(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
<全体概要>
以下に、本発明について添付図面を参照して説明する。
【0017】
本発明において、腕に装着する情報処理装置(以下、腕時計型デバイスとして説明する)は、腕時計のように身体に装着するパーソナルコンピュータやタブレットコンピュータ、スマートフォン等の電子機器、又は、その電子機器を構成する部品のことであり、時計である必要はない。また、実際には、腕に着けていなくても良い。例えば、腕に着けていなくても、指や手に装着していれば、装着状態(左腕の外側/左腕の内側/右腕の内側/右腕の外側)を判断することはできる。また、常時もしくは直接、身に着けていなくても良い。例えば、常時もしくは直接、身に着けていなくても、服の袖やハンドバッグの表面に付着していれば、或いは、バンド(ベルト)や金具等を介して間接的に装着していれば、装着状態(左腕の外側/左腕の内側/右腕の内側/右腕の外側)を判断することはできる。また、技術の性質上、腕ではなく脚に装着しても、腕に装着した場合と同様の処理を行うことが可能である。すなわち、「腕に装着する情報処理装置」は、手足の動きに合わせて一緒に動く(手足の動きに同調/同期して動く)情報処理装置であれば良い。
【0018】
[基本構成]
図1を参照して、本発明に係る腕時計型デバイスの基本構成例について説明する。
【0019】
本発明に係る腕時計型デバイスは、歩行状態検出部11と、歩行方向検出部12と、重力方向検出部13と、装着側判断部14と、装着腕判断部15と、設定部16を備える。
【0020】
歩行状態検出部11は、振動を検出する加速度センサ等を用いて、加速度を測定し、加速度の変化パターンに基づいて、歩行状態を検出する。ここでは、説明の簡単化のため、「加速の変化パターン」に基づいて、歩行状態を検出するものとしている。但し、実際には、非特許文献2「人体の行動識別が可能な腕時計型装置の開発」等に記載されているような手法を用いても構わない。
【0021】
歩行方向検出部12は、加速度センサや地図上の座標位置を検出するGPS(Global Positioning System)等を用いて、歩行方向を検出する。
【0022】
重力方向検出部13は、重力を検出する加速度センサ等を用いて、重力方向を検出する。
【0023】
装着側判断部14は、歩行状態検出部11が歩行状態を検出した時に、歩行方向検出部12が検出した歩行方向から、腕時計型デバイスを装着した側(内側/外側)を判断する。
【0024】
装着腕判断部15は、歩行状態検出部11が歩行状態を検出した時に、重力方向検出部13が検出した重力方向から、腕時計型デバイスを装着した腕(左腕/右腕)を判断する。
【0025】
設定部16は、装着側判断部14で判断した装着側(外側/内側)と、装着腕判断部15で判断した装着腕(左腕/右腕)を基に、腕時計型デバイスの装着状態(左腕の外側/左腕の内側/右腕の内側/右腕の外側)を認識し、腕時計型デバイスの装着状態に合わせた設定を適用する。
【0026】
[腕時計型デバイスの装着状態]
図2、
図3A〜
図3Dを参照して、腕時計型デバイスの装着状態について説明する。
【0027】
まず、
図2に示すように、腕時計型デバイスの方向を定義する。
【0028】
ここでは、腕時計型デバイスのバンド(ベルト)の長手方向を「Y軸」として定義する。なお、腕時計型デバイスのバンド(ベルト)自体を「Y軸」として定義しても良い。また、長手方向の一方を「+」とし、他方を「−」として定義する。例えば、腕時計型デバイスのバンド(ベルト)の長手方向を腕時計型デバイスの上下方向とした場合において、腕時計型デバイスの上側の方向をY軸の「+」として定義する。また、腕時計型デバイスの下側の方向をY軸の「−」として定義する。
【0029】
同様に、腕時計型デバイスのバンド(ベルト)の長手方向(Y軸)と直交する方向を「X軸」として定義する。また、腕時計型デバイスのY軸の「+」側を上にして、Y軸に向かって右側方向をX軸の「+」として定義する。また、Y軸に向かって左側方向をX軸の「−」として定義する。
【0030】
このとき、
図3Aに示すように、腕時計型デバイスの装着状態が「右腕の外側」の場合、歩行方向が「Y軸−」(Y−)となり、重力方向が「X軸−」(X−)となる。
【0031】
また、
図3Bに示すように、腕時計型デバイスの装着状態が「右腕の内側」の場合、歩行方向が「Y軸+」(Y+)となり、重力方向が「X軸−」(X−)となる。
