【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1) 本発明は、参照画像を用いることなく映像の主観画質を推定する客観画質評価装置(例えば、
図1の客観画質評価装置1に相当)であって、処理ブロックの属するスライスの符号化タイプ(例えば、
図1のスライスタイプcに相当)と、当該処理ブロックの量子化スケール(例えば、
図1の量子化スケールdに相当)と、当該処理ブロックにおける動きベクトル(例えば、
図1の動きベクトル情報fに相当)と、当該処理ブロックの参照フレームを示す参照フレーム情報(例えば、
図1の参照フレーム情報gに相当)と、を圧縮ビットストリーム(例えば、
図1のビットストリームaに相当)から取得するマクロブロック層パラメータ解析手段(例えば、
図1のマクロブロック層パラメータ解析部10に相当)と、量子化スケール(例えば、
図1の量子化スケールiに相当)を記憶する量子化スケールバッファ(例えば、
図1の量子化スケールバッファ50に相当)と、前記マクロブロック層パラメータ解析手段により取得された動きベクトルおよび参照フレーム情報で示された画素ブロックにおける量子化スケール(例えば、
図1の量子化スケールnに相当)を、前記量子化スケールバッファから読み出す量子化スケール導出手段(例えば、
図1の量子化スケール導出部20に相当)と、前記処理ブロックにおける予測残差の変換係数が量子化によりゼロである場合には、前記量子化スケール導出手段により読み出された量子化スケールを選択し、前記処理ブロックにおける予測残差の変換係数が量子化によりゼロではない場合には、前記マクロブロック層パラメータ解析手段により取得された量子化スケールを選択する量子化スケール選択手段(例えば、
図1の量子化スケール選択部30に相当)と、前記マクロブロック層パラメータ解析手段により取得されたスライスの符号化タイプごとに、前記量子化スケール選択手段により選択された量子化スケールの統計処理を行う量子化スケール計算手段(例えば、
図1の量子化スケール平均値算出部40に相当)と、前記量子化スケール計算手段による統計処理の結果に基づいて、客観評価値を算出する特徴量統合手段(例えば、
図1の特徴量統合部60に相当)と、を備え、前記量子化スケールバッファは、前記量子化スケール選択手段により選択された量子化スケールを記憶することを特徴とする客観画質評価装置を提案している。
【0024】
この発明によれば、圧縮ビットストリームから、処理ブロックの属するスライスの符号化タイプと、処理ブロックの量子化スケールと、処理ブロックにおける動きベクトルと、処理ブロックの参照フレームを示す参照フレーム情報と、を取得することとした。また、処理ブロックにおける予測残差の変換係数が量子化によりゼロである場合には、取得した動きベクトルおよび参照フレーム情報で示された画素ブロックにおける量子化スケールを選択して記憶し、処理ブロックにおける予測残差の変換係数が量子化によりゼロではない場合には、取得した量子化スケールを選択して記憶することとした。
【0025】
このため、圧縮符号化前のベースバンド信号だけでなく、復号後のベースバンド信号も用いることなく、圧縮ビットストリーム内のパラメータ抽出と、量子化スケールの選択および記憶と、で量子化により予測残差の変換係数がゼロになる場合も考慮して、符号化映像の主観画質を推定することができる。
【0026】
(2) 本発明は、(1)の客観画質評価装置について、前記量子化スケール選択手段は、前記処理ブロックにおける予測残差の変換係数が量子化によりゼロであるか否かを、前記圧縮ビットストリームに含まれるcoded block flagに基づいて判断することを特徴とする客観画質評価装置を提案している。
【0027】
この発明によれば、(1)の客観画質評価装置において、処理ブロックにおける予測残差の変換係数が量子化によりゼロであるか否かを、圧縮ビットストリームに含まれるcoded block flagに基づいて判断することができる。
【0028】
(3) 本発明は、(1)の客観画質評価装置について、前記量子化スケール選択手段は、前記処理ブロックにおける予測残差の変換係数が量子化によりゼロであるか否かを、当該処理ブロックが予測残差の変換係数を符号化しないブロックであるか否かに基づいて判断することを特徴とする客観画質評価装置を提案している。
