特許第6087553号(P6087553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087553
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】電力貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 3/16 20060101AFI20170220BHJP
   A62C 35/02 20060101ALI20170220BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20170220BHJP
   H01M 10/60 20140101ALN20170220BHJP
【FI】
   A62C3/16 Z
   A62C35/02 B
   H01M2/10 E
   !H01M10/60
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-209020(P2012-209020)
(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公開番号】特開2014-61202(P2014-61202A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 孝之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 順二
(72)【発明者】
【氏名】松永 憲明
【審査官】 櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/015001(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3177969(JP,U)
【文献】 特開昭52−137200(JP,A)
【文献】 特表平08−501467(JP,A)
【文献】 特開平04−288169(JP,A)
【文献】 特開平05−317440(JP,A)
【文献】 特開昭53−055514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 3/00−3/16,35/02
H01M 2/10,10/36−10/39,10/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単電池群及び容器を備え、前記容器が天面を備え、前記天面が鉛直方向上方を向き、前記容器の内部に容器内空間が形成され、前記単電池群が前記容器内空間に収容されるモジュール電池と、
筐体内空間が内部に形成され、前記筐体内空間に前記モジュール電池が収容される筐体と、
前記筐体内空間に収容され、前記天面に沿って膨張ひる石が進行する方向に膨張ひる石を噴射し膨張ひる石に前記天面の上方を通過させる噴射ノズルと、
輸送流路が形成され、前記輸送流路を経由して膨張ひる石が圧送され、前記輸送流路が前記筐体の外部から前記噴射ノズルへ至る流路形成体と、
備え、
前記噴射ノズルに噴射孔及びノズル内流路が形成され、
前記ノズル内流路が、前記輸送流路に通じ、前記ノズル内流路の断面積が前記輸送流路の断面積より大きく、
前記噴射孔が、前記ノズル内流路に通じ、前記噴射孔の開口面積が前記輸送流路の断面積より小さい
電力貯蔵装置。
【請求項2】
単電池群及び容器を備え、前記容器が天面を備え、前記天面が鉛直方向上方を向き、前記容器の内部に容器内空間が形成され、前記単電池群が前記容器内空間に収容され、前記容器に奥行き方向及び幅方向が定義され、前記容器が手前側の側面及び奥側の側面を備えるモジュール電池と、
筐体内空間が内部に形成され、前記筐体内空間に前記モジュール電池が収容される筐体と、
前記筐体内空間に収容され、前記天面に沿って膨張ひる石が進行する方向に膨張ひる石を噴射し、前記容器の幅方向の中央より一方の側にあり、手前側から奥側へ膨張ひる石を噴射する第1の噴射ノズルと、
第1の輸送流路が形成され、前記第1の輸送流路を経由して膨張ひる石が圧送され、前記第1の輸送流路が前記筐体の外部から前記第1の噴射ノズルへ至る第1の流路形成体と、
前記筐体内空間に収容され、前記天面に沿って膨張ひる石が進行する方向に膨張ひる石を噴射し、前記容器の幅方向の中央より他方の側にあり、手前側から奥側へ膨張ひる石を噴射する第2の噴射ノズルと、
第2の輸送流路が形成され、前記第2の輸送流路を経由して膨張ひる石が圧送され、前記第2の輸送流路が前記筐体の外部から前記第2の噴射ノズルへ至る第2の流路形成体と、
捕集口が形成され、前記捕集口が鉛直方向上方を向き、前記捕集口が前記奥側の側面上の前記天面寄りの位置に配置され、前記奥側の側面に沿い、前記容器の幅方向の中央にあるカゴと、
を備える電力貯蔵装置。
【請求項3】
第1の反射面が形成され、前記第1の反射面が前記容器の幅方向の中央より一方の側にあり前記奥側の側面よりさらに奥側にあり、前記第1の噴射ノズルにより噴射され前記第1の反射面に衝突した膨張ひる石を反射して前記容器の幅方向の中央へ誘導する第1の中央誘導体と、
第2の反射面が形成され、前記第2の反射面が前記容器の幅方向の中央より他方の側にあり前記奥側の側面よりさらに奥側にあり、前記第2の噴射ノズルにより噴射され前記第2の反射面に衝突した膨張ひる石を反射して前記容器の幅方向の中央へ誘導する第2の中央誘導体と、
をさらに備える請求項2の電力貯蔵装置。
【請求項4】
前記輸送流路が第1の断面を有し、
前記噴射ノズルに噴射孔及びノズル内流路が形成され、
