特許第6087751号(P6087751)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6087751光学異方性パラメータ測定装置、測定方法及び測定用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087751
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】光学異方性パラメータ測定装置、測定方法及び測定用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/21 20060101AFI20170220BHJP
【FI】
   G01N21/21 Z
【請求項の数】18
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-141612(P2013-141612)
(22)【出願日】2013年7月5日
(65)【公開番号】特開2015-14524(P2015-14524A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2016年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000138200
【氏名又は名称】株式会社モリテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100084984
【弁理士】
【氏名又は名称】澤野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100094123
【弁理士】
【氏名又は名称】川尻 明
(72)【発明者】
【氏名】田ノ岡 大 輔
【審査官】 横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−060352(JP,A)
【文献】 特開2001−272307(JP,A)
【文献】 特開平10−142060(JP,A)
【文献】 特開2007−248255(JP,A)
【文献】 米国特許第03985447(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00,21/01
G01N 21/17−21/61
G01M 11/00−11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から偏光子を介して測定対象面上の測定点へ一定の入射角度で偏光を入射させ、前記測定点からの反射光に含まれる特定の偏光成分の光強度を検光子を介して測定する受光素子とを備えた光学系と、
前記測定対象面を前記測定点に立てた法線の周りに相対回転させて測定方位を変更する測定方位調整装置と、
各測定方位ごとに、前記測定点と検光子との間に配された波長板を所定角度間隔で半回転又は一回転させて前記受光素子で測定された波長板の回転角θに対する光強度データに基づき、複素振幅反射率比Rpp≡tanΨpp・exp(iΔpp)、Rps≡tanΨps・exp(iΔps)、Rsp≡tanΨsp・exp(iΔsp)で定義されるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを算出する演算装置を備えた光学異方性パラメータ測定装置において、
前記演算装置は、前記測定対象面を基準としてこれに直交し且つ入射光線を含む面内方向(P方向)で振動する直線偏光をP偏光とし、P方向に直交する面内方向(S方向)に振動する直線偏光をS偏光としたときに、各測定方位ごとに、前記偏光子及び検光子の一方をP方向とし、他方をS方向とする二つの直交ニコル状態で測定した光強度A11(θ)及びC11(θ)と、前記偏光子及び検光子をプラス方向に偏位させた不完全直交ニコルとした状態で測定した光強度B11(θ)と、マイナス方向に偏位させた不完全直交ニコルとした状態で測定した光強度B12(θ)に基づいて、回転角θにおける光強度と、回転角−θにおける光強度の和と差を
(θ)=A11(θ)+A11(−θ)
(θ)=A11(θ)−A11(−θ)
(θ)=B11(θ)+B12(−θ)
(θ)=C11(θ)+C11(−θ)
(θ)=C11(θ)−C11(−θ)
により算出して、所定の記憶領域に記憶させ、
前記T、D、T、T、Dに基づいて、各測定方位におけるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを算出することを特徴とする光学異方性パラメータ測定装置。
【請求項2】
前記光強度A11(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B11(θ)は、偏光子をP+δ(0<δ<π/2)方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B12(θ)は、偏光子をP−δ(0<δ<π/2)方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度C11(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした直交ニコル状態で測定される請求項1記載の光学異方性パラメータ測定装置。
【請求項3】
前記光強度A11(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B11(θ)は、偏光子をS+δ(0<δ<π/2)方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B12(θ)は、偏光子をS−δ(0<δ<π/2)方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度C11(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした直交ニコル状態で測定される請求項1記載の光学異方性パラメータ測定装置。
【請求項4】
光源から偏光子を介して測定対象面上の測定点へ一定の入射角度で偏光を入射させ、前記測定点からの反射光に含まれる特定の偏光成分の光強度を検光子を介して測定する受光素子とを備えた光学系と、
前記測定対象面を前記測定点に立てた法線の周りに相対回転させて測定方位を変更する測定方位調整装置と、
各測定方位ごとに、前記偏光子と測定点との間に配された波長板を所定角度間隔で半回転又は一回転させて前記受光素子で測定された波長板の回転角θに対する光強度データに基づき、複素振幅反射率比Rpp≡tanΨpp・exp(iΔpp)、Rps≡tanΨps・exp(iΔps)、Rsp≡tanΨsp・exp(iΔsp)で定義されるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを算出する演算装置を備えた光学異方性パラメータ測定装置において、
前記演算装置は、前記測定対象面を基準としてこれに直交し且つ入射光線を含む面内方向(P方向)で振動する直線偏光をP偏光とし、P方向に直交する面内方向(S方向)に振動する直線偏光をS偏光としたときに、各測定方位ごとに、前記偏光子及び検光子の一方をP方向とし、他方をS方向とする二つの直交ニコル状態で測定した光強度A21(θ)及びC21(θ)と、前記偏光子及び検光子をプラス方向に偏位させた不完全直交ニコルとした状態で測定した光強度B21(θ)と、マイナス方向に偏位させた不完全直交ニコルとした状態で測定した光強度B22(θ)に基づいて、回転角θにおける光強度と、回転角−θにおける光強度の和と差を