【0029】
この発明によれば、(1)の客観画質評価装置において、処理ブロックにおける予測残差の変換係数が量子化によりゼロであるか否かを、処理ブロックが予測残差の変換係数を符号化しないブロックであるか否かに基づいて判断することができる。
【0030】
(4) 本発明は、(1)から(3)のいずれかの客観画質評価装置について、前記量子化スケール計算手段は、前記量子化スケールの統計処理として、当該量子化スケールの平均値をフレームまたはシーケンスごとに求めることを特徴とする客観画質評価装置を提案している。
【0031】
この発明によれば、(1)から(3)のいずれかの客観画質評価装置において、量子化スケールの統計処理として、量子化スケールの平均値をフレームまたはシーケンスごとに求めることができる。
【0032】
(5) 本発明は、(1)から(3)のいずれかの客観画質評価装置について、前記量子化スケール計算手段は、前記量子化スケールの統計処理として、当該量子化スケールの最大値または最小値を予め定められた数のフレームごとに求め、その結果の平均値をシーケンスごとに求めることを特徴とする客観画質評価装置を提案している。
【0033】
この発明によれば、(1)から(3)のいずれかの客観画質評価装置において、量子化スケールの統計処理として、量子化スケールの最大値または最小値を予め定められた数のフレームごとに求め、その結果の平均値をシーケンスごとに求めることができる。
【0034】
(6) 本発明は、(1)から(5)のいずれかの客観画質評価装置と、前記客観画質評価装置による主観画質の推定結果を監視する監視手段(例えば、
図4の間支部2に相当)と、を備えることを特徴とする自動監視装置(例えば、
図4の自動監視装置AAに相当)を提案している。
【0035】
この発明によれば、(1)から(5)のいずれかの客観画質評価装置と、この客観画質評価装置による主観画質の推定結果を監視する監視手段と、を備える。このため、主観画質の推定結果の監視結果を、監視したり外部に報知したりすることができる。
【0036】
(7) 本発明は、マクロブロック層パラメータ解析手段(例えば、
図1のマクロブロック層パラメータ解析部10に相当)、量子化スケールバッファ(例えば、
図1の量子化スケールバッファ50に相当)、量子化スケール導出手段(例えば、
図1の量子化スケール導出部20に相当)、量子化スケール選択手段(例えば、
図1の量子化スケール選択部30に相当)、量子化スケール計算手段(例えば、
図1の量子化スケール平均値算出部40に相当)、および特徴量統合手段(例えば、
図1の特徴量統合部60に相当)を備え、参照画像を用いることなく映像の主観画質を推定する客観画質評価装置(例えば、
図1の客観画質評価装置1に相当)における客観画質評価方法であって、前記マクロブロック層パラメータ解析手段が、処理ブロックの属するスライスの符号化タイプ(例えば、
図1のスライスタイプcに相当)と、当該処理ブロックの量子化スケール(例えば、
図1の量子化スケールdに相当)と、当該処理ブロックにおける動きベクトル(例えば、
図1の動きベクトル情報fに相当)と、当該処理ブロックの参照フレームを示す参照フレーム情報(例えば、
図1の参照フレーム情報gに相当)と、を圧縮ビットストリーム(例えば、
図1のビットストリームaに相当)から取得する第1のステップと、前記量子化スケールバッファが、量子化スケール(例えば、
図1の量子化スケールiに相当)を記憶する第2のステップと、前記量子化スケール導出手段が、前記第1のステップにより取得された動きベクトルおよび参照フレーム情報で示された画素ブロックにおける量子化スケール(例えば、
図1の量子化スケールnに相当)を、前記量子化スケールバッファから読み出す第3のステップと、前記量子化スケール選択手段が、前記第1のステップにより取得された量子化スケールと、前記第3のステップにより読み出された量子化スケールと、のいずれかを選択する第4のステップと、前記量子化スケール計算手段が、前記第1のステップにより取得されたスライスの符号化タイプごとに、前記第4のステップにより選択された量子化スケールの統計処理を行う第5のステップと、前記特徴量統合手段が、前記第5のステップによる統計処理の結果に基づいて、客観評価値を算出する第6のステップと、を備え、前記第2のステップでは、前記量子化スケールバッファは、前記第4のステップにより選択された量子化スケールを記憶することを特徴とする客観画質評価方法を提案している。
