(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体≫
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位およびジカルボン酸(塩)由来の構造単位を含む。なお、本明細書中において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。また、本明細書中において、「(メタ)アクリル酸(塩)」とは、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸塩を意味し、「ジカルボン酸(塩)」とは、ジカルボン酸および/またはジカルボン酸塩を意味する。
【0014】
上記の「塩」とは、COOMで表されるカルボキシル基の塩であり、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基(アンモニウム塩を構成)、または有機アミノ基(有機アミン塩を構成)である。金属原子としては、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属、鉄などの遷移金属などが挙げられる。有機アミン塩としては、メチルアミン塩、n−ブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジメチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、モルホリン塩、トリメチルアミン塩などの、1級〜4級のアミン塩が挙げられる。Mは、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体を洗浄用途等に使用した場合の洗浄力の向上効果等が優れることから、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子であることが好ましい。
【0015】
(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位とは、(メタ)アクリル酸(塩)が重合することによって形成される重合体構造の構造単位であり、−[CH
2−CR
1(COOM
1)]−で表される構造単位である。ここで、R
1は、水素原子またはメチル基である。また、M
1は、水素原子、金属原子、アンモニウム基(アンモニウム塩を構成)、または有機アミノ基(有機アミン塩を構成)であり、上記のMと同様である。(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0016】
ジカルボン酸(塩)由来の構造単位とは、ジカルボン酸(塩)が重合することによって形成される重合体構造の構造単位である。ジカルボン酸(塩)としては、例えば、マレイン酸(塩)、無水マレイン酸(塩)、フマル酸(塩)、イタコン酸(塩)、無水イタコン酸(塩)、2−メチレングルタル酸(塩)などが挙げられる。ジカルボン酸(塩)としては、好ましくは、マレイン酸(塩)である。ジカルボン酸(塩)がマレイン酸(塩)の場合は、ジカルボン酸(塩)が重合することによって形成される重合体構造の構造単位は、−[CH(COOM
2)−CH(COOM
3)]−で表される。ここで、M
2およびM
3は、水素原子、金属原子、アンモニウム基(アンモニウム塩を構成)、または有機アミノ基(有機アミン塩を構成)であり、上記のMと同様である。ジカルボン酸(塩)由来の構造単位は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0017】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位およびジカルボン酸(塩)由来の構造単位以外の、その他の単量体由来の構造単位を含んでいても良い。このようなその他の単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアルキル基のエステルであるアルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたはその4級化物等のアミノ基含有アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有単量体類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;スチレン等の芳香族ビニル系単量体類;マレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体類;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシ−1−プロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体類およびこれらの塩類;ビニルホスホン酸、(メタ)アリルホスホン酸等のホスホン酸基を有する単量体類;(メタ)アクロレイン等のアルデヒド基含有ビニル系単量体類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、モノアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の不飽和アルコールにアルキレンオキサイドが1モル〜300モル付加した構造を有する単量体であるポリアルキレングリコール鎖含有単量体類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルピロリドン等のその他の官能基を有する単量体類;などが挙げられる。これらのその他の単量体は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0018】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体を構成する(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位とジカルボン酸(塩)由来の構造単位の比率は、モル比で、95:5〜5:95であり、好ましくは92:8〜20:80であり、より好ましくは90:10〜50:50である。本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体を構成する(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位とジカルボン酸(塩)由来の構造単位の比率が上記範囲内に収まることにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。
【0019】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、それを構成する構造単位として、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位とジカルボン酸(塩)由来の構造単位以外の、その他の単量体由来の構造単位を含んでいても良い。このような場合、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位とジカルボン酸(塩)由来の構造単位の合計とその他の単量体由来の構造単位との比率は、モル比で、好ましくは100:0〜80:20であり、より好ましくは100:0〜85:15であり、さらに好ましくは100:0〜90:10である。本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体を構成する(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位とジカルボン酸(塩)由来の構造単位の合計とその他の単量体由来の構造単位との比率が上記範囲内に収まることにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。なお、その他の単量体については、後述する。
