特許第6087837号(P6087837)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087837
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】燃焼装置およびこれを用いた加熱炉
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/56 20060101AFI20170220BHJP
   F23D 14/22 20060101ALI20170220BHJP
   F27B 17/00 20060101ALI20170220BHJP
   F27D 7/02 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   F23D14/56 D
   F23D14/22 B
   F27B17/00 B
   F27D7/02 A
【請求項の数】16
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-551538(P2013-551538)
(86)(22)【出願日】2012年11月22日
(86)【国際出願番号】JP2012080344
(87)【国際公開番号】WO2013099483
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2015年8月19日
(31)【優先権主張番号】特願2011-286410(P2011-286410)
(32)【優先日】2011年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】半澤 茂
(72)【発明者】
【氏名】小椋 弘治
(72)【発明者】
【氏名】森 仁志
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−500628(JP,A)
【文献】 特開昭47−031222(JP,A)
【文献】 特開2000−356341(JP,A)
【文献】 特開平05−296411(JP,A)
【文献】 特開平09−257372(JP,A)
【文献】 特開2008−261619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/22
F23D 14/56
F23L 7/00
F27B 17/00
F27D 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性ガスと空気とを燃焼させて燃焼ガスを生じさせるための燃焼空間を有し、前記燃焼空間に開口して前記可燃性ガスを前記燃焼空間内に流入させる可燃性ガス流入口と、前記燃焼空間に開口して前記空気を前記燃焼空間内に流入させる空気流入口と、前記燃焼ガスを外部に排出する燃焼ガス排出口とを備えた燃焼部と、
所望の組成に調整された調整ガスを外部に排出するとともに前記燃焼ガス排出口と隣接しかつ前記燃焼ガス排出口から排出された直後の前記燃焼ガスに向けて開口した調整ガス排出口を有する調整ガス流路部と、を備え、
前記燃焼部は、
前記燃焼空間に開口して前記燃焼空間内に空気を前記燃焼ガス排出口の方向に向けて噴出する空気噴出口と、
前記可燃性ガス流入口から前記燃焼空間内に流入した前記可燃性ガス、前記空気流入口から前記燃焼空間内に流入した空気、および該空気と前記可燃性ガスとの燃焼で生じた火炎と、前記空気噴出口から前記燃焼空間内に噴出した前記空気とを隔てつつ、前記燃焼で生じた前記燃焼ガスと前記空気噴出口から前記燃焼空間内に噴出した前記空気とを混合させるように前記燃焼空間内に設けられた仕切部材と、を有し、
前記燃焼部および前記調整ガス流路部が排出口の側にゆくにつれて狭まったテーパー形状である燃焼装置。
【請求項2】
可燃性ガスと空気とを燃焼させて燃焼ガスを生じさせるための燃焼空間を有し、前記燃焼空間に開口して前記可燃性ガスを前記燃焼空間内に流入させる可燃性ガス流入口と、前記燃焼空間に開口して前記空気を前記燃焼空間内に流入させる空気流入口と、前記燃焼ガスを外部に排出する燃焼ガス排出口とを備えた燃焼部と、
所望の組成に調整された調整ガスを外部に排出するとともに前記燃焼ガス排出口と隣接しかつ前記燃焼ガス排出口から排出された直後の前記燃焼ガスに向けて開口した調整ガス排出口を有する調整ガス流路部と、を備え、
前記燃焼部は、
前記燃焼空間に開口して前記燃焼空間内に空気を前記燃焼ガス排出口の方向に向けて噴出する空気噴出口と、
前記可燃性ガス流入口から前記燃焼空間内に流入した前記可燃性ガス、前記空気流入口から前記燃焼空間内に流入した空気、および該空気と前記可燃性ガスとの燃焼で生じた火炎と、前記空気噴出口から前記燃焼空間内に噴出した前記空気とを隔てつつ、前記燃焼で生じた前記燃焼ガスと前記空気噴出口から前記燃焼空間内に噴出した前記空気とを混合させるように前記燃焼空間内に設けられた仕切部材と、を有し、
