特許第6087584号(P6087584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6087584表面磁石貼付型回転電機の回転子およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087584
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】表面磁石貼付型回転電機の回転子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/28 20060101AFI20170220BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20170220BHJP
   H02K 1/27 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   H02K1/28 A
   H02K1/22 A
   H02K1/27 501H
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-240376(P2012-240376)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-90628(P2014-90628A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下津 久明
(72)【発明者】
【氏名】山田 豊信
(72)【発明者】
【氏名】浦野 雅春
(72)【発明者】
【氏名】垣内 健男
(72)【発明者】
【氏名】篠田 芳郎
【審査官】 柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−067057(JP,A)
【文献】 特開2001−218403(JP,A)
【文献】 特開昭55−111645(JP,A)
【文献】 特開2008−245414(JP,A)
【文献】 特開2006−304409(JP,A)
【文献】 特開2005−045897(JP,A)
【文献】 特開2010−206939(JP,A)
【文献】 特開平07−283586(JP,A)
【文献】 特開昭63−110944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/22
H02K 1/28
H02K 1/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状に形成され回転軸に固定される回転子主部、及び、回転子主部の筒表面において回転軸の軸周方向に極数分設けられると共に当該回転子主部の筒表面に裏面が貼付された複数の平板永久磁石、をブロック毎の回転子ブロックに備え、平板永久磁石の配設中心を回転軸の軸周方向にブロック毎に段階的にずらして形成された状態で前記回転子ブロックが前記回転軸に複数固定して構成される複数段スキュー型の回転子本体と、
複数の回転子ブロックにそれぞれ回転軸の軸方向片側から装着され、それぞれ、回転軸の軸方向片側に複数の平板永久磁石の側面を押える非磁性円環状の側面押え部を備えると共に、当該側面押え部に連設して構成され複数の平板永久磁石の表面を回転軸の軸中心方向に押える表面押え部を具備した押え板と、を備え
全回転子ブロックのうち少なくとも両端の2つの回転子ブロックに装着される押え板は、これらの押え板の側面押え部が回転軸の軸方向外方から対向して装着されることにより、当該側面押え部とこの側面押え部に連設する表面押え部との連設部が、全回転子ブロックの端部に位置する平板永久磁石の最表側端を被覆することを特徴とする表面磁石貼付型回転電機の回転子。
【請求項2】
表面押え部は、回転軸の軸周方向に沿って平板永久磁石の全表面に密着することを特徴とする請求項1記載の表面磁石貼付型回転電機の回転子。
【請求項3】
複数の回転子ブロックの押え板の表面押え部は、それぞれ、
押え板の円環端部に位置して個々の平板永久磁石毎に分離して当該平板永久磁石の表面に弾性接触するように構成されることを特徴とする請求項1または2記載の表面磁石貼付型回転電機の回転子。
【請求項4】
前記分離して構成された押え板の表面押え部と個々の平板永久磁石の表面との間に介在して構成され、回転子ブロックに貼付された複数の平板永久磁石の表面を渡り円筒状に被覆するシート材を備え、押え板の側面押え部が隣り合う平板永久磁石の側面間を渡って構成されることを特徴とする請求項3記載の表面磁石貼付型回転電機の回転子。
【請求項5】
複数の回転子ブロックにそれぞれ設けられる押え板の表面押え部は、その軸方向の先端が隣接する2つの回転子ブロック間で近接するよう配置され、側面押え部は隣接する2つの回転子ブロックの軸方向外側から対向して装着されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の表面磁石貼付型回転電機の回転子。
【請求項6】