【0020】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、その重量平均分子量が、500〜200000であり、好ましくは1000〜150000であり、より好ましくは2000〜120000であり、特に好ましくは3000〜100000である。本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体の重量平均分子量が上記範囲内に収まることにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。
【0021】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体における、カルボキシル基(−COOH)とその塩(−COOM)との割合は、任意の適切な割合を取り得る。本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体における、カルボキシル基(−COOH)とその塩(−COOM)との割合は、カルボキシル基(−COOH)とその塩(−COOM)との合計中の、カルボキシル基(−COOH)の割合として、好ましくは1モル%〜99モル%であり、より好ましくは10モル%〜99モル%であり、さらに好ましくは30モル%〜98モル%であり、特に好ましくは50モル%〜95モル%である。本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体における、カルボキシル基(−COOH)とその塩(−COOM)との割合が上記範囲内に収まることにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、保存安定性に優れ得る。
【0022】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、その構造中にスルフィド結合を有する。ここで、スルフィド結合は、−S−で表される結合である。本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体が、その構造中にスルフィド結合を有することにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、耐ゲル化能が優れ得る。本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体の構造中のスルフィド結合の数は、1個のみであっても良いし、2個以上であっても良い。
【0023】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体がその構造中に有するスルフィド結合は、好ましくは、メルカプト基含有化合物の存在下における重合工程を経て得られる。メルカプト基含有化合物は、官能基としてカルボン酸基、水酸基、スルホン酸基、アミノ基、カチオン基などを有しても良い。官能基は複数個違う種類の官能基を有していても良い。メルカプト基含有化合物としては、例えば、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオコハク酸、チオリンゴ酸、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト―1−プロパンスルホン酸ナトリウム、システイン、これらの塩などが挙げられる。メルカプト基含有化合物は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。好ましくは、カルボン酸基である。
【0024】
≪(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体の製造方法≫
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、好ましくは、(メタ)アクリル酸(塩)およびジカルボン酸(塩)を含む単量体組成物を重合することによって得られる。ここにいう単量体組成物とは、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体を製造するために用いる全単量体の混合物をいう。
【0025】
(メタ)アクリル酸(塩)としては、アクリル酸、メタクリル酸、これらの塩が挙げられる。ここにいう塩としては、上記したものと同様、COOMで表されるカルボキシル基の塩であり、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基(アンモニウム塩を構成)、または有機アミノ基(有機アミン塩を構成)である。金属原子としては、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属、鉄などの遷移金属などが挙げられる。有機アミン塩としては、メチルアミン塩、n−ブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジメチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、モルホリン塩、トリメチルアミン塩などの、1級〜4級のアミン塩が挙げられる。(メタ)アクリル酸(塩)は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0026】
ジカルボン酸(塩)としては、例えば、マレイン酸(塩)、無水マレイン酸(塩)、フマル酸(塩)、イタコン酸(塩)、無水イタコン酸(塩)、2−メチレングルタル酸(塩)などが挙げられる。ジカルボン酸(塩)としては、好ましくは、マレイン酸(塩)である。ここにいう塩としては、上記したものと同様、COOMで表されるカルボキシル基の塩であり、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基(アンモニウム塩を構成)、または有機アミノ基(有機アミン塩を構成)である。金属原子としては、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属、鉄などの遷移金属などが挙げられる。有機アミン塩としては、メチルアミン塩、n−ブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジメチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、モルホリン塩、トリメチルアミン塩などの、1級〜4級のアミン塩が挙げられる。ジカルボン酸(塩)は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0027】
