(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の清掃用スクイジー装置の一実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
清掃用スクイジー装置10は、例えば建築物の窓ガラスを清掃する自動清掃装置の清掃ヘッドとして用いられ、建築物の屋上から吊り下げられたワイヤロープに沿って昇降される自動清掃装置本体に搭載され、自動清掃装置本体を下降させながら窓ガラスを清掃する場合に用いられる。
なお、清掃用スクイジー装置10の窓ガラスなどの清掃方向は、上から下への下降方向に限らず、左から右へ、あるいは逆に右から左への左右方向を清掃方向とすることもできる。
【0014】
清掃用スクイジー装置10は、清掃面Wの清掃幅方向Xに沿って開口部24が形成された支持本体部20と、開口部24の両側に1対配置され清掃幅方向Xに沿って伸び弾性体で形成されるスクイジー30,40と、を備えており、1対のスクイジー30,40は角度を付与して先端部が気密状態で接触されるとともに、清掃面Wへの接近押圧により先端部間が開口可能に支持本体部20に取り付けられて構成されている。
ここでは、清掃用スクイジー装置10のスクイジー30,40は、清掃幅方向Xである水平方向に配置されており、清掃面Wである窓ガラスにスクイジー30,40を押し付けながら、上側のスクイジー30を拭きスクイジーとし、下側のスクイジー40を受けスクイジーとして清掃方向Yである上から下に向かって清掃用スクイジー装置10を移動しながら窓ガラスを清掃することになる。
なお、清掃方向を左右方向とする場合のスクイジー30,40の配置と角度については、後述する(
図5参照)。
【0015】
支持本体部20は、清掃面Wの清掃幅方向Xに沿うベースフレーム21を備えており、清掃幅と略同一の長さを有している。
ベースフレーム21の上下にスクイジー30,40を取り付けるためのベース板22、23が取り付けられて清掃面W側に突き出して横断面形状が略コ字状になっている。これにより、支持本体部20は、ベースフレーム21と上下のベース板22,23によって清掃面Wの清掃幅方向Xに開口部24が形成される。
ベースフレーム21の内側の上下のベース板22,23の間には、補強用のリブフレーム25が清掃幅方向Xに一定の間隔で配置され、上下のベース板22,23の間隔を確保している。
上下のベース板22,23は、スクイジー30,40を取り付けるための部材であり、上のベース板22と下のベース板23に取り付けたスクイジー30,40が所定の角度をなし、スクイジー30とスクイジー40の先端部が気密状態で接触できるようにする。例えば、上下のベース板22,23の間の角度が略30〜60度となるように設定し、下のベース板23の先端部のみを上方に曲げ加工してある。
ここでは、清掃用スクイジー装置10は、下降しながら清掃することから、清掃方向後方側となる上のベース板22を略水平(清掃面に対して90度以下)に配置し、清掃方向前方側となる下のベース板23の先端部を上方に曲げ加工して上下のベース板22,23の間の角度が略30〜60度となるように設定している。
支持本体部20は、ベースフレーム21と、上下のベース板22,23とで横断面形状が略コ字状とされ、左右の両端部がサイドプレート26で塞がれて閉空間27が形成されている。
【0016】
スクイジー30とスクイジー40は、ゴムなどの弾性体で形成されて清掃幅に対応した長さの板状とされ、内側が平面とされ、先端部の外側が斜面に形成されてテーパ状に尖った状態となっている。スクイジー30とスクイジー40は、支持本体部20の開口部24の両側(ここでは、上下)に配置されている。
スクイジー30は、清掃幅方向Xと直交する前後方向の中間部までに補強板31が当てられて上のベース板22に取り付けられている。補強板31によってスクイジー30を押さえることで、スクイジー30が清掃面Wに押し当てられたときの弾性反力を安定させて拭き取りができるようにしている。
スクイジー40は、下のベース板23の折り曲げ部に取り付けられ、スクイジー30の先端部と角度をなして接触し、気密状態となるようにしている。