押え板は、回転子主部に貼付された複数の平板永久磁石間にガイドを備えることを特徴とする請求項1または5記載の表面磁石貼付型回転電機の回転子。
【請求項7】
押え板は、SUS316を用いて構成されることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の表面磁石貼付型回転電機の回転子。
【請求項8】
請求項1記載の回転子の製造方法であって、
表面押え部および側面押え部を連設する連設部についてステンレス鋼に絞り加工を用いて加工する工程を備えることを特徴とする表面磁石貼付型回転電機の回転子の製造方法
【請求項9】
請求項1記載の回転子の製造方法であって、
円筒外周面の円周方向に互いに等間隔で離間すると共に回転軸の軸方向に沿って円筒面から円筒径外方に突設したガイドを設けた回転子主部を用意する第1工程と、
側面押え部および当該側面押え部に連設した表面押え部を備えた非磁性円環状の押え板の円環面に回転子主部の側面を接触させると共に表面押え部の内側に回転子主部を配置する第2工程と、
回転子主部の隣接するガイド間に、押え板の設置側面とは反対側面から平板永久磁石を回転子主部の円筒面と押え板の表面押え部との間に嵌合し当該平板永久磁石の側面を側面押え部に当接させる第3工程と、
平板永久磁石に着磁し押え板を回転子主部の片側に装着した回転子ブロックを構成する第4工程と、
回転子主部毎に平板永久磁石の中心を互いにずらした状態で複数の回転子ブロックを回転軸に固着する第5工程と、
を備えることを特徴とする表面磁石貼付型回転電機の回転子の製造方法。
【請求項10】
請求項1記載の回転子と回転子の外周に固定子を備えた回転電機の製造方法であって、
固定子の内方に対し、回転軸に固着した複数の回転子ブロックを当該固定子の脇に配置される軸受により保持して挿入方向となる第1方向に向けて挿入する挿入工程と、
回転子ブロックの平板永久磁石の中心から第1方向に位置する当該平板永久磁石の表側端を連設部により被覆するように回転子ブロックに対し挿入工程の前に予め押え板を装着する装着工程と、
を備えることを特徴とする表面磁石貼付型回転電機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表面磁石貼付型回転電機の回転子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばエレベータの巻上機に用いられる回転電機は、従来IPM(Interior Permanent Magnet)方式が主に用いられている。このIPM方式の回転電機は、内部磁石埋込型回転電機と称され、ロータ(回転子)の内部に永久磁石を埋め込んだ回転電機である。しかしながら、発明者らによりSPM(Surface Permanent Magnet)方式を採用することが検討されている。
【0003】
SPM方式の回転電機は、表面磁石貼付型回転電機と称され、回転子の表面に永久磁石を貼り付けた回転電機を示す。例えば、停電などの緊急時等には、エレベータ巻上機の固定子巻線を短絡することで回転子の回転に応じた制動力を発生させダイナミックブレーキを動作させる。回転子に配設される永久磁石はIPM方式に比較するとSPM方式の方が固定子の内端に近接して配設されるため、ダイナミックブレーキトルクをより大きく生じさせ易くなるという利点がある。
【0004】
従来、SPM方式においては、ロータ外形に沿う永久磁石を必要とするが例えば円弧形状、所謂かまぼこ形状に成型された永久磁石を用いた技術が供されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、IPM方式に用いられる平板状磁石に比較して型が複雑になり使用する磁石粉量も多くなってしまうため平板永久磁石を用いると良い。
【0005】
永久磁石貼付型の回転電機では、回転子は回転子主部の外周面に永久磁石を貼付して製造される。しかし、高速回転時の遠心力、接着剤の劣化等によって吸着力を保証できない場合には、永久磁石の一部が離脱してしまう虞もある。
【0006】
このような技術課題を解消するため、永久磁石を回転子鉄心の周表面に安定して固定する方法が種々提案されている。例えば、プリプレグテープ、熱収縮チューブを外周に巻回する技術が提供されている。また、平板磁石を溝内に接着する技術も提供されている。しかしながら、プリプレグテープ、熱収縮チューブにより被覆する手法を採用すると、年数経過に伴い信頼性を十分に確保できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−78257号公報
【特許文献2】特開2012−125076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