前記ノズル内流路が、前記輸送流路に通じ、前記第1の断面より広げられた第2の断面を有し、
前記噴射孔が、前記ノズル内流路に通じ、前記第1の断面より狭められた開口を有する請求項2または請求項3の電力貯蔵装置。
【請求項5】
平坦面を有し、前記平坦面が前記天面に対向する構造物、
をさらに備える
請求項1から請求項4までのいずれかの電力貯蔵装置。
【請求項6】
前記筐体は、
開口が形成される筐体本体と、
前記開口を開閉し、前記噴射ノズル及び前記流路形成体が取り付けられる扉と、
を備える請求項1から請求項5までのいずれかの電力貯蔵装置。
【請求項7】
前記噴射ノズルは、
噴射孔及びノズル内流路が形成される噴射ノズル本体と、
被挿入孔が形成され、前記噴射孔が前記被挿入孔に通じ、前記被挿入孔に前記流路形成体がある連結機構と、
を備える請求項1からの請求項5までのいずれかの電力貯蔵装置。
【請求項8】
前記流路形成体は、
第1の分割体と、
前記第1の分割体に連結される第2の分割体と、
を備え、
前記輸送流路は、
前記第1の分割体に形成され、第1の区間断面を有する第1の区間と、
前記第2の分割体に形成され、前記第1の区間に通じ、前記第1の区間より下流にあり、前記第1の区間断面より狭められない第2の区間断面を有する第2の区間と、
を備える請求項1から請求項7までのいずれかの電力貯蔵装置。
【請求項9】
単電池群及び容器を備え、前記容器が天面を備え、前記天面が鉛直方向上方を向き、前記容器の内部に容器内空間が形成され、前記単電池群が前記容器内空間に収容されるモジュール電池と、
筐体内空間が内部に形成され、前記筐体内空間に前記モジュール電池が収容される筐体と、
前記筐体内空間に収容され、前記天面に沿って膨張ひる石が進行する方向に膨張ひる石を噴射する噴射ノズルと、
輸送流路が形成され、前記輸送流路を経由して膨張ひる石が圧送され、前記輸送流路が前記筐体の外部から前記噴射ノズルへ至る流路形成体と、
を備え、
前記流路形成体は、
第1の分割体と、
前記第1の分割体に連結される第2の分割体と、
前記第1の分割体の端部及び前記第2の分割体の端部が当たった状態で前記第1の分割体及び前記第2の分割体を連結する分割体の連結機構と、
を備え、
前記輸送流路は、
前記第1の分割体に形成され、第1の区間断面を有する第1の区間と、
前記第2の分割体に形成され、前記第1の区間に通じ、前記第1の区間より下流にあり、前記第1の区間断面より狭められない第2の区間断面を有する第2の区間と、
備え、
前記噴射ノズルに噴射孔及びノズル内流路が形成され、
前記ノズル内流路が、前記輸送流路に通じ、前記ノズル内流路の断面積が前記輸送流路の断面積より大きく、
前記噴射孔が、前記ノズル内流路に通じ、前記噴射孔の開口面積が前記輸送流路の断面積より小さい
電力貯蔵装置。
【請求項10】
前記流路は、
湾曲区間
を備え、
前記湾曲区間の中心線の曲率半径が前記湾曲区間の内径の5倍以上10倍以下である請求項1から請求項9までのいずれかの電力貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電力貯蔵装置に関する。特許文献1の電力貯蔵装置はモジュール電池を備える。モジュール電池においては、ナトリウム−硫黄電池の単電池群(集合電池2)が容器(収納ケース1)の内部に形成された容器内空間に収容される。流路形成体(連結配管6及び分岐管7)に形成された輸送流路は、容器内空間に通じる。火災が発生した場合は、消火剤が輸送流路を経由して圧送され、容器内空間が消火剤で満たされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−317440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電力貯蔵装置においては、容器内空間が消火剤で満たされるが、供給可能な消火剤の量は容器内空間の容積以下に制限される。本発明は、この問題を解決するためになされる。本発明の目的は、モジュール電池を多量の消火剤で適切に埋設し窒息消火することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、電力貯蔵装置に向けられる。
【0006】
本発明の第1の局面においては、容器の内部に形成される容器内空間に単電池群が収容される。筐体の内部に形成される筐体内空間にモジュール電池及び噴射ノズルが収容される。容器の天面は、鉛直方向上方を向く。噴射ノズルは、天面に沿って膨張ひる石が進行する方向に膨張ひる石を噴射し膨張ひる石に天面の上方を通過させる。流路形成体に形成される輸送流路を経由して膨張ひる石が圧送される。輸送流路は、筐体の外部から噴射ノズルへ至る。噴射ノズルに噴射孔及びノズル内流路が形成される。ノズル内流路は、輸送流路に通じる。噴射孔は、ノズル内流路に通じる。ノズル内流路の断面積は、輸送流路の断面積より大きい。噴射孔の開口面積は、輸送流路の断面積より小さい。
【0007】
本発明の第2の局面においては、容器の内部に形成される容器内空間に単電池群が収容される。筐体の内部に形成される筐体内空間にモジュール電池、第1の噴射ノズル及び第2の噴射ノズルが収容される。容器の天面は、鉛直方向上方を向く。容器に奥行き方向及び幅方向が定義される。第1の噴射ノズルは、天面に沿って膨張ひる石が進行する方向に膨張ひる石を噴射する。第2の噴射ノズルは、天面に沿って膨張ひる石が進行する方向に膨張ひる石を噴射する。第1の噴射ノズルは、容器の幅方向の中央より一方の側にある。第2の噴射ノズルは、容器の幅方向の中央より他方の側にある。第1の噴射ノズル及び第2の噴射ノズルは、手前側から奥側へ膨張ひる石を噴射する。第1の流路形成体に形成される第1の輸送流路を経由して膨張ひる石が圧送される。第1の輸送流路は、筐体の外部から第1の噴射ノズルへ至る。第2の流路形成体に形成される第2の輸送流路を経由して膨張ひる石が圧送される。第2の輸送流路が筐体の外部から第2の噴射ノズルへ至る。カゴに形成される捕集口が鉛直方向上方を向く。捕集口は、奥側の側面上の天面寄りの位置に配置される。カゴは、容器の奥側の側面に沿う。カゴは、容器の幅方向の中央にある。