また、スクイジー30とスクイジー40は、清掃面Wに押し当てる前の状態では、先端部同士が接触して気密状態を保持でき、清掃面Wに押し付けた状態では、スクイジー30とスクイジー40との間が開口するようにしている。スクイジー30とスクイジー40の先端部の形状やゴムの弾性力などによっても異なるが、例えば、清掃面Wへの押し付け代を3mm程度とした場合に、開口幅が10mm程度となるように設定される。
支持本体部20の左右両端部のサイドプレート26は、スクイジー30とスクイジー40の先端部より5mm手前までの寸法としてあり、スクイジー30とスクイジー40の清掃面Wへの押し付け量を一定範囲に保ち、清掃面Wへの押し付けすぎを防止する。
【0017】
このような清掃用スクイジー装置10では、清掃面Wの清掃幅方向Xに沿って開口部24が形成された支持本体部20の開口部24の両側(上下)に1対の弾性体で形成されたスクイジー30とスクイジー40を配置して取り付けてあり、1対のスクイジー30,40は角度を付与して先端部が気密状態で接触するとともに、清掃面Wへの接近押圧により先端部間が開口可能に支持本体部20に取り付けてある。これにより、清掃用スクイジー装置10を清掃面Wである窓ガラスに接触させた後、押し付けることで、円弧状に弾性変形した上側の拭きスクイジーとなるスクイジー30の内側角部が清掃面Wに接触し、この状態を保持して下降することで、清掃面Wに付着した汚物などの清掃物を掻き落とすことができる。
また、上側のスクイジー30で掻き落とされた清掃物は、上下のスクイジー30,40の間に形成された開口から先端部が清掃面Wに接触している下側の受けスクイジーとなるスクイジー40に沿って閉空間27内に回収される。
さらに、清掃面Wである窓ガラスの下端まで清掃した後、清掃用スクイジー装置10を清掃面Wである窓ガラスから離反させて引き離すことで、上下のスクイジー30,40の先端部の撓みが弾性力で戻り、先端部同士が接触した状態となって閉空間27に回収された清掃物が漏れ出すことなく保持される。
また、上下のスクイジー30,40の間に形成された開口を利用して、散水やエアブローなどを行うことができ、一層拭き残しをなくし、水切りを行って清掃度を向上することができる。
【0018】
なお、このような清掃用スクイジー装置10は、散水、拭き上げ、汚水回収などの全ての機能が一体化されたことにより、自動清掃装置の清掃ヘッドに取り付けて用いる場合のほか、清掃用ロボットの先端ツール(エンドエフェクト)として用いたり、作業者が使用するハンドツールとして用いることができ、清掃面Wに押し付けて移動しながら清掃することができ、俯仰などの操作を必要とせず、清掃面Wから引き離して清掃を終了することができる。
【0019】
清掃用スクイジー装置10には、清掃面Wに向けて散水する散水機構50が設けられている。散水機構50は、上下のスクイジー30,40を押し付けることで開口した間から清掃面Wに散水するようにする。散水機構50は、支持本体部20のベースフレーム21の前方側(清掃面W側)に清掃幅方向Xに沿って配置される散水管51と、散水管51に所定間隔で形成された散水穴52とを備えている。散水管51は、支持本体部20のリブフレーム25の先端部に形成したU字状の支持部に入れられて取り付けられている。散水管51の中間部の2箇所には、角度設定ブロック53が散水管51を取り囲んで支持本体部20に固定してある。そして、角度設定ブロック53に装着した散水管51を、その中心軸回りに回転させ、外周側から止めねじ54で締め付けることで、散水穴52の向きを水平方向に対し、例えば15〜20度程度上方の1対のスクイジー30,40の開口に向けた角度に設定できるようにしてある。
散水管51の端部には、端部ジョイントを介してワンタッチ管継手が連結され、図示しない清掃水供給装置から加圧した清掃水を供給できるようにしてある。
【0020】
清掃用スクイジー装置10には、清掃によって生じる汚物や汚水などの清掃物を回収する回収機構60が設けられている。
回収機構60は、支持本体部20に形成された閉空間27に連通させて後部下方に突き出すように取り付けられ汚水などの清掃物を回収する閉空間の収納部61を備える。収納部61は、回収した清掃物が入る下部の回収受け部材62と、回収受け部材62を支持本体部20に支持して上部を覆って閉空間を形成する回収受けベース板63と、を備えている。回収受け部材62は、ベースフレーム21の長さに対応して清掃幅に合わせてベースフレーム21の後部下方に樋状に設けられている。回収受け部材62の両端部には、略水平後方に大きく突き出してメンテナンスホール部64が形成され、透明のメンテナンスホールカバー65で塞がれている。メンテナンスホール部64によって清掃物の回収状態などを目視できるようにしている。