【0032】
また、
図3Cに示すように、腕時計型デバイスの装着状態が「左腕の内側」の場合、歩行方向が「Y軸+」(Y+)となり、重力方向が「X軸+」(X+)となる。
【0033】
また、
図3Dに示すように、腕時計型デバイスの装着状態が「左腕の外側」の場合、歩行方向が「Y軸−」(Y−)となり、重力方向が「X軸+」(X+)となる。
【0034】
<第1実施形態>
以下に、本発明の第1実施形態について説明する。
【0035】
[腕時計型デバイスの構成]
図4を参照して、本実施形態に係る腕時計型デバイスの構成例について説明する。
【0036】
本実施形態に係る腕時計型デバイスは、処理部10と、記憶部20と、表示部30と、入力部40を備える。
【0037】
処理部10は、腕時計型デバイスの構成要素を制御し、腕時計型デバイスにおける各種機能を実現するための処理を行う。処理部10の例として、CPU(Central Processing Unit)、ネットワークプロセッサ(NP:Network Processor)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、マイクロコントローラ(microcontroller)、或いは、専用の機能を有する半導体集積回路(LSI:Large Scale Integration)等が考えられる。但し、実際には、これらの例に限定されない。
【0038】
記憶部20は、腕時計型デバイスの制御や処理において使用される各種データを記憶する。記憶部20の例として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリ等の半導体記憶装置、又は、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等の記憶媒体(メディア)等が考えられる。但し、実際には、これらの例に限定されない。
【0039】
表示部30は、腕時計型デバイスの表示領域に画像等を表示する。表示部30の例として、LCD(液晶ディスプレイ)やPDP(プラズマディスプレイ)、有機ELディスプレイ(organic electroluminescence display)等の表示装置が考えられる。或いは、外部の表示装置に情報を出力するためのインターフェース(I/F:interface)でも良い。すなわち、表示部30は、何らかの出力装置であれば良い。但し、実際には、これらの例に限定されない。
【0040】
入力部40は、腕時計型デバイスの装着者(利用者)の操作に応じて、腕時計型デバイスに対する入力を行う。入力部40の例として、各種ボタンを始め、キーパッド(keypad)、タッチパネル(touch panel)、KVM(キーボード・ビデオ・マウス)、コンソール(console)、タブレット(tablet)等の入力装置が考えられる。なお、各種ボタンは、物理的なボタンに限らず、表示部30に表示された仮想的なボタンでも良い。また、各種の読取装置等も考えられる。或いは、外部の入力装置から情報を取得するためのインターフェース(I/F:interface)でも良い。但し、実際には、これらの例に限定されない。
【0041】
[処理部の詳細]
まず、処理部10の詳細について説明する。
【0042】
処理部10は、歩行状態検出部11と、歩行方向検出部12と、重力方向検出部13と、装着側判断部14と、装着腕判断部15と、設定部16と、出力制御部17と、入力制御部18を備える。
【0043】
歩行状態検出部11、歩行方向検出部12、重力方向検出部13、装着側判断部14、装着腕判断部15、及び設定部16については、前述のとおりである。
【0044】
出力制御部17は、表示部30を制御する。ここでは、出力制御部17は、設定部16で適用された設定を基に、表示部30に表示する画像の位置、領域、種類等や、表示部30に表示する表示画面の表示方向、表示角度、明るさ等の表示方式(表示形態)を制御する。
【0045】
入力制御部18は、入力部40を制御する。ここでは、入力制御部18は、設定部16で適用された設定を基に、入力部40の各種ボタンと機能の割り当てを制御する。なお、各種ボタンは、物理的なボタンに限らず、表示部30に表示された仮想的なボタンでも良い。
【0046】
[機能の割り当て]
図5を参照して、入力部40の各種ボタンと機能の割り当てについて説明する。
【0047】
例えば、腕時計型デバイスには、
