(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
重合体(A)及び下記水溶性遷移金属化合物(B)を含有するゲル化剤であって、重合体(A)がカルボキシル基及び/又は1,3−ジオキソ−2−オキサプロピレン基を有するラジカル重合性単量体(a1)及び下記ラジカル重合性単量体(a2)を必須構成単位とする重合体であり、水溶性遷移金属化合物(B)が有機チタン化合物及び/又は有機ジルコニウム化合物である水性液(D)用ゲル化剤。
(B):1つの遷移金属原子に対して、配位子が共有結合、水素結合及び配位結合からなる群より選ばれる少なくとも1種で結合した化合物。
(a2):(a1)中のカルボキシル基のプロトンがアルカリ金属カチオンで置換されてなるカルボン酸塩。
ゲル化剤の重量を基準として、重合体(A)の含有量が55〜99重量%であり、水溶性遷移金属化合物(B)の含有量が1〜45重量%であり、(B)の重量と(A)の重量との比{(B)の重量/(A)の重量}が0.01〜0.82である請求項1に記載の水性液(D)用ゲル化剤。
重合体(A)において、下記数式(1)により求められる(A)中のアルカリ金属カチオンによる置換モル比(Q)が0.25〜1.0である請求項1又は2に記載の水性液(D)用ゲル化剤。
置換モル比(Q)=(V)/(S+T×2) (1)
[数式(1)中、Sは(A)中のカルボキシル基及びカルボン酸塩の合計モル数であり、Tは(A)中の1,3−ジオキソ−2−オキサプロピレン基の合計モル数、Vは(A)中のアルカリ金属カチオンの合計モル数を表す]
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明において重合体(A)は、カルボキシル基及び/又は1,3−ジオキソ−2−オキサプロピレン基を有するラジカル重合性単量体(a1)及び下記ラジカル重合性単量体(a2)を必須構成単位とする重合体である。
(a2):(a1)中のカルボキシル基のプロトンがアルカリ金属カチオンで置換されてなるカルボン酸塩。
本発明において、重合体(A)は、(a1)及び(a2)を混合したものを重合して得られた重合体でもよく、(a1)を重合したものにアルカリ金属の水酸化物等を反応させて(a1)及び(a2)を必須構成単位とする重合体としてもいい。単量体の反応のし易さの観点から、(a1)を重合したものにアルカリ金属の水酸化物等を反応させて(a1)及び(a2)を必須構成単位とした重合体であることが好ましい。
【0008】
本発明において、カルボキシル基及び/又は1,3−ジオキソ−2−オキサプロピレン(−CO−O−CO−)基を有するラジカル重合性単量体(a1)としては、例えば不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、マレイン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、フマル酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、クロトン酸、ソルビン酸、イタコン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、ケイ皮酸及びシトラコン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル等]、ポリ(2価〜6価)カルボン酸[マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イタコン酸及びシトラコン酸等]並びにポリカルボン酸の酸無水物[無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸及び無水シトラコン酸等]等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリル酸とは、メタクリル酸及び/又はアクリル酸を意味し、「(メタ)アクリル・・・」は「メタクリル・・・」及び/又は「アクリル・・・」を意味する。以下同様に記載する。
ラジカル重合性単量体(a1)の中で、重合性の観点から、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸及び無水フタル酸が好ましく、さらに好ましくは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸である。
【0009】
本発明において、(a2)は、(a1)中のカルボキシル基のプロトンがアルカリ金属カチオンで置換されてなるカルボン酸塩である。なお、(a2)において、カルボキシル基には、1,3−ジオキソ−2−オキサプロピレン基が2個のカルボキシル基に置換されたものを含む。
アルカリ金属カチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオン等が含まれる。これらのアルカリ金属カチオンのうち、吸収特性の観点から、ナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンが好ましく、さらに好ましくはナトリウムイオンである。これらアルカリ金属カチオンは、1種又は2種以上を併用しても良い。
【0010】
アルカリ金属の水酸化物等を反応させる方法としては、アルカリ金属の水酸化物及び/又は塩を添加し、中和又は塩交換する方法が挙げられる。
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
また、アルカリ金属の塩について、対アニオンとしては、例えば、ハロゲンイオン(F
-、Cl
-、Br
-、I
-等)、カルボキシラートアニオン{炭素数1〜10のカルボキシル基含有化合物のイオン(−COO
-)}、リン酸イオン{リン酸又は炭素数1〜10のリン酸基含有化合物のイオン(−OPO
32-)}及びスルホン酸イオン{スルホン酸又は炭素数1〜10のスルホ基含有化合物のイオン(−SO
3-)}等が挙げられる。
これらのアルカリ金属の水酸化物等のうち、反応性の観点から、アルカリ金属の水酸化物が好ましい。
【0011】
重合体(A)において、下記数式(1)により求められる(A)中のアルカリ金属カチオンによる置換モル比(Q)は、ゲル化後のゲルの透明性、ゲルの保形性及びゲル強度の観点から、0.25〜1.0が好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.9、特に好ましくは0.3〜0.8である。
置換モル比(Q)=V/(S+T×2) (1)
[数式(1)中、Sは(A)中のカルボキシル基及びカルボン酸塩の合計モル数であり、Tは(A)中の1,3−ジオキソ−2−オキサプロピレン基の合計モル数、Vは(A)中のアルカリ金属カチオンの合計モル数を表す]
ここで、カルボン酸塩は、カルボン酸のアルカリ金属塩及びカルボン酸の周期律表第2族又は13族に属する多価金属塩を示す。
【0012】
本発明において、(a1)中のカルボキシル基のプロトンがアルカリ金属カチオンで置換されてなるカルボン酸塩以外に、(a1)中のカルボキシル基のプロトンが周期律表第2族又は13族に属する多価金属イオンで置換されてなるカルボン酸塩を構成単位に含むことができる。
周期律表第2族又は13族に属する多価金属イオンとしては、カルシウムイオン及びマグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン並びにアルミニウムイオン等の13族に属する金属の金属イオンが含まれる。
周期律表第2族又は13族に属する多価金属イオンに置換する方法としては、周期律表第2族又は13族に属する多価金属の水酸化物及び/又は塩を添加し、中和又は塩交換する方法が挙げられる。
周期律表第2族又は13族に属する多価金属の水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
また、周期律表第2族又は13族に属する多価金属の塩について、対アニオンとしては、例えば、ハロゲンイオン(F
-、Cl
-、Br
-、I
-等)、カルボキシラートアニオン{炭素数1〜10のカルボキシル基含有化合物のイオン(−COO
-)}、リン酸イオン{リン酸又は炭素数1〜10のリン酸基含有化合物のイオン(−OPO
32-)}及びスルホン酸イオン{スルホン酸又は炭素数1〜10のスルホ基含有化合物のイオン(−SO
3-)}等が挙げられる。
これらの周期律表第2族又は13族に属する多価金属の水酸化物等のうち、反応性の観点から、周期律表第2族又は13族に属する多価金属の水酸化物が好ましい。
【0013】