回転子主部の外周に平板永久磁石を長期間安定して固定できるようにして信頼性を十分に確保できるようにした表面磁石貼付型回転電機の回転子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態の表面磁石貼付型回転電機の回転子は、円筒状に形成され回転軸に固定される回転子主部、及び、回転子主部の筒表面において回転軸の軸周方向に極数分設けられると共に当該回転子主部の筒表面に裏面が貼付された複数の平板永久磁石、をブロック毎の回転子ブロックに備え、平板永久磁石の配設中心を回転軸の軸周方向にブロック毎に段階的にずらして形成された状態で前記回転子ブロックが前記回転軸に複数固定して構成される複数段スキュー型の回転子本体を備える。また、複数の回転子ブロックにそれぞれ回転軸の軸方向片側から装着され、それぞれ、回転軸の軸方向片側に複数の平板永久磁石の側面を押える非磁性円環状の側面押え部を備えると共に、当該側面押え部に連設して構成され複数の平板永久磁石の表面を回転軸の軸中心方向に押える表面押え部を具備した押え板を備える。また、全回転子ブロックのうち少なくとも両端の2つの回転子ブロックに装着される押え板は、これらの押え板の側面押え部が回転軸の軸方向外方から対向して装着されることにより、当該側面押え部とこの側面押え部に連設する表面押え部との連設部が、全回転子ブロックの端部に位置する平板永久磁石の最表側端を被覆する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態について回転子の構造を示す斜視図
図2】第1実施形態についてエレベータ用巻上機の構成を概略的に示す断面図
図3】第1実施形態について回転子本体の基本構成を示す斜視図
図4】第1実施形態について1つの回転子ブロックを示す斜視図
図5】第1実施形態について1ブロック分の押え板を示す斜視図
図6】第1実施形態について押え板の装着時の一部を示す拡大斜視図
図7】第1実施形態について示す、複数の回転子ブロックと当該ブロックに装着される押え板の分解斜視図
図8】第1実施形態について回転子の一製造段階を示す斜視図(その1)
図9】第1実施形態について回転子の一製造段階を示す斜視図(その2)
図10】第1実施形態について回転子の一製造段階を示す斜視図(その3)
図11】第1実施形態について回転子の一製造段階を示す斜視図(その4)
図12】第2実施形態について押え板の態様を示す斜視図
図13】第3実施形態について表面押え部と永久磁石との間にシート材を介在した態様を示す回転子ブロックの斜視図
図14】第3実施形態について示す図13の分解斜視図
図15】第3実施形態について示す回転子ブロックの一部拡大図
図16】第4実施形態について押え板の構造を示す斜視図
図17】第5実施形態について示す図2相当図
図18】第5実施形態について示す図7相当図
図19】第6実施形態について絞り成形前の円環板の構造を示す斜視図
図20】第6実施形態について押え板を単体で示す斜視図
図21】第6実施形態について示すトルクの測定結果
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、表面磁石貼付型の回転子を具備する回転電機について、エレベータ巻上機に用いられる電動機に適用した複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する複数の実施形態間では同一又は類似の構成部分には同一又は類似の符号を付し、特に重複する部分の説明を必要に応じて省略し、互いに異なる部分を中心に説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1乃至図11は第1実施形態を示す。図2に示すように、エレベータ用巻上機1は、エレベータのかご(図示せず)の昇降に使用され、電動機(回転電機)2、巻上機用負荷3などを備える。電動機2は永久磁石形同期電動機により構成されインバータ制御される。この電動機2は固定子4と回転子5とを備える。固定子4は、多数の鋼板を積層して構成された固定子鉄心6と、この固定子鉄心6に巻回された巻線7と、を備える。
【0013】
回転子5は、固定子4の内周側に隙間を介して配置された多数の鋼板を備える回転子鉄心(回転子主部に相当)8と、この回転子鉄心8の外周面に併設されその裏面が貼付された永久磁石(平板永久磁石に相当)9と、この回転子鉄心8の中心孔に挿入固定された回転軸10とを主に備える。
【0014】
固定子4は、円筒状の胴部11の内周面に嵌め込み固定され、当該胴部11の両端に軸受ブラケット12、13がそれぞれ配設されている。軸受ブラケット13は胴部11の巻上機用負荷3側に位置し、軸受ブラケット12は胴部11を挟んで軸受ブラケット13の反対側に位置するよう配設されている。
【0015】
軸受ブラケット12、13にはそれぞれ軸受14、15が固定され、これらの軸受14、15に回転子5の回転軸10が支承されている。軸受14、15にはそれぞれベアリングが用いられる。回転軸10の端部10aには巻上機用負荷3としてのシーブが連結される。
【0016】
回転軸10の負荷側の端部10aに連結された巻上機用負荷3の外周には溝16が形成されており、この溝16にはエレベータのかごを吊るすためのロープ17が掛けられる。また、巻上機用負荷3から胴部11を挟んで反対側に配置された軸受ブラケット12には、回転子5に摩擦力によって制動を加えるディスクブレーキ18が取付けられる。
【0017】