(θ)=A21(θ)+A21(−θ)
(θ)=A21(θ)−A21(−θ)
(θ)=B21(θ)+B22(−θ)
(θ)=C21(θ)+C21(−θ)
(θ)=C21(θ)−C21(−θ)
により算出して、所定の記憶領域に記憶させ、
前記T、D、T、T、Dに基づいて、各測定方位におけるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを算出することを特徴とする光学異方性パラメータ測定装置。
【請求項5】
前記光強度A21(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B21(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS+δ(0<δ<π/2)方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B22(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS−δ(0<δ<π/2)方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度C21(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした直交ニコル状態で測定される請求項4記載の光学異方性パラメータ測定装置。
【請求項6】
前記光強度A21(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B21(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP+δ(0<δ<π/2)方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B22(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP−δ(0<δ<π/2)方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度C21(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした直交ニコル状態で測定される請求項4記載の光学異方性パラメータ測定装置。
【請求項7】
光源から偏光子を介して測定対象面上の測定点へ一定の入射角度で偏光を入射させ、前記測定対象面を前記測定点に立てた法線の周りに相対回転させて各測定方位ごとに、前記測定点からの反射光に含まれる特定の偏光成分の光強度を検光子を介して受光素子で受光させ、前記測定点と検光子との間に配された波長板を所定角度間隔で半回転又は一回転させて測定された波長板の回転角θに対する光強度データに基づき、複素振幅反射率比Rpp≡tanΨpp・exp(iΔpp)、Rps≡tanΨps・exp(iΔps)、Rsp≡tanΨsp・exp(iΔsp)で定義されるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを測定する光学異方性パラメータ測定方法において、
前記測定対象面を基準としてこれに直交し且つ入射光線を含む面内方向(P方向)で振動する直線偏光をP偏光とし、P方向に直交する面内方向(S方向)に振動する直線偏光をS偏光としたときに、各測定方位ごとに、前記偏光子及び検光子の一方をP方向とし、他方をS方向とする二つの直交ニコル状態で測定した光強度A11(θ)及びC11(θ)と、前記偏光子及び検光子をプラス方向に偏位させた不完全直交ニコルとした状態で測定した光強度B11(θ)と、マイナス方向に偏位させた不完全直交ニコルとした状態で測定した光強度B12(θ)に基づいて、回転角θにおける光強度と、回転角−θにおける光強度の和と差を
(θ)=A11(θ)+A11(−θ)
(θ)=A11(θ)−A11(−θ)
(θ)=B11(θ)+B12(−θ)
(θ)=C11(θ)+C11(−θ)
(θ)=C11(θ)−C11(−θ)
により算出し、
前記T、D、T、T、Dに基づいて、各測定方位におけるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを算出することを特徴とする光学異方性パラメータ測定方法。
【請求項8】
前記光強度A11(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B11(θ)は、偏光子をP+δ(0<δ<π/2)方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B12(θ)は、偏光子をP−δ(0<δ<π/2)方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度C11(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした直交ニコル状態で測定される請求項7記載の光学異方性パラメータ測定方法。
【請求項9】
前記光強度A11(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B11(θ)は、偏光子をS+δ(0<δ<π/2)方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B12(θ)は、偏光子をS−δ(0<δ<π/2)方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度C11(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした直交ニコル状態で測定される請求項7記載の光学異方性パラメータ測定方法。
【請求項10】
光源から偏光子を介して測定対象面上の測定点へ一定の入射角度で偏光を入射させ、前記測定対象面を前記測定点に立てた法線の周りに相対回転させて各測定方位ごとに、前記測定点からの反射光に含まれる特定の偏光成分の光強度を検光子を介して受光素子で受光させ、前記偏光子と測定点との間に配された波長板を所定角度間隔で半回転又は一回転させて測定された波長板の回転角θに対する光強度データに基づき、複素振幅反射率比Rpp≡tanΨpp・exp(iΔpp)、Rps≡tanΨps・exp(iΔps)、Rsp≡tanΨsp・exp(iΔsp)で定義されるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを測定する光学異方性パラメータ測定方法において、
前記測定対象面を基準としてこれに直交し且つ入射光線を含む面内方向(P方向)で振動する直線偏光をP偏光とし、P偏光に直交する面内方向(S方向)に振動する直線偏光をS偏光としたときに、各測定方位ごとに、前記偏光子及び検光子の一方をP方向とし、他方をS方向とする二つの直交ニコル状態で測定した光強度A21(θ)及びC21(θ)と、前記偏光子及び検光子をプラス方向に偏位させた不完全直交ニコルとした状態で測定した光強度B21(θ)と、マイナス方向に偏位させた不完全直交ニコルとした状態で測定した光強度B22(θ)に基づいて、回転角θにおける光強度と、回転角−θにおける光強度の和と差を
(θ)=A21(θ)+A21(−θ)
(θ)=A21(θ)−A21(−θ)
(θ)=B21(θ)+B22(−θ)
(θ)=C21(θ)+C21(−θ)
(θ)=C21(θ)−C21(−θ)
により算出し、
前記T、D、T、T、Dに基づいて、各測定方位におけるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを算出することを特徴とする光学異方性パラメータ測定方法。