図5に示すように、表示部30と、4つの入力部40が設けられている。ここでは、入力部40は、ボタンとして用意されている。したがって、4つの入力部40は、4つのボタン(入力部A、B、C、D)として示している。
【0048】
入力制御部18は、腕時計型デバイスにおいて、設定部16で適用された設定を基に、腕時計型デバイスに設けられた4つのボタン(入力部A、B、C、D)の各々に機能を割り当てる。その後、いずれかのボタンが押下された際、当該ボタンに割り当てられた機能を実行する。
【0049】
また、腕時計型デバイスの本体において、腕時計型デバイスのバンド(ベルト)の上側の近傍に「上側の印」が付されている。ここでは、
図2に示すような、「Y軸」と「X軸」により形成される直交座標系において、「Y軸+」(Y+)かつ「X軸+」(X+)となる領域(第一象限)に「上側の印」が付されている。
【0050】
なお、腕時計型デバイスの方向を定義する際、実際には、
図5に示すように、腕時計型デバイスのバンド(ベルト)の長手方向(Y軸)において、「上側の印」が付された側をY軸の「+」として定義しても良い。同様に、腕時計型デバイスのバンド(ベルト)の長手方向と直交する方向(X軸)において、「上側の印」が付された側をX軸の「+」として定義しても良い。
【0051】
[記憶部の詳細]
次に、記憶部20の詳細について説明する。
【0052】
記憶部20は、歩行状態テーブル21と、装着側判断テーブル22と、装着腕判断テーブル23と、設定テーブル24を有する(記憶している)。
【0053】
歩行状態テーブル21は、
図6に示すように、「加速度の変化パターン」と、「歩行状態」とが対応付けられた対応表である。例えば、歩行状態テーブル21には、加速度の変化パターン「パターン1」と歩行状態「歩行中」とが対応付けられている。また、加速度の変化パターン「パターン0」と歩行状態「停止」とが対応付けられている。なお、実際には、「加速度の変化パターン」として、「加速の有無」を指定することも可能である。例えば、加速度の変化パターン「パターン1」として、加速「有」を指定し、加速度の変化パターン「パターン0」として、加速「無」を指定することも可能である。
【0054】
装着側判断テーブル22は、
図7に示すように、「歩行方向」(腕時計型デバイスに対する歩行方向)と、「装着側」(内側/外側)とが対応付けられた対応表である。ここでは、装着側判断テーブル22には、歩行方向「Y軸+」(Y+)と装着側「内側」とが対応付けられている。また、歩行方向「Y軸−」(Y−)と装着側「外側」とが対応付けられている。
【0055】
装着腕判断テーブル23は、
図8に示すように、「重力方向」(腕時計型デバイスに対する重力方向)と、「装着腕」(右腕/左腕)とが対応付けられた対応表である。例えば、ここでは、重力方向「X軸+」(X+)と装着腕「左腕」とが対応付けられている。また、重力方向「X軸−」(X−)と装着腕「右腕」とが対応付けられている。
【0056】
設定テーブル24は、
図9に示すように、「装着側」(内側/外側)と、「装着腕」(右腕/左腕)と、「表示設定」(表示装置の表示パターン)と、「入力設定」(入力装置の入力パターン)とが対応付けられた対応表である。例えば、設定テーブル24は、装着腕(左腕/右腕)と装着側(内側/外側)との組合せ毎に、表示パターンと入力パターンが対応付けられている。すなわち、装着状態(左腕の外側/左腕の内側/右腕の内側/右腕の外側)に応じた表示パターン及び入力パターンが設定されている。
【0057】
[歩行状態の検出]
歩行状態検出部11は、加速度センサにより加速度が検出された場合、検出された加速度の既定の時間分の推移(変化パターン)を解析し、予め記憶部に記憶されている加速度の変化パターンと比較して、合致する加速度の変化パターンを特定する。なお、歩行状態検出部11は、既定の時間、加速度が連続的又は断続的に検出された場合に、検出された加速度の変化パターンを解析して、どの加速度の変化パターンに合致するか特定しても良い。また、連続的又は断続的に検出された加速度の変化パターンと、予め記憶されている加速度の変化パターンとを比較して類似度を算出し、類似度が既定値より高い加速度の変化パターンを特定しても良い。類似の判別は、歩行中の加速度の変化パターンに対し、予め誤差範囲の値が設けられており、検出された加速度の変化パターンが、誤差範囲内であれば類似と判定しても良い。
【0058】