本発明において、重合体(A)中のアルカリ金属カチオンと周期律表第2族又は13族に属する多価金属イオンのモル比(アルカリ金属カチオンの合計モル数/周期律表第2族又は13族に属する多価金属イオンの合計モル数)は、水溶性の観点から、2.3以上が好ましく、さらに好ましくは4.0以上である。
また、下記数式(2)により求められる周期律表第2族又は13族に属する多価金属による置換率は、水溶性の観点から、0〜0.3が好ましく、さらに好ましくは0〜0.2である。
周期律表第2族又は13族に属する多価金属による置換率=U/(S+T×2) (2)
[数式(2)中、Sは(A)中のカルボキシル基及びカルボン酸塩の合計モル数であり、Tは(A)中の1,3−ジオキソ−2−オキサプロピレン基の合計モル数、Uは(A)中の周期律表第2族又は13族に属する多価金属イオンの合計モル数を表す]
【0014】
(a1)及び(a2)を必須構成単位とする重合体(A)は、(a1)を必須構成単位とする重合体(X)にアルカリ金属の水酸化物等を添加し、中和及び/又は塩交換反応して作成することができる。具体的には、(a1)を必須構成単位とする重合体(X)の固体粉末を水溶液中にスラリー状に分散させてアルカリ金属の水酸化物等を水溶液中に添加しながら接触させて重合体(A)を得る方法、あるいは(a1)を必須構成単位とする重合体(X)の粉末をアルカリ金属の水酸化物等の水溶液に溶解して重合体(A)を得る方法等が好ましく採用される。
また、(a1)を含むモノマー水溶液中にアルカリ金属の水酸化物等を添加し、中和及び/又は塩交換反応して、(a1)及び(a2)を含むモノマー水溶液とし、モノマー水溶液を重合して重合体(A)を作成することもできる。
【0015】
本発明において、重合体(A)は、ラジカル重合性単量体(a1)〜(a2)以外のラジカル重合性単量体(E)を構成単位に加えることができる。
ラジカル重合性単量体(E)としては、水酸基含有ラジカル重合性単量体(E−1)、アルコキシ基含有ラジカル重合性単量体(E−1’)、アクリルアミド基含有ラジカル重合性単量体(E−2)、3級アミノ基含有ラジカル重合性単量体(E−3)、エポキシ基含有ラジカル重合性単量体(E−4)、スルホ基含有ラジカル重合性単量体(E−5)、リン酸エステル基含有ラジカル重合性単量体(E−6)及びその他ラジカル重合性単量体(E−7)が含まれる。
【0016】
(E−1)としては、アルキル基の炭素数が2〜3個のヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重量平均分子量(以下Mwと略す):100〜4,000)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mw:100〜4,000)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(E−1’)としては、(E−1)の水酸基が炭素数1〜10のアルコキシ基で置換された化合物が含まれ、具体的には、メトキシポリエチレングリコール(Mw:100〜4000)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(E−2)としては、(メタ)アクリルアミド及びN−アルキル(炭素数1〜3)置換(メタ)アクリルアミド(N−メチルアクリルアミド及びN、N−ジメチルアクリルアミド等)等が挙げられる。
(E−3)としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
(E−4)としては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(E−5)としては、脂肪族又は芳香族ビニルスルホン酸(ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸及びスチレンスルホン酸等)、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、(メタ)アクリルアルキルスルホン酸[(メタ)アクリル酸スルホエチル及びメタ)アクリル酸スルホプロピル等]及び(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸[2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等]等が挙げられる。また、(E−5)中のスルホ基は、金属(アルカリ金属及び/又は周期律表第2族又は13族に属する多価金属)水酸化物等で中和及び/又は塩交換されていてもいい。具体的には、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)等が挙げられる。ここで、「・・・酸(塩)」とは「・・・酸」及び/又は「・・・酸塩」を意味する。
(E−6)としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルリン酸モノエステル[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びフェニル−2−アクリロイルロキシエチルホスフェート等]等が挙げられる。また、(E−6)中のリン酸エステル基は、金属(アルカリ金属及び/又は周期律表第2族又は13族に属する多価金属)水酸化物等で中和及び/又は塩交換されていてもいい。
(E−7)としては、4−ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
【0017】
上記のラジカル重合性単量体(E)のうち、重合性の観点から、アルキル基の炭素数が2〜3個のヒドロキシルアルキルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(Mw:100〜4,000)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mw:100〜4,000)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(Mw:100〜4,000)モノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル置換(メタ)アクリルアミド(N-メチルアクリルアミド及びN,N−ジメチルアクリルアミド)、N−ビニルアセトアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、スルホアルキル(メタ)アクリレート及びスチレンスルホン酸が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリルアミド及びアルキル基の炭素数が2〜3のヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートである。
単量体(E)は、単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
【0018】
重合体(A)は、ラジカル重合性単量体(a){(a1)を重合後に前記アルカリ金属の水酸化物等と反応させて(a2)を含むものとする場合は(a1)であり、(a1)及び(a2)を含む単量体を重合させる場合は(a1)及び(a2)である}に、必要によりラジカル重合性単量体(E)を加え、溶媒の存在下又は不存在下で、熱ラジカル重合、光ラジカル重合又はアニオン重合等の公知の方法で重合することにより得ることが出来る。重合は例えば0〜200℃で常圧下又は加圧下にて行われる。
熱ラジカル重合の場合はアゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリル等)、過酸化物(t−ブチルパーオキシベンゾエート等)等の重合触媒が、光ラジカル重合の場合は光ラジカル開始剤(ベンゾインアルキルエーテル等)及び必要により増感剤(アントラキノン等)が、アニオン重合の場合はチーグラーナッタ系触媒、メタロセン系触媒等が重合開始剤として使用できる。得られた(共)重合物は溶媒を脱溶媒して使用してもよいし溶媒が存在したままで使用しても良い。任意の水性液をゲル化できる観点から、好ましくは脱溶媒したものである。
【0019】
重合体(A)のMw{ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと記載する)で測定される、ポリスチレン換算の値}は、ゲル化後のゲルの保形性及びゲル強度の観点から、好ましくは2,000〜5,000,000であり、より好ましくは3,000〜3,000,000である。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、カラム:Guardcolum PW
XL、TSKgelG6000PW
XL及びTSKgelG3000PW