前記燃焼ガス排出口から排出される前記燃焼ガスの排出方向と前記調整ガス排出口から排出される前記調整ガスの排出方向とのなす角度が5〜90度である燃焼装置。
【請求項3】
前記調整ガス排出口は環形状に開口し、
前記調整ガス排出口の環の内側に前記燃焼ガス排出口が設けられた請求項1または2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
複数の前記調整ガス排出口を有し、
前記複数の調整ガス排出口が前記燃焼ガス排出口の周囲を取り囲む請求項1または2に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記燃焼部および前記調整ガス流路部を横切る断面からみた場合に、前記燃焼部の周囲を前記調整ガス流路部が取り囲む構造を有する請求項3または4に記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記燃焼部においては、
前記仕切部材が、一方の端部が閉ざされかつ他方の端部が前記燃焼ガス排出口の方向に向けて開口した筒形状を有し、さらに前記筒形状の内部に前記可燃性ガス流入口および前記空気流入口が開口し、
前記空気噴出口は、該空気噴出口から前記燃焼空間内に噴出した前記空気が前記仕切部材の外周に沿って流れるように設けられた請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃焼装置。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載の燃焼装置と、
被加熱体を収容する収容空間が炉壁に囲まれて形成され、前記収容空間に前記燃焼装置の前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口が開口した収容室と、を備える加熱炉。
【請求項8】
前記収容室の前記収容空間内において、前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口に対向する場所に設けられ、前記収容空間内の雰囲気温度を計測する温度計測部と、
前記温度計測部で計測した前記収容空間内の雰囲気温度に基づいて前記可燃性ガス流入口からの前記可燃性ガスの流入量および前記空気流入口からの前記空気の流入量を増減させる流入量調整手段と、を備える請求項に記載の加熱炉。
【請求項9】
複数の前記燃焼装置と、
前記温度計測部と、を備え、
前記温度計測部が、前記複数の燃焼装置のうちのいずれか1つの前記燃焼装置の前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口に対向する前記炉壁に設けられるとともに、
前記流入量調整手段が、前記温度計測部において計測した前記収容空間内の雰囲気温度に基づいて、前記燃焼装置の前記可燃性ガスの流入量および前記空気流入口からの前記空気の流入量を増減させる請求項に記載の加熱炉。
【請求項10】
前記燃焼装置が、前記収容室の上部および下部のそれぞれに少なくとも1以上設けられた請求項に記載の加熱炉。
【請求項11】
前記燃焼装置が、前記収容室の上部、中部、および下部のそれぞれに少なくとも1以上設けられた請求項に記載の加熱炉。
【請求項12】
複数の前記燃焼装置と、
複数の前記温度計測部と、を備え、
前記温度計測部が、前記複数の燃焼装置のそれぞれの前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口に対向する場所に少なくとも1以上設けられるとともに、
前記流入量調整手段が、前記温度計測部のそれぞれにおいて計測した前記収容空間内の雰囲気温度に基づいて、それぞれの前記温度計測部に対向する前記燃焼装置の前記可燃性ガスの流入量および前記空気流入口からの前記空気の流入量を増減させる請求項に記載の加熱炉。
【請求項13】
前記燃焼装置が、前記収容室の上部および下部のそれぞれに少なくとも1以上設けられた請求項12に記載の加熱炉。
【請求項14】
前記収容室は、
一の側の前記炉壁の前記上部に設けられた前記燃焼装置が前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口を前記一の側とは反対側の前記炉壁に向けて開口し、かつ、前記一の側とは反対側の前記炉壁の前記下部に設けられた前記燃焼装置が前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口を前記一の側の前記炉壁に向けて開口する第一の領域と、
前記一の側とは反対側の前記炉壁の前記上部に設けられた前記燃焼装置が前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口を前記一の側の前記炉壁に向けて開口し、かつ、前記一の側の前記炉壁の前記下部に設けられた前記燃焼装置が前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口を前記一の側とは反対側の前記炉壁に向けて開口する第二の領域と、を有し、
