特許第6087701号(P6087701)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087701
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170220BHJP
【FI】
   A63F7/02 312Z
   A63F7/02 316A
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-76645(P2013-76645)
(22)【出願日】2013年4月2日
(65)【公開番号】特開2014-200350(P2014-200350A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2015年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100114605
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 久彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 臣
(72)【発明者】
【氏名】石田 嘉也
【審査官】 辻野 安人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−183862(JP,A)
【文献】 特開平07−213698(JP,A)
【文献】 特開2003−325795(JP,A)
【文献】 特開2007−020985(JP,A)
【文献】 特開平03−165790(JP,A)
【文献】 特開2008−125564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
打球発射装置によって発射された遊技球が導かれる遊技領域を有する遊技盤と、
前記遊技領域に配設され、図柄を変動させる図柄変動ゲームの結果が特定結果になったことを契機として、前記遊技領域に区画される遊技球の流下経路を遮断するように作動することにより、前記遊技領域内に導かれた遊技球入賞可能とる入賞装置と
を備える遊技機であって
前記遊技領域において前記入賞装置の下流側に、前記遊技領域内を流下する遊技球が入賞可能な別の入賞装置が配設され、
前記入賞装置への遊技球の入賞を契機として払い出される賞球数が、前記別の入賞装置への遊技球の入賞を契機として払い出される賞球数よりも多くなっており、
前記入賞装置の作動時に、前記入賞装置と前記遊技領域内に配設された遊技部材とによって、前記遊技領域内に導かれた遊技球を前記入賞装置に入賞させる入賞経路が形成可能であり、
前記入賞装置の作動時に前記流下経路が遮断されることにより、前記別の入賞装置への入賞率が低下する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記遊技盤は、前記遊技領域の最下部に配設され、前記入賞装置にも前記別の入賞装置にも入賞しなかった遊技球を回収するためのアウト口を備え、
前記遊技領域に、
前記打球発射装置によって発射された遊技球を前記アウト口に導く第1のルートと、
前記第1のルートとは異なるルートであって、前記打球発射装置によって発射された遊技球を前記アウト口に導くルートである第2のルートと
が構成され、
前記第2のルートに存在する遊技釘の数が前記第1のルートに存在する遊技釘の数よりも少なくなっており、
前記第2のルートに、前記入賞装置と前記別の入賞装置とが配設されている
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技領域の右上部に、前記打球発射装置によって発射されて前記遊技領域内に導かれた遊技球を跳ね返す返しゴムが配設され、
前記入賞装置に、左右方向に往復動可能な蓋部材が設けられ、
前記遊技部材及び前記蓋部材が、前記返しゴムにおいて遊技球が接触する位置よりも下方に位置している
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記打球発射装置によって発射された遊技球は、遊技盤面上にある内レールと外レールとの間に生じる発射経路を通過した後で前記遊技領域に進入し、
前記発射経路の終端部から前記入賞装置に到達するまでの経路上には、前記遊技領域内を流下する遊技球の方向を変更する遊技釘が植設されていない
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入賞装置などを備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種であるパチンコ機においては、始動入賞装置への遊技球の入賞を契機として、複数種類の図柄を変動させる図柄変動ゲームが行われている。そして、図柄変動ゲームの結果が大当りとなった場合には、大当り遊技状態が付与され、1回の大当り遊技状態において複数のラウンド演出が連続的に実行されるようになっている。各ラウンド演出では、大入賞装置の開放動作によって遊技球の入賞が可能となるため、短時間で多量の賞球を獲得できるチャンスが遊技者に付与される。なお、1回のラウンド演出は、大入賞装置が開放状態に切り替えられたままの状態で規定開放時間(例えば25秒)を経過した場合、または、規定開放時間の経過前に規定入賞個数(本実施形態では10個)の遊技球が大入賞装置に入賞した場合に終了する。
【0003】
ところで、連続的にラウンド演出が実行される場合、遊技者は、より多くの賞球を獲得するために、「全てのラウンド演出(大当り遊技状態)を早く消化して、次の大当りを獲得したい」と考える。そこで、遊技領域の左側よりも遊技釘が少ない遊技領域の右側に大入賞装置(アタッカー)を配置した遊技機が提案されている(例えば特許文献1参照)。このようにすれば、遊技球が大入賞装置に入賞するまでの経路に存在する遊技釘(障害物)が少なくなるため、遊技球が遊技釘に衝突しにくくなる。しかも、遊技者は、遊技領域の右側に遊技球を到達させるために、遊技球を強く発射するようになる。その結果、大入賞装置に遊技球が早く到達するようになるため、大当り遊技状態の消化スピードを向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−012185号公報(図3図4等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の技術では、確かに、大当り遊技状態の消化スピードが向上する。しかし、大入賞装置は遊技領域の右下部に位置しているため、遊技球が発射される発射経路の終端部から大入賞装置までの距離は、大入賞装置を遊技領域の下部中央に配置した従来の場合と比較して、さほど変わる訳ではない。よって、消化スピードを向上させる余地がまだ残っているものと考えられる。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、大当り遊技状態の消化スピードをさらに向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1(手段1)に記載の発明は、打球発射装置によって発射された遊技球が導かれる遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技領域に配設され、図柄を変動させる図柄変動ゲームの結果が特定結果になったことを契機として、前記遊技領域に区画される遊技球の流下経路を遮断するように作動することにより、前記遊技領域内に導かれた遊技球入賞可能とる入賞装置とを備える遊技機であって、前記遊技領域において前記入賞装置の下流側に、前記遊技領域内を流下する遊技球が入賞可能な別の入賞装置が配設され、前記入賞装置への遊技球の入賞を契機として払い出される賞球数が、前記別の入賞装置への遊技球の入賞を契機として払い出される賞球数よりも多くなっており、前記入賞装置の作動時に、前記入賞装置と前記遊技領域内に配設された遊技部材とによって、前記遊技領域内に導かれた遊技球を前記入賞装置に入賞させる入賞経路が形成可能であり、前記入賞装置の作動時に前記流下経路が遮断されることにより、前記別の入賞装置への入賞率が低下することを特徴とする遊技機をその要旨とする。
【0008】
従って、請求項1に記載の発明によると、入賞装置が遊技領域の上部に配設される場合には、入賞装置が遊技領域の下部に配設される従来技術に比べて、遊技球が発射される発射経路の終端部から入賞装置までの距離が短くなる。その結果、入賞装置に遊技球が早く到達するようになるため、大当り遊技状態の消化スピードを向上させることができる。しかも、入賞装置の作動時、即ち、図柄変動ゲームの結果が特定結果になったときには、入賞装置と、入賞装置の周辺部材である遊技部材とを用いて、遊技球を入賞装置に入賞させる入賞経路が形成される。その結果、入賞装置に遊技球が確実に到達するようになるため、大当り遊技状態の消化スピードをさらに向上させることができる。
【0009】
なお、入賞装置は、図柄変動ゲームの結果が特定結果となったことを契機として作動することにより、遊技領域内に導かれた遊技球が入賞可能となる。なお、遊技球が入賞可能となる状態の具体例としては、例えば、入賞装置に設けられた入賞口扉が完全に開くことにより、遊技球が入賞可能となる状態、入賞装置に設けられた電動役物を構成する一対の羽根部材が開くことにより、遊技球が入賞可能となる状態、入賞装置を閉鎖する蓋部材が突出(またはスライド)して入賞装置が開放されることにより、遊技球が入賞可能となる状態、などが挙げられる。