XLの3本のカラム、カラム温度:40℃、移動相:メタノール30%水溶液(v/v)(酢酸ナトリウム0.5%(w/v)含有)、流量:1.0mL/min、試料濃度:0.25重量%、注入量:200μLの条件で測定される。
【0020】
重合体(A)の水溶液(5重量%の濃度)の25℃における粘度は、ゲル化後のゲルの透明性、ゲルの保形性及びゲル強度の観点から、5〜100,000mPa・sが好ましく、より好ましくは10〜10,000mPa・sであり、特に好ましくは15〜5,000mPa・sである。
【0021】
水溶性遷移金属化合物(B)とは、25℃にて水90gに(B)を10g攪拌下混合した場合に、水に溶解する率が50重量%以上(5g以上が溶解する)であるものをいう。
本発明において水溶性遷移金属化合物(B)は、重合体(A)と反応して重合体(A)に架橋構造を形成する有機金属化合物であればよく、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機亜鉛化合物、有機クロム化合物、有機ニッケル化合物及び有機バナジウム化合物等が含まれる。
これらの水溶性遷移金属化合物(B)の中で、ゲル化し易さ及び着色の観点から、有機チタン化合物及び有機ジルコニウム化合物が好ましく、さらに好ましくは有機チタン化合物である。
【0022】
水溶性遷移金属化合物(B)は、1つの金属原子に対して、配位子(有機化合物)が共有結合、水素結合及び配位結合からなる群より選ばれる少なくとも1種で結合した化合物である。(B)は2座又はそれ以上の多座で配位することが可能なキレート型配位子を有していることが好ましい。(B)がキレート型配位子を有することで、重合体(A)の架橋反応速度が適度に調整されるので、ゲル化までの時間が数分〜数日間となり、加工に適したゲル化速度となる。
【0023】
キレート型配位子には、ジカルボン酸又はその塩、アミノカルボン酸又はその塩、ヒドロキシカルボン酸又はその塩、ジオール、ジアミン、アミノアルコール及びβ−ジケトンが含まれる。キレート型配位子は、これらに限定されるものではない。
ジカルボン酸としては、炭素数4〜10のジカルボン酸が含まれ、具体的には、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びフタル酸等が挙げられる。塩としては、カリウム、ナトリウム及びリチウム等のアルカリ金属塩並びにカルシウム等のアルカリ土類金属塩が含まれる。
アミノカルボン酸としては、炭素数1〜20のアミノ基及びカルボキシル基を有する化合物が含まれ、具体的には、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、リシン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、システイン及びプロリン等が含まれる。塩としては、カリウム、ナトリウム及びリチウム等のアルカリ金属塩並びにカルシウム等のアルカリ土類金属塩が含まれる。
ヒドロキシカルボン酸としては、炭素数1〜10のヒドロキシル基及びカルボキシル基を有する化合物が含まれ、具体的には、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸及びサリチル酸等が挙げられる。塩としては、カリウム、ナトリウム及びリチウム等のアルカリ金属塩並びにカルシウム等のアルカリ土類金属塩が含まれる。
ジオールとしては、炭素数1〜20の2価のジオールが含まれ、具体的には、エチレングリコール及びジエチレングリコール等が挙げられる。
ジアミンとしては、炭素数1〜20の2価の第一級ジアミン、炭素数3〜20の2価の第二級アミン、炭素数5〜20の2価の第三級アミンが含まれ、具体的には、エチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
アミノアルコールとしては、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を1つ有する第1級アミン、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を1つ以上有する第2級アミン及び炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を1つ以上有する第3級アミンが含まれ、具体的には、トリメタノールアミン及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
β−ジケトンとしては、炭素数5〜10のβ−ジケトンが含まれ、具体的には、アセチルアセトン等が挙げられる。
(B)中、上記キレート型配位子を2種以上有してもよい。また、上記以外のキレート型配位子を有してもよく、キレート型配位子でない配位子を有してもよい。
上記(B)としては、ゲル化後のゲルの透明性、ゲルの低温安定性、ゲルの保形性、ゲル強度及びゲル化速度の観点から、上記キレート型配位子を有している水溶性遷移金属化合物が好ましく、さらに好ましくはキレート型配位子としてヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸及びアミノアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を有している水溶性遷移金属化合物である。
【0024】
有機チタン化合物は、1つのチタン原子に対して、配位子が共有結合、水素結合及び配位結合からなる群より選ばれる少なくとも1種で結合した化合物である。
有機チタン化合物として、ゲル化速度の観点から、チタンラクテート、ジヒドロキシチタンビス(ラクテート)、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンジアンモニウム、ジヒドロキシビス(スレート)、ジ−n−ブトキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)及びチタンテトラキス(アセチルアセトナート)が好ましく、さらに好ましくはチタンラクテート及びチタン(トリエタノールアミネート)である。
【0025】
有機ジルコニウム化合物は、1つのジルコニウム原子に対して、配位子が共有結合、水素結合及び配位結合からなる群より選ばれる少なくとも1種で結合した化合物である。
有機ジルコニウム化合物として、水系ゲルの保形性及び強度の観点から、塩化ジルコニルアミノカルボン酸、モノヒドロキシトリス(ラクテート)、ジルコニウムアンモニウム及びテトラキス(ラクテート)ジルコニウムアンモニウムが好ましい。
【0026】
有機チタン化合物は、上記のキレート型配位子(ジカルボン酸又はその塩、アミノカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ジオール、ジアミン、アミノアルコール及びβ−ジケトン)とチタンテトラアルコキシドとを反応させることにより得ることができる。有機チタン化合物としては、マツモトファインケミカル株式会社よりオルガチックス(登録商標)TC−310(チタンラクテート)、TC−400(チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート))等が市販されている。
また、有機ジルコニウム化合物は、上記のキレート型配位子(ジカルボン酸又はその塩、アミノカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ジオール、ジアミン、アミノアルコール及びβ−ジケトン)とジルコニウムテトラアルコキシド、炭酸ジルコニウム又は炭酸ジルコニウムアンモニウム等とを反応させることにより得ることができる。有機ジルコニウム化合物としては、マツモトファインケミカル株式会社よりオルガチックス(登録商標)ZB−126(塩化ジルコニル化合物アミノカルボン酸)が市販されている。
【0027】
水溶性遷移金属化合物(B)は1種を用いてもよく、2種類以上を用いてもいい。
【0028】
本発明のゲル化剤において、水溶性遷移金属化合物(B)の含有量は、ゲル化剤の重量を基準として、ゲル化後のゲルの保形性及びゲル強度の観点から、1〜45重量%が好ましく、さらに好ましくは3〜40重量%、次にさらに好ましくは4〜40重量%、特に好ましくは5〜25重量%である。
また、重合体(A)の含有量は、架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、ゲル化剤の重量を基準として、ゲル化後のゲルの保形性及びゲルの強度の観点から、55〜99重量%が好ましく、さらに好ましくは60〜97重量%、次にさらに好ましくは60〜96重量%、特に好ましくは75〜95重量%である。
【0029】