前記第一の領域と前記第二の領域とが前記収容室の長さ方向に沿って交互に並ぶ請求項13に記載の加熱炉。
【請求項15】
前記燃焼装置が、前記収容室の上部、中部、および下部のそれぞれに少なくとも1以上設けられた請求項12に記載の加熱炉。
【請求項16】
前記収容室は、
一の側の前記炉壁の前記上部および前記下部に設けられた前記燃焼装置が前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口を前記一の側とは反対側の前記炉壁に向けて開口し、かつ、前記一の側とは反対側の前記炉壁の前記中部に設けられた前記燃焼装置が前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口を前記一の側の前記炉壁に向けて開口する第一の領域と、
前記一の側とは反対側の前記炉壁の前記上部および前記下部に設けられた前記燃焼装置が前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口を前記一の側の前記炉壁に向けて開口し、かつ、前記一の側の前記炉壁の前記中部に設けられた前記燃焼装置が前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口を前記一の側とは反対側の前記炉壁に向けて開口する第二の領域と、を有し、
前記第一の領域と前記第二の領域とが前記収容室の長さ方向に沿って交互に並ぶ請求項15に記載の加熱炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置およびこれを用いた加熱炉に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の製品を製造する際には、加熱処理を行うことがある。加熱処理では、加熱の対象物に与える熱量を制御することはもちろんのこと、加熱時に対象物が置かれている雰囲気の組成を厳密に管理することが求められる場合がある。例えば、セラミックス製品を製造する際には、まず、セラミックスの粉末から所望の形状に形作った成形体を作製し、次いで、この成形体を加熱炉内に入れて加熱処理(焼成)を行う。
【0003】
加熱炉内の温度制御の際には、バーナーを使用することがある。加熱炉に用いるバーナーとしては、例えば、筒状体の内部で燃焼用ガスと空気との混合比率を適宜調整しながら火炎を発生させるタイプ(エクセスタイプ)のものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
さらに、セラミックスの加熱処理(焼成)の際には、セラミックスの酸化を抑制するために、加熱炉内の酸素濃度を極めて低く抑えなければならないことがある。そのため、あらかじめ組成を調整した調整ガス(プロセスガス)を加熱炉内に導入し、加熱炉内の雰囲気を所望の組成に調整することが行われている。
【0005】
そこで、加熱炉内における温度および雰囲気組成のそれぞれを自在に制御するために、加熱炉にバーナーなどの燃焼装置と調整ガス導入装置とを個別に設置した技術が提案されている(例えば、特許文献2,3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−77314号公報
【特許文献2】特開平11−304367号公報
【特許文献3】特開2010−2056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述の燃焼装置と調整ガス導入装置とを個別に設置した技術では、燃焼装置から排出されるガスの組成と調整ガス導入装置から排出される調整ガス(プロセスガス)の組成が異なる場合があり、このような場合には加熱炉内の雰囲気の組成が加熱炉内の場所ごとでばらつき易くなる。また、燃焼装置から排出されるガスの温度と調整ガス導入装置から排出される調整ガス(プロセスガス)の温度が異なる場合には、加熱炉内の温度も不均一になり易くなる。
【0008】
もっとも、上述のクセスエアタイプのバーナーにおいて、可燃性ガス、空気、および調整ガスを予め混合させた上で燃焼させるという工夫を施すと、バーナーからは高温のガスを所望の組成に均一化して排出可能とも考えられる。しかし、こうした工夫でも、調整ガスの混入によって燃焼時の酸素濃度の低下が生じてしまうので、失火や不完全燃焼を引き起こし易くなる恐れがある。
【0009】
上記の問題に鑑みて、本発明の目的は、雰囲気を所望の組成に迅速に均一化しつつ雰囲気温度を均一に昇温する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下に示す燃焼装置およびこれを用いた加熱炉である。
【0011】