単量体組成物中には、(メタ)アクリル酸(塩)およびジカルボン酸(塩)以外に、その他の単量体を含んでいても良い。このようなその他の単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアルキル基のエステルであるアルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたはその4級化物等のアミノ基含有アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有単量体類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;スチレン等の芳香族ビニル系単量体類;マレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体類;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシ−1−プロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体類およびこれらの塩類;ビニルホスホン酸、(メタ)アリルホスホン酸等のホスホン酸基を有する単量体類;(メタ)アクロレイン等のアルデヒド基含有ビニル系単量体類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、モノアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の不飽和アルコールにアルキレンオキサイドが1モル〜300モル付加した構造を有する単量体であるポリアルキレングリコール鎖含有単量体類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルピロリドン等のその他の官能基を有する単量体類;などが挙げられる。これらのその他の単量体は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0028】
単量体組成物中の、(メタ)アクリル酸(塩)とジカルボン酸(塩)の含有比率は、モル比で、95:5〜5:95であり、好ましくは92:8〜20:80であり、より好ましくは90:10〜50:50である。単量体組成物中の、(メタ)アクリル酸(塩)とジカルボン酸(塩)の含有比率が上記範囲内に収まることにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。
【0029】
単量体組成物がその他の単量体を含む場合、(メタ)アクリル酸(塩)とジカルボン酸(塩)の合計とその他の単量体との含有比率は、モル比で、好ましくは100:0〜80:20であり、より好ましくは100:0〜85:15であり、さらに好ましくは100:0〜90:10である。単量体組成物中の、(メタ)アクリル酸(塩)とジカルボン酸(塩)の合計とその他の単量体との含有比率が上記範囲内に収まることにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。
【0030】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、好ましくは、メルカプト基含有化合物の存在下における重合工程を経て得られる。
【0031】
メルカプト基含有化合物としては、例えば、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオコハク酸、チオリンゴ酸、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト―1−プロパンスルホン酸ナトリウム、システイン、これらの塩などが挙げられる。メルカプト基含有化合物は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0032】
メルカプト基含有化合物の存在下における重合工程は、好ましくは、上記単量体組成物を、過酸化水素と、還元剤と、メルカプト基含有化合物の存在下で重合を行う工程である。
【0033】
過酸化水素は、上記重合工程において、主として重合開始剤として作用し得る。過酸化水素は、例えば、水溶液の形態のもの、他の化合物との錯体の形態のものなどを用いることができる。本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体を製造するにあたっては、水溶液の形態の過酸化水素を用いることが好ましい。水溶液の形態の過酸化水素を用いることにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。
【0034】
過酸化水素の使用量は、単量体組成物1モルに対して、好ましくは0.01g〜5.0gであり、より好ましくは0.05g〜4.0gであり、さらに好ましくは0.1g〜3.0gである。過酸化水素の使用量を上記範囲に収めることにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。
【0035】
メルカプト基含有化合物の存在下における重合工程において、過酸化水素を使用する場合、過酸化水素は主として重合開始剤として作用し得るため、好ましくは、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体の主鎖の末端の一方が水酸基となり得る。また、メルカプト基含有化合物の存在下における重合工程において、過酸化水素を使用する場合、過酸化水素には分散性阻害物質(例えば、硫酸イオンなど)が含まれない点で、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、低温時の安定性に優れ得る。
【0036】
メルカプト基含有化合物の存在下における重合工程において、過酸化水素に加えて、その他の重合開始剤を併用しても良い。このようなその他の重合開始剤としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;などが挙げられる。その他の重合開始剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0037】
その他の重合開始剤の使用量は、単量体組成物1モルに対して、好ましくは0g〜5.0gである。その他の重合開始剤の使用量を上記範囲に収めることにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。
【0038】
還元剤は、上記重合工程において、主として過酸化水素の分解触媒として作用し得る。還元剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。還元剤は、好ましくは、有機化合物の還元剤である。有機化合物の還元剤を用いることにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。
【0039】
有機化合物の還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩、アスコルビン酸エステル、ギ酸、ギ酸塩、シュウ酸、シュウ酸塩、ヒドロキノンなどが挙げられる。ここでいう「塩」は、上記と同様、COOMで表されるカルボキシル基の塩であり、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基(アンモニウム塩を構成)、または有機アミノ基(有機アミン塩を構成)である。金属原子としては、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属、鉄などの遷移金属などが挙げられる。有機アミン塩としては、メチルアミン塩、n−ブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジメチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、モルホリン塩、トリメチルアミン塩などの、1級〜4級のアミン塩が挙げられる。還元剤としては、これらの中でも、好ましくは、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩であり、より好ましくは、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩である。