【請求項11】
前記光強度A21(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B21(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS+δ(0<δ<π/2)方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B22(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS−δ(0<δ<π/2)方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度C21(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした直交ニコル状態で測定される請求項10記載の光学異方性パラメータ測定方法。
【請求項12】
前記光強度A21(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B21(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP+δ(0<δ<π/2)方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B22(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP−δ(0<δ<π/2)方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度C21(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした直交ニコル状態で測定される請求項10記載の光学異方性パラメータ測定方法。
【請求項13】
光源から偏光子を介して測定対象面上の測定点へ一定の入射角度で偏光を入射させ、前記測定対象面を前記測定点に立てた法線の周りに相対回転させて各測定方位ごとに、前記測定点からの反射光に含まれる特定の偏光成分の光強度を検光子を介して受光素子で受光させ、前記測定点と検光子との間に配された波長板を所定角度間隔で半回転又は一回転させて測定された波長板の回転角θに対する光強度データに基づき、複素振幅反射率比Rpp≡tanΨpp・exp(iΔpp)、Rps≡tanΨps・exp(iΔps)、Rsp≡tanΨsp・exp(iΔsp)で定義されるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを測定する光学異方性パラメータ測定用プログラムにおいて、
前記測定対象面を基準としてこれに直交し且つ入射光線を含む面内方向(P方向)で振動する直線偏光をP偏光とし、P方向に直交する面内方向(S方向)に振動する直線偏光をS偏光としたときに、各測定方位ごとに、前記偏光子及び検光子の一方をP方向とし、他方をS方向とする二つの直交ニコル状態で測定した光強度A11(θ)及びC11(θ)と、前記偏光子及び検光子をプラス方向に偏位させた不完全直交ニコルとした状態で測定した光強度B11(θ)と、マイナス方向に偏位させた不完全直交ニコルとした状態で測定した光強度B12(θ)に基づいて、回転角θにおける光強度と、回転角−θにおける光強度の和と差を
(θ)=A11(θ)+A11(−θ)
(θ)=A11(θ)−A11(−θ)
(θ)=B11(θ)+B12(−θ)
(θ)=C11(θ)+C11(−θ)
(θ)=C11(θ)−C11(−θ)
により算出して、各測定方位ごとに所定の記憶領域に記憶させる和分及び差分データ算出手段と、
前記T、D、T、T、Dに基づいて、各測定方位におけるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを算出する異方性パラメータ算出手段と、
を備えたことを特徴とする光学異方性パラメータ測定用プログラム。
【請求項14】
前記光強度A11(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B11(θ)は、偏光子をP+δ(0<δ<π/2)方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B12(θ)は、偏光子をP−δ(0<δ<π/2)方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度C11(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした直交ニコル状態で測定される請求項13記載の光学異方性パラメータ測定用プログラム。
【請求項15】
前記光強度A11(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B11(θ)は、偏光子をS+δ(0<δ<π/2)方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B12(θ)は、偏光子をS−δ(0<δ<π/2)方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度C11(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした直交ニコル状態で測定される請求項13記載の光学異方性パラメータ測定用プログラム。
【請求項16】
光源から偏光子を介して測定対象面上の測定点へ一定の入射角度で偏光を入射させ、前記測定対象面を前記測定点に立てた法線の周りに相対回転させて各測定方位ごとに、前記測定点からの反射光に含まれる特定の偏光成分の光強度を検光子を介して受光素子で受光させ、前記偏光子と測定点との間に配された波長板を所定角度間隔で半回転又は一回転させて測定された波長板の回転角θに対する光強度データに基づき、複素振幅反射率比Rpp≡tanΨpp・exp(iΔpp)、Rps≡tanΨps・exp(iΔps)、Rsp≡tanΨsp・exp(iΔsp)で定義されるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを測定する光学異方性パラメータ測定用プログラムにおいて、
前記測定対象面を基準としてこれに直交し且つ入射光線を含む面内方向(P方向)で振動する直線偏光をP偏光とし、P方向に直交する面内方向(S方向)に振動する直線偏光をS偏光としたときに、各測定方位ごとに、前記偏光子及び検光子の一方をP方向とし、他方をS方向とする二つの直交ニコル状態で測定した光強度A21(θ)及びC21(θ)と、前記偏光子及び検光子をプラス方向に偏位させた不完全直交ニコルとした状態で測定した光強度B21(θ)と、マイナス方向に偏位させた不完全直交ニコルとした状態で測定した光強度B22(θ)に基づいて、回転角θにおける光強度と、回転角−θにおける光強度の和と差を
(θ)=A21(θ)+A21(−θ)
(θ)=A21(θ)−A21(−θ)
(θ)=B21(θ)+B22(−θ)
(θ)=C21(θ)+C21(−θ)
(θ)=C21(θ)−C21(−θ)
により算出して、各測定方位ごとに所定の記憶領域に記憶させる和分及び差分データ算出手段と、
前記T、D、T、T、Dに基づいて、各測定方位におけるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを算出する異方性パラメータ算出手段と、
を備えたことを特徴とする光学異方性パラメータ測定用プログラム。
【請求項17】