【0008】
本発明の第3の局面は、本発明の第2の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第3の局面においては、第1の中央誘導体に形成される第1の反射面が容器の幅方向の中央より一方の側にある。第2の中央誘導体に形成される第2の反射面が容器の幅方向の中央より他方の側にある。第1の反射面及び第2の反射面は、容器の奥側の側面よりさらに奥側にある。第1の噴射ノズルにより噴射され第1の反射面に衝突した膨張ひる石は、第1の反射面により反射され容器の幅方向の中央へ誘導される。第2の噴射ノズルにより噴射され第2の反射面に衝突した膨張ひる石は、第2の反射面に反射され容器の幅方向の中央へ誘導される。
【0009】
本発明の第4の局面は、本発明の第2または第3の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第4の局面においては、噴射ノズルに形成されるノズル内流路の断面が輸送流路の断面より広げられる。噴射ノズルに形成される噴射孔の開口が輸送流路の断面より狭められる。噴射孔は、ノズル内流路に通じる。ノズル内流路は、輸送流路に通じる。
本発明の第5の局面は、本発明の第1から第4までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第5の局面においては、構造物の平坦面が天面に対向する。
【0010】
本発明の第6の局面は、本発明の第1から第5までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第6の局面においては、筐体本体に形成された開口が扉に開閉される。噴射ノズル及び流路形成体は、扉に取り付けられる。
【0012】
本発明の第7の局面は、本発明の第1から第5までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第7の局面においては、噴射孔が噴射ノズル本体に形成される。連結機構に形成される被挿入孔に流路形成体がある。噴射孔が被挿入孔に通じる。
【0013】
本発明の第8の局面は、本発明の第1から第7までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第8の局面においては、流路形成体の第1の分割体及び第2の分割体が連結される。輸送流路の第1の区間は、第1の分割体に形成される。輸送流路の第2の区間は、第2の分割体に分割される。第2の区間の区間断面は、第1の区間の区間断面より狭められない。第2の区間は、第1の区間の下流にある。
【0014】
本発明の第9の局面においては、容器の内部に形成される容器内空間に単電池群が収容される。筐体の内部に形成される筐体内空間にモジュール電池及び噴射ノズルが収容される。容器の天面は、鉛直方向上方を向く。噴射ノズルは、天面に沿って膨張ひる石が進行する方向に膨張ひる石を噴射する。流路形成体に形成される輸送流路を経由して膨張ひる石が圧送される。輸送流路は、筐体の外部から噴射ノズルへ至る。流路形成体の第1の分割体及び第2の分割体が連結される。輸送流路の第1の区間は、第1の分割体に形成される。輸送流路の第2の区間は、第2の分割体に分割される。第2の区間の区間断面は、第1の区間の区間断面より狭められない。第2の区間は、第1の区間の下流にある。分割体の連結機構は、第1の分割体の端部及び第2の分割体の端部が当たった状態で第1の分割体及び第2の分割体を連結する。噴射ノズルに噴射孔及びノズル内流路が形成される。ノズル内流路は、輸送流路に通じる。噴射孔は、ノズル内流路に通じる。ノズル内流路の断面積は、輸送流路の断面積より大きい。噴射孔の開口面積は、輸送流路の断面積より小さい。
【0015】
本発明の第10の局面は、本発明の第1から第9までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第10の局面においては、流路の湾曲区間の中心線の曲率半径が湾曲区間の内径の5倍以上10倍以下である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の局面によれば、一方の側から他方の側へ徐々にモジュール電池が膨張ひる石に覆われる。モジュール電池が多量の膨張ひる石で適切に埋設され窒息消火させられる。また、本発明の第1の局面によれば、膨張ひる石が勢いよく噴射される。膨張ひる石が流路に詰まりにくい。
【0017】
本発明の第2の局面によれば、容器の幅方向の中央の近くに到達した膨張ひる石がカゴに捕集される。容器の幅方向の中央において容器の奥側の側面が膨張ひる石で覆われやすくなる。モジュール電池が膨張ひる石で適切に埋設され窒息消火させられる。
【0018】
本発明の第3の局面によれば、容器の幅方向の中央の近くに到達する膨張ひる石が増加する。多くの膨張ひる石がカゴに捕集される。モジュール電池が膨張ひる石で適切に埋設され窒息消火させられる。
【0019】
本発明の第4の局面によれば、膨張ひる石が勢いよく噴射される。膨張ひる石が流路に詰まりにくい。
