(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087352
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】高空間分解能光干渉断層撮影回転カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20170220BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
A61B1/00 300D
G01N21/17 630
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-521702(P2014-521702)
(86)(22)【出願日】2012年7月17日
(65)【公表番号】特表2014-520655(P2014-520655A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】US2012047017
(87)【国際公開番号】WO2013012841
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2015年5月20日
(31)【優先権主張番号】13/184,655
(32)【優先日】2011年7月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500232466
【氏名又は名称】セント ジュード メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ユ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジアイン
【審査官】
増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−218536(JP,A)
【文献】
特開昭55−090257(JP,A)
【文献】
特開2004−223269(JP,A)
【文献】
特開2010−188138(JP,A)
【文献】
特開2008−272445(JP,A)
【文献】
実開昭58−118403(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0004412(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0159673(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0073592(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0043191(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0146202(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0135870(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0021926(US,A1)
【文献】
米国特許第05830145(US,A)
【文献】
米国特許第05463651(US,A)
【文献】
米国特許第05421334(US,A)
【文献】
米国特許第06190353(US,B1)
【文献】
米国特許第03414837(US,A)
【文献】
米国特許第04710216(US,A)
【文献】
米国特許第06222970(US,B1)
【文献】
米国特許第04859289(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
B23D 15/00−19/08
B23D 23/00−31/04
B24D 41/00−51/00
G02B 23/24−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル本体(40)と;
前記カテーテル本体に配置されるチューブ状部材(10)であって、前記チューブ状部材が近位端と遠位端(18)との間に延在する中空内部を有し、前記遠位端と前記近位端との間に長手方向軸が長手方向に延在し、前記チューブ状部材が前記長手方向軸の周りに回転自在である、チューブ状部材と;
前記チューブ状部材(10)の前記中空内部に沿って延在する光ファイバ(20)であって、前記チューブ状部材の前記遠位端の近傍位置に光ファイバ遠位端を有することにより前記光ファイバ遠位端を通って前記チューブ状部材の前記遠位端に向かう光を誘導する光ファイバと;
前記チューブ状部材の前記中空内部に前記光ファイバ遠位端より遠位に配置された、且つ前記チューブ状部材(10)と共に前記長手方向軸の周りに回転するように構成された光反射部材(22)であって、前記光反射部材が光反射面を備え、前記光反射面は、前記光ファイバ遠位端から離間されてそれに対面しており、且つ前記光ファイバ(20)からの光を前記長手方向軸に対して所定の角度で半径方向に反射するように傾斜していて、前記反射光は、前記光反射部材が前記長手方向軸の周りに回転することによって周方向に回転する、光反射部材と;
を含む光干渉断層撮影(OCT)回転カテーテルにおいて、
前記光反射部材は直径が最大で約0.25mmであり、前記光反射面は、研磨され、且つ光反射フィルムで被覆される、OCT回転カテーテル。
【請求項2】
前記光反射部材(22)が、金属材料、繊維材料、及びガラス材料からなる群から選択される材料で作製され;及び
