(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
特許文献1には電動回転式清浄具の一例として自動耳かき器が記載されている。
図7はこの特許文献1に記載されている自動耳かき器の構成を示したものである。
図7において、1は電動機本体であり、電動機本体1は駆動部2と電源部となる電池3が収納されるケース4から形成されている。ケース4の先端側には収納した駆動部2の回転軸2aを囲繞する開口筒部4aが形成されている。駆動部2の回転軸2aには駆動部2の回転力を伝達する接続弾性部5が取り付けられている。
【0003】
6は耳かき部本体であり、耳かき部本体6の基端部は接続弾性部5に取り付けられている。耳かき部本体6は接続弾性部5を介して駆動部2の回転軸2aと一体的に回転する。耳かき部本体6の先端部には耳かき軸部7が形成されている。耳かき軸部7にはブラシ部8が植設形成されている。ブラシ部8は耳かき軸部7の周側面部の先端側から基端側に向かって回転軸2aの回転方向と逆方向に連続して螺旋状に植設されている。
【0004】
この自動耳かき器によれば、ブラシ部8の回転により外耳道内の耳垢などを自動的にかき出すことができるものとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来の自動耳かき器では防水構造を採用しておらず、よって例えば耳かき部本体6を接続弾性部5から取り外すことができれば、耳かき部本体6の汚れを洗い落すことはできるものの、電動機本体1が汚れた場合に洗うことはできない構造となっている。
【0007】
一方、電動回転式の清浄具としては電動回転式の耳かきに限らず、例えば電動回転式の歯ブラシといったものもあり、一つの回転装置で耳かき棒や歯ブラシ棒を付け替えることができれば、極めて便利であり、回転装置を複数の用途に使用することができるものとなる。このような電動回転式歯ブラシへの応用を考えた場合、回転装置には防水構造が必要となる。
【0008】
この発明の目的はこのような状況に鑑み、防水構造を備えた回転式清浄具用回転装置を提供することにあり、さらにその回転装置に取り付けられる性能及び安全性に優れた耳かき棒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明によれば、回転式清浄具用回転装置はケースと、ケースに収容された電源部及び駆動部と、回転式清浄具
の軸部が差し込まれて取り付けられるホルダとを備え、ホルダはケースの一端に形成された開口に位置して駆動部により回転駆動されるものとされ、ホルダとケースとの間にパッキンが設けられ
、前記軸部が差し込まれるホルダの内周面は前記軸部がなすDカット形状に合致する形状とされ、ホルダの前記開口より外部に突出している先端側部分に、前記軸部に形成されている係止片を係止して回転式清浄具を抜け止めする係止窓が形成されているものとされる。
【0010】
請求項2の発明では請求項1の発明において、ホルダはベアリングを介してケースに支持され、ベアリングの前記開口側の端面にゴムシールが設けられているものとされる。
【0011】
請求項3の発明によれば、請求項1又は2記載の回転式清浄具用回転装置に取り付けられる耳かき棒は、
前記軸部と、
前記軸部の先端側にインサート成形により形成された耳かき部とよりなり、耳かき部は柔軟な材料よりなり、先端が細いスクリュー形状を有するものとされ、外耳道への過挿入を防止するフランジ状のストッパが
前記軸部に形成されているものとされる。
【0012】
請求項4の発明では請求項3の発明において、耳かき部はゴムよりなるものとされる。
【0013】
請求項5の発明では請求項3又は4の発明において、前記スクリュー形状を構成する突起は台形状の断面形状を有するものとされる。
【発明の効果】
【0014】
この発明による回転式清浄具用回転装置によれば、防水構造を備えているため、防水が必要な用途にも使用することができる。よって、例えば電動回転式耳かきや防水が必要な電動回転式歯ブラシといった各種用途に使用することができ、その点で利便性に優れた回転装置を提供することができる。
【0015】
また、この発明による耳かき棒を用いれば、効率良く耳垢をかき出して耳垢掃除をすることができ、入れ過ぎにより鼓膜を傷つけるといったことも発生しない。よって、性能及び安全性に優れた耳かき棒を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
【0018】
図1はこの発明による回転式清浄具用回転装置の一実施例に、この発明による耳かき棒の一実施例が取り付けられてなる電動回転式耳かきの構成を示したものであり、
図2はその断面構造の要部詳細を示したものである。
【0019】
回転装置10は把持しやすいように細長い棒状の外形形状を有するものとされ、外形を構成するケースはこの例では短尺の上ケース11と、上ケース11に続く長尺の下ケース12とによって構成されている。これら上ケース11と下ケース12は樹脂製とされ、互いに嵌合されて接着固定されている。下ケース12内には
図1Bに示したように、電源部としての電池13と、電源スイッチ14と、駆動部としてのモータ15と、ギアボックス16が収容されている。
【0020】
