特許第6087614号(P6087614)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087614
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】コーヒー抽出器
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20170220BHJP
   A47J 31/18 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   A47J31/06 300
   A47J31/18
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-275961(P2012-275961)
(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-117515(P2014-117515A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237167
【氏名又は名称】富士フィルター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100084320
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 重光
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(72)【発明者】
【氏名】高梨 愛美
(72)【発明者】
【氏名】汐見 千佳
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−525056(JP,A)
【文献】 特開平11−244151(JP,A)
【文献】 特表2003−510100(JP,A)
【文献】 特開昭58−015823(JP,A)
【文献】 特表2007−516786(JP,A)
【文献】 特開2011−206526(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0154645(US,A1)
【文献】 米国特許第06324966(US,B1)
【文献】 英国特許出願公開第02104400(GB,A)
【文献】 特表2004−514473(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0011205(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0109689(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3010582(JP,U)
【文献】 特開2010−063510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/06
A47J 31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー粉と湯を容器に入れてコーヒー液を抽出するコーヒー抽出器であって、
上部が開口してコーヒー粉と湯の混合物を収容する容器と、
前記容器の上部開口部から挿入されて下部まで押し下げられるプランジャと、
前記プランジャの棒状部材の下端部に取り付けられ、金属製で網目状の濾過材から成る濾過層と金属製で網目状の部材から成る少なくとも1層の補強層とを組み合わせて成り、前記濾過層がコーヒー粉を分離可能な細かいメッシュを有し、前記補強層は濾過層よりも粗いメッシュを有すると共に複数層から成り各層のメッシュの粗さが異なり、且つ前記濾過層に近い位置のものから離れた位置のものに向けて順次メッシュが粗くなり、前記濾過層及び補強層を焼結して一体化されており、前記コーヒー粉と湯の混合物を濾過してコーヒー液を抽出するフィルターと、
前記フィルターの外周縁に取り付けられ、前記容器の内周面とフィルターの外周縁との間の漏れ止めを行うシール部材と、
を備えて成ることを特徴とするコーヒー抽出器。
【請求項2】
前記フィルターは、前記プランジャの棒状部材の下端部に取り外し可能に取り付けられることを特徴とする請求項に記載のコーヒー抽出器。
【請求項3】
前記プランジャへのフィルターの取付けは、前記プランジャの棒状部材の軸方向に対して濾過層が下方に位置し、補強層が上方に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載のコーヒー抽出器。
【請求項4】
