特許第6087644号(P6087644)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6087644発泡体成形品、および、発泡体成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087644
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】発泡体成形品、および、発泡体成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/32 20060101AFI20170220BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   C08G18/32 F
   C08L75/04
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-16440(P2013-16440)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-148561(P2014-148561A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2016年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】原 智隆
【審査官】 井津 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−144631(JP,A)
【文献】 特表2008−519872(JP,A)
【文献】 特表2009−507969(JP,A)
【文献】 特公平04−070131(JP,B2)
【文献】 特開2009−215511(JP,A)
【文献】 特開2005−272676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00−18/87
C08L 1/00−101/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤を含むウレタンフォーム原料により成形されるウレタンフォームと、ポリオール、ポリイソシアネート、着色剤、モノオールを含むウレタンゲル原料により成形されるウレタンゲルとが不均一に混在してなり、
前記モノオールの重量平均分子量が、
65〜5000であり、
前記ウレタンゲル原料の前記ポリオールのモル数に対する前記モノオールのモル数の比率が、
1.8〜12.0であり、
前記ウレタンゲル原料の重量に対する前記ウレタンフォーム原料の重量が、
1.7〜11.8であり、
前記ウレタンゲル原料のポリオールの重量平均分子量が、1000より大きく、10000以下であることを特徴とする発泡体成形品。
【請求項2】
ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤を含むウレタンフォーム原料を混合するウレタンフォーム原料混合工程と、
ポリオール、ポリイソシアネート、着色剤、モノオールを含むウレタンゲル原料を混合するウレタンゲル原料混合工程と、
混合された前記ウレタンフォーム原料と混合された前記ウレタンゲル原料とを不均一に混在させる混在工程と
を含み、ウレタンフォームとウレタンゲルとが不均一に混在してなり、
前記モノオールの重量平均分子量が、
65〜5000であり、
前記ウレタンゲル原料の前記ポリオールのモル数に対する前記モノオールのモル数の比率が、
1.8〜12.0であり、
前記ウレタンゲル原料の重量に対する前記ウレタンフォーム原料の重量が、
1.7〜11.8であり、
前記ウレタンゲル原料のポリオールの重量平均分子量が、1000より大きく、10000以下である発泡体成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタンフォームとウレタンゲルとにより成形される発泡体成形品、および、その発泡体成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタンフォームは、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤を含むウレタンフォーム原料により成形され、柔軟性,クッション性に富むことから、様々な分野の商品に用いられている。しかしながら、ウレタンフォームにより成形される発泡体成形品の多くは、単色であり、意匠面での商品訴求力が低い。このため、複色模様を有する発泡体成形品の開発が進められている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、ウレタンフォーム原料を金型等に吐出するための配管に、着色材を断続的に投入することで、縞模様,マーブル模様の発泡体成形品を製造する技術が記載されている。また、下記特許文献2には、非着色のウレタンフォーム原料と着色されたウレタンフォーム原料とを不均一に混合させることで、縞模様,マーブル模様の発泡体成形品を製造する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−8502号公報
