【実施例】
【0017】
図1は本発明の一実施例を示すリニアスケールにおけるスライダ基板のパターン説明図、
図2Aは同じく第3層の配線接続パターンの説明図、
図2Bは同じく第2層の配線接続パターンの説明図、
図2Cは同じく第1層の配線接続パターンの説明図、
図3はスライダ基板の生成方法を示すフローチャートである。
【0018】
図1に示すように、リニアスケールのスライダ部におけるスライダ基板10には、コ字状の多数(例えば48個)のコイルパターン11とこれらの各コイルパターン11間を接続する多数(例えば24個)の接続配線パターン12a〜12eとからなるSINパターンとコ字状の多数(例えば48個)のコイルパターン13とこれらの各コイルパターン13間を接続する多数(例えば24個)の接続配線パターン14a〜14eとからなるCOSパターンとの2系統が配置される。
【0019】
そして、これらのコイルパターン11,13及び接続配線パターン12a〜12e,14a〜14eはプリント基板で作成され、その内の接続配線パターン12a〜12e,14a〜14eは複数層(図示例では、第1層から第4層)に亘って配置される。
【0020】
具体的には、前記スライダ基板10の表面となる第4層にSINパターンとCOSパターンのコイルパターン11,13と、これらのコイルパターン11,13の上方に位置して、電流が一方方向(
図1中左から右方向)に流れるSINパターンの接続配線パターン12a〜12cが配置される。次に、第3層に電流が他方方向(
図2A中右から左方向)に流れるSINパターンの接続配線パターン12d,12eのみが配置される。次に、第2層に電流が一方方向(
図2B中左から右方向)に流れるCOSパターンの接続配線パターン14a〜14cのみ配置される。最後に、第1層に電流が他方方向(
図2C中右から左方向)に流れるCOSパターンの接続配線パターン14d,14eのみが配置される。
【0021】
また、前記SINパターンとCOSパターンのコイルパターン11,13と第1層から第4層に亘って配置されたSINパターンとCOSパターンの接続配線パターン14d,14e,14a〜14c,12d,12e,12a〜12cとは、スライダ基板10をその厚み方向に貫通するスルーホール18a〜18d,17a〜17f,16a〜16d,15a〜15f(
図3参照)を介して接続される。
【0022】
即ち、SINパターンにおける接続配線パターン12aはスルーホール15aと15bに、接続配線パターン12bはスルーホール15cと15dに、接続配線パターン12cはスルーホール15eと15fに、接続配線パターン12dはスルーホール16aと16bに、接続配線パターン12eはスルーホール16cと16dにそれぞれ接続され、COSパターンにおける接続配線パターン14aはスルーホール17aと17bに、接続配線パターン14bはスルーホール17cと17dに、接続配線パターン14cはスルーホール17eと17fに、接続配線パターン14dはスルーホール18aと18bに、接続配線パターン14eはスルーホール18cと18dにそれぞれ接続される。
【0023】
また、前記第1層から第4層に亘って配置されたSINパターンとCOSパターンの接続配線パターン14d,14e,14a〜14c,12d,12e,12a〜12cは、各層でスライダ基板10の厚み方向にオーバーラップして配置される。
【0024】
また、前記第1層から第4層に亘って配置されたSINパターンとCOSパターンの接続配線パターン14d,14e,14a〜14c,12d,12e,12a〜12cのパターン幅WaはSINパターンとCOSパターンのコイルパターン11,13のパターン幅Wbの3倍〜5倍程度に設定される。
【0025】
尚、このように構成されたスライダ基板10は、
図3に示すようなプリント基板の一般的な生成方法で製造できる。
【0026】
即ち、ステップP1で各層それぞれ別々にパターンを生成する。この際、第一層の接続配線パターン14d,14eは絶縁素材10aの裏面に貼り付けられ、第2層の接続配線パターン14a〜14Cは絶縁素材10bの裏面に、また第3層の接続配線パターン12e,12dは絶縁素材10bの表面に貼り付けられ、第4層のコイルパターン11,13と接続配線パターン12a〜12cは絶縁素材10cの表面に貼りつけられる。
【0027】
次に、ステップP2で各層をズレなき様にプレスして貼り合わせた後、ステップP3で各層のパターンを接続するためにドリル等でスルーホール15a〜15f,16a〜16d,17a〜17f,18a〜18dをあける。
【0028】
最後に、ステップP4でめっき槽にてスルーホール内を蒸着にて各層パターンを接続(導通部20参照)すれば、スライダ基板10が完成する。
【0029】
スライダ基板10はこのように構成されるため、図示しない電源よりSINパターンとCOSパターンのコイルパターン11,13と第1層から第4層に亘って配置されたSINパターンとCOSパターンの接続配線パターン14d,14e,14a〜14c,12d,12e,12a〜12cに交流電流を流すと、ある瞬間において図中矢印方向に電流が流れる。
【0030】
これにより、図示しないスケール部におけるコイルパターンに電磁誘導作用で電圧が発生する。そして、スライダ部とスケール部の位置が変化すると、発生する電圧が変化するので、この変化した電圧をとらえて、位置を検出するのである。
【0031】
そして、本実施例では、スライダ部等のコイルパターン11,13と接続配線パターン12a〜12e,14a〜14eをプリント基板で作成したので、製造時の作業工数(焼き付け、エッチング、配線等)の大幅な削減によるコストダウンと量産が可能となると共にコイルパターン間の接続に撚り配線を用いることによる配線の盛り上がりも無くすことができる。
【0032】
また、接続配線パターン12a〜12e,14a〜14eは第1層から第4層に亘ってスライダ基板10の厚み方向にオーバーラップして配置されるので、接続配線パターン12a〜12e,14a〜14eにおける信号干渉が互いに打ち消され検出精度も上げられる。
【0033】
また、2系統における接続配線パターン12a〜12e,14a〜14eのパターン幅Waをコイルパターン11,13のパターン幅Wbの3倍以上に太くしたので、各接続配線パターン12a〜12e,14a〜14eの抵抗値の製造誤差を少なくすることができ、検出精度を上げられる。
【0034】
また、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各種パターンの数及び層数の変更や系統数の増減等各種変更が可能であることは言うまでもない。また、本発明はリニアスケールのスライダ基板に適用したが、ロータリスケールのステータ基板にも適用できる。