電源スイッチ14が位置する部分の可動部には凸形状をなすゴム17が下ケース12と二色成形されて設けられており、このゴム17に形成された押圧部17aを押すことによって電源スイッチ14が押下操作され、電源スイッチ14のON/OFFが順次切り換わるものとなっている。
図1B中、18,19は電池13の正極、負極とそれぞれ接する端子であり、端子18は下ケース12の後端を蓋する電池キャップ21に取り付けられている。なお、
図1Bでは配線等の詳細図示は省略している。
【0021】
上ケース11の一端(先端)に形成された開口11aにはホルダ22が位置している。ホルダ22は円筒部22aと、その円筒部22aの一端を蓋する底面部22bと、底面部22bの外側(外面)に突出形成された筒状をなす連結部22cとよりなる。連結部22cにはギアボックス16から突出された回転軸16aが連結固定されている。円筒部22aの先端側は上ケース11の開口11aより突出されている。
【0022】
電源スイッチ14をONとすることにより、モータ15が回転し、モータ15の回転軸15aの回転はギアボックス16を介してホルダ22に伝達されてホルダ22が回転駆動される。複数の歯車を備えるギアボックス16はモータ15の回転を減速するために設けられている。歯車はこの例でははすば歯車とされている。
【0023】
上記のようにギアボックス16の回転軸16aと連結されて回転駆動されるホルダ22は、その円筒部22aがボールベアリング23を介して上ケース11に支持されている。また、開口11a側において、ホルダ22と上ケース11との間にはパッキン24が設けられている。パッキン24は
図2に拡大して示したような形状を有するものとされ、環状をなす肉厚部24aと、その肉厚部24aの内周に位置する環状の肉薄部24bとよりなる。肉薄部24bは
図2に示したように断面くの字形状をなすものとされている。パッキン24は、例えばゴム製とされる。
【0024】
ホルダ22の円筒部22aの外周面には突出部22
eがフランジ状に突出されて形成されており、パッキン24はホルダ22のこの突出部22
eと円筒部22aと上ケース11とで囲まれた空間に配置されている。肉厚部24aの外周側は断面台形状をなすものとされて、上ケース11の内周面に圧接され、一方、肉薄部24bの内端側はホルダ22の円筒部22aに圧接されている。また、環状をなす肉厚部24aの軸心方向両端面にはそれぞれ幅狭の(肉薄の)突条24c,24dが環状に突出形成されており、これら突条24c,24dがそれぞれ上ケース11の先端側の内面及びホルダ22の突出部22
eと圧接されている。
【0025】
パッキン24は上述したような形状を有するため、ホルダ22の回転を阻害することはなく、ホルダ22は良好に回転可能となっている。
【0026】
回転装置10は上記のようなパッキン24を備えることにより、上ケース11の先端の開口11a部分の防水が実現されており、また下ケース12の後端の電池キャップ21が取り付けられている部分には
図1Bに示したように下ケース12と電池キャップ21との嵌合部分にOリング25が配置されているため、電池キャップ21取り付け部分の防水も実現されており、これにより回転装置10は防水構造を備えたものとなっている。
【0027】
なお、この例では
図2に示したように接触型のゴムシール26がボールベアリング23の先端側(上ケース11の開口11a側)の端面に設けられており、このゴムシール26により上ケース11の先端側はさらに防水されるものとなっている。
【0028】
次に、回転装置10のホルダ22に取り付けられている耳かき棒30の構成について説明する。
【0029】
図3は耳かき棒30の構成を示したものであり、耳かき棒30は軸部31と耳かき部41とよりなる。軸部31は大径の基部32と、小径の先端部33(
図1B参照)と、基部32から先端部33に至る先細形状とされた中間部34とよりなる。基部32と中間部34の境界にはフランジ状をなすストッパ35が形成されており、さらにこのストッパ35と同一形状をなすストッパ36がストッパ35と離間して基部32に形成されている。
【0030】
基部32におけるストッパ36より基端側の部分の外周面は、円筒面の一部が削られて平面部32aが形成されたDカット形状をなすものとされている。また、この平面部32aが形成されている部分において、片持ち梁状をなす係止片37がストッパ36側を支持端とし、ストッパ36に続いて基部32に削り込まれた形状で形成されている。係止片37の遊端の外側面には係止突起37aが突出形成されている。
【0031】
上記のような形状を有する軸部31はポリプロピレン等の硬質樹脂製とされる。一方、耳かき部41は柔軟なエラストマ製とされ、具体的には例えばシリコーンゴム等のゴム製とされる。ゴムの硬度は40°〜70°程度とされる。
【0032】
耳かき部41は軸部31の先端部33から中間部34にかけて、アンダーカット付きのインサート成形により形成されて一体化されている。軸部31の中間部34には
図1Bに示したように樹脂流れ食らいつき用の貫通穴(アンダーカット部)38が2つ形成されている。
【0033】
耳かき部41の、軸部31の先端部33の回りに位置する部分には先端が細いスクリュー形状をなすスクリュー部42が形成されている。スクリュー部42はこの例では後端に向かって徐々に太くされており、スクリュー形状を構成する突起42aは
図1Bに示したように厚み(幅)のある台形状の断面形状を有するものとされている。
