(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087756
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】作図システム及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 11/80 20060101AFI20170220BHJP
G06F 3/048 20130101ALI20170220BHJP
G06F 17/50 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
G06T11/80 E
G06F3/048
G06F17/50 602B
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-144819(P2013-144819)
(22)【出願日】2013年7月10日
(65)【公開番号】特開2015-18387(P2015-18387A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2015年4月30日
【審判番号】不服2016-593(P2016-593/J1)
【審判請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】594045791
【氏名又は名称】株式会社ア−キテック
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(72)【発明者】
【氏名】中島 徹
【合議体】
【審判長】
水野 恵雄
【審判官】
山本 章裕
【審判官】
佐藤 智康
(56)【参考文献】
【文献】
特開平6−162125(JP,A)
【文献】
特開2011−18085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/80
G06F 3/01
G06F 3/048
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ処理が可能な図形データを組み合わせて作図を行う作図システムにおいて、
単数又は関連する複数の操作項目を備える複数のツールボックスを階層的に組み合わせたデータと、
前記操作項目に割り当てられた、図形の編集処理を行うツール関数を含む特定関数のデータと、
操作項目に対するポインティングを以って当該操作項目に割り当てられた下位階層のツールボックスを表示し又は当該操作項目に割り当てられた特定関数を起動する選択手段と、
操作項目の新規選択により、選択から漏れた同階層の操作項目の選択を解除すると共に、解除された操作項目を含むツールボックスと当該操作項目の上位階層として存在するツールボックスの表示を維持した上で、解除された操作項目の下位階層として存在するツールボックスの選択及び表示を解除するツール管理手段を備え、
前記選択手段と前記ツール管理手段により表示されたツールボックスは、前記選択手段と前記ツール管理手段により、上位階層から下位階層の順で編集画面の上位に一列に並べて配置すると共に、前記ツール関数が起動された際も、その表示を維持することを特徴とする作図システム。
【請求項2】
コンピュータ処理が可能な図形データを組み合わせて作図を行う作図プログラムにおいて、
コンピュータに、
単数又は関連する複数の操作項目を備える複数のツールボックスを階層的に組み合わせたデータと、
前記操作項目に割り当てられた、図形の編集処理を行うツール関数を含む特定関数のデータと、
操作項目に対するポインティングを以って当該操作項目に割り当てられた下位階層のツールボックスを表示し又は当該操作項目に割り当てられた特定関数を起動する選択手段と、
操作項目の新規選択により、選択から漏れた同階層の操作項目の選択を解除すると共に、解除された操作項目を含むツールボックスと当該操作項目の上位階層として存在するツールボックスの表示を維持した上で、解除された操作項目の下位階層として存在するツールボックスの選択及び表示を解除するツール管理手段を備え、