【特許文献2】特公平4−70131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献によれば、縞模様,マーブル模様の発泡体成形品を製造することが可能となり、色に特性を持つ発泡体成形品を製造することが可能となる。しかしながら、上記特許文献1に記載の発泡体成形品では、発泡するウレタンフォームに着色剤が定着し難い。このため、上記特許文献1に記載の発泡体成形品に触れた際に、着色材が手等に付着する虞がある。また、上記特許文献2に記載の発泡体成形品では、着色されたウレタンフォーム原料が発泡するため、縞模様の縞の部分が太くなり、不格好となる。また、着色部が不鮮明になり、模様がぼやけてしまう。このように、縞模様の発泡体成形品の製造には、種々の問題があるが、これらの問題点を克服することで、色に特性を持つ発泡体成形品が実現する。
【0006】
また、色に特性を持たせるだけでなく、物性に特性を持たせることも考えられる。物性に方向性を持たせることで、発泡体成形品の実用性が向上する。具体的には、例えば、所定の方向での発泡体成形品の硬度と、その所定の方向に交わる方向での発泡体成形品の硬度とが異なる場合には、発泡体成形品を触れる方向によりユーザの触感が変化するため、その触感の違いを利用したクッション等の開発を行うことが可能となる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、色,物性等に特性を持つ発泡体成形品および、その発泡体成形品の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の発泡体成形品は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤を含むウレタンフォーム原料により成形されるウレタンフォームと、ポリオール、ポリイソシアネート、着色剤、モノオールを含むウレタンゲル原料により成形されるウレタンゲルとが不均一に混在してなり、前記モノオールの重量平均分子量が、65〜5000であり、前記ウレタンゲル原料の前記ポリオールのモル数に対する前記モノオールのモル数の比率が、1.8〜12.0であり、前記ウレタンゲル原料の重量に対する前記ウレタンフォーム原料の重量が、1.7〜11.8であり、前記ウレタンゲル原料のポリオールの重量平均分子量が、1000より大きく、10000以下であることを特徴とする。
【0008】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の発泡体成形品の製造方法は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤を含むウレタンフォーム原料を混合するウレタンフォーム原料混合工程と、ポリオール、ポリイソシアネート、着色剤、モノオールを含むウレタンゲル原料を混合するウレタンゲル原料混合工程と、混合された前記ウレタンフォーム原料と混合された前記ウレタンゲル原料とを不均一に混在させる混在工程とを含み、ウレタンフォームとウレタンゲルとが不均一に混在してなり、前記モノオールの重量平均分子量が、65〜5000であり、前記ウレタンゲル原料の前記ポリオールのモル数に対する前記モノオールのモル数の比率が、1.8〜12.0であり、前記ウレタンゲル原料の重量に対する前記ウレタンフォーム原料の重量が、1.7〜11.8であり、前記ウレタンゲル原料のポリオールの重量平均分子量が、1000より大きく、10000以下である発泡体成形品を製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発泡体成形品および、発泡体成形品の製造方法では、ウレタンフォームとウレタンゲルとが不均一に混在して、発泡体成形品が成形される。これにより、例えば、ウレタンフォームが連続層となり、ウレタンゲルが非連続層となることで、ウレタンフォームとウレタンゲルとが海―島構造をなす。海―島構造の島部が、所定の方向に延びるように配置している場合には、所定の方向での発泡体成形品の硬度と、その所定の方向に交わる方向での発泡体成形品の硬度とが異なり、物性に方向性を持たせることが可能となる。
【0010】
また、例えば、ウレタンゲル原料に着色剤を含ませた場合には、ウレタンゲル原料は発泡しないため、着色剤を適切に坦持する。これにより、着色剤による汚染を適切に防ぐことが可能となる。さらに言えば、発泡しないウレタンゲル原料に着色剤が含まれるため、縞模様の縞部を細くすることの可能となる。また、縞部を鮮明にすることも可能となる。このように、本発明の発泡体成形品および、発泡体成形品の製造方法によれば、色,物性等に特性を持つ発泡体成形品が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1〜8の発泡体成形品を製造するための原料の配合量(重量比)、および、実施例1〜8の発泡体成形品の物性評価を示す表である。