前記光反射フィルムが、アルミニウム、銀、金、及び誘電体被覆材料からなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載のOCT回転カテーテル。
【請求項3】
前記光反射部材(22)及び前記光ファイバ(20)遠位端が、前記チューブ状部材(10)と共に前記長手方向軸の周りに回転するように前記チューブ状部材に取り付けられ;及び
前記チューブ状部材(10)が前記カテーテル本体(40)に対して回転自在であり、前記カテーテル本体が前記チューブ状部材(10)の前記遠位端(18)より遠位にある遠位端(48)を有し、及び前記カテーテル本体の前記遠位端が封止される、請求項1に記載のOCT回転カテーテル。
【請求項4】
前記チューブ状部材(10)及び前記カテーテル本体(40)が、少なくとも前記光反射部材(22)の近傍領域で光学的に透明であり、前記光反射面からの反射光がそこを通り抜けることが可能である、請求項1に記載のOCT回転カテーテル。
【請求項5】
カテーテル本体(40)にチューブ状部材(10)を置くステップであって、前記チューブ状部材が近位端と遠位端(18)との間に延在する中空内部を有し、前記遠位端と前記近位端との間に長手方向軸が長手方向に延在し、前記チューブ状部材が前記長手方向軸の周りに回転自在である、ステップと;
前記チューブ状部材の前記中空内部に沿って延在する光ファイバ(20)であって、前記チューブ状部材の前記遠位端の近傍位置に光ファイバ遠位端を有することにより前記光ファイバ遠位端を通って前記チューブ状部材の前記遠位端に向かう光を誘導する光ファイバを提供するステップと;
直径が最大で約0.25mmの光反射部材(22)を形成するステップと;
前記長手方向軸の周りに前記チューブ状部材(10)と共に回転するように構成された前記光反射部材(22)を、前記チューブ状部材の前記中空内部に前記光ファイバ遠位端より遠位に位置決めするステップであって、前記光反射部材が光反射面を備え、前記光反射面は、前記光ファイバ遠位端から離間されてそれに対面しており、且つ前記光ファイバ(20)からの光を前記長手方向軸に対して所定の角度で半径方向に反射するように傾斜していて、前記反射光は、前記光反射部材が前記長手方向軸の周りに回転することによって周方向に回転する、ステップと
を含む光干渉断層撮影(OCT)回転カテーテルの形成方法において、
前記光反射部材を形成するステップが、バンドルの一端に露出した面を有する少なくとも5本の長手部材のバンドルを形成するステップと;前記バンドルの前記一端における前記長手部材の前記露出した面をまとめて研磨するステップと;前記長手部材の前記研磨した面を光反射フィルムで被覆するステップと;前記バンドルを分離することにより、前記被覆された面を光反射面として有する光反射部材として各長手部材を提供するステップとを含む、方法。
【請求項6】
前記光反射部材(22)及び前記光ファイバ(20)遠位端を、前記カテーテル本体(40)に対して前記長手方向軸の周りに前記チューブ状部材(10)と共に回転するように前記チューブ状部材に取り付けるステップと;
前記チューブ状部材(10)の前記遠位端(18)より遠位にある前記カテーテル本体の遠位端(48)を封止するステップと
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記バンドルが少なくとも100本の長手部材を有し;及び
前記バンドルの前記一端における前記長手部材の前記露出した面が、前記バンドルの長手方向軸に対して所定の角度でまとめて研磨される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
光反射面を有する光反射部材を提供する方法であって、
バンドルの一端に露出した面を有する少なくとも5本の長手部材のバンドルを形成するステップと;
前記バンドルの前記一端における前記長手部材の前記露出した面をまとめて研磨するステップと;
前記長手部材の前記研磨した面を光反射フィルムで被覆するステップと;
前記バンドルを分離し、前記研磨及び前記被覆された端部で所望の長さに切断することにより、前記被覆された面を光反射面として有する光反射部材として各長手部材を提供するステップと
を含む方法。
【請求項9】
前記長手部材は、各々、直径が最大で約0.25mmである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記バンドルが少なくとも100本の長手部材を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記バンドルの前記一端における前記長手部材の前記露出した面が、前記バンドルの長手方向軸に対して所定の角度でまとめて研磨される、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
[0001]本発明は、概して走査型イメージング装置に関し、より具体的には、光干渉断層撮影法などで用いる高空間分解能回転カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]試料に反射した光が基準ビームと干渉すると、干渉信号の周波数から光が反射された深さが分かる。この技法がイメージングに用いられており、光干渉断層撮影法(OCT)として知られる。OCTは、光散乱媒質(例えば生物組織)内部の超高品質マイクロメータ分解能三次元画像の取得を可能にする光信号取得及び処理方法である。OCT並びに他の干渉計型イメージング及びレンジングシステムでは、また他のイメージングモダリティ又は治療用光源の照射にも、走査型イメージングプローブが用いられる。例えば、全体として参照により本明細書に援用される米国特許第6,891,984号を参照のこと。