前記選択手段と前記ツール管理手段により表示されたツールボックスは、前記選択手段と前記ツール管理手段により、上位階層から下位階層の順で編集画面の上位に一列に並べて配置すると共に、前記ツール関数が起動された際も、その表示を維持することを特徴とする作図システムとして機能させることを特徴とする作図プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図面の編集処理(作図)を行う装置及びそのプログラムに関し、特に、作図に用いる操作ツールを選択可能にリストアップする操作メニューの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の作図システムが提供されており、様々な手法を駆使して作業の効率化が図られている。その一つが編集に必要な各種操作ツールを列挙するメニューの設計である。
操作ツールと呼ばれる機能(操作項目)は、起動リクエストの受付先となるひとつのメニューボタンにそれぞれ割り当てられるが、多機能CADともなれば、数百もの操作項目を備えており、それらは、同族的若しくは同類的操作項目を集めたツールボックス、又は、ある共通する性質に基づいてグループ化した複数の操作項目を集めたツールボックスにまとめられ表示処理若しくは非表示処理に適宜用いられる。
【0003】
特に、多くの操作項目を備える作図システムにおいては、ひとつのメニューボタンを押すと、そのボタンの近傍に新規なフォーム又は新規なツールボックスがグループ化されたメニューボタンと共に表示され、当該新規なツールボックスに表示されたひとつのメニューボタンを押すと、更に新規なツールボックス等が同様に表示されるなど、限られた画面が複数のツールボックス等で埋まっていくことともなる。
【0004】
この様な従来技術では、多くの操作項目を列挙して希望の機能へ1クリックで到達できる利点はあるものの、複数のツールボックスで画面が埋没し、作業領域が狭くなると言う問題の他、表示中のツールボックスに処理不能な操作項目や不要な操作項目も表示されたままとなるという問題がある。
【0005】
なかには、例えば、下記特許文献1にあっては、作図が容易に行えることを目的として、画面上のツールボックスに表示された項目から、プルダウン操作を以って、子ツールボックス、孫ツールボックスと、複数段階に階層的なプルダウンメニューを表示し、そこから操作項目を適宜選択する手法や、更に、その選択に応じて所定の作図処理機能を有する操作項目を新規ツールボックスに表示する手法等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−132095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記公報に記載の技術をはじめとする従来の手法は、選択した操作項目を変更することによって、表示されたツールボックスやその際のステータスが消去され、又は放置され、再びその作図機能を選択する際には、ショートカットを設定していない限り最上位のツールボックスから選択しなおさねばならないと言う問題や、希望するメニューボタンがどのツールボックスの何階層目に存在するかが不案内となりやすく、作業性が悪いと言う問題がある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、必要なメニューや履歴を残し、不要となったメニューや履歴を消去することによって、操作性と視認性の双方を満足する作図システム及びそのプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために為された本発明による作図システムは、コンピュータ処理が可能な図形データを組み合わせて作図を行う作図システムである。
そして、この作図システムは、単数又は関連する複数の操作項目を備える複数のツールボックスを階層的に組み合わせてなるデータと、前記操作項目に割り当てられた
、図形の編集処理を行うツール関数を含む特定関数のデータと、前記操作項目に対するポインティングを以って当該操作項目に割り当てられた下位階層のツールボックスを表示し又は当該操作項目に割り当てられた特定関数を起動する選択手段と、操作項目の新規選択により、選択から漏れた同階層の操作項目の選択を解除すると共に、解除された操作項目を含むツールボックスと当該操作項目の上位階層として存在するツールボックスの表示を維持した上で、解除された操作項目の下位階層として存在するツールボックスの選択及び表示を解除するツール管理手段を備え、前記選択手段と
前記ツール管理手段により表示されたツールボックス
は、前記選択手段と前記ツール管理手段により、上位階層から下位階層の順で編集画面の上位に一列に並べて配置する
と共に、前記ツール関数が起動された際も、その表示を維持することを特徴とする。
【0010】
選択が有効となっているメニューボタンをハイライト表示する前記選択手段と、選択が有効でないメニューボタンを非ハイライトとする前記ツール管理手段を備える作図システムであってもよい。