図2】比較例1〜8の発泡体成形品を製造するための原料の配合量(重量比)、および、比較例1〜8の発泡体成形品の物性評価を示す表である。
図3図1および図2に示すウレタンフォーム原料の配合量(重量比)を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に記載の「発泡体成形品」は、「ウレタンフォーム原料混合工程」において混合されたウレタンフォーム原料と、「ウレタンゲル原料混合工程」において混合されたウレタンゲル原料とを、「混在工程」において不均一に混在せることで製造される。
【0013】
本発明に記載の「ウレタンフォーム原料混合工程」および「ウレタンゲル原料混合工程」は、各原料を混合する工程であればよい。具体的には、例えば、各原料を一度に混合する方法、所謂、ワンショット法を採用することが可能である。また、例えば、ポリイソシアネートから得られるイソシアネートプレポリマーを用いる方法、所謂、プレポリマー法を採用することが可能である。
【0014】
本発明に記載の「混在工程」は、混合されたウレタンフォーム原料と、混合されたウレタンゲル原料とを不均一に混在させる工程であればよい。具体的には、例えば、2つの吐出ノズルの一方から混合されたウレタンフォーム原料を吐出し、他方から混合されたウレタンゲル原料を吐出することで、ウレタンフォーム原料とウレタンゲル原料とを不均一に混在させてもよい。また、例えば、ウレタンフォーム原料を吐出するための配管内に、ウレタンゲル原料を投入することで、ウレタンフォーム原料とウレタンゲル原料とを不均一に混在させてもよい。
【0015】
また、ウレタンゲル原料とウレタンフォーム原料との混在比、具体的には、ウレタンゲル原料の重量に対するウレタンフォーム原料の重量の比率(以下、「ウレタンフォーム混在重量比率」という場合がある)は、特に限定はされないが、高すぎると、ウレタンゲル原料の比率が低下し、色(縞模様)が発現しにくくなり、物性の特性が低下する。一方、低すぎると、ゲルによるべたつきが生じる。このため、ウレタンフォーム混在重量比率は、1.7以上、かつ11.8以下とすることが好ましい。さらに言えば、2.0以上、かつ10.0以下とすることが好ましい。
【0016】
本発明に記載の「ポリオール」は、1つの分子に2個以上の水酸基を有する化合物であり、ウレタンフォーム原料とウレタンゲル原料とのいずれに含まれるものであっても、各原料として通常に採用されるものであればよい。例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合反応により得られるものがある。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられ、これらを1種または2種以上併用して用いることが可能である。多価カルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられ、これらを1種または2種以上併用して用いることが可能である。さらに、カプロラクトン、メチルバレロラクトン等を開環縮合して得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
【0017】
また、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のオキサイドを付加重合させたものが挙げられる。それら種々のポリオールのうちの1種または2種以上を併用したものを、ウレタンフォーム原料またはウレタンゲル原料として用いることが可能である。また、ウレタンフォーム原料のポリオールとウレタンゲル原料のポリオールとは、同じ種類のものであってもよく、異なる種類のものであってもよい。
【0018】
なお、ポリオールの重量平均分子量、官能基数、および、水酸基価は、良好なウレタン発泡体およびウレタンゲルを形成することが可能な数値であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、重量平均分子量であれば、2000〜10000であることが好ましく、官能基数であれば、2〜4であることが好ましい。
【0019】
本発明に記載の「ポリイソシアネート」は、1つの分子に1個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、ウレタンフォーム原料とウレタンゲル原料とのいずれに含まれるものであっても、各原料として通常に採用されるものであればよい。例えば、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート等が挙げられる。芳香族イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4‘−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI(クルードMDI)、キシリレンジイ
ソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族イソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族イソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添MDI等が挙げられる。それら種々のポリイソシアネートのうちの1種または2種以上を併用
したものを、ウレタン発泡体原料またはウレタンゲル原料として用いることが可能である。また、ウレタンフォーム原料のポリイソシアネートとウレタンゲル原料のポリイソシアネートとは、同じ種類のものであってもよく、異なる種類のものであってもよい。
【0020】
なお、本発明の「発泡体成形品」は、ウレタンフォーム原料とウレタンゲル原料とを混在せることで製造されるため、それぞれの原料の反応速度は同じ程度のものを採用することもできる。このため、ウレタンゲル原料の反応速度は、ウレタンフォーム原料の反応速度と比較して、一般的に遅いことを考慮すると、ウレタンゲル原料のポリイソシアネートとして、反応速度の早いものを採用することもできる。具体的には、TDI,MDI等の芳香族
イソシアネートを採用することができる。
【0021】
ウレタンフォーム原料とウレタンゲル原料との各々におけるポリオールとポリイソシアネートとの配合量の比率は、ポリオール中の全活性水素基濃度に対する、ポリイソシアネート中のイソシアネート基濃度の当量比の百分率、所謂、イソシアネートインデックスによって示すことができる。ウレタン発泡体原料のイソシアネートインデックスは、特に限定はされないが、低すぎると、発泡が好適に行なわれず、高すぎると、良好な柔軟性を得られないため、50以上、かつ130以下とすることが好ましい。さらに言えば、90以上、かつ120以下とすることが好ましい。
【0022】
また、ウレタンゲル原料のイソシアネートインデックスは、特に限定はされないが、高すぎると、良好な柔軟性を得られない。このため、ある程度、ウレタンゲル原料のイソシアネートインデックスは、低くすることが好ましいが、低いイソシアネートインデックスにより柔軟性を担保しているウレタンゲルでは、ウレタンフォーム原料とウレタンゲル原料との境目で、ウレタンゲル原料のポリイソシアネートとウレタンフォーム原料のポリオールとが反応し、その境目の硬度が高くなる虞がある。
【0023】
このことに鑑みて、ウレタンゲル原料に、モノオールを加えることが好ましい。ウレタンゲル原料にモノオールを加えることで、架橋密度が低下し、ウレタンゲルの柔軟性を担保することが可能となる。これにより、ウレタンゲル原料のイソシアネートインデックスを下げることなく、ウレタンゲルの柔軟性を担保することが可能となる。また、ウレタンゲル原料にモノオールを加えることで、水分や可塑剤等を含有させることなく、ゲル状態を維持することが可能となる。これにより、水分等の蒸発によるウレタンゲルの経時変化を抑制することが可能となる。
【0024】
ウレタンゲル原料に加えられるモノオールの重量平均分子量は、特に限定はされないが、低すぎると、柔軟性を担保できなくなり、高すぎると、反応性の低下によりべたつきが生じる。このため、モノオールの重量平均分子量は、65以上、かつ5000以下とすることが好ましい。さらに言えば、85以上、かつ4000以下とすることが好ましく、特に、100以上、かつ3300以下とすることが好ましい。
【0025】
また、ウレタンゲル原料におけるモノオールの比率、具体的には、ウレタンゲル原料のポリオール(2個以上の水酸基を有する化合物であり、モノオールを含まないと定義される)のモル数に対するモノオールのモル数の比率(以下、「モノオール(のモル数)比率」という場合がある)も、特に限定はされないが、低すぎると、柔軟性を担保できなくなり、高すぎると、反応性の低下によりべたつきが生じる。このため、モノオール比率は、1.8以上、かつ12.0以下とすることが好ましい。さらに言えば、2.0以上、かつ10.0以下とすることが好ましい。
【0026】
また、ウレタンゲル原料に着色剤を加えることで、ウレタンフォーム中に不均一に混在されたウレタンゲルを顕在化させることが可能となり、意匠面での商品訴求力の高い発泡体成形品を製造することが可能となる。ウレタンゲル原料に加えられる着色剤は、顔料、染料等、種々のものを採用することができる。染料としては、モノアゾ、ジスアゾ、金属錯塩アゾ、アントラキノン、インジゴ系、フタロシアニン、ピラゾロン、スチルベン、チアゾール、キノリン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、アクリジン、キサンテン、アジン、チアジン、オキサジン、ポリメチン、インドフェノール、ペリレン等が挙げられ、これらを1種または2種以上併用して用いることが可能である。顔料としては、アゾレーキ系、不溶アゾ系、縮合アゾ系、フタロシアニン系、ペリレン系、ジオキサジン系、インジゴ系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ベンズイミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、金属錯体などの有機系顔料、さらに黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタンや金属粉顔料、光輝性顔料としての干渉マイカ、着色マイカ等が挙げられ、これらを1種または2種以上併用して用いることが可能である。