本発明の第5の局面によれば、ガスの流れが乱れにくくなる。膨張ひる石が天面の上方を効率よく通過する。
【0020】
本発明の第6の局面によれば、扉が開かれた場合に噴射ノズル及び流路形成体の干渉を受けることなくモジュール電池に到達できる。モジュール電池の保全が容易になる。
【0022】
本発明の第7の局面によれば、噴射ノズル及び流路形成体の連結箇所において流路の断面が広がる。膨張ひる石が流路に詰まりにくい。
【0023】
本発明の第8の局面によれば、第1の分割体及び第2の分割体の連結箇所において流路の断面が狭まらない。膨張ひる石が流路に詰まりにくい。
【0024】
本発明の第9の局面によれば、膨張ひる石が勢いよく噴射される。膨張ひる石が流路に詰まりにくい。
本発明の第10の局面によれば、膨張ひる石が流路に詰まりにくい。流路形成体が大きくなりすぎない。
【0025】
これらの及びこれら以外の本発明の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面とともに考慮されたときに下記の本発明の詳細な説明によってより明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】電力貯蔵装置の正面図である。
図2】モジュール電池及びその周辺の構成物の斜視図である。
図3】モジュール電池及びその周辺の構成物の側面図である。
図4】モジュール電池及びその周辺の構成物の上面図である。
図5】モジュール電池の断面図である。
図6】噴射ノズルの斜視図である。
図7】噴射ノズルの断面図である。
図8】複合輸送管の断面図である。
図9】モジュール電池が膨張ひる石に埋設されつつある状態の側面図である。
図10】スライドベースの斜視図である。
図11】輸送流路の断面等の関係を示す模式図である。
図12】噴射ノズル及び複合輸送管の連結構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(概略)
この実施の形態は、消火のための機構を内蔵した電力貯蔵装置に関する。
【0028】
図1の模式図は、電力貯蔵装置の正面図である。図2の模式図は、モジュール電池及びその周辺の構成物の斜視図である。図3の模式図は、モジュール電池及びその周辺の構成物の側面図である。図4の模式図は、モジュール電池及びその周辺の構成物の上面図である。図5の模式図は、モジュール電池の断面図である。図6の模式図は、噴射ノズルの斜視図である。図7の模式図は、噴射ノズルの断面図である。図8の模式図は、複合輸送管の断面図である。
【0029】
図1に示すように、電力貯蔵装置1000は、筐体1020、モジュール電池1021、消火のための機構1022及び筐体内配線1023を備える。電力貯蔵装置1000は、1個又は2個以上のモジュール電池を筐体1020の内部に備え、モジュール電池の数と同じ数の消火のための機構を備える。1個の消火のための機構が1個のモジュール電池に付随する。電力貯蔵装置1000が2個以上のモジュール電池を備える場合は、2個以上のモジュール電池が鉛直方向に配列される場合がある。2個以上のモジュール電池が水平方向に配列されてもよい。2個以上のモジュール電池が垂直方向に配列され、垂直方向に配列された2個以上のモジュール電池がさらに水平方向に配列される場合もある。モジュール電池の数は、電力貯蔵装置1000の仕様に応じて増減される。
【0030】
筐体1020は、筐体本体1040及び両開き扉1041を備える。両開き扉1041は、左側の扉1060及び右側の扉1061を備える。
【0031】
図2から図4までに示すように、消火のための機構1022は、左側の噴射ノズル1080、右側の噴射ノズル1081、左側の複合輸送管1082、右側の複合輸送管1083、カゴ1084、左側の中央誘導板1085、右側の中央誘導板1086及び延焼防止板1087を備える。
【0032】
図5に示すように、モジュール電池1021は、容器1100、ナトリウム−硫黄電池の単電池群1101、容器内配線1102、端子1103、砂1104及びスライドベース1105を備える。単電池群1101に含まれる単電池の数は、モジュール電池1021の仕様に応じて増減される。
【0033】
容器1100は、箱体1120及び蓋体1121を備える。容器1100は、スライドベース1105の上面1520に配設される。
【0034】
図6及び図7に示すように、左側の噴射ノズル1080及び右側の噴射ノズル1081の各々は、噴射ノズル本体1140及び輸送管接続部1141を備える。輸送管接続部1141は、筒1160及び止めねじ1161を備える。左側の噴射ノズル1080及び右側の噴射ノズル1081の構造が異なる場合もある。
【0035】
図8に示すように、左側の複合輸送管1082及び右側の複合輸送管1083の各々は、非湾曲輸送管1220、第1のカップリング1221、湾曲輸送管1222及び第2のカップリング1223を備える。左側の複合輸送管1082及び右側の複合輸送管1083の構造が異なる場合もある。
【0036】
これらの構成物以外の構成物が電力貯蔵装置1000に付加されてもよい。これらの構成物の一部が電力貯蔵装置1000から省略される場合もある。
【0037】
モジュール電池1021は、図1に示される筐体内配線1023を経由して充放電される。モジュール電池1021が充放電される場合は、充放電されるモジュール電池1021に属する単電池群1101が図5に示される容器内配線1102を経由して充放電される。筐体内配線1023及び容器内配線1102は、端子1103を介して電気的に接続される。電力貯蔵装置1000は、望ましくは電力系統に電気的に接続され、電力の需給の調整、停電防止等に用いられる。