前記光強度A21(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B21(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS+δ(0<δ<π/2)方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B22(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS−δ(0<δ<π/2)方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度C21(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした直交ニコル状態で測定される請求項16記載の光学異方性パラメータ測定用プログラム。
【請求項18】
前記光強度A21(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B21(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP+δ(0<δ<π/2)方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度B22(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP−δ(0<δ<π/2)方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、
前記光強度C21(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした直交ニコル状態で測定される請求項16記載の光学異方性パラメータ測定用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学異方性を有する試料について複素振幅反射率比Rpp、Rps、Rspを特定するデータを取得するための光学異方性パラメータ測定装置、測定方法及び測定用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は化合物半導体薄膜を特定の基板上に積層することによって作製され、その薄膜の特性がLEDの発光効率、発光特性を決定する。
例えば、青色LEDの場合、サファイア基板上にIII-V族化合物半導体薄膜を積層して作製するが、その特性はサファイア基板表面の状態に大きく依存するため、基板表面の状態を事前に評価することはLEDの性能向上、生産性向上のために重要である。
【0003】
サファイア基板の状態を評価する方法としてX線回折構造解析法がある。この方法はX線を使用するため、扱いが容易でなく、使用環境が限定されるという問題がある。扱いが容易な方法として、可視光や赤外光を用いた方法がある。なかでも透過型エリプソメトリは、サファイア基板の屈折率異方性の大きさと方向を測定することができる。
しかし、透過型エリプソメトリでは、基板厚さ方向全体の影響を受けるという問題がある。基板表面の測定が必要な場合、反射型エリプソメトリでの測定が必要である。
【0004】
これまで、本出願人は、従来のエリプソメトリに換えて、高速簡便に光学異方性パラメータを測定し得る迅速に光学異方性パラメータ測定装置を提案している(特許文献1)。
これによれば、三種類の偏光状態で測定することにより、複素振幅反射率比Rpp、Rps、RspのtanΨpp、tanΨsp、tanΨps及びΔpp、Δsp、Δpsを算出し、異方性物質の屈折率、屈折率の方向、薄膜の場合は膜厚をそれぞれ求めることができる。
しかしながら、サファイア基板の常光屈折率と異常光屈折率との屈折率差Δnは0.01以下と小さいため、この方法でもサファイア基板表面の測定は困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−60352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、常光屈折率と異常光屈折率の差が0.01以下という極めて小さい光学異方性試料であっても、複素振幅反射率比Rpp、Rps、RspのΨpp、Ψsp、Ψps及びΔpp、Δsp、Δpsを精密に測定できるようにすることを技術的課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明は、光源から偏光子を介して測定対象面上の測定点へ一定の入射角度で偏光を入射させ、前記測定点からの反射光に含まれる特定の偏光成分の光強度を検光子を介して測定する受光素子とを備えた光学系と、
前記測定対象面を前記測定点に立てた法線の周りに相対回転させて測定方位を変更する測定方位調整装置と、
各測定方位ごとに、前記測定光学系の測定点と検光子との間に配された波長板を所定角度間隔で半回転又は一回転させて前記測定光学系で得られた波長板の回転角θに対する光強度データに基づき、複素振幅反射率比Rpp≡tanΨpp・exp(iΔpp)、Rps≡tanΨps・exp(iΔps)、Rsp≡tanΨsp・exp(iΔsp)で定義されるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを算出する演算装置を備えた光学異方性パラメータ測定装置において、
前記演算装置は、前記測定対象面を基準としてこれに直交し且つ入射光線を含む面内方向(P方向)で振動する直線偏光をP偏光とし、P方向に直交する面内方向(S方向)に振動する直線偏光をS偏光としたときに、各測定方位ごとに、
前記偏光子及び検光子の一方をP方向とし、他方をS方向とする二つの直交ニコル状態で測定した光強度A11(θ)及びC11(θ)と、前記偏光子及び検光子をプラス方向に偏位させた不完全直交ニコルとした状態で測定した光強度B11(θ)と、マイナス方向に偏位させた不完全直交ニコルとした状態で測定した光強度B12(θ)に基づいて、回転角θにおける光強度と、回転角−θにおける光強度の和と差を
(θ)=A11(θ)+A11(−θ)
(θ)=A11(θ)−A11(−θ)
(θ)=B11(θ)+B12(−θ)
(θ)=C11(θ)+C11(−θ)
(θ)=C11(θ)−C11(−θ)
により算出して、所定の記憶領域に記憶させ、
前記TA、DA、TB、TC、DCに基づいて、各測定方位におけるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを算出することを特徴とする。
【0008】
ここで、直交ニコルとは、偏光子がP方向にセットされたときに検光子がS方向にセットされた状態、あるいは、偏光子がS方向にセットされたときに検光子がP方向にセットされた状態をいう。
また、不完全直交ニコルとは、偏光子がP±δ(0<δ<π/2)方向にセットされたときに検光子がS方向にセットされた状態、あるいは、偏光子がS±δ(0<δ<π/2)方向にセットされたときに検光子がP方向にセットされた状態をいう。
【0009】
具体的には、光強度A11(θ)は、偏光子をP方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした直交ニコル状態で測定され、光強度B11(θ)は、偏光子をP+δ(0<δ<π/2)方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、光強度B12(θ)は、偏光子をP−δ(0<δ<π/2)方向にセットし、前記検光子をS方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定され、光強度C11(θ)は、偏光子をS方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした直交ニコル状態で測定される。