このディスクブレーキ18は、内部構成は図示しないが、アマチャが回転軸の反負荷側の端部に固定されたディスクに当接して制動力を加え、電磁石装置が通電されると、アマチャが電磁石装置に吸引されてディスクから離間し、回転軸10が回転可能な状態(制動解除状態)になる。
【0018】
本実施形態のエレベータ用巻上機1は、所謂ギアレス巻上機用であり、例えば回転速度は300[rpm]程度であり、電動機2はその固定子4が36スロットであり回転子5は28極となっている。
【0019】
さて、図3は回転子5の基本構成となる回転子本体19の構成を示す。回転軸10は、回転子鉄心8の軸孔8a(図4参照)に対し回転軸10が圧入、嵌合、又は挿入され回転子鉄心8に固定されている。なお、回転軸10は軸方向に沿って軸中心部を中空に形成しても良い。図3に示すように、回転子本体19は回転子ブロック20を複数ブロック分、回転軸10の軸方向に積層した構造を基本構成としているが、実際には回転子5はこれらの回転子ブロック20の各々に押え板21を装着した構造を備える。
【0020】
図4に1つの回転子ブロック20を斜視図で示す。前述したように回転子鉄心8には軸孔8aが設けられている。この軸孔8aは回転子鉄心8の中心側に形成されている。この軸孔8aは回転軸10が回転したときに回転子ブロック20を当該回転方向に規制するための軸溝8bを含む。
【0021】
この軸溝8bは回転軸10の軸方向に沿って形成され、回転軸10の外周を嵌合するものであり、この軸溝8bが回転軸10の外周面に係合することで回転軸10が回転したときに回転子ブロック20も一体に回転する。また、回転子鉄心8は、その外周面にガイド8cが軸周方向に所定間隔で形成されており、これにより永久磁石9の設置スペースが確保されている。
【0022】
これらのガイド8cは、円筒状の回転子鉄心8の円周方向に互いに等間隔で離間して回転軸10の軸方向に沿って形成されている。このガイド8cは回転子鉄心8の円筒径外方に突設して設けられる。各ガイド8c間の間隔は軸周方向(回転子鉄心8の円周方向)に永久磁石9の幅と同等の間隔であり、ガイド8cの個数は永久磁石9の数と同数であり、そして各ガイド8c間における回転子鉄心8の円筒状外表面に永久磁石9が貼付される。これにより、永久磁石9の両脇下側端にガイド8cを設けることができ、回転軸10の軸周方向に永久磁石9を移動規制できる。
【0023】
永久磁石9として極力強力な磁石を用いるときには、例えばネオジム、鉄、ホウ素などを主成分としネオジムの一部をディスプロシウムで置き換えた耐熱型ネオジム磁石を用いる。例えば近年の希土類元素の高騰の影響を受けて永久磁石の使用量を削減することが望まれている。また、この種の永久磁石9は、通常、磁石粉を圧縮成形後に焼結するため成型時には型を必要とする。本実施形態では、型の製造上の容易さを優先し、永久磁石9は3次元的に平板に形成されている。
【0024】
永久磁石9は接着剤を用いて回転子鉄心8の筒表面に着磁前に仮固定される。本実施形態では、回転軸10の軸周方向両脇に永久磁石9のガイド8cを設けているため、永久磁石9の位置ずれを極力防止して接着剤により容易に仮固定できる。本実施形態では、ガイド8cを設けることで永久磁石9の位置ずれを極力防止できる。
【0025】
また、本実施形態では、永久磁石9は、回転子鉄心8の外周面に28個併設されており、隣接する永久磁石9の磁極が異なるように配置され、これにより28極を構成する。なお、永久磁石9の数すなわち磁極の数は一例であり、これに限定されるものではない。これによりSPM型の回転電機の回転子ブロック20が構成される。
【0026】
図1及び図2に示すように、それぞれの回転子ブロック20の軸方向片側には押え板21が設けられる。また、全ブロック分の回転子ブロック20の軸方向両端には端板22が設けられる。この端板22は、その中央に回転軸10の外径に合わせた孔が成形されている。端板22は、この中央孔に回転軸10が挿通されることにより全ブロックの回転子ブロック20を軸方向両端から挟持できる。
【0027】
図5に1ブロック分の回転子ブロック20と押え板21とを分解斜視図で示す。押え板21は例えばステンレス鋼などを用いた非磁性材料で成形され永久磁石9の離脱を防止するための係止具となる。
【0028】
図5に示すように、押え板21は、中央に回転軸10を挿通するための内孔21gを備える。この内孔21gは円板中央に形成される。押え板21は、概ね円環状に成形されその外周に絞り成形を施すことによってフランジが設けられる。押え板21は、その外周縁に位置して永久磁石9の片側面側を押える側面押え部21aと、円環の径方向外縁部に設けられ永久磁石9の表面を押える表面押え部21bとを備える。
【0029】
側面押え部21aは、円環状平坦面の外周縁に位置して平坦面に成形される部分であり、表面押え部21bはこの側面押え部21aの外周縁に連設される部分となっている。この表面押え部21bは前記円環状平坦面の外縁が絞り成形されることで構成される。
【0030】