【0010】
また、遊技部材としては、遊技領域に配設された役物などを挙げることができる。なお、遊技部材は、遊技球が転動する遊技球転動面を上面に有することがよい。
【0011】
さらに、入賞装置と遊技部材とによって入賞経路を形成する具体例としては、入賞口扉を開いて、入賞口扉の内側面を遊技球転動面と面一にすることにより、入賞経路を形成することや、一対の羽根部材を開いて、一方の羽根部材の内側面を遊技球転動面と面一にすることにより、入賞経路を形成することや、蓋部材を突出させて、蓋部材に設けられた案内面を遊技球転動面と面一にすることにより、入賞経路を形成することなどが挙げられる。
【0013】
また、請求項に記載の発明によると、入賞装置が遊技球の流下経路を遮断するように作動することにより、流下してくる遊技球を効率良く入賞装置に入賞させることができる。また、入賞装置は、図柄変動ゲームの結果が特定結果になった場合のみに流下経路を遮断するため、図柄変動ゲームの結果が特定結果ではない場合に遊技球の流下を妨げなくて済む。
請求項2(手段2)に記載の発明は、請求項1において、前記遊技盤は、前記遊技領域の最下部に配設され、前記入賞装置にも前記別の入賞装置にも入賞しなかった遊技球を回収するためのアウト口を備え、前記遊技領域に、前記打球発射装置によって発射された遊技球を前記アウト口に導く第1のルートと、前記第1のルートとは異なるルートであって、前記打球発射装置によって発射された遊技球を前記アウト口に導くルートである第2のルートとが構成され、前記第2のルートに存在する遊技釘の数が前記第1のルートに存在する遊技釘の数よりも少なくなっており、前記第2のルートに、前記入賞装置と前記別の入賞装置とが配設されていることをその要旨とする。
【0014】
請求項3(手段3)に記載の発明は、請求項1または2において、前記遊技領域の右上部に、前記打球発射装置によって発射されて前記遊技領域内に導かれた遊技球を跳ね返す返しゴムが配設され、前記入賞装置に、左右方向に往復動可能な蓋部材が設けられ、前記遊技部材及び前記蓋部材が、前記返しゴムにおいて遊技球が接触する位置よりも下方に位置していることをその要旨とする。
【0015】
ところで、遊技領域の右上部に入賞装置が配置されている場合、遊技者は、入賞装置を狙って遊技球を発射(いわゆる右打ち)する。このとき、遊技者は、遊技領域の左側にある遊技球の発射経路から遊技領域の右側にある入賞装置に遊技球を到達させるために、遊技球を強く発射するようになるため、遊技球の発射スピードも高くなる傾向にある。そこで、請求項3では、遊技球の右上部に返しゴムを配置している。このため、発射された遊技球は、返しゴムに勢い良く接触した後、入賞装置に導かれる。その結果、遊技球が確実に入賞装置に入賞するようになるため、大当り遊技状態の消化スピードをよりいっそう高めることができる。
【0016】
請求項4(手段3)に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記打球発射装置によって発射された遊技球は、遊技盤面上にある内レールと外レールとの間に生じる発射経路を通過した後で前記遊技領域に進入し、前記発射経路の終端部から前記入賞装置に到達するまでの経路上には、前記遊技領域内を流下する遊技球の方向を変更する遊技釘が植設されていないことをその要旨とする。
【0017】
従って、請求項4に記載の発明によると、遊技球が入賞装置に到達するまでの間に、遊技釘に対する遊技球の衝突が防止される。その結果、入賞装置に遊技球がより早く到達するようになるため、大当り遊技状態の消化スピードをよりいっそう高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上詳述したように、請求項1〜4に記載の発明によれば、大当り遊技状態の消化スピードをさらに向上させることが可能な遊技機を提供することができる。特に、請求項に記載の発明によれば、流下してくる遊技球を効率良く入賞装置に入賞させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明におけるパチンコ機を示す概略正面図。
図2】遊技盤を示す正面図。
図3】遊技盤の要部を示す正面図。
図4】主制御基板とその他の基板との接続関係を説明するためのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の遊技機をパチンコ機10に具体化した一実施形態を図面に基づき説明する。
【0021】
(1)パチンコ機10全体の概略構成
図1には、パチンコ機10の機表側が略示されている。このパチンコ機10は機体の外郭をなす縦長方形状の外枠11を備えている。外枠11には、機体を構成する縦長方形状の中枠12が、開閉及び着脱自在に組み付けられている。また、中枠12の前面側には、前枠14が横開き状態で開閉可能に組み付けられている。前枠14は、中央部に窓口14aを有するとともに、窓口14aの下方に上球皿15が一体的に組み付けられた構造を有している。前枠14の裏面側には、機内部に配置された遊技盤13を透視保護するためのガラス(図示略)が組み付けられている。また、前枠14の前面には、上側枠ランプ16a、左側枠ランプ16b及び右側枠ランプ16cが設けられている。各枠ランプ16a〜16cは、図示しない発光体(本実施形態では発光ダイオード)を備えた発光手段であり、発光体にレンズ部材を覆い被せることによって構成されている。これらの枠ランプ16a〜16cでは、パチンコ機10の各種遊技の演出態様(大当り、リーチなど)に応じて点灯(点滅)・消灯などの発光演出が実行されるようになっている。
【0022】
また、図1に示されるように、前枠14の左上部には左スピーカ17aが配設され、前枠14の右上部には右スピーカ17bが配設されている。左スピーカ17a及び右スピーカ17bは、各種音声を出力する音声演出を実行させるためのものである。左スピーカ17a及び右スピーカ17bは前枠14の裏面側に装着され、前枠14の前面側において左スピーカ17a及び右スピーカ17bと対応する箇所には複数の放音孔が形成されている。
【0023】
さらに、中枠12の前面側において前枠14の下方には、下球皿18が開閉可能に組み付けられている。下球皿18の右方には、打球発射装置(図示略)を構成する操作ハンドル19が装着されている。そして、遊技者が操作ハンドル19を回動操作すると、上球皿15に貯留された遊技球A1(図2図3参照)は、打球発射装置によって発射されて遊技盤13の遊技盤面13a上に導かれるようになる。なお、本実施形態では、中枠12に下球皿18及び操作ハンドル19が設けられているが、下球皿18及び操作ハンドル19を前枠14の下部に一体的に組み付けるようにしてもよい。また、下球皿18の左方には、各種音声を出力する音声演出を実行させる下スピーカ17cが配設されている。なお、下スピーカ17cは中枠12に装着されている。
【0024】
(2)遊技盤13の構成
図1図3に示される遊技盤13は、ベニヤ板などの木製基板の表面に樹脂製のセルを貼付することによって略矩形板状に形成されている。なお、遊技盤13は、アクリル樹脂などの樹脂材料の射出成形によって略矩形板状に形成されたものであってもよい。遊技盤13の遊技盤面13aには、遊技球A1が流下可能な遊技領域32aを区画する内レール33a及び外レール33bが略円形状に敷設されている。内レール33aと外レール33bとの間に生じる発射経路33には、操作ハンドル19を操作した際に発射された遊技球A1が通過するようになっている。そして、打球発射装置によって発射されて発射経路33を通過した遊技球A1は、発射経路33の終端部に存在する球戻り防止部材36を押し広げて遊技領域32aに進入し、遊技領域32a内を流下するようになっている。また、遊技領域32a内には風車34が配設され、遊技領域32aの略全域には複数の遊技釘35が植設されている。風車34及び遊技釘35は、遊技領域32a内を流下する遊技球A1の方向を変更するようになっている。
【0025】
図1図3に示されるように、遊技盤面13aの略中央部には、開口部50aを有する枠状のセンター役物50が装着されている。なお、遊技盤13の裏側には、図柄表示装置60が着脱自在に取り付けられている。図柄表示装置60の表示画面は、センター役物50の開口部50aを介して遊技盤13の前面側から視認可能となっている。なお、本実施形態の図柄表示装置60は液晶式であるが、ドットマトリクス式、エレクトロルミネッセンス素子式、7セグメント式の図柄表示装置であってもよい。また、図柄表示装置60では、変動表示(または画像表示)に基づく遊技演出(表示演出)が行われるようになっている。そして、図柄表示装置60では、表示演出に関連して、複数種類の演出図柄を3列で変動させる演出図柄変動ゲームが表示されるようになっている。なお、演出図柄は「0」〜「9」の10通りの数字を示す図柄である。
【0026】