メンテナンスホール部64の後部壁には、管ジョイント66が連結され、管ジョイント66を介して自然落差で収納部61から清掃物を外部に回収したり、ポンプなどの図示しない強制吸引装置で吸引して外部に回収できるようにしてある。
なお、回収した汚水は、フィルタなどで浄化して循環使用される。
【0021】
このような清掃用スクイジー装置10に、散水機構50および回収機構60を設けることで、清掃面Wに散水し、拭き取られた汚物とともに、汚水を回収することができる。
すなわち、上下のスクイジー30,40を清掃面Wである窓ガラスに押し付けて形成される開口から散水機構50の散水管51の多数の散水穴52を介して清掃面Wに清掃水を散水する。この散水と同時に、上側の拭きスクイジー30で汚れおよび散水を拭き取りながら清掃し、清掃した汚水を下側の受けスクイジー40で支持本体部20の閉空間27を介して回収機構60の収納部61に回収する。収納部61に回収した汚水などの清掃物は、管ジョイント66を介して清掃用スクイジー装置10の外部に排出し、廃水処理をした後廃棄したり、フィルタなどで浄化して再循環使用する。
散水して清掃することで、一層確実に清掃することができるとともに、汚水などの清掃物を回収することで、周囲への飛散などの影響を回避して清掃することができる。
【0022】
次に、清掃用スクイジー装置10の清掃方向と2つのスクイジー30,40の配置および角度について、
図5〜
図6により説明する。
1)2つのスクイジー30,40の役割について
2つのスクイジー30,40は、清掃方向によって、拭きスクイジーとして機能するか、受けスクイジーとして機能するかが変化する。
すなわち、清掃方向前方側が受けスクイジーを構成し、後方側が拭きスクイジーを構成する。
既に説明した実施の形態では、清掃方向Yを上から下へ下降しながら清掃する場合であり、清掃方向前方側(下側)のスクイジー40が受けスクイジーを構成し、後方側(上側)のスクイジー30が拭きスクイジーを構成する。
清掃方向を左右方向とする場合には、
図5に示すように、1対のスクイジー30,40が上下方向に沿って配置され、左から右に移動しながら清掃する場合は、清掃方向前方側(右側)のスクイジー40が受けスクイジーを構成し、後方側(左側)のスクイジー30が拭きスクイジーを構成することになる(
図5(a)参照)。
逆に、右から左に移動しながら清掃する場合には、清掃方向前方側(左側)のスクイジー40が受けスクイジーを構成し、後方側(右側)のスクイジー30が拭きスクイジーを構成することになる(
図5(b)参照)。
なお、清掃方向による拭きスクイジーと受けスクイジーの拭き取りや汚水などの清掃物の回収などの作用については、何ら変化するものでない。
【0023】
2)拭きスクイジー30の清掃面Wへの接触角度について
例えば、
図6に示すように、清掃方向を上から下にした場合の拭きスクイジー30を清掃面Wに対して鈍角で接触させ、拭き終わり時に清掃面Wからスクイジー30を引き離すと、拭きスクイジー30の先端が撓んだ状態から戻る場合の戻り軌跡が円弧の頂点を越えるため、頂点を越えた時点でスクイジー30の先端と清掃面Wとの接触がなくなってしまう。このため、スクイジー30が戻り軌跡の頂点を越えた時点で跳ねるように戻る現象が起こり、清掃面Wの完全な拭き取りや水切りができなくなってしまう。
そこで、スクイジー30の戻り軌跡の頂点とスクイジー30による拭き終わりとを少なくとも一致させる必要があり、押し当て
時の清掃方向後方側の拭きスクイジー30の清掃面Wとの接触角度は、90度以下にする必要がある。
こうすることで、拭きスクイジー30の先端が拭き終わり時まで清掃面Wとの接触を維持し、完全な拭き取りや水切りを行うことができる。
なお、この拭きスクイジーと清掃面Wとの接触角度は、清掃方向に関係なく、清掃方向後方のスクイジーについて清掃面Wに対して90度以下の接触角度に設定することは、同じである。
【0024】
このような清掃用スクイジー装置10では、自動壁面清掃装置の清掃ヘッドとして用いる場合には、
図3〜
図4に示すように、清掃面Wに対して接近離反する往復駆動機構70を介して設置する。清掃に当たっては、清掃面Wに押し付けた状態を保持して清掃方向に移動することで清掃が行われる。
