特許第6087705号(P6087705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6087705多機能画像取得装置およびケスタープリズム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087705
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】多機能画像取得装置およびケスタープリズム
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/04 20060101AFI20170220BHJP
   H04N 9/09 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   G02B5/04 B
   G02B5/04 A
   H04N9/09 A
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-82866(P2013-82866)
(22)【出願日】2013年4月11日
(65)【公開番号】特開2013-238850(P2013-238850A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2016年4月8日
(31)【優先権主張番号】特願2012-96688(P2012-96688)
(32)【優先日】2012年4月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000227375
【氏名又は名称】日東光器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(72)【発明者】
【氏名】圓山 重直
(72)【発明者】
【氏名】庄司 衛太
(72)【発明者】
【氏名】岡島 淳之介
(72)【発明者】
【氏名】川村 博
(72)【発明者】
【氏名】千布 善行
【審査官】 植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−27228(JP,A)
【文献】 特開2005−31558(JP,A)
【文献】 特開平1−128669(JP,A)
【文献】 特開平9−265106(JP,A)
【文献】 特開昭64−914(JP,A)
【文献】 特開2008−281665(JP,A)
【文献】 特開昭61−116491(JP,A)
【文献】 特開2000−354251(JP,A)
【文献】 特開平8−211207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00−5/136
G02B27/00−27/64
H04N 9/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と第2の面と第3の面とを有する正三角柱状とされたケスタープリズムと、
入射画像光を互いに平行な第1光束と第2光束とに分光して該2つの光束を前記第1の面に垂直に入射させる分光プリズムと、
前記第2の面に臨ませて配置された1つの撮像装置と、
を備え、
前記ケスタープリズムは、複数のプリズムを接合することにより、前記第2の面と垂直に伸びる第1分割面を有し、
前記第1分割面には、反射膜と第1の内部光学フィルタが設定され、
前記第1光束が、前記第1の面から前記第1の内部光学フィルタに入射されることにより反射光と直進光との2つの光束に分割されて、該2つの光束が最終的に出射画像光としてそれぞれ前記第2の面から垂直に出射され、
前記第2光束が、前記第1の面から前記反射膜に入射されることにより反射光とされて、最終的に前記第2の面から垂直に出射される出射画像光とされ、
前記撮像装置が、前記各出射画像光を同時に撮像して複数の画像を同時に取得する、
ことを特徴とする多機能画像取得装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ケスタープリズムは、前記第1分割面を挟んで前記第1の面とは反対側に、前記第2の面と垂直に伸びると共に第2の内部光学フィルタが設定された第3分割面をさらに有し、
前記第1光束が、前記第1の面から前記第1の内部光学フィルタに入射されることにより反射光と直進光との2つの光束に分割されて、該反射光が第1出射画像光として前記第2の面から垂直に出射され、
前記第1の内部光学フィルタを直進した前記直進光が、前記第2の内部光学フィルタに入射されることにより反射光と直進光との2つの光束に分割されて、それぞれ前記第2の面から垂直に出射される第2出射画像光および第3出射画像光とされ、