図1図2に示されるように、遊技盤面13a上におけるセンター役物50の下方位置には、遊技盤面13a上を流下する遊技球A1が入賞可能な始動入賞装置51が配設されている。始動入賞装置51には、始動入賞口51aが形成されるとともに、一対の羽根部材51bからなる普通電動役物が一体的に構成されている。一対の羽根部材51bは、普通電動役物ソレノイドSOL(図4参照)の励磁作用により開閉するようになっている。また、始動入賞装置51の奥方には、始動入賞口51aに入賞した遊技球A1を検知する始動口スイッチSE1(図2図4参照)が設けられている。始動口スイッチSE1は、始動入賞装置51に入賞した遊技球A1を検知したことを契機として、オン状態となり、入賞信号を出力するようになっている。一方、始動口スイッチSE1は、遊技球A1を検知していないときにオフ状態となり、入賞信号を出力しなくなる。なお、入賞信号が出力された場合には、後述する特別図柄表示装置61による特別図柄変動ゲームが行われるとともに、図柄表示装置60による演出図柄変動ゲームが行われるようになっている。
【0027】
図1図2に示されるように、始動入賞装置51の下方には第1大入賞装置52が配置されている。第1大入賞装置52の奥方には、入賞した遊技球A1を検知する第1カウントスイッチSE2(図2図4参照)が設けられている。また、第1大入賞装置52の大入賞口扉52aは、第1大入賞口ソレノイドSOL1(図4参照)の励磁作用により、遊技球A1を受け入れない第1閉鎖状態、及び、遊技球A1を受け入れやすい第1開放状態に切替可能になっている。本実施形態において、「第1閉鎖状態」とは、大入賞口扉52aが完全に閉じている状態をいい、「第1開放状態」とは、大入賞口扉52aが完全に開いた状態をいう。なお、第1カウントスイッチSE2にて遊技球A1が検知された場合には、所定数(本実施形態では15個)の賞球の払い出しが行われるようになっている。
【0028】
また、センター役物50の左側には、遊技球A1の通過を検知する機能を有するゲート53が設けられている。ゲート53の奥方には、通過した遊技球A1を検知するゲートスイッチSE3(図2図4参照)が設けられている。なお、ゲートスイッチSE3にて遊技球A1が検知された場合に乱数を取得し、取得した乱数が所定の乱数値であるか否かを判定した結果に基づいて普通電動役物ソレノイドSOLが駆動される。このような判定(当り判定)によって普通電動役物の一対の羽根部材51bが開放されるため、始動入賞口51aに遊技球A1が入賞しやすくなる。
【0029】
図2図3に示されるように、遊技盤13は、遊技盤面13aの非遊技領域32bに装着された飾り部材91,92,93を備えている。各飾り部材91〜93は、透光性樹脂(本実施形態ではポリカーボネート樹脂)の射出成形によって形成されている。第1飾り部材91は、遊技盤面13aの右端部全体に配設されている。また、第2飾り部材92は遊技盤面13aの左上部に配設され、第3飾り部材93は遊技盤面13aの左下部に配設されている。なお、第1飾り部材91の内側面は湾曲形成され、内側面の下端はアウト口57に接続されている。即ち、第1飾り部材91は、遊技球A1をアウト口57に導くレールとしての機能を有している。また、第2飾り部材92及び第3飾り部材93の内側面は、外レール33bの外面に沿うよう湾曲形成されている。そして、遊技領域32aの右上部であって、第1飾り部材91の上部の裏側となる箇所には、打球発射装置によって発射されて遊技領域32a内に導かれた遊技球A1を跳ね返す返しゴム37が配設されている。
【0030】
図1図3に示されるように、遊技領域32aの上部であって、センター役物50の右上部となる箇所には、『入賞装置』である第2大入賞装置81が配設されている。第2大入賞装置81は、返しゴム37に衝突して跳ね返った遊技球A1が入賞可能な位置、本実施形態では、返しゴム37の左下方に配設されている。なお、遊技領域32aの上部であって、外レール33bとセンター役物50との間の領域には、発射経路33の終端部から第2大入賞装置81に到達するまでの経路R1の一部が構成されている。そして、第1飾り部材91とセンター役物50との間の領域には、経路R1の下流部分が構成されている。なお、経路R1上には、遊技釘35などの他の部材が植設されないようになっている。
【0031】
また、第2大入賞装置81には、左右方向に往復動可能な蓋部材82からなる特別電動役物が設けられている。蓋部材82は、第2大入賞口ソレノイドSOL2(図4参照)の励磁作用により、遊技球A1を受け入れない第2閉鎖状態、及び、遊技球A1を受け入れやすい第2開放状態に切替可能となっている。本実施形態において、「第2閉鎖状態」とは、蓋部材82が左方向に移動して完全に閉じることにより、遊技領域32a内に導かれた遊技球A1が入賞不能となる状態をいう(図3の実線部分参照)。一方、蓋部材82の「第2開放状態」とは、蓋部材82が右方向に移動して完全に開くことにより、遊技領域32a内に導かれた遊技球A1が入賞可能となる状態をいう(図3の破線部分参照)。
【0032】
なお、蓋部材82が第2閉鎖状態に切り替えられている際には、蓋部材82は、遊技領域32aにある遊技球A1の流下経路R3の一部を構成するようになる。この場合、流下経路R3を流下してきた遊技球A1は、蓋部材82の第3案内面84cに沿って右方に導かれた後、遊技領域32a内におけるセンター役物50の右側領域を流下する。一方、蓋部材82が第2閉鎖状態から第2開放状態に切り替えられた際(第2大入賞装置81の作動時)には、遊技領域32a内に導かれた遊技球A1を第2大入賞装置81に入賞させる入賞経路R2(図3参照)が形成される。このとき、蓋部材82は、遊技領域32aにある遊技球A1の流下経路R3(図3参照)を遮断するようになる。この場合、流下経路R3を流下してきた遊技球A1は、蓋部材82の第2案内面84bに沿って左方に導かれた後、第2大入賞装置81に入賞する。つまり、流下経路R3は、蓋部材82の開閉状態によって、遊技球A1を流下させる経路にも遊技球A1を入賞させる経路にも変位するようになっている。
【0033】
また、入賞経路R2上には、第2大入賞装置81に入賞した遊技球A1を検知する第2カウントスイッチSE4(図2図4参照)が設けられている。第2カウントスイッチSE4にて遊技球A1が検知された場合には、所定数(本実施形態では15個)の賞球の払い出しが行われるようになっている。そして、第2カウントスイッチSE4を通過した遊技球A1は、センター役物50の右側部分に設けられた入賞経路R2の下流部分を下方に流下した後、遊技盤13の後方に導かれるようになっている。また、入賞経路R2の下流部分は、透明板(図示略)によって覆われており、透明板を介して遊技盤13の前面側から視認可能となっている。なお、入賞経路R2の下流部分は、非透明板によって覆われることにより、遊技盤13の前面側から視認不能となっていてもよい。
【0034】
図3に示されるように、蓋部材82は、左右方向に延びる板状の底部83と、底部83の右側部分から上方に突出する正面視略三角形状の突出部84とを備えている。底部83の左右方向の長さは、遊技球A1の直径(11mm)よりも大きく設定され、底部83の奥行方向の長さ(遊技機前後方向における寸法)は、遊技球A1の直径よりもやや大きく設定されている。一方、突出部84の高さは、第2大入賞装置81の第2大入賞口81aの内径よりもやや小さく設定されている。また、突出部84の奥行方向の長さは、遊技球A1の直径よりもやや大きく設定されている。さらに、突出部84は、第1案内面84a、第2案内面84b及び第3案内面84cを有している。本実施形態の第2案内面84bは、左側部分から右側部分に行くに従って高くなる凹状の湾曲面である。第2案内面84bの右側部分は第1案内面84aに接続され、第2案内面84bの左側部分は底部83の上面に接続されている。そして、蓋部材82は、遊技領域32aの上部位置に打ち出されて第2案内面84b上に到達した遊技球A1を、第2案内面84bに沿って第2大入賞口81a内に導くようになっている。一方、本実施形態の第3案内面84cは、左側部分から右側部分に行くに従って低くなる凹状の湾曲面である。第3案内面84cの左側部分は第1案内面84aに接続され、第3案内面84cの右側部分は底部83の裏面に接続されている。そして、蓋部材82は、遊技領域32aの上部位置に打ち出されて第3案内面84c上に到達した遊技球A1を、第3案内面84cに沿ってセンター役物50の右方に導くようになっている。
【0035】
図1図3に示されるように、遊技領域32a内における第2大入賞装置81の右側領域には、正面視略三角形状の遊技部材71が配設されている。遊技部材71は、遊技球転動面71aを上面に有し、正面視略三角形状をなしている。また、遊技部材71の奥行方向の長さは、遊技球A1の直径よりもやや大きく設定されている。本実施形態の遊技球転動面71aは、右側部分から左側部分に行くに従って低くなる平坦面である。なお、蓋部材82が第2開放状態に切り替えられた際には、突出部84の上端部が遊技部材71の左端部に接触して、第1案内面84aと遊技球転動面71aとが面一になることにより、入賞経路R2が形成される。この場合、遊技球転動面71a上を転動する遊技球A1は、第1案内面84a上に導かれて第2大入賞装置81内に入賞するようになる。一方、蓋部材82が第2閉鎖状態に切り替えられた際には、突出部84の上端部が遊技部材71の左端部から離間するため、遊技球A1は、第1案内面84a上に導かれずに、蓋部材82と遊技部材71との間(流下経路R3)から下方に流下するようになる。つまり、入賞経路R2は、蓋部材82の開閉状態によって、遊技球A1を流下させる経路にも遊技球A1を入賞させる経路にも変位するようになっている。