【0038】
図8に示すように、左側の複合輸送管1082及び右側の複合輸送管1083の各々には、輸送流路1260が形成される。図1に示すように、モジュール電池1021に火災が発生した場合は、膨張ひる石及び圧送ガスの混合流を供給する機構9000の放出口9001が左側の複合輸送管1082及び右側の複合輸送管1083の供給口1270に接続され、膨張ひる石及び圧送ガスの混合流が輸送流路1260に供給される。
【0039】
輸送流路1260の供給口1270に供給された膨張ひる石は、輸送流路1260を経由して左側の噴射ノズル1080及び右側の噴射ノズル1081まで圧送され、左側の噴射ノズル1080及び右側の噴射ノズル1081により噴射される。左側の噴射ノズル1080及び右側の噴射ノズル1081により噴射された膨張ひる石は、容器1100の天面1280に沿って進行する。
【0040】
左側の噴射ノズル1080及び右側の噴射ノズル1081は、容器1100の奥行き方向Dであって手前側から奥側へ向かう方向に膨張ひる石を噴射する。図9に示すように、モジュール電池1021は、奥側から手前側へ徐々に膨張ひる石1090に埋設され、適切に窒息消火させられる。
【0041】
(膨張ひる石の性質)
膨張ひる石1090は、窒息消火用の消火剤として有用であり、日本国の消防法において第5種消防設備として認められている。膨張ひる石1090は、砂、セラミックス粉末等の粉粒体と異なる性質を持つ。例えば、膨張ひる石1090は、小さな比重を持ち、大きな空隙率を持ち、圧縮性を有する。このため、消火剤が膨張ひる石1090である場合は、モジュール電池1021が損傷しにくく、消火剤の輸送及び噴射に要する動力が小さくなる。一方、消火剤が膨張ひる石1090である場合は、消火剤が流路に詰まりやすい。
【0042】
消火のための機構1022は、膨張ひる石1090を、滞りなく輸送し、滞りなく噴射でき、緊急時に確実に動作する。
【0043】
膨張ひる石1090及び圧送ガスの混合流において膨張ひる石1090が占める比率には、望ましい範囲がある。膨張ひる石1090の比率が大きい場合は、膨張ひる石1090を輸送及び噴射するために必要な圧送ガスが少なくなるが、膨張ひる石1090が流路に詰まりやすくなる。膨張ひる石1090の比率が小さい場合は、膨張ひる石1090が流路に詰まりにくくなるが、膨張ひる石1090を輸送及び噴射するために必要な圧送ガスが多くなる。
【0044】
膨張ひる石1090及び圧送ガスの混合流においては、望ましくは膨張ひる石1090の見かけの体積の10〜20倍の量の圧送ガスが用いられる。これにより、膨張ひる石1090が滞りなく輸送される。圧送ガスの量がこの範囲より減少した場合は、膨張ひる石が輸送流路1260に詰まりやすくなる。圧送ガスの量がこの範囲より増加した場合は、圧送ガスが無駄に消費される。
【0045】
(筐体の収容物)
図1図3及び図4に示すように、筐体1020の内部には、筐体内空間1300が形成される。モジュール電池1021、消火のための機構1022及び筐体内配線1023は、筐体内空間1300に収容される。制御機器、電力機器、空調機器等が筐体内空間1300に収容される場合もある。左側の複合輸送管1082及び右側の複合輸送管1083の供給口1270が筐体1020の外部に飛び出す場合もある。
【0046】
(容器の収容物)
図5に示すように、蓋体1121が箱体1120の開口にかぶせられ、容器1100の内部に容器内空間1320が形成される。単電池群1101、容器内配線1102及び砂1104は、容器内空間1320に収容される。ヒーター、温度センサー等が容器内空間1320に収容される場合もある。
【0047】
(膨張ひる石の流路)
図6及び図7に示すように、噴射ノズル本体1140には、噴射孔1340及びノズル内流路1341が形成される。筒1160には、非湾曲輸送管挿入孔1360が形成される。噴射孔1340は、ノズル内流路1341に通じ、ノズル内流路1341を介して非湾曲輸送管挿入孔1360に通じる。ノズル内流路1341は、非湾曲輸送管挿入孔1360に通じる。ノズル内流路1341は、輸送流路1260に通じる。
【0048】
図8に示すように、輸送流路1260の非湾曲区間1420は、非湾曲輸送管1220に形成される。輸送流路1260の湾曲区間1421は、湾曲輸送管1222に形成される。輸送流路1260は、筐体1020の外部から左側の噴射ノズル1080及び右側の噴射ノズル1081へ至る。供給口1270は、筐体1020の外部に露出する。輸送流路1260は、膨張ひる石1090を圧送可能な構造を持つ。例えば、輸送流路1260の内径、断面形状、曲率半径等は、膨張ひる石1090を圧送可能であるように選択される。
【0049】
輸送流路1260に膨張ひる石1090及び圧送ガスの混合流が供給された場合は、湾曲区間1421及び非湾曲区間1420を順次に経由して膨張ひる石1090が左側の噴射ノズル1080及び右側の噴射ノズル1081まで圧送される。膨張ひる石1090は、ノズル内流路1341を経由して噴射孔1340から噴射される。膨張ひる石1090は、噴射孔1340が向く方向に主に噴射される。
【0050】
(容器の表面)
図2から図4までに示すように、容器1100の天面1280は、奥行き方向D及び幅方向Wに広がり、鉛直方向上方を向く。容器1100の手前側の側面1281及び奥側の側面1282は、高さ方向H及び幅方向Wに広がり、容器1100の奥行き方向Dに離れる。容器1100の手前側の側面1281及び奥側の側面1282の両方又は片方が傾斜してもよい。容器1100の高さ方向Hは鉛直方向であるが、容器1100の奥行き方向D及び幅方向Wは任意に定義される。長い方向が幅方向Wであるとは限らない。膨張ひる石1090が主に噴射される方向が奥行き方向Dであり、噴射された膨張ひる石1090が進行する方向が手前側から奥側へ向かう方向である。