前記第2光束に対応した出射画像光が第4出射画像光とされて、前記撮像装置が前記第1〜第4出射画像光を同時に撮像して4つの画像を同時に取得する、
ことを特徴とする多機能画像取得装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1出射画像光〜第3出射画像光と前記撮像装置との間に、それぞれ外部光学フィルタが配設されている、ことを特徴とする多機能画像取得装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記外部光学フィルタが、偏光板、カラーフィルタ、バンドパスフィルタ、位相板、RGBフィルタ、UV/IRカットフィルタ、ダイクロイックフィルタ、NDフィルタ、反射防止膜、ハーフミラーのいずれか或いはその組合せとされている、ことを特徴とする多機能画像取得装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記第1〜第3出射画像光に対して設けられる前記外部光学フィルタが互いに偏光角の異なる偏光板とされて、前記撮像装置により撮像される画像が互いに位相シフトされた関係とされ、
前記第4出射画像光は、偏光作用を受けることなく前記撮像装置に入射される、
ことを特徴とする多機能画像取得装置。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5のいずれか1項において、
前記ケスタープリズムは、前記複数のプリズムの接合面となる分割面として、(1)前記第1の面と前記第3の面との交点を通って前記第2の面と直交する前記第1分割面と、(2)前記第1分割面と前記第2の面との交点を通って、前記第1の面と平行な第2分割面と、(3)前記第2分割面と前記第3の面との交点を通って、前記第2の面と直交する前記第3分割面と、を有し、
前記第1の面を通過した前記第1光束は、前記第1の内部光学フィルタで第1直進光束と第1反射光束とに分岐されて、該第1反射光束が前記第1の面で全反射された後前記第2の面から出射される第1出射画像光とされ、
前記第1直進光束が、前記第2分割面を通過して前記第2の内部光学フィルタで第2直進光束と第2反射光束とに分岐されて、前記第2反射光束が前記第2分割面で全反射されて前記第2の面から出射される第2出射画像光とされ、
前記第2直進光束が、前記第3の面で全反射されて前記第2の面から出射される第3出射画像光とされ、
前記第2光束が前記反射膜で反射された後、前記第1の面で全反射されて、前記第2の面から前記第4出射画像光として出射される、
ことを特徴とする多機能画像取得装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1の面と前記第3の面と前記第2反射光束が前記第2分割面で全反射される面とに対して、それぞれ全反射時発生する位相変化を減少させる位相制御膜が施されている、ことを特徴とする多機能画像取得装置。
【請求項8】
請求項2において、
前記第1の内部光学フィルタおよび前記第2の内部光学フィルタがそれぞれ色分離膜とされて、前記第1出射画像光〜前記第3出射画像光が互いに3色に色分けされた状態で前記第2の面から出射され、
前記第4出射画像光は、色分けされることなく前記第2の面から出射される、
ことを特徴とする多機能画像取得装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記第2の面と前記撮像装置との間に、前記第4出射画像光が通過されると共に前記第1〜第3出射画像光が通過されない位置において、前記第1〜第3出射画像光の色とは異なる色を通過させるカラーフィルタが設けられている、ことを特徴とする多機能画像取得装置。
【請求項10】
複数のプリズムを接合することにより構成されて、第1の面と第2の面と第3の面とを有する正三角柱状とされたケスタープリズムであって、
前記ケスタープリズムは、前記複数のプリズムの接合面となる分割面として、(1)前記第1の面と前記第3の面との交点を通って前記第2の面と直交する第1分割面と、(2)前記第1分割面と前記第2の面との交点を通って、前記第1の面と平行な第2分割面と、(3)前記第2分割面と前記第3の面との交点を通って、前記第2の面と直交する第3分割面と、を有し、
前記第1分割面には、反射膜と第1の内部光学フィルタが設定され、
前記第3分割面には第2の内部光学フィルタが設定され、
前記第1の面を垂直に通過した第1光束が、前記第1の内部光学フィルタで第1直進光束と第1反射光束とに分岐されて、該第1反射光束が前記第1の面で全反射された後前記第2の面から出射される第1出射画像光とされ、