【0037】
この発明によれば、圧縮ビットストリームから、処理ブロックの属するスライスの符号化タイプと、処理ブロックの量子化スケールと、処理ブロックにおける動きベクトルと、処理ブロックの参照フレームを示す参照フレーム情報と、を取得することとした。また、処理ブロックにおける予測残差の変換係数が量子化によりゼロである場合には、取得した動きベクトルおよび参照フレーム情報で示された画素ブロックにおける量子化スケールを選択して記憶し、処理ブロックにおける予測残差の変換係数が量子化によりゼロではない場合には、取得した量子化スケールを選択して記憶することとした。このため、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0038】
(8) 本発明は、マクロブロック層パラメータ解析手段(例えば、
図1のマクロブロック層パラメータ解析部10に相当)、量子化スケールバッファ(例えば、
図1の量子化スケールバッファ50に相当)、量子化スケール導出手段(例えば、
図1の量子化スケール導出部20に相当)、量子化スケール選択手段(例えば、
図1の量子化スケール選択部30に相当)、量子化スケール計算手段(例えば、
図1の量子化スケール平均値算出部40に相当)、および特徴量統合手段(例えば、
図1の特徴量統合部60に相当)を備え、参照画像を用いることなく映像の主観画質を推定する客観画質評価装置(例えば、
図1の客観画質評価装置1に相当)における客観画質評価方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記マクロブロック層パラメータ解析手段が、処理ブロックの属するスライスの符号化タイプ(例えば、
図1のスライスタイプcに相当)と、当該処理ブロックの量子化スケール(例えば、
図1の量子化スケールdに相当)と、当該処理ブロックにおける動きベクトル(例えば、
図1の動きベクトル情報fに相当)と、当該処理ブロックの参照フレームを示す参照フレーム情報(例えば、
図1の参照フレーム情報gに相当)と、を圧縮ビットストリーム(例えば、
図1のビットストリームaに相当)から取得する第1のステップと、前記量子化スケールバッファが、量子化スケール(例えば、
図1の量子化スケールiに相当)を記憶する第2のステップと、前記量子化スケール導出手段が、前記第1のステップにより取得された動きベクトルおよび参照フレーム情報で示された画素ブロックにおける量子化スケール(例えば、
図1の量子化スケールnに相当)を、前記量子化スケールバッファから読み出す第3のステップと、前記量子化スケール選択手段が、前記第1のステップにより取得された量子化スケールと、前記第3のステップにより読み出された量子化スケールと、のいずれかを選択する第4のステップと、前記量子化スケール計算手段が、前記第1のステップにより取得されたスライスの符号化タイプごとに、前記第4のステップにより選択された量子化スケールの統計処理を行う第5のステップと、前記特徴量統合手段が、前記第5のステップによる統計処理の結果に基づいて、客観評価値を算出する第6のステップと、をコンピュータに実行させ、前記第2のステップでは、前記量子化スケールバッファは、前記第4のステップにより選択された量子化スケールを記憶するためのプログラムを提案している。
【0039】
この発明によれば、圧縮ビットストリームから、処理ブロックの属するスライスの符号化タイプと、処理ブロックの量子化スケールと、処理ブロックにおける動きベクトルと、処理ブロックの参照フレームを示す参照フレーム情報と、を取得することとした。また、処理ブロックにおける予測残差の変換係数が量子化によりゼロである場合には、取得した動きベクトルおよび参照フレーム情報で示された画素ブロックにおける量子化スケールを選択して記憶し、処理ブロックにおける予測残差の変換係数が量子化によりゼロではない場合には、取得した量子化スケールを選択して記憶することとした。このため、上述した効果と同様の効果を奏することができる。