【0036】
なお、遊技領域32a内における遊技部材71の上方には第1案内部材72が配設され、遊技領域32a内における遊技部材71の右方には第2案内部材73が配設されている。第1案内部材72は、経路R1に沿って導かれてきた遊技球A1を返しゴム37側に導くようになっている。なお、第1案内部材72と外レール33bとの間の領域には経路R1の一部が形成され、第1案内部材72とセンター役物50との間の領域には流下経路R3の上流部分が形成されるようになっている。また、第2案内部材73は、返しゴム37に衝突した跳ね返った遊技球A1を遊技部材71の遊技球転動面71a上に導くようになっている。そして、第2案内部材73と遊技部材71との間には、遊技球A1が流下する流下経路R4が形成されている。なお、流下経路R4を流下した遊技球A1は、そのまま遊技領域32a内におけるセンター役物50の右側領域を流下する。よって、流下経路R4は、蓋部材82が第2開放状態に切り替えられている場合であっても、遊技球A1を第2大入賞装置81に入賞させない経路である。
【0037】
図1図2に示されるように、センター役物50の右下方には、可視表示部を備えた特別図柄表示装置61が配設されている。特別図柄表示装置61では、始動入賞装置51への遊技球A1の入賞を契機として、複数種類の特別図柄(本実施形態では、「0」〜「9」の10種類の図柄)を変動させる特別図柄変動ゲームが表示され、該特別図柄変動ゲームの結果として、大当り(特定結果)及びハズレの表示結果が表示されるようになっている。例えば、特別図柄変動ゲームの結果が大当りとなる場合、特別図柄変動ゲームの終了時に、特別図柄として「0」〜「9」の10通りの数字を示す図柄が表示される。一方、特別図柄変動ゲームの結果がハズレとなる場合、特別図柄変動ゲームの終了時に、特別図柄としてハズレを示す「−」の図柄が表示される。
【0038】
ここで、大当りとなる場合に表示される特別図柄は、確変図柄及び非確変図柄からなっている。確変図柄は、特別図柄変動ゲームにおいて大当りが導出される確率が高確率となる確率変動状態を開始させる契機となる図柄である。非確変図柄は、確率変動状態を開始させる契機とはならない通常状態となる図柄である。本実施形態の確変図柄は、「1」,「3」,「5」,「7」,「9」の数字を示す特別図柄である。一方、本実施形態の非確変図柄は、「0」,「2」,「4」,「6」,「8」の数字を示す特別図柄である。
【0039】
さらに、本実施形態では、特別図柄表示装置61での特別図柄変動ゲームに合わせて、図柄表示装置60による演出図柄変動ゲームが行われる。具体的には、図柄変動ゲームの開始とほぼ同時に演出図柄変動ゲームが開始され、特別図柄変動ゲームの終了(大当りまたはハズレの表示結果が表示)とほぼ同時に演出図柄変動ゲームの結果が表示されるようになっている。なお、本実施形態では、図柄表示装置60で行われる演出図柄変動ゲームと特別図柄表示装置61で行われる特別図柄変動ゲームとを「変動ゲーム」と称している。
【0040】
図1図2に示されるように、遊技盤面13aにおいて始動入賞装置51の左方には、遊技盤面13a上を流下する遊技球A1が入賞可能な一般入賞装置58a〜58cが配設されている。一般入賞装置58a〜58cの奥方には、入賞した遊技球A1を検知する左下入賞口スイッチSE5(図4参照)が設けられている。左下入賞口スイッチSE5は、一般入賞装置58a〜58cに入賞した遊技球A1を検知したことを契機として、オン状態となり、入賞信号を出力するようになっている。即ち、一般入賞装置58a〜58cでは、1つの左下入賞口スイッチSE5で遊技球A1の入賞を検知している。さらに、遊技盤面13aにおいて始動入賞装置51の右上方にも、遊技盤面13a上を流下する遊技球A1が入賞可能な一般入賞装置58dが配設されている。一般入賞装置58dの奥方には、入賞した遊技球A1を検知する右下入賞口スイッチSE6(図4参照)が設けられている。右下入賞口スイッチSE6は、一般入賞装置58dに入賞した遊技球A1を検知したことを契機として、オン状態となり、入賞信号を出力するようになっている。なお、一般入賞装置58a〜58dでは、遊技球A1の入賞を契機として、所定数(本実施形態では10個)の賞球の払い出しが行われるようになっている。また、遊技領域32aの最下部(内レール33aの下端部)には、いずれの入賞装置51,52,54,58a〜58dにも入賞しなかった遊技球A1を回収するためのアウト口57が配設されている。
【0041】
(3)パチンコ機10の電気的構成
図4に示されるように、このパチンコ機10は、主制御基板21、統括制御基板22、表示制御基板23及び音声・ランプ制御基板24を備えている。主制御基板21には統括制御基板22が電気的に接続され、統括制御基板22には、表示制御基板23及び音声・ランプ制御基板24が電気的に接続されている。
【0042】
(3−1)主制御基板21の電気的構成
主制御基板21は、パチンコ機10全体を制御するメインCPU21aを備えている。メインCPU21aには、始動口スイッチSE1、第1カウントスイッチSE2、第2カウントスイッチSE4、ゲートスイッチSE3、左下入賞口スイッチSE5及び右下入賞口スイッチSE6が接続されている。また、メインCPU21aには、特別図柄表示装置61、普通電動役物ソレノイドSOL、第1大入賞口ソレノイドSOL1及び第2大入賞口ソレノイドSOL2が接続されている。
【0043】
図4に示されるように、メインCPU21aには、メインROM(図示略)及びメインRAM(図示略)が電気的に接続されている。メインCPU21aは、特別図柄変動ゲームに係る各種抽選に用いる大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン振分乱数などの各種乱数の値を所定の周期ごとに更新している。そして、メインCPU21aは、更新後の値をメインRAMの乱数記憶領域に設定して更新前の値を書き換えている。また、メインRAMのタイマ記憶領域には、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種のタイマが記憶(設定)されるようになっている。
【0044】
なお、大当り判定用乱数は、変動ゲームが大当りか否かを判定する際(大当り判定時)に用いられる乱数である。大当り図柄用乱数は、変動ゲームの結果が大当りとなる場合に特別図柄を決定する際に用いられる乱数である。リーチ判定用乱数は、変動ゲームの結果がハズレとなる場合にリーチ演出を実行させるか否かを決定する際(リーチ判定時)に用いられる乱数である。変動パターン振分乱数は、変動ゲームにおける遊技演出の演出内容を特定するための変動パターンを決定する際に用いられる乱数である。
【0045】
また、メインROMには、演出図柄変動ゲーム用の変動パターンが振り分けられた変動パターン振分テーブルが記憶されている。本実施形態の変動パターン振分テーブルには、ハズレ演出用の変動パターン、ハズレリーチ演出用の変動パターン、及び、大当り演出用の変動パターンが振り分けられている。なお、各変動パターンは、図柄表示装置60に表示される各列の図柄(演出図柄)が変動を開始(演出図柄変動ゲームを開始)してから全列の図柄が停止(演出図柄変動ゲームが終了)するまでの間の遊技演出(表示演出、発光演出、音声演出)の時間及び内容を特定するためのものである。また、各変動パターンには、変動パターン振分乱数の値(本実施形態では0〜99の100通りの整数)が振り分けられている。なお、ハズレ演出用の変動パターンは、ハズレの図柄組み合わせ(大当りまたはリーチとなる図柄組み合わせが導出されない図柄組み合わせ)を導出する演出のベースとなるパターンを示している。ハズレリーチ演出用の変動パターンは、リーチ演出を経てハズレの図柄組み合わせ(中図柄が、左図柄及び右図柄とは異なる図柄で停止する図柄組み合わせ)を表示させる演出のベースとなるパターンを示している。大当り演出用の変動パターンは、リーチ演出を経て大当りの図柄組み合わせ(中図柄が、左図柄及び右図柄と同一の図柄で停止する図柄組み合わせ)を表示させる演出のベースとなるパターンを示している。
【0046】
次に、図4に示されるメインCPU21aが実行する特別図柄変動ゲームに係る各種処理(大当り判定、リーチ判定、大当り図柄、ハズレ図柄、変動パターンの決定など)を説明する。
【0047】
まず、メインCPU21aは、始動口スイッチSE1からの入賞信号が入力されたか否かを判定する。入賞信号が入力されたと判定された場合、メインCPU21aは、特別図柄変動ゲームを実行させる制御を行う。具体的に言うと、メインCPU21aは、乱数抽選によって抽出されて所定の周期ごとに更新される大当り図柄用乱数の値をメインRAMから取得し、取得した値をメインRAMの乱数記憶領域に格納(記憶)する。また、メインCPU21aは、始動入賞条件の成立を契機として、乱数抽選によって抽出されて所定の周期ごとに更新される大当り判定用乱数の値をメインRAMから取得し、取得した値をメインRAMの乱数記憶領域に格納(記憶)する。
【0048】