【0040】
還元剤の使用量は、単量体組成物1モルに対して、好ましくは0.01g〜5.0gであり、より好ましくは0.05g〜3.0gであり、さらに好ましくは0.1g〜2.0gである。還元剤の使用量を上記範囲に収めることにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。
【0041】
還元剤として、無機化合物の還元剤を用いても良い。無機化合物の還元剤としては、例えば、重金属イオン(重金属塩)が挙げられる。このような重金属イオン(重金属塩)としては、例えば、鉄、コバルト、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀、金、鉛、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等のイオン;亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩;亜硫酸水素ナトリウム等の重亜硫酸塩;亜ジチオン酸ナトリウム等の亜ジチオン酸塩;次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸;亜リン酸ナトリウム等の亜リン酸塩;ホウ素化合物;などが挙げられる。
【0042】
メルカプト基含有化合物は、上記重合工程において、主として連鎖移動剤として作用し得る。メルカプト基含有化合物としては、例えば、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオコハク酸、チオリンゴ酸、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト―1−プロパンスルホン酸ナトリウム、システイン、これらの塩などが挙げられる。メルカプト基含有化合物は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0043】
メルカプト基含有化合物は、好ましくは、カルボキシル基を有するメルカプト基含有化合物である。メルカプト基含有化合物として、カルボキシル基を有するメルカプト基含有化合物を用いることにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。
【0044】
メルカプト基含有化合物として、カルボキシル基を有するメルカプト基含有化合物を使用する場合、メルカプト基含有化合物は主として連鎖移動剤として作用し得るため、好ましくは、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体の主鎖の末端の一方がスルフィド結合を介してカルボキシル基となり得る。
【0045】
メルカプト基含有化合物の使用量は、単量体組成物1モルに対して、好ましくは0.1g〜40gであり、より好ましくは0.3g〜30gであり、さらに好ましくは0.5g〜20gである。メルカプト基含有化合物の使用量を上記範囲に収めることにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。
【0046】
メルカプト基含有化合物の存在下における重合工程において、メルカプト基含有化合物に加えて、その他の連鎖移動剤を併用しても良い。このようなその他の連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等の、上記メルカプト基含有化合物以外のチオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等の、ハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸、次亜リン酸塩(次亜リン酸ナトリウムや次亜リン酸カリウム等)、これらの水和物等の、リン酸(塩)類;重亜硫酸、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、これらの塩(重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)等の、重亜硫酸(塩)類;等が挙げられる。その他の連鎖移動剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0047】
その他の連鎖移動剤の使用量は、単量体組成物1モルに対して、好ましくは0g〜10gである。その他の連鎖移動剤の使用量を上記範囲に収めることにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。
【0048】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、好ましくは、(メタ)アクリル酸(塩)およびジカルボン酸(塩)を含む単量体組成物を重合することによって得られる。重合は、重合溶媒中で行っても良いし、無溶媒で行っても良い。重合は、好ましくは、重合溶媒中で行う。重合溶媒としては、例えば、水、水と有機溶媒の混合溶媒、有機溶媒が挙げられ、好ましくは、水、水と有機溶媒の混合溶媒である。この理由は、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体の用途によっては、有機溶媒の存在を極力減らした方が良い場合があるからである。
【0049】
重合濃度は、固形分濃度として、重合溶液に対して、好ましくは10重量%〜70重量%であり、より好ましくは20重量%〜65重量%であり、さらに好ましくは25重量%〜60重量%である。
【0050】
重合温度は、好ましくは70℃以上であり、より好ましくは75℃〜110℃であり、さらに好ましくは80℃〜105℃である。なお、重合温度は、重合反応の進行中において常に一定に保持される必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間や昇温速度にて昇温し、その後に設定温度に保持されるようにしても良い。また、重合反応の進行中に、経時的に、重合温度を変動(昇温や降温)させても良い。
【0051】
重合反応の系内の圧力としては、常圧下(大気圧下)、減圧下、加圧下のいずれであっても良い。好ましくは、常圧下(大気圧下)、加圧下である。
【0052】
重合反応の系内は、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下のいずれであっても良い。
【0053】
重合に用いる単量体の添加方法としては、全使用量を反応器に一括で添加しても良いし、一部または全部を逐次的に(好ましくは連続的に)反応器に添加しても良い。重合に用いる単量体の添加方法としては、好ましくは、一部または全部を逐次的に(好ましくは連続的に)反応器に添加する。重合反応による発熱を制御し得るとともに、重合中に反応系に存在する単量体の濃度を制御し得るからであり、これにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。なお、単量体は、単独で添加しても良いし、水などの溶剤に溶解させて添加しても良いし、他の原料と混合して添加しても良い。
【0054】