前記プランジャの棒状部材には、前記容器の上部開口部を覆う蓋が前記棒状部材の軸方向に移動可能に取り付けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーヒー抽出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー粉と湯を容器に入れて、いわゆるコーヒープレス(フレンチプレス)方式によりコーヒー液を抽出するコーヒー抽出器に関し、詳しくは、コーヒー液を抽出するフィルターの構造を簡単として清掃を容易とし、コーヒー液の濾過面積を減殺することなく濾過効率を向上することができると共に、コーヒー液の粉っぽさを解消することができるコーヒー抽出器に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコーヒープレス方式のコーヒー抽出器は、一定量の挽いたコーヒー豆を熱湯と共に容器に入れ、所定の時間だけ待つか熱湯を攪拌するなどしてコーヒー液が所望の量だけ抽出されたら、上に凹の形状を有するフィルタースクリーンを備えた押圧濾過アセンブリを容器の底部まで押し下げ、コーヒー粉を押圧濾過アセンブリと容器の底部との間に閉じ込め、抽出されたコーヒー液をカップに移して飲むようになっていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、この種の他のコーヒー抽出器としては、コーヒー粉からコーヒー液が抽出される容器と、前記容器に挿入可能であり、且つ上方に引き上げられることにより前記抽出されたコーヒー液をろ過するプランジャーとを備え、前記プランジャーは、前記コーヒー粉が入れられるかす受けと、前記かす受けの下方に設けられ上に凹の形状を有するフィルターとを備えて成っていた(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−516786号公報(特に図1図2
【特許文献2】特開2011−206526号公報(特に図3図6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載の従来のコーヒー抽出器においては、フィルタースクリーンのメッシュがコーヒー粉の粒子に対して十分に細かくないことから、抽出したコーヒー液にコーヒー粉が混入することがあった。また、コーヒー液を抽出する際は上に凹の形状のフィルタースクリーンを下方に押し下げるため、コーヒー粉を含んだ逃げ場のない液によりがフィルタースクリーンと容器の壁との間を拡げる方向に圧力が働き、コーヒー粉を含む液の一部がここから漏れ出してコーヒー液に混じるため、結果として粉っぽいコーヒーができてしまうことがあった。
【0006】
これに対して、特許文献2記載の他のコーヒー抽出器においては、コーヒー粉からコーヒー液が抽出される容器内で、コーヒー液を濾過するプランジャーを容器底部から上方に引き上げることにより、液の圧力を凹形状のフィルターと容器の壁との間を密着させる方向に働かせ、コーヒー粉を含んだコーヒー液がフィルターと容器との間から漏れ出すことを防止すると共に、コーヒー粉をコーヒーかす受けに捉えながら濾過を行うので、コーヒー粉を殆ど含まないコーヒー液を抽出することができる。しかしながら、コーヒー液を濾過するプランジャーが、フィルターベースと、凹形状のフィルターと、フィルター押えと、コーヒーかす受けと、更に必要に応じてメッシュが細かい他のフィルターとを備えており、部品点数が多くなるものであった。このように、部品点数が多いことから、プランジャーの構造が複雑になると共に、フィルター部分の清掃及び組立作業が複雑、困難となることがあった。また、凹形状のフィルターの上下面に、フィルターベースとフィルター押えとが配置されて、前記フィルターベース及びフィルター押えの切り欠き開口部以外の部材面でフィルター面が塞がれるので、コーヒー液の濾過面積が減殺されて濾過効率が低下することがあった。
【0007】
そこで、このような問題点に対処し、本発明が解決しようとする課題は、コーヒー液を抽出するフィルターの構造を簡単として清掃を容易とし、コーヒー液の濾過面積を減殺することなく濾過効率を向上することができると共に、コーヒー液の粉っぽさを解消することができるコーヒー抽出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明によるコーヒー抽出器は、コーヒー粉と湯を容器に入れてコーヒー液を抽出するコーヒー抽出器であって、上部が開口してコーヒー粉と湯の混合物を収容する容器と、前記容器の上部開口部から挿入されて下部まで押し下げられるプランジャと、前記プランジャの棒状部材の下端部に取り付けられ、金属製で網目状の濾過材から成る濾過層と金属製で網目状の部材から成る少なくとも1層の補強層とを組み合わせて成り、前記濾過層がコーヒー粉を分離可能な細かいメッシュを有し、前記補強層は濾過層よりも粗いメッシュを有すると共に複数層から成り各層のメッシュの粗さが異なり、且つ前記濾過層に近い位置のものから離れた位置のものに向けて順次メッシュが粗くなり、前記濾過層及び補強層を焼結して一体化されており、前記コーヒー粉と湯の混合物を濾過してコーヒー液を抽出するフィルターと、前記フィルターの外周縁に取り付けられ、前記容器の内周面とフィルターの外周縁との間の漏れ止めを行うシール部材と、を備えて成るものである。