【0011】
最下層に表示されたツールボックスのみをハイライト表示する前記選択手段
を備える作図システムとしてもよい。
【0012】
上記課題を解決するために為された本発明による作図プログラムは、コンピュータ処理が可能な図形データを組み合わせて作図を行う作図プログラムである。
そして、この作図プログラムは、コンピュータに、単数又は関連する複数の操作項目を備える複数のツールボックスを階層的に組み合わせてなるデータと、前記操作項目に割り当てられた
、図形の編集処理を行うツール関数を含む特定関数のデータと、操作項目に対するポインティングを以って当該操作項目に割り当てられた下位階層のツールボックスを表示し又は当該操作項目に割り当てられた特定関数を起動する選択手段と、操作項目の新規選択により、選択から漏れた同階層の操作項目の選択を解除すると共に、解除された操作項目を含むツールボックスと当該操作項目の上位階層として存在するツールボックスの表示を維持した上で、解除された操作項目の下位階層として存在するツールボックスの選択及び表示を解除するツール管理手段を備え、前記選択手段と
前記ツール管理手段により表示されたツールボックス
は、前記選択手段と前記ツール管理手段により、上位階層から下位階層の順で編集画面の上位に一列に並べて配置する
と共に、前記ツール関数が起動された際も、その表示を維持する作図システムとして機能させることを特徴とする。
【0013】
コンピュータに、選択が有効となっているメニューボタンをハイライト表示する前記選択手段と、選択が有効でないメニューボタンを非ハイライトとする前記ツール管理手段を備える作図システムとして機能させる作図プログラムであってもよい。
【0014】
コンピュータに、最下層に表示されたツールボックスのみをハイライト表示する前記選択手段
を備える作図システムとして機能させる作図プログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上の如く本発明による作図システム及びそのプログラムによれば、
作業時に、メインメニューからユーザーの必要に応じて現在の操作に至るまでの単一系統を構成するツールボックスを全て表示することができるので、表示されたツールボックスに含まれる関連ツールを、単一の起動リクエストを以って即座に使用することができる。即ち、直前又は数個前の関連ある機能に容易に到達することができると言うことである。
【0016】
また、編集対象、編集内容、作業内容、加工内容という様に、上位の操作項目から下位の操作項目へと、同族的若しくは同類的操作項目を集めたツールボックス、又は、ある共通する性質に基づいてグループ化した複数の操作項目を集めたツールボックスを階層化した上で、現在の操作に至るまでの単一系統を構成するツールボックスを全て表示することによって、例えば、梁の切断図の編集や柱の切断図の編集の様に、切断図の編集が、階段や骨組み等のいかなる構成要素についてなされているのかを、表示されたツールボックスを追うだけで確認することができる。
【0017】
更に、選択が有効となっているメニューボタンをハイライト表示する処理を行うことによって、ハイライトを辿っていくだけで、具体的には、例えば、最上部横一列に単一系統のツールボックス全てを表示する場合には、それらのツールボックスの最後尾のツールボックスが現在起動中のツールボックスであって、そのツールボックス内でハイライトが与えられているメニューボタンが現在稼働中のツールであるという単純な視認性が得られ、作業履歴を確認することもできる。
【0018】
一方、他系統を構成するツールボックス、及び新規起動リクエストがなされたことによる特定関数の起動として表示されたその下位階層のツールボックス以外のものを全て消去していることから、編集画面が、それまでの作業で用いたツールボックスで埋め尽くされることもなく、例えば、最上部横一列に単一系統のツールボックス全てを表示する様にすれば、編集画面を無駄に消費せず、広い編集画面で作業ができるというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による作図システム及び作図プログラムにより表示されるツールボックスの推移の一例を示す説明図である。
【
図2】本発明による作図システム及び作図プログラムにより表示されるツールボックスの階層構造、並びに本発明による作図システム及び作図プログラムにより起動される特定関数が辿る系統の一例を示す構成図である。
【
