特許第6087446号(P6087446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6087446低い熱膨張係数を有する新規なポリアミドイミド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087446
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】低い熱膨張係数を有する新規なポリアミドイミド
(51)【国際特許分類】
   C07D 209/48 20060101AFI20170220BHJP
   C08G 73/14 20060101ALI20170220BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20170220BHJP
【FI】
   C07D209/48
   C08G73/14
   !C07B61/00 300
【請求項の数】20
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2015-546369(P2015-546369)
(86)(22)【出願日】2013年10月31日
(65)【公表番号】特表2016-502560(P2016-502560A)
(43)【公表日】2016年1月28日
(86)【国際出願番号】KR2013009763
(87)【国際公開番号】WO2014104557
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2015年6月5日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0155221
(32)【優先日】2012年12月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514291196
【氏名又は名称】コリア アドバンスト インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100117422
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 かおり
(72)【発明者】
【氏名】キム,サン ユル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン ダル
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−107791(JP,A)
【文献】 特開昭63−241031(JP,A)
【文献】 特開昭51−097699(JP,A)
【文献】 特表2015−508722(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0600449(KR,B1)
【文献】 LIAW,Der-Jang,POLYMER DEGRADATION AND STABILITY,2006年,Vol.91,pp.1731-1739
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記[化学式A]で表わされる、2つの置換基RおよびR'が環状基Aと環状基Bのうち一方の環状基Aにのみ結合されていることを特徴とする、非対称ジカルボン酸誘導体、そのアルカリ金属塩またはそのアルカリ土類金属塩。
[化学式A]
(式中、R及びR'は、それぞれ同一もしくは異なり、互いに独立して、未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルキル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数2〜12のアルケニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数2〜12のアルキニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜30のシクロアルキル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜30のシクロアルケニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数6〜30のアリール基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数3〜30のヘテロアリール基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数6〜30のアリールアルキル基;から選択される官能基であり、
X1〜X3は、それぞれ同一もしくは異なり、互いに独立して、水素;ハロゲン;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルキル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数2〜12のアルケニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数2〜12のアルキニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜30のシクロアルキル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜30のシクロアルケニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数6〜30のアリール基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数3〜30のヘテロアリール基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数6〜30のアリールアルキル基;から選択される官能基であり、
L1は、単結合、−O−、−S−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)−、−SO2−、−C(R1)(R2)−、−NR3から選択されるいずれか一つであって、
ここで、R1、R2およびR3は、それぞれ同一もしくは異なり、水素、未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルキル;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜20のシクロアルキル;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数6〜20のアリール;または未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数3〜20のヘテロアリール;から選択されるいずれか一つであり、環状基
は、互いに独立して、未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された五員または六員環を少なくとも一つ含む炭素数5〜30のアリーレンまたはシクロアルキレン基、未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された五員または六員環を少なくとも一つ含む炭素数5〜30のヘテロアリーレンまたはヘテロシクロアルキレン基である。)
【請求項2】
前記RとR'は、それぞれ同一もしくは異なり、フッ素を含有する炭化水素基であることを特徴とする、請求項1に記載のジカルボン酸誘導体、そのアルカリ金属塩またはそのアルカリ土類金属塩。
【請求項3】
前記L1は、単結合、OおよびSの中から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、請求項1に記載のジカルボン酸誘導体、そのアルカリ金属塩またはそのアルカリ土類金属塩。
【請求項4】
前記L1は単結合であり、前記RとR'は、それぞれフッ素を含む炭素数1〜5のアルキルであり、前記X1〜X3は、それぞれ同一もしくは異なり、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基よりなる群から選択され、
前記環状基
は、それぞれ未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数6〜12のアリーレンであることを特徴とする、請求項3に記載のジカルボン酸誘導体、そのアルカリ金属塩またはそのアルカリ土類金属塩。
【請求項5】
下記化学式A−1で表わされることを特徴とする、請求項4に記載のジカルボン酸誘導体、そのアルカリ金属塩またはそのアルカリ土類金属塩。
[化学式A−1]
(式中、RとR'はそれぞれCF3またはC25である。)
【請求項6】
下記反応式1によって行われる、化学式A−2のジアミン化合物と化学式A−3の化合物とのイミド化反応による、下記[化学式A]で表わされるジカルボン酸誘導体の製造方法。
[反応式1]
(式中、R、R'、X1〜X3、L1、および環状基
は、それぞれ請求項1で定義したのと同じである。)
【請求項7】
前記反応式1のイミド化反応を、氷酢酸中で脱水化反応によって行う請求項6に記載のジカルボン酸誘導体の製造方法。
【請求項8】
下記[化学式B]で表わされるポリアミドイミド。
[化学式B]
式中、R、R'、X1〜X3、L1、および環状基
は、それぞれ請求項1で定義したのと同じであり、L2は、未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜20のアルキレン基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数6〜20のアリーレン基;炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数6〜30のアリーレン基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数2〜20のヘテロアリーレン基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜20のシクロアルキレン基;の中から選択されるいずれか一つであり、前記nは10〜5,000,000から選択される整数である。)
【請求項9】
前記RおよびR'は、それぞれ同一もしくは異なり、フッ素を含有する炭化水素基である請求項8に記載のポリアミドイミド。
【請求項10】
前記L1は、単結合、OおよびSの中から選択されるいずれか一つである請求項8に記載のポリアミドイミド。
【請求項11】
前記L1は単結合であり、
前記L2は、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基で置換された炭素数6〜16のアリーレン基、炭素数2〜12のヘテロアリーレン基の中から選択されるいずれか一つであり、前記RとR'は、それぞれフッ素を含む炭素数1〜5のアルキルであり、
前記X1〜X3は、それぞれ同一もしくは異なり、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基よりなる群から選択され、前記
は、それぞれ未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数6〜12のアリーレンである請求項10に記載のポリアミドイミド。
【請求項12】
前記L2は、
の中から選択されるいずれか一つである請求項11に記載のポリアミドイミド。
【請求項13】
下記化学式B−1で表わされる請求項12に記載のポリアミドイミド。
[化学式B−1]
式中、RとR'はそれぞれCF3またはC25であり、前記L2は、
の中から選択されるいずれか一つである。)
【請求項14】
下記反応式2を介して行われる、化学式Aの非対称ジカルボン酸誘導体と化学式B−2のジアミン単量体とのアミド化重合反応による、下記化学式Bで表わされるポリアミドイミドの製造方法。
[反応式2]
(式中、R、R'、X1〜X3、L1、L2、n、および環状基