【0003】
[0003]OCTイメージング用の典型的なファイバ回転プローブは、ファイバGRIN(Gradient-Index:屈折率分布型)レンズとマイクロプリズムとを備える。マイクロプリズムを使用する欠点は、出射面が曲面状である点である。この曲面が円柱レンズとして作用し、レーザビーム品質が低下する。焦点は、円形というよりむしろ楕円形である。この問題は、ファイバの曲面を研磨して平面にすれば解決するが、しかし機械加工が極めて難題となり得る。ファイバGRINレンズに取り付けられるファイバサイズのマイクロプリズム(例えば、直径約0.125mm)は大量生産に適さないため、高額な機械加工費もさらなる課題である。また、研磨されたマイクロプリズムが完全な内部反射を達成するには、研磨された面を保護するための一種のエアバッグを形成するクリアなチュービングが必要である。別の欠点は、円柱レンズ効果に起因する光学収差のバランスをとるため、プリズムとカテーテルの内側シースとの間の空間を占める流体が必要な点である。例えば、米国特許出願公開第2011/0137124号を参照のこと。そのため、カテーテルの固定部品の遠位端を開放しなければならず、塵埃に汚染され易くなる。
【0004】
[0004]或いは、ファイバGRINレンズとマイクロミラーとを使用したOCTイメージング用のファイバ回転プローブもまた、一般的な設計である。マイクロプリズムの代わりにマイクロミラーを使用する一つの利点は、円柱レンズ効果がないことである。しかしながら、小型のマイクロミラーは市販されておらず、各マイクロミラーを研磨及び被覆して高反射面を提供するための加工費が極めて高いため、高額な加工費は依然として課題である。現在、マイクロミラーは直径約0.5mmである。これまで、直径が最大約0.25mmのマイクロミラーの作製が成功したことはない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
[0005]本発明の例示的実施形態は、光干渉断層撮影法などで用いる高空間分解能回転カテーテルのための装置及び方法を提供する。回転カテーテルは、固定部品に対して回転する回転部品を有する。回転部品の遠位端には、ファイバプローブが配置される光学先端がある。ファイバプローブは、GRINレンズから離間された角度付きマイクロミラーを備える。マイクロミラーは、典型的には約35°〜45°の角度の傾斜面を有し、GRINレンズからの長手方向の光を回転部品の長手方向軸から外側へと横方向又は半径方向に反射する。回転部品が回転すると、この反射光ビームが周方向に回転する。マイクロミラーの使用により、光学収差が最小限となる(理論的には収差がなくなる)。結果として、光学収差のバランスをとるための流体が不要となり、従って固定部品の遠位端を封止できるため、血液がファイバプローブの光学窓を塞ぐことを防ぎ、塵埃による血液の汚染を防ぐことができる。さらに、本発明は、複数のマイクロミラーを、より大きい有効横寸法を提供するバンドルとして製造するプロセスを用いる。バンドルは、研磨及び被覆される長手部材を少なくとも5本有する。バンドルは、好ましくは数十本の長手部材を有し、より好ましくは100本を超える長手部材を有する。この製造プロセスにより、直径が最大で約0.25mmの、一定の角度で傾斜した高反射率の光反射面を有するマイクロミラーを作製することが可能となる。
【0006】
[0006]本発明のある態様において、光干渉断層撮影(OCT)回転カテーテルは、カテーテル本体と;カテーテル本体に配置されるチューブ状部材であって、チューブ状部材が近位端と遠位端との間に延在する中空内部を有し、遠位端と近位端との間に長手方向軸が長手方向に延在し、チューブ状部材が長手方向軸の周りに回転自在である、チューブ状部材と;チューブ状部材の中空内部に沿って延在する光ファイバであって、チューブ状部材の遠位端の近傍位置に光ファイバ遠位端を有することにより光ファイバ遠位端を通ってチューブ状部材の遠位端に向かう光を誘導する光ファイバと;チューブ状部材の中空内部に光ファイバ遠位端より遠位に配置された、且つチューブ状部材と共に長手方向軸の周りに回転するように構成された光反射部材であって、光反射部材が光反射面を備え、光反射面は、光ファイバ遠位端から離間されてそれに対面しており、且つ光ファイバからの光を長手方向軸に対して所定の角度で半径方向に反射するように傾斜していて、この反射光は、光反射部材が長手方向軸の周りに回転することによって周方向に回転する、光反射部材とを含む。光反射部材は直径が最大で約0.25mmであり、光反射面は、研磨され、且つ光反射フィルムで被覆される。
【0007】
[0007]一部の実施形態では、光反射部材は、金属材料、繊維材料、及びガラス材料からなる群から選択される材料で作製される。好ましい一実施形態において、材料はステンレス鋼である。光反射フィルムは、アルミニウム、銀、金、及び誘電体被覆材料からなる群から選択される材料を含む。光反射部材及び光ファイバ遠位端は、チューブ状部材と共に長手方向軸の周りに回転するようにチューブ状部材に取り付けられ;及びチューブ状部材はカテーテル本体に対して回転自在であり、カテーテル本体はチューブ状部材の遠位端より遠位にある遠位端を有し、及びカテーテル本体の遠位端は封止される。チューブ状部材及びカテーテルは少なくとも光反射部材の近傍領域で光学的に透明であり、光反射面からの反射光がそこを通り抜けることが可能である。
【0008】