【0034】
上記のような構成を有する耳かき棒30は軸部31が回転装置10のホルダ22に差し込まれてホルダ22に取り付けられる。軸部31が差し込まれるホルダ22の円筒部22aの内周面は軸部31のDカット形状に合致する形状とされており、また周の一部には
図1に示したように係止窓22dが形成されている。耳かき棒30はこのような円筒部22aに差し込まれることにより、回転が規制されてホルダ22と一体に回転するものとなり、また係止片37の係止突起37aが
図1に示したように係止窓22dに係止されて抜け止めされる。なお、耳かき棒30のストッパ36はホルダ22に突き当たった状態となる。
【0035】
耳かき棒30をホルダ22から取り外す際は、係止窓22dに位置する係止突起37aを押し込んで係止を解除すればよく、これにより耳かき棒30を容易に引き抜くことができる。なお、耳かき棒30を抜き差しする際は、2つのストッパ35,36間を指でつかめばよく、2つのストッパ35,36は指掛かりとして機能する。
【0036】
以上説明した回転装置10と耳かき棒30とよりなる電動回転式耳かきによれば、以下に列記したような利点、効果を有する。
【0037】
<耳かき棒30>
1)耳かき部41は柔軟な材料よりなるため、外耳道を傷つけることはない。また、例えば従来のブラシタイプのものでは抜けや折れが発生するという問題があり、硬質のものでは滑りによりかき出し効率が悪いといった問題があったが、そのような問題を解消することができる。
【0038】
2)スクリュー部42は先細形状となっているため、耳垢を押し込んでしまうことはなく、耳垢が確実に引っ掛かる。また、スクリュー部42を構成する突起42aに厚みがあることにより、耳垢の引っ掛かりが良く、効率良く耳垢を取ることができる。
3)回転を低速とすることにより、耳垢の飛び散りもなく、スクリュー形状により耳垢を送り出し、良好にかき出すことができ、取り残しなく、耳垢掃除を行うことができる。
【0039】
4)外耳道への過挿入を防止するストッパ35を有するため、入れ過ぎにより鼓膜を傷つけるといったことは発生しない。なお、耳かき棒30の先端からストッパ35までの距離L1及びストッパ35の直径Dは、外耳道の鼓膜までの奥行の標準30mm及び外耳道径の標準4.5mm×6.6mm楕円を考慮して、例えば
L1=29mm, D=8.5mm
に設定される。
【0040】
<回転装置10>
1)前述したように防水構造を備えているため、例えば洗うこともでき、また防水が必要な用途にも使用することができる。
2)ギアボックス16内の歯車は、回転振動音を軽減すべく、はすば歯車とされているため、静音性に優れ、パッキン24の密封効果によりさらに消音効果が得られるものとなっている。
【0041】
なお、上述した例では耳かき棒30のスクリュー部42は先端が細く、後端が太い形状となっているが、例えば中ほどが太い形状(たいこ形状)としてもよい。
【0042】
また、回転装置10は上ケース11の先端側に防水のためにパッキン24とゴムシール26を備えているが、上述した電動回転式耳かきとして使用する場合などのように簡易防水でよければ、例えばパッキン24だけとしてもよい。
【0043】
図4は耳かき棒30に替えて回転装置10に取り付けることができる歯ブラシ棒を示したものである。
【0044】
歯ブラシ棒50は耳かき棒30の軸部31と同様の形状を有する軸部51と、軸部51の先端に全周植設形成された歯ブラシ部52とよりなる。なお、
図4では植設形成されている歯ブラシ部52の植毛の図示は省略し、簡略化して示している。
【0045】
この歯ブラシ棒50を回転装置10に取り付ければ、電動回転式歯ブラシを構成することができる。
【0046】
図5は
図1に示した電動回転式耳かきに装着することができる別部品としてストッパ60を示したものである。耳かき棒30には前述したように外耳道への過挿入を防止するためのストッパ35が設けられているが、ストッパ35の位置は外耳道の鼓膜までの標準的な奥行をもとに設定されている。従って、例えば外耳道が短い人や子供が電動回転式耳かきを使用する場合は安全性に欠けることになる。
【0047】
図5に示したストッパ60はこのように外耳道が短い人や子供が使用する場合であっても、安全性を確保することができるようにするものである。ストッパ60は
図5に示したように略円錐台形状をなす筒状とされ、その基端側には切り欠き61が形成されている。
【0048】
図6は
図1に示した電動回転式耳かきにストッパ60が取り付けられた状態を示したものであり、回転装置10の上ケース11に形成されている突出段部11bに切り欠き61を合致させて嵌め込むことによってストッパ60は取り付けられる。耳かき棒30の先端からストッパ60までの距離L2は、例えば、
L2=20mm
とされる。ストッパ60の先端の外径は外耳道径より大きい。
【0049】
以上、回転式清浄具として耳かき棒30や歯ブラシ棒50が回転装置10に取り付けられる例について説明したが、回転装置10のホルダ22に取り付けられる回転式清浄具はこれらに限るものではない。回転式清浄具としては例えば歯の美白を行うためのもの、繊維の部分シミ取りを行うためのもの、あるいはキーボード等の隙間掃除を行うためのものといったものもあり、これらを取り付ければ歯の美白器、部分シミ取り器、隙間掃除器といった各種器具を構成することができる。