は、それぞれ請求項8で定義したのと同じである。)
【請求項15】
前記化学式B−2で表わされるジアミンは、2,2'−ビストリフルオロメチルベンジジン、2,6−ビストリフルオロメチルベンジジン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−アミノベンジルアミン、m−アミノベンジルアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエタン、4,4'−ジアミノベンズアニリド、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、2,4'−ジアミノジフェニルエーテル、2,2'−ジアミノジフェニルエーテル、2,3'−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、3,4−ジアミノフェニルスルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、3,4−ジアミノフェニルスルホキシド、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、3,4−ジアミノフェニルスルホン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4'−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ジトリフルオロメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジトリフルオロメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4'−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4'−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4'−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2'、5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ジクロロ−4,4'−ジアミノ−5,5'−ジメトキシビフェニル、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、1,4,4'−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4'−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2'−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ジアミノ−2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4'−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニルの中から選択されるいずれか一つである請求項14に記載のポリアミドイミドの製造方法。
【請求項16】
前記ポリアミドイミドを製造するために使用されるジアミンは、化学式B−2で表わされるジアミンに加えて、前記化学式B−2のジアミンとは異なるジアミンとして、2,2'−ビストリフルオロメチルベンジジン、2,6−ビストリフルオロメチルベンジジン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−アミノベンジルアミン、m−アミノベンジルアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエタン、4,4'−ジアミノベンズアニリド、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、2,4'−ジアミノジフェニルエーテル、2,2'−ジアミノジフェニルエーテル、2,3'−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、3,4−ジアミノフェニルスルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、3,4−ジアミノフェニルスルホキシド、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、3,4−ジアミノフェニルスルホン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4'−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ジトリフルオロメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジトリフルオロメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4'−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4'−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4'−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ジクロロ−4,4'−ジアミノ−5,5'−ジメトキシビフェニル、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、1,4,4'−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4'−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2'−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ジアミノ−2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4'−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)および2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N'−ジ(4−アミノフェニル)−ベンジジンなどの分子内に2つの第1級アミノ基および前記第1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン、ジアミノオルガノシロキサン、ステロイド基を含むジアミン、アセチレン基を含む剛直性のジアミンよりなる群から選択されたいずれか一つが混合されて使用される請求項15に記載のポリアミドイミドの製造方法。
【請求項17】
前記アミド化重合反応は、ジアミン単量体とジカルボン酸単量体を有機溶媒に溶解させて80〜200℃で攪拌することによりアミドさせる段階を含む請求項14に記載のポリアミドイミドの製造方法。
【請求項18】
前記有機溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)およびジメチルスルホキシド(DMSO)よりなる群から選択される請求項17に記載のポリアミドイミドの製造方法。
【請求項19】
請求項8〜13のいずれか1項に記載のポリアミドイミド極性非プロトン性有機溶媒またはフェノール類溶媒溶液の乾燥物であるフィルム。
【請求項20】
前記極性非プロトン性有機溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびテトラヒドロフラン(THF)の中から選択されるいずれか一つであり、前記フェノール類溶媒は、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、およびp−クレゾールの中から選択されるいずれか一つである請求項19に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族環内に2つの置換基を有する非対称構造のジアミン単量体を含む可溶性芳香族ポリアミドイミドおよびその製造方法に関し、より具体的には、高い透明度、低い熱膨張係数、高いガラス転移温度、高い熱的安定性、および有機溶媒に対する良好な溶解度を示す可溶性芳香族ポリアミドイミドおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のフラットパネルディスプレイに使用されるガラス基板は、高い耐熱性、透明性および遮断性の利点を有するが、落下により破損するおそれがあり、柔軟性が乏しく、薄膜のものに対して重量が重い。よって、このような既存のガラス基板を代替することが可能なフレキシブルディスプレイに関する様々な研究が行われている。
【0003】
フレキシブルディスプレイでピクセルの電気的信号を制御するTFT製造工程をそのまま利用するためには、プラスチック基板が、高い工程温度(T、T>350℃)に耐え、20ppm/℃以下の低い熱膨張係数を有することが必要であり、耐化学性、低い酸素および水分透過性、85%以上の透明度並びに低い製造コストなどの高い要求条件を満たさなければならない。現在は、無色透明なポリイミドがプラスチック基板として最も注目されている。
【0004】
前記ポリイミド(polyimide、PI)は、比較的結晶化度が低いか殆ど非結晶性構造を有する高分子であって、合成が容易で、薄膜型フィルムを作ることができ、硬化のための架橋基を必要としないという利点だけでなく、透明性、剛直な鎖構造によって優れた耐熱性、耐化学性、機械的物性、電気的特性および寸法安定性を有する高分子材料であり、現在、自動車、航空宇宙分野、フレキシブル回路基板、LCD用液晶配向膜、接着剤およびコーティング剤などの電気・電子材料として広く用いられている。
【0005】
しかし、ポリイミドは、高い熱安定性、機械的物性、耐化学性および電気的特性を有する高性能高分子材料であるにも拘わらず、ディスプレイ分野に使用するための基本的な要件である無色透明な性質を満たしておらず、且つ、熱膨張係数をさらに低減しなければならないという課題が存在する。例えば、デュポン社から販売されているKaptonの熱膨張係数は、約30ppm/℃程度と低い熱膨張係数値を示しているが、これもプラスチック基板の要求条件には至っていない。よって、現在ポリイミドの基本的な特性を維持しながら光学的特性および熱履歴変化を最小化するための研究が多く行われている。
【0006】
一般に、芳香族ポリイミドの場合、濃い褐色の固有色を帯びているが、その理由はイミド主鎖内に存在するベンゼンのπ電子が鎖間の結合により発生する電荷移動錯体(charge transfer complex、以下「CT−complex」という。)の理論で説明可能であり、これはイミド(imide)構造内にб電子、π電子、(非結合(nonbonding)非共有電子対が存在するために、電子の励起が可能となる。
【0007】
通常、ポリイミドの場合は、波長400nm〜500nmの可視光線領域の光を吸収することにより、その配色である黄色〜赤色を帯びる。よって、芳香族ポリイミドの欠点であるCT−complexを低めるためには、この主鎖内にトリフルオロメチル(−CF)、スルホン(−SO)、エーテル(−O−)などの電気陰性度が比較的強い元素を導入することにより、π電子の移動を制限して共鳴効果を低める方法があり、ベンゼンではなく、オレフィン系環状(cycloolefin)構造を導入することにより、主鎖内に存在するπ電子の密度を減少させて無色透明なポリイミドフィルムを製造することができる。
【0008】
一方、ポリアミドイミドの場合、耐熱性や機械的強度、電気的特性などに優れるため、従来から電気、電子、機械、航空分野などの工業用材料として広く用いられている。また、ポリアミドイミドは、一般なポリイミドとは構造自体が異なり、有機溶剤に可溶であることが広く知られており、溶液成形が必須的な用途、例えばエナメルワニス(enamel varnish)、電気絶縁用コーティング剤、塗料などとしても用いられている。
