19)
図19にΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と3値のスイッチング増幅器からなる複数のスピーカー駆動素子で構成されたデジタルスピーカー装置のシステム形態の第19の実施例を示す。1bitのデジタル入力信号(19
10)はシリアルパラレル変換器(1901a)に入力される、シリアルパラレル変換器(1901a)でp bitのデジタル音声信号(1911a)に変換する。例えば1bitのデジタル入力信号(1910)がコンパクトディスク(CD)に記録された音声データの再生により得られる場合には、16 bitのデジタル音声信号に変換されるのが好ましい。p bitのデジタル音声信号(1911a)はΔΣ変調器(1901c)でオーバーサンプリングされる際に不要な高域の折り返し周波数成分を除去するために、補間フィルター(1901b)に入力されq bitのデジタル音声信号(1911b)が出力される。q bitのデジタル音声信号(1911b)はΔΣ変調器(1901c)でオーバーサンプリングされてΔΣ変調器(1901)でn bitの複数のデジタル信号(1911c)に変換される。本実施例では、n<p,q且つn>2の関係が成り立つ。n bitの複数のデジタル信号はフォーマッター(1902a)によりm個のデジタル信号(1912a)に変換される。m個のデジタル信号(1912a)は、フィルター(1902b)に入力され、ミスマッチシェーピングされたm個のデジタル信号(1912b)に変換される。スピーカー駆動回路(19031〜1903s)は、それぞれがm個のデジタル信号の一部が入力されるs個の駆動素子(19041〜1904s)を駆動してアナログ音声を振動膜(1913)により直接変換する。なお、駆動素子(19041〜1904s)は、s個の3値のスイッチング増幅器からなる。前記ΔΣ変調器(1901c)とフォーマッター(1902a)とフィルター(1902b)と3値のスイッチング増幅器からなるスピーカー駆動回路(19031〜1903s)とそれらの回路に電源を供給する電源回路(1905)がデジタルスピーカー装置(1900)の構成要素である。
【0078】
第19の実施例に示されたように、本願の第1〜第18までの実施例に示されたΔΣ変調器(1901c)の内部では入力された1bitのデジタル信号をシリアルパラレル変換器(1901a)でp bitのデジタル音声信号(1911a)に変換している。また、オーバーサンプリングされる際に不要な高域の折り返し周波数成分を除去するために、補間フィルター(1901b)が挿入される場合もある。これらの構成要素は、本願の構成要素として必須のものではない。本願の第1〜第18までの実施例ではΔΣ変調器に1 bitのデジタル信号が入力されている。ただし、実際には、1 bitのデジタル信号により、任意のbit数のデジタル音声信号を表現することができる。例えばCDの場合16bitであり、Digital Versatile Disc(DVD)の規格では16bitのほかに24bit等の規格が定められている。
【0079】
本願の構成要素のΔΣ変調器には任意のbit数のデジタル音声信号を表現するデジタル信号が入力可能である。この際ΔΣ変調器に入力されるデジタル音声信号のbit数よりもΔΣ変調器から出力されるデジタル信号のbit数が少ないことが本願の特徴の一つである。これによりデジタル音声信号のbit数で表現される音声の振幅階調よりも少ない個数のスピーカー駆動回路により音声信号を復号することができる。
【0080】
例えば、16bitの音声信号を忠実に再生する場合、従来技術では、2
16−1=65535個のユニットが必要になるのに比べ、本実施例では8個程度のユニットであっても従来技術と同等あるいはそれ以上の高品質な音声の再生が可能である。
【0081】
以上のように、本願によれば音声の振幅階調よりも少ない個数のスピーカー駆動回路をデジタル音声信号で直接駆動することで音声信号を復号することが出来るので、デジタル音声復調に必要なコストを大幅に削減できる。同時に複数のスピーカー駆動回路を利用して、指向性等の音響効果の付与が容易となる。
【0082】
(実施例20)
図20にΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と
複数のスピーカー駆動素子と複数のスピーカーからなるデジタルスピーカー装置(2001)とデジタル広告表示装置(2002)を組み合わせ、センサ装置(2003)からの信号を前記デジタルスピーカー装置(2001)の指向性を制御する制御装置(2004)に接続したデジタルスピーカー装置を使ったデジタル音響システムの第20の実施例を示す。
【0083】
本実施例では、実施例9から実施例14におけるように、複数のスピーカーが用いられ、実施例9のようにデジタル遅延回路によりそれぞれのスピーカーを駆動する信号の遅延が制御される。これにより、センサ装置により検出された人や物体の存在する方向や位置へ向けて再生音の指向性を変化させる。
【0084】
センサ装置(2003)は、何らかのその周囲の情報を感知する。例えば、センサ装置(2003)は撮像装置であり、センサ装置(2003)の周囲に映像を撮影する。撮影された映像を解析することで、センサ装置(2003)の周囲に人または物体が存在するかどうかを検出する。また、人または物体が存在する方向、位置も算出することができる。この場合、複数のセンサ装置(2003)で感知された情報を用いることで、より正確に方向、位置を算出することができる。また、センサ装置(2003)は、赤外線のセンサであってもよい。この場合、人や動物の体温などにより生ずる赤外線などが検出され、検出の結果により人や動物などの有無、方向、位置が算出される。また、光を含む電磁波の検出に限らず、デジタルスピーカー装置(2001)などから超音波を発生して、人や物体で反射された超音波を検出してもよい。また、路面や床面にスイッチなどを設け、そのスイッチなどのON/OFFなどにより、人や動物の位置を検出することもできる。