【0010】
また、光強度B11(θ)は、偏光子をS+δ(0<δ<π/2)方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定し、光強度B12(θ)は、偏光子をS−δ(0<δ<π/2)方向にセットし、前記検光子をP方向にセットした不完全直交ニコル状態で測定する場合であっても全く同様である。
【0011】
さらに、波長板を偏光子と測定点との間に配した場合は、不完全直交ニコルは、偏光子がP方向にセットされたときに検光子がS±δ(0<δ<π/2)方向にセットされた状態、あるいは、偏光子がS方向にセットされたときに検光子がP±δ(0<δ<π/2)方向にセットされた状態をいう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、P偏光を照射したときの反射光に含まれるS偏光の光強度として、波長板の回転角θに対応する反射光の光強度A11(θ)を測定し、回転角±θにおける光強度A11(±θ)の差D(θ)を用いているので、当該差分データについてはノイズがキャンセルされ、精度向上につながる。
また、S偏光を照射したときの反射光に含まれるP偏光の光強度として、波長板の回転角θに対応する反射光の光強度C11(θ)を測定し、回転角±θにおける光強度C11(±θ)の差D(θ)を用いているので、同様に、差分データについてはノイズがキャンセルされ、精度向上につながる。
【0013】
また、P+δ偏光及びP−δ偏光を照射したときの反射光に含まれるS偏光の光強度として、波長板を回転させながら二種類の光強度B11及びB12を測定したときの和分データには、未知数としてΨpp、Ψsp2、Ψps2、Ψps・Ψspが独立して依存することになるが、サファイアのような光学異方性の小さな試料では、一次数Ψppに比して、二次数Ψps2,Ψsp2,ΨpsΨspが極めて小さくなるため、光強度B11及びB12の和分データからΨppを求める際、他の成分の影響を受けにくく、精度向上につながる。
【0014】
さらに、本発明によれば、複素振幅反射率比Rpp、Rps、Rspを特定するΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspの六つのパラメータを高精度で算出することができ、これらの各値は、「配向方位」「光学軸の傾斜角」「常光屈折率」「異常光屈折率」の四つのパラメータの関数として表すことができるので、測定されたΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspの六つの値に基づき、コンピュータを用いてフィッティングを行う従来公知の手法により、前記4つの光学異方性パラメータを高精度で算出することができる。
【0015】
またさらに、試料が薄膜である場合は、算出されたΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspの六つのパラメータを、「配向方位」「光学軸の傾斜角」「常光屈折率」「異常光屈折率」「膜厚」の五つのパラメータの関数として表すことができるので、測定されたΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspの六つの値に基づき、コンピュータを用いてフィッティングを行う従来公知の手法により、前記五つの光学異方性パラメータを高精度で算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る光学異方性パラメータ測定装置の一例を示す説明図。
図2】その測定処理手順を示すフローチャート。
図3】その演算処理手順を示すフローチャート。
図4】波長板回転角に対する光強度A11(θ)と、A11(θ)及びA11(−θ)の和及び差を示すグラフ。
図5】波長板回転角に対する光強度B11及びB12と、これらの和を示すグラフ。
図6】波長板回転角に対する光強度C11(θ)と、C11(θ)及びC11(−θ)の和及び差を示すグラフ。
図7】サファイアm面の複素反射率比のΨxy及びΔxyを示すグラフ。
図8】サファイアr面の複素反射率比のΨxy及びΔxyを示すグラフ。
図9】光学異方性パラメータ測定装置の他の実施例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、常光屈折率と異常光屈折率の差が0.01以下という極めて小さい試料の表面であっても、複素屈折率比を特定する光学異方性パラメータを精密に測定するという目的を達成するために、
光源から偏光子を介して測定対象面上の測定点へ一定の入射角度で偏光を入射させ、前記測定点からの反射光に含まれる特定の偏光成分の光強度を検光子を介して測定する受光素子とを備えた光学系と、
前記測定対象面を前記測定点に立てた法線の周りに相対回転させて測定方位を変更する測定方位調整装置と、
各測定方位ごとに、前記測定光学系の測定点と検光子との間に配された波長板を所定角度間隔で半回転又は一回転させて前記測定光学系で得られた波長板の回転角θに対する光強度データに基づき、複素振幅反射率比Rpp≡tanΨpp・exp(iΔpp)、Rps≡tanΨps・exp(iΔps)、Rsp≡tanΨsp・exp(iΔsp)で定義されるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを算出する演算装置を備えた光学異方性パラメータ測定装置において、
前記演算装置は、前記測定対象面を基準としてこれに直交し且つ入射光線を含む面内方向(P方向)で振動する直線偏光をP偏光とし、P方向に直交する面内方向(S方向)に振動する直線偏光をS偏光としたときに、各測定方位ごとに、
前記偏光子及び検光子の一方をP方向とし、他方をS方向とする二つの直交ニコル状態で測定した光強度A11(θ)及びC11(θ)と、前記偏光子及び検光子をプラス方向に偏位させた不完全直交ニコルとした状態で測定した光強度B11(θ)と、マイナス方向に偏位させた不完全直交ニコルとした状態で測定した光強度B12(θ)に基づいて、回転角θにおける光強度と、回転角−θにおける光強度の和と差を
(θ)=A11(θ)+A11(−θ)
(θ)=A11(θ)−A11(−θ)
(θ)=B11(θ)+B12(−θ)
(θ)=C11(θ)+C11(−θ)
(θ)=C11(θ)−C11(−θ)
により算出して、所定の記憶領域に記憶させ、
前記TA、DA、TB、TC、DCに基づいて、各測定方位におけるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを算出する。
【実施例1】
【0018】
図1に示す本例の光学異方性パラメータ測定装置1は、ステージ2に置かれた試料3の測定対象面4上の測定点Mに対して照射した入射光とその反射光の偏光状態の変化に基づいてその測定点Mにおける複素振幅反射率比Rpp≡tanΨpp・exp(iΔpp)、Rps≡tanΨps・exp(iΔps)、Rsp≡tanΨsp・exp(iΔsp)で定義されるΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspを測定するものである。
【0019】
この光学異方性パラメータ測定装置1は、レーザなどの光源5から測定対象面4上の測定点Mへ所定の測定方位から偏光子6を介して一定の入射角度で偏光を入射させ、測定点Mからの反射光に含まれる特定の偏光成分の光強度を検光子8を介して測定する受光素子9とを備えた光学系10と、前記ステージ2を測定点Mに立てた法線Vの周りに相対回転させて測定対象面4の測定方位を変更する測定方位調整装置11と、受光素子9で測定された光強度データに基づき、光学異方性パラメータを算出する演算装置12を備えている。