[1] 可燃性ガスと空気とを燃焼させて燃焼ガスを生じさせるための燃焼空間を有し、前記燃焼空間に開口して前記可燃性ガスを前記燃焼空間内に流入させる可燃性ガス流入口と、前記燃焼空間に開口して前記空気を前記燃焼空間内に流入させる空気流入口と、前記燃焼ガスを外部に排出する燃焼ガス排出口とを備えた燃焼部と、所望の組成に調整された調整ガスを外部に排出するとともに前記燃焼ガス排出口と隣接しかつ前記燃焼ガス排出口から排出された直後の前記燃焼ガスに向けて開口した調整ガス排出口を有する調整ガス流路部と、を備え、前記燃焼部は、前記燃焼空間に開口して前記燃焼空間内に空気を前記燃焼ガス排出口の方向に向けて噴出する空気噴出口と、前記可燃性ガス流入口から前記燃焼空間内に流入した前記可燃性ガス、前記空気流入口から前記燃焼空間内に流入した空気、および該空気と前記可燃性ガスとの燃焼で生じた火炎と、前記空気噴出口から前記燃焼空間内に噴出した前記空気とを隔てつつ、前記燃焼で生じた前記燃焼ガスと前記空気噴出口から前記燃焼空間内に噴出した前記空気とを混合させるように前記燃焼空間内に設けられた仕切部材と、を有し、前記燃焼部および前記調整ガス流路部が排出口の側にゆくにつれて狭まったテーパー形状である燃焼装置。
[2] 可燃性ガスと空気とを燃焼させて燃焼ガスを生じさせるための燃焼空間を有し、前記燃焼空間に開口して前記可燃性ガスを前記燃焼空間内に流入させる可燃性ガス流入口と、前記燃焼空間に開口して前記空気を前記燃焼空間内に流入させる空気流入口と、前記燃焼ガスを外部に排出する燃焼ガス排出口とを備えた燃焼部と、所望の組成に調整された調整ガスを外部に排出するとともに前記燃焼ガス排出口と隣接しかつ前記燃焼ガス排出口から排出された直後の前記燃焼ガスに向けて開口した調整ガス排出口を有する調整ガス流路部と、を備え、前記燃焼部は、前記燃焼空間に開口して前記燃焼空間内に空気を前記燃焼ガス排出口の方向に向けて噴出する空気噴出口と、前記可燃性ガス流入口から前記燃焼空間内に流入した前記可燃性ガス、前記空気流入口から前記燃焼空間内に流入した空気、および該空気と前記可燃性ガスとの燃焼で生じた火炎と、前記空気噴出口から前記燃焼空間内に噴出した前記空気とを隔てつつ、前記燃焼で生じた前記燃焼ガスと前記空気噴出口から前記燃焼空間内に噴出した前記空気とを混合させるように前記燃焼空間内に設けられた仕切部材と、を有し、 前記燃焼ガス排出口から排出される前記燃焼ガスの排出方向と前記調整ガス排出口から排出される前記調整ガスの排出方向とのなす角度が5〜90度である燃焼装置。
【0012】
] 前記調整ガス排出口は環形状に開口し、前記調整ガス排出口の環の内側に前記燃焼ガス排出口が設けられた前記[1]または[2]に記載の燃焼装置。
【0013】
] 複数の前記調整ガス排出口を有し、前記複数の調整ガス排出口が前記燃焼ガス排出口の周囲を取り囲む前記[1]または[2]に記載の燃焼装置。
【0014】
] 前記燃焼部および前記調整ガス流路部を横切る断面からみた場合に、前記燃焼部の周囲を前記調整ガス流路部が取り囲む構造を有する前記[]または[]に記載の燃焼装置。
【0016】
] 前記燃焼部においては、前記仕切部材が、一方の端部が閉ざされかつ他方の端部が前記燃焼ガス排出口の方向に向けて開口した筒形状を有し、さらに前記筒形状の内部に前記可燃性ガス流入口および前記空気流入口が開口し、前記空気噴出口は、該空気噴出口から前記燃焼空間内に噴出した前記空気が前記仕切部材の外周に沿って流れるように設けられた前記[1]〜[5]に記載の燃焼装置。
【0017】
] 前記[1]〜[]のいずれかに記載の燃焼装置と、被加熱体を収容する収容空間が炉壁に囲まれて形成され、前記収容空間に前記燃焼装置の前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口が開口した収容室と、を備える加熱炉。
【0018】
] 前記収容室の前記収容空間内において、前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口に対向する場所に設けられ、前記収容空間内の雰囲気温度を計測する温度計測部と、前記温度計測部で計測した前記収容空間内の雰囲気温度に基づいて前記可燃性ガス流入口からの前記可燃性ガスの流入量および前記空気流入口からの前記空気の流入量を増減させる流入量調整手段と、を備える前記[]に記載の加熱炉。
【0019】
] 複数の前記燃焼装置と、前記温度計測部と、を備え、前記温度計測部が、前記複数の燃焼装置のうちのいずれか1つの前記燃焼装置の前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口に対向する前記炉壁に設けられるとともに、前記流入量調整手段が、前記温度計測部において計測した前記収容空間内の雰囲気温度に基づいて、前記燃焼装置の前記可燃性ガスの流入量および前記空気流入口からの前記空気の流入量を増減させる前記[]に記載の加熱炉。
【0020】
10] 前記燃焼装置が、前記収容室の上部および下部のそれぞれに少なくとも1以上設けられた前記[]に記載の加熱炉。
【0021】
11] 前記燃焼装置が、前記収容室の上部、中部、および下部のそれぞれに少なくとも1以上設けられた前記[]に記載の加熱炉。