そして、図4に示されるメインCPU21aは、特別図柄変動ゲームの開始直前に、メインRAMの乱数記憶領域に格納されている大当り判定用乱数の値とメインROMに記憶されている大当り判定値とを比較して、特別図柄変動ゲームの当否を判定する大当り判定(大当り抽選)を行う。なお、本実施形態では、大当り判定用乱数の採りうる数値を0〜599(全600通りの整数)としている。そして、メインCPU21aは、大当り判定用乱数の採りうる数値の中から2個の大当り判定値を用いて、大当りの抽選確率を600分の2(=300分の1≒0.3%)として大当り判定を行う。
【0049】
大当り判定の判定結果が否定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが不一致)の場合、メインCPU21aはハズレを決定する。そして、メインCPU21aは、ハズレを示す「−」の図柄を特別図柄として決定する。さらに、メインCPU21aは、決定した特別図柄に対応したデータを、次回の特別図柄変動ゲームに係る処理を行うまでの間、メインRAMに記憶する。
【0050】
そして、図4に示されるメインCPU21aは、大当り判定による判定結果がハズレとなる場合に、メインRAMから読み出したリーチ判定用乱数の値とメインROMに記憶されているリーチ判定値とを比較してハズレリーチを実行するか否かのリーチ判定を行う。なお、本実施形態では、リーチ判定用乱数の採りうる数値を0〜180(全181通りの整数)としている。また、リーチ判定値は、リーチ判定用乱数の採りうる数値の中からあらかじめ定めた値である。そして、リーチ判定の判定結果が肯定(リーチ判定用乱数の値とリーチ判定値とが一致)の場合、メインCPU21aはハズレリーチを決定する。また、リーチ判定の判定結果が否定(リーチ判定用乱数の値とリーチ判定値とが不一致)の場合、メインCPU21aはハズレ(リーチを伴わないハズレ)を決定する。
【0051】
一方、大当り判定の判定結果が肯定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが一致)の場合、図4に示されるメインCPU21aは大当りを決定する。大当りの決定がなされると、メインCPU21aは、メインRAMの乱数記憶領域に記憶された大当り図柄用乱数の値に基づいて、「0」〜「9」のいずれか1つを示す特別図柄を決定する。そして、メインCPU21aは、決定した特別図柄に対応したデータを、次回の特別図柄変動ゲームに係る処理を行うまでの間、メインRAMに記憶する。
【0052】
そして、大当り判定による判定結果が大当りとなる場合(即ち、特別図柄変動ゲームの結果が大当りになると判定された場合)に、メインCPU21aは、大当り遊技状態の種類、詳述すると、大当り遊技状態において実行されるラウンド演出の回数(ラウンド数)を決定するようになっている。具体的に言うと、メインCPU21aは、メインRAMの乱数記憶領域に記憶されている大当り図柄用乱数の値に基づいて、ラウンド数を「10」にするか「15」にするかを判定する。なお、本実施形態では、大当り図柄用乱数の採りうる数値を0〜9(全10通りの整数)としている。そして、大当り図柄用乱数の値が「5」,「7」,「9」のいずれかとなる場合、メインCPU21aはラウンド数「15」をメインRAMに記憶する。一方、大当り図柄用乱数の値が「0」〜「4」,「6」,「8」のいずれかとなる場合、メインCPU21aはラウンド数「10」をメインRAMに記憶する。
【0053】
また、図4に示されるメインCPU21aは、メインRAMの乱数記憶領域に記憶された大当り図柄用乱数の値に基づいて、特別図柄が確変図柄であるか非確変図柄であるかを判定する。本実施形態では、大当り図柄用乱数の値が「1」,「3」,「5」,「7」,「9」のいずれかであれば、特別図柄が確変図柄であると判定され、大当り図柄用乱数の値が「0」,「2」,「4」,「6」,「8」のいずれかであれば、特別図柄が非確変図柄であると判定される。なお、大当り図柄用乱数の値が「5」,「7」,「9」のいずれかとなる場合にラウンド数を「15」にすることが決定されるため、大当り図柄用乱数の値が「5」,「7」,「9」のいずれかとなる場合に付与される大当り遊技状態は、いわゆる「15R確変」となる。また、大当り図柄用乱数の値が「0」〜「4」,「6」,「8」のいずれかとなる場合にラウンド数を「10」にすることが決定されるため、大当り図柄用乱数の値が「1」または「3」となる場合に付与される大当り遊技状態は、いわゆる「10R確変」となり、大当り図柄用乱数の値が「0」,「2」,「4」,「6」,「8」のいずれかとなる場合に付与される大当り遊技状態は、いわゆる「10R通常」となる。そして、特別図柄が確変図柄であると判定された場合に、後述する大当り遊技状態の終了後に開始される特別図柄変動ゲームにおいて、確率変動状態を付与するようになっている。一方、メインCPU21aは、特別図柄が非確変図柄であると判定された場合に、大当り遊技状態の終了後に開始される特別図柄変動ゲームにおいて、通常遊技状態を付与するようになっている。
【0054】
そして、特別図柄変動ゲームにおいて確率変動状態が付与された場合、図4に示されるメインCPU21aは、大当り判定用乱数の採りうる数値の中から20個の大当り判定値を用いて、大当りの抽選確率を600分の20(=30分の1≒3.3%)として大当り判定を行う。即ち、確率変動状態時の大当り判定値の数は、確率変動状態前の10倍となる。なお、確率変動状態は、次回の大当り遊技状態が開始されるまでの間、継続されるようになっていてもよいし、複数回(例えば10000回)の図柄の変動表示が実行されるまでの間、継続されるようになっていてもよい。
【0055】
また、メインCPU21aは、大当り判定及びリーチ判定の判定結果に基づいて変動パターンを決定する。具体的に言うと、大当り判定において大当りが決定された場合、メインCPU21aは、メインRAMから変動パターン振分乱数の値を読み出し、該値に基づき、変動パターン振分テーブルに記憶されている大当り演出用の変動パターンを決定する。リーチ判定においてハズレリーチが決定された場合、メインCPU21aは、メインRAMから読み出した変動パターン振分乱数の値に基づき、変動パターン振分テーブルからハズレリーチ演出用の変動パターンを決定する。リーチ判定においてハズレが決定された場合、メインCPU21aは、メインRAMから読み出した変動パターン振分乱数の値に基づき、変動パターン振分テーブルからハズレ演出用の変動パターンを決定する。
【0056】
さらに、図4に示されるメインCPU21aは、特別図柄表示装置61に特別図柄を表示させる制御を行う。詳述すると、メインCPU21aは、特別図柄及び変動パターンを決定すると、変動パターンごとに対応付けられた変動時間を特別図柄タイマとしてメインRAMのタイマ記憶領域に設定(記憶)し、特別図柄表示装置61に特別図柄の変動を開始させる。
【0057】
また、メインCPU21aは、最初に、変動パターンを指定するとともに図柄の変動開始を指示する変動パターン指定コマンドを生成し、制御コマンドとして設定(メインRAMに記憶)する。そして、ここでセットされた制御コマンドは、次回以降のコマンド出力処理で出力される。次に、メインCPU21aは、特別図柄を指定する特別図柄指定コマンドを、制御コマンドとして設定(メインRAMに記憶)する。そして、ここでセットされた制御コマンドは、次回以降のコマンド出力処理で出力される。また、メインCPU21aは、変動開始時に設定した特別図柄タイマを割込み(4ms)ごとに減算する。そして、特別図柄タイマが0msになると、メインCPU21aは、特別図柄及び演出図柄の停止を指示する図柄停止コマンドを、制御コマンドとして設定(出力)する。
【0058】
さらに、図4に示されるメインCPU21aは、大当り判定による判定結果が大当りとなる場合であって、大当り遊技状態の種類を判定した結果がラウンド数「10」となる場合に、第1大入賞装置52が第1開放状態となる大当り遊技状態を付与するようになっている。また、メインCPU21aは、大当り判定による判定結果が大当りとなる場合であって、大当り遊技状態の種類を判定した結果がラウンド数「15」となる場合に、第2大入賞装置81が第2開放状態となる大当り遊技状態を付与するようになっている。なお、第1大入賞装置52が第1開放状態となる大当り遊技状態では、1回のオープニング演出と、10回のラウンド演出と、1回のエンディング演出とが実行される。また、第2大入賞装置81が第2開放状態となる大当り遊技状態では、1回のオープニング演出と、15回のラウンド演出と、1回のエンディング演出とが実行される。オープニング演出は、第1大入賞装置52が第1閉鎖状態である場合、または、第2大入賞装置81が第2閉鎖状態である場合であって、大当り遊技状態が開始されるときに実行されるようになっている。各ラウンド演出は、第1大入賞口ソレノイドSOL1の励磁作用によって第1大入賞装置52が第1閉鎖状態から第1開放状態に切り替えられる場合、及び、第2大入賞口ソレノイドSOL2の励磁作用によって第2大入賞装置81が第2閉鎖状態から第2開放状態に切り替えられる場合に実行されるようになっている。1回当りのラウンド演出は、第1大入賞装置52が第1開放状態に切り替えられてから第1閉鎖状態に切り替えられるまでの間、及び、第2大入賞装置81が第2開放状態に切り替えられてから第2閉鎖状態に切り替えられるまでの間に実行されるようになっている。また、エンディング演出は、第1大入賞装置52が第1開放状態から第1閉鎖状態に切り替えられる場合であって、大当り遊技状態が終了するとき(本実施形態では、10回目のラウンド演出の終了時)、及び、第2大入賞装置81が第2開放状態から第2閉鎖状態に切り替えられる場合であって、大当り遊技状態が終了するとき(本実施形態では、15回目のラウンド演出の終了時)に実行されるようになっている。