過酸化水素を好ましくは必須とする重合開始剤の添加方法としては、全使用量を反応器に一括で添加しても良いし、一部または全部を逐次的に(好ましくは連続的に)反応器に添加しても良い。過酸化水素を好ましくは必須とする重合開始剤の添加方法としては、好ましくは、一部または全部を逐次的に(好ましくは連続的に)反応器に添加する。これにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。なお、過酸化水素を好ましくは必須とする重合開始剤は、単独で添加しても良いし、水などの溶剤に溶解させて添加しても良いし、他の原料と混合して添加しても良い。重合開始剤は、水などの溶剤に溶解して添加することが好ましい。
【0055】
重合に用いる単量体の添加方法として、一部または全部を逐次的に(好ましくは連続的に)反応器に添加する場合、好ましくは、単量体の全量の添加と同時または単量体の全量の添加が終了した後に、過酸化水素を好ましくは必須とする重合開始剤の添加を終了させ、より好ましくは、単量体の全量の添加が終了した後、0分〜2時間の間に、重合開始剤の添加を終了させる。このような時間は、好ましくは15分〜1.5時間である。このような方法で重合に用いる単量体を添加することにより、残存単量体の量を効果的に低減し得る。
【0056】
還元剤の添加方法としては、全使用量を反応器に一括で添加しても良いし、一部または全部を逐次的に(好ましくは連続的に)反応器に添加しても良い。還元剤の添加方法としては、好ましくは、一部または全部を逐次的に(好ましくは連続的に)反応器に添加する。これにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。なお、還元剤は、単独で添加しても良いし、水などの溶剤に溶解させて添加しても良いし、他の原料と混合して添加しても良い。
【0057】
メルカプト基含有化合物を好ましくは必須とする連鎖移動剤の添加方法としては、全使用量を反応器に一括で添加しても良いし、一部または全部を逐次的に(好ましくは連続的に)反応器に添加しても良い。メルカプト基含有化合物を好ましくは必須とする連鎖移動剤の添加方法としては、好ましくは、一部または全部を逐次的に(好ましくは連続的に)反応器に添加する。これにより、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布がより狭小化され得るとともに、耐ゲル化能がより優れ得る。なお、メルカプト基含有化合物を好ましくは必須とする連鎖移動剤は、単独で添加しても良いし、水などの溶剤に溶解させて添加しても良いし、他の原料と混合して添加しても良い。
【0058】
メルカプト基含有化合物を好ましくは必須とする連鎖移動剤の添加方法として、一部または全部を逐次的に(好ましくは連続的に)反応器に添加する場合、好ましくは、単量体の全量の添加と同時または単量体の全量の添加が終了する前に、メルカプト基含有化合物を好ましくは必須とする連鎖移動剤の添加を終了させる。このような方法で重合に用いる単量体を添加することにより、残存単量体の量を効果的に低減し得る。
【0059】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体の製造方法においては、特に重合工程において、重合の促進等を目的として、多価金属イオンを添加してもよい。多価金属イオンとしては、例えば、鉄イオン(Fe
2+、Fe
3+)、バナジウムイオン(V
2+、V
3+、VO
2+)、銅イオン(Cu
2+)などが挙げられる。このような多価金属イオンの中でも、特に好ましくは鉄イオン(Fe
2+、Fe
3+)である。多価金属イオンは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0060】
多価金属イオンの供給形態としては、任意の適切な供給形態を採用し得る。このような供給形態としては、例えば、重合反応系内でイオン化する金属および/または金属化合物を用いる形態が挙げられる。例えば、オキシ三塩化バナジウム、三塩化バナジウム、シュウ酸バナジウム、硫酸バナジウム、無水バナジン酸、メタバナジン酸アンモニウム、硫酸アンモニウムハイポバナダス((NH
4)
2SO
4・VSO
4・6H
2O)、硫酸アンモニウムバナダス((NH
4)V(SO
4)
2・12H
2O)、酢酸銅(II)、臭化銅(II)、銅(II)アセチルアセテート、塩化第二銅、炭酸銅、塩化銅(II)、クエン酸銅(II)、ギ酸銅(II)、水酸化銅(II)、オレイン酸銅(II)、マレイン酸銅、リン酸銅、硫酸銅(II)、鉄アセチルアセトナート、クエン酸鉄アンモニウム、シュウ酸第二鉄アンモニウム、硫酸第一鉄アンモニウム、硫酸第二鉄アンモニウム、クエン酸鉄、フマル酸鉄、マレイン酸鉄、乳酸第一鉄、硝酸第二鉄、鉄ペンタカルボニル、リン酸第二鉄、ピロリン酸第二鉄等の水溶性金属塩、;五酸化バナジウム、酸化銅(II)、酸化第一鉄、酸化第二鉄等の金属酸化物;硫化銅(II)、硫化鉄等の金属硫化物;などが挙げられる。
【0061】
多価金属イオン(上記金属化合物および金属)は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは全量を、初期に反応容器に仕込む。多価金属イオンは、反応液の全量に対して、好ましくは1ppm〜500ppm、より好ましくは3〜400ppmとなるように用いる。多価金属イオンの使用量が上記範囲より少ない場合には、過酸化水素の分解効率が悪くなるおそれがある。多価金属イオンの使用量が上記範囲より多い場合には、着色の原因となるおそれがあり、また、添加効果も現れにくいおそれがある。
【0062】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体の製造方法においては、重合工程に加え、重合工程で製造された共重合体が酸型または部分中和型の場合には、必要に応じて中和工程を含んでいても良い。また、必要に応じて、重合工程で製造された共重合体に他の成分を添加する混合工程、成分の一部を除去したり低減させたりする精製工程、得られる共重合体の溶液の溶媒量を増減する希釈工程や濃縮・乾燥工程が含まれていても良い。すなわち、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体の製造方法は、(メタ)アクリル酸(塩)と前記ジカルボン酸(塩)とを必須に含む単量体をメルカプト基含有化合物の存在下で重合する工程を含み、必要に応じて、その他の工程(例えば上記の中和工程、混合工程、精製工程、希釈工程、濃縮・乾燥工程など)を含んでいても良い。
【0063】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体の製造方法において、重合工程における重合中に滴下する各成分の滴下時間は、好ましくは30分〜420分であり、より好ましくは60分〜360分である。重合工程における重合中に滴下する各成分の滴下時間は、該各成分の滴下時間によって異なっていても良い。各成分の滴下速度は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な速度を採用し得る。例えば、滴下の開始から終了を通じて滴下速度が一定であっても良く、必要に応じて、滴下速度を変化させてもよい。
【0064】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体の製造方法において、重合工程においては、単量体の一部または全部を重合開始前に反応容器(反応液)に添加すること(初期仕込み)も可能である。
【0065】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体の製造方法において、重合工程においては、残存単量体を低減し得るため、ジカルボン酸(塩)の全量を重合開始前に反応容器(反応液)に添加することが好ましい。しかしながら、ジカルボン酸(塩)の一部または全量を重合開始後に添加しても良い。