前記第1直進光束が、前記第2分割面を通過して前記第2の内部光学フィルタで第2直進光束と第2反射光束とに分岐されて、前記第2反射光束が前記第2分割面で全反射されて前記第2の面から出射される第2出射画像光とされ、
前記第2直進光束が、前記第3の面で全反射されて前記第2の面から出射される第3出射画像光とされ、
前記第1光束と平行に前記第1の面に入射される第2光束が、前記反射膜で反射された後、前記第1の面で全反射されて、前記第2の面から出射される第4出射画像光とされる
ことを特徴とするケスタープリズム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像を含む多機能画像取得装置およびケスタープリズムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像処理によってある画像から情報を引き出すときに、ある画像を光学フィルタを通すことにより特定の機能を持たせる一方、特定の機能が互いに異なる複数の画像に基づいて演算処理を行うことがある。
【0003】
特許文献1では、位相の異なる3つの画像が3方向に分割された形態で得るようにして、3つの分割画像それぞれを個別のカメラ(つまり合計3台のカメラ)で取得するものが開示されている。しかしながら、この場合は、複数のカメラ間での同期を別途行う必要があり、カメラ設置台数の増大のみならず、同期処理を含めた画像処理に多大の手間を要することになる。特許文献2には、画像を2またはそれ以上の空間的に分離したスペクトル画像に分割するものが開示されているが、この分割は偏光ビームスプリッタを利用しているため、入射光が必ず特定の直線偏光に分割されてしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−281441号公報(特許第3000518号公報)
【特許文献2】特表2005−523447号公報(特許第4398735号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば流体の乱れを画像処理によって可視化する際に、参照光と流体を通過した後の画像光との干渉により形成される干渉縞を利用した画像処理によって可視化を行なうことが可能である。この場合、可視化のために位相の異なる(位相シフトされた)複数の画像を取得することが要求され、しかも複数の画像が互いに同期していることが要求される。特許文献1のものでは、カメラの台数増大と、同期のための処理が別途必要になってしまうことになる。また、特許文献2のものでは、偏光ビームスプリッタを利用しているために直線偏光しか得られず、特定の機能が限定されてしまうことになり、汎用性の低いものとなる。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その第1の目的は、1台の撮像装置によって、特定の機能を持たせた複数の画像を互いに同期した状態で取得できるようにし、しかも特定の機能を種々選択できるようにした多機能画像取得装置を提供することにある。本発明の第2の目的は、上記多機能画像取得装置等に用いて好適なケスタープリズムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記第1の目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
第1の面と第2の面と第3の面とを有する正三角柱状とされたケスタープリズムと、 入射画像光を互いに平行な第1光束と第2光束とに分光して該2つの光束を前記第1の面に垂直に入射させる分光プリズムと、
前記第2の面に臨ませて配置された1つの撮像装置と、
を備え、
前記ケスタープリズムは、複数のプリズムを接合することにより、前記第2の面と垂直に伸びる第1分割面を有し、
前記第1分割面には、反射膜と第1の内部光学フィルタが設定され、
前記第1光束が、前記第1の面から前記第1の内部光学フィルタに入射されることにより反射光と直進光との2つの光束に分割されて、該2つの光束が最終的に出射画像光としてそれぞれ前記第2の面から垂直に出射され、
前記第2光束が、前記第1の面から前記反射膜に入射されることにより反射光とされて、最終的に前記第2の面から垂直に出射される出射画像光とされ、
前記撮像装置が、前記各出射画像光を同時に撮像して複数の画像を同時に取得する、
ようにしてある。
【0008】