【0009】
前記ポリアミドイミドの特性を改善させるための従来技術として、日本特開2010−106225号(2010年5月13日)では、トリフルオロメチル基を含み、アミド基を有するポリイミドおよびその製造方法に関する技術を開示しており、日本特開2012−77144号(2012年4月19日)では、トリフルオロメチル基を含むポリアミドイミドおよびその製造方法と、これをフレキシブル基板材料として用いる技術を開示している。
【0010】
ところが、従来技術を含んで現在商用化されている様々な種類の化合物にも拘わらず、ディスプレイ分野に使用するための低い熱膨張係数を有し、高い溶解度、透明度および熱的安定性を有するフレキシブルディスプレイ用ポリアミドイミドの開発は未だ持続的に求められている実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の第1課題は、フレキシブルディスプレイのプラスチック基板素材として応用可能なポリアミドイミドの単量体として使用できる、新規なジカルボン酸誘導体およびその製造方法を提供することである。
【0012】
また、本発明の第2課題は、前記新規なジカルボン酸誘導体と公知のジアミンとを重合するか、或いは公知のジカルボン酸誘導体と新規なジアミン単量体とを重合することにより、フレキシブルディスプレイのプラスチック基板素材として応用できる、低い熱膨張係数を有する新規なポリアミドイミドおよびその製造方法を提供することである。
【0013】
本発明の第3課題は、前記新規なポリアミドイミドの製造のために使用される2つの置換基が非対称的に導入された新規なジアミン単量体およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、2つの官能基RおよびR’が、ジアミン化合物を構成する環のいずれか一方にのみ非対称的に導入されていることを特徴とする新規なジアミン化合物を用いて、前記ジアミン化合物を含むジカルボン酸誘導体およびその製造方法と、前記ジカルボン酸誘導体を含むポリアミドイミドおよびその製造方法を提供することにより、既存のポリイミドの欠点を解決することができる。
【0015】
これをより詳しく考察すると、本発明は、下記[化学式A]で表わされる、2つの置換基RおよびR’が環状基Aと環状基Bのうちいずれか一方の環状基Aにのみ結合されていることを特徴とする非対称ジカルボン酸誘導体、そのアルカリ金属塩またはそのアルカリ土類金属塩、およびその製造方法を提供する。
[化学式A]
式中、R及びR’は、それぞれ同一もしくは異なり、互いに独立して、未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルキル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数2〜12のアルケニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数2〜12のアルキニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜30のシクロアルキル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜30のシクロアルケニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数6〜30のアリール基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数3〜30のヘテロアリール基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数6〜30のアリールアルキル基;から選択される官能基であり、
〜Xは、それぞれ同一もしくは異なり、互いに独立して、水素;ハロゲン;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルキル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数2〜12のアルケニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数2〜12のアルキニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜30のシクロアルキル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜30のシクロアルケニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数6〜30のアリール基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数3〜30のヘテロアリール基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数6〜30のアリールアルキル基;から選択される官能基であり、
は、単結合、−O−、−S−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)−、−SO−、−C(R)(R)−、−NRから選択されるいずれか一つであって、
ここで、R、RおよびRは、それぞれ同一もしくは異なり、水素、未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルキル;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜20のシクロアルキル;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数6〜20のアリール;または未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数3〜20のヘテロアリール;から選択されるいずれか一つであり、
環状基
は、互いに独立して、未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された五員または六員環を少なくとも一つ含む炭素数5〜30のアリーレンまたはシクロアルキレン基、未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された五員または六員環を少なくとも一つ含む炭素数5〜30のヘテロアリーレンまたはヘテロシクロアルキレン基である。
また、本発明は、前記化学式Aのジカルボン酸誘導体と公知のジアミンとを重合して得られるポリアミドイミド、およびその製造方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、前記化学式Aのジカルボン酸誘導体を製造するための、[化学式D]で表わされる新規なジアミンおよびその製造方法を提供する。
[化学式D]
式中、R、R’、および環状基
は、それぞれ先立って定義したのと同じである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によって得られる新規なジカルボン酸誘導体は、公知のジアミンと重合することにより、アミド結合とイミド結合を高分子主鎖に含むフレキシブルディスプレイのプラスチック基板に応用できる新規なポリアミドイミドを製造することができる。
【0018】
本発明によって得られる前記ポリアミドイミドは、高分子主鎖には体積の大きいトリフルオロメチル基を非規則的に導入して耐熱性の低下なしでも高い溶解度および透明度を持つように誘導し、アミド結合間の水素結合および高分子鎖の強い剛直性により得られた高分子が高いガラス転移温度を持つことができる。
【0019】
また、前記ポリアミドイミドは、熱による高分子主鎖の構造変形を最小化して低い熱膨張係数を持つことができ、付加的に高分子主鎖のフッ素原子は低い偏極度(polarizability)を示すため、プラスチック基板が低い水分吸収率、誘電率および屈折率などを持つことができる。
【0020】
したがって、本発明のポリアミドイミドをフィルム化する場合、熱的、機械的および光学的特性に優れた物性を維持することができるので、フレキシブルディスプレイの基板材料として適用可能であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例に係るジニトロ化合物に対する水素原子核磁気共鳴分光分析スペクトルである。
図2】本発明の一実施例に係るジニトロ化合物に対する炭素原子核磁気共鳴分光分析スペクトルである。
図3】本発明の別の一実施例に係るモノニトロ化合物に対する水素原子核磁気共鳴分光分析スペクトルである。
図4】本発明の別の一実施例に係るモノニトロ化合物に対する炭素原子核磁気共鳴分光分析スペクトルである。
図5】本発明の別の一実施例に係るジアミン化合物の合成例に対する水素原子核磁気共鳴分光分析スペクトルである。
図6】本発明の別の一実施例に係るジアミン化合物の合成例に対する炭素原子核磁気共鳴分光分析スペクトルである。
図7】本発明の一実施例に係るジカルボン酸誘導体の合成例に対する水素原子核磁気共鳴分光分析スペクトルである。
図8】本発明の一実施例に係るジカルボン酸誘導体の合成例に対する炭素原子核磁気共鳴分光分析スペクトルである。
図9】本発明の一実施例によって合成されたポリアミドイミド(uuBTFB−PAI)の水素原子核磁気共鳴分光分析スペクトルである。
図10】本発明の一実施例によって合成されたポリアミドイミド(suBTFB−PAI2)の水素原子核磁気共鳴分光分析スペクトルである。
図11】本発明の一実施例によって合成されたポリアミドイミド(usBTFB−PAI)の水素原子核磁気共鳴分光分析スペクトルである。
図12】本発明の別の一実施例によって合成されたポリアミドイミド(DAN−PAI)の水素原子核磁気共鳴分光分析スペクトルである。
図13】本発明の別の一実施例によって合成されたポリアミドイミド(mPDA−PAI)の水素原子核磁気共鳴分光分析スペクトルである。
図14】本発明の別の一実施例によって合成されたポリアミドイミド(ODA−PAI)の水素原子核磁気共鳴分光分析スペクトルである。
図15】本発明の実施例1〜7で合成されたポリアミドイミドの赤外線分光分析スペクトルである。
図16】本発明の実施例1で合成されたポリアミドイミド(uuBTFB−PAI)の熱重量分析(TGA)の結果を示す図である。
図17】本発明の実施例2で合成されたポリアミドイミド(suBTFB−PAI1)の熱重量分析(TGA)の結果を示す図である。
図18】本発明の実施例3で合成されたポリアミドイミド(suBTFB−PAI2)の熱重量分析(TGA)の結果を示す図である。
図19】本発明の実施例1〜7で合成されたポリアミドイミドフィルムのUV−visibleスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0023】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明は、下記[化学式A]で表わされる、2つの置換基RおよびR’が環状基Aおよび環状基Bのうち一方の環状基Aにのみ結合されていることを特徴とする非対称ジカルボン酸誘導体、そのアルカリ金属塩またはそのアルカリ土類金属塩を提供する。
[化学式A]
前記化学式Aにおいて、
R及びR’は、それぞれ同一もしくは異なり、互いに独立して、未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルキル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数2〜12のアルケニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数2〜12のアルキニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜30のシクロアルキル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜30のシクロアルケニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数6〜30のアリール基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数3〜30のヘテロアリール基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数6〜30のアリールアルキル基;から選択される官能基であり、