押え板21の表面押え部21bは、各永久磁石9の表側端から表面中央に向かう突設片21dにより構成されている。この突設片21dは永久磁石9の表面上に沿って突設され軸方向片側から永久磁石9の片側表面の一部又は表面全部が覆われるように設置される。本実施形態において、この突設片12dは回転軸10の軸周方向に渡り連設されている。
【0031】
図6は押え板21の装着時の一部拡大図を示す。表面押え部21bは、各永久磁石9の表面に接触する領域が平板状になっている。この表面押え部21bは、隣接する永久磁石9間で屈曲し(屈曲部21c参照)、さらに隣接する永久磁石9の表面上においても平板状になっている。
【0032】
この表面押え部21bは、回転子鉄心8の外周面に併設された各永久磁石9の表面に渡って連接する。すなわち、本実施形態では、押え板21は、この表面押え部21bの軸横断面において多角形(本実施形態では28角形)に成形される。
【0033】
回転軸10の軸周方向に併設される永久磁石9は、回転軸10の軸方向には押え板21の側面押え部21aに移動規制されると共に、遠心力がかかる回転軸10の径外方の表面側から押え板21の表面押え部21bにより押えられる。
【0034】
前述したように、各永久磁石9の軸周方向両脇の下側端にはガイド8cが設けられるため、これにより、永久磁石9の表面、回転軸10の軸周方向側面にも移動規制でき、各永久磁石9をそれぞれ固定できる。
【0035】
図1に示すように、これらの回転子ブロック20及び押え板21は、回転軸10の軸方向に複数ブロック分積層されている。全ての回転子ブロック20には、それぞれ永久磁石9がそれぞれの回転子鉄心8の外周面に極数分だけ並べられているが、これらの全ての回転子ブロック20に搭載される永久磁石9の相対的な固定位置は、回転軸10の軸周方向に段階的にずれている。これにより段階的なスキューが形成されている。
【0036】
図7に複数の回転子ブロック20と押え板21との関係を分解斜視図で示し、図2にその断面を示しているが、押え板21の表面押え部21b(突設片21d)はその軸方向の先端21eが隣接する2つの回転子ブロック20間で近接するよう配置されている。
【0037】
また、全ての回転子ブロック20は、その軸方向側面が回転軸10の軸方向に近接してほぼ密着して設置される。したがって、軸方向両端に位置する2つの回転子ブロック20の軸方向両側面だけ外方に露出する。
【0038】
そこで、両端の回転子ブロック20の押え板21は、その円環平板面が当該全回転子ブロック20の軸方向外側面を被覆するように設置されている。すなわち、全ブロックの両端に位置する2つの回転子ブロック20の押え板21の側面押え部21aは当該2つの回転子ブロック20の軸方向外側から対向して永久磁石9を押さえる。
【0039】
これらの対向する2つの回転子ブロック20の押え板21は、側面押え部21aと表面押え部21bとの連設部21fが軸方向両端の回転子ブロック20の永久磁石9の最表側端9aを被覆するように設けられる。
【0040】
製造者は、押え板21を装着した回転子ブロック20を全て回転軸10に挿入した後、この構成部品を固定子4の内側に配置させるが、固定子4の内端と永久磁石9の表面との距離を近接させるため、当該固定子4の内端と永久磁石9の表面との距離は極力近接させることが望ましい。
【0041】
製造者は、回転子5を固定子4の内側に配置させるため、回転軸10の軸方向に沿って回転子5を固定子4の内側に挿入する。このとき治具(後述の挿入スライド台23参照)を用いて回転子5を挿入するものの、挿入するときには軸受14及び15に設置するため軸が僅かにずれることがあり、回転子本体19の自重等の影響により、永久磁石9が他の箇所(例えば固定子4の内端など)と接触し割れてしまう虞がある。
【0042】
そこで、各押え板21が全回転子ブロック20の両端の軸方向外側面を被覆すると共に、全永久磁石9の表面を被覆するよう設けられている。すると、回転子5の自重の影響により固定子4の内端と接触したとしても、固定子4の内端が永久磁石9に接触することを防止でき当該永久磁石9を外傷から保護できる。
【0043】
回転子5の製造方法を説明する。まず、図8に示すように、回転子鉄心8をブロック毎に鋼板により成形する。このとき、回転子鉄心8の中央に軸孔8aを軸溝8bと共に設け、回転子鉄心8の外周面に極数分だけガイド8cを設けそれらのガイド8c間を平坦面に成形する。これにより、平坦面の軸周方向両脇にガイド8cを形成できる。
【0044】
次に、隣接するガイド8c間に永久磁石9を仮貼付する。仮貼付時には接着剤などを用いると良い。この永久磁石9は後に着磁される。すると、図4に示す回転子ブロック20を製造できる。
【0045】
次に、非磁性円環平板を打ち抜き、当該円環平板の外周縁を絞り成形することで表面押え部21b、連設部21f、側面押え部21aを加工する。次に、回転子ブロック20の軸方向側面の片側外周から押え板21を嵌合する(図5及び図6参照)。このとき、永久磁石9の軸方向片側面を押え板21の側面押え部21aで押圧できると共に、永久磁石9の表面を押え板21の表面押え部21bで押圧できる。
【0046】