【0085】
センサ装置(2003)による検出の結果は、マイクロコンピュータなどの制御装置(2004)により分析され、デジタルスピーカー装置(2001)および/またはデジタル広告表示装置(2002)の制御に用いられる。
【0086】
本実施例では、算出された方向、位置により、ΔΣ変調器およびフォーマッターからの信号に、遅延回路を用いてデジタル的に遅延をかけることで各駆動装置への信号の移相を制御する。これにより、空間で放射される音響信号の指向性を変化させることが可能となる。例えば、スピーカー装置(2001)において、3つのスピーカーSP1、SP2、SP3がこの順に等間隔で一直線に並んでいると仮定する。このとき、スピーカー間の距離をd、 信号の波長をλs、 スピーカー装置(2001)の正面を0ラジアンとしたと
きの偏角をθとした場合、SP3に対してSP2の位相を(2πd sin θ)/λsだけ遅らせ
、SP1の位相を(4πd sin θ)/ λs となるようにすることにより、θだけSP1側に
指向特性を持たせることが可能となる。
【0087】
センサ装置(2003)で感知した情報に応じて、デジタルスピーカーが再生する音声の指向性を動的に制御することが可能になる。すなわち、人などの音声を伝達する対象が所定の範囲内に存在する場合、その存在の位置に向けて音声を発するように制御が行われる。本願のデジタル広告表示装置では、広告媒体に興味がある対象にのみ必要な音声情報を効果的に伝えることが可能になるのに加えて、不必要に大きな音量で音声情報を再生することが不要になるので、騒音問題にも対応可能である。本実施例はデジタル広告表示装置以外にも、美術館・科学館等の展示説明装置や、駅・空港・ホテル等の構内広告装置、バス・電車・車等の公共機関の広告装置、病院・役所等の公共機関での構内案内装置にも応用可能である。
【0088】
(実施例21)
図21aにΔΣ変調器と後置フィルター回路により複数のデジタル信号を出力する回路と複数のスピーカー駆動素子と複数のスピーカーからなるデジタルスピーカー装置(21
03)と表示装置(2102)を組み合わせ、前記デジタルスピーカー装置(2103)の指向性を制御できるデジタルスピーカー装置を使った車載用デジタル音響システムの第21の実施例を示す。本実施例のような車載用途の場合、特に表示装置をリアプロジェクターとして、主に後部座席に座る同乗者へのエンターテーメント装置(DVDやTVの視聴装置)として応用する場合、安全確保のためには、時々の状況に応じて運転者にはなるべく小さな音量にする等の工夫が必要になる。本願のデジタルスピーカーが再生する音声の指向性を動的に制御することが可能になるので、このような車載用途へも広く応用可能である。
【0089】
上述の時々の状況は、振動センサや加速度センサなどにより、車体に加わる振動や加速度などの検出に基づいて判断する。例えば、急カーブが連続することなどにより、連続して加速度の大きさを超える変化があるかどうかを判断する。また、マイクロフォンにより車外の音を検出し、緊急自動車のサイレンや踏切の警報機の音の有無などを判断する。もし、急カーブが連続するなどと判断されたり、サイレンなどが検出されたりすると、運転者を運転に集中させるために、運転者にはエンターテーメント装置の音声がなるべく小さくなるように制御を行う。また、GPS(Global Positioning System)を用いて、現在位置を検出し、山道など危険な場所を走行しているかどうかを判断し、運転者を運転に集中させるために、運転者にはエンターテーメント装置の音声がなるべく小さくなるように制御を行う。
【0090】
上述のように、車外の情報をモニターしてそれに対応した車内音響環境を構築するためは例えば、車外用モニターカメラ(2104)等を配置し、
図21bに示すように集中制御装置(2105)と(光)デジタル信号を伝達する車内LAN(2106)を使い接続する。車外用モニターカメラ(2104)等により検出された情報を集中制御装置(2105)で分析を行い、その分析の結果に基づいて、デジタルスピーカーを制御する。本願のデジタルスピーカーはデジタル信号により音量だけでなく指向性等の音響特性を制御することが可能である。また、デジタル信号を用いているので、このような車内LAN(2106)に容易に接続することが可能である。したがって、車内LAN(2106)に本願のデジタルスピーカーを接続することにより、運転者と同乗者に快適で安全な車を提供することが可能である。
【0091】
本実施例は、エンターテーメントに限らず、ロードノイズなどの低減のためにアクティブノイズキャンセル装置として本願のデジタルスピーカーを用いることも可能である。すなわち、図示されていないマイクロフォンによりロードノイズなどを検出し、それとは逆の位相の音声が生成されるようにする。また、その際に指向性を制御することで、例えば運転者が聞こえるロードノイズだけを低減したり助手席や後部座席の同乗者が聞こえるロードノイズだけを低減したりすることも可能になる。本実施例は車載用デジタル音響システム以外にも、航空機やモーターバイク、バス、電車などの乗り物にも適用できる。また、カプセルホテル等のベッドや視聴覚室、コンサートホールなどにおけるデジタル音響システムやノイズキャンセル用途にも応用可能である。