本発明のゲル化剤中の(B)の重量と(A)の重量との比{(B)の重量/(A)の重量}は、水性液ゲルの保形性に優れるという観点から、0.01〜0.82が好ましく、さらに好ましくは0.02〜0.70、次にさらに好ましくは0.03〜0.67、特に好ましくは0.04〜0.33である。
【0030】
水性液(D)は、水単独、水に混合可能な水溶性化合物単独及び水に混合可能な水溶性化合物と水との混合物のことであり、水性液ゲルの透明性に優れるという観点から、重合体(A)及び使用する水溶性遷移金属化合物(B)のいずれをも溶解できるものが好ましい。
水に混合可能な水溶性化合物としては、水溶性アルコール、水溶性エーテル、N−メチル−2−ピロリドン及びγ−ブチロラクトン等が挙げられる。
水溶性アルコールとは、25℃の水90gに攪拌混合して5g以上溶解するアルコールである。
水溶性アルコールとして、水への溶解のし易さの観点から、炭素数1〜6で価数が1〜5の脂肪族アルコールが好ましく、さらに好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール及び3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールである。
水溶性エーテルとは、25℃の水90gに攪拌混合して5g以上溶解するエーテルである。
水溶性エーテルとして、具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
水溶性アルコール及び水溶性エーテルとして、疎水性化合物(消臭剤及び/又は芳香剤等)を可溶化させる観点から、メタノール、エタノール、i−プロパノール、プロピレングリコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びN−メチル−2−ピロリドンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0031】
水性液(D)において、水溶性化合物と水の重量比(水溶性化合物の重量/水の重量)は、重合体(A)及び使用する水溶性遷移金属化合物(B)のいずれも溶解できる水性液となる重量比が好ましく、ゲルの保形性、疎水性化合物(消臭剤及び/又は芳香剤等)の溶解のし易さ及びゲル化後の疎水性化合物(消臭剤及び/又は芳香剤等)の香りを阻害しない観点から、0/100〜25/75が好ましく、さらに好ましくは0/100〜23/77、次にさらに好ましくは3/97〜20/80、特に好ましくは5/95〜15/85である。
【0032】
本発明のゲル化剤は、(A)と(B)を予め混合してゲル化剤としてもよく、それぞれ2成分の形で保存し、水性液ゲルを作成する際に混合してもいい。また、本発明のゲル化剤においては、保形性の観点から、(B)を内部架橋剤として使用することが好ましい。
【0033】
本発明のゲル化剤の使用方法としては、ゲル化剤と水性液を使用して水性液ゲルを作成する公知の方法(特開2000−192011号公報等)と同様の方法が用いられ、具体的には、下記(i)〜(iv)の水性液ゲルを作成する方法が含まれる。
(i)(A)と(B)とを含有するゲル化剤と(D)とを混合した後、(A)と(B)とを反応させる方法。
(ii)ゲル化剤の1成分である(A)を水性液(D)に溶解した溶液に、2成分目の(B)を混合した後、(A)と(B)とを反応させる方法。
(iii)ゲル化剤の1成分である(B)を水性液(D)に溶解した溶液に、2成分目の(A)を混合した後、(A)と(B)とを反応させる方法。
(iv)ゲル化剤の1成分である(A)を水性液(D)に溶解した溶液と、ゲル化剤の1成分である(B)を水性液(D)に溶解した溶液とをそれぞれ予め調整した後、両者を混合し、(A)と(B)とを反応させる方法。
本発明のゲル化剤の使用方法として、均一なゲルを得やすい観点から、好ましいのは(iv)である。
上記(i)〜(iv)においては、必要により、水性液(D)中に物質(F)や添加剤(G)を含んでゲルを作成し、本発明の消臭及び/又は芳香剤としてもいい。
【0034】
本発明の水性液ゲルは、上記ゲル化剤で上記水性液(D)をゲル化させてなる水性液ゲルである。本発明の水性液ゲルは、重合体(A)、水溶性遷移金属化合物(B)及び水性液(D)を含む水性液ゲルである。
水性液ゲル中の重合体(A)の含有量は、ゲル化後のゲルの透明性、ゲルの保形性及びゲルの強度、ゲルの臭気抑制の観点から、水性液ゲルの重量を基準として、2.3〜19.8重量%が好ましく、さらに好ましくは3.5〜19.4重量%、特に好ましくは4.4〜19.2重量%である。
水性液ゲル中の水溶性遷移金属化合物(B)の含有量は、ゲル強度、水性液ゲルの美観(ゲルから水分や揮発成分が飛散した後の残存架橋剤の量が多くなり残存するゲルの美観が悪くなる)及び残存架橋剤の臭気の観点から、水性液ゲルの重量を基準として、0.05〜9.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0.15〜6.0重量%、特に好ましくは0.19〜5.0重量%であり、最も好ましくは0.6〜4.3重量%である。
水性液ゲル中の水性液(D)の含有量は、ゲル強度、水性液ゲルの美観(ゲルから水分や揮発成分が飛散した後の残存するゲルの量が多くなると残存するゲルの美観が悪くなる。)の観点から、水性液ゲルの重量を基準として、71.2〜97.65重量%が好ましく、さらに好ましくは74.6〜96.35重量%であり、特に好ましくは75.8〜95.41重量%であり、最も好ましくは76.5〜95重量%である。
【0035】
水性液ゲルとしては、重合体(A)、(B)及び水性液(D)の他に、消臭性及び/又は芳香性を有する物質(F)や他の添加剤(G)等を混合しゲル化させることができる。
【0036】
本発明において、消臭性及び/又は芳香性を有する物質(F)としては、消臭性、芳香性又は消臭兼芳香性を有する物質として一般的に使用されているものでよく、特に制限されない。
消臭性を有する物質としては、イネ、松、ヒノキ、笹等の植物からの抽出物質及び酸又はアルカリ性の水性液等が挙げられる。これらのものを水又は一部溶剤を含んだ水溶液で希釈した水性液として使用することもできる。
芳香性を有する物質としては、例えば、天然香料や合成香料が挙げられる。これらは水溶性のものであればその水溶液として使用することができ、非水溶性のものであれば水と乳化剤及び必要により溶剤などからなる水性エマルジョン又は水性液として使用することができる。ここで、芳香性を有する物質はマスキング効果を兼備するため、実用上消臭性を有するとも言えることがある。
【0037】
天然香料としては、じゃ香、霊猫香及び竜挺香等の動物性香料、アビエス油、アジヨクン油、アルモンド油、アンゲリカルート油、ベージル油、ベルガモット油、バーチ油、ボアバローズ油、カヤブテ油、カナンガ油、カブシカム、キャラウエー油、カルダモン油、カシア油、セロリー油、シンナモン油、シトロネラ油、コニャック油、コリアンダー油、キュベブ油、クミン油、樟脳油、ジル油、エストゴラン油、ユーリカ油、フエンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ホップ油、ジュニパーベリー油、ローレルリーフ油、レモン油、レモングラス油、ロベージ油、メース油、ナツメグ油、マンダリン油、タンゼリン油、カラシ油、はっか油、燈花油、玉ねぎ油、こしょう油、オレンジ油、セイジ油、スターアニス油、テレピン油、ウォームウッド油及びワニラ豆エキストラクト等の植物性香料等が含まれる。
【0038】
合成香料としては、ピネン、リモネンなどの炭化水素、リナロール、ゲラニオール、シトロネオール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β−フェニルエチルアルコール等のアルコール、アネノール及びオイゲノール等のフェノール、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデフド、ヘプチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、ノナジエナール、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン及びワニリン等のアルデヒド、メチルアミルケトン、メチルノニルケトン、ジアセチル、アセチルプロピオニル、アセチルブチリン、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、P−メチルアセトフェノン及びイオノン等のケトン、アミルブチロラクトン、メチルフェニルグリシド酸エチル、γ−ノニルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトン又はオキシド、メチルフオーメート、イソプロピルフオーメート、リナリールフオーメート、エチルアセテート、オクチルアセテート、メンチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ吉草酸ゲラニル、カプロン酸アリル、ヘプチル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ヘプチンカルボン酸メチル、ベラハゴン酸エチル、オクチンカルボン酸メチル、カプリン酸イソアシル、ラウリル酸メチル、ミリスチン酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸ブチル、桂皮酸メチル、桂皮酸シンナミル、サルチン酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、エチルビルベート及びエチルα−ブチルブチレート等のエステル等が含まれる。