【0066】
なお、本明細書において「重合開始前」、「重合開始後」とは、それぞれ、重合開始時点より前、重合開始時点より後のことを意味する。また、本明細書において「重合開始時点」とは、最初に重合開始剤の一部または全部と、単量体の一部または全部とが反応容器(反応液)に添加された時点を意味する。
【0067】
≪(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体の用途≫
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、任意の適切な用途に用い得る。このような用途としては、例えば、凝集剤、増粘剤、粘着剤、接着剤、表面コーティング剤、無機繊維の架橋剤、有機繊維の架橋剤、架橋性組成物などが挙げられ、より具体的には、顔料分散剤、洗剤ビルダー、重金属捕捉剤、スケール防止剤、金属表面処理剤、染色助剤、染料定着剤、泡安定剤、乳化安定剤、インク染料分散剤、水性インク安定剤、塗料用顔料分散剤、塗料用シックナー、感圧接着剤、紙用接着剤、スティック糊、医療用接着剤、貼付剤用粘着剤、化粧パック用粘着剤、樹脂用フィラー分散剤、樹脂用親水化剤、記録紙用コーティング剤、インクジェット紙用表面処理剤、感光性樹脂用分散剤、帯電防止剤、保湿剤、肥料用バインダー、医薬錠剤用バインダー、樹脂相溶化剤、写真薬添加剤、化粧用調剤添加剤、整髪料助剤、ヘアスプレー添加剤、サンスクリーン組成物用添加剤などが挙げられる。
【0068】
≪洗剤組成物≫
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、洗剤組成物に好ましく適用し得る。すなわち、本発明の洗剤組成物は、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体を含む。
【0069】
本発明の洗剤組成物は、好ましくは、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体と界面活性剤とを含む。
【0070】
本発明の洗剤組成物中、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体と界面活性剤との配合量としては、任意の適切な配合量を採用し得る。このような配合量としては、例えば、水道水中のマグネシウムイオンの捕捉、クレーの分散、水酸化マグネシウムスケールの沈着防止などの観点から、洗剤組成物全量に対し、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体が、好ましくは1重量%〜20重量%であり、より好ましくは2重量%〜18重量%であり、界面活性剤が、好ましくは5重量%〜60重量%であり、より好ましくは10重量%〜55重量%である。
【0071】
本発明の洗剤組成物は、その性能や効果を阻害しない範囲で、その他の重合体(塩)、例えば、グリオキシル酸系重合体(塩)、ポリアスパラギン酸系重合体(塩)等の公知のポリマービルダーを含んでいても良い。
【0072】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、およびカチオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つを好ましく使用することができる。
【0073】
アニオン界面活性剤としては、任意の適切なアニオン界面活性剤を採用し得る。このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和または不飽和脂肪酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルまたはアルケニルリン酸エステルまたはその塩などが挙げられる。アニオン界面活性剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0074】
ノニオン界面活性剤としては、任意の適切なノニオン界面活性剤を採用し得る。このようなノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイドなどが挙げられる。ノニオン界面活性剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0075】
両性界面活性剤としては、任意の適切な両性界面活性剤を採用し得る。このような両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシ型またはスルホベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。両性界面活性剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0076】
カチオン界面活性剤としては、任意の適切なカチオン界面活性剤を採用し得る。このようなカチオン界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0077】
本発明の洗剤組成物には、洗浄力向上のために、必要に応じて、さらに酵素が配合されていても良い。このような酵素としては、例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼなどが挙げられる。このような酵素の中でも、アルカリ洗浄液中で活性が高い点で、プロテアーゼ、アルカリリパーゼ、ルカリセルラーゼが好ましい。酵素の配合量は、洗剤組成物全量に対し、好ましくは0.01重量%〜1重量%である。酵素の配合量がこの範囲を外れると、界面活性剤とのバランスがくずれ、洗浄力を向上させることができないおそれがある。
【0078】
本発明の洗剤組成物には、必要に応じて、公知のアルカリビルダー、キレートビルダー、再付着防止剤、蛍光剤、漂白剤、香料等の公知の洗剤組成物に常用される成分がさらに配合されていても良い。また、本発明の洗剤組成物には、洗浄力を大幅に向上できる点で、ゼオライトを配合しても良い。アルカリビルダーとしては、例えば、珪酸塩、炭酸塩、硫酸塩などを用いることができる。キレートビルダーとしては、例えば、HIDS(ヒドロキシイミノジコハク酸塩)、IDS(イミノジコハク酸塩)、CMOS(カルボキシメチルオキシサクシネート)、ジグリコール酸、オキシカルボン酸塩、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン六酢酸)、クエン酸、ss−EDDS(ss−エチレンジアミンジサクシネート)、MGDA(メチルグリシン三酢酸塩)、GLDA(L−グルタミン酸二酢酸塩)などを用いることができる。また、洗浄力向上の目的で、ポリエチレンイミンへのEO(エチレンオキシド)付加物等の物質をソイルリリーシングエージェント(soil releasing agent)として併用してもよい。
【0079】
≪水処理剤≫
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、水処理剤に用いることができる。すなわち、本発明の水処理剤は、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体を含む。このような水処理剤には、必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤などが含まれていても良い。
【0080】