〜Xは、それぞれ同一もしくは異なり、互いに独立して、水素;ハロゲン;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルキル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数2〜12のアルケニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数2〜12のアルキニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜30のシクロアルキル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜30のシクロアルケニル基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数6〜30のアリール基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数3〜30のヘテロアリール基;未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数6〜30のアリールアルキル基;から選択される官能基であり、
は、単結合、−O−、−S−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)−、−SO−、−C(R)(R)−、−NRから選択されるいずれか一つであって、
ここで、R、RおよびRは、それぞれ同一もしくは異なり、水素、未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルキル;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜20のシクロアルキル;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数6〜20のアリール;または未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数3〜20のヘテロアリール;から選択されるいずれか一つであり、
前記環状基
は、互いに独立して、未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された五員または六員環を少なくとも一つ含む炭素数5〜30のアリーレンまたはシクロアルキレン基、未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された五員または六員環を少なくとも一つ含む炭素数5〜30のヘテロアリーレンまたはヘテロシクロアルキレン基である。
【0024】
本発明において、前記2つの置換基RおよびR’は、ポリイミドまたはポリアミドが有する様々な相互作用(interaction)を抑制するためにジアミンの2つの環内に非対称的に導入されたもので、前記2つの置換基が嵩高い基(bulky group)であることを特徴とする。
【0025】
前記嵩高い基は電子求引性基(electron withdrawing group)であってもよく、前記電子求引性基が直鎖状もしくは分岐状の過フッ素化アルキル基とすることができる。より具体的には、前記直鎖状もしくは分岐状の過フッ素化アルキル基がトリフルオロメチル基である。
【0026】
前述したように、置換基を非対称的に導入する場合、特に嵩高く、電子求引性のある官能基を非対称的に導入した場合、これから重合されるポリイミドまたはポリアミドイミドは、鎖間の対称性を相殺させて相互作用を低下させるおそれがあるので、有機溶媒に対する溶解度およびフィルム化後の透明度を大幅向上させることができる。
【0027】
本発明において、前記置換基R、R’、X〜Xから選択できる、(i)未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、または直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜12のアルキル基を全て含み、ハロゲンで置換される場合はフッ素で置換されることが好ましく、この場合、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどを挙げることができる。
【0028】
前記置換基R、R’、X〜Xから選択できる、(ii)未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜12のアルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシまたはその他の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシを全て含み、ハロゲンで置換される場合はフッ素で置換されることが好ましく、この場合、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシなどを挙げることができる。
【0029】
前記置換基R、R’、X〜Xから選択できる、(iii)未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数2〜12のアルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、ブテニルまたはその他の直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基を全て含み、ハロゲンで置換される場合はフッ素で置換されることが好ましく、この場合、フルオロエテニルなどを挙げることができる。
【0030】
前記置換基R、R’、X〜Xから選択できる、(iv)未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数2〜12のアルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニルまたはその他の直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜12のアルキニル基を全て含み、ハロゲンで置換される場合はフッ素で置換されることが好ましく、この場合、フルオロエチニルなどを挙げることができる。
【0031】
前記置換基R、R’、X〜Xから選択できる、(v)未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜30のシクロアルキル基の例としては、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはその他の直鎖状もしくは分岐状の炭素数4〜30のシクロアルキル基を全て含み、ハロゲンで置換される場合はフッ素で置換されることが好ましく、この場合、フッ素化されたシクロブチルなどを挙げることができる。
【0032】
前記置換基R、R’、X〜Xから選択できる、(vi)未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜30のシクロアルケニル基の例としては、シクロプロフェニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどまたはその他の直鎖状もしくは分岐状のシクロアルケニル基を全て含み、ハロゲンで置換される場合はフッ素で置換されることが好ましく、この場合、フッ素化されたシクロブテニルなどを挙げることができる。
【0033】
前記置換基R、R’、X〜Xから選択できる、(vii)未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数6〜30のアリール基の例としては、フェニル、ナフチルなどまたはその他の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基またはハロゲンで置換されたアリール基を全て含む。
【0034】
前記置換基R、R’、X〜Xから選択できる、(viii)未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数3〜30のヘテロアリール基の例としては、ピリジル、チオフェニル、インドリルなどまたはその他の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基またはハロゲンで置換されたヘテロアリール基を全て含む。
【0035】
前記置換基R、R’、X〜Xから選択できる、(ix)未置換もしくは一つ以上のハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および/または炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数6〜30のアリールアルキル基の例としては、トリル、メシチリル、キシリルまたはその他の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基またはハロゲンで置換されたアリールアルキル基を全て含む。
【0036】
本発明において、前記RおよびR’の置換基として好ましいものはフッ素で置換されたアルキル、フッ素で置換されたアルコキシ、または未置換もしくは置換のアリール基であり、特に好ましいものはパーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、未置換もしくは置換のフェニルであり、最も好ましいものはトリフルオロメチル(−CF)およびペンタフルオロエチル(−C)である。
【0037】
前記環状基AおよびBが六員環である場合、イミド基の窒素は連結基−L−に対してパラ位であることが好ましい。
【0038】
より具体的には、本発明において、前記RとR’は、それぞれ同一もしくは異なり、フッ素を含有する炭化水素基とすることができる。
【0039】
本発明において、前記Lは、単結合、OおよびSの中から選択されるいずれか一つとすることができる。
【0040】
この場合、前記Lは単結合であり、前記RとR’は、それぞれフッ素を含む炭素数1〜5のアルキルであり、前記X〜Xは、それぞれ同一もしくは異なり、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれか一つであり、前記環状基
は、それぞれ未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数6〜12のアリーレンとすることができる。
【0041】
より具体的に、本発明は、下記化学式A−1で表わされるジカルボン酸誘導体、そのアルカリ金属塩またはそのアルカリ土類金属塩を提供することができる。
[化学式A−1]
ここで、前記RとR’はそれぞれCFまたはCである。
【0042】
本発明において、ポリアミドイミドの単量体として提供される非対称ジカルボン酸誘導体の場合、有機溶媒に対する可溶性をもって芳香族ポリアミドイミドの原料となる単量体の分子構造を適切に調節するために、または可溶性、強靭性および接着力の芳香族ポリアミドイミドを提供するために、ジアミン単量体に前述の如くトリフルオロメチル基を導入することができる。
【0043】
本発明において、ポリアミドイミドの単量体として提供される前記ジカルボン酸誘導体の製造方法は、下記反応式1を介して行われることができる。
【0044】
下記反応式1は、具体的には、化学式A−2のジアミン化合物と化学式A−3の化合物とのイミド化反応によって、[化学式A]で表わされるジカルボン酸誘導体が製造される。
[反応式1]
【0045】
ここで、前記化学式A−2、化学式A−3および化学式Aにおいて、R、R’、X〜X3、、および環状基
は、それぞれ先立って定義したのと同じである。