上記解決手法によれば、第1の内部光学フィルタを経由した出射画像光と第1の内部光学フィルタを経由しない出射画像光との複数の出射画像光に対応した複数の画像を完全に同期した状態で取得することができる。また、全体として低コストかつ小型化することができる。そして、出射画像光に対応した光学フィルタを適宜選択することにより、各出射画像光に対して異なる特定の機能を個別に与えることができる。本発明は、例えば、干渉縞を利用した画像処理を行う場合に、光学フィルタとして特定方向に偏波した光束だけを通過させる偏光板を用いると共にその偏光角を互いに相違させることにより、位相シフトされた複数枚の画像を完全に同期した状態で取得して、その後の画像処理を行う上で極めて好適となる。なお、複数の出射画像光に対して特定の機能を付与できる光学フィルタは、1つの出射画像光のみに光学フィルタを設けた場合であってもよく、2つの出射画像光に対してそれぞれ光学フィルタを設けた場合であってもよく、出射画像光全てに光学フィルタを設けた場合であってもよいものである。このように、本発明は、光学フィルタを設ける出射画像光の数を任意に選択できるという利点も有する。
【0009】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記ケスタープリズムは、前記第1分割面を挟んで前記第1の面とは反対側に、前記第2の面と垂直に伸びると共に第2の内部光学フィルタが設定された第3分割面をさらに有し、
前記第1光束が、前記第1の面から前記第1の内部光学フィルタに入射されることにより反射光と直進光との2つの光束に分割されて、該反射光が第1出射画像光として前記第2の面から垂直に出射され、
前記第1の内部光学フィルタを直進した前記直進光が、前記第2の内部光学フィルタに入射されることにより反射光と直進光との2つの光束に分割されて、それぞれ前記第2の面から垂直に出射される第2出射画像光および第3出射画像光とされ、
前記第2光束に対応した出射画像光が第4出射画像光とされて、前記撮像装置が前記第1〜第4出射画像光を同時に撮像して4つの画像を同時に取得する、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、互いに平行な4つの出射画像光に対応して、4つの画像を同時に取得することができる。
【0010】
前記第1出射画像光〜第3出射画像光と前記撮像装置との間に、それぞれ外部光学フィルタが配設されている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、外部光学フィルタで処理された3つの処理画像と、外部光学フィルタで処理されない生画像とを同時に取得することができる。
【0011】
前記外部光学フィルタが、偏光板、カラーフィルタ、バンドパスフィルタ、位相板、RGBフィルタ、UV/IRカットフィルタ、ダイクロイックフィルタ、NDフィルタ、反射防止膜、ハーフミラーのいずれか或いはその組合せとされている、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、特定の機能を与えるための具体的例が提供される。
【0012】
前記第1〜第3出射画像光に対して設けられる前記外部光学フィルタが互いに偏光角の異なる偏光板とされて、前記撮像装置により撮像される画像が互いに位相シフトされた関係とされ、
前記第4出射画像光は、偏光作用を受けることなく前記撮像装置に入射される、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、互いに位相シフト3枚の画像の他に、出射光の強度(明るさ)を第4出射光により取得することができ、その後の画像処理の上で極めて好ましいものとなる。
【0013】
前記ケスタープリズムは、前記複数のプリズムの接合面となる分割面として、(1)前記第1の面と前記第3の面との交点を通って前記第2の面と直交する前記第1分割面と、(2)前記第1分割面と前記第2の面との交点を通って、前記第1の面と平行な第2分割面と、(3)前記第2分割面と前記第3の面との交点を通って、前記第2の面と直交する前記第3分割面と、を有し、
前記第1の面を通過した前記第1光束は、前記第1の内部光学フィルタで第1直進光束と第1反射光束とに分岐されて、該第1反射光束が前記第1の面で全反射された後前記第2の面から出射される第1出射画像光とされ、
前記第1直進光束が、前記第2分割面を通過して前記第2の内部光学フィルタで第2直進光束と第2反射光束とに分岐されて、前記第2反射光束が前記第2分割面で全反射されて前記第2の面から出射される第2出射画像光とされ、
前記第2直進光束が、前記第3の面で全反射されて前記第2の面から出射される第3出射画像光とされ、
前記第2光束が前記反射膜で反射された後、前記第1の面で全反射されて、前記第2の面から前記第4出射画像光として出射される、