次に、歩行状態検出部11は、記憶部20に記憶されている歩行状態テーブル21を参照し、特定された加速度の変化パターンに対応する歩行状態を判断する。ここでは、特定された加速度の変化パターンが「パターン1」の場合に対応する歩行状態が「歩行中」であるため、歩行状態を「歩行中」と判断する。
【0059】
歩行状態検出部11は、現在の歩行状態を表す歩行状態識別子に「歩行中」を入力し、歩行状態識別子「歩行中」を、装着側判断部14と装着腕判断部15に送信する。或いは、加速度センサにより検出される加速度の変化パターンが、予め記憶された加速度の変化パターン「パターン1」と合致もしくは類似しなくなるまで、歩行状態識別子「歩行中」を、装着側判断部14と装着腕判断部15に送信し続けても良い。
【0060】
また、特定された加速度の変化パターンが「パターン0」の場合には、対応する歩行状態が「停止」であるため、歩行状態を「停止」と判断する。
【0061】
歩行状態検出部11は、現在の歩行状態を表す歩行状態識別子に「停止」を入力し、歩行状態識別子「停止」を、装着側判断部14と装着腕判断部15に送信する。或いは、加速度センサにより検出される加速度の変化パターンが、予め記憶された加速度の変化パターン「パターン0」と合致もしくは類似しなくなるまで、歩行状態識別子「停止」を、装着側判断部14と装着腕判断部15に送信し続けても良い。
【0062】
更に、歩行状態検出部11は、加速度センサにより加速度が検出されない場合、もしくは検出された加速度の変化パターンが記憶部20に記憶されている加速度の変化パターンとは一致、もしくは類似しなかった場合、歩行状態を「停止」と判断しても良い。
【0063】
[歩行方向の判別]
歩行方向検出部12は、例えば、非特許文献1「センサを人体に固定しないデッドレコニング手法」に示されるように、腕振り動作の前後の非対称性を利用することで、歩行方向を検出し、歩行方向の情報として装着側判断部14に送信する。
【0064】
或いは、歩行方向検出部12は、GPSから検出される複数の位置情報により、歩行者の地理上の方向と、地磁気センサから検出される腕時計型デバイスの地理上の向きとを基に、腕時計型デバイスのY軸の+側に移動しているか、「−」側に移動しているか判定する。その判定結果を、歩行方向の情報として装着側判断部14に送信しても良い。
【0065】
技術的には、以下の3つの手法でも歩行方向を判別することが可能である。
【0066】
1.静止状態から歩行中の状態になる間には、歩行方向への加速度が生じるので、この加速方向で判別する。例えば、加速度の積分値から速度方向を判断する。
【0067】
2.加速度センサから検出される加速度の値の強弱パターンと、記憶部20に記憶されている「Y軸+」の場合の加速度の値の強弱パターンとを比較し、更に、その加速度の値の強弱パターンと、記憶部20に記憶されている「Y軸−」の場合の加速度の値の強弱パターンとを比較し、その結果、類似度が高い方を、歩行方向と判断する。
【0068】
3.前後方向の加速度と、重力方向の加速度の位相関係で判別する。例えば、装着側の足が着地している時には下方向に沈むと考えられるため、この時に加速している方向が進行方向と判定できる。
【0069】
[重力方向の判別]
重力方向検出部13は、加速度センサから検出される加速度の値に基づいて、腕時計型デバイスのどの方向に重力が働いているか判定し、その判定結果を、重力方向の情報として装着腕判断部15に送信する。
【0070】
[装着側の判別]
装着側判断部14は、歩行状態検出部11から歩行状態識別子「歩行中」を受信した場合、歩行方向検出部12から腕時計型デバイスに対する歩行方向の情報(Y軸が+か−の値)を取得する。このとき、記憶部20に記憶されている装着側判断テーブル22を確認し、歩行方向の情報に対応する装着側(内側/外側)を判断する。装着側判断部14は、装着側が「外側」又は「内側」と判断した場合、装着側識別子にその装着側の判断結果を入力し、装着側識別子を設定部16に送信する。
【0071】
[装着腕の判別]
装着腕判断部15は、歩行状態検出部11から歩行状態識別子「歩行中」の情報を受信した場合、重力方向検出部13から腕時計型デバイスに対する重力方向(X軸の+か−の値)を取得する。このとき、装着腕判断テーブル23を確認し、重力方向に対応する装着している装着腕(右腕/左腕)を判断する。装着腕判断部15は、装着腕が「右腕」又は「左腕」と判断した場合、装着腕識別子にその装着腕の判断結果を入力し、装着腕識別子を設定部16に送信する。
【0072】
[表示装置/入力装置の設定]