【0051】
(膨張ひる石による中央の埋設)
図2から図4までに示すように、カゴ1084は、容器1100の奥側の側面1282に沿う。カゴ1084は、容器1100の幅方向Wの中央にある。カゴ1084に形成された捕集口1460は、鉛直方向上方を向く。捕集口1460は、容器1100の奥側の側面1282上の容器1100の天面1280寄りの位置に配置され、容器1100の底面よりも容器1100の天面1280に近い。容器1100の奥行き方向Dから見た場合は、カゴ1084の形状は逆三角形である。
【0052】
左側の噴射ノズル1080は、容器1100の幅方向Wの中央より左側にある。右側の噴射ノズル1081は、容器1100の幅方向Wの中央より右側にある。
【0053】
膨張ひる石1090は、左側の噴射ノズル1080及び右側の噴射ノズル1081の正面に主に噴射される。左側の噴射ノズル1080により噴射される膨張ひる石1090は、左側の噴射ノズル1080の正面から離れるにつれて減少する。右側の噴射ノズル1081により噴射される膨張ひる石1090は、右側の噴射ノズル1081の正面から離れるにつれて減少する。容器1100の幅方向Wの中央に到達する膨張ひる石1090は少量である。カゴ1084が容器1100の幅方向Wの中央にある場合は、容器1100の幅方向Wの中央の近くに到達した膨張ひる石1090がカゴ1084に捕集される。これにより、容器1100の幅方向Wの中央において容器1100の奥側の側面1282が膨張ひる石1090で覆われやすくなり、モジュール電池1021が膨張ひる石1090で適切に埋設され窒息消火させられる。ただし、カゴ1084が省略された場合も、消火のための機構1022の有用性は完全には失われない。例えば、容器1100の幅方向Wの中央に噴射ノズルが追加された場合は、カゴ1084が省略されても、モジュール電池1021が膨張ひる石1090で適切に埋設され窒息消火させられる。とはいえ、容器1100の幅方向Wの中央にある噴射ノズルは、両開き扉1041に固定しがたく、モジュール電池1021の保全の障害になりやすい。容器1100の幅が狭い場合は、カゴ1084が省略され、左側の噴射ノズル1080及び右側の噴射ノズル1081に代えて容器1100の幅方向Wの中央にある噴射ノズルのみが設けられてもよい。
【0054】
左側の噴射ノズル1080及び右側の噴射ノズル1081は、望ましくは容器1100の幅方向Wの中央について左右対称に設置される。これにより、容器1100の幅方向Wについてモジュール電池1021が膨張ひる石1090に均一に埋設される。
【0055】
左側の噴射ノズル1080及び右側の噴射ノズル1081は、望ましくは容器1100の手前側の側面1281の近くに設置される。これにより、容器1100の手前側までモジュール電池1021が膨張ひる石1090に均一に埋設される。
【0056】
左側の噴射ノズル1080及び右側の噴射ノズル1081は、望ましくは容器1100の天面1280に接する。
【0057】
(中央への膨張ひる石の誘導)
図2及び図4に示すように、左側の中央誘導板1085の反射面1480は、容器1100の幅方向Wの中央より左側にある。右側の中央誘導板1086の反射面1500は、容器1100の幅方向Wの中央より右側にある。左側の中央誘導板1085の反射面1480及び右側の中央誘導板1086の反射面1500は、容器1100の奥側の側面1282よりもさらに奥側にある。
【0058】
左側の中央誘導板1085の反射面1480は、容器1100の幅方向Wの中央寄りにおいては容器1100の奥行き方向Dであって奥側から手前側へ向かう方向を向き、容器1100の幅方向Wの縁部寄りにおいては手前側に湾曲させられる。左側の噴射ノズル1080により噴射され左側の中央誘導板1085の反射面1480に衝突した膨張ひる石1090は、左側の中央誘導板1085の反射面1480に反射され容器1100の幅方向Wの中央へ誘導される。
【0059】
右側の中央誘導板1086の反射面1500は、容器1100の幅方向Wの中央寄りにおいては容器1100の奥行き方向Dであって奥側から手前側へ向かう方向を向き、容器1100の幅方向Wの縁部寄りにおいては手前側に湾曲させられる。右側の噴射ノズル1081により噴射され右側の中央誘導板1086の反射面1500に衝突した膨張ひる石1090は、右側の中央誘導板1086の反射面1500に反射され容器1100の幅方向Wの中央へ誘導される。
【0060】
これにより、容器1100の幅方向Wの中央の近くに到達する膨張ひる石1090が増加する。カゴ1084に捕集される膨張ひる石1090が増加し、モジュール電池1021が膨張ひる石1090で適切に埋設され窒息消火させられる。
【0061】
左側の中央誘導板1085及び右側の中央誘導板1086は、望ましくは容器1100の天面1280に接する。
【0062】
左側の中央誘導板1085が反射面1480と同様の反射面を有する板とは呼びがたい物体に置き換えられてもよい。右側の中央誘導板1086が反射面1500と同様の反射面を有する板とは呼びがたい物体に置き換えられてもよい。例えば、左側の中央誘導板1085及び右側の中央誘導板1086の両方又は片方がブロック、シート等に置き換えられてもよい。
【0063】
(ガスの流れの安定化)