ようにしてある(請求項6対応)。この場合、第4出射画像光を得るためのケスタープリズムの具体的な構造が提供される。また、全体として1つのブロックとして構成されるので、取扱いが容易となり、しかも小型化の上でも好ましいものとなる。さらに、ケスタープリズム内での光路長を、第1〜第4出射画像光間で互いに等しくすることができる。以上に加えて、反射面を第1分割面の割り面を利用して構成するので、割り面以外の部分で反射面を構成する場合に比して、ケスタープリズムを構成するプリズムの形状を極力単純な形状のものとする上で好ましいものとなる。
【0014】
前記第1の面と前記第3の面と前記第2反射光束が前記第2分割面で全反射される面とに対して、それぞれ全反射時発生する位相変化を減少させる位相制御膜が施されている、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、各出射光の位相ずれを防止する上で好ましいものとなる。また、位相制御膜によって、反射防止膜の機能を果たすことができ、このことは、反射に起因する強度低下の防止や迷光低減の上でも好ましいものとなる。
【0015】
前記第1の内部光学フィルタおよび前記第2の内部光学フィルタがそれぞれ色分離膜とされて、前記第1出射画像光〜前記第3出射画像光が互いに3色に色分けされた状態で前記第2の面から出射され、
前記第4出射画像光は、色分けされることなく前記第2の面から出射される、
ようにしてある(請求項8対応)。この場合、第1〜第3出射画像光により、3色に色分けされたカラー画像が同時に撮像されることになる。このとき同時に、第4出射画像光に対応した画像も撮像されることになるが、第4出射画像光は波長帯域の広いものとなるので、例えば所望の波長を選択する光学フィルタを選択することにより、4色による鮮やかなカラー画像を取得することが可能となる。
【0016】
前記第2の面と前記撮像装置との間に、前記第4出射画像光が通過されると共に前記第1〜第3出射画像光が通過されない位置において、前記第1〜第3出射画像光の色とは異なる色を通過させるカラーフィルタが設けられている、ようにしてある(請求項9対応)。この場合、4色による鮮やかなカラー画像を取得する上で好ましいものとなる。
【0017】
前記第2の目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項10に記載のように、
複数のプリズムを接合することにより構成されて、第1の面と第2の面と第3の面とを有する正三角柱状とされたケスタープリズムであって、
前記ケスタープリズムは、前記複数のプリズムの接合面となる分割面として、(1)前記第1の面と前記第3の面との交点を通って前記第2の面と直交する第1分割面と、(2)前記第1分割面と前記第2の面との交点を通って、前記第1の面と平行な第2分割面と、(3)前記第2分割面と前記第3の面との交点を通って、前記第2の面と直交する第3分割面と、を有し、
前記第1分割面には、反射膜と第1の内部光学フィルタが設定され、
前記第3分割面には第2の内部光学フィルタが設定され、
前記第1の面を垂直に通過した第1光束が、前記第1の内部光学フィルタで第1直進光束と第1反射光束とに分岐されて、該第1反射光束が前記第1の面で全反射された後前記第2の面から出射される第1出射画像光とされ、
前記第1直進光束が、前記第2分割面を通過して前記第2の内部光学フィルタで第2直進光束と第2反射光束とに分岐されて、前記第2反射光束が前記第2分割面で全反射されて前記第2の面から出射される第2出射画像光とされ、
前記第2直進光束が、前記第3の面で全反射されて前記第2の面から出射される第3出射画像光とされ、
前記第1光束と平行に前記第1の面に入射される第2光束が、前記反射膜で反射された後、前記第1の面で全反射されて、前記第2の面から出射される第4出射画像光とされる
ようにしてある。上記解決手法によれば、請求項2に対応した多機能画像取得装置に用いて好適なケスタープリズムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、特定の機能が与えられた少なくとも3枚の画像を完全に同期した状態で1つの画面に取得することができる。また、光学フィルタを適宜選択することにより、各出射光に対応した画像に特定の機能を個別に与えることができ、極めて汎用性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態を示す全体説明図。
図2】本発明のケスタープリズム部分の詳細を示すもので、図1のDで囲った部分の詳細図。
図3図2に示すケスタープリズムの分解図。