設定部16は、装着側判断部14から装着側識別子を受信し、装着腕判断部15から装着腕識別子を受信する。装着側識別子と装着腕識別子の両方を受信した場合、設定テーブル24を確認し、装着側識別子及び装着腕識別子に対応する表示パターン及び入力パターンを取得する。このとき、取得された表示パターン及び入力パターンを基に、表示部30及び入力部40の設定を変更する。変更後の設定内容については、別途、記憶部20に記憶しても良い。
【0073】
ここでは、表示装置を制御する制御内容を示す表示パターンを取得し、取得された表示パターンに基づいて、腕時計型デバイスの表示設定を変更する。例えば、表示装置の明るさ等を変更する。複数の表示装置がある場合、装着側識別子の値と装着腕識別子の値とに合致する表示装置に画像や文字等を表示する。
【0074】
同様に、入力装置を制御する制御内容を示す入力パターンを取得し、取得された入力パターンに基づいて、腕時計型デバイスの入力設定を変更する。例えば、入力装置の機能等を切り替える。複数の入力装置がある場合、装着側識別子の値と装着腕識別子の値とに合致する入力装置に機能を割り当てる。
【0075】
なお、腕時計型デバイスの表示画面がタッチパネルである場合、入力設定の変更も、表示設定の変更により行っても良い。
【0076】
[表示装置の制御]
出力制御部17は、設定部16により設定された表示設定を基に、表示部30に入力される表示データを加工して、表示部30に出力する。
【0077】
ここでは、
図10Aに示すように、装着側識別子が「外側」であった場合は、情報の表示の向き(表示方向)について、バンド(ベルト)水平方向(Y軸)が上下方向になるように、表示データを表示する。また、
図10Bに示すように、装着側識別子が「内側」であった場合は、情報の表示の向き(表示方向)について、バンド(ベルト)垂直方向(X軸)が上下方向になるように、表示データを表示する。
【0078】
また、装着側識別子が「外側」であった場合は、装着者以外の他人にも表示画面が見える。メールを着信した際、着信メールの送信者や内容等が他人にも見える状態であるのは問題となることもある。したがって、装着側識別子が「外側」であった場合は、プライバシーの保護のため、バックライトや表示装置の明るさ等の光度を暗くして、他人から見えにくく表示するようにしても良い。或いは、装着側識別子が「外側」であった場合には、表示データを表示せず、装着側識別子が「内側」であった場合にのみ、表示データを表示するようにしても良い。
【0079】
また、装着腕識別子が「左腕」であった場合は、
図11Aに示すように、アラート情報を表示する表示領域が、装着者の目に付きやすい左腕の拳側(掌側)になるように、「X軸+」側に表示データを表示する。反対に、装着腕識別子が「右腕」であった場合は、
図11Bに示すように、アラート情報を表示する表示領域が、装着者の目に付きやすい右腕の拳側になるように「X軸−」側に表示データを表示する。
【0080】
また、装着腕識別子が「左腕」であった場合は、装着者が左腕をあまり曲げなくても表示内容が見やすくなるように、
図12Aに示すように、本体の上側を「0度」として、情報の表示の向き(表示角度)を「30度〜60度」程度、「X軸+」側に傾けて(アナログ時計で例示すると、1時〜2時方向が上になるように)表示データを表示する。反対に、装着腕識別子が「右腕」であった場合は、装着者が右腕をあまり曲げなくても表示内容が見やすくなるように、
図12Bに示すように、本体の上側を「0度」として、情報の表示の向き(表示角度)を「30度〜60度」程度、「X軸−」側に傾けて(アナログ時計で例示すると、10時〜11時方向が上になるように)表示データを表示する。すなわち、バンド(ベルト)水平方向(Y軸)を上下方向とし、前記装着腕が左腕である場合、表示データの上側を左腕の拳側に傾けて表示する。反対に、前記装着腕が右腕である場合、表示データの上側を右腕の拳側に傾けて表示する。
【0081】
[入力装置の制御]
入力制御部18は、設定部16により設定された入力設定を基に、入力部40に入力された入力データを、対応する機能への入力として処理する。
【0082】
ここでは、装着腕識別子が「左腕」であるか「右腕」であるかに応じて、割り当てられる機能のうち、最も使用頻度の高い機能を、押しやすい拳側のボタンに割り当てる。すなわち、押しやすい拳側のボタンから順に、相対的に使用頻度の高い機能を割り当てていく。例えば、