図3】本発明による作図システム及び作図プログラムにおける選択手段及びツール管理手段が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明による作図システム及び作図プログラムにおけるツール管理手段が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明による作図システム及び作図プログラムにより表示される編集画面の一例を示す説明図である。
【
図6】本発明による作図システムのハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】本発明による作図システムの具体的手段の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明による作図システム及びそのプログラムの一実施の形態を、図面を示しつつ詳細に説明する。
図6に示す例は、コンピュータシステムにより、コンピュータ処理が可能な図形データを組み合わせて作図を行う作図システムであって、入力装置1、制御装置2、出力装置3、及び記録装置4を具備して構成される。
【0021】
前記入力装置1は、キーボードやポインティングデバイスなど、制御装置が読み取り可能なデータをユーザーの操作によって入力する装置である。
前記制御装置2は、CPU、メモリー、及び入出力インターフェースを含むハードウエアに、コンピュータシステムを作図システムとして機能させる作図プログラムをインストールしたものである。
前記出力装置3は、編集した図形を視認可能に表示するディスプレイ装置や、紙面に印画するプリンタなどである。
記録装置4は、ハードディスクやUSBメモリーなどの各種記録媒体である。
【0022】
このコンピュータシステムの例は、上記構成によって、前記ハードディスクに格納されたアプリケーションプログラム(作図プログラム)が立ち上がり、作図システムとしての機能を果たすこととなる。
編集される図形データは、各種記録媒体からなる記録装置4に対する読み書きや前記入力装置1を経た操作により入力し又は保存し、前記図形データの編集処理は、前記作図システムに整備されたツール(関数)と入力装置1で与えられた位置データ等を用いて行う。
【0023】
前記作図システムは、上記の如く編集処理を行うために、単数又は関連する複数の操作項目を備える複数のツールボックスを階層的に組み合わせたデータ(ツールデータ)と、前記操作項目に割り当てられた特定関数のデータ(関数データ)と、前記操作項目に対するポインティングを以って当該操作項目に割り当てられた下位階層のツールボックスを表示し又は当該操作項目に割り当てられた特定関数を起動する選択手段と、前記操作項目の新規選択により、選択から漏れた同階層の操作項目の選択を解除すると共に、解除された操作項目の下位階層として存在するツールボックスの選択及び表示を解除するツール管理手段を備える(
図7参照)。
【0024】
<ツールデータ>
前記ツールデータは、メニューボタンオブジェクトと、ツールボックスオブジェクトと、マップオブジェクトからなる。
前記メニューボタンオブジェクトは、そのメニューボタン(操作項目)を特定するためのボタンインデックス(ID)、そのメニューボタンを表示する際の領域(表示領域。当該例は矩形。)を定めるボタン領域データ(表示幅×高さ)、前記表示領域の色(ハイライト時及び非ハイライト時)を決めるボタン色データ、前記表示領域の表示位置を決めるボタン位置データ、前記表示領域に施される造形処理を決めるボタンイメージデータ、及び当該メニューボタンに割り当てられた関数名を決める関数名データ(割り当てられた関数が後記ツール関数である場合は、後記ツールボックスインデックス(ID)が付属したツール関数の関数名データ)を備える。
【0025】
前記ツールボックスオブジェクトは、そのツールボックスを特定するためのツールボックスインデックス(ID)、当該ツールボックスに含まれる単数又は複数のボタンインデックス(ID)、そのツールボックスを表示する際の領域(表示領域。当該例は矩形。)を定めるツールボックス領域データ(表示幅×高さ)、前記表示領域の色(ハイライト時及び非ハイライト時)を決めるツールボックス色データ、及び前記表示領域の表示位置を決めるツールボックス位置データを備える。
【0026】
前記マップオブジェクトは、階層構造における各ツールボックスの繋がり状態及び各ツールボックスの順位を示す階層データを備える。
前記ツールデータは、例えば、編集対象、編集内容、作業内容、加工内容という様に、上位の操作項目から下位の操作項目へと、同族的若しくは同類的な複数の操作項目を集めたツールボックス、又は、ある共通する性質に基づいてグループ化した複数の操作項目を集めたツールボックスの階層構造を形作る(