【0022】
12] 複数の前記燃焼装置と、複数の前記温度計測部と、を備え、前記温度計測部が、前記複数の燃焼装置のそれぞれの前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口に対向する場所に少なくとも1以上設けられるとともに、前記流入量調整手段が、前記温度計測部のそれぞれにおいて計測した前記収容空間内の雰囲気温度に基づいて、それぞれの前記温度計測部に対向する前記燃焼装置の前記可燃性ガスの流入量および前記空気流入口からの前記空気の流入量を増減させる前記[]に記載の加熱炉。
【0023】
13] 前記燃焼装置が、前記収容室の上部および下部のそれぞれに少なくとも1以上設けられた前記[12]に記載の加熱炉。
【0024】
14] 前記収容室は、一の側の前記炉壁の前記上部に設けられた前記燃焼装置が前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口を前記一の側とは反対側の前記炉壁に向けて開口し、かつ、前記一の側とは反対側の前記炉壁の前記下部に設けられた前記燃焼装置が前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口を前記一の側の前記炉壁に向けて開口する第一の領域と、前記一の側とは反対側の前記炉壁の前記上部に設けられた前記燃焼装置が前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口を前記一の側の前記炉壁に向けて開口し、かつ、前記一の側の前記炉壁の前記下部に設けられた前記燃焼装置が前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口を前記一の側とは反対側の前記炉壁に向けて開口する第二の領域と、を有し、前記第一の領域と前記第二の領域とが前記収容室の長さ方向に沿って交互に並ぶ前記[13]に記載の加熱炉。
【0025】
15] 前記燃焼装置が、前記収容室の上部、中部、および下部のそれぞれに少なくとも1以上設けられた前記[12]に記載の加熱炉。
【0026】
16] 前記収容室は、一の側の前記炉壁の前記上部および前記下部に設けられた前記燃焼装置が前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口を前記一の側とは反対側の前記炉壁に向けて開口し、かつ、前記一の側とは反対側の前記炉壁の前記中部に設けられた前記燃焼装置が前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口を前記一の側の前記炉壁に向けて開口する第一の領域と、前記一の側とは反対側の前記炉壁の前記上部および前記下部に設けられた前記燃焼装置が前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口を前記一の側の前記炉壁に向けて開口し、かつ、前記一の側の前記炉壁の前記中部に設けられた前記燃焼装置が前記燃焼ガス排出口および前記調整ガス排出口を前記一の側とは反対側の前記炉壁に向けて開口する第二の領域と、を有し、前記第一の領域と前記第二の領域とが前記収容室の長さ方向に沿って交互に並ぶ前記[15]に記載の加熱炉。
【発明の効果】
【0027】
本発明の燃焼装置およびこれを用いた加熱炉によれば、燃焼ガス排出口と調整ガス排出口とが隣接しかつ調整ガス排出口が燃焼ガス排出口から排出された直後の燃焼ガスに向けて開口していることにより、燃焼ガス排出口から排出された燃焼ガスと調整ガス排出口から排出された調整ガスとを直ちに混合することが可能になる。その結果、本発明の燃焼装置およびこれを用いた加熱炉によれば、雰囲気を所望の組成に迅速に均一化しつつ雰囲気温度を均一に昇温することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の燃焼装置の一実施形態を示す模式図である。
図2図1中のA−A’断面図である。
図3】本発明の燃焼装置の一実施形態における燃焼ガス排出口および調整ガス排出口の変形例の平面図である。
図4】本発明の燃焼装置の他の実施形態の燃焼ガス排出口および調整ガス排出口の平面図である。
図5】本発明の燃焼装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。
図6図5中のB−B’断面図である。
図7】本発明の燃焼装置の燃焼部のうちで仕切部材を備えた他の実施形態の模式図である。
図8図7中のC−C’断面図である。
図9図7中のD−D’断面図である。
図10】本発明の燃焼装置の一実施形態の燃焼ガス排出口および調整ガス排出口の周辺の模式図である。
図11】本発明の燃焼装置の他の実施形態の燃焼ガス排出口および調整ガス排出口の周辺の模式図である。
図12】本発明の加熱炉の一実施形態を示す模式図である。
図13】本発明の加熱炉の他の実施形態を示す模式図である。