【0027】
また、ウレタンフォーム原料およびウレタンゲル原料に、触媒を加えることも可能である。触媒は、ウレタンフォーム原料とウレタンゲル原料とのいずれに含まれるものであっても、各原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、アミン系触媒、有機金属系触媒等が挙げられる。アミン系触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N-エチルモルホリン等が挙げられる。有機金属系触媒としては、例えば、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、オクテン酸鉛、オクチル酸カリウム等が挙げられる。それら種々の触媒のうちの1種または2種以上を併用したものを、ウレタンフォーム原料またはウレタンゲル原料として用いることが可能である。また、ウレタンフォーム原料の触媒とウレタンゲル原料の触媒とは、同じ種類のものであってもよく、異なる種類のものであってもよい。
【0028】
さらに、ウレタンフォーム原料またはウレタンゲル原料に、必要に応じて適宜、添加剤を添加することが可能である。添加剤としては、例えば、鎖延長剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤等が挙げられる。
【0029】
また、ウレタンフォーム原料としての発泡剤は、ウレタンフォームの原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、水、ペンタン、シクロペンタン、メチレンクロライド、炭酸ガス等が挙げられ、これらを1種または2種以上併用して用いることが可能である。
【実施例】
【0030】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0031】
<発泡体成形品の原料及び製造>
図1および図2に示す配合の原料から、実施例1〜8および比較例1〜8の発泡体成形品を製造した。以下に、各原料の詳細を示す。
【0032】
・ポリオール1;ポリエーテルポリオール、商品名:プレミノール7012、旭硝子(株)製、重量平均分子量:10000、官能基数:3
・ポリオール2;ポリエーテルポリオール、商品名:プレミノールS4011、旭硝子(株)製、重量平均分子量:10000、官能基数:2
・ポリオール3;ポリエーテルポリオール、商品名:サンニックスGP2000、三洋化成工業(株)製、重量平均分子量:2000、官能基数:3
・ポリオール4;ポリエーテルポリオール、商品名:サンニックスPP2000、三洋化成工業(株)製、重量平均分子量:2000、官能基数:2
・ポリオール5;ポリエーテルポリオール、商品名:サンニックスGP1000、三洋化成工業(株)製、重量平均分子量:1000、官能基数:3
・モノオール1;ポリエーテルモノオール、商品名:プレミノールS1004F、旭硝子(株)製、重量平均分子量:3300
・モノオール2;ブチルグリコール、商品名:ブチルグリコール、日本乳化剤(株)製、重量平均分子量:118・モノオール3;イソプロピルアルコール、重量平均分子量:60
・ポリイソシアネート;HDIプレポリマー、HDIの一部をエーテルポリオールと反応させたプレポリマー、イソシアネート基(NCO)含有量12.1質量%
・着色剤;青色顔料 銅化合物のフタル酸−ジ−ノルマルブチル分散液
・触媒;スズ系触媒、商品名;UL−28、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製
【0033】
ちなみに、上記原料がウレタンゲル原料となる。また、図1および図2示す「ウレタンフォーム原料」は、図3に示す配合(重量比)の原料である。以下に、ウレタンフォーム原料における各原料の詳細を示す。
【0034】
・ポリオール;ポリエーテルポリオール、商品名:GP3050、三洋化成(株)製、重量平均分子量:3000、官能基数:3
・ポリイソシアネート;トリレンジイソシアネート、商品名:TDI−80、日本ポリウレタン工業(株)製
・発泡剤;水
・整泡剤;シリコーン整泡剤、商品名:TEGOSTAB BF2370、エボニック デグサ ジャパン(株)製
・触媒1;アミン触媒、商品名:カオライザーNo.25、花王(株)製
・触媒2;スズ系触媒、商品名;MRH−110、城北化学工業(株)製