【0046】
前記化学式A−2のジアミン化合物は、下記反応式Aの化学式1の化合物と化学式2の化合物を、求核体置換反応を介して化学式3のジニトロ化合物を製造する段階;および下記反応式Bの前記化学式3のジニトロ化合物を水素化反応させる段階;によって製造できる。
[反応式A]
[反応式B]
【0047】
i)前記[反応式A]および[反応式B]において、−Xおよび−Yのいずれか一つは、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Brまたは−I)、エステル基、および−C(O)−Cl基の中から選択される1つの官能基であり、残りの一つは、前記[反応式A]の最初反応の生成物である化学式3のジニトロ化合物において連結基−L−を形成するようにするOH、SH、NHまたはこれらのアルカリ金属塩であり、
ii)R、R’、および環状基
は、先立って定義したのと同じであり、
iii)連結基−L−は、−O−、−S−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−SO−、−NRの中から選択される1つの連結基である。
【0048】
前記化学式A−2のジアミン化合物の製造方法は、より具体的に、例えば、下記[反応式C]によって行うことができる。
[反応式C]
【0049】
前記[反応式C]において、−Xはhalであり、YはOHであって、この場合、前記連結基−L−は−O−となる。
【0050】
本発明における前記化学式Aのジカルボン酸誘導体は、化学式A−2と化学式A−3がモル比で2:1の割合で構成された単量体であり、実際、化学式Aのジカルボン酸誘導体を得るためには、化学式A−3の量が2倍よりさらに多ければ、化学式A−2と化学式A−3が1:1で結合した副反応物の含量を減らすことができる。
【0051】
本発明において、前記ジカルボン酸誘導体を製造するための反応式1のイミド化反応は、氷酢酸などの酸触媒下で脱水化反応によって行うことができる。
【0052】
また、前記ジカルボン酸誘導体の製造の際に、イミド化反応は溶媒を用いて反応を行うことができる。
【0053】
前記溶媒の種類としてはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、m−クレゾールなどが挙げられ、反応温度は80℃〜250℃の範囲が好ましい。
【0054】
また、前記イミド化反応は、脱水反応なので、反応途中で水を除去する場合に反応が有利に行うことができるため、水除去装置を用いることができる。
【0055】
前記イミド化反応は、通常、反応物を溶媒に溶かした後、温度を高め、一定の時間攪拌してイミド化させる。この際、イミド化反応が効果的に行われるように、少量の脱水閉環剤(dehydrating agent)またはイミド化触媒(imidization catalyst)を引き続き添加することにより、反応途中で生成される水を除去し、イミド化度を高めることが良い。脱水閉環剤およびイミド化触媒は公知のものを使用することができる。反応が完全に行われると、反応溶液を過量のメタノールと水との混合溶液に沈殿させ、熱水およびアルコールで洗浄した後、真空オーブンで乾燥させる。
【0056】
また、本発明は、2つの置換基RおよびR’が一方の環状基Aに非対称的に結合される[化学式D]で表わされるジアミンを提供する。
[化学式D]
前記化学式Dにおいて、R、R’、および環状基
は、それぞれ先立って定義したのと同じである。
【0057】
より具体的に、[化学式D]で表わされるジアミンの前記RとR’は、それぞれ同一もしくは異なり、フッ素を含有する炭化水素とすることができる。
【0058】
この場合、前記RとR’は、それぞれフッ素を含む炭素数1〜5のアルキルであり、前記環状基
は、それぞれ未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数6〜12のアリーレンとすることができる。
【0059】
一実施例として、本発明の前記[化学式D]で表わされるジアミンは、下記化学式D−1で表わされる化合物とすることができる。
[化学式D−1]
【0060】
前記RとR’はそれぞれCFまたはCである。
【0061】
前記化学式D−1のジアミンは、ベンゼン環にトリフルオロメチル基またはペンタフルオロエチル基があって、ポリイミドが有する様々な相互作用を抑制するので、ポリアミドイミドの溶解度を増加させることができ、さらに、フッ素原子の低い偏極度に起因して水分吸収率、誘電率、屈折率などの著しい低下をもたらすおそれがあり、分子構造内に非対称的に導入された前記トリフルオロメチル基またはペンタフルオロエチル基は、ポリアミドイミド鎖間の対称性を相殺するので、相互作用をさらに低下させてポリアミドイミドの有機溶媒に対する溶解度を大幅向上させることができるものと判断される。
【0062】
また、本発明は、前記化学式Dで表わされるジアミンを製造する方法であって、 下記反応式5を介して行われる、下記化学式D−2のニトロ基を含む化合物と、下記化学式D−3のアミン化合物または化学式D−4のニトロ基を含む化合物とを鈴木カップリング(Suzuki Coupling)反応させ、化学式D−5で表わされるモノニトロ化合物または化学式D−6で表わされるジニトロ化合物を製造する段階;およびb)下記反応式6によって行われ、前記化学式D−5で表わされるモノニトロ化合物または化学式D−6で表わされるジニトロ化合物の全てのニトロ基を還元させる段階;を含む、下記化学式Dで表わされるジアミンの製造方法を提供する。
[反応式5]
【0063】
[反応式6]
ここで、R、R’、および環状基
はそれぞれ先立って定義したのと同じであり、XはI、BrおよびClから選択されるハロゲン原子である。
【0064】
本発明の前記反応式5の鈴木カップリングは、パラジウム錯体触媒を用いて行うことができる。より具体的に、前記パラジウム錯体触媒は、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(Pd(PPh)などのパラジウム錯体を用いることができ、反応溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素や、メタノール、エタノールなどのアルコールを用いることができる。
【0065】
また、前記反応式6において、還元反応は、ニトロ基をアミン基で還元させることができるものであればいずれでも使用でき、好ましくは、水素、パラジウム触媒、SnClなどが使用できる。
【0066】
また、本発明は、前記ジカルボン酸誘導体と公知のジアミンをアミド化反応によって重合することにより得られる、[化学式B]で表わされるポリアミドイミドを提供することができる。
【0067】
本発明は、無水トリメリット酸と公知のジアミン化合物とをイミド化反応することによりジカルボン酸誘導体を製造し、これを前記化学式Dで表わされる非対称ジアミン化合物と重合することにより得られる、[化学式C]で表わされるポリアミドイミドを提供することができる。
[化学式B]
【0068】
[化学式C]
【0069】
前記[化学式B]および[化学式C]において、
R、R’、X〜X3、、および環状基
は、それぞれ前記化学式Aで定義したのと同じであり、Lは、未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数1〜20のアルキレン基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数6〜20のアリーレン基;炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基および炭素数1〜12のハロゲン化アルコキシ基で置換された炭素数6〜30のアリーレン基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数2〜20のヘテロアリーレン基;未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数4〜20のシクロアルキレン基;の中から選択されるいずれか一つであり、nは10〜5,000,000から選択される整数とすることができる。
【0070】
より具体的に、前記化学式Bおよび化学式Cにおける置換基RおよびR’は、それぞれ同一もしくは異なり、フッ素を含有する炭化水素基とすることができ、前記Lは、単結合、OおよびSの中から選択されるいずれかであってもよい。
【0071】
この場合、前記化学式Bおよび化学式Cにおけるポリアミドイミドは、Lが単結合であり、前記Lは、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基で置換された炭素数6〜16のアリーレン基、炭素数2〜12のヘテロアリーレン基の中から選択されるいずれか一つであってもよく、前記RとR’は、それぞれフッ素を含む炭素数1〜5のアルキルであり、前記X〜Xは、それぞれ同一もしくは異なり、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基よりなる群から選択でき、また、前記環状基
は、それぞれ未置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された炭素数6〜12のアリーレンとすることができる。
【0072】
また、本発明のポリアミドイミドにおいて、前記環状基AおよびBが六員環である場合、イミド基またはアミド基の窒素は連結基−L1−に対してパラ位であることが好ましい。
本発明において、前記Lは、
の中から選択されるいずれか一つとすることができる。
【0073】
本発明で得られるポリアミドイミドは、下記化学式B−1またはC−1とすることができる。
[化学式B−1]
【0074】
[化学式C−1]
【0075】
前記RとR’はそれぞれCFまたはCであり、
前記Lは、
の中から選択されるいずれか一つとすることができる。
【0076】
本発明は、下記反応式2を介して行われる、化学式Aの非対称ジカルボン酸誘導体と化学式B−2のジアミン単量体とのアミド化重合反応による、下記化学式Bで表わされるポリアミドイミドの製造方法を提供する。
【0077】
[反応式2]
【0078】
前記反応式2において、R、R’、X〜X、L、L、n、および環状基
は、それぞれ先立って定義したのと同じである。
【0079】
前記アミド化重合反応は、化学式B−2のジアミン単量体とジカルボン酸単量体を有機溶媒に溶解させて攪拌することによって行うことができる。
【0080】
前記溶媒の種類としては、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、ジフェニルスルホン(diphenyl sulfone)、テトラメチルスルホン(tetra methyl sulfone)などのスルホキシド(sulfoxide)またはスルホン(sulfone)系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド(dimethyl acetamide、DMAc)、N,N’−ジエチルアセトアミド(diethyl acetamide)、N−メチル(methyl)−2−ピロリドン(pyrrolidone)(NMP)、γ−ブチルラクトン(butyl lactone)、ヘキサメチルリン酸アミド(amide)などのアミド(amide)系溶媒、クロロホルム(Chloroform)、塩化メチレン(methylene)などのハロゲン化アルキル(alkyl)系溶媒、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、1,4−ジオキサン(dioxane)、p−クレゾールメチルエーテル(cresolmethylether)などのエーテル(ether)系溶媒を挙げることができ、通常、このような溶媒を単独で使用することができ、必要に応じて2種以上を使用することができ、好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)およびジメチルスルホキシド(DMSO)よりなる群から選択されるものを使用することができる。また、アミド反応における反応温度は60〜250℃、より好ましくは80〜200℃の範囲を有し、反応時間は30分〜20時間である。