[0008]具体的な実施形態において、OCT回転カテーテルは、光ファイバの遠位端に結合された第1の端部を有し且つ第2の端部を有するビームエキスパンダであって、光ファイバのファイバコアから出射する光ビームを第1の端部から第2の端部に通過させ、第1の端部から拡大して第2の端部でより大きいビームサイズにすることが可能なビームエキスパンダをさらに備える。屈折率分布型ファイバレンズがビームエキスパンダの第2の端部に結合され、ビームエキスパンダから光ビームを受け取り、その光ビームを集束させる。屈折率分布型ファイバレンズは光反射部材より近位にあり、光反射面から離間される。光ファイバは単一モードファイバであり、ビームエキスパンダはコア無しファイバ又はステップインデックス型多モードファイバを含む。屈折率分布型ファイバレンズはガラスクラッド又は空気に取り囲まれたコアを有し、このコアは、屈折率分布型ファイバレンズの軸からの半径方向距離に応じて屈折率がクラッドに向かって半径方向外側に低下するように変化し、及び屈折率分布型ファイバレンズのコアは、ビームエキスパンダの外径以上の直径を有する。屈折率分布型ファイバレンズは、屈折率分布型ファイバレンズの軸からの半径方向距離に応じて屈折率が半径方向外側に低下するように変化し、及び屈折率分布型ファイバレンズは、ビームエキスパンダの外径以上の直径を有する。
【0009】
[0009]一部の実施形態では、固定シャフトチューブ状部材は、少なくとも光反射部材の近傍領域で光学的に透明であり、光反射面からの反射光がそこを通り抜けることが可能である。チューブ状部材はカテーテル本体に対して回転自在であり、チューブ状部材の外表面とカテーテル本体の内表面との間に約0.25mm未満の間隙が提供される。
【0010】
[0010]本発明の別の態様は、光干渉断層撮影(OCT)回転カテーテルの形成方法に関する。この方法は、カテーテル本体にチューブ状部材を置くステップであって、チューブ状部材が近位端と遠位端との間に延在する中空内部を有し、遠位端と近位端との間に長手方向軸が長手方向に延在し、チューブ状部材が長手方向軸の周りに回転自在である、ステップと;チューブ状部材の中空内部に沿って延在する光ファイバであって、チューブ状部材の遠位端の近傍位置に光ファイバ遠位端を有することにより光ファイバ遠位端を通ってチューブ状部材の遠位端に向かう光を誘導する光ファイバを提供するステップと;直径が最大で約0.25mmの光反射部材を形成するステップと;チューブ状部材と共に長手方向軸の周りに回転するように構成された光反射部材を、チューブ状部材の中空内部に光ファイバ遠位端より遠位に位置決めするステップであって、光反射部材が光反射面を備え、光反射面は、光ファイバ遠位端から離間されてそれに対面しており、且つ光ファイバからの光を長手方向軸に対して所定の角度で半径方向に反射するように傾斜していて、この反射光は、光反射部材が長手方向軸の周りに回転することによって周方向に回転する、ステップとを含む。光反射部材を形成するステップは、バンドルの一端に露出した面を有する少なくとも5本の長手部材のバンドルを形成するステップと、これらの長手部材;バンドルの一端における長手部材の露出した面をまとめて研磨するステップと;長手部材の研磨した面を光反射フィルムで被覆するステップと;バンドルを分離することにより、被覆された面を光反射面として有する光反射部材として各長手部材を提供するステップとを含む。
【0011】
[0011]一部の実施形態では、この方法は、光反射部材及び光ファイバ遠位端を、カテーテル本体に対して長手方向軸の周りにチューブ状部材と共に回転するようにチューブ状部材に取り付けるステップと、チューブ状部材の遠位端より遠位にあるカテーテル本体の遠位端を封止するステップとをさらに含む。
【0012】
[0012]この発明の別の態様は、光反射面を有する光反射部材を提供する方法に関する。この方法は、バンドルの一端に露出した面を有する少なくとも5本の長手部材のバンドルを形成するステップと、これらの長手部材;バンドルの一端における長手部材の露出した面をまとめて研磨するステップと;長手部材の研磨した面を光反射フィルムで被覆するステップと;バンドルを分離することにより、被覆された面を光反射面として有する光反射部材として各長手部材を提供するステップとを含む。
【0013】
[0013]一部の実施形態では、長手部材は、各々、直径が最大で約0.25mmである。バンドルは少なくとも100本の長手部材を有する。
【0014】
[0014]以下の具体的な実施形態の詳細な説明に鑑みて、本発明のこれらの及び他の特徴及び利点が当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】本発明の実施形態に係る回転カテーテルの回転部品の概略図である。
【
図1B】
図1Aの回転カテーテルの回転部品の別の概略図である。
【
図1C】本発明の実施形態に係る回転カテーテルの固定部品の概略図である。
【
図1D】回転カテーテルのファイバコネクタ組立体の斜視図である。
【
図2A】本発明の実施形態に係る回転カテーテルの構成要素としてのファイバプローブの概略立面図である。
【
図3A】
図2Aのファイバプローブの構成要素としての角度付きマイクロミラーの立面図である。
【
図3B】本発明の実施形態に係る製造プロセスにおいて研磨され、高反射率フィルムで被覆されるマイクロミラーのバンドルの立面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るマイクロミラーの製造プロセスを示すフロー図の一例である。
【
図5】GRINファイバに沿った光線伝播の光学概略図を示し、周期的ビーム集束が示される。