【0039】
消臭性及び/又は芳香性を有する物質(F)は一種類のみでもよいし、二種類以上を使用してもいい。
【0040】
水性液ゲル中の消臭性及び/又は芳香性を有する物質(F)の含有量は、その種類により多少異なるが、消臭性能及び/又は香りの持続性の観点から、水性液ゲルの重量を基準として、0.1〜15重量%が好ましい。
【0041】
上述した消臭性及び/又は芳香性を有する物質(F)とともに、バッチュリ油などの揮発保留剤、オイゲノールなどの変調剤、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル及びプロピレングリコールアルキルエーテル等の可溶化溶剤又は揮散調整剤並びにその他香料工業に使用される種々の成分を添加して、物質(F)としてもいい。
【0042】
本発明において、水性液ゲルには、必要により他の添加物(G)を配合することができる。この添加物(G)としては、例えば顔料(蛍光性顔料や蓄光顔料を含む)、染料、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、防腐剤、防かび剤、消泡剤、脱酸素剤、酸化防止剤、界面活性剤、アルコール、忌避剤、充填剤及び増量剤などが挙げられる。
水性液ゲル中の(G)の含有量は、その種類により異なるが、水性液の美観の観点から、水性液ゲルの重量を基準として、0.001〜5重量%が好ましい。
【0043】
上記他の添加物(G)が水性液に不溶性である場合、水性液に不溶性の添加物を配合すれば透過率が低下するので、水性液ゲルの透明性の観点から、水不溶性のものは水性液ゲルの透過率が70%以上になる様に少なく配合することが好ましい。
【0044】
本発明の消臭及び/又は芳香剤は上記ゲル化剤、上記物質(F)並びに上記水性液(D)を含むものである。
ゲル化剤、物質(F)及び水性液(D)として好ましいものは、上記と同様である。
本発明の消臭及び/又は芳香剤中の重合体(A)の含有量は、ゲルの透明性、ゲルの保形性及びゲルの強度及びゲルの臭気抑制の観点から、消臭及び/又は芳香剤の重量を基準として、2.3〜19.8重量%が好ましく、さらに好ましくは3.5〜19.4重量%、特に好ましくは4.4〜19.2重量%である。
本発明の消臭及び/又は芳香剤中の水溶性遷移金属化合物(B)の含有量は、ゲル強度、水性液ゲルの美観及び残存架橋剤の臭気の観点から、消臭及び/又は芳香剤の重量を基準として、0.05〜9.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0.15〜6.0重量%、特に好ましくは0.19〜5.0重量%であり、最も好ましくは0.6から4.3重量%である。
本発明の消臭及び/又は芳香剤中の水性液(D)の含有量は、ゲル強度、水性液ゲルの美観の観点から、消臭及び/又は芳香剤の重量を基準として、56.2〜97.55重量%が好ましく、さらに好ましくは59.6〜96.25重量%であり、特に好ましくは60.8〜95.31重量%であり、最も好ましくは61.5〜94.9重量%である。
本発明の消臭及び/又は芳香剤中の物質(F)の含有量は、その種類により多少異なるが、消臭性能及び/又は香りの持続性の観点から、消臭及び/又は芳香剤の重量を基準として、0.1〜15重量%が好ましい。
【0045】
本発明の水性液ゲルの製造方法は、水性液(D)中で、重合体(A)及び上記水溶性遷移金属化合物(B)を架橋反応させる工程を含む水性液ゲルの製造方法であって、重合体(A)がカルボキシル基及び/又は1,3−ジオキソ−2−オキサプロピレン基を有するラジカル重合性単量体(a1)及び下記ラジカル重合性単量体(a2)を必須構成単位とする重合体である水性液ゲルの製造方法である。
(a2):(a1)中のカルボキシル基のプロトンがアルカリ金属カチオンで置換されてなるカルボン酸塩。
【0046】
本発明の水性液ゲルの製造方法には、下記(i)〜(iv)の方法が含まれる。
(i)(A)と(B)と(D)とを混合して反応させる方法
(ii)(A)を水性液(D)に溶解した溶液と(B)を混合して反応させる方法
(iii)(B)を水性液(D)に溶解した溶液と(A)を混合して反応させる方法
(iv)(A)を水性液(D)に溶解した溶液、(B)を水性液(D)に溶解した溶液をそれぞれ予め調整し、両者を混合して反応させる方法
これらのうち、均一なゲルを得る観点から、(iv)が好ましい。
また、本発明のゲル化剤においては、保形性の観点から、(B)を内部架橋剤として使用することが好ましい。
【0047】
(A)と(B)との架橋反応が進むと反応系の粘度が上昇してくる。更に進むとゲル化する。(A)と(B)とを架橋反応する際の温度及び反応時間は特に限定はないが、水性液が揮散せず、且つ架橋反応のし易さの観点から、反応温度としては、5〜60℃が好ましく、さらに好ましくは15〜58℃、次にさらに好ましくは20〜55℃、特に好ましくは30〜50℃である。
反応時間としては、水性液が揮散せず、且つ架橋反応のし易さの観点から、5〜39℃で反応させる場合は、1分〜10日間で反応が完結することが好ましく、40〜60℃で反応させる場合には1分〜1日間で完結することが好ましい。
【0048】
本発明の製造方法により、透明性の高い水性液ゲルが得られる。水性液ゲルの透明性は透過率(%)で測定ができる。水性液ゲルの透過率(%)は水性液ゲルの美観及びインテリア性の観点(特に、消臭剤及び/又は芳香剤として使用した場合)から、70〜100が好ましく、さらに好ましくは75〜100、特に好ましくは80〜100である。
【0049】
なお、水性液ゲルの透過率(%)は、下記測定方法により測定される。
(透過率の測定法)
密栓付きの光路長10mmのセル中に架橋前の水性液ゲル(後述する実施例における反応前溶液)を仕込み密閉とし、50℃で24時間架橋反応させて水性液ゲルを作成する。更に25℃で6時間温調した後、分光光度計(島津製作所製、UV−1200)にて可視光(700nm)の透過率を測定する。ブランクにはイオン交換水を用いる。
【0050】
本発明の水性液用ゲル化剤で水性液をゲル化した水性液ゲル及び本発明の製造方法で得られた水性液ゲルは、保形性、透明性及び貯蔵安定性に優れているだけでなく、低温及び高温でのゲル安定性に優れている。また、本発明の水性液用ゲル化剤及び本発明の製造方法は、高濃度のアルコールを含有する水性液に香料、忌避剤を混合し、ゲル化できるので、得られた水性液ゲルは、冬場の気温が低い場合でも香料、忌避剤等の薬剤の揮散性に優れる。また、本発明の水性液用ゲル化剤は、室温でも架橋反応が進みゲル化でき、かつゲル化時間が短く、ゲルの製造し易さに優れている。さらに、本発明の水性液ゲルの製造方法は、低い温度でゲルを製造できるので、製造時の香料、忌避剤等の薬剤の揮散や香料、忌避剤等の薬剤の変質が起こりにくい。
【0051】
本発明の水性液ゲル及び本発明の製造方法により得られる水性液ゲルは、消臭及び/又は芳香剤等に広く用いることができる。
【実施例】
【0052】
以下製造例、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を表す。
【0053】
<製造例1>重合体(A1)の調製
ポリアクリル酸1,000,000(43.9部)に水(193.4部)、水酸化ナトリウム(分子量:40.00)の48%水溶液(12.7部)を加え50〜60℃で攪拌すると4時間で均一に溶解した。このようにして得られた水溶液を、減圧乾燥機を用いて乾燥温度105℃、減圧度5kPaで3時間乾燥した後、クッキングミキサーで粉砕して体積平均粒径350μm(日機装社製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計で測定)、置換モル比(Q)が0.25の重合体(A1)を得た。
なお、ポリアクリル酸1,000,000は下記のものを用いた。