図5に示すように、入力部40として腕時計型デバイスの両サイドの上下に計4つのボタンが設置されているとする。また、メール確認や通話等の機能の使用頻度が高かったとする。ここでは、メール確認ボタンを「A」と定義する。また、通話ボタンを「B」と定義する。また、その他の機能のボタンを「C」、「D」と定義する。このとき、装着腕識別子が「左腕」の場合は、
図13Aに示すように、左腕の拳側の「X軸+」側のボタンに、メール確認ボタン「A」や、通話ボタン「B」等を割り当てる。また、装着腕識別子が「右腕」の場合は、
図13Bに示すように、右腕の拳側の「X軸−」側のボタンに、メール確認ボタン「A」や、通話ボタン「B」等を割り当てる。
【0083】
また、装着側識別子が「内側」であるか「外側」であるかに応じて、同一のボタンに異なる機能を割り当てるようにしても良い。例えば、プライバシーの保護のため、装着側識別子が「内側」である場合にのみ、ボタンに、メール確認ボタンや、通話ボタン等を割り当てるようにしても良い。
【0084】
また、装着側識別子が「内側」であるか「外側」であるかに応じて、異なる処理を行うようにしても良い。例えば、入力部40が、脈拍センサ等の読取装置である場合、腕の「外側」から読みとったデータである場合、腕の「外側」に適した処理を行う。また、腕の「内側」から読みとったデータである場合、腕の「内側」に適した処理を行う。
【0085】
<第2実施形態>
以下に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0086】
本実施形態では、装着状態(左腕の外側/左腕の内側/右腕の内側/右腕の外側)に応じて、表示の向き(表示角度)を変更するように設定する。
【0087】
設定部16は、装着腕識別子と装着側識別子とで、腕時計型デバイスの装着状態(左腕の外側/左腕の内側/右腕の内側/右腕の外側)を認識し、設定テーブル24を基に、4つの装着状態にそれぞれ対応する表示パターンと入力パターンとを設定する。
【0088】
例えば、装着腕識別子が「左腕」で装着側識別子が「外側」であった場合は、
図14Aに示すように、本体の上側を「0度」として、情報の表示の向きを「30度〜60度」程度、「X軸+」側に傾けて(アナログ時計で例示すると、1時〜2時方向が上になるように)表示データを表示するように制御するための表示パターンを設定する。
【0089】
また、装着腕識別子が「左腕」で装着側識別子が「内側」であった場合は、
図14Bに示すように、本体の上側を「0度」として、情報の表示の向きを「90度」程度、「X軸+」側に傾けて(アナログ時計で例示すると、3時方向が上になるように)表示データを表示するように制御するための表示パターンを設定する。
【0090】
また、装着腕識別子が「右腕」で装着側識別子が「内側」であった場合は、
図14Cに示すように、本体の上側を「0度」として、情報の表示の向きを「90度」程度、「X軸−」側に傾けて(アナログ時計で例示すると、9時方向が上になるように)表示データを表示するように制御するための表示パターンを設定する。
【0091】
また、装着腕識別子が「右腕」で装着側識別子が「外側」であった場合は、
図14Dに示すように、本体の上側を「0度」として、情報の表示の向きを「30度〜60度」程度、「X軸−」側に傾けて(アナログ時計で例示すると、10時〜11時方向が上になるように)表示データを表示するように制御するための表示パターンを設定する。
【0092】
<第3実施形態>
以下に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0093】
本実施形態では、装着状態(左腕の外側/左腕の内側/右腕の内側/右腕の外側)に応じて、腕時計型デバイスの用途を変更するように設定する。
【0094】
設定部16は、装着腕識別子と装着側識別子とで、腕時計型デバイスの装着状態(左腕の外側/左腕の内側/右腕の内側/右腕の外側)を認識し、設定テーブル24を基に、4つの装着状態にそれぞれ対応する表示パターンと入力パターンとを設定する。
【0095】
例えば、装着腕識別子が「左腕」で装着側識別子が「外側」であった場合は、「ビジネス時」のモードに切り替え、時計機能を表示するように制御するための表示パターンを設定する。また、時計を操作する機能のボタンを割り当てるように制御するための入力パターンを設定する。
【0096】
また、装着腕識別子が「左腕」で装着側識別子が「内側」であった場合は、「暇つぶし時」のモードに切り替え、ゲーム機能を表示するように制御するための表示パターンを設定する。また、ゲームを操作する機能のボタンを割り当てるように制御するための入力パターンを設定する。