【0059】
そして、図4に示されるメインCPU21aは、図柄停止コマンドが出力された後に、オープニング演出の開始を指示するオープニング指定コマンドを生成し、制御コマンドとして出力する。次に、メインCPU21aは、メインRAMにラウンド数「10」が記憶されている場合に、第1〜第10のラウンド演出の開始を指示するラウンド指定コマンドを制御コマンドとして順番に出力する。また、メインCPU21aは、メインRAMにラウンド数「15」が記憶されている場合に、第1〜第15のラウンド演出の開始を指示するラウンド指定コマンドを制御コマンドとして順番に出力する。その後、メインCPU21aは、エンディング演出の開始を指示するエンディング指定コマンドを、制御コマンドとして出力する。
【0060】
(3−2)統括制御基板22の電気的構成
図4に示されるように、統括制御基板22は統括制御CPU22aを備えており、統括制御CPU22aには統括ROM(図示略)及び統括RAM(図示略)が接続されている。統括制御CPU22aは、遊技演出の決定のために用いる各種乱数の値を所定の周期ごとに更新している。そして、統括制御CPU22aは、更新後の値を統括RAMの設定領域に設定して更新前の値を書き換えている。例えば、統括RAMの乱数記憶領域には、ハズレ左図柄用乱数、ハズレ中図柄用乱数、ハズレ右図柄用乱数などが記憶されている。統括RAMのタイマ記憶領域には、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種のタイマが記憶(設定)されるようになっている。
【0061】
ところで、変動パターン指定コマンドが入力されると、統括制御CPU22aは、変動パターン指定コマンドにて指定された変動パターンを統括RAMに記憶するようになっている。また、特別図柄指定コマンドが入力されると、統括制御CPU22aは、特別図柄指定コマンドが指定する特別図柄を統括RAMに記憶するようになっている。
【0062】
さらに、図4に示される統括制御CPU22aは、統括RAMに記憶されている特別図柄と変動パターンとに基づいて、演出図柄変動ゲームの終了時に図柄表示装置60に停止表示される演出図柄を生成するようになっている。例えば、統括RAMに記憶されている特別図柄が「0」〜「9」のいずれかであって、統括RAMに記憶されている変動パターンが大当り演出用の変動パターンである場合、統括制御CPU22aは大当りを決定する。この場合、統括制御CPU22aは、図柄表示装置60に最終的に停止させる演出図柄(演出図柄左、中、右)を、全列が同一種類の図柄となるように生成する。具体的に言うと、統括制御CPU22aは、特別図柄に基づいて、演出図柄左、演出図柄中及び演出図柄右(各演出図柄は同一種類)を生成する。例えば、特別図柄が「1」であれば演出図柄を「1」とし、特別図柄が「2」であれば演出図柄を「2」とする。この生成された演出図柄(演出図柄左、中、右が、図柄表示装置60に最終的な組み合わせとして導出される。そして、統括制御CPU22aは、生成した演出図柄左、演出図柄中、演出図柄右に対応したデータを統括RAMに記憶する。
【0063】
統括RAMに記憶されている特別図柄が「−」であって、統括RAMに記憶されている変動パターンがハズレリーチ演出用の変動パターンである場合、図4に示される統括制御CPU22aはハズレリーチを決定する。この場合、統括制御CPU22aは、演出図柄左、中、右を、左列と右列が同一種類の図柄で、中列が左右2列とは異なる種類の図柄となるように決定する。具体的には、ハズレ左図柄用乱数の値に基づいて演出図柄左及び演出図柄右(両演出図柄は同一種類)を生成する。そして、ハズレ中図柄用乱数の値に基づいて演出図柄中を生成する。そして、統括制御CPU22aは、生成した演出図柄左、演出図柄中、演出図柄右に対応したデータを統括RAMに記憶する。本実施形態では、ハズレ左図柄用乱数、ハズレ右図柄用乱数及びハズレ中図柄用乱数の各乱数の採りうる数値を0〜9の10通りの整数とし、図柄の種類ごとに1つの数値が対応付けられている。
【0064】
統括RAMに記憶されている特別図柄が「−」であって、統括RAMに記憶されている変動パターンがハズレ演出用の変動パターンである場合、図4に示される統括制御CPU22aはハズレを決定する。この場合、統括制御CPU22aは、演出図柄左、中、右を、全列が同一種類の図柄とならないように(即ち、大当りの図柄組み合わせとならないように)生成する。また、統括制御CPU22aは、演出図柄左、中、右を、リーチの図柄組み合わせとならないように生成する。そして、統括制御CPU22aは、生成した演出図柄左、演出図柄中、演出図柄右に対応したデータを統括RAMに記憶する。
【0065】
なお、統括制御CPU22aは、統括RAMに記憶されている変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドを、制御コマンドとして表示制御基板23の表示制御CPU23a、及び、音声・ランプ制御基板24の音声・ランプ制御CPU24aに出力する。これにより、表示制御基板23及び音声・ランプ制御基板24が実行する遊技演出の具体的な内容が、統括制御基板22によって統括的に制御される。
【0066】
さらに、図4に示される統括制御CPU22aは、演出図柄の演出図柄左を指定する演出図柄左指定コマンドを、制御コマンドとして表示制御CPU23aに出力する。同様に、統括制御CPU22aは、演出図柄の演出図柄右を指定する演出図柄右指定コマンド、及び、演出図柄の演出図柄中を指定する演出図柄中指定コマンドを、制御コマンドとして表示制御CPU23aに出力する。その後、メインCPU21aから図柄停止コマンドが入力されると、統括制御CPU22aは、入力された図柄停止コマンドを、制御コマンドとして表示制御CPU23a及び音声・ランプ制御CPU24aに出力する。
【0067】
また、メインCPU21aからオープニング指定コマンドが入力されると、統括制御CPU22aは、入力されたオープニング指定コマンドを、制御コマンドとして表示制御CPU23a及び音声・ランプ制御CPU24aに出力する。次に、メインCPU21aから第1〜第10のラウンド演出用または第1〜第15のラウンド演出用のラウンド指定コマンドが入力されると、統括制御CPU22aは、入力された各ラウンド指定コマンドを、制御コマンドとして表示制御CPU23a及び音声・ランプ制御CPU24aに出力する。その後、メインCPU21aからエンディング指定コマンドが入力されると、統括制御CPU22aは、入力されたエンディング指定コマンドを、制御コマンドとして表示制御CPU23a及び音声・ランプ制御CPU24aに出力する。
【0068】
(3−3)表示制御基板23の電気的構成
図4に示されるように、表示制御基板23は表示制御CPU23aを備えており、表示制御CPU23aには表示ROM(図示略)及び表示RAM(図示略)が接続されている。表示RAMには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が一時的に記憶(設定)されるようになっている。
【0069】
また、表示ROMには、演出図柄変動ゲームが行われる際に用いられる複数種類の表示演出データが記憶されている。表示演出データとは、表示制御CPU23aが、図柄表示装置60の表示内容(図柄変動など)を制御するための情報、即ち、図柄表示装置60に表示演出の実行を指示するための情報である。
【0070】
さらに、表示ROMには、演出図柄変動ゲーム後の大当り遊技状態において用いられる1種類のオープニング演出用表示演出データ、15種類のラウンド演出用表示演出データ、及び、1種類のエンディング演出用表示演出データが記憶されている。オープニング演出用表示演出データは、オープニング演出に対応付けて記憶されている。各ラウンド演出用表示演出データは、第1〜第15のラウンド演出ごとに対応付けられて記憶されている。エンディング演出用表示演出データは、エンディング演出に対応付けられて記憶されている。オープニング演出用表示演出データ、ラウンド演出用表示演出データ及びエンディング演出用表示演出データとは、表示制御CPU23aが、図柄表示装置60にオープニング演出、第1〜第15のラウンド演出及びエンディング演出の実行を指示するための情報である。
【0071】
そして、図4に示される統括制御CPU22aから変動パターン指定コマンドが入力されると、表示制御CPU23aは、変動パターン指定コマンドにて指定された変動パターンを表示RAMに記憶するようになっている。また、表示制御CPU23aは、統括制御CPU22aから演出図柄左指定コマンドが入力されると、同コマンドが指定する演出図柄左を表示RAMに記憶するようになっている。同様に、表示制御CPU23aは、統括制御CPU22aから演出図柄右指定コマンドが入力されると、同コマンドが指定する演出図柄右を表示RAMに記憶し、演出図柄中指定コマンドが入力されると、同コマンドが指定する演出図柄中を表示RAMに記憶するようになっている。
【0072】