ポリアクリル酸1,000,000:ポリアクリル酸、Mw約1,000,000、和光純薬工業社製
製造例1での置換モル比(Q)は、上記数式(1)において、T=0とした下記数式により算出した。
置換モル比(Q)=V/S
S:重合体(A1)の製造に使用したポリアクリル酸中のアクリル酸のモル数(ポリアクリル酸使用量/72.06)
V:重合体(A1)の製造に使用した水酸化ナトリウムのモル数
【0054】
<製造例2>重合体(X1)、重合体(A2)の調製
5リットルのビーカーに、アクリル酸504g(7mol)、50%アクリルアミド水溶液426g(3mol)及び水1950gを添加し、5℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素量を0.1ppmとした後、35%の過酸化水素水0.0005g、L−アスコルビン酸0.00025g及び4,4‘−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)0.125gを添加した。約30分後重合が開始し、約5時間後に最高到達温度約75℃に到達して重合が完結して、含水ゲル状の重合物が得られた。このゲルを、ミートチョッパーで細分化した後、バンド乾燥機(透気乾燥機、井上金属株式会社製)を用いて120℃で1時間乾燥し、粉砕して平均粒径350ミクロンの重合体(X1)を得た。
製造例1において、「ポリアクリル酸1,000,000(43.9部)」に代えて「重合体(X1)を37.1部」、水を「193.4部」に代えて「185.8部」、水酸化ナトリウムの48%水溶液を「12.7部」に代えて「27.1部」用いた以外は同様にして、置換モル比(Q)が0.90の重合体(A2)を得た。置換モル比(Q)は、製造例1と同様の方法で算出した。
【0055】
<製造例3>重合体(A3)の調製
製造例1において、「ポリアクリル酸1,000,000(43.9部)」に代えて「イソバン−18(39.5部)」、水を「193.4部」に代えて「189.2部」、水酸化ナトリウムの48%水溶液を「12.7部」に代えて「21.3部」用いて、反応温度を「50〜60℃」に代えて「90〜100℃」とし、反応時間を「4時間」に代えて「5時間」とした以外は同様な方法により置換モル比(Q)が0.50の重合体(A3)を得た。
イソバン−18:イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、モル比(イソブチレン/無水マレイン酸)=1/1、Mw3.0×10
5〜3.5×10
5、クラレ社製
製造例3での置換モル比(Q)は、上記数式(1)において、S=0とした下記数式により算出した。
置換モル比(Q)=(V)/(T×2)
T:重合体(A3)の製造に使用したイソバン−18中の無水マレイン酸のモル数(イソバン−18の使用量/154.17)
V:重合体(A3)の製造に使用した水酸化ナトリウムのモル数
【0056】
<製造例4>重合体(A4)の調製
製造例1において、「ポリアクリル酸1,000,000(43.9部)」に代えて「イソバン−18(28.9部)」、水を「193.4部」に代えて「177.3部」、「水酸化ナトリウムの48%水溶液(12.7部)」に代えて「水酸化カリウム(分子量:56.10)の48%水溶液(43.8部)」を用いて、反応温度を「50〜60℃」に代えて「90〜100℃」とし、反応時間を「4時間」に代えて「5時間」とした以外は同様な方法により置換モル比(Q)が1.00の重合体(A4)を得た。
製造例4での置換モル比(Q)は、上記数式(1)において、S=0とした下記数式により算出した。
置換モル比(Q)=(V)/(T×2)
T:重合体(A3)の製造に使用したイソバン−18中の無水マレイン酸のモル数(イソバン−18の使用量/154.17)
V:重合体(A4)の製造に使用した水酸化カリウムのモル数
【0057】
<製造例5>重合体(A5)の調製
製造例1において、「ポリアクリル酸1,000,000(43.9部)」に代えて「GANTREZ AN139(37.0部)」、水を「193.4部」に代えて「185.2部」、水酸化ナトリウムの48%水溶液を「12.7部」に代えて「27.8部」用いて、反応温度を「50〜60℃」に代えて「90〜100℃」とし、反応時間を「4時間」に代えて「5時間」とした以外は同様な方法により置換モル比(Q)が0.70の重合体(A5)を得た。
GANTREZ AN139:メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、モル比(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)=1/1、Mw6.90×10
5、アイエスピー・ジャパン社製
製造例5での置換モル比(Q)は、上記数式(1)において、S=0とした下記数式により算出した。
置換モル比(Q)=(V)/(T×2)
T:重合体(A5)の製造に使用したGANTREZ AN139中の無水マレイン酸のモル数(GANTREZ AN139の使用量/156.14)
V:重合体(A5)の製造に使用した水酸化ナトリウムのモル数
【0058】
<製造例6>水性液(D1)の調製
イオン交換水(78部)にエタノール(22部)を加えて均一で透明な水性液(D1)を調製した。
【0059】
<製造例7>水性液(D2)の調製
イオン交換水(90部)にプロピレングリコールモノメチルエーテル(10部)を加えて均一で透明な水性液(D2)を調製した。
【0060】
<製造例8>水性液(D3)の調製
消臭性を有する物質としてエポリオンSK−500(5部)にイオン交換水(85.2部)とエタノール(9.8部)を加え均一に溶解し、水性液(D3)を調製した。
なお、エポリオンSK−500は下記のものを用いた。
エポリオンSK−500:ベタイン化合物、アルコールアミン、有機酸塩化合物及びリン酸の混合物の水溶液(純分40%)、新エポリオン社製
【0061】
<製造例9>水性液(D4)の調製
フローラル系香料(0.5部)にノニポール120(0.5部)、エタノール(15.0部)及びイオン交換水(84.0部)を加え均一に溶解し、水性液(D4)を調製した。
なお、フローラル系香料及びノニポール120は下記のものを用いた。
フローラル系香料:品名”ラベンダー”、品番”OFR−2321”、長谷川香料社製
ノニポール120:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル系非イオン界面活性剤、三洋化成工業(株)製
【0062】
<製造例10>重合体の水性液溶液(A6)の調製
イソバン−18(42.5部)に水酸化ナトリウムの48%水溶液(16.7部)、水(191.3部)を加え90〜100℃で攪拌すると5時間で均一に溶解し、置換モル比(Q)が0.35の重合体の水性液溶液(A6)を得た。
【0063】
<実施例1>水性液ゲル(G1)の調製
製造例1で調製した(A1)を19.2部に、イオン交換水を79.8部加え25℃で5分間攪拌して均一に溶解した後、さらに水溶性遷移金属化合物(B1)としてオルガチックスTC−400(1.0部)を加え、25℃で5分間攪拌して均一で透明な反応前溶液(1)を調製した。このようにして得られた反応前溶液(1)を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G1)を得た。反応前溶液(1)のゲル化時間は、2時間であった。ゲル化時間は、容器(直径3.5cm、高さ12cmの円柱状密栓付きガラス製の容器)に入れた反応前溶液(1)を、50℃恒温槽投入した後、30分おきに容器を取り出して真横(90度)に寝かせ、寝かせてから5秒後に溶液が流動していない時間と規定した(以下同じ)。水性液ゲル(G1)は、重合体(A1)の含有量が19.2%、水溶性遷移金属化合物(B1)の含有量が0.80%、水溶性遷移金属化合物(B1)と重合体(A1)との重量比が0.042、及びアルコール/水の重量比が0.3/99.7であった。
なお、オルガチックスTC−400は下記のものを用いた。
オルガチックスTC−400:チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)のイソプロパノール溶液、固形分80%、マツモトファインケミカル社製
【0064】
<実施例2>水性液ゲル(G2)の調製
製造例1で調製した(A1)を19.2部に製造例7で調製した(D2)79.5部を加え25℃で5分間攪拌して均一に溶解した後、さらに水溶性遷移金属化合物(B1)としてオルガチックスTC−400(1.32部)を加え、25℃で5分間攪拌して均一で透明な反応前溶液(2)を調製した。このようにして得られた反応前溶液(2)を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G2)を得た。水性液ゲル(G2)のゲル化時間は、2時間であった。水性液ゲル(G2)は、重合体(A1)の含有量19.2%、水溶性遷移金属化合物(B1)の含有量1.1%、水溶性遷移金属化合物(B1)/重合体(A1)比0.055、及びアルコール/水の比率10/90であった。