【0020】
測定方位調整装置11は、ステージ2又は光学系10のいずれか一方を測定点Mに立てた法線Vの周りに回転駆動することにより、測定方位を調整する。
例えば、ステージ2が回動可能に構成されている場合は、ステージ2を回転することにより測定方位が調整され、光学系10が回動可能に構成されている場合は、光学系10を前記法線Vの周りに回転させることにより調整される。
このとき理想的には、ステージ2又は光学系10を相対回転させる回転軸と法線Vが一致していることが望ましいが、測定点Mからの反射光を受光素子9の有効範囲内で受光できる程度の誤差であれば、法線Vと回転軸に多少のずれや傾きがあっても測定にはほとんど影響しない。
【0021】
なお、本明細書では、偏光についてP偏光というときは、測定対象面4を基準としてこれに直交し且つ入射光線を含む面内方向(P方向)で振動する直線偏光をいい、S偏光はこれに直交する面内方向(S方向)で振動する直線偏光をいう。
また、P±δ偏光というときは、P方向から角度±δだけ傾斜したP±δ方向の面内で振動する直線偏光をいい、S±δ偏光というときは、S方向から角度±δだけ傾斜したS±δ方向の面内で振動する直線偏光をいう。
【0022】
偏光子6は、光源5から照射されたレーザ光を、P偏光、P+δ偏光、P−δ偏光及びS偏光に偏光化し得るように図示しないモータ制御によりP方向、P+δ方向、P−δ方向及びS方向に位置決めされるように回動可能に配されている。
検光子8は、反射光のうち、S偏光成分及びP偏光成分を透過し得るように図示しないモータ制御によりS方向及びP方向に位置決めされるように回動可能に配されている。
また、測定点Mと検光子8との間には、波長板13が図示しないモータ制御により回転可能に配されている。
【0023】
図2は、演算装置12における測定処理手順を示すフローチャートである。
測定が開始されると、まず、ステップSTP1で測定方位調整装置11により測定方位φ=0となるように測定対象面4を位置決めする。
【0024】
ステップSTP2では、光源5からの光をP偏光に偏光化させるように偏光子6をP方向にセットし、反射光に含まれるS偏光成分の光強度を検出し得るように検光子8をS方向にセットした直交ニコルの状態で、波長板13を所定角度間隔(例えば3°間隔)で半回転又は一回転させ、その回転角θに対する反射光の光強度A11(θ)を受光素子9で測定し、そのデータを所定の記憶領域に記憶させる。
【0025】
ステップSTP3では、光源5からの光をP+δ(例えばδ=5°、0<δ<π/2)偏光に偏光化させるように偏光子6をP+δ方向にセットし、反射光に含まれるS偏光成分の光強度を検出し得るように検光子8をS方向にセットした不完全直交ニコルの状態で、波長板13を半回転又は一回転させる間に所定角度間隔(例えば3°間隔)の回転角θごとに測定された反射光の光強度B11(θ)を測定し、そのデータを所定の記憶領域に記憶させる。
なお、光強度B11(θ)は、偏光子6をS+δ方向にセットし、検光子8をP方向にセットした不完全直交ニコルの状態で測定しても同様である。
【0026】
ステップSTP4では、光源5からの光をP−δ偏光に偏光化させるように偏光子6をP−δ方向にセットし、反射光に含まれるS偏光成分の光強度を検出し得るように検光子8をS方向にセットした不完全直交ニコルの状態で、波長板13を半回転又は一回転させる間に所定角度間隔(例えば3°間隔)の回転角θごとに測定された反射光の光強度B12(θ)を測定し、そのデータを所定の記憶領域に記憶させる。
なお、光強度B12(θ)は、偏光子6をS−δ方向にセットし、検光子8をP方向にセットした不完全直交ニコルの状態で測定しても同様である。
【0027】
ステップSTP5では、光源5からの光をS偏光に偏光化させるように偏光子6をS方向にセットし、反射光に含まれるP偏光成分の光強度を検出し得るように検光子8をP方向にセットした直交ニコルの状態で、波長板13を半回転又は一回転させる間に所定角度間隔(例えば3°間隔)の回転角θごとに測定された反射光の光強度C11(θ)を測定し、そのデータを所定の記憶領域に記憶させる。
【0028】
そして、ステップSTP6では、ステージ2が一回転されたかを判断する。
測定方位φ=360°(あるいは355°)でない場合は一回転されていないと判断してステップSTP7に移行し、測定方位φ=φ+5とセットしてステージ2を+5°回転させて、ステップSTP2に戻り、ステージ2が一回転されるまで測定が繰り返される。
【0029】
図3は、このように測定された6種類の光強度に基づいて、光学異方性パラメータを算出する演算装置12の処理手順である。
例えば、測定方位φ=0°における光強度の測定が終了した時点で、演算処理が実行開始され、ステップSTP21でφ=0°とし、ステップSTP22で方位角φの光強度A11(θ)、B11(θ)、B12(θ)、C11(θ)を読み出し、ステップSTP23で、以下の式に基づき、和と差を算出して所定の記憶領域に記憶させる。
(θ)=A11(θ)+A11(−θ)
(θ)=A11(θ)−A11(−θ)
(θ)=B11(θ)+B12(−θ)
(θ)=C11(θ)+C11(−θ)
(θ)=C11(θ)−C11(−θ)
【0030】
ここで、θの符号は回転方向を示し、回転開始位置から正方向(右回転)の角度をプラスとしたときに、回転終了位置から逆方向(左回転)の角度をマイナスとして表す。
例えば、波長板13を半回転(180°)させる場合、T(θ)は、
(0)=A11(0)+A11(−0)=A11(0)+A11(180)
(30)=A11(30)+A11(−30)=A11(30)+A11(150)
(60)=A11(60)+A11(−60)=A11(60)+A11(120)
で算出され、波長板13を一回転(360°)させる場合は、
(0)=A11(0)+A11(−0)=A11(0)+A11(360)
(30)=A11(30)+A11(−30)=A11(30)+A11(330)
(60)=A11(60)+A11(−60)=A11(60)+A11(300)
で算出される。他の和分データ及び差分データも同様である。
なお、回転角−θにおける光強度A11(−θ)及び光強度C11(−θ)は、波長板13を逆転することにより実測してもよい。
【0031】
ここで、和Tx(θ)と差Dx(θ)は、一般に、
式1:Tx(θ)=I[T1+T2*sin(2θ)+T3*sin(4θ)+T4*cos(4θ)]
式2:Dx(θ)=I[D1+D2*sin(2θ)+D3*sin(4θ)+D4*cos(4θ)]
で表される。
そこで、ステップSTP24で、算出された和Tx(θ)及び差Dx(θ)の各データに基づいて、各係数D1〜D4及びT1〜T4をそれぞれ決定する。この場合、和Tx(θ)及び差Dx(θ)のグラフが、実測された光強度に基づいて算出された和及び差のデータと一致するようにフーリエフィッティングをかけることにより行う。
【0032】
ステップSTP25では、以下の式3及び式4により、測定方位φにおけるΨpsとΔpsを算出する。
Ψps及びΔpsは、Tc(θ)及びDc(θ)の係数T4、D2、D4を用いて、以下のように表される。
式3:tan(Δps)=D2/D4
式4:4tan(Ψps)sin(Δps) /(1-tan2Ψps)=D2/T4
ここで、未知数は、ΨpsとΔpsのみであるから、この式3及び式4により、測定方位φにおける複素振幅反射率比のΨps及びΔpsを算出できる。