その後、統括制御CPU22aから図柄停止コマンドが入力されると、表示制御CPU23aは、変動開始時に入力されて表示RAMに記憶された演出図柄左、右、中に基づいて、図柄表示装置60に演出図柄の停止を指示するようになっている。これにより、指定された演出図柄が停止して、図柄表示装置60に表示される。
【0073】
また、変動パターン指定コマンドが入力されると、図4に示される表示制御CPU23aは、表示ROMに記憶された複数種類の表示演出データのうちいずれか1つを設定(生成)して、設定した表示演出データを表示RAMの記憶領域に記憶させるようになっている。これにより、表示制御CPU23aは、変動パターン指定コマンドや表示演出データに基づいて表示制御を行うようになる。より詳しくは、表示制御CPU23aは、表示RAMに記憶されている表示演出データを図柄信号に変換し、図柄表示装置60に出力する。その結果、図柄表示装置60は、図柄信号に基づき所定の表示(演出図柄変動ゲームなど)を行うことができるようになる。
【0074】
さらに、オープニング指定コマンドが入力されると、表示制御CPU23aは、表示ROMに記憶されたオープニング演出用表示演出データを設定(生成)して、設定したオープニング演出用表示演出データを表示RAMの記憶領域に記憶させるようになっている。これにより、表示制御CPU23aは、オープニング指定コマンドやオープニング演出用表示演出データに基づいて表示制御を行うようになる。ラウンド指定コマンドが入力されると、表示制御CPU23aは、表示ROMに記憶された15種類のラウンド演出用表示演出データのうちいずれか1つを設定(生成)して、設定したラウンド演出用表示演出データを表示RAMの記憶領域に記憶させるようになっている。これにより、表示制御CPU23aは、ラウンド指定コマンドやラウンド演出用表示演出データに基づいて表示制御を行うようになる。エンディング指定コマンドが入力されると、表示制御CPU23aは、表示ROMに記憶されたエンディング演出用表示演出データを設定(生成)して、設定したエンディング演出用表示演出データを表示RAMの記憶領域に記憶させるようになっている。これにより、表示制御CPU23aは、エンディング指定コマンドやエンディング演出用表示演出データに基づいて表示制御を行うようになる。より詳しくは、表示制御CPU23aは、表示RAMに記憶されているオープニング演出用表示演出データ、ラウンド演出用表示演出データ及びエンディング演出用表示演出データを図柄信号に変換し、図柄表示装置60に出力する。その結果、図柄表示装置60は、図柄信号に基づき所定の表示を行うことができるようになる。
【0075】
(3−4)音声・ランプ制御基板24の電気的構成
図4に示されるように、音声・ランプ制御基板24は音声・ランプ制御CPU24aを備えており、音声・ランプ制御CPU24aには音声・ランプROM(図示略)及び音声・ランプRAM(図示略)が接続されている。音声・ランプRAMには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が一時的に記憶(設定)されるようになっている。
【0076】
また、音声・ランプROMには、演出図柄変動ゲームが行われる際に用いられる複数種類の発光演出データ及び複数種類の音声演出データが記憶されている。発光演出データとは、音声・ランプ制御CPU24aが、枠ランプ16a〜16cの発光出力態様を制御するための情報である。また、音声演出データとは、音声・ランプ制御CPU24aが、スピーカ17a〜17cの音声出力態様(効果音の種類、言語音声の種類、音声出力時間など)を制御するための情報である。
【0077】
さらに、音声・ランプROMには、演出図柄変動ゲーム後の大当り遊技状態において用いられる1種類のオープニング演出用演出データ、15種類のラウンド演出用演出データ、及び、1種類のエンディング演出用演出データが記憶されている。オープニング演出用演出データは、オープニング演出に対応付けて記憶されている。各ラウンド演出用演出データは、第1〜第15のラウンド演出に対応付けて記憶されている。エンディング演出用演出データは、エンディング演出に対応付けて記憶されている。オープニング演出用演出データ、ラウンド演出用演出データ及びエンディング演出用演出データとは、音声・ランプ制御CPU24aが、枠ランプ16a〜16c及びスピーカ17a〜17cにオープニング演出、ラウンド演出及びエンディング演出の実行を指示するための情報である。
【0078】
そして、図4に示される統括制御CPU22aから変動パターン指定コマンドが入力されると、音声・ランプ制御CPU24aは、変動パターン指定コマンドにて指定された変動パターンを音声・ランプRAMに記憶するようになっている。その後、統括制御CPU22aから図柄停止コマンドが入力されると、音声・ランプ制御CPU24aは、枠ランプ16a〜16cの発光停止を指示するとともに、スピーカ17a〜17cの音声出力停止を指示するようになっている。
【0079】
また、変動パターン指定コマンドが入力されると、音声・ランプ制御CPU24aは、音声・ランプROMに記憶された複数種類の発光演出データのうちいずれか1つを設定(生成)して、設定した発光演出データを音声・ランプRAMの記憶領域に記憶させるようになっている。これにより、音声・ランプ制御CPU24aは、変動パターン指定コマンドに対応する発光演出データに基づいて発光制御を行うようになる。より詳しくは、音声・ランプ制御CPU24aは、音声・ランプRAMに記憶されている発光演出データを発光制御信号に変換し、枠ランプ16a〜16cに出力する。その結果、枠ランプ16a〜16cは、発光制御信号に基づき所定の発光動作(点灯、点滅など)を行うことができるようになる。
【0080】
また、変動パターン指定コマンドが入力されると、図4に示される音声・ランプ制御CPU24aは、音声・ランプROMに記憶された複数種類の音声演出データのうちいずれか1つを設定(生成)して、設定した音声演出データを音声・ランプRAMの記憶領域に記憶させるようになっている。これにより、音声・ランプ制御CPU24aは、変動パターン指定コマンドに対応する音声演出データに基づいて音声制御を行うようになる。より詳しくは、音声・ランプ制御CPU24aは、音声・ランプRAMに記憶されている音声演出データを音声信号に変換し、スピーカ17a〜17cに出力する。その結果、スピーカ17a〜17cは、音声信号に基づき所定の出力動作(音声の出力)を行うことができるようになる。
【0081】
さらに、オープニング指定コマンドが入力されると、音声・ランプ制御CPU24aは、音声・ランプROMに記憶されたオープニング演出用演出データを設定(生成)して、設定したオープニング演出用演出データを音声・ランプRAMの記憶領域に記憶させるようになっている。これにより、音声・ランプ制御CPU24aは、オープニング指定コマンドやオープニング演出用演出データに基づいて発光制御や音声制御を行うようになる。ラウンド指定コマンドが入力されると、音声・ランプ制御CPU24aは、音声・ランプROMに記憶されたラウンド演出用演出データを設定(生成)して、設定したラウンド演出用演出データを音声・ランプRAMの記憶領域に記憶させるようになっている。これにより、音声・ランプ制御CPU24aは、ラウンド指定コマンドやラウンド演出用演出データに基づいて発光制御や音声制御を行うようになる。エンディング指定コマンドが入力されると、音声・ランプ制御CPU24aは、音声・ランプROMに記憶されたエンディング演出用演出データを設定(生成)して、設定したエンディング演出用演出データを音声・ランプRAMの記憶領域に記憶させるようになっている。これにより、音声・ランプ制御CPU24aは、エンディング指定コマンドやエンディング演出用演出データに基づいて発光制御や音声制御を行うようになる。より詳しくは、音声・ランプ制御CPU24aは、音声・ランプRAMに記憶されているオープニング演出用演出データ、ラウンド演出用演出データ及びエンディング演出用演出データを発光制御信号や音声信号に変換し、枠ランプ16a〜16cやスピーカ17a〜17cに出力する。その結果、枠ランプ16a〜16cやスピーカ17a〜17cは、発光制御信号や音声信号に基づき所定の発光や音声出力を行うことができるようになる。
【0082】
次に、遊技の手順を説明する。
【0083】
(A−1)まず、遊技者は、始動入賞装置51を狙って遊技球A1を発射(いわゆる左打ち)する。そして、遊技球A1が始動入賞装置51に入賞すると、特別図柄を変動させる特別図柄変動ゲームが開始され、特別図柄変動ゲームの結果が大当りになると、大当り遊技状態でのラウンド数の判定が行われる。
【0084】
(A−2)ここで、ラウンド数が「10」となる場合、第1大入賞装置52が第1開放状態となる大当り遊技状態が付与され、1回のオープニング演出と、10回のラウンド演出と、1回のエンディング演出とが実行される。この場合、遊技者は、引き続き左打ちを行って第1大入賞装置52に遊技球A1を入賞させる。そして、遊技球A1が第1大入賞装置52に入賞すると、賞球の払い出しが行われるようになる。その後、大当り遊技状態の付与が終了すると、遊技(A−1)に戻る。
【0085】