図4】本発明の第2の実施形態を示すもので、図2に対応した図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1において、1はレーザ発信器である(例えばHe−Ne系)。レーザ発信器1から発信されたレーザは、スペイシャルフィルタ2、レンズ3、反射ミラー4を経て、平行光としてビームスプリッタ5に入射され、このビームスプリッタ5で2つの光束に分割される。
【0021】
ビームスプリッタ5による一方の光束がP波とされて、反射ミラー6を経て、ビームスプリッタ7に入射される。また、ビームスプリッタ5を通過する他方の光束はS波とされて、反射ミラー8を経て、ビームスプリッタ7に入射される。これらの光束が後述するケスタープリズムに対する入射画像光とされる。
【0022】
ビームスプリッタ5を通過した一方の光束は、例えば参照光とされ、他方の光束は、被検対象物質中を通過する検知光とされる。すなわち、例えば、ある物体による空気の乱れ状態を計測するとき、層流空気が流れる風洞中に設置されたある物体の後方を、検知光が通過するようにその光路が設定される。また、風洞内を加温して、例えば上下方向に温度差を有するような温度分布状態が形成される。風洞中のある物体を層流状態の空気が流れるとき、ある物体によって空気が乱れることにより、ある物体の後方における温度分布状態が変化する。温度変化があると、空気の屈折率が変化し検知光の位相が変化することになる。そして、参照光と位相変化された検知光との間で干渉が生じて、干渉縞を形成することが可能となるが、参照光はS波、検知光がP波とされているので、この両方の光を単に集光させただけでは、干渉縞を画像で確認出来にくいものとなり、後述する光路形成によって、コントラストの大きい干渉縞の画像が取得されることになる。なお、P波を参照光とし、S波を検知光とすることもできる。
【0023】
ビームスプリッタ7を通過した入射画像光は、後述するように、分光プリズム10およびケスタープリズム20を経て、撮像手段としてのCCDカメラ30に入射される。
【0024】
図2は、図1のビームスプリッタ7を通過した後の部分(図1のD部分)を拡大して示すものである。分光プリズム10は、ビームスプリッタ7からの入射画像光を、出射状態において互いに平行な第1光束V1と第2光束V2との2つに分岐して、各光束V1、V2をそれぞれケスタープリズム20に入射させる。各光束V1、V2の強度(明るさ)は互いにほぼ等しくなるように設定され、かつ、この分光プリズム10は、入射光の偏光状態を維持しつつ2等分する無偏光ビームスプリッタ膜を具備している。なお、このような分光プリズム10自体はよく知られているので、その詳細な説明は省略する。
【0025】
ケスタープリズム20は後述するように、上記第1光束V1を3つの光束に分岐すると共に、この3つの光束を、互いに平行で同一方向に向かう第1〜第3の3つの出射画像光W1〜W3として出射させる機能を有する。また、ケスタープリズム20は、上記第2光束V2を、分岐させることなく、上記第1〜第3出射画像光W1〜W3と平行で同一方向に向かう第4出射画像光W4として出射させる機能を有する。
【0026】
ケスタープリズム20の詳細について、図2図3を参照しつつ説明する。まず、ケスタープリズム20は、全体的に、断面正三角形とされた正三角柱状とされて、第1の面M1と、第2の面M2と、第3の面M3とを有する。ケスタープリズム20の3つの頂点(各面M1〜M3との間での交点)が、α1,α2,α3として示される。
【0027】
ケスタープリズム20は、図3に示すように、それぞれ三角柱状とされた合計4つのプリズムP1〜P4を接合することにより構成され、その接合面が分割面となる。この分割面は、次のように設定されることになる。まず、第1の面M1と前記第3の面M3との交点となる頂点α2を通って第2の面M2と直交する第1分割面B1を有する。また、第1分割面B1と第2の面M2との交点β1を通って、第1の面M1と平行な第2分割面B2を有する。この第2分割面B2には微少なエアーギャップを設けている。さらに、第2分割面B2と第3の面M3との交点β2を通って、第2の面M2と直交する第3分割面B3を有する。第1分割面B1と第3分割面B3は、内部光学フィルタとなるハーフミラー面としての機能を果たすようになっている。この2つの分割面であるB1(反射面Hを除く)とB3面は無偏光ビームスプリッタ膜で構成されている。
【0028】
前記第1の面M1と第3の面M3と第2分割面B2の全反射面には、全反射で発生する位相変化を減少させる位相制御膜が施されている。この位相制御膜は、垂直入射においては反射防止機能を有し、迷光を低減する効果を併せ持つ。
【0029】