図14】本発明の加熱炉の一実施形態の外観を示す斜視図である。
図15A図14中のE−E’断面図である。
図15B図14中のF−F’断面図である。
図16】本発明の加熱炉の他の実施形態の外観を示す斜視図である。
図17A図16中のG−G’断面図である。
図17B図16中のH−H’断面図である。
図18】本発明の加熱炉のさらに他の実施形態の外観を示す斜視図である。
図19A図18中のI−I’断面図である。
図19B図18中のJ−J’断面図である。
図19C図18中のK−K’断面図である。
図20】本発明の加熱炉のさらに他の実施形態の外観を示す斜視図である。
図21A図20中のL−L’断面図である。
図21B図20中のM−M’断面図である。
図22】本発明の加熱炉のさらに他の実施形態の外観を示す斜視図である。
図23A図22中のN−N’断面図である。
図23B図22中のO−O’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0030】
1.燃焼装置:
図1は、本発明の燃焼装置の一実施形態の模式図である。本実施形態の燃焼装置500aは、燃焼部100と調整ガス流路部200とを有する。
【0031】
図示されているように、本実施形態の燃焼装置500aの燃焼部100は、筒形状の内壁130を有する。この筒形状の内壁130では、一方の端部がテーパー状に狭められ、その先端が開口して、燃焼ガス排出口70とされている。また、筒形状の内壁130では、燃焼ガス排出口70とは反対側の端部が端壁140によって塞がれている。こうした筒形状の内壁130と端壁140とによって囲まれた空間が燃焼空間10となる。
【0032】
本実施形態の燃焼装置500aの燃焼部100では、端壁140には、1個の可燃性ガス流入口30と、2個の空気流入口50が開口している。これらの可燃性ガス流入口30および空気流入口50のそれぞれから可燃性ガスおよび空気が燃焼空間10内に流入する。
【0033】
本実施形態の燃焼装置500aの燃焼部100では、可燃性ガスおよび空気を燃焼空間10内に流入させて可燃性ガスおよび空気を燃焼し、高温の燃焼ガスを発生させる。そして、燃焼部100の燃焼空間10内で発生させた高温の燃焼ガスを燃焼ガス排出口70から外部に排出する。
【0034】
本実施形態の燃焼装置500aの調整ガス流路部200は、調整ガス排出口150を有し、この調整ガス排出口150から所望の組成に調整された調整ガスを外部に排出する。
【0035】
本実施形態の燃焼装置500aでは、図示されているように、燃焼ガス排出口70と調整ガス排出口150とが隣接し、かつ、調整ガス排出口150が燃焼ガス排出口70から排出された直後の燃焼ガスに向けて開口している。こうして燃焼ガス排出口70と調整ガス排出口150とが隣接し、かつ、調整ガス排出口150が燃焼ガス排出口70から排出された直後の燃焼ガスに向けて開口している場合には、燃焼ガス排出口70から排出された燃焼ガスと、調整ガス排出口150から排出された調整ガスとを直ちに混合することが可能になる。その結果、本実施形態の燃焼装置500aでは、均一な組成の高温のガスを外部に排出することが可能になる。
【0036】
また、本実施形態の燃焼装置500aでは、調整ガス排出口150から調整ガスを高速で排出させた場合には、燃焼ガス排出口70から排出された燃焼ガスと相まって作られた均一な組成の高温のガスの流れにも勢いを与えることが可能になる。よって、燃焼ガス排出口70からの燃焼ガスの排出が低速の場合であっても、調整ガス排出口150から排出された調整ガスの速度を利用することにより、高温のガスを勢いよく排出させることが可能になる。
【0037】
さらに、本実施形態の燃焼装置500aのように、調整ガス排出口150が環形状に開口し、この調整ガス排出口150の環の内側に燃焼ガス排出口70が設けられていることが好ましい(例えば、図3および図4を参照)。こうした構造にすると、燃焼ガスの周囲を調整ガスが取り囲む形で排出される。その結果、上述した燃焼ガスと調整ガスとの混合によるガスの迅速な均一化や、調整ガスの速度を利用して高温のガスを勢いよく排出させる作用をより効果的に発揮させることが可能になる。
【0038】
さらに、本実施形態の燃焼装置500aでは、燃焼空間10で生じる火炎と調整ガスとを内壁130によって隔てているので、調整ガスが発火性のある場合には、調整ガスの発火を防止することが可能になる。また、本実施形態の燃焼装置500aでは、調整ガスが消炎させてしまう作用を有する場合であっても、火炎と調整ガスとが隔てられているので、火炎を維持させることが可能である。
【0039】
図2は、図1中のA−A’断面図である。図示されているように、本実施形態の燃焼装置500aでは、筒形状の外壁170の内部に、筒形状の内壁130を収めた構造となっている。すなわち、本実施形態の燃焼装置500aでは、燃焼部100および調整ガス流路部200を横切る断面からみた場合に、燃焼部100の周囲を調整ガス流路部200が取り囲む構造を有する。