本発明の水処理剤は、冷却水循環系、ボイラー水循環系、海水淡水化装置、逆浸透膜処理装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等でのスケール防止に有用である。また、本発明の水処理剤は、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでもよい。
【0081】
本発明の水処理剤中、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体と水やその他の添加剤との配合量としては、任意の適切な配合量を採用し得る。このような配合量としては、例えば、冷却水循環系中の水中の炭酸カルシウム及び水酸化鉄のスケールを抑制する観点から、水処理剤全量に対し、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体が、好ましくは0.1重量%〜100重量%であり、より好ましくは1重量%〜70重量%である。
【実施例】
【0082】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、特に明記しない限り、実施例における部及び%は重量基準である。
【0083】
<重量平均分子量および数平均分子量の測定>
(実施例1〜3、比較例1について)
装置:東ソー製 高速GPC装置(HLC−8320GPC)
検出器:RI
カラム:東ソーTSK−GEL G−4000PW、G−3000PW
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min
検量線:創和科学株式会社製 POLYACRYLIC ACID STANDARD
溶離液:0.08Mリン酸水溶液
(実施例4〜6、比較例2について)
装置:東ソー製 高速GPC装置(HLC−8320GPC)
検出器:RI
カラム:昭和電工製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ、GF−710−HQ、GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min
検量線:創和科学株式会社製 POLYACRYLIC ACID STANDARD
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム水溶液
【0084】
<残存モノマーの測定>
装置:Waters製 Aliance e−2695 システム
検出器:UV検出器(200nm)
カラム:昭和電工製 SHODEX RSpak DE−413L
カラム温度:40℃
流速:1.0ml/min
溶離液:0.1%リン酸水溶液
【0085】
<耐ゲル化能の測定>
(1)グリシン:67.6g、塩化ナトリウム52.6g、1mol/LのNaOH水溶液:60mlに、イオン交換水を加えて、600gとし、グリシン緩衝液を調製した。
(2)グリシン緩衝液:54gに、純粋を加えて、1000gとした。
(3)固形分換算で1%のサンプル水溶液(測定すべき共重合体の水溶液)を調製した。
(4)100mlビーカーに、(2)の水溶液:80g、(3)の水溶液:2.5gを加えた。
(5)自動滴定装置によって、(4)の水溶液に、1mol/L塩化カルシウム水溶液を滴下した。光度電極によって水溶液の濁度を測定し、液に濁りが生じる滴定量を求めた。
(6)濁りが生じた滴定量から、以下の式によって、耐ゲル化能を求めた。
(7)耐ゲル化能=[〔滴定量(ml)×0.1〕/〔2.5×0.01〕]×100
【0086】
<固形分の測定>
130℃に加熱したオーブンで共重合体組成物(共重合体組成物1.0gに水1.0gを加えたもの)を1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)と揮発成分(%)を算出した。
【0087】
〔実施例1〕
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えたSUS製反応器に、無水マレイン酸(MANと略する):43.6g(0.44mol)、48%NaOH水溶液:16.7g(0.20mol)、純水:116.9gを仕込み、100℃まで昇温した。
次に、80%アクリル酸水溶液(80%AAと略する):360g(4.0mol)を180分間で、30%3−メルカプトプロピオン酸水溶液(30%MPAと略する):66.7g(0.19mol)を180分間で、5%過酸化水素水溶液(5%H
2O
2と略する):44.4g(0.0147mol)と2%L−アスコルビン酸水溶液(2%L−Asと略する):44.4g(0.0050mol)を240分間で、それぞれ別々に連続的に滴下した。
5%H
2O
2と2%L−Asの滴下終了後、30分間撹拌し、48%NaOH水溶液:389.5gと純水:139.2gを別々に添加し(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体(1)を得た。
残存モノマー量は、残存アクリル酸が380.0ppm、残存マレイン酸が80ppmであり、ほぼ完全に反応が進行した。固形分は40.5%であった。
結果を表1に示した。
【0088】
〔実施例2〕
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えたSUS製反応器に、無水マレイン酸(MANと略する):43.6g(0.44mol)、48%NaOH水溶液:20.7g(0.25mol)、純水:153.4gを仕込み、90℃まで昇温した。
次に、80%アクリル酸水溶液(80%AAと略する):360g(4.0mol)を180分間で、30%3−メルカプトプロピオン酸水溶液(30%MPAと略する):103.7g(0.29mol)を180分間で、5%過酸化水素水溶液(5%H
2O
2と略する):44.4g(0.0147mol)と2%L−アスコルビン酸水溶液(2%L−Asと略する):44.4g(0.0050mol)を240分間で、それぞれ別々に連続的に滴下した。
5%H
2O
2と2%L−Asの滴下終了後、30分間撹拌し、48%NaOH水溶液:346.3gと純水:87.8gを別々に添加し(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体(2)を得た。
残存モノマー量は、残存アクリル酸が900.0ppm、残存マレイン酸が200ppmであり、ほぼ完全に反応が進行した。固形分は41.3%であった。
結果を表1に示した。
【0089】
〔実施例3〕
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えたSUS製反応器に、無水マレイン酸(MANと略する):43.6g(0.44mol)、48%NaOH水溶液:10.4g(0.12mol)、純水:153.4gを仕込み、90℃まで昇温した。
次に、80%アクリル酸水溶液(80%AAと略する):360g(4.0mol)を180分間で、30%3−メルカプトプロピオン酸水溶液(30%MPAと略する):212.3g(0.64mol)を180分間で、5%過酸化水素水溶液(5%H
2O
2と略する):44.4g(0.0147mol)と2%L−アスコルビン酸水溶液(2%L−Asと略する):44.4g(0.0050mol)を240分間で、それぞれ別々に連続的に滴下した。
5%H
2O
2と2%L−Asの滴下終了後、30分間撹拌し、48%NaOH水溶液:401.3gと純水:54.6gを別々に添加し(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体(3)を得た。