なお、これらの永久磁石9の貼付工程と押え板21の装着工程は入れ替えても良い。この場合、図9に示すように、押え板21の円環平板面上に回転子鉄心8の側面を載置した後、押え板21と回転子鉄心8の間に永久磁石9を嵌込む。
【0047】
このとき、押え板21と中心軸を合わせて回転子鉄心8を載置すると、押え板21の円環平板面の設置側とは反対側の回転子鉄心8の側面側に位置して、永久磁石9を嵌込むための開口を設けることができる。
【0048】
すると、回転子鉄心8の外面(平坦面)と押え板21の内面(表面押え部21b相当)との間に永久磁石9を嵌込むことができる。永久磁石9を嵌込むときには、回転子鉄心8の側面側の開口から永久磁石9をガイド8cに沿って嵌込むこことで、永久磁石9を押え板21の側面押え部21aに当接させるようにすると良い。この方法を採用すると永久磁石9を組付けし易い。
【0049】
このような工程を採用すると、永久磁石9を嵌込んだ後、例えば工程変更に伴い製造場所を移動させるため回転子鉄心8及び押え板21を持ち運ぶときには、押え板21の円環平板面を下にすることで、永久磁石9の自重により円環平板面上(側面押え部21a上)に永久磁石9を保持できる。したがって、たとえ永久磁石9を接着剤などで仮固定しなくても、永久磁石9を安定して保持でき仮固定作業を不要にできる。その後、永久磁石9を着磁すると良い。
【0050】
次に、片側の円環状の端板22(図2の断面図参照)を回転軸10に挿入し、図10に示すように、押え板21を装着した回転子ブロック20を回転軸10に挿入する。このとき、回転子鉄心8の軸溝8bを回転軸10に嵌合し軸周方向に位置ずれしないよう固定する。これらの回転子ブロック20の嵌合処理を全ブロック分繰り返す。なお、回転子ブロック20の側面が隣接する回転子ブロック20の側面に順次密着するため、各回転子ブロック20の押え板21は、互いに押え付けられることで固定される。
【0051】
これらの工程を全ブロック分繰り返した後、他側の円環状の端板22を回転軸10に挿入することで、回転軸10の軸方向両外側から2つの端板22により挟持する。これにより図1に示す構造を製造でき、全ての回転子ブロック20及び押え板21を回転軸10の軸方向に動じないように固定できる。このようにして回転子5は製造される。
【0052】
その後、回転子5を固定子4の内側に挿入する。このとき図11に示す挿入スライド台23を用いて固定子4の内側に回転子5を挿入する。挿入スライド台23は、回転軸10の例えば軸端10bを支持する支持部24と、回転軸10の軸方向に沿って支持部24をリニアにスライドさせるスライド部25とを備える。スライド部25は、外部固定された複数の支持台26の上面を回転軸10の軸方向に摺動可能になっている。
【0053】
固定子4は、回転子5の筒外方を覆うように配置されるため、挿入スライド台23の支持部24は回転軸10の軸方向両端を支持するように配置される。回転子5はその全体重量が例えば百kg〜二百kg程度となるため、回転子5は自重で撓む虞があり、回転子5を固定子4の内側に挿入するときには注意を要する。
【0054】
ここで万が一、回転子本体19が固定子4に衝突しても良いように、回転子本体19の両端に位置する回転子ブロック20の最外側面を被覆するよう押え板21を設けている。したがって、押え板21を用いて永久磁石9を外傷から保護できる。なお、エレベータ用巻上機1を構成する他の構成(例えばディスクブレーキ18等)は従来構成と同様であるためその説明を省略する。
【0055】
このような固定子4および回転子5を備えたエレベータ用巻上機1は、図示しない駆動回路から駆動信号が各相の巻線7に供給される。すると、回転力が回転子5に働くことで回転子5が回転し、回転軸10に連設された巻上機用負荷3(シーブ)に動力が伝達される。
【0056】
すると、ロープ17を動作させることでエレベータのかごを上下動させることができる。このとき、図2に示すように、固定子4と回転子5の永久磁石9とを近接させることができるため、例えば、停電などの緊急時等には、ダイナミックブレーキトルクを大きく生じさせ易くなる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、各回転子ブロック20にそれぞれ軸方向片側から押え板21を設置して永久磁石9の表面を押えているため、回転子5に遠心力が加わったとしても永久磁石9の離脱を防止できる。
【0058】
例えば、回転軸10の軸方向の回転子鉄心8の積層厚を薄くすると、磁石、鉄心材の量、及びコイル長も削減でき経済性を向上できるが性能的にはトルクリップルが増加する。すると、固定子4のスロット数と回転子5の磁極数を増加したり回転子5に多段スキューをかけたりすることでトルクリップルを抑制することが望まれる。回転子5の極数とスキュー段数を増加すると永久磁石9の個数も増加する。本実施形態によれば、回転子ブロック20毎に押え板21を設けているため、磁極数を増加したりスキューを多段にしたりして永久磁石9の個数が増したとしても、これらの全ての永久磁石9の離脱を防止できる。
【0059】