【0081】
また、前記アミド化反応も脱水反応なので、反応途中で水を除去する場合、反応が有利に行うことができるので、水除去装置を用いることができる。
【0082】
前記アミド化反応では、通常、溶液の濃度は5〜20%(反応物の重量(g)/溶媒の量(ml))程度が適当である。前記溶液の温度を高め、一定の時間攪拌してアミド化させる。この際、アミド化反応が効果的に行われるように、少量の脱水閉環剤(dehydrating agent)を添加し続けることにより、反応途中で生成される水を除去し、アミド化反応を促進させることが好ましい。脱水閉環剤は公知のものを使用することができる。反応が完全に行われると、反応溶液を過量のメタノールと水との混合溶液に沈殿させ、熱水およびアルコールで洗浄した後、真空オーブンで乾燥させる。
【0083】
本発明は、下記反応式3を介して行われる、a)化学式A−3の無水トリメリット酸と化学式B−2のジアミン化合物とをイミド化反応することにより、化学式C−3のジカルボン酸誘導体を製造する段階;およびb)下記反応式4によって行われる、前記化学式C−3のジカルボン酸誘導体と化学式A−2のジアミン化合物とをアミド化重合反応させる段階;を含む、化学式Cで表わされるポリアミドイミドの製造方法を提供する。
[反応式3]
[反応式4]
【0084】
前記反応式3および反応式4において、
R、R’、X〜X3、1、、n、および環状基
は、それぞれ先立って定義したのと同じである。
【0085】
前記反応式3および反応式4におけるイミド化反応およびアミド化反応は、前述したジカルボン酸誘導体の製造におけるイミド化反応およびポリアミドイミドの製造におけるアミド化反応と同一の工程条件の下で行うことができる。
【0086】
本発明の前記ポリアミドイミドの製造方法において、化学式B−2で表わされるジアミンは、2,2’−ビストリフルオロメチルベンジジン、2,6−ビストリフルオロメチルベンジジン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−アミノベンジルアミン、m−アミノベンジルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジアミノジフェニルエーテル、2,3’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、3,4−ジアミノフェニルスルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、3,4−ジアミノフェニルスルホキシド、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、3,4−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’、5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニルの中から選択されるいずれか一つとすることができ。
【0087】
本発明の前記ポリアミドイミドを製造するために使用されるジアミンは、化学式B−2で表わされるジアミンに加えて、前記化学式B−2のジアミンとは異なるジアミンとして、2,2’−ビストリフルオロメチルベンジジン、2,6−ビストリフルオロメチルベンジジン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−アミノベンジルアミン、m−アミノベンジルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジアミノジフェニルエーテル、2,3’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、3,4−ジアミノフェニルスルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、3,4−ジアミノフェニルスルホキシド、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、3,4−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)および2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ジ(4−アミノフェニル)−ベンジジンなどの分子内に2つの第1級アミノ基および前記第1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン、ジアミノオルガノシロキサン、ステロイド基を含むジアミン、アセチレン基を含む剛直性のジアミンよりなる群から選択されたいずれか一つが混合されて使用できる。
【0088】
本発明で得られたポリアミドイミドを極性非プロトン性有機溶媒またはフェノール類溶媒に溶解させ、前記溶媒を乾燥させることにより、フィルムを製造することができる。
【0089】
この際、使用される前記極性非プロトン性有機溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびテトラヒドロフラン(THF)の中から選択されるいずれか一つであり、フェノール類溶媒は、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、およびp−クレゾールの中から選択されるいずれか一つであり、好ましくはDMAcを使用することができる。
【0090】
実施例
以下、好適な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本発明をより具体的に説明するためのもので、本発明の範囲を限定するものではないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0091】
実施例に係る単量体および重合体の構造および物性は、次の方法を用いて測定できる。
【0092】
赤外線分光分析(IR)および核磁気共鳴分光分析(NMR)
IRおよびNMR分析によって、本発明から得られた中間体化合物およびポリアミドイミド物質の構造を確認した。IRグラフは、KBrまたはフィルムを用いてBruker社製のFTIR EQUINOX−55 spectrophotometerから得た。また、NMRグラフは、クロロホルム、ジメチルスルホキシド−dに試料を溶かしてBruker社製のFourier Transform AVANCE 400 spectrometerを用いて測定することにより得た。
【0093】
固有粘度(Inherent Viscosity)
合成された高分子の固有粘度は、試料を0.5g/dLの濃度でN−メチルピロリドン(NMP)溶媒に溶かした後、30℃でウベローデ型粘度計(Ubbelohde type viscometer)を用いて測定することができる。
【0094】
熱的安定性の分析
熱分析は、TGA(Thermogravimetric Analysis)、DSC(Differential Scanning Calorimetry)およびTMA(Thermomechanical Analysis)を介して行った。この際、TA instrument社製のTGA Q500、DSC Q100およびTMA 2940をそれぞれ使用することができる。TGAとDSCの場合には10℃/minの温度上昇率で測定し、TMAの場合には5℃/minの温度上昇率で測定し、熱分析は全て一定の窒素気流下で行い、TGA分析は一定の空気気流下でも行うことができる。
【0095】
また、5%重量減少温度はTGA分析から得ることができ、フィルム軟化温度(T)はTMAグラフから曲線の傾きが急激に増加し始める部分を選択することができる。TMA分析の場合、常温から300℃まで5℃/minの速度で3回繰り返した後、最後の3回目の測定の際には600℃まで温度を上げながら変化を測定することができる。熱膨張係数(CTE)は、2回目と3回目の測定で50〜250℃の温度領域で変化した長さを用いてそれぞれ計算することができる。
【0096】
透過率および屈折率
UV−visibleスペクトルは、厚さ60〜80μmのフィルムを透過率モードで測定した。屈折率の測定の際には、波長630および1310nmのレーザーを光源としてSairon SPA−4000プリズムカプラーを使用することができる。また、〜6μmの厚さを有する均一なフィルムを製造し、常温で水平方向および垂直方向の屈折率をそれぞれ測定することができる。
【0097】
ジアミン化合物の合成例
1)2,6−ビストリフルオロメチルベンジジンの合成
1−ブロモ−4−ニトロ−2,6−ビストリフルオロメチルベンゼン3.48g(10.3mmol)、4−アミノフェニルボロン酸塩酸塩3.47g(20.0mmol)、炭酸カリウム(KCO)9.6g、およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.6g(0.519mmol)をトルエン(20mL)と水(20mL)とエタノール(10mL)の混合溶液に入れた後、120℃で20.5時間撹拌した。反応が終わった後、300mLの酢酸エチルで希釈し、蒸留水で数回にわたって抽出して塩を除去した。前記酢酸エチル溶液を無水硫酸マグネシウムを用いて水分除去した後、溶媒を蒸発させ、シリカカラムを通過させてニトロ化合物を得た。(2.63g、7.51mmol:収率75.1%)
融点:106〜107℃
H NMR(DMSO−d,400MHz,ppm):8.68(s,2H),6.84(d,J=8.2Hz,2H),6.56(d,J=8.5Hz,2H),5.35(s,NH
13C NMR(DMSO−d,100MHz,ppm):149.39,147.64,146.36,132.11(q,J=30.2Hz),129.70,124.63(q,J=5.8Hz),122.25(q,J=275.2Hz),118.29,112.30
FTIR(KBr,cm−1):3499,3401(NH);1620(aromaticC=C);1533,1359,1333(NO);1126−1295(C−F)
EA:Anal. Calcd for C14:C,48.01;H,2.30;N,8.00
Found:C,49.05;H,2.56;N,7.71
前記ニトロ化合物5.01g(14.3mmol)と10%パラジウムカーボン2.5gを30mLの酢酸エチルと30mLのエタノールとの混合溶液に入れ、水素気体の下で20.5時間攪拌した。反応の後、フィルターを介してパラジウムカーボンを除去し、エタノールと酢酸エチルを蒸発させると、黄色のジアミン単量体を得ることができた。これシリカカラムを通過させ、100℃で真空昇華させて白色結晶の2,6−ビストリフルオロメチルベンジジンを得た。(4.53g、14.1mmol;収率99%)
融点:127〜128℃
H NMR(DMSO−d,400MHz,ppm):7.17(s,2H),6.77(d,J=8.0Hz,2H),6.50(d,J=8.0Hz,2H),5.95(s,NH),5.08(s,NH
13C NMR(DMSO−d,100MHz,ppm):148.19,147.92,131.13,131.02(q,J=27.5Hz),126.00,123.70(q,J=275.0Hz),121.35,113.23(q,J=6.2Hz),112.40
FTIR(KBr,cm−1):3486,3335,3221(NH);1640,1475(aromaticC=C);1119−1279(C−F)
EA:Anal. Calcd for C1410:C,52.51;H,3.15;N,8.75
Found:C,53.71;H,3.04;N,8.74
2)2,6−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(2,6-bis(trifluoroemthyl)-4,4’-diaminodiphenyl ether)の合成