図2(A)参照)。
【0027】
<関数データ>
前記関数データは、前記メニューボタンに割り当てられた図形の編集処理を行うツール関数と、ツールボックス及びそこに含まれるメニューボタンを表示し前記選択手段への起動リクエストを待つメニュー関数を含む。
前記ツール関数は、その処理内容に応じて、前記入力装置1からユーザーの編集操作によって生じる位置データや素材データなど、編集に必要な各種データを前記ツール関数のパラメータ等として取り込み、当該ツール関数を用いた演算処理を施して得た画像データをメモリや記録装置4に保存する。
【0028】
前記作図プログラムが起動すると表示されるメインメニューの編集関連ボタンを選択することによって、前記メニュー関数が起動し最上位のツールボックスを表示する。
【0029】
前記選択手段は、マウスクリック(ポインティング操作:起動リクエスト)を検知し、マウスクリックがなされた座標を各メニューボタンのボタン位置データと比較し、選択されたメニューボタンを特定し、新たに選択されたメニューボタンの選択を有効とし、選択されたメニューボタンの操作項目に割り当てられた特定関数を起動すると共に、選択が有効となっているメニューボタンをハイライト表示する(
図3(B)参照)。
【0030】
ここで、選択が有効となっているメニューボタンとは、新規起動リクエストを受けた(新規に選択された)メニューボタン及び当該メニューボタンと同一系統の上位階層に存在するメニューボタンである。また、前記系統とは、前記階層データで決まる系統であって、最下位階層のツールボックスを表示するまでに辿った各ツールボックスにおいて起動リクエストを受けた単数又は複数のメニューボタンで結ばれた一筋の系を言う(
図2(B)実線参照)。
【0031】
その際、前記ツール管理手段は、前記マップオブジェクトに基づき、同階層のツールボックスに、既に選択されているメニューボタンがある場合には、当該メニューボタンの選択を解除(関数の起動を解除)すると共に、選択が解除されたメニューボタンを非ハイライトとする(
図3(A)参照)。
【0032】
前記ツール管理手段は、選択が解除され非ハイライトとなったメニューボタンの下位階層のツールボックスが表示されていれば、選択が解除されたメニューボタンに割り当てられたメニュー関数が起動することで表示されていた当該下位階層のツールボックスの表示を消去する(選択が解除されたメニューボタンを含むツールボックスとその上位階層として存在する既表示のツールボックスの表示は維持する)と共に、消去されたツールボックスで選択されていたメニューボタンの選択を解除(当該メニューボタンに割り当てた特定関数の起動を解除)する(
図3(C)参照)。
【0033】
この様に、前記ツール管理手段は、起動が解除されたツールボックスの下位階層のツールボックスが表示されているか否かを確認し、表示されている場合には、当該下位階層のツールボックスを消去し(起動が解除されたツールボックスの上位階層として存在する既表示のツールボックスの表示は維持する)、更に、消去したツールボックスの下位階層へ注目を移して同様の処理を行う。
上記処理を経て、新規起動リクエストを受けたメニューボタンを含むツールボックスの、起動リクエストから漏れたメニューボタンのメニュー関数で表示される下位階層のメニューボタンの全ての表示を消去し、当該メニューボタンに割り振られた関数の起動を解除する(
図4参照)。
【0034】
続いて、前記選択手段は、新規起動リクエストを受けた前記メニューボタンに割り当てられた特定関数が、前記メニュー関数であるか、前記ツール関数であるかを確認する。
前記メニューボタンに割り当てられた特定関数が前記メニュー関数である場合には、当該メニュー関数は、前記起動リクエストを受けたツールボックスの下位階層のツールボックスとして、当該メニュー関数に定められたツールボックスインデックスに基づき、前記ツールボックス位置データが定める所定の位置に、前記ツールボックス領域データ及びツールボックス色データ等に基づく所定のツールボックスを表示する(
図3(D)参照)。
【0035】
また、同メニュー関数は、当該ツールボックスに、前記ボタンインデックスに基づき、前記メニューボタンオブジェクトが備える各種データに基づく所定のメニューボタンを表示し、更に、前記選択手段を介した起動リクエストを待つ。
【実施例】
【0036】