また、清掃用ロボットなどのエンドエフェクトとして使用する場合には、清掃面Wに対して押し付け、押し付けた状態を保持して予め定めた清掃方向に移動することで清掃が行われる。
さらに、ハンドツールとして作業者が手に持って清掃する場合には、清掃面Wに対して押し付け、押し付けた状態を保持して予め定めた清掃方向に移動することで清掃が行われる。
そして、いずれの場合も清掃用スクイジー装置10を清掃面Wから引き離すようにして清掃を終了する。
したがって、これまでのスクイジー装置のように、拭き終わりの際に俯仰操作をする必要がなく、俯仰機構も不要となって小型化、軽量化を図ることができる。
【0025】
以上、実施の形態とともに、具体的に説明したように、本発明の清掃用スクイジー装置10によれば、清掃面Wの清掃幅方向Xに沿って開口部24が形成された支持本体部20の開口部24の両側(上下)に1対の弾性体で形成されたスクイジー30とスクイジー40を配置して取り付けてあり、1対のスクイジー30,40は角度を付与して先端部が気密状態で接触するとともに、清掃面Wへの接近押圧により先端部間が開口可能に支持本体部20に取り付けてある。これにより、清掃用スクイジー装置10を清掃面Wである窓ガラスに接触させた後、押し付けることで、円弧状に弾性変形した上側の拭きスクイジーとなるスクイジー30の内側角部が清掃面Wに接触し、この状態を保持して下降することで、清掃面Wに付着した汚物などの清掃物を掻き落とすことができる。
また、上側のスクイジー30で掻き落とされた清掃物は、上下のスクイジー30,40の間に形成された開口から先端部が清掃面Wに接触している下側の受けスクイジーとなるスクイジー40に沿って閉空間27内に回収することができる。
さらに、清掃面Wである窓ガラスの下端まで清掃した後、清掃用スクイジー装置10を清掃面Wである窓ガラスから離反させて引き離すことで、上下のスクイジー30,40の先端部の撓みが弾性力で戻り、先端部同士が接触した状態となって閉空間27に回収された清掃物が漏れ出すことなく保持することができる。
また、上下のスクイジー30,40の間に形成された開口を利用して、散水やエアブローなどを行うことができ、一層拭き残しをなくし、水切りを行って清掃度を向上することができる。
また、従来方式では、拭きスクイジー、受けスクイジーとして機能する1対のスクイジー30,40が別々で、さらに個別機構による駆動であり、ハンドツールへの応用は難しかったが、本発明の清掃用スクイジー装置10では、1対のスクイジー30,40が一体化され、清掃面Wへの操作が接近離反だけで良く、小型化、軽量化を図ることができるとともに、清掃用スクイジー装置10としての応用範囲を大幅に広げることができる。
【0026】
清掃用スクイジー装置10によれば、支持本体部20は、スクイジー30,40の先端部が気密状態で接触された状態で閉空間27を形成可能に構成されているので、清掃方向前方のスクイジーで回収した清掃物を閉空間27内
に保持することができる。
【0027】
清掃用スクイジー装置10によれば、支持本体部20には、1対のスクイジー30,40の間から清掃面Wに向けて散水する散水機構50が設けてあるので、散水によって清掃面Wを一層確実に清掃することができ、清掃度を向上することができる。清掃後の汚水などを支持本体部20と1対のスクイジー30,40で形成される閉空間27に回収することができる。
【0028】
清掃用スクイジー装置10によれば、支持本体部20には、閉空間27に連通し閉空間27内から清掃物を回収する回収機構60が設けてあるので、回収機構60で閉空間27内から外部に清掃物を回収することができる。これにより、閉空間27の大きさにかかわらず、連続して清掃作業を行うことができる。
【0029】
清掃用スクイジー装置10によれば、1対のスクイジー30,40は、清掃幅方向と交差する清掃方向前方側が受けスクイジーを構成し、後方側が拭きスクイジーを構成し、拭きスクイジーは、清掃面Wに対して90度以下の接触角度に設定されているので、清掃面Wを拭きスクイジーで清掃し、汚物などの清掃物を受けスクイジーで回収することができる。また、拭きスクイジーを清掃面Wに対して90度以下の接触角度としてあるので、拭きはじめから拭き終わりまで、清掃面Wに接触させて清掃することができ、拭き残しが生じることなく、清掃することができる。