【0013】
さらに、前記フィルターは、前記プランジャの棒状部材の下端部に取り外し可能に取り付けられるものとしてもよい。
【0014】
さらにまた、前記プランジャへのフィルターの取付けは、前記プランジャの棒状部材の軸方向に対して濾過層が下方に位置し、補強層が上方に位置するものとしてもよい。
【0015】
また、前記プランジャの棒状部材には、前記容器の上部開口部を覆う蓋が前記棒状部材の軸方向に移動可能に取り付けられるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるコーヒー抽出器によれば、上部が開口された容器にコーヒー粉と湯の混合物を収容し、前記容器の上部開口部から挿入されたプランジャを下部まで押し下げ、前記プランジャの棒状部材の下端部に取り付けられ、金属製で網目状の濾過材から成る濾過層と金属製で網目状の部材から成る少なくとも1層の補強層とを組み合わせて成り、前記濾過層がコーヒー粉を分離可能な細かいメッシュを有し、前記補強層は濾過層よりも粗いメッシュを有すると共に複数層から成り各層のメッシュの粗さが異なり、且つ前記濾過層に近い位置のものから離れた位置のものに向けて順次メッシュが粗くなり、前記濾過層及び補強層を焼結して一体化されているフィルターにより、前記コーヒー粉と湯の混合物を濾過してコーヒー液を抽出することができる。このとき、前記フィルターの外周縁に取り付けられたシール部材により、前記容器の内周面とフィルターの外周縁との間の漏れ止めを行うことができる。
そして、本発明では、前記フィルターは、金属製で網目状の濾過材から成る濾過層と金属製で網目状の部材から成る少なくとも1層の補強層とを組み合わせて成るので、コーヒー液を抽出するフィルターの構造を簡単として清掃を容易とし、コーヒー液の濾過面積を減殺することなく濾過効率を向上することができる。また、前記フィルターの濾過層がコーヒー粉を分離可能な細かいメッシュを有しているので、コーヒー液とコーヒー粉とを分離してコーヒー液の粉っぽさを解消することができる。さらに、前記フィルターの濾過層及び補強層を焼結して一体化されているので、濾過層の目開きを防止して、常に同じ条件でコーヒー粉と湯の混合物を濾過することができる。さらにまた、前記補強層に濾過層を焼結して一体化したことにより、複数回繰返し使用しても濾過層が損傷するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明によるコーヒー抽出器の実施形態を示す斜視図である。
図2】前記コーヒー抽出器のフィルターの構成部材を示す分解斜視図である。
図3】前記構成部材を一体化した状態のフィルターを示す中央横断面図である。
図4】前記フィルターの外周縁にシール部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
図5図4のA−A線による半断面図である。
図6】本発明のコーヒー抽出器の使用状態を説明する図であり、容器内にコーヒー粉を入れた状態を示す斜視図である。
図7】同じく使用状態を説明する図であり、図6に示す容器内に湯を注いだ状態を示す斜視図である。
図8】同じく使用状態を説明する図であり、図7に示す容器の上部開口部からプランジャを挿入して蓋を被せた状態を示す斜視図である。
図9】同じく使用状態を説明する図であり、図8に示すプランジャの棒状部材を押し下げてフィルターでコーヒー液を抽出する状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明によるコーヒー抽出器の実施形態を示す斜視図である。このコーヒー抽出器は、コーヒー粉と湯を容器に入れて、いわゆるコーヒープレス(フレンチプレス)方式によりコーヒー液を抽出するもので、容器1と、プランジャ2と、フィルター3と、シール部材4とを備えて成る。
【0019】
前記容器1は、上部が開口してコーヒー粉と湯の混合物を収容するもので、例えば透明で耐熱性を有するガラス又はプラスチック等でビーカー状(有底の円筒形)に形成されている。
【0020】
前記容器1の内部には、プランジャ2が挿入される。このプランジャ2は、後述のフィルター3を容器1の下部まで押し込むもので、前記容器1の高さよりも長い棒状部材2aを有し、容器1の上部開口部から挿入されて下部まで押し下げられるようになっている。なお、符合2bは、前記棒状部材2aの上端に設けられたボール状の摘みを示す。
【0021】