【0097】
また、装着腕識別子が「右腕」で装着側識別子が「内側」であった場合は、「休憩時」のモードに切り替え、音楽再生機能を表示するように制御するための表示パターンを設定する。また、音楽再生を操作する機能のボタンを割り当てるように制御するための入力パターンを設定する。
【0098】
また、装着腕識別子が「右腕」で装着側識別子が「外側」であった場合は、「ジョギング時」のモードに切り替え、歩数計機能を表示するように制御するための表示パターンを設定する。また、歩数計を操作する機能のボタンを割り当てるように制御するための入力パターンを設定する。
【0099】
<第4実施形態>
以下に、本発明の第4実施形態について説明する。
【0100】
本実施形態では、「歩行状態」だけでなく、「走行状態」も考慮して、設定する。
【0101】
加速度の変化パターンとして、停止状態の加速度の変化パターン「パターン0」と歩行状態の加速度の変化パターン「パターン1」だけでなく、走行状態の加速度の変化パターン「パターン2」も記憶しても良い。例えば、
図15に示すように、歩行状態テーブル21の走行状態に、停止状態の変化パターン「パターン0」に対応する「停止」と歩行状態の変化パターン「パターン1」に対応する「歩行中」だけでなく、走行状態の加速度の変化パターン「パターン2」も含めて対応付けても良い。
【0102】
この場合、歩行状態検出部11は、加速度センサにより、加速度が検出されると、加速度の度合等も考慮して、予め記憶した加速度の変化パターンとの比較により、合致(又は類似)する加速度の変化パターンを特定する。記憶部20に記憶されている歩行状態テーブル21を参照し、特定された加速度の変化パターンに基づいて、歩行状態が「停止」、「歩行中」又は「走行中」のいずれかと判断し、現在の歩行状態を表す歩行状態識別子に「停止」、「歩行中」又は「走行中」を入力し、歩行状態識別子を装着側判断部14と装着腕判断部15に送信する。なお、実際には、別途、速度計を設けて、ある速度を「歩行中」又は「走行中」と判断する閾値を設けて、歩行状態を判断しても良い。
【0103】
また、走行時は、腕を前方に90度曲げて走行するため、歩行方向と装着側との関係、重力方向と装着腕との関係が歩行時と異なるため、歩行用と走行用に分けて、それぞれの装着側判断テーブル22と装着腕判断テーブル23とを用意する。すなわち、歩行用/走行用の装着側判断テーブル22と、歩行用/走行用の装着腕判断テーブル23を、それぞれ用意する。例えば、歩行用として、
図7に示すような歩行用の装着側判断テーブル22と、
図8に示すような歩行用の装着腕判断テーブル23を用意する。同様に、走行用として、
図16に示すような走行用の装着側判断テーブル22と、
図17に示すような走行用の装着腕判断テーブル23を用意する。
【0104】
なお、歩行中の場合において「歩行方向」と記載したものは、走行中の場合には「走行方向」と読み替える。また、走行時は、腕を前方に90度曲げて走行するため、歩行時とは逆に、走行方向(歩行方向)が「X軸」方向となり、重力方向が「Y軸」方向となる。
【0105】
装着側判断部14と装着腕判断部15は、歩行状態識別子が「歩行中」であるか「走行中」であるかに応じて、歩行用/走行用の装着側判断テーブル22と、歩行用/走行用の装着腕判断テーブル23を使用して、それぞれ、装着側と装着腕を判断する。例えば、現在の歩行状態を表す歩行状態識別子が「歩行中」の場合、歩行用の装着側判断テーブル22と、歩行用の装着腕判断テーブル23を使用して、装着側と装着腕を判断する。同様に、歩行状態識別子が「走行中」の場合、走行用の装着側判断テーブル22と、走行用の装着腕判断テーブル23を使用して、装着側と装着腕を判断する。
【0106】
また、歩行用と走行用に分けて、それぞれの設定テーブル24を用意する。例えば、歩行用として、
図9に示すような歩行用の設定テーブル24を用意する。同様に、走行用として、
図18に示すような走行用の設定テーブル24を用意する。
【0107】
設定部16は、歩行中の場合と走行中の場合を分けて、それぞれの場合において個別に、「装着側」(内側/外側)と「装着腕」(右腕/左腕)に応じて、「表示設定」(表示装置の表示パターン)と「入力設定」(入力装置の入力パターン)を判断する。例えば、現在の歩行状態を表す歩行状態識別子が「歩行中」の場合、歩行用の設定テーブル24を使用して、装着側と装着腕に応じて、表示設定と入力設定を判断する。同様に、歩行状態識別子が「走行中」の場合、走行用の設定テーブル24を使用して、装着側と装着腕に応じて、表示設定と入力設定を判断する。