【0065】
<実施例3>水性液ゲル(G3)の調製
製造例1で調製した(A1)を19.2部に80.6部のイオン交換水を加え25℃で5分間攪拌して均一に溶解した後、さらに水溶性遷移金属化合物(B1)としてオルガチックスTC−400(0.24部)を加え、25℃で5分間攪拌して均一で透明な反応前溶液(3)を調製した。このようにして得られた反応前溶液(3)を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G3)を得た。水性液ゲル(G3)のゲル化時間は、5時間であった。水性液ゲル(G3)は、重合体(A1)の含有量19.2%、水溶性遷移金属化合物(B1)の含有量0.19%、水溶性遷移金属化合物(B1)/重合体(A1)比0.01、及びアルコール/水の比率0.06/99.94であった。
【0066】
<実施例4>水性液ゲル(G4)の調製
製造例2で調製した(A2)を4.4部に、製造例6で調製した(D1)を94.2部加え25℃で5分間攪拌して均一に溶解した後、さらに水溶性遷移金属化合物(B2)としてオルガチックスTC−310(1.4部)を加え、25℃で5分間攪拌して均一で透明な反応前溶液(4)を調製した。このようにして得られた反応前溶液(4)を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G4)を得た。水性液ゲル(G4)のゲル化時間は、6時間であった。水性液ゲル(G4)は、重合体(A2)の含有量が4.4%、水溶性遷移金属化合物(B2)の含有量が0.62%、水溶性遷移金属化合物(B2)と重合体(A2)との重量比が0.14、及びアルコール/水の重量比が22/78であった。
なお、オルガチックスTC−310は下記のものを用いた。
オルガチックスTC−310:チタンラクテートのイソプロパノール/水の混合溶液、固形分44%、イソプロパノール40%、水16%、マツモトファインケミカル社製
【0067】
<実施例5>水性液ゲル(G5)の調製
製造例1で調製した(A1)を15.0部に製造例7で調製した(D2)を70.7部加え25℃で5分間攪拌して均一に溶解した後、さらに水溶性遷移金属化合物(B3)としてオルガチックスZB−126(14.3部)を加え、25℃で5分間攪拌して均一で透明な反応前溶液(5)を調製した。このようにして得られた反応前溶液(5)を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G5)を得た。水性液ゲル(G5)のゲル化時間は、7時間であった。本水性液ゲル(G5)は、重合体(A1)の含有量が15.0%、水溶性遷移金属化合物(B3)の含有量が4.3%、水溶性遷移金属化合物(B3)と重合体(A1)との重量比が0.29、及びアルコール/水の重量比が8.8/91.2であった。
なお、オルガチックスZB−126は下記のものを用いた。
オルガチックスZB−126:塩化ジルコニル化合物の水溶液、固形分30%、マツモトファインケミカル社製
【0068】
<実施例6>水性液ゲル(G6)の調製
製造例2で調製した(A2)を15.0部に製造例7で調製した(D2)を70.7部加え25℃で5分間攪拌して均一に溶解した後、さらに水溶性遷移金属化合物(B3)としてオルガチックスZB−126(14.3部)を加え、25℃で5分間攪拌して均一で透明な反応前溶液(6)を調製した。このようにして得られた反応前溶液(6)を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G6)を得た。水性液ゲル(G6)のゲル化時間は、7時間であった。本水性液ゲル(G6)は、重合体(A2)の含有量15.0%、水溶性遷移金属化合物(B3)の含有量4.3%、水溶性遷移金属化合物(B3)/重合体(A2)比0.29、及びアルコール/水の比率8.8/91.2であった。
【0069】
<実施例7>水性液ゲル(G7)の調製
製造例4で調製した(A4)を6.3部に、イオン交換水を92.2部加え25℃で5分間攪拌して均一に溶解した後、さらに水溶性遷移金属化合物(B1)としてオルガチックスTC−400(1.5部)を加え、25℃で5分間攪拌して均一で透明な反応前溶液(7)を調製した。このようにして得られた反応前溶液(7)を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G7)を得た。水性液ゲル(G7)のゲル化時間は、2.5時間であった。本水性液ゲル(G7)は、重合体(A4)の含有量が6.3%、水溶性遷移金属化合物(B−1)の含有量が1.2%、水溶性遷移金属化合物(B1)と重合体(A4)との重量比が0.19、及びアルコール/水の重量比が0.3/99.7であった。
【0070】
<実施例8>水性液ゲル(G8)の調製
製造例4で調製した(A4)を6.3部にイオン交換水を91.0部加え25℃で5分間攪拌して均一に溶解した後、さらに水溶性遷移金属化合物(B2)としてオルガチックスTC−310(2.7部)を加え、25℃で5分間攪拌して均一で透明な反応前溶液(8)を調製した。このようにして得られた反応前溶液(8)を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G8)を得た。水性液ゲル(G8)のゲル化時間は、5時間であった。本水性液ゲル(G8)は、重合体(A4)の量6.3%、水溶性遷移金属化合物(B−1)の量1.2%、水溶性遷移金属化合物(B2)/重合体(A4)比0.19、及びアルコール/水の比率1.2/98.8であった。
【0071】
<実施例9>水性液ゲル(G9)の調製
製造例4で調製した(A4)を6.3部にイオン交換水を89.7部加え25℃で5分間攪拌して均一に溶解した後、さらに水溶性遷移金属化合物(B3)としてオルガチックスZB−126(4.0部)を加え、25℃で5分間攪拌して均一で透明な反応前溶液(9)を調製した。このようにして得られた反応前溶液(9)を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G9)を得た。水性液ゲル(G9)のゲル化時間は、8時間であった。本水性液ゲル(G9)は、重合体(A4)の量6.3%、水溶性遷移金属化合物(B−1)の量1.2%、水溶性遷移金属化合物(B3)/重合体(A4)比0.19、及びアルコール/水の比率0/100であった。
【0072】
<実施例10>水性液ゲル(G10)の調製
製造例4で調製した(A4)を6.3部にイオン交換水88.4部を加え25℃で5分間攪拌して均一に溶解した後、さらに水溶性遷移金属化合物(B1)としてオルガチックスTC−400を5.3部加え、25℃で5分間攪拌して均一で透明な反応前溶液(10)を調製した。このようにして得られた反応前溶液(10)を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G10)を得た。水性液ゲル(G10)のゲル化時間は、1.5時間であった。本水性液ゲル(G10)は、重合体(A4)の含有量6.3%、水溶性遷移金属化合物(B1)の含有量4.2%、水溶性遷移金属化合物(B1)/重合体(A4)比0.67、及びアルコール/水の比率1.2/98.8であった。
【0073】
<実施例11>水性液ゲル(G11)の調製
製造例4で調製した(A4)を6.3部に製造例6で調製した(D1)を87.4部を加え25℃で5分間攪拌して均一に溶解した後、さらに水溶性遷移金属化合物(B1)としてオルガチックスTC−400を6.3部加え、25℃で5分間攪拌して均一で透明な反応前溶液(11)を調製した。このようにして得られた反応前溶液(11)を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G11)を得た。水性液ゲル(G11)のゲル化時間は、1.5時間であった。本水性液ゲル(G11)は、重合体(A4)の含有量6.3%、水溶性遷移金属化合物(B1)の含有量5.0%、水溶性遷移金属化合物(B1)/重合体(A4)比0.80、及びアルコール/水の比率23/77であった。
【0074】
<実施例12>水性液ゲル(G12)の調製