【
図6】GRINファイバに沿った光線伝播の光学概略図を示し、回折を無視できる場合、4分の1周期長でビームがコリメートされて平行ビームになり得ることが示される。
【
図7】単一モードファイバにスプライシングされたGRINファイバの焦点距離及びGRINファイバと単一モードファイバとの間にスプライシングされたビームエキスパンダとしてのコア無しファイバを有するファイバGRINレンズの焦点距離の実験結果を示す表である。
【
図8】光ファイバ装置の一例の概略図であり、ここで光ファイバの端部に配置されるビームエキスパンダとしてのコア無しファイバ及びGRINレンズの寸法は、一定の長焦点距離を達成するように選択される。
【
図9】光ファイバ装置の別の例の概略図であり、ここで光ファイバの端部に配置されるビームエキスパンダとしてのコア無しファイバ及びGRINレンズの寸法は、異なる長焦点距離を達成するように選択される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
[0029]以下の発明の詳細な説明では、本開示の一部をなす添付の図面が参照され、それらの図面において、本発明を実施し得る例示的実施形態が、限定ではなく、例示として示される。図面では、類似した符号がいくつかの図にわたり実質的に同様の構成要素を示す。さらに、この詳細な説明は、以下に記載するとおり、且つ図面に例示するとおり、様々な例示的実施形態を提供するものの、本発明は本明細書に記載及び例示される実施形態に限定されるものではなく、当業者に公知であろうとおり、又は当業者に公知となるであろうとおり、他の実施形態に拡張され得ることに留意しなければならない。本明細書において「一実施形態」、「この実施形態」、又は「これらの実施形態」と言及するのは、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも一つの実施形態に包含されることを意味し、本明細書の各所にこれらの語句が出現するからといって、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではない。加えて、以下の詳細な説明では、本発明の十分な理解を提供するため、数多くの具体的な詳細が示される。しかしながら、当業者には、本発明の実施にこれらの具体的な詳細が全て必要なわけではないことは明らかであろう。他の状況では、本発明が不必要に曖昧となることがないように、周知されている構造、材料、回路、プロセス及びインタフェースについては詳細には記載しておらず、及び/又はブロック図の形式で示すこともある。
【0017】
[0030]以下の説明では、相対的な向き及び位置の用語、例えば水平、垂直、左、右、上及び下といった用語が用いられる。これらの用語は、二次元配置における、その配置の所与の向きに対する相対的な方向及び位置を指すことは理解されるであろう。配置の異なる向きについては、同じ物体又は操作が、異なる相対的な向き及び位置の用語を用いて記載され得る。
【0018】
[0031]本発明の例示的実施形態は、以下にさらに詳細に記載するとおり、光干渉断層撮影法などで用いる高空間分解能回転カテーテルのための装置及び方法を提供する。
【0019】
[0032]1.回転カテーテル組立体
[0033]
図1Aは、本発明の実施形態に係る回転カテーテルの回転部品の概略図である。回転部品10は、ファイバコネクタ12に結合された近位端を有する。回転部品10の近位部分は、好ましくはニチノールなどの直線状の可撓性材料で作製されるチュービング14である。回転部品10の遠位部分はトルクコイル16である。近位チュービング14はファイバコネクタ12及びトルクコイル16に接着されるか、レーザ溶接されるか、又は他の方法で固着され得る。回転部品10の遠位端には光学先端18があり、そこにファイバプローブ20が配置される。ファイバプローブ20は、GRINレンズ24から離間された角度付きマイクロミラー22を備える。以下にさらに詳細に記載するとおり、ファイバコネクタ12から延在する光ファイバによって出射される光ビームはGRINレンズ24を用いて集束され、ここで光ファイバの端末とGRINレンズ24との間のビームエキスパンダの助けにより、GRINレンズ単独の焦点距離(例えば、約1.8〜2.0mmの焦点距離)と比べて実質的に長い焦点距離が達成される。マイクロミラー22は、典型的には約35°〜45°の角度の傾斜面を有し、GRINレンズ24からの長手方向の光を回転部品10の長手方向軸から外側へと横方向又は半径方向に反射する。回転部品10が回転すると、この反射光ビームが周方向に回転する。
図1Aに示される具体的な実施形態では、光学先端18は、光学窓を提供するクリアなチュービング部分34を備えたステンレス鋼回転チュービング32を有する。この光学窓は光学的に透明であり、マイクロミラー22に反射した光ビームがそこを通り抜けて標的組織に至り、マイクロミラー22を経て単一モードファイバに戻ることを可能にする。
【0020】
[0034]
図1Bは、
図1Aの回転カテーテルの回転部品10の別の概略図である。ファイバコネクタ12は回転コネクタハウジング38の中に装着される。回転ハウジング38は、長手方向軸の周りに回転する回転部品10の一構成要素である。
【0021】
[0035]