前記プランジャ2の棒状部材2aの下端部には、フィルター3が取り付けられる。このフィルター3は、前記容器1内に収容されたコーヒー粉と湯の混合物を濾過してコーヒー液を抽出するもので、図2に示すように、濾過層3aと、少なくとも1層の補強層3bとを組み合わせて成る。
【0022】
前記濾過層3aは、実際にコーヒー粉と湯の混合物を濾過するもので、金属製で網目状の濾過材から成り、前記容器1内に入り得る直径で円板状に形成されている。この部材は、材料としてはステンレス鋼(例えば、SUS316,304等)、チタン、銅合金などを用い、コーヒー粉を分離可能な細かいメッシュ(例えば、350メッシュ程度)を有して濾過材として作用する。この場合、350メッシュ程度の濾過材では、40μm程度の微粉を濾過することができる。
【0023】
前記補強層3bは、前記濾過層3aでコーヒー粉と湯の混合物を濾過する際に該濾過層3aに前記混合物を含む液体の抵抗がかかるので、その抵抗による負荷を支持して濾過層3aが破れないように強度を受け持つものである。この補強層3bは、金属製で網目状の部材から成り、前記濾過層3aと同一の直径で円板状に形成されている。この金属製で網目状の部材は、材料として前記濾過層3aと同一のものを用い、該濾過層3aよりも粗いメッシュを有して濾過材としても作用する。
【0024】
図2の実施例では、補強層3bは複数層、例えば3層(5a,5b,5c)から成り、各層のメッシュの粗さが異なっている。この場合、前記濾過層3aに近い位置のもの(5c)から離れた位置のもの(5a)に向けて順次メッシュが粗くなるように構成されている。例えば、濾過層3aに最も近い第3の補強層5cは60メッシュ程度、その次の第2の補強層5bは28メッシュ程度、濾過層3aから最も離れた第1の補強層5aも28メッシュ程度とされている。このように、濾過層3aと第1の補強層5aとの間に第2及び第3の補強層5b,5cを中間層として入れた理由は、細かいメッシュの濾過層3aを粗いメッシュの第1の補強層5aで直接支持したのでは、濾過層3aの濾過材を全面にわたって支え切れずに部分的に破れる可能性があるので、それらの中間のメッシュを有する補強層を入れて濾過層3aを全面で支えるようにしたものである。
【0025】
なお、図2において、符号6は、フィルター3を前記プランジャ2の棒状部材2aの下端部に取り外し可能に取り付ける際の取付金具を挿入する取付孔を示しており、濾過層3a及び補強層3b(5a,5b,5c)の中心部に形成されている。
【0026】
ここで、本発明においては、前記フィルター3は、図3に示すように、前記濾過層3a及び補強層3b(5a,5b,5c)を焼結して一体化されている。この焼結は、濾過層3a及び補強層3b(5a,5b,5c)を、例えば500〜1500℃で約30分〜6時間程度加熱して結合させたものである。このとき、濾過層3a及び補強層3b(5a,5b,5c)の取付孔6は合致されて、1つの孔とされる。このように、濾過層3a及び補強層3bを焼結して一体化することにより、濾過層3aの目開きを防止して、常に同じ条件でコーヒー粉と湯の混合物を濾過することができる。また、濾過層3a及び補強層3bの各層間にコーヒー粉が入らないにして、濾過することができる。さらに、前記補強層3bに濾過層3aを焼結して一体化したことにより、複数回繰返し使用しても濾過層3aが損傷するのを防止できる。
【0027】
このように一体化されたフィルター3の外周縁には、図4に示すように、シール部材4が取り付けられる。このシール部材4は、前記容器1の内周面とフィルター3の外周縁との間の漏れ止めを行うもので、例えばシリコンゴムでできている。このシール部材4の外径は、容器1の内径よりも少し大きいものとされており、前記容器1の内周面に接して撓みながら摺動するようになっている。これにより、前記容器1の内部でコーヒー粉と湯の混合物を濾過する際に、容器1の内周面とフィルター3の外周縁との間からコーヒー粉を含む液の一部が漏れ出すのを防止して、濾過されたコーヒー液に混じらないようにする。
【0028】
また、前記フィルター3は、前記プランジャ2の棒状部材2aの下端部に取り外し可能に取り付けられる。すなわち、図5に示すように、図3に示すフィルター3の中心部に形成された取付孔6に、第1の取付金具7aの下向き突起を上から挿入し、この第1の取付金具7aの中心軸部に穿たれた係合孔8に第2の取付金具7bの上向き突起を下から挿入して、前記フィルター3の上下面を挟み込むようにして第1及び第2の取付金具7a,7bが取り付けられる。このとき、第1の取付金具7aの係合孔8に対する第2の取付金具7bの上向き突起の挿入、結合は、両部材間の弾性又は凹凸形状或いは雌雄のネジ切り等により挿入して結合し、逆に第2の取付金具7bの結合を解いて抜き出し第1の取付金具7aから離反することができるようになっている。
【0029】