図2及び図3に示すように、容器1100はスライドベース1105の上面1520に設置される。容器1100及びスライドベース1105は、一体化される。上段のモジュール電池のスライドベース1025の下面1521には、延焼防止板1087が取り付けられる。延焼防止板1087は、耐熱材からなる。
【0064】
延焼防止板1087の下面1540は、平坦面であり、容器1100の天面1280に対向する。これにより、ガスの流れがスライドベース1025に乱されにくくなる。ガスの流れが乱れない場合は、膨張ひる石1090が容器1100の天面1280の上方を効率よく通過する。特に、図10に示すようにガスが流れる奥行き方向Dと垂直な方向に伸びる棒材1550が配列されたスノコ構造を上段のスライドベース1025が有する場合は、ガスの流れが上段のスライドベース1025に乱されやすいので、延焼防止板1087によりガスの流れが著しく安定する。延焼防止板1087の材質が耐熱材以外であってもよい。例えば、延焼防止板1087の材質が金属であってもよい。
【0065】
(噴射ノズル及び複合輸送管の取り付け)
図4に示すように、筐体本体1040の開口1560は、両開き扉1041により開閉される。主に電力貯蔵装置1000が保全される場合に両開き扉1041が開かれる。
【0066】
図3及び図4に示すように、左側の噴射ノズル1080及び左側の複合輸送管1082は、左側の扉1060に取り付けられ、左側の扉1060とともに移動する。右側の噴射ノズル1081及び右側の複合輸送管1083は、右側の扉1061に取り付けられ、右側の扉1061とともに移動する。これにより、両開き扉1041が開かれた場合に左側の噴射ノズル1080、右側の噴射ノズル1081、左側の複合輸送管1082及び右側の複合輸送管1083の干渉を受けることなくモジュール電池1021に到達でき、モジュール電池1021の保全が容易になる。ただし、左側の噴射ノズル1080、右側の噴射ノズル1081、左側の複合輸送管1082及び右側の複合輸送管1083の全部又は一部が両開き扉1041以外に取り付けられた場合も消火のための機構1022の有用性は完全には失われない。
【0067】
両開き扉1041が片開き扉に置き換えられてもよい。両開き扉1041が片開き扉に置き換えられた場合は、望ましくは左側の噴射ノズル1080、右側の噴射ノズル1081、左側の複合輸送管1082及び右側の複合輸送管1083が片開き扉に固定される。
【0068】
(輸送流路の断面、ノズル内流路の断面及び噴射孔の開口の関係)
図11の模式図は、輸送流路の断面、ノズル内流路の断面及び噴射孔の開口の関係を示す。
【0069】
図11に示すように、ノズル内流路1341の断面は、輸送流路1260の断面より広げられる。噴射孔1340の開口は、輸送流路1260の断面より狭められる。ノズル内流路1341の断面積は、輸送流路1260の断面積より大きい。噴射孔1340の開口面積は、輸送流路1260の断面積より小さい。
【0070】
噴射孔1340の開口が輸送流路1260の断面より狭められた場合は、膨張ひる石1090が勢いよく噴射される。しかし、単に噴射孔1340の開口が輸送流路1260の断面より狭められた場合は、膨張ひる石1090が流路に詰まりやすい。特に、膨張ひる石1090及び圧送ガスの混合流において膨張ひる石1090が占める比率が大きい場合は、膨張ひる石1090が流路に詰まりやすい。
【0071】
ノズル内流路1341の断面が輸送流路1260の断面より広げられた場合は、噴射孔1340の開口が輸送流路1260の断面より狭められていても、膨張ひる石1090が流路に詰まりにくい。
【0072】
ただし、上記の関係が満たされない場合も、消火のための機構1022の有用性は完全には失われない。例えば、混合流において膨張ひる石1090が占める比率が小さい場合は、上記の関係が満たされない場合も、膨張ひる石1090が流路に詰まりにくい。ただし、膨張ひる石1090が占める比率が小さい場合は、モジュール電池1021を膨張ひる石1090で埋設するのに要する時間が長くなり、多くの圧送ガスが必要になる。
【0073】
ノズル内流路1341の断面形状及び噴射孔1340の開口形状は、矩形である。ノズル内流路1341の断面形状が矩形以外であってもよい。噴射孔1340の開口形状が矩形以外であってもよい。
【0074】
図7に示すノズル内流路1341の前端部1580及び後端部1582においては、ノズル内流路1341の断面の幅及び高さは一定であり、ノズル内流路1341の断面積は一定である。図7に示すノズル内流路1341の中間部1581においては、ノズル内流路1341の断面の幅は一定であるがノズル内流路1341の断面の高さが後端部1582の側から前端部1580の側へ進むにつれて連続的に低くなり、ノズル内流路1341の断面積が後端部1582の側から前端部1580の側へ進むにつれて連続的に小さくなる。ノズル内流路1341が延在する方向は、後端部1582においては鉛直方向であり、中間部1581においては鉛直方向から水平方向へ90°湾曲し、前端部1580においては水平方向である。中間部1581の内周側の側壁となる中間部内曲り板1584及び中間部1581の外周側の側壁となる中間部外曲り板1585の曲率半径は、望ましくは前端部1580の断面の高さの5倍以上10倍以下である。曲率半径がこの範囲内である場合は、膨張ひる石1090がノズル内流路1341に詰まりにくく、中間部1581が大きくなりすぎない。曲率半径がこの範囲より小さい場合は、膨張ひる石1090がノズル内流路1341に詰まりやすい。曲率半径がこの範囲より大きい場合は、中間部1581が大きくなりする。