【0108】
<各実施形態の関係>
なお、上記の各実施形態は、組み合わせて実施することも可能である。また、端末の動作モードや機能の切り替え等により、実施形態を変更できるようにしても良い。また、「歩行」や「走行」は、「進行」と読み替えても良い。例えば、「歩行状態」は「進行状態」と読み替え、「歩行方向」や「走行方向」は「進行方向」と読み替えることができる。
【0109】
<本発明の要旨>
本発明に係る腕時計型デバイスは、歩行状態と歩行方向と重力方向とを検出し、装着腕と装着側とを判断する。これにより、判断した装着腕と装着側とで示される装着状態に応じて、表示装置での表示方法や、入力装置の割り当てや、機能のオン/オフを自動的に設定/変更できる。
【0110】
<ハードウェアの例示>
図示しないが、上記のような腕時計型デバイスは、プログラムに基づいて駆動し所定の処理を実行するプロセッサと、当該プログラムや各種データを記憶するメモリと、ネットワークとの通信に用いられるインターフェースによって実現される。
【0111】
上記のプロセッサの例として、CPU(Central Processing Unit)、ネットワークプロセッサ(NP:Network Processor)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、マイクロコントローラ(microcontroller)、或いは、専用の機能を有する半導体集積回路(LSI:Large Scale Integration)等が考えられる。
【0112】
上記のメモリの例として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリ等の半導体記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置、又は、DVD(Digital Versatile Disk)等のリムーバブルディスクや、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等の記憶媒体(メディア)等が考えられる。また、バッファ(buffer)やレジスタ(register)等でも良い。或いは、DAS(Direct Attached Storage)、FC−SAN(Fibre Channel − Storage Area Network)、NAS(Network Attached Storage)、IP−SAN(IP − Storage Area Network)等を用いたストレージ装置でも良い。
【0113】
なお、上記のプロセッサ及び上記のメモリは、一体化していても良い。例えば、近年では、マイコン等の1チップ化が進んでいる。したがって、電子機器等に搭載される1チップマイコンが、上記のプロセッサ及び上記のメモリを備えている事例も考えられる。
【0114】
上記のインターフェースの例として、ネットワーク通信に対応した基板(マザーボード、I/Oボード)やチップ等の半導体集積回路、NIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタや同様の拡張カード、アンテナ等の通信装置、接続口(コネクタ)等の通信ポート等が考えられる。
【0115】
また、ネットワークの例として、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線LAN(Wireless LAN)、WAN(Wide Area Network)、バックボーン(Backbone)、ケーブルテレビ(CATV)回線、固定電話網、携帯電話網、WiMAX(IEEE 802.16a)、3G(3rd Generation)、専用線(lease line)、IrDA(Infrared Data Association)、Bluetooth(登録商標)、シリアル通信回線、データバス等が考えられる。
【0116】
なお、腕時計型デバイスの内部の構成要素は、モジュール(module)、コンポーネント(component)、或いは専用デバイス、又はこれらの起動(呼出)プログラムでも良い。
【0117】
但し、実際には、これらの例に限定されない。
【0118】
<備考>
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。