【0040】
本実施形態の燃焼装置500aでは、調整ガス流路部200が筒形状の内壁130と、この内壁130を内部に収めた筒形状の外壁170とからなる二重の筒型構造により形作られており、調整ガスが内壁130と外壁170とに挟まれた空間を流れる。
【0041】
また、図1および図2に示されているように、筒形状の内壁130および筒形状の外壁170は、燃焼ガスおよび調整ガスの流れの下流側にゆくにつれて、換言すると、燃焼ガス排出口70および調整ガス排出口150の側にゆくにつれて、狭まっていくテーパー形状にされていることが好ましい。こうして筒形状の内壁130および筒形状の外壁170をテーパー形状にする場合には、燃焼ガス排出口70を通過する際の燃焼ガスの速度、および調整ガス排出口150を通過する際の調整ガスの速度が高まり、その結果、燃焼ガスと調整ガスとの混合によるガスの迅速な均一化および高温のガスを勢いよく排出させる作用をより効果的に発揮させることが可能になる。
【0042】
図3は、本実施形態の燃焼装置500aにおける調整ガス排出口150の変形例の平面図である。図示されたように、本実施形態の燃焼装置500aにおいては、環形状の調整ガス排出口150に環の中心から半径方向に沿って形成された仕切り(整流部材155)を設けることにより、調整ガス排出口150の環を環の周方向に沿って複数に区画することが好ましい。このように仕切り(整流部材155)を設けた場合には、調整ガスの流れを所望の状態に整流することが容易になり、また、仕切り(整流部材155)が筋交いの役割を果たすので、調整ガス排出口150の構造的強度を高めることが可能になる。
【0043】
図4は、本発明の燃焼装置の他の実施形態の燃焼ガス排出口および調整ガス排出口の平面図である。図示されているように、本実施形態の燃焼装置500bでは、4個の調整ガス排出口150a〜150dを有する。さらに、これら4個の調整ガス排出口150a〜150dは、燃焼ガス排出口70の周囲を取り囲むように連なっている。こうした構造は、燃焼ガスの周囲を調整ガスが取り囲む形で排出されるので好適である。すなわち、上述した燃焼ガスと調整ガスとの混合によるガスの均一化や、調整ガスの速度を利用して、高温のガスを勢いよく排出させる作用をより効果的に発揮させることが可能になる。
【0044】
なお、本実施形態の燃焼装置500bでは、燃焼部100および調整ガス流路部200a〜200dが一体的な構造物ではなく、それぞれ個別の構造物となっている。
【0045】
図5は、本発明の燃焼装置のさらに別の一実施形態の模式図である。図6は、図5中のB−B’断面図である。本実施形態の燃焼装置500cでは、燃焼部100の燃焼空間10内に仕切部材350が設けられている。本実施形態の燃焼装置500cの仕切部材350は、端壁140に接合し、燃焼部100の中間部分まで軸方向(X方向)に沿って広がる板状の部材である。
【0046】
図示されているように、本実施形態の燃焼装置500cでは、この仕切部材350によって、端壁140の側(ガスの流れの上流側)の燃焼空間10が第一の空間400と第二の空間450とに区分される。
【0047】
本実施形態の燃焼装置500cでは、第一の空間400には可燃性ガス流入口30および空気流入口50が開口しており、この第一の空間400内で可燃性ガスと空気とを燃焼させて燃焼ガスを発生させることが可能である。
【0048】
一方、本実施形態の燃焼装置500cでは、第二の空間450には空気噴出口300が開口しており、この第二の空間450内に空気が噴出される。空気噴出口300は、燃焼ガス排出口70の方向(本実施形態の燃焼装置500cではX方向)に向けて空気を噴出させるように設けられている。本明細書にいう「空気噴出口300が燃焼ガス排出口70の方向に向けて空気を噴出させるように設けられている」とは、空気噴出口300から燃焼ガス排出口70まで直線的に通じている場合には空気噴出口300が燃焼ガス排出口70に向けて開口していることを意味し、また、空気噴出口300から燃焼ガス排出口70まで直線的に通じていない場合(例えば、燃焼部100が湾曲した形状である場合)には、空気噴出口300から燃焼ガス排出口70まで流体(空気)が流れていく方向(流体の流れの上流から下流への方向)に向けて空気噴出口300が開口していることを意味する。
【0049】
こうした仕切部材350を設けたことにより、本実施形態の燃焼装置500cでは、可燃性ガス流入口30から燃焼空間10内に流入した可燃性ガス、空気流入口50から燃焼空間10内に流入した空気、および該空気と可燃性ガスとの燃焼で生じた火炎と、空気噴出口300から燃焼空間10内に噴出した空気とを隔てることができる。その結果、空気噴出口300から噴出させた空気を火炎に混入させてしまうことが防止できるので、可燃性ガスと空気(空気流入口50から流入した空気)との比率を燃焼に適した比率で一定に保持させることができ、その結果として、良好な燃焼を実現させることが可能である。
【0050】