製造例3で調製した(A3)を2.3部に、製造例8で調製した(D3)を96.8部加え25℃で5分間攪拌して均一に溶解した後、さらに水溶性遷移金属化合物(B1)としてオルガチックスTC−400(0.9部)を加え、25℃で5分間攪拌して均一で透明な反応前溶液(12)を調製した。このようにして得られた反応前溶液(12)を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G12)を得た。水性液ゲル(G12)のゲル化時間は、4時間であった。本水性液ゲル(G12)は、重合体(A3)の含有量が2.3%、水溶性遷移金属化合物(B1)の含有量が0.72%、水溶性遷移金属化合物(B1)と重合体(A3)との重量比が0.31、及びアルコール/水の重量比が10/90であった。
【0075】
<実施例13>水性液ゲル(G13)の調製
製造例5で調製した(A5)を8.4部に、製造例9で調製した(D4)を89.6部を加え25℃で5分間攪拌して均一に溶解した後、さらに水溶性遷移金属化合物(B−1)としてオルガチックスTC−400(2.0部)を加え、25℃で5分間攪拌して均一で透明な反応前溶液(13)を調製した。このようにして得られた反応前溶液(13)を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G13)を得た。水性液ゲル(G13)のゲル化時間は、2時間であった。本水性液ゲル(G13)は、重合体(A5)の含有量が8.4%、水溶性遷移金属化合物(B1)の含有量が1.6%、水溶性遷移金属化合物(B1)と重合体(A5)との重量比が0.19、及びアルコール/水の重量比が16/84であった。
【0076】
<実施例14>水性液ゲル(G14)の調製
製造例10で調製した水性液(A6)を31.5部に、イオン交換水を67.0部加え25℃で5分間攪拌して均一に溶解した後、さらに水溶性遷移金属化合物(B1)としてオルガチックスTC−400を1.5部加え、25℃で5分間攪拌して均一で透明な反応前溶液(14)を調製した。このようにして得られた反応前溶液(14)を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G14)を得た。水性液ゲル(G14)のゲル化時間は、5時間であった。本水性液ゲル(G14)は、重合体(A6)の含有量が6.3%、水溶性遷移金属化合物(B1)の含有量が1.2%、水溶性遷移金属化合物(B1)と重合体(A6)との重量比が0.19、及びアルコール/水の重量比が0.3/99.7であった。
【0077】
<比較例1>
特許文献9(特開平1−119258号公報)に記載のカーボポール980を1.5部に、製造例6で調製した(D1)を94.5部加え、攪拌しながら沸騰するまで加熱しカーボポール980を溶解させた後、25℃まで冷却し(a)液を得た。製造例9で使用したフローラル系香料(0.5部)に製造例9で使用したノニポール120(0.5部)を加え、攪拌し溶解して、(b)液を得た。トリエタノールアミン(3.0部)を(c)液とした。次に、(b)液と(c)液を混合し、この混合液に(a)液を加えながら混合すると瞬時に透明なゲルが生成した。このゲルを水性液ゲル(G15)とした。水性液ゲル(G15)のゲル化時間は、0時間であった。
なお、カーボポール980は下記のものを用いた。
カーボポール980:カルボキシビニルポリマー、ビーエフグッドリッチ(BF Goodrich)社製
【0078】
<比較例2>
特許文献12(特開2003−3029号公報)の実施例1に準じて、次の様にジアセトンアクリルアミド共重合体変性ポリビニルアルコールを作成した。
攪拌機、温度計、滴下ロート及び還流冷却器を取り付けたフラスコ内に、酢酸ビニル(672部)、ジアセトンアクリルアミド(10部)、及びメタノール(178部)を仕込み、系内の室素置換を行なった後、内温を60℃まで昇温した。この系に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(1部)をメタノール(50部)に溶解した溶液を添加し重合を開始した。重合開始後、5時間かけて、ジアセトンアクリルアミド(55部)をメタノール(35部)に溶解した溶液を一定速度で滴下し、6時間後に冷却し、重合を停止した。重合収率は78%であった。得られた反応混合物にメタノール蒸気を加えながら残存する酢酸ビニルを留出し、ジアセトンアクリルアミド共重合体成分を含有する酢酸ビニル系重合体の50%メタノール溶液を得た。この混合物(500部)にメタノール(50部)と水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液(10部)とを加えて良く混合し、40℃で鹸化反応を行なった。得られたゲル状物を粉砕し、メタノールでよく洗浄した後に乾燥して、ジアセトンアクリルアミド共重合体変性ポリビニルアルコールを得た。得られたジアセトアクリルアミド共重合変性ビニルアルコール(4部)をイオン交換水(77.4部)に分散させ、90℃に加熱し30分間攪拌を続け完全に溶解させた。次いで、得られた溶液を50℃以下に冷却した後、界面活性剤として、製造例9で使用したノニポール120(0.6部)、エタノール(9.4部)、製造例9で使用したフローラル系香料(0.6部)及び架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジド10重量%水溶液(8部)を混合し、反応前溶液(16)を調製した。続いて、得られた反応前溶液(16)を25℃で二日間放置してゲル化反応させることによって透明な水性ゲル状芳香剤を得た。このゲルを水性液ゲル(G16)とした。水性液ゲル(G16)のゲル化時間は、6時間であった。
【0079】
【表1】
【0080】
実施例1〜14及び比較例1〜2で得た水性液ゲルについて、下記評価方法で評価した結果を表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】
評価方法は、以下の通りである。
(1)ゲルの外観(1)
上記に記載した透過率の評価方法に準じて、作成した水性液ゲル(G1)〜(G16)の透過率を測定した。結果を表2に示す。
【0083】
(2)ゲルの外観(2)
ゲルの外観(1)で使用した水性液ゲル(G1)〜(G16)を−20℃で16時間冷却させたものを25℃で8時間放置し、透過率を測定した。結果を表2に示す。
【0084】
(3)低温での貯蔵安定性
直径4cmの円柱状の密栓付き容器に反応前溶液(1)〜(14)、(16)及び比較例1で得た水性液ゲル(G15)をそれぞれ50gとり、50℃で24時間反応させ(加熱し)て作成したゲルを−25℃恒温槽中に1週間放置し、さらに25℃で8時間放置した後、ゲルの表面の分離物をキムワイプ ワイパーS−200で拭き取り、キムワイプの重量増加分を測定した。結果を表2に示す。重量増加分が少ないほど、低温での貯蔵安定性が高いことを示す。
重量増加分=(拭き取り後のキムワイプの重量)−(拭き取り前のキムワイプの重量)
キムワイプ ワイパーS−200:パルプシート、パルプ100%、シートサイズ(120mm×215mm)、日本製紙クレシア社製。
【0085】
(4)室温でのゲルの保形性
直径3.5cm、高さ12cmの円柱状密栓付きガラス製の容器に半量(底面から6cm)の反応前溶液(1)〜(14)、(16)及び比較例1で得た水性液ゲル(G15)を、密栓をして50℃で24時間反応させ(加熱し)て試料を作成した。さらに25℃で6時間放置した。ゲル上部表面に接する位置(X)に印を付けた後、(X)の印を真下にして容器を真横に寝かせ、寝かせてから1時間後のゲルの先端の位置(Y)に印を付けた。位置(X)から位置(Y)までの距離をゲルの移動距離とし、ゲルの保形性を評価した。結果を表2に示す。なお、ゲルの移動距離が短いほど、室温でのゲルの保形性が高いことを示す。
【0086】
(5)高温でのゲルの保形性
上記に記載の「ゲルの保形性」評価方法で作成した試料を50℃恒温槽中に72時間放置し、50℃の雰囲気下で容器を真横に寝かせ、寝かせてから1時間後に上記に記載の「ゲルの保形性」評価方法に準じてゲルの移動距離を測定した。結果を表2に示す。なお、ゲルの移動距離が短いほど、高温でのゲルの保形性が高いことを示す。
【0087】
表2の結果から、比較例1及び2は、低温でゲルからの離水が発生し、低温での貯蔵安定性が悪いことが分かる。また、比較例1は、架橋構造が形成されていないため室温及び高温での保形性が不良であった。
一方、実施例1〜14の本発明の水性液ゲルは、ゲルの外観(透明性)において、透過率が比較例1及び2と同等又はそれ以上であり、透明性が高いことが分かる。また、作成したゲルの透過率を測定したゲルの外観(1)と−20℃で16時間冷却させたものを25℃で8時間放置したゲルの透過率を測定したゲルの外観(2)とを比較した場合、比較例1及び2に比べて、透過率の変化が少なく、低温での貯蔵安定性が高いことが分かる。また、(3)低温での貯蔵安定性の評価からも、低温での貯蔵安定性が高いことが分かる。さらに、室温での保形性及び高温での保形性にも優れることが分かる。