リン酸ナトリウム18.2g(123mmol)およびテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩2.1g(6.20mmol)をアセトンとジクロロメタン溶液500mLに溶かした後、4−ブロモ−3,5−ビストリフルオロメチルアニリン10.0g(32.5mmol)をオキソンと共に1滴ずつ反応溶液に滴下しながら0℃で1時間撹拌した。この時、水酸化カリウム溶液を添加しながら反応溶液の酸性度を7.5〜8.5程度に維持させた。反応が終わった後、ジクロロメタンで希釈し、蒸留水で数回にわたって塩を除去した。前記ジクロロメタン溶液を、無水硫酸マグネシウムを用いて水分除去した後、溶媒を蒸発させ、シリカカラムを通過させて淡黄色の1−ブロモ−4−ニトロ−2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンを得た。(8.05g、23.8mmol、収率73.3%)
融点:56〜57℃
H NMR(CDCl3,400MHz,ppm):8.71(s,2H)
13C NMR(DMSO−d,100MHz,ppm):146.62,132.48(q,J=31.9Hz),126.71(q,J=5.7Hz),125.63,121.68(q,J=272.9Hz)
前記化合物1−ブロモ−4−ニトロ−2,6−ビストリフルオロメチルベンゼン6.99g(20.7mmol)および4−ニトロフェノール3.16g(22.7mmol)を40mLのジメチルスルホキシドに溶解した後、炭酸カリウム(KCO)4.29g(31.0mmol)を入れ、1.5時間撹拌した。これを300mLの酢酸エチルで希釈した後、蒸留水で数回にわたって抽出してジメチルスルホキシドおよび塩を除去した。前記酢酸エチル溶液を、無水硫酸マグネシウムを用いて水分除去した後、溶媒を蒸発させ、シリカカラムを通過させて黄色のニトロ化合物たる2,6−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジニトロエーテルを得た。(8.20g、20.7mmol;収率100%)
H NMR(CDCl3,400MHz,ppm):8.831(s,2H),8.181(d,J=9.6Hz,2H),6.891(d,J=9.6Hz,2H)
13C NMR(CDCl3,100MHz,ppm):162.48,153.74,144.91,143.74,128.17(q,J=34.3Hz),127.39(q,J=5.0Hz),125.87,121.02(q,J=274.8Hz),115.95
前記ジニトロ化合物8g(20.2mmol)および5%パラジウムカーボン4gを160mLの酢酸エチルと160mLのエタノールとの混合溶液に入れ、水素気体の下で3日間攪拌した。反応の後、フィルターを介してパラジウムカーボンを除去し、エタノールと酢酸エチルを蒸発させると、黄色のジアミン化合物を得ることができた。これをシリカカラムを通過させ、クロロホルムとヘキセンの混合溶液で再結晶し、130℃で真空昇華させて白色結晶の2,6−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを得た。(6.6g、19.6mmol;収率97%)
融点:138〜139℃
H NMR(DMSO−d,400MHz,ppm):7.164(s,2H),6.414(m,4H),5.927(s,2H),4.675(s,2H)
13C NMR(DMSO−d,100MHz,ppm):151.38,146.61,143.32,138.15,125.31(q,J=30.7Hz),122.83(q,J=273.7Hz),115.06,115.00,114.56
FTIR(KBr,cm−1):
ジカルボン酸誘導体の合成例
2,2’−(2,6−ビス(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル)ビス(1,3−ジオキソイソインドリン−5−カルボン酸)(2,2'-(2,6-bis(trifluoromethyl)-[1,1'-biphenyl]-4,4'-diyl)bis(1,3-dioxoisoindoline-5-carboxylic acid))
前記ジアミン化合物1.50g(4.68mmol)と無水トリメリット酸化合物1.81g(9.44mmol)を氷酢酸20mLに入れ、還流させながら21.5時間撹拌した。反応の後、溶液をメタノールに沈殿させ、フィルターを介してジカルボン酸単量体を得ることができる。(2.74g、4.10mmol;収率88%)
融点:361〜362℃
H NMR(DMSO−d,400MHz,ppm):13.80(broad,COOH),8,.46(dd,J=7.8,1.4Hz,1H),8.43(dd,J=7.8,1.4Hz,1H),8.37(dd,J=1.4,0.8Hz,1H),8.37(s,2H),8.33(dd,J=1.4,0.7Hz,1H),8.16(dd,J=7.7,0.7Hz,1H),8.11(dd,J=7.7,0.7Hz,1H),7.57(s,4H)
13C NMR(DMSO−d,100MHz,ppm):166.08,166.07,165.76,165.72,165.71,165.68,138.24,136.81,136.51,135.74,135.47,134.85,134.74,132.43,132.29,132.15,132.01,131.94,130.61(q,J=29.7Hz),130.34,128.35(q,J=5.7Hz),125.45,124.10,123.83,123.58,123.38,122.78(q,J=274.9Hz)
実施例1(uuBTFB−PAI)
前記合成例で製造された2,6−ビストリフルオロメチルベンジジンジアミン単量体0.30301g(0.946mmol)、前記合成例で製造されたジカルボン酸単量体0.63257g(0.946mmol)、トリフェニルホスファイト1mL、ピリジン1mLおよび塩化カルシウム0.3gを4mLのNMPに溶かし、100℃で8時間撹拌した。反応途中で適量のNMPをさらに加えながら重合溶液の粘度を下げた。沈殿またはゲル化(gelation)現象は起こらなかった。反応が終わった後、温度を常温に冷やし、粘性のある溶液をメタノールに沈殿させ、濾取した後、沈殿物を過量の水と熱いメタノールで数回洗浄し、180℃の温度で真空乾燥させて重合体を得た。合成された重合体の一部を6.7重量%のDMAc溶液に作ってガラス板に塗布した後、190℃の温度および真空条件で溶媒を除去することにより、透明かつ強靭なフィルムを得た。
【0098】
H NMR(DMSO−d,400MHz,25℃,ppm):11.22(s,1H),10.81(s,1H),8.84−8.46(m,6H),8.41(s,2H),8.31−8.09(m,2H),8.06−7.01(m,8H)
H NMR(DMSO−d,400MHz,100℃,ppm):10.92(s,1H),10.45(s,1H),8.74−8.46(m,6H),8.41(s,2H),8.17(m,2H),7.89(d,J=8.2Hz,2H),7.66(d,J=7.9Hz,2H),7.55(d,J=6.7Hz,2H),7.31(d,J=8.4Hz,2H)
FTIR(フィルム,cm−1):
3353(NHstretching);1784,1732(C=Ostretchingofimide);1686(C=Ostretchingofamide);1475−1599(AromaticC=C);1374(C−Nstretchingofimide);1189,1135,(C−FinCF);725(Imideringdeformation)
実施例2(suBTFB−PAI1)
2,2’−ビストリフルオロメチルベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)benzidine)ジアミン単量体0.19149g(0.598mmol)、前記合成例で製造されたジカルボン酸誘導体0.39972g(0.598mmol)、トリフェニルホスファイト1mL、ピリジン1mLおよび塩化カルシウム0.3gを6mLのNMPに溶解し、100℃で8時間撹拌した。反応途中で適量のNMPをさらに加えながら重合溶液の粘度を下げた。沈殿またはゲル化(gelation)現象は起こらなかった。反応が終わった後、温度を常温に冷やし、粘性のある溶液をメタノールに沈殿させ、濾取した後、沈殿物を過量の水と熱いメタノールで数回洗浄し、180℃の温度で真空乾燥させて重合体を得た。合成された重合体の一部を2.5重量%のDMAc溶液に作ってガラス板に塗布した後、190℃の温度および真空条件で溶媒を除去することにより、透明かつ強靭なフィルムを得た。
【0099】
H NMR(DMSO−d,400MHz,100℃,ppm):10.70(s,2H),8.71−8.49(m,4H),8.41(s,2H),8.35(s,2H),8.17(m,4H),7.66(d,J=8.0Hz,2H),7.55(d,J=7.9Hz,2H),7.41(d,J=8.8Hz,2H)
FTIR(フィルム,cm−1):
3353(NHstretching);1784,1732(C=Ostretchingofimide);1686(C=Ostretchingofamide);1476−1596(AromaticC=C);1377(C−Nstretchingofimide);1174,1131(C−FinCF);725(Imideringdeformation)
実施例3(suBTFB−PAI2)
実施例2の再現性および分子量の調整のために、濃度を除く全ての条件を実施例2と同様に維持した。2,2’−ビストリフルオロメチルベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)benzidine)ジアミン単量体0.19089g(0.596mmol)、前記合成例で製造されたジカルボン酸誘導体0.39843g(0.596mmol)、トリフェニルホスファイト1mL、ピリジン1mLおよび塩化カルシウム0.3gを15mLのNMPに溶解し、100℃で8時間撹拌した。反応途中で重合溶媒の追加的な添加はなかった。沈殿またはゲル化(gelation)現象は起こらなかった。反応が終わった後、温度を常温に冷やし、粘性のある溶液をメタノールに沈殿させ、濾取した後、沈殿物を過量の水と熱いメタノールで数回洗浄し、180℃の温度で真空乾燥させて重合体を得た。合成された重合体の一部を3重量%のDMAc溶液に作ってガラス板に塗布した後、190℃の温度および真空条件で溶媒を除去することにより、透明かつ強靭なフィルムを得た。
【0100】
H NMR(DMSO−d,400MHz,25℃,ppm):11.05(s,2H),8.83−8.48(m,4H),8.42(s,4H),8.19(s,4H),7.82−7.21(m,6H)
H NMR(DMSO−d,400MHz,100℃,ppm):10.73(s,2H),8.74−8.49(m,4H),8.41(s,2H),8.36(s,2H),8.18(m,4H),7.66(d,J=8.3Hz,2H),7.56(d,J=8.6Hz,2H),7.42(d,J=8.4Hz,2H)
FTIR(フィルム,cm−1):
3352(NHstretching);1784,1732(C=Ostretchingofimide);1686(C=Ostretchingofamide);1476−1595(AromaticC=C);1377(C−Nstretchingofimide);1174,1131(C−FinCF);725(Imideringdeformation)
実施例4(usBTFB−PAI)
前記合成例で製造された2,6−ビストリフルオロメチルベンジジンジアミン単量体0.19063g(0.595mmol)、対称性ジカルボン酸誘導体である2,2’−(2,6−ビス(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル)ビス(1,3−ジオキソイソインドリン−5−カルボン酸)(2,2'-(2,6-bis(trifluoromethyl)-[1,1'-biphenyl]-4,4'-diyl)bis(1,3-dioxoisoindoline-5-carboxylic acid))0.39804g(0.595mmol)、トリフェニルホスファイト1mL、ピリジン1mLおよび塩化カルシウム0.3gを6mLのNMPに溶かし、100℃で8時間撹拌した。反応途中で適量のNMPをさらに加えながら重合溶液の粘度を下げた。沈殿またはゲル化(gelation)現象は起こらなかった。反応が終わった後、温度を常温に冷やし、粘性のある溶液をメタノールに沈殿させ、濾取した後、沈殿物を過量の水と熱いメタノールで数回洗浄し、180℃の温度で真空乾燥させて重合体を得た。合成された重合体の一部を5重量%のDMAc溶液に作ってガラス板に塗布した後、190℃の温度および真空条件で溶媒を除去することにより、透明かつ強靭なフィルムを得た。