このように、前記フィルター3に第1及び第2の取付金具7a,7bを取り付けた状態で、図1に示すプランジャ2の棒状部材2aの下端部に前記第1の取付金具7aを掛止して、フィルター3をプランジャ2の棒状部材2aの下端部に取り付ける。この場合、棒状部材2aの下端部に対する第1の取付金具7aの掛止は、第1の取付金具7aの中心軸部に穿たれた係合孔8に棒状部材2aの下端部を挿入し、両部材間の弾性又は凹凸形状或いは雌雄のネジ切り等により結合し、逆に第1の取付金具7aの結合を解いて抜き出し棒状部材2aから取り外すことができるようになっている。これにより、フィルター3は、前記プランジャ2の棒状部材2aの下端部に着脱可能に取り付けられる。
【0030】
そして、前記プランジャ2へのフィルター3の取付けは、前記プランジャ2の棒状部材2aの軸方向に対して濾過層3aが下方に位置し、補強層3b(5a)が上方に位置するようにするのが望ましい。補強層3b(5a)を下にすると、濾過層3aよりも粗いメッシュを有する補強層3b(5a)の網目にコーヒー粉が付着することがあり、フィルター3の清掃がし難くなると共に、コーヒー粉が残っている場合は非衛生的となるからである。仮に、そのような不具合が生じない場合は、補強層3b(5a)を下方に位置させ、濾過層3aを上方に位置させてもよい。
【0031】
なお、以上の説明では、図2及び図3に示すように、フィルター3の補強層3bは3層(5a,5b,5c)から成るものとしたが、本発明はこれに限られず、1層又は2層或いは4層以上であってもよい。補強層3bを1層とする場合は、第1の補強層5a(例えば、28メッシュ程度)を残すのが望ましい。また、補強層3bを複数層とする場合、何層であってもよいが、コーヒー粉を分離可能な細かいメッシュ(例えば、350メッシュ程度)を有する濾過層3aに近い位置のものから離れた位置のものに向けて順次メッシュが粗くなるように配置すればよい。
【0032】
また、前記プランジャ2の棒状部材2aには、蓋9が取り付けられる。この蓋9は、前記容器1の上部開口部を覆うもので、上に凸のお椀状に形成されて、前記棒状部材2aの軸方向に移動可能に取り付けられる。これにより、コーヒー粉と湯の混合物を収容した容器1の上部開口部を覆うことができる。
【0033】
次に、このように構成されたコーヒー抽出器の使用について、図6図9を参照して説明する。
【0034】
まず、図6に示すように、容器1に、コーヒー豆を挽いた(中挽き〜粗挽きが望ましい)コーヒー粉10を入れる。コーヒー粉10の量は、コーヒーを飲む人数又は濃さの好みに応じて適宜調整すればよい。次に、図7に示すように、前記コーヒー粉10の入った容器1に、温度90〜96℃程度の湯を入れる。湯の量も、コーヒーを飲む人数又は濃さの好みに応じて適宜調整すればよい。容器1内には、コーヒー粉と湯の混合物11ができコーヒーが抽出される。なお、上述とは逆に、容器1に先に湯を入れて、その後でコーヒー粉10を入れてもよい。
【0035】
次に、図8に示すように、容器1の上部開口部からプランジャ2を挿入し、容器1内のコーヒー粉と湯の混合物11の上面に、前記プランジャ2の棒状部材2aの下端部のフィルター3が接するように載せる。このとき、蓋9が容器1の上部開口部に被せられる。この状態で、約3〜4分間待って蒸らし、コーヒー液を抽出する。
【0036】
次に、約3〜4分間経過したら、図9に示すように、プランジャ2の摘み2bを持ってプランジャ2の全体を静かに押し下げ、棒状部材2aの下端部のフィルター3が容器1の底部に至るようにする。このとき、フィルター3によりコーヒー粉と湯の混合物11(図8参照)が濾過される。そして、容器1の底部に至ったフィルター3とシール部材4とにより、混合物11がコーヒー粉10とコーヒー液12とに分離されて、容器1の上半部にコーヒー液12が抽出される。この場合、コーヒー液12にコーヒー粉10が混じることはなく、コーヒー液12の粉っぽさを解消することができる。
【0037】
次に、前記容器1内に抽出されたコーヒー液12を、該容器1の注ぎ口13から図示省略のコーヒーカップに注いで飲用に供する。なお、以上の図6図9に示した実施例では、容器1に該容器1を持ち上げたり、コーヒー液12をコーヒーカップに注いだりするための取っ手又はホルダーを備えていないが、そのような取っ手を容器1に取り付け、又はホルダーを着脱可能に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…容器
2…プランジャ
2a…プランジャの棒状部材
3…フィルター
3a…濾過層
3b,5a,5b,5c…補強層
4…シール部材
6…取付孔
7a,7b…取付金具
8…第1の取付金具の係合孔
9…蓋
10…コーヒー粉
11…混合物
12…コーヒー液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9