【0035】
実施例1〜8および比較例3〜8の発泡体成形品の製造時には、上記ウレタンゲル原料とウレタンフォーム原料とが個別に混合攪拌される。具体的には、ウレタンゲル原料に関しては、ウレタンゲル原料のポリイソシアネートを除いた原料を、図1若しくは図2に示す配合比(重量比)となるように計量し、混合攪拌する。そして、その混合攪拌された原料に、ウレタンゲル原料のポリイソシアネートを混合する。一方、ウレタンフォーム原料に関しても、ウレタンゲル原料と同様に、ウレタンフォーム原料のポリイソシアネートを除いた原料を、図3に示す配合比(重量比)となるように計量し、混合攪拌する。そして、その混合攪拌された原料に、ウレタンフォーム原料のポリイソシアネートを混合する。
【0036】
次に、混合されたウレタンフォーム原料を、図1若しくは図2に示す配合比(重量比)となるように計量し、混合されたウレタンゲル原料と不均一に混在させる。これにより、実施例1〜8および比較例3〜8の発泡体成形品が製造される。
【0037】
また、比較例1の発泡体成形品の製造時には、上述したように混合されたウレタンフォーム原料を、図2に示す配合比(重量比)となるように計量する。そして、計量されたウレタンフォーム原料に、図2に示す配合比(重量比)の顔料を不均一に混在させる。これにより、比較例1の発泡体成形品が製造される。
【0038】
また、比較例2の発泡体成形品の製造時には、上述したように混合されたウレタンフォーム原料を、図2に示す配合比(重量比)に従って、着色部に用いるためのウレタンフォーム原料と非着色部に用いるためのウレタンフォーム原料とに分けて計量する。そして、着色部のウレタンフォーム原料と、図2に示す配合比(重量比)の顔料とを混合攪拌する。次に、顔料が混合攪拌された着色部のウレタンフォーム原料と、非着色部のウレタンフォーム原料とを不均一に混在させる。これにより、比較例2の発泡体成形品が製造される。
【0039】
<発泡体成形品の物性評価>
上述のように製造された実施例1〜8および比較例1〜8の発泡体成形品に対して、以下の方法によって物性評価を行なった。
【0040】
具体的には、目視にて、着色部の鮮明さを評価した。着色部が鮮明である場合には、「○」と評価し、着色部が鮮明でない場合には、「×」と評価した。この評価を、図1および図2の「着色部の鮮明さ」の欄に示しておく。
【0041】
また、触感にて、着色部及び着色部周辺の柔軟さを評価した。着色部及び着色部周辺が柔軟である場合には、「○」と評価し、着色部及び着色部周辺が柔軟でない場合には、「×」と評価した。この評価を、図1および図2の「着色部及び着色部周辺の柔軟さ」の欄に示しておく。
【0042】
さらに、触感にて、着色部のべたつきを評価した。着色部がべたつかない場合には、「○」と評価し、着色部がべたつく場合には、「×」と評価した。この評価を、図1および図2の「着色部のべたつき」の欄に示しておく。
【0043】
以上の評価結果から、ウレタンゲル原料に顔料を混入することで、着色部を鮮明にするとともに、着色部のべたつきを抑制することが可能であることが解る。具体的には、比較例1の発泡体成形品では、ウレタンフォーム原料に顔料が不均一に混在されている。このため、発泡するウレタンフォームに顔料が定着せず、着色部にべたつきが生じる。また、比較例2の発泡体成形品では、着色されたウレタンフォーム原料と非着色のウレタンフォーム原料とが不均一に混在されている。このため、着色部が発泡し、不鮮明となる。一方、実施例1〜8の発泡体成形品では、ウレタンゲル原料に顔料が混入されている。これにより、顔料が、発泡しないウレタンゲル原料に坦持され、着色部のべたつきが抑制される。さらに、着色部が発泡しないため、着色部を鮮明にすることが可能となる。
【0044】
また、ウレタンゲル原料に、ある程度高い分子量のモノオールを付加することで、ウレタンゲルの柔軟さを確保することが可能となる。詳しくは、比較例3の発泡体成形品では、分子量60のモノオールがウレタンゲル原料に付加されており、ウレタンゲル、つまり、着色部の柔軟さが損なわれている。一方、実施例1〜8の発泡体成形品では、分子量118若しくは3300のモノオールがウレタンゲル原料に付加されており、着色部の柔軟さは担保されている。このように、ウレタンゲル原料に、分子量が60より大きいモノオールを付加することで、ウレタンゲルの柔軟さを確保することが可能となる。
【0045】
また、適量のモノオールをウレタンゲル原料に付加することで、ウレタンゲルの柔軟さを確保するとともに、ウレタンゲルのべたつき、つまり、着色部のべたつきを抑制することが可能となる。具体的には、比較例4の発泡体成形品では、ウレタンゲル原料のポリオールのモル数に対するモノオールのモル数の比率(モノオール比率)が、12.1とされており、ウレタンゲル、つまり、着色部にべたつきが生じている。なお、モノオール比率は、図1および図2の「モノオール比率」の欄に記してある。また、比較例5の発泡体成形品では、モノオール比率が、1.6とされており、ウレタンゲル、つまり、着色部の柔軟性が損なわれている。一方、実施例1〜8の発泡体成形品では、モノオール比率が、2.0〜9.1とされており、着色部のべたつきが抑制されるとともに、着色部の柔軟さが担保されている。このように、モノオール比率が、2.0〜9.1となるように、モノオールをウレタンゲル原料に付加することで、ウレタンゲルの柔軟さを確保し、ウレタンゲルのべたつき、つまり、着色部のべたつきを抑制することが可能となる。