分光プリズム10からの第1光束V1は、1/4波長板15によって円偏光状態とされた後、ケスタープリズム20の第1の面M1に対して垂直に入射される(1/4波長板15は無くてもよい)。第1光束V1は、第1分割面B1において、反射光V21と、直進光V22とに偏光方向も含め2等分される。反射光V21は、第1の面M1で全反射された後、第2の面M2から垂直に出射され、この出射光が、第1出射画像光W1とされる。
【0030】
第1光束V1のうち第1分割面B1を通過した直進光V22は、第2分割面B2に垂直に入射されてそのまま通過した後、第3分割面B3において、反射光V31と直進光V32に分岐される。反射光V31は、第2分割面B2で全反射された後、第2の面M2から垂直に出射され、この出射光が、第2出射画像光W2とされる。
【0031】
第3分割面B3を通過した直進光V32は、第3の面M3で全反射された後、第2の面M2から垂直に出射され、この出射光が、第3出射画像光W3とされる。
【0032】
分光プリズム10からの第2光束V2もケスタープリズム20に入射されるが、この第2光束V2のために、ケスタープリズム20の第1分割面B1の一部には、反射面Hを形成するための反射膜が施されている(図2図3においては、反射膜をその存在を明確にするために太線で描いてあるが、実際には薄膜である)。反射面Hを形成する位置は、第2光束V2が入射される位置付近(頂点α2付近)とされて、第1光束V1の光路以外の部分が選択される。なお、反射面Hは、図3ではプリズムP2に施してあるが、プリズムP1に施すこともできる。
【0033】
第2光束V2は、反射面Hの近くにおいて、第1の面M1に対して垂直に入射される。そして、反射面Hで反射された後、第1の面M1で全反射されて、第2の面M2から垂直に出射され、この出射光が第4出射画像光W4とされる。
【0034】
第2の面M2と垂直に出射される各出射画像光W1〜W4は、互いに平行で、かつ第2の面M2に沿って互いにずれた位置からそれぞれCCDカメラ30に入射される。すなわち、CCDカメラ30のCCDを符合31で示してあり、このCCD31は、第2の面M2に沿って細長く伸びている。各出射画像光W1〜W4に対応した画像が、CCD31において単一平面上に並べて4つの画像として取得される。このため1つのCCDに映し出された4つの画像は、同一CCD内のピクセル間の演算を施すことができる。CCD31の画素位置によって、各出射画像光W1〜W4に対応した画像を明確に区別することができる。各出射画像光W1〜W4に対応した画像の区切り位置が、符合31a〜31cで示される。
【0035】
ケスタープリズム20とCCDカメラ30との間は、複数の外部光学フィルタとなる光学フィルタ41〜43が配設される。光学フィルタ41は、出射画像光W1に対応して配設されて、出射画像光W1のみが通過するものである。光学フィルタ42は、出射画像光W2に対応して配設されて、出射画像光W2のみが通過するものである。光学フィルタ43は、出射画像光W3に対応して配設されて、出射画像光W3のみが通過するものである。そして、出射画像光W4に対しては、光学フィルタが設けられていない。
【0036】
上記各光学フィルタ41〜43は、第2図の一実施形態では偏光板とし、その偏光角(偏光方向)は互いに120度ずれた関係とされている。この偏光板としての光学フィルタ41〜43の偏光角を、図2において丸枠内に示した矢印で示している。これにより、CCDカメラ30には、位相が120度ずつずれた干渉縞の画像が取得されることになる。また、第4出射画像光W4には光学フィルタが配設されておらず、出射光の強度(明るさ)が取得される。なお、ケスタープリズム20における入射から出射までの光路長は、各出射光W1〜W4間において互いに等しくなっている。
【0037】
CCDカメラ30として、高速のものを用いることにより(例えば毎秒数十フレーム以上で、数百〜数千フレームのものを用いることもできる)、非常に短い時間内で変化する現象を、機能を持たせた複数枚の画像を同時に取得することができる。本発明のケスタープリズム方式を採用すれば、フレームレートに関しては何ら限界値が存在しない。従って本発明方式では、高速撮影に関しては上限がCCDカメラの性能に起因し、本発明システムには起因しない。勿論、撮像手段としても、CCDカメラ30以外のもの、例えばハイスピードカメラに使用されるCMOSイメージセンサを使用したカメラ、フィルム式カメラ等を適宜用いることができる。
【0038】
図4は、本発明の第2の実施形態を示すものであり、前記実施形態と同一構成要素には同一符号を付してその重複した説明は省略する。本実施形態では、カラー用の多機能画像取得装置として応用したもので、第2の面M2から互いに平行に出射される3つの出射画像光W1、W2、W3として、赤色、緑色、青色の3色に分解された色彩光としてある。すなわち、ケスタープリズム20の第1分割面B1には、ハーフミラー面に代えて色分離膜が用いられている。これにより、分光プリズム10のハーフミラー面を直進した第1光束V1が、第1分割面B1で、青色の反射光V21(つまり第1出射光W1)と青色の波長成分が除去された直進光V22とに分光される。