残存モノマー量は、残存アクリル酸が460.0ppm、残存マレイン酸が1ppm未満であり、ほぼ完全に反応が進行した。固形分は41.0%であった。
結果を表1に示した。
【0090】
〔比較例1〕
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えたSUS製反応器に、無水マレイン酸(MANと略する):131.3g(1.34mol)、48%NaOH水溶液:62.5g(0.75mol)、純水:461.5gを仕込み、90℃まで昇温した。
次に、80%アクリル酸水溶液(80%AAと略する):1080g(12mol)を180分間で、15%過硫酸ナトリウム水溶液(15%NaPSと略する):266.8g(0.0095mol)を180分間で、35%重亜硫酸ナトリウム水溶液(35%SBSと略する):381.1g(1.28mol)を170分間で、それぞれ別々に連続的に滴下した。
15%NaPSの滴下終了後、30分間撹拌し、48%NaOH水溶液:1116.7gを添加し(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体(C1)を得た。
残存モノマー量は、残存アクリル酸が8ppm、残存マレイン酸が1ppm未満であり、ほぼ完全に反応が進行した。固形分は44.3%であった。
結果を表1に示した。
【0091】
〔実施例4〕
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えたSUS製反応器に、無水マレイン酸(MANと略する):98g(1.00mol)、48%NaOH水溶液:166.7g(2.00mol)、純水:135.5gを仕込み、100℃まで昇温した。
次に、80%アクリル酸水溶液(80%AAと略する):338.3g(3.8mol)を180分間で、48%NaOH水溶液:213.5g(2.562mol)を180分間で、30%3−メルカプトプロピオン酸水溶液(30%MPAと略する):31.7g(0.09mol)を180分間で、5%過酸化水素水溶液(5%H
2O
2と略する):57.1g(0.084mol)と2%L−アスコルビン酸水溶液(2%L−Asと略する):47.6g(0.0050mol)を240分間で、それぞれ別々に連続的に滴下した。
5%H
2O
2と2%L−Asの滴下終了後、30分間撹拌し、48%NaOH水溶液:48.7gと純水:340.8gを別々に添加し(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体(4)を得た。
残存モノマー量は、残存アクリル酸が340.0ppm、残存マレイン酸が740ppmであり、ほぼ完全に反応が進行した。固形分は37.6%であった。
結果を表1に示した。
【0092】
〔実施例5〕
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えたSUS製反応器に、無水マレイン酸(MANと略する):98g(1.00mol)、48%NaOH水溶液:166.7g(2.00mol)、純水:135.5gを仕込み、100℃まで昇温した。
次に、80%アクリル酸水溶液(80%AAと略する):338.3g(3.8mol)を180分間で、48%NaOH水溶液:212.3g(2.562mol)を180分間で、30%3−メルカプトプロピオン酸水溶液(30%MPAと略する):25.4g(0.07mol)を180分間で、5%過酸化水素水溶液(5%H
2O
2と略する):47.6g(0.070mol)と2%L−アスコルビン酸水溶液(2%L−Asと略する):47.6g(0.0050mol)を240分間で、それぞれ別々に連続的に滴下した。
5%H
2O
2と2%L−Asの滴下終了後、30分間撹拌し、48%NaOH水溶液:48.7gと純水:340.8gを別々に添加し(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体(5)を得た。
残存モノマー量は、残存アクリル酸が310.0ppm、残存マレイン酸が740ppmであり、ほぼ完全に反応が進行した。固形分は36.4%であった。
結果を表1に示した。
【0093】
〔実施例6〕
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えたSUS製反応器に、無水マレイン酸(MANと略する):98g(1.00mol)、48%NaOH水溶液:166.7g(2.00mol)、純水:135.5gを仕込み、100℃まで昇温した。
次に、80%アクリル酸水溶液(80%AAと略する):338.3g(3.8mol)を180分間で、48%NaOH水溶液:212.3g(2.562mol)を180分間で、30%3−メルカプトプロピオン酸水溶液(30%MPAと略する):19g(0.04mol)を180分間で、5%過酸化水素水溶液(5%H
2O
2と略する):48.7g(0.070mol)と2%L−アスコルビン酸水溶液(2%L−Asと略する):47.6g(0.0050mol)を240分間で、それぞれ別々に連続的に滴下した。
5%H
2O
2と2%L−Asの滴下終了後、30分間撹拌し、48%NaOH水溶液:48.7gと純水:340.8gを別々に添加し(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体(6)を得た。
残存モノマー量は、残存アクリル酸が220.0ppm、残存マレイン酸が200ppmであり、ほぼ完全に反応が進行した。固形分は36.4%であった。
結果を表1に示した。
【0094】
〔比較例2〕
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えたSUS製反応器に、無水マレイン酸(MANと略する):98g(1.00mol)、48%NaOH水溶液:166.7g(2.00mol)、純水:135.5gを仕込み、100℃まで昇温した。
次に、80%アクリル酸水溶液(80%AAと略する):338.3g(3.8mol)を180分間で、48%NaOH水溶液:208.3g(2.5mol)を180分間で、35%過酸化水素水溶液(35%H
2O
2と略する):8.2g(0.084mol)を120分後から60分間で、15%過硫酸ナトリウム水溶液(15%NaPSと略する):64g(0.04mol)を190分間で、それぞれ別々に連続的に滴下した。
15%NaPSの滴下終了後、30分間撹拌し、48%NaOH水溶液:48.3gを添加し(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体(C2)を得た。
残存モノマー量は、残存アクリル酸が150.0ppm、残存マレイン酸が400ppmであり、ほぼ完全に反応が進行した。固形分は40.0%であった。
結果を表1に示した。
【0095】
【表1】
【0096】
表1に示すように、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、分子量分布が狭小化されている。例えば、重量平均分子量Mwが同レベル同士のもので比較した場合、比較例1に比べて実施例3の分子量分布は狭小化されており、また、比較例2に比べて実施例4〜6の分子量分布は狭小化されている。さらに、表1に示すように、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)−ジカルボン酸(塩)系共重合体は、耐ゲル化能に優れる。例えば、比較例1に比べて実施例1〜3は耐ゲル化能に優れ、比較例2に比べて実施例1〜3は耐ゲル化能に優れる。