【0046】
また、ウレタンゲル原料とウレタンフォーム原料との混在比を適切にすることで、着色部の鮮明さを確保するとともに、着色部のべたつきを抑制することが可能となる。具体的には、比較例6の発泡体成形品では、ウレタンゲル原料の重量に対するウレタンフォーム原料の重量の比率(ウレタンフォーム混在重量比率)は、1.5とされており、着色部にべたつきが生じている。なお、ウレタンフォーム混在重量比率は、図1および図2の「ウレタンフォーム混在重量比率」の欄に記してある。また、比較例7の発泡体成形品では、ウレタンフォーム混在重量比率が、12.0とされており、着色部が不鮮明となっている。一方、実施例1〜8の発泡体成形品では、ウレタンフォーム混在重量比率が、2.0〜10.0とされており、着色部のべたつきが抑制されるとともに、着色部の鮮明さが担保されている。このように、ウレタンフォーム混在重量比率が、2.0〜10.0となるように、ウレタンフォーム原料とウレタンゲル原料とを混在させることで、着色部の鮮明さを確保し、着色部のべたつきを抑制することが可能となる。
【0047】
また、ウレタンゲル原料のポリオールとして、ある程度高い分子量のポリオールを採用することで、着色部の柔軟性を確保することが可能となる。具体的には、比較例8の発泡体成形品では、ウレタンゲル原料のポリオールとして分子量1000のポリオールが採用されており、ウレタンゲル、つまり、着色部の柔軟性が損なわれている。一方、実施例1〜8の発泡体成形品では、ウレタンゲル原料のポリオールとして分子量2000若しくは10000のポリオールが採用されており、着色部の柔軟さが担保されている。このように、分子量が1000より大きいポリオールを、ウレタンゲル原料のポリオールとして採用することで、ウレタンゲルの柔軟さを確保することが可能となる。
【0048】
以下、本発明の諸態様について列記する。
【0049】
(1)ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤を含むウレタンフォーム原料により成形されるウレタンフォームと、ポリオール、ポリイソシアネートを含むウレタンゲル原料により成形されるウレタンゲルとが不均一に混在してなることを特徴とする発泡体成形品。
【0050】
(2)前記ウレタンゲル原料が、
着色剤を含むことを特徴とする(1)項に記載の発泡体成形品。
【0051】
(3)前記ウレタンゲル原料が、
モノオールを含むことを特徴とする(1)項または(2)項に記載の発泡体成形品。
【0052】
(4)前記モノオールの重量平均分子量が、
65〜5000であることを特徴とする(3)項に記載の発泡体成形品。
【0053】
(5)前記ウレタンゲル原料の前記ポリオールのモル数に対する前記モノオールのモル数の比率が、
1.8〜12.0であることを特徴とする(3)項または(4)項に記載の発泡体成形品。
【0054】
(6)前記ウレタンゲル原料の重量に対する前記ウレタンフォーム原料の重量が、
1.7〜11.8であることを特徴とする(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の発泡体成形品。
【0055】
(7)ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤を含むウレタンフォーム原料を混合するウレタンフォーム原料混合工程と、
ポリオール、ポリイソシアネートを含むウレタンゲル原料を混合するウレタンゲル原料混合工程と、
混合された前記ウレタンフォーム原料と混合された前記ウレタンゲル原料とを不均一に混在させる混在工程と
を含み、ウレタンフォームとウレタンゲルとが不均一に混在してなる発泡体成形品の製造方法。
【0056】
(8)前記ウレタンゲル原料が、
着色剤を含むことを特徴とする(7)項に記載の製造方法。
【0057】
(9)前記ウレタンゲル原料が、
モノオールを含むことを特徴とする(7)項または(8)項に記載の製造方法。
【0058】
(10)前記モノオールの重量平均分子量が、
65〜5000であることを特徴とする(9)項に記載の製造方法。
【0059】
(11)前記ウレタンゲル原料の前記ポリオールのモル数に対する前記モノオールのモル数の比率が、
1.8〜12.0であることを特徴とする(9)項または(10)項に記載の製造方法。
【0060】
(12)前記ウレタンゲル原料の重量に対する前記ウレタンフォーム原料の重量が、
1.7〜11.8であることを特徴とする(7)項ないし(11)項のいずれか1つに記載の
製造方法。
図1
図2
図3