図示されているように、本実施形態の燃焼装置500cでは、仕切部材350が燃焼部100の中間部分までしか設けられていないので、燃焼ガス排出口70の側(ガスの流れの下流側)の燃焼空間10において、第一の空間400内で生じた燃焼ガスと第二の空間450内を流れてきた空気とを混合させることができる。ここで、空気噴出口300から空気を高速で噴出させる場合には、燃焼ガス排出口70の側(ガスの流れの下流側)の燃焼空間10で、空気噴出口300から噴出した空気と燃焼ガスとを良好に混合させることが可能になり、さらに、空気噴出口300から噴出させた高速の空気の勢いが燃焼ガスに与えられるため、燃焼ガスを燃焼ガス排出口70まで勢いよく送りこむことが可能になる。その結果、本実施形態の燃焼装置500cから高温のガスを勢いよく排出させることが可能になる。
【0051】
図7は、本発明の燃焼装置の燃焼部の他の実施形態の模式図である。図示されているように、本実施形態の燃焼部100aでは、仕切部材350aが、コップ状の形状を有する椀部390と、端壁140上に椀部390を固定させるための支持部370とから作られている。本実施形態の椀部390は、筒形状の側壁397と、この側壁397で形作られた当該筒形状の一方の端部を塞ぐ底壁395とを備える。本実施形態では、椀部390は、底壁395で支持部370と接合させることにより、燃焼空間10内において固定されている。また、本実施形態では、椀部390の筒形状が燃焼ガス排出口70に向けて延び、その先端部(底壁395とは反対側の端部)にある開口部393が燃焼ガス排出口70に向かう方向(X方向)に開口している。
【0052】
本明細書にいう「燃焼ガスが開口部393から燃焼ガス排出口70に向けて開口している」とは、開口部393から燃焼ガス排出口70まで直線的に通じている場合には開口部393が燃焼ガス排出口70に向けて開口していることを意味し、また、開口部393から燃焼ガス排出口70まで直線的に通じていない場合(例えば、燃焼部100が湾曲した形状である場合)には、開口部393から燃焼ガス排出口70まで流体(燃焼ガス)が流れていく方向(流体の流れの上流から下流への方向)に向けて開口部393が開口していることを意味する。
【0053】
図8は、図7中のC−C’断面図である。図示されているように、支持部370の内部には、可燃性ガス流路380および空気流路385が設けられている。図7に示されているように、これらの可燃性ガス流路380や空気流路385は、端壁140、支持部370、および椀部390の底壁395までを貫く。
【0054】
そのため、本実施形態の燃焼部100aでは、可燃性ガス流入口30および空気流入口50が仕切部材350aの椀部390の底壁395に開口し、コップ形状の椀部390の内部において、可燃性ガスと空気とを燃焼させ、燃焼ガスを発生させることができる。こうして発生させた燃焼ガスは、椀部390の開口部393から燃焼ガス排出口70に向けて排出される。
【0055】
図9は、図7中のD−D’断面図である。本実施形態の燃焼部100aでは、椀部390の側壁397によって、燃焼空間10が第一の空間400と第二の空間450とに仕切られている。すなわち、椀部390の筒形状の側壁397の内側が第一の空間400となり、側壁397の外側が第二の空間450となる。
【0056】
また、図7に示されているように、本実施形態の燃焼部100aでは、空気噴出口300が端壁140において仕切部材350aよりも側方に開口している。これにより、空気噴出口300から噴出した空気を、仕切部材350aの椀部390の側壁397の外周に沿って流すことが可能になる。こうして椀部390の側壁397の外周に沿って流れる空気の勢いを利用することにより、椀部390の開口部393から排出された燃焼ガスを燃焼ガス排出口70まで確実に送り込むことが可能になる。
【0057】
図示していないが、本実施形態の燃焼部100aでは、燃焼ガスを燃焼ガス排出口70まで確実に送り込むという観点から、複数個の空気噴出口300が端壁140に設けられ、さらに、これら複数個の空気噴出口300が仕切部材350aの周囲(支持部370の周囲)を取り囲むように形成されていることが好ましい。
【0058】
図10は、本発明の燃焼装置の一実施形態の燃焼ガス排出口および調整ガス排出口の周辺の模式図である。本実施形態の燃焼装置500dは、筒形状の燃焼部100と、筒形状の調整ガス流路部200とを備える。さらに、本実施形態の燃焼装置500dでは、燃焼部100の燃焼ガス排出口70からの燃焼ガスの排出方向(X方向)に対して、45度に交わる角度で筒形状の調整ガス流路部200が延びている。そして、本実施形態の燃焼装置500dでは、燃焼ガス排出口70から排出された直後の燃焼ガスに対して、調整ガス排出口150から排出された調整ガスが斜め45度の角度から噴きつけられるように、調整ガス排出口150が開口されている。こうしての燃焼ガスに調整ガスを斜めから噴きつけることにより、燃焼ガスと調整ガスとの混