(A−3)一方、ラウンド数が「15」となる場合、第2大入賞装置81が第2開放状態となる大当り遊技状態が付与され、1回のオープニング演出と、15回のラウンド演出と、1回のエンディング演出とが実行される。このとき、遊技者は、遊技球A1を、発射経路33の終端部から第2大入賞装置81に到達するまでの経路R1(図2図3参照)に沿って発射(いわゆる右打ち)する。この場合、遊技者は、操作ハンドル19を右に回すことによって遊技球A1を高速で打ち出すため、遊技球A1の発射速度が大変速く、威力が強い。しかも、経路R1上には遊技釘35などの他の部材が植設されていないため、打球発射装置によって発射されて遊技領域32aに進入した遊技球A1は、最も強い勢いを維持したままの状態、即ち、他の部材との衝突による遊技球A1の勢いの低下がないままの状態で、経路R1の下流側に誘導される。よって、打球発射装置によって発射されて遊技領域32aに進入した遊技球A1は、強い勢いを維持したままセンター役物50の上部中央付近に到達する。そして、遊技球A1は、返しゴム37に衝突して跳ね返ることによって向きが変更され、遊技部材71の遊技球転動面71a上に案内される。このとき、第2大入賞装置81(蓋部材82)が第2開放状態にあれば、入賞経路R2(図3参照)が形成されるため、遊技球A1は、遊技球転動面71a上、第1案内面84a上及び第2案内面84b上を順番に転動して第2大入賞口81a内に進入する。そして、第2大入賞口81a内に侵入した遊技球A1が第2カウントスイッチSE4を通過すると、賞球の払い出しが行われるようになる。その後、大当り遊技状態の付与が終了すると、遊技者は、左打ちに切り替えて遊技(A−1)を行う。
【0086】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
【0087】
(1)本実施形態のパチンコ機10では、第2大入賞装置81が遊技領域32aの上部に配設され、発射経路33の終端部から第2大入賞装置81に到達するまでの経路R1上には遊技釘35などの他の部材が植設されていないため、発射経路33の終端部から第2大入賞装置81までの距離が短くなる。その結果、第2大入賞装置81に遊技球A1が早く到達するようになるため、大当り遊技状態の消化スピードを向上させることができる。しかも、第2大入賞装置81の作動時には、第2大入賞装置81と、第2大入賞装置81の周辺部材である遊技部材71とを用いて、遊技球A1を第2大入賞装置81に入賞させる入賞経路R2が形成される。その結果、第2大入賞装置81に遊技球A1が確実に到達するようになるため、大当り遊技状態の消化スピードをさらに向上させることができる。
【0088】
(2)本実施形態では、遊技部材71や第2大入賞装置81の蓋部材82が、返しゴム37において遊技球A1が衝突する領域よりも下方に位置している(図3参照)。このため、返しゴム37に衝突して跳ね返った遊技球A1を、遊技部材71の遊技球転動面71a上や、蓋部材82の第1案内面84a上及び第2案内面84b上に導きやすくなる。その結果、第2大入賞装置81に遊技球A1がより確実に到達するようになるため、大当り遊技状態の消化スピードをよりいっそう向上させることができる。
【0089】
(3)本実施形態では、第1案内部材72とセンター役物50との間の領域に流下経路R3が形成され、流下経路R3は、経路R1上において返しゴム37よりも上流側の地点から分岐している。このため、経路R1上を移動する遊技球A1の勢いが弱い場合には、遊技球A1は、返しゴム37に衝突して跳ね返った後で第2大入賞装置81に入賞するのではなく、流下経路R3を流下するようになる。しかしながら、流下経路R3を流下する場合であっても、遊技球A1は、流下経路R3を遮断する蓋部材82に案内されて、第2大入賞装置81に入賞する可能性がある。つまり、遊技球A1が流下経路R3を流下する場合であっても、第2大入賞装置81に遊技球A1を入賞させるチャンスが遊技者に付与されるため、興趣の向上を図ることができる。
【0090】
(4)本実施形態では、付与される大当りの種類に応じて、大当り遊技状態に用いる大入賞装置52,81の種類を変更している。なお、第1大入賞装置52が遊技領域32aの下部に配設される一方、第2大入賞装置81は遊技領域32aの上部に配設される。しかも、発射経路33の終端部から第2大入賞装置81に到達するまでの経路R1上には、遊技釘35などの他の部材が植設されていない。よって、発射経路33の終端部から第2大入賞装置81までの距離は、発射経路33の終端部から第1大入賞装置52までの距離よりも短くなる。また、第2大入賞装置81に加えて第1大入賞装置52も右打ちによって狙う場合であっても、発射経路33の終端部から第2大入賞装置81までの距離は、発射経路33の終端部から第1大入賞装置52までの距離よりも短くなる。以上のことから、発射された遊技球A1が大入賞装置52,81に到達するまでの時間、ひいては、大当り遊技状態の消化スピードは、大当り遊技状態の種類によって変化するようになる。よって、興趣の向上を図ることができる。しかも、本実施形態では、第1大入賞装置52が第1開放状態となる大当り遊技状態において10回のラウンド演出が実行され、第2大入賞装置81が第2開放状態となる大当り遊技状態において15回のラウンド演出が実行される。即ち、大当り遊技状態の種類によって大入賞装置52,81の開放態様が変化するため、さらなる興趣の向上を図ることができる。
【0091】
なお、本実施形態を以下のように変更してもよい。
【0092】
・上記実施形態において、遊技部材71及び第2案内部材73のいずれか一方を省略してもよい。即ち、遊技部材71と第2案内部材73との間に形成される流下経路R4はなくてもよい。また、第2案内部材73を省略して、遊技部材71の右側領域に流下経路R4を形成してもよいし、遊技部材71を省略して、第2案内部材73の左側領域や右側領域に流下経路R4を形成してもよい。なお、遊技部材71を省略した場合、第2案内部材73が『遊技部材』としての機能を有するようになる。また、蓋部材82が第2開放状態に切り替えられた際に、突出部84の上端部が第2案内部材73の左端部に接触して、第1案内面84aと第2案内部材73の上面とが面一になることにより、入賞経路R2が形成されるようになる。
【0093】
・上記実施形態の第1案内部材72は特になくてもよく、経路R1や流下経路R3を形成できるようになっていればよい。また、第1案内部材72を省略した場合、センター役物50と遊技部材71との間に形成される流下経路R3はなくてもよい。
【0094】
・上記実施形態では、10回のラウンド演出が実行される大当り遊技状態が付与される場合に第1大入賞装置52が開放され、15回のラウンド演出が実行される大当り遊技状態が付与される場合に第2大入賞装置81が開放されるようになっていた。しかし、大入賞装置52,81の開放態様を適宜変更してもよい。例えば、15回のラウンド演出が実行される大当り遊技状態が付与される場合、1回目〜10回目のラウンド演出が実行されるときに第1大入賞装置52を開放し、11回目〜15回目のラウンド演出が実行されるときに第2大入賞装置81を開放するようにしてもよい。即ち、1つの大当り遊技状態において2つの大入賞装置52,81を用いるようにしてもよい。
【0095】
・上記実施形態では、遊技盤13の遊技領域32aに、2つの大入賞装置(第1大入賞装置52、第2大入賞装置81)が配設されていたが、1つの大入賞装置(第2大入賞装置81)のみを配設するようにしてもよい。
【0096】
・上記実施形態の第2大入賞装置81は、センター役物50と一体形成されていたが、センター役物50とは別体に形成されていてもよい。
【0097】
・上記実施形態では、遊技部材71が『遊技部材』として用いられていたが、遊技釘や風車などの部材を『遊技部材』として用いてもよい。
【0098】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0099】
(1)上記手段1乃至4のいずれか1つにおいて、前記入賞装置に、左右方向に往復動可能な蓋部材が設けられ、前記蓋部材は、前記遊技領域内に導かれた遊技球を前記入賞装置内に案内する案内面を有し、前記遊技部材は、遊技球を転動させる遊技球転動面を有し、前記入賞装置の作動時に、前記蓋部材が前記遊技部材に接触して、前記案内面と前記遊技球転動面とが面一になることにより、前記入賞経路が形成されることを特徴とする遊技機。
【0100】
(2)技術的思想(1)において、前記遊技領域の右上部に、前記打球発射装置によって発射されて前記遊技領域内に導かれた遊技球を跳ね返す返しゴムが配設され、前記遊技部材及び前記蓋部材が、前記返しゴムにおいて遊技球が接触する領域よりも下方に位置していることを特徴とする遊技機。
【0101】
(3)上記手段1乃至4のいずれか1つにおいて、前記入賞経路上に、前記入賞装置に入賞した遊技球を検知する遊技球検知手段が設けられ、前記入賞経路において前記遊技球検知手段よりも下流側の部分が、透明板によって覆われており、前記透明板を介して前記遊技盤の前面側から視認可能となっていることを特徴とする遊技機。
【符号の説明】
【0102】
10…遊技機としてのパチンコ機
13…遊技盤
13a…遊技盤面
32a…遊技領域
33…発射経路
33a…内レール
33b…外レール
35…遊技釘
37…返しゴム
71…遊技部材
73…遊技部材としての第2案内部材
81…入賞装置としての第2大入賞装置
A1…遊技球
R1…発射経路の終端部から第2大入賞装置に到達するまでの経路
R2…入賞経路
R3…流下経路
図1
図2
図3
図4