エレベータ用巻上機1に表面磁石貼付型の回転子5を用いることができるためダイナミックブレーキトルクを増加できる。本実施形態におけるギアレスタイプのエレベータの巻上機1は、36スロット、28極、6段スキュー、回転速度を300[rpm]のものを用いているが、従来のIPM方式(埋込磁石内蔵型)の回転電機を適用した場合と比較すると、軸方向長さ及び磁石量を30%以上削減できることが確認されている。設置スペース、特に軸方向の長さを短縮でき、小型化の要望を満たすことができる。
【0060】
(第2実施形態)
図12は、第2実施形態を示すものであり、前述実施形態と異なるところは、押え板の表面押え部が円環端部(周縁部)に位置して個々の平板永久磁石毎に分離して当該平板永久磁石の表面に弾性接触して構成されているところにある。
【0061】
図12に示すように、押え板27は、例えばステンレス鋼が概ね円環状に成型されており、その円環外周縁から径外方に放射状に突出した部分片27d(突設片21d相当)を一体に設け当該部分片27dが円環平坦面に対して例えばほぼ直角(僅かに90度未満)に屈曲されることにより形成される。
【0062】
本実施形態の構成を採用すると、この屈曲角度は各部分片27d毎に調整可能となり、各部分片27dはそれぞれ弾性変形可能となる。これらの部分片27dは軸周方向に互いに等間隔のスペースを設けて極数分(1つの回転子ブロック20の永久磁石9の周方向設置個数分)設けられ、各部分片27dは表面押え部相当となる。
【0063】
これらの部分片27dは所謂バネ性を備えるもので、個々の永久磁石9の表面上に弾性接触するよう設置される。すると、それぞれの部分片27dが個々の永久磁石9の表面上を自由に押えることになる。個々の部分片27dは永久磁石9の表面から裏面方向にそれぞれ押圧するため、前述実施形態の構成に比較すると、それぞれの部分片27dにより個々の永久磁石9を確実に押えることができる。
【0064】
このような本実施形態においても前述実施形態と同様に永久磁石9を固定できるが、特に永久磁石9の表面を個別にしかも確実に押えることができる。
(第3実施形態)
図13乃至図15は第3実施形態を示す。この第3実施形態が前述実施形態と異なるところは、押え板の表面押え部が円環端部に位置して個々の平板永久磁石毎に分離して構成されているところにある。また、シート材が、分離して構成された押え板の表面押え部と個々の平板永久磁石の表面との間に介在して構成されているところにある。さらに、シート材が回転子ブロックに貼付された複数の平板永久磁石の表面を渡り円筒状に被覆するように構成されているところにある。また各永久磁石の側面押え部が当該永久磁石の側面間を渡っているところにある。
【0065】
図13に示すように、シート材28が前述実施形態の部分片27dの内側と永久磁石9の表面との間に介在して設けられる。このシート材28は例えばPET又はマイカなどの材料を用いて構成され、図14に分解斜視図を示すように、シート材28がほぼ円筒状に成型されると共に、個々の永久磁石9の表面及びその表面間を渡って設けられる。
【0066】
図15に一部拡大図を示すように、永久磁石9の表面は押え板27の部分片27dの内側により押えられるが、シート材28を設けなければ部分片27dの内側面から永久磁石9の表面の角部9bが露出する。永久磁石9の角部9bが露出すると角部9bが欠けやすい。そのため、永久磁石9と部分片27dとの間に介在するシート材28は、永久磁石9の角部9bを覆うように設けられているため永久磁石9の角部9bを保護できる。
【0067】
各永久磁石9の側面間には押え板27の側面押え部27aが渡っている。この側面押え部27aの渡り領域27cは、複数の回転子ブロック20にそれぞれ設けられる。このため、例えば図2に概略断面を示すように、側面押え部27aの渡り領域27cが例えば2ブロック毎に対向すると、各永久磁石9間の離間スペースは当該2ブロック毎に隔離される。すると、万が一、永久磁石9の角部9bが欠けて飛散したとしても隣り合う永久磁石9間の隔離スペース内に収容されることになり当該切欠片がその他の機能部分に悪影響を及ぼす虞を極力抑制できる。
【0068】
なお、後述の第5実施形態では、側面押え部27aの渡り領域27cが1ブロック毎に対向するため隔離スペースも本実施形態より縮小される。このため切欠片による悪影響がさらに軽減される。
【0069】
(第4実施形態)
図16は、本発明の第4実施形態を示すものであり、前述実施形態と異なるところは、押え板が複数の平板永久磁石間にガイドを備えているところにある。図16に示すように押え板29は例えば熱可塑性樹脂により成型される。押え板29を樹脂で成型すれば渦電流損をなくすことができる。
【0070】
この押え板29はほぼ円環状に成型され当該円環の外周縁に位置して軸方向に円筒状に屈曲して成型されている。この円筒部29bが表面押え部を構成する。
また押え板29は、円筒状に屈曲した円筒部29bの内側に対し軸径内方に突出したガイド29cを備える。このガイド29cは回転軸10の軸周方向に各永久磁石9の幅だけ離間して複数設けられ、それぞれ軸方向に沿って円筒部29bに一体成型される。
【0071】