【0101】
H NMR(DMSO−d,400MHz,25℃,ppm):11.25(s,1H),10.83(s,1H),8.85−8.41(m,6H),8.31−8.04(m,4H),7.92(s,4H),7.72(s,2H),7.32(s,2H)
H NMR(DMSO−d,400MHz,100℃,ppm):10.96(s,1H),10.48(s,1H),8.76−8.43(m,6H),8.29−8.05(m,4H),7.92(dd,J=20.8,8.6Hz,4H),7.67(d,J=8.8Hz,2H),7.32(d,J=8.6Hz,2H)
FTIR(フィルム,cm−1):
3353(NHstretching);1784,1731(C=Ostretchingofimide);1689(C=Ostretchingofamide);1476−1598(AromaticC=C);1366(C−Nstretchingofimide);1179,1136(C−FinCF);725(Imideringdeformation)
実施例5(DAN−PAI)
1,5−ジアミノナフタレン(1,5-diaminonaphthalene)ジアミン単量体0.09425g(0.596mmol)、前記合成例で製造されたジカルボン酸誘導体0.39821g(0.596mmol)、トリフェニルホスファイト1mL、ピリジン1mLおよび塩化カルシウム0.3gを8mLのNMPに溶かし、100℃で8時間撹拌した。反応途中で適量のNMPをさらに加えながら重合溶液の粘度を下げた。沈殿またはゲル化(gelation)現象は起こらなかった。反応が終わった後、温度を常温に冷やし、粘性のある溶液をメタノールに沈殿させ、濾取した後、沈殿物を過量の水と熱いメタノールで数回洗浄し、180℃の温度で真空乾燥させて重合体を得た。合成された重合体の一部を3重量%のNMP溶液に作ってガラス板に塗布した後、190℃の温度および真空条件で溶媒を除去することにより、透明且つ強靭なフィルムを得た。
【0102】
H NMR(DMSO−d,400MHz,25℃,ppm):10.96(s,2H),8.85−8.51(m,4H),8.44(s,2H),8.23(m,2H),8.06(s,2H),7.69(m,8H)
H NMR(DMSO−d,400MHz,100℃,ppm):10.55(d,J=8.0Hz,2H),8.79−8.52(m,4H),8.43(s,2H),8.20(d,J=7.4Hz,1H),8.16(d,J=7.6Hz,1H),8.09(d,J=8.3Hz,2H),7.77(d,J=7.4Hz,2H),7.71−7.61(m,4H),7.57(d,J=8.8Hz,2H)
FTIR(フィルム,cm−1):3297(NHstretching);
1783,1731(C=Ostretchingofimide);1680(C=Ostretchingofamide);1476−1602(AromaticC=C);1377(C−Nstretchingofimide);1190,1132(C−FinCF);725(Imideringdeformation)
実施例6(mPDA−PAI)
メタフェニレンジアミン(m-phenylene diamine)単量体0.06385g(0.590mmol)、前記合成例で製造されたジカルボン酸誘導体0.39466g(0.590mmol)、トリフェニルホスファイト1mL、ピリジン1mLおよび塩化カルシウム0.3gを12mLのNMPに溶かし、100℃で8時間撹拌した。反応途中で重合溶媒の追加的な添加は無かった。沈殿またはゲル化(gelation)現象は起こらなかった。反応が終わった後、温度を常温に冷やし、粘性のある溶液をメタノールに沈殿させ、濾取した後、沈殿物を過量の水と熱いメタノールで数回洗浄し、180℃の温度で真空乾燥させて重合体を得た。合成された重合体の一部を5重量%のDMAc溶液に作ってガラス板に塗布した後、190℃の温度および真空条件で溶媒を除去することにより、透明かつ強靭なフィルムを得た。
【0103】
H NMR(DMSO−d,400MHz,25℃,ppm):10.77(d,J=8.6Hz,2H),8.62(d,J=10.9Hz,2H),8.56−8.46(m,3H),8.41(s,2H),8.22(d,J=7.7Hz,1H),8.17(d,J=7.9Hz,1H),7.61(s,6H),7.41(s,1H)
H NMR(DMSO−d,400MHz,100℃,ppm):10.51(d,J=6.9Hz,2H),8.61(d,J=13.3Hz,2H),8.55(d,J=8.3Hz,1H),8.51(d,J=8.3Hz,1H),8.40(s,3H),8.18(d,J=7.7Hz,1H),8.13(d,J=7.8Hz,1H),7.69−7.49(m,6H),7.39(t,J=8.4Hz,1H)
FTIR(フィルム,cm−1):
3346(NHstretching);1782,1730(C=Ostretchingofimide);1683(C=Ostretchingofamide);1476−1608(AromaticC=C);1377(C−Nstretchingofimide);1190,1129(C−FinCF);724(Imideringdeformation)
実施例7(ODA−PAI)
4,4’−ジアミノビフェニルエーテル(4,4’-diaminobiphenylene ether)ジアミン単量体0.11989g(0.599mmol)、前記合成例で製造されたジカルボン酸誘導体0.40022g(0.599mmol)、トリフェニルホスファイト1mL、ピリジン1mLおよび塩化カルシウム0.3gを12mLのNMPに溶かし、100℃で8時間撹拌した。反応途中で適量のNMPをさらに加えながら重合溶液の粘度を下げた。沈殿またはゲル化(gelation)現象は起こらなかった。反応が終わった後、温度を常温に冷やし、粘性のある溶液をメタノールに沈殿させ、濾取した後、沈殿物を過量の水と熱いメタノールで数回洗浄し、180℃の温度で真空乾燥させて重合体を得た。合成された重合体の一部を3.8重量%のDMAc溶液に作ってガラス板に塗布した後、190℃の温度および真空条件で溶媒を除去することにより、透明かつ強靭なフィルムを得た。
【0104】
H NMR(DMSO−d,400MHz,25℃,ppm):10.70(d,J=9.3Hz,2H),8.60(d,J=10.2Hz,2H),8.55−8.45(m,2H),8.40(s,2H),8.29−8.11(m,2H),7.86(d,J=8.9Hz,4H),7.60(s,4H),7.08(d,J=8.5Hz,4H)
H NMR(DMSO−d,400MHz,100℃,ppm):10.35(d,J=7.8Hz,2H),8.58(d,J=14.0Hz,2H),8.53(d,J=8.2Hz,1H),8.50(d,J=8.2Hz,1H),8.40(s,2H),8.16(d,J=7.8Hz,1H),8.11(d,J=7.9Hz,1H),7.83(d,J=8.7Hz,4H),7.64(d,J=8.2Hz,2H),7.55(d,J=8.5Hz,2H),7.08(d,J=8.0Hz,4H)
FTIR(フィルム,cm−1):
3351(NHstretching);1782,1729(C=Ostretchingofimide);1676(C=Ostretchingofamide);1476−1603(AromaticC=C);1376(C−Nstretchingofimide);1222(C−O−C);1190,1130(C−FinCF);725(Imideringdeformation)
下記表1〜表4は本発明の実施例によって得られるポリアミドイミドの物性を示している。
【0105】
表1は実施例1〜実施例7のポリアミドイミドの粘度および元素分析を確認することができる。
【0106】
【表1】
【0107】
表2は、実施例1〜実施例7によって得られるポリアミドイミドのガラス転移温度や5%重量減少時の温度、ガラス膨張係数、光の透過が始まる開始点の波長、550nmでの透過率、フィルム厚さなどの物性を示している。
【0108】
【表2】
【0109】
DSC分析の場合、10℃/minにて25〜400℃の温度領域でガラス転移温度(T)を観察することができなかった。TはTMAを用いて測定した。高分子フィルムが急激に増え始める温度がNDの場合、Tを観察することができないことを示す。
【0110】
表3は実施例1〜実施例7で製造されたポリアミドイミドの様々な溶媒に対する溶解度を示している。
【0111】
【表3】
【0112】
*溶解度:++常温でよく溶ける、+−部分的に溶ける、−溶けない。
【0113】
NMP:N−メチルピロリドン、DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド、DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO:ジメチルスルホキシド、THF:テトラヒドロフラン、EA:酢酸エチル。
【0114】
本発明のポリアミドイミドは、NMP、DMAc、DMFおよびDMSOの溶媒に対して優れた溶解度を示すが、これは、本発明に係るポリアミドイミドが、全体的な非対称構造の導入により様々な相互作用が抑制されることにより可溶性の重合体を提供することになると判断される。
【0115】
一方、一般な有機溶媒たる酢酸エチルまたはアセトンに対しては不溶性を示すが、本発明のポリアミドイミドは、ジアミン単量体の種類によってm−クレゾール、THF、NMP、DMAc、DMFおよびDMSOなどの溶媒に選択的に溶けることが分かる。
前記表1〜表3の結果から分かるように、全てのポリアミドイミドは、有機溶媒に良い溶解度および高い熱安定性を示した。合成されたポリアミドイミドは全て簡単な溶液塗布方法によって強靭かつ透明なフィルムを作ることができ、得られたフィルムは全て低い熱膨張係数を示した。
【0116】
特に実施例1〜実施例4の場合、フレキシブルディスプレイに適用できるプラスチック基板の要求条件を熱的安定性および光学性の面で全て満足している。また、パイレックス(登録商標)ガラスの熱膨張係数が4ppm/℃であることを勘案するとき、実施例2、実施例3および実施例4で作られた高分子の場合は、従来のTFT工程条件の変化なしでもガラス基板を代替することができるという大きな利点を有する。
【0117】
表4では実施例1〜実施例7によって得られるポリアミドイミドの屈折率を確認することができる。
【0118】
【表4】
【0119】
表4において、aは水平方向の屈折率、bは垂直方向の屈折率、cは平均屈折率、dは複屈折率、eは平均屈折率に基づいて計算した誘電率(ε≫1.10nav)、fはフィルム厚さをそれぞれ示す。
【0120】
表4から分かるように、ポリアミドイミドの剛直な平面構造であるにも拘わらず、いずれの場合でも低い屈折率、低い誘電定数(<3)および低い複屈折率を示す。これは、2つの巨大なトリフルオロメチル基が高分子鎖間の相互作用を妨害するうえ、高分子に含有されたフッ素原子が低い偏極度(polarizability)を示すためである。これにより、本発明のポリアミドイミドは電気電子光学用材料としても有用に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、アミド結合とイミド結合を高分子主鎖に含む新規なポリアミドイミドを提供することにより、フレキシブルディスプレイのプラスチック基板に応用可能である。
図1
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