図1Cは、本発明の実施形態に係る回転カテーテルの固定部品の概略図である。固定シャフト40は、固定コネクタハウジング42と、大直径の近位チュービング44と、長い遠位チュービング46とを備える。遠位チュービング46は、好ましくは光学的に透明であるため光がそこを通り抜けることができ、FEP(フッ化エチレンプロピレン)などで作製され得る。回転コネクタハウジング38が固定コネクタハウジング42の内側にあり、回転部品の近位チュービング14が固定部品の近位チュービング44の内側にあり、且つトルクコイル16が透明な遠位チュービング46の内側にあるようにして、回転部品10が固定部品40の内側に装着される。概して、回転部品10と固定部品40との対応する構成要素間に小さい間隙(例えば約0.25mm未満)が提供され、これにより回転部品10が固定部品40に対して長手方向軸の周りに回転することが可能となる。固定部品40の遠位端48は、回転部品10の光学先端18の近傍に位置して、且つそれより遠位にあり、好ましくは封止されることで、血液がクリアなチュービング部分34の光学窓を塞ぐことを防ぎ、塵埃による血液の汚染を防ぐ。固定部品40の封止された遠位端48と回転部品10の遠位先端18との間には、約25mm以下の間隙がある。
【0022】
[0036]
図1Dは、回転カテーテルのファイバコネクタ組立体の斜視図である。上述のとおり、回転部品10が固定部品40の内側に挿入される。回転コネクタハウジング38が固定コネクタハウジング42の内側にある。回転コネクタハウジング38はファイバコネクタ12に取り付けられ、これらは共に回転する。回転コネクタハウジング38と固定コネクタハウジング42との間には、小さい隙間がある。
【0023】
[0037]
図2Aは、本発明の実施形態に係る回転カテーテルの構成要素としてのファイバプローブの概略立面図である。
図2Bは、
図2Aのファイバプローブの部分断面図である。
図1Aに関連して上記に考察したとおり、ファイバプローブ20は回転部品10の光学先端18に配置される。ファイバコネクタ12から延在する光ファイバ50によって出射される光ビームはGRINレンズ24を用いて集束され、ここで光ファイバ50の端末とGRINレンズ24と間のビームエキスパンダ54の助けにより、マイクロミラー22に向かう実質的な焦点距離が達成される。一般に、GRINレンズ24は、GRINレンズ24の軸からの半径方向距離に応じて屈折率が半径方向外側に低下するように変化し、及びビームエキスパンダ54の外径以上の直径を有する。図示される実施形態では、GRINレンズ24はガラスクラッド又は空気に取り囲まれたコアを有し、このコアは、GRINレンズ24の軸からの半径方向距離に応じて屈折率がクラッドに向かって半径方向外側に低下するように変化する。GRINレンズ24のコアは、ビームエキスパンダ54の外径以上の直径を有する。ビームエキスパンダ54は、光ファイバ50の遠位端に結合される第1の端部を有し且つ第2の端部を有して、光ファイバ50のファイバコアから出射される光ビームを第1の端部から第2の端部に通過させ、第1の端部から拡大して第2の端部でより大きいビームサイズにすることが可能である。具体的な実施形態において、ビームエキスパンダ54はコア無しファイバ又はステップインデックス型多モードファイバ(SI−MMF)を含む。
図2Bでは、マイクロミラー22は35°〜45°の傾斜面を有し、GRINレンズ24からの長手方向の光を回転部品10の長手方向軸から外側へと横方向又は半径方向に反射する。回転部品10が回転すると、この反射光ビームが周方向に回転する。光学先端18は、好ましくは丸い遠位端60を有して回転摩擦を低減する。ファイバプローブ20の作製及び構成についてのさらなる詳細は、以下に記載する。
【0024】
[0038]光ファイバ50は、接着剤56、レーザ溶接などによってトルクコイル16の遠位端部分に取り付けられる。1つ以上の開口又は窓58を用いて接着剤56が塗布される。ファイバプローブ20の構成要素(マイクロミラー22及びGRINレンズ24)は、接着剤62などによってステンレス鋼チュービング32に取り付けられる。1つ以上の開口又は窓64を用いて接着剤62が塗布される。マイクロミラー22に反射した光ビームを出射させるため、一つの光学窓66が提供される。回転チュービング32は、具体的な実施形態において約5mmの長さを有し、他の何らかの金属又はファイバプローブ20の構成要素を支持するのに十分に強力な材料で作製され得る。マイクロミラー22に反射した光ビームが通り抜けることのできるクリアなチュービング部分34を提供する一つの方法は、全ての開口又は窓58、64、66にわたって薄いクリアな熱収縮チュービングの部分片を使用することである。
【0025】
[0039]2.マイクロミラー
[0040]
図3Aは、
図2Aのファイバプローブの構成要素としての角度付きマイクロミラーの立面図である。マイクロミラー22は光反射部材であり、金属材料、繊維材料、又はガラス材料などの様々な材料で作製することができる。好ましい一実施形態において、材料はステンレス鋼である。傾斜した光反射面は研磨されて光反射フィルムで被覆され、光反射フィルムは、好ましくは高反射性である。例としては、アルミニウム、銀、及び金が挙げられる。可能な代替的反射性被覆としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、及び二酸化チタンなどの誘電体被覆が挙げられる。マイクロミラー22は、典型的には平均長さが約0.5〜1mm及び直径が約0.1〜0.2mmである。この平均長さは、長手方向軸に沿った長さである;光反射面が傾斜しているため、実際の長さは長手方向軸から半径方向に変化する。マイクロミラー22の長手方向寸法は横寸法より実質的に大きい(例えば、約2.5〜10の比)。
【0026】
[0041]