したがって、この押え板29が回転子ブロック20に装着されると、ガイド29cが各永久磁石9の表側部間に嵌合する。本実施形態によれば、ガイド29cが押え板29に一体に設けられているため、回転子鉄心8のガイド8cと共に永久磁石9を軸周方向に移動規制できる。
【0072】
(第5実施形態)
図17及び図18は、第5実施形態を示すものであり、前述実施形態と異なるところは、回転子の外周に設置された固定子の内側に回転子を装着するときの回転軸の軸方向に沿う装着方向を第1方向とすると共にその逆方向を第2方向とし、押え板の連設部が、各平板永久磁石の中心から第1方向に位置する当該平板永久磁石の表側端を被覆し、表面押え部が当該連設部から第2方向に沿って延伸しているところにある。
【0073】
図17図2相当の模式的断面図を示し、図18図7相当の分解斜視図を示す。本実施形態においても同様であるが、図17に示すように各回転子ブロック20にはそれぞれ押え板21が設置されている。図17および図18に示すように、これらの押え板21は、回転子5の装着方向(第1方向)の側面側に円環状の板面を備え、この板面周縁が永久磁石9の側面押え部21aになっている。
【0074】
側面押え部21aと表面押え部21bとの連設部21fは、永久磁石9の表側端を被覆する。したがって、回転子5が、挿入スライド台23を使用して固定子4の内側に設置されるときには、押え板21の円環状板面が先に固定子4の内側に挿入される。
【0075】
したがって、回転子5が自重により撓み、回転子本体19が固定子4に接触する虞があったとしても、押え板21が先に固定子4の内側に挿入されるため、固定子4に永久磁石9が直接接触することを防止できる。これにより、前述実施形態とほぼ同様の作用効果を奏すると共に、永久磁石9の欠損、脱落を防止できる。
【0076】
(第6実施形態)
図19及び図20は第6実施形態を示しており、特徴点は押え板の比透磁率μrにある。押え板21は絞り加工により成型されるが、この押え板21はその材料としてステンレス鋼(例えばSUS304(μr=1.1〜1.15)、SUS316(μr=1.0〜1.03)等)が用いられる。
【0077】
図19は押え板の絞り成形前の円環板30を示し、図20は絞り成形加工後の押え板21を示す。
円環板30を絞り加工すると比透磁率μrが高くなる。発明者らは、アステック株式会社製ポータブル型低透磁率計(μメータ)を用いて比透磁率μrを測定した。例えば、絞り加工前のSUS304のブランク材(円環板30)はμr=1.1〜1.15程度であり、これを絞り加工した後には、当該加工面に近接したストレート面でμr=1.5〜1.7、絞り加工のR面でμr=2.0〜2.5と得られた。
【0078】
この点でSUS316を用いて絞り加工すると、前記と同様の部分でμr=1.0〜1.03と得られた。押え板21の比透磁率μrが高くなれば非磁性特性とは言えず、永久磁石9の特性を生かしきれず回転子5の特性が劣るものとなる。
【0079】
図21は、これらのSUS304、SUS316等のステンレス鋼を用いて押え板21を構成し、この押え板21を回転子ブロック20に設置してトルクを測定した結果を示す。この図21において、縦軸は、押え板21を設けずに回転子5を構成した場合を100[%]としたときのトルク影響率[%]を示し、横軸は比透磁率を示す。
【0080】
図21中、特性Aaは最大トルク特性[%]を示し、特性Abはダイナミックブレーキトルク特性[%]を示す。この図21を参酌すれば、最大トルク特性、ダイナミックブレーキトルク特性共に、押え板21を設けることでトルクへの影響率が大きくなり、特に比透磁率μrが大きくなればなるほどトルク影響率が大きくなることがわかる。
【0081】
トルク影響率を小さくするには、押え板21の比透磁率μrを抑制することが望ましい。発明者らによれば、SUS316を絞り加工して押え板21を形成することで例えば比透磁率μrを1.15以下に抑制できることが確認されているため、SUS316を用いることが望ましい。特に押え板21の比透磁率μrを1.15以下又は未満にすることで最大トルクやダイナミックブレーキトルクの変動率を1%以内に抑制できるようになり、回転子5の特性を良好にできる。
【0082】
「非磁性円環状」の押え板としては比透磁率μrがログスケールで1に近接する数値を有する材質のものを指す。エレベータの巻上機1に適用した例を示したが、その他の数百回転の回転数程度で用いられる産業機器に適用できる。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
図面中、1はエレベータ用巻上機、2は電動機、5は回転子(表面磁石貼付型回転電機の回転子)、8は回転子鉄心(回転子主部)、8cはガイド、9は永久磁石(平板永久磁石)、9aは最表側端、10は回転軸、19は回転子本体、20は回転子ブロック、21は押え板、21aは側面押え部、21bは表面押え部、21fは連設部、27は押え板、27aは側面押え部、27bは表面押え部、28はシート材、を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21