【0033】
次いで、ステップSTP26で、以下の式5〜8により、測定方位φにおける複素振幅反射率比のΨpp及びΨspと、Δpp及びΔspを算出する。
まず、T(θ)の係数T1〜T4を用いて、式5及び6が成り立つ。
式5:[tanΨpp・sinΔpp+tanΨps・tanΨsp・sin(Δps−Δsp)]/[tanΨpp・cosΔpp
+tanΨps・tanΨsp・cos(Δps−Δsp)]=T2/2T3
式6:(tan2Ψpp+tan2Ψps・tan2δ+3tan2Ψsp+3tan2δ)/(−tan2Ψpp−tan2Ψps
・tan2δ+tan2Ψsp+tan2P)=T1/T4
また、T(θ)、D(θ)の係数D2、D4、T4を用いて、式7及び8が成り立つ。
式7:tan(Δpp−Δsp)=D2/D4
式8:4[tanΨsp/tanΨpp]sin(Δpp−Δsp)/(1−tan2Ψsp/tan2Ψpp)=D2/T4
式5〜8中、Ψps及びΔpsは式3及び4で算出されて既知であるから、未知数は、Ψpp、Ψspと、Δpp、Δspの四つとなり、これら各式5〜8により、測定方位φにおける複素振幅反射率比のΨpp及びΨspと、Δpp及びΔspを算出できる。
【0034】
なお、式5の分子、分母の第2項は、サファイア基板のように異方性が小さい場合、tanΨpp >> tanΨps・tanΨspより第1項に比べて影響は十分小さい。これは、Δppを精度良く測定することができることを意味する。
同様に式6の分子、分母の第2項、第3項は、サファイア基板のように異方性が小さい場合、tan2Ψpp >> tan2Ψps,tan2Ψspより第1項に比べて影響は十分小さい。これは、Ψppを精度良く測定することができることを意味する。
【0035】
次いで、ステップSTP27に移行し、測定方位φ=360°(あるいは355°)であるか否かが判断され、NOの場合はステップSTP28で測定方位φ=φ+5と置き換えてステップSTP22に戻り、YESの場合はステップSTP29に移行する。
ステップSTP29では、算出されたΨxy及びΔxyに基づいて、必要に応じて光学異方性に依存する物理量を算出し、処理を終了する。
【0036】
次いで、本発明方法を用いて、サファイア薄膜を試料としてその表面の複素振幅反射率比のΨpp、Ψsp、Ψps及びΔpp、Δsp、Δpsを算出する場合について説明する。
まず、測定方位調整装置11により測定方位φ=0となるようにステージ2を位置決めし、その測定方位で、波長板13の回転角に対応した各光強度A11、B11、B12、C11を測定する。
【0037】
光強度A11は、偏光子6をP方向にセットし、検光子8をS方向にセットした状態で、波長板13を回転しながら測定する。
光強度B11は、偏光子6をP+δ(又はS+δ)方向にセットし、検光子8をS(又はP)方向にセットした状態で、波長板13を回転しながら測定し、光強度B12は、偏光子6をP−δ方向にセットし、検光子8をS方向にセットした状態で、波長板13を回転しながら測定する。
光強度C11は、偏光子6をS方向にセットし、検光子8をP方向にセットした状態で、波長板13を回転しながら測定する。
【0038】
なお、図1の表中、偏光子及び検光子の向きを( )内に示すようにして、光強度B11は、偏光子6をS+δ方向にセットし、検光子8をP方向にセットした不完全直交ニコルの状態で測定し、光強度B12は、偏光子6をS−δ方向にセットし、検光子8をP方向にセットした不完全直交ニコルの状態で測定しても同様である。
【0039】
一方、各測定方位φについて測定が終了するたびに、測定されたデータに基づいて光学異方性パラメータを上述した手順で算出する。
すなわち、光強度C11(θ)及びC11(−θ)の和及び差に基づいてその測定方位におけるΨps及びΔpsを算出し、光強度A11(θ)及びA11(−θ)の和及び差と、光強度B11(θ)及びB12(−θ)の和に基づいてその測定方位におけるΨpp、Ψsp及びΔpp、Δspを算出する。
このようにして、各測定方位φ=0〜360°(あるいは355°)に対するΨxy及びΔxyを算出することができる。
【0040】
図4〜9が測定方位φ=0°における測定結果/算出結果を示すグラフである。
図4はP偏光を照射しS偏光の強度を測定したときのグラフで、図4(a)が波長板13の回転角θに対する光強度A11(θ)、図4(b)はA11(θ)とA11(−θ)の和T(θ)、図4(c)はその差D(θ)である。
そして、算出された和T(θ)及び差D(θ)のデータを式1及び式2でフーリエフィッティングし、その係数T4、D2、D4を求める。
【0041】
図5はP+δ偏光及びP−δ偏光を照射しS偏光の強度を測定したときのグラフで、図5(a)がP+δ偏光を照射し波長板13の回転角θに対する光強度B11(θ)、図5(b)がP−δ偏光を照射し波長板13を逆方向に回転させたときの回転角−θに対する光強度B12(−θ)、図5(c)はこれらの和T(B1)である。
そして、算出された和T(θ)のデータを式1でフーリエフィッティングし、その係数T1〜T4を求める。
【0042】
図6はS偏光を照射しP偏光の強度を測定したときのグラフで、図6(a)が波長板13を正方向に回転させたときの回転角θに対する光強度C11(θ)、図6(b)がC11(θ)とC11(−θ)の和T(θ)、図6(d)はその差D(θ)である。
そして、算出された和T(θ)及び差D(θ)のデータを式1及び式2でフーリエフィッティングし、その係数T4、D2、D4を求める。
【0043】
このようにして求められた各係数と、式3〜式8により、複素振幅反射率比Rpp、Rps、Rspを特定するΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspが測定方位ごとに算出される。
【0044】
図7は、サファイアのm面について、0〜360°の各測定方位φについて算出された複素振幅反射率比のΨxy及びΔxyのグラフである。
図7(a)及び(b)が測定方位φに対するΨpp及びΔpp、(c)及び(d)が測定方位φに対するΨsp及びΔsp、(e)及び(f)が測定方位φに対するΨps及びΔpsであり、いずれも、○印が算出された値である。
【0045】
また、図8は、サファイアのr面について、0〜360°の各測定方位φについて算出された複素振幅反射率比のΨxy及びΔxyのグラフである。
図8(a)及び(b)が測定方位φに対するΨpp及びΔpp、(c)及び(d)が測定方位φに対するΨsp及びΔsp、(e)及び(f)が測定方位φに対するΨps及びΔpsであり、いずれも、○印が算出された値である。
【0046】
このようにして算出された複素振幅反射率比のΨpp、Ψsp、Ψps及びΔpp、Δsp、Δpsの各値は、「配向方位」「光学軸の傾斜角」「常光屈折率」「異常光屈折率」の四つの光学異方性パラメータの関数として表すことができるので、測定されたΨpp、Ψps、Ψsp及びΔpp、Δps、Δspの六つの値に基づき、コンピュータを用いてフィッティングを行う従来公知の手法により、例えば非線形最小二乗法(修正マーカット法)により最も測定値に近い値を選択すれば、前記4つの光学異方性パラメータを高精度で算出することができる。
また、薄膜の場合は、「膜厚」をパラメータとする従来公知の関数を立てることもできるので、コンピュータを用いてフィッティングを行う従来公知の手法により、同様にその値を測定することができる。
【0047】
測定精度を確認するために、m面及びr面に対して平行にカッティングされたサファイアを用いて、本発明方法でΨpp、Ψsp、Ψps及びΔpp、Δsp、Δpsに基づき、常光屈折率no、異常光屈折率ne、m面及びr面の傾斜角度について、これらの値を算出した。