図3Bは、本発明の実施形態に係る製造プロセスにおいて研磨され、且つ高反射率フィルムで被覆されたマイクロミラーのバンドルの立面図である。マイクロミラー22は小型であり(直径約0.25mm未満、典型的には直径約0.1〜0.2mm)、且つ長手方向寸法と比べて横寸法が小さいため、個々のマイクロミラーを研磨及び被覆して製造することは困難である。この発明の態様に係る解決法は、複数のマイクロミラーを、より大きい有効横寸法を提供するバンドルとして製造することである。バンドルが、研磨及び被覆される長手部材又は円筒形部材を少なくとも5本有することが、決定的に重要である。バンドルは、好ましくは数十本の長手部材を有し、より好ましくは100本を超える長手部材を有する。長手部材は、典型的には長さ約25mmであり、バンドル端部の研磨及び被覆が完了した後、加工されたバンドル端部で約0.5〜1mmの平均長さに切断される。
【0027】
[0042]
図4は、本発明の実施形態に係るマイクロミラーの製造プロセスを示すフロー図の例である。ステップ402では、少なくとも5本の長手部材のバンドルが形成される。バンドルの一端に露出した面を有する長手部材。長手部材の例としては、ステンレス鋼線、ガラスロッド、及びポリイミド繊維が挙げられる。バンドルを形成するため、熱収縮チュービングなどを用いて長手部材をくるむことができる。加えて、長手部材を一時的に互いに接着又はその他固着してもよく、互いに動かないようにすることで、マイクロミラーに適切な角度をなす反射面を作り出す効果的な研磨及び被覆を確実にしてもよい。ステップ404は、バンドルの一端における長手部材の露出した面をまとめて研磨する。この研磨は、長手部材の各々に角度がついた共通の面が生じるように、バンドルの長手方向軸に対して所定の角度で行われる。研磨は固体のサンドペーパー及び/又は液体の磨き剤で実施し得る。具体的な実施形態では、研磨は初めに約40μm〜約1μmの範囲の種々の粒度の固体のサンドペーパーで行われ、続いて約0.1μm以下の粒度の液体の磨き剤で行われる。ステップ406では、長手部材の研磨された面が光反射フィルムで被覆される。ステップ408では、バンドルが分離されて、研磨及び被覆された端部で所望の長さに切断され、これにより、被覆された面を光反射面として有する光反射部材として、切断された各長手部材が提供される。
【0028】
[0043]本発明者らは、130本のステンレス鋼線のバンドルを使用してこの方法を利用し、研磨及び被覆によりマイクロミラーを作製した。マイクロミラーの直径は約0.1〜0.2mmであり、平均長さは約0.5〜1mmである。130本の長手部材のバンドルについて、バンドル直径は約3〜4mmである。バンドルあたりの長手部材の本数は、数百本又は数千本まで増加させることができる。10,000本のワイヤのバンドルでは、全体のバンドルサイズは直径約25mmである。この技法は効果的であり、マイクロミラーの作製費を劇的に削減する。銀被覆マイクロミラーの反射率は、130本のマイクロミラーのバンドルについて1310nm波長域で約96%であり、ラウンドトリップの0.35dBの損失に対応する。この反射率は、金被覆で約98〜99%に改善することができる。マイクロミラーあたりの製造費は従来の方法と比べて実質的に低下する。このコストの低さから、この製造プロセスは商業的に妥当である。OCT回転プローブの作製にこの銀被覆ステンレス鋼マイクロミラーを用いることにより、光学収差、特に円柱レンズ効果が最小限に抑えられているため、空間分解能が向上した、極めて良好なイメージングが実現する。
【0029】
[0044]OCT回転カテーテル用のOCT回転プローブ20の組み立てにおいて、ファイバGRINレンズ24及びマイクロミラー22は、それらを回転チュービング32内に組み立てることができるほど十分に小さいサイズである。OCT回転カテーテルはフラッシュ又は潤滑剤を用いる必要がなく、従って塵埃が患者の血流中に出てくることがないため、安全性が確保される。回転プローブ20は患者の血流から隔離されているため、再利用可能であり得る。回転プローブ20の別の特徴は、以下に記載するとおり、GRINレンズ24及びビームエキスパンダ54が光ファイバ50と共に長焦点距離を作り出すように構成されることである。
【0030】
[0045]3.屈折率分布型(GRIN)レンズ
[0046]
図5は、GRINファイバに沿った光線伝播の光学概略図を示し、周期的ビーム集束が示される。
図6は、GRINファイバに沿って伝播する光線の光学概略図を示し、回折を無視できる場合、4分の1又は4分の3周期長でビームがコリメートされて平行ビームになり得ることが示される。入射ビームが点サイズである場合、長さ
【数1】
が、ビームをコリメートするのに理論上最良のGRINレンズの長さである(式中、k=0,1,2,...である。ΛはGRINファイバの周期である)。実際の入射ビームは点源ではなく有意なビーム直径を有するため、ファイバGRINレンズに用いる実際の長さは4分の1周期より短くなる。周期(Λ)は入射角に関係するため、kが大きいと集束性能が著しく低下することは、注記に値する。入射ビームのサイズがGRINファイバの直径に近い場合、シミュレーション及び実験から、用いるGRINファイバの長さは4分の1周期長(k=0)より大幅に短くなることが示されている。
【0031】
[0047]GRINファイバの屈折率プロファイルは、通常、以下のように表される
【数2】
【0032】
[0048]式中、a、n
1,grin及びn
2,grin は、それぞれファイバの半径、コア及びクラッドの屈折率である。0≦ρ≦aが光跡の半径となる。パラメータΔは、以下のように表される
【数3】
【0033】
[0049]式中、NA
grinはGRINファイバの開口数である。GRINファイバのコアに光がθ