【0039】
また、第3分割面B3も、ハーフミラーに代えて色分離膜が施されて、上記直進光V22が、第3分割面B3で、緑色の反射光V31(つまり第2出射画像光W2)と赤色の直進光V32(つまり第3出射画像光W3)とに分光される。
【0040】
分光プリズム10で分光された第2光束V2が、反射面Hで反射されて、色分解されることなく(つまり全ての波長を含む白色光として)、第4出射画像光W4として出射される。各出射画像光W1〜W4は、撮像装置30で同時にカラー画像として撮像される。
【0041】
上述した第2の実施形態においては、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の波長毎に分解して撮像されることになる。色彩の再現性をより改良するため、4色に拡張する試みが一部で行われている。本実施形態によれば、第4出射画像光W4が、全ての色成分の波長を含んでいるので、第4出射画像光W4に対して所定の波長特性を有する光学フィルタCFを用いることにより、中間色も含めてより鮮やかにカラー表示(カラー撮像)することが可能となる。
【0042】
図4の変形例として、分光プリズム10の分割面に色分離膜を用いて、第1光束V1を、例えば緑色から赤色の波長成分を含むものとし、第2光束V2をそれ以外の波長成分を含むものとすることもできる。この場合、第4出射画像光W4は、全色の波長成分を含むものとはならないが、第4出射画像光W4となる光束はケスタープリズム20ではそれ以上の色分け(分光)が行われないので、第4出射画像光W4は、広い波長帯域とすることができる。
【0043】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。分光プリズム10から出射される第2光束V2を、偏光板を通過させた後ケスタープリズム20に入射させるようにしてもよい。ケスタープリズム20には、第1光束V1に相当する入射画像光のみを入射させて、CCDカメラ30では同期した3つの画像を横並びに取得するようにしたものであってもよい(この場合、分光プリズム10,反射面Hが不要となる)。第4出射画像光W4に対しても光学フィルタを設けるようにしてもよい。
【0044】
内部光学フィルタあるいは外部光学フィルタとしては、偏光板の他、カラーフィルタ、バンドパスフィルタ、位相板、RGBフィルタ、UV/IRカットフィルタ、ダイクロイックフィルタ、NDフィルタ、反射防止膜、ハーフミラー等適宜のもの、或いはその組合せを用いることができる。例えば本発明では1つの画像を4つに複製し、任意の光学フィルタによりそれぞれに異なる光学的機能を持たせ、1CCDの単板方式で画像を取得できる。例えば、光学フィルタとしてカラーフィルタを用いることにより、1CCD上に各色の画像を4枚並べて撮影することができる。
【0045】
また、3枚の画像に対し特定の偏光角を持たせて取得し、画像処理を行うことで位相シフト画像を得ることができる。また、バンドパスフィルタを用いると分光計測も可能となる。以上のような複数枚の画像取得を、既存のカメラシステム、例えば高速度カメラ等を利用して行うことができる。つまり、光学フィルタを交換することにより、高速度のカラー写真、位相シフト画像、分光画像など任意の特定の機能が与えられた画像を任意の組み合わせで同時に取得することができる(例えば位相シフト画像と分光画像を同時に取得等)。画像取得部として高速度カメラを用いることにより、高速度の撮影と光学フィルタの交換が可能となった。被検物質としては、空気や水等の流体に限らず、光が通過できる物質であれば適宜のものを選択することができる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、流体の流れの解析を行う等のために利用される画像取得装置として、あるいは小型のカラー画像取得装置として好適である。特に、高速で非定常な流体現象、例えば、衝撃波や燃焼、プラズマなどに適する。
【符号の説明】
【0047】
10:分光プリズム
20:ケスタープリズム
30:CCDカメラ(撮像手段)
31:CCD
41〜43:光学フィルタ
S波:検知光
P波:参照光
H:反射面
M1:第1の面
M2:内2の面
M3:第3の面
B1:第1分割面
B2:第2分割面
B3:第3分割面
W1:第1出射画像光
W2:第2出射画像光
W3:第3出射画像光
W4:第4出射画像光
P1〜P4:プリズム(ケスタープリズム構成用)
図1
図2
図3
図4