【0075】
(噴射ノズル及び複合輸送管の連結)
図12の模式図は、噴射ノズル及び複合輸送管の連結構造の断面図である。
【0076】
図12に示すように、非湾曲輸送管挿入孔1360には、非湾曲輸送管1220が挿入される。非湾曲輸送管1220は、止めねじ1161により固定される。
【0077】
非湾曲輸送管1220が筒1160に形成された非湾曲輸送管挿入孔1360に挿入される場合は、左側の噴射ノズル1080及び左側の複合輸送管1082の連結箇所において流路の断面が広がり、右側の噴射ノズル1081及び右側の複合輸送管1083の連結箇所において流路の断面が広がる。これにより、膨張ひる石1090が流路に詰まりにくくなる。
【0078】
非湾曲輸送管1220が止めねじ1161以外の固定機構により固定されてもよい。例えば、つめ、バンド、テープ、接着剤等により非湾曲輸送管1220が固定されてもよい。非湾曲輸送管1220の外周面及び筒1160の内周面の間隙に充填剤が充填されてもよい。例えば、間隙がシリコンシーラントで充填されてもよい。左側の噴射ノズル1080及び左側の複合輸送管1082が輸送管接続部1141以外の連結機構により連結されてもよい。右側の噴射ノズル1081及び右側の複合輸送管1083が輸送管接続部1141以外の連結機構により連結されてもよい。例えば、左側の噴射ノズル1080及び左側の複合輸送管1082がフランジ対により連結されてもよい。右側の噴射ノズル1081及び右側の複合輸送管1083がフランジ対により連結されてもよい。
【0079】
非湾曲輸送管挿入孔1360の断面形状は、円形である。非湾曲輸送管挿入孔1360の断面形状は、挿入される非湾曲輸送管1220の断面形状に適合すべきである。このため、非湾曲輸送管挿入孔1360の断面形状が円形以外である場合もある。
【0080】
(湾曲輸送管及び非湾曲輸送管の連結構造)
図8に示すように、左側の複合輸送管1082及び右側の複合輸送管1083の各々は、非湾曲輸送管1220及び湾曲輸送管1222の2個の分割体からなる。左側の複合輸送管1082及び右側の複合輸送管1083の両方又は片方が3個以上の分割体から構成されてもよい。左側の複合輸送管1082及び右側の複合輸送管1083の両方又は片方が1個の輸送管に置き換えられてもよい。
【0081】
非湾曲輸送管1220は、湾曲輸送管1222に連結される。非湾曲区間1420は、湾曲区間1421に通じる。非湾曲区間1420は、湾曲区間1421より下流にある。
【0082】
非湾曲輸送管1220及び湾曲輸送管1222は、非湾曲輸送管1220の上流側の端部1660及び湾曲輸送管1222の下流側の端部1650が当たった状態で第1のカップリング1221により連結される。非湾曲輸送管1220及び湾曲輸送管1222が第1のカップリング1221以外の連結機構により結合されてもよい。非湾曲区間1420の断面形状及び湾曲区間1421の断面形状は一致する。非湾曲輸送管1220及び湾曲輸送管1222の連結箇所において流路の断面は広がることも狭まることもない。このため、膨張ひる石1090が流路に詰まりにくい。非湾曲区間1420の断面が湾曲区間1421の断面より広げられ、非湾曲輸送管1220及び湾曲輸送管1222の連結箇所において流路の断面が広がってもよい。
【0083】
(曲率半径)
図8に示すように、湾曲区間1421の中心線1610の曲率半径は、望ましくは湾曲区間1421の内径の5倍以上10倍以下である。曲率半径がこの範囲内である場合は、膨張ひる石1090が流路に詰まりにくく、湾曲輸送管1222が大きくなりすぎない。曲率半径がこの範囲より小さい場合は、膨張ひる石1090が流路に詰まりやすい。曲率半径がこの範囲より大きい場合は、湾曲輸送管1222が大きくなりすぎる。輸送流路1260が2個以上の湾曲区間1421を備える場合は、望ましくは全ての湾曲区間1421が上記の条件を満たす。
【0084】
(膨張ひる石及び圧送ガスを供給する機構の接続の形態)
図8に示すように、湾曲輸送管1222及び放出口9001は、湾曲輸送管1222の上流側の端部1670及び放出口9001の端部9002が当たった状態で第2のカップリング1223により連結される。湾曲輸送管1222及び放出口9001が第2のカップリング1223以外の連結機構により連結されてもよい。湾曲区間1421の断面形状及び放出口9001に形成された流路1422の断面の形状は一致する。湾曲輸送管1222及び放出口9001の連結箇所において流路の断面は広がることも狭まることもない。このため、膨張ひる石1090が流路に詰まりにくい。湾曲区間1421の断面が放出口9001に形成された流路1422の断面より広げられ、湾曲輸送管1222及び放出口9001の連結箇所において流路の断面が広がってもよい。
【0085】
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての局面において例示であって限定的ではない。したがって、本発明の範囲からはずれることなく無数の修正及び変形が案出されうると解される。
【符号の説明】
【0086】
1000 電力貯蔵装置
1020 筐体
1021 モジュール電池
1022 消火のための機構
1080 左側の噴射ノズル
1081 右側の噴射ノズル
1082 左側の複合輸送管
1083 右側の複合輸送管
1084 カゴ
1085 左側の中央誘導板
1086 右側の中央誘導板
1087 延焼防止板
1100 容器
1101 単電池群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12