0の角度で入射するとき、この光は最大半径で曲がり(θ=0)、光差は以下のように表される
【数4】
【0034】
[0050]一般に、軸位置(z)に対して角度θで入射する光の半径は、以下のように表すことができる
【数5】
【0035】
[0051]式中、−θ
0≦θ≦θ
0は入射角の範囲を示す。明らかに、式(4)は、GRINファイバが入射ビームを周期的に集束させ得ることを示している。この周期は、以下のように表される
【数6】
【0036】
[0052]周期は入射角に関係するため、GRINファイバの長さが以下のL
max
【数7】
より長い場合、平均化(−θ
0≦θ≦θ
0)により自己集束効果は消失する
【0037】
[0053]D
GRIN=100μm、θ
0=8°、NA
grin=0.29、n
1,grin=1.47の典型的なパラメータでは、式(6)からL
max は約160mmとなる。入射角に対するガウスプロファイル出力分布を考えると、現実の最大長さはこの値より僅かに長い。
【0038】
[0054]以下のとき
【数8】
最大半径が式(4)から以下のとおり求められる
【数9】
【0039】
[0055]式(7)は、式(3)により与えられる値と一致する。ファイバ直径D
coreを考えると、且つステップインデックス型単一モードファイバである単一モードファイバのファイバコアから出射される光ビームの反射方程式を、式(7)と併せて用いると、このとき最大直径D
max=2ρ
max+D
coreは、以下のとおり求められる
【数10】
【0040】
[0056]式中、D
grinはGRINファイバコア直径である。単一モードファイバのファイバコアから出射される光ビームの反射方程式を、式(8)と併せて用いると、ビームエキスパンダの無いGRINレンズの焦点距離は、以下のとおり求められる
【数11】
【0041】
[0057]
図7は、単一モードファイバにスプライシングされたGRINファイバの焦点距離、及びGRINファイバと単一モードファイバとの間にスプライシングされたビームエキスパンダを有するファイバGRINレンズの焦点距離の実験結果を示す表である。NA=0.09、NA
grin=0.29、n
1,grin=1.487、D
grin=100μmのパラメータのファイバについて、単一モードファイバがファイバGRINレンズにスプライシングされる場合の最大ビーム直径は、約40μmである。焦点距離は式(9)から0.38mmと求められ、これは、実験で最も長い焦点距離が常に約0.35mmである理由を説明するものである。実験はまた、僅かに大きいNAの単一モードファイバについて焦点距離が僅かに長いことも示しており、これは式(9)と一致する。長焦点距離を得るための効果的な方法は、単一モードファイバとGRINファイバとの間に自由空間としてビームエキスパンダ(例えば、NCF又はSI−MMF)の小さい部分片をスプライシングしてビーム直径を拡大することである。
【0042】
[0058]
図8は、光ファイバ装置の一例の概略図であり、ここで光ファイバの端部に配置されるコア無しファイバ及びGRINレンズの寸法は、一定の長焦点距離を達成するように選択される。
図9は、光ファイバ装置の別の例の概略図であり、ここで光ファイバの端部に配置されるコア無しファイバ及びGRINレンズの寸法は、異なる長焦点距離を達成するように選択される。
図9は0.1mmコア及び0.14mm外径クラッドを有するファイバGRINレンズを示すが、ファイバGRINレンズは、例えば0.125mm外径コア及びクラッド無しを含め、他の構成及び寸法を有し得ることに留意されたい。
図9の構成では、コア無しファイバの長さL
NCFは0.65mmであり、GRINファイバの長さは0.17mmである。これにより、1.76mmに等しい長焦点距離の実験結果がもたらされる。
図8の構成では、コア無しファイバの長さは0.65mmではなく、0.3mmであり、一方、GRINファイバの長さは0.17mmではなく、0.26mmである。
図8の構成で計測される焦点距離は0.62mmであり、これは
図9の構成の焦点距離1.76mmより短く、なぜなら
図8のより短いコア無しファイバのビーム直径がより小さいためである。コア無しファイバの長さ及びGRINファイバ及びコア無しファイバの直径が二倍になれば、理論上の焦点距離は4倍増加し、数ミリメートルの長さとなり得る。大きい寸法のファイバには、通常のものでなく、特別に設計された融着接続機を用いる必要があり得る。SMF、NCF、及びGRINレンズのさらなる詳細は、全体として参照により本明細書に援用される2010年7月2日に出願された米国特許出願第12/829,787号に見出すことができる。
【0043】
[0059]本記載においては、本発明の十分な理解を提供するための説明を目的として、数多くの詳細が示される。しかしながら、当業者には、本発明を実施するためにこれらの具体的な詳細の全てが必要なわけではないことは明らかであろう。加えて、本明細書には具体的な実施形態が例示及び記載されているが、当業者は、開示される具体的な実施形態に代えて、同じ目的を達成するように計算された任意の構成を用い得ることを理解する。この開示は、本発明のあらゆる適応又は変形を網羅することが意図され、以下の特許請求の範囲において用いられる用語が、本明細書に開示される具体的な実施形態に本発明を限定するものと解釈されてはならないことが理解されるべきである。むしろ本発明の範囲は、完全に、特許請求の範囲の権利範囲にある均等物の全範囲と共に、クレーム解釈の確立された原則に従い解釈されるべき以下の特許請求の範囲によって定められるべきである。