既知のデータとして、サファイアの常光屈折率no=1.772、異常光屈折率ne=1.764、m面の傾斜角度90°、r面の傾斜角度61.2°であった。
本発明による測定値は、m面については、
常光屈折率no=1.772
異常光屈折率ne=1.764
傾斜角度89.6°
であり、r面については、
常光屈折率no=1.774
異常光屈折率ne=1.765
r面の傾斜角度61.0°
であった。
屈折率は誤差2/1000以下の精度で測定することができ、光学軸の傾斜角度は誤差5/1000以下の精度で測定することができた。
【実施例2】
【0048】
図9は、本発明の他の実施形態を示す説明図である。なお、図1と重複する部分については同一符号を付して詳細説明を省略する。
【0049】
本例の光学異方性パラメータ測定装置21は、光学系10の波長板13が偏光板6と測定点Mの間に配されている。
すなわち、偏光子6は、光源5から照射されたレーザ光を、P偏光及びS偏光に偏光化し得るように図示しないモータ制御によりP方向及びS方向に位置決め可能に配されており、偏光子6と測定点Mとの間には、波長板13が図示しないモータ制御により回転可能に配されている。
検光子8は、反射光のうち、S偏光成分、S+δ偏光成分、S−δ偏光成分及びP偏光成分を透過し得るように図示しないモータ制御によりS方向、S+δ方向、S−δ方向及びP方向に位置決め可能に配されている。
【0050】
演算装置12における測定処理手順を、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
測定が開始されると、ステップSTP1で測定方位φ=0となるようにステージ2を位置決めし、ステップSTP2〜7で光強度A21、B21、B22、C21を測定する。
【0051】
光強度A21は、偏光子6をP方向にセットし、検光子8をS方向にセットした直交ニコルの状態で、波長板13を正方向に回転しながら測定して、測定結果を所定の記憶領域に記憶させる(ステップSTP2)。
【0052】
光強度B21は、偏光子6をP方向にセットし、検光子8をS+δ方向にセットした状態で、波長板13を正方向に回転しながら測定して、測定結果を所定の記憶領域に記憶させ(ステップSTP3)、光強度B22は、検光子8をS+δ方向にセットした状態で、波長板13を逆方向に回転しながら測定して、所定の記憶領域に記憶させる(ステップSTP4)。
なお、図9の表中、偏光子及び検光子の向きを( )内に示すようにして、光強度B21(θ)は、偏光子6をS方向にセットし、検光子8をP+δ方向にセットした不完全直交ニコルの状態で測定し、光強度B22(θ)は、偏光子6をS方向にセットし、検光子8をP−δ方向にセットした不完全直交ニコルの状態で測定しても同様である。
【0053】
光強度C21は、偏光子6をS方向にセットし、検光子8をP方向にセットした直交ニコルの状態で、波長板13を正方向に回転しながら測定して、測定結果を所定の記憶領域に記憶させる(ステップSTP5)。
そして、ステージ2が一回転するまで、測定を繰り返す(ステップSTP6〜7)。
なお本例も、実施例と同様、上記各ステップSTP2〜7において、波長板13は、正方向及び逆方向に180°又は360°回転され、各光強度は波長板13が例えば3°回転するごとに測定される。
【0054】
このように測定された6種類の光強度に基づいて、演算装置12で各測定方位φにおける光学異方性パラメータを算出する手順を、図3を読み替えて説明する。
この演算処理は、例えば、測定方位φ=0°における光強度の測定が終了した時点で実行開始され、ステップSTP21でφ=0°とし、ステップSTP22で方位角φの光強度A21、B21、B22、C21を読み出し、ステップSTP23で光強度の和及び差を以下のように算出する。
(θ)=A21(θ)+A21(−θ)
(θ)=A21(θ)−A21(−θ)
(θ)=B21(θ)+B22(−θ)
(θ)=C21(θ)+C21(−θ)
(θ)=C21(θ)−C21(−θ)
【0055】
次いで、ステップSTP24で、算出された和Tx(θ)及び差Dx(θ)の各データに基づいて、実施例1と同様、式1及び式2の各係数D1〜D4及びT1〜T4をそれぞれ決定する。
【0056】
ステップSTP25では、式9及び式10により、測定方位φにおける複素反射比率比のΨspとΔspを算出する。
ΨspとΔspは、T(θ)及びD(θ)の係数T4、D2、D4を用いて、以下のように表される。
式 9:tan(Δsp)=D2/D4
式10:4tan(Ψsp)sin(Δsp)/(1−tan2Ψsp)=D2/T4
ここで、未知数は、ΨspとΔspのみであるから、この式9及び10により、測定方位φにおける複素振幅反射率比のΨspとΔspを算出できる。
【0057】
次いで、ステップSTP26で、式11〜14により、測定方位φにおける複素振幅反射率比のΨpp及びΨspと、Δpp及びΔspを算出する。
まず、T(θ)の係数T1〜T4を用いて、式5及び6が成り立つ。
式11:[tanΨpp・sinΔpp+tanΨps・tanΨsp・sin(Δsp−Δps)]/[(tanΨpp・cosΔpp
+tanΨsp・tanΨps・cos(Δsp−Δps)]=T2/2T3
式12:(tan2Ψpp+tan2Ψps・tan2δ+3tan2Ψsp+3tan2δ)/(−tan2Ψpp−tan2Ψps
・tan2δ+tan2Ψsp+tan2δ)=T1/T4
【0058】
また、T(θ)及びD(θ)の係数T4、D2、D4を用いて、式13及び14が成り立つ。
式13:tan(Δpp−Δps)=D2/D4
式14:4[tanΨps/tanΨpp]sin(Δpp−Δps)/(1−tan2Ψps/tan2Ψpp)=D2/T4
式11〜14中、Ψsp及びΔspは式3及び4で算出されて既知であるから、未知数は、Ψpp、Ψpsと、Δpp、Δpsの四つとなり、これら各式11〜14により、測定方位φにおける複素振幅反射率比のΨpp及びΨpsと、Δpp及びΔpsを算出できる。
【0059】
次いで、ステップSTP27に移行し、測定方位φ=360°(あるいは355°)であるか否かが判断され、NOの場合はステップSTP28で測定方位φ=φ+5と置き換えてステップSTP22に戻り、YESの場合はステップSTP29に移行する。
ステップSTP29では、算出されたΨxy及びΔxyに基づいて、必要に応じて光学異方性に依存する物理量を算出し、処理を終了する。
【0060】
そして、実施例1と同様、各測定方位φ=0〜360°(あるいは355°)についてΨxy及びΔxyを算出し(ステップSTP28〜29)、算出されたΨxy及びΔxyに基づいて、必要に応じて光学異方性に依存する物理量を算出し(ステップSTP30)、処理を終了する。
【0061】
本実施例によっても、実施例1と同程度の精度で、「常光屈折率」「異常光屈折率」「傾斜角度」などの物理量を算出することができた。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、光学異方性を有する薄膜試料の製品検査、品質検査などに適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 21 光学異方性パラメータ測定装置
2 ステージ
3 試料
4 測定対象面
M 測定点
5 光源
6 偏光子
8 検光子
9 受光素子
10 光学系
V 法線
11 測定方位調整装置
12 演算装置
13 波長板


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9