図1に示す例は、メインメニューの編集関連ボタンを選択することによって表示された最上位のツールボックスに、ベース、柱、梁、スラブ、壁、階段など躯体の構成要素として共通点を持つ要素を表示したメニューボタンを列挙し、編集対象の選択肢として列挙したものである(
図5参照)。
【0037】
この例の二階層目のツールボックスは、例えば、前記最上位のツールボックスの右横に付加され、前記最上位のツールボックスにおいてベースのメニューボタンを選択した場合には、リスト編集、躯体配置、鉄筋配置など編集内容として共通点を持つ要素を表示したメニューボタンを列挙し、編集内容の選択肢として列挙する(
図1二段目参照)。
【0038】
この例の三階層目のツールボックスは、例えば、前記二階層目のツールボックスの右横に付加され、前記二階層目のツールボックスにおいて鉄筋編集のメニューボタンを選択した場合には、前記編集内容に応じた、計算、編集、削除及び加工表など作業内容として共通点を持つ要素を表示したメニューボタンを列挙し、各々の作業内容の選択肢として列挙する(
図1三段目参照)。
【0039】
この例の四階層目のツールボックスは、例えば、前記三階層目のツールボックスの右横に付加され、前記三階層目のツールボックスにおいて編集のメニューボタンを選択した場合には、前記作業内容に応じた、追加、伸縮、回転、屈曲、切断及び移動など加工内容として共通点を持つ要素を表示したメニューボタンを列挙し、各々の加工内容の選択肢として列挙する(
図1四段目参照)。
この例の五階層目については、例えば、移動のメニューボタンを選択した場合には、メニュー関数ではなく、ツール関数が起動され、鉄筋移動を実行する。
【0040】
この時、
図1の四段目及び
図5に示す様に、四つのツールボックスが、前記選択手段及び前記ツール管理手段の機能により、編集画面の上位に一列に並べて表示され、各ツールボックスについて、各々選択された、ベース、鉄筋編集、編集、移動のメニューボタンがハイライト表示され、且つ最も下位の階層のツールボックスもあわせてハイライト表示されるので、現在起動中の特定関数及びそれが属するツールボックス、並びにこれまでに辿ってきた躯体の構成要素、編集内容、作業内容、加工内容からなる系統が一目で認識できる。
【0041】
この状態で、例えば、二階層目における鉄筋編集から躯体配置に編集内容の選択が変更されれば、
図1の五段目の様に、二階層目におけるメニューボタンのハイライト表示が、鉄筋編集から躯体配置に変わり、ツールボックスのハイライト表示も四階層目から二階層目に変わり、間もなく躯体配置のメニューボタンを選択した場合に表示されるべき、新規、変更及び削除など、作業内容として共通点を持つ要素を表示したメニューボタンを列挙した三階層目のツールボックスを、ハイライトを付した状態で表示する(
図1六段目参照)。
この時、前記ツール管理手段により、当該三階層目よりも下位のツールボックスとして表示されていた前記四階層目のツールボックスは全て消去される。
【0042】
当該三階層目は、例えば、前記二階層目のツールボックスの右横に付加され、前記二階層目のツールボックスにおいて、作業内容として、変更が選択された場合には、当該三階層目のツールボックスは、前記作業内容に応じた、高低、回転、伸縮、立面編集及び移動など作業内容として共通点を持つ要素を表示したメニューボタンを列挙し、各々の作業内容の選択肢として列挙する(
図1最下段参照)。
当該四階層目のツールボックスで、加工内容として、例えば、高低のメニューボタンを選択した場合には、メニュー関数ではなく、ツール関数が起動され、高低変更を実行する。
【0043】
この時、
図1の最下段に示す様に、四つのツールボックスが、編集画面の上位に一列に並べて表示され、各ツールボックスについて、各々選択された、ベース、躯体配置、変更、高低のメニューボタンがハイライト表示され、且つ最も下位の階層のツールボックスもあわせてハイライト表示されるので、現在起動中の特定関数及びそれが属するツールボックス、並びにこれまでに辿ってきた躯体の構成要素、編集内容、作業内容、加工内容からなる系統が一目で認識できる。
【0044】
前記の如く、各ツールボックスに、同族的若しくは同類的操作項目を集めたツールボックス、又は、ある共通する性質に基づいてグループ化した複数の操作項目を集めて列挙することによって、ユーザーの作業に応じて現在の作業に密接に関わる関連機能が割り当てられたメニューボタンを相互の近隣に表示しつつ効率的な作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0045】
1 入力装置,2 制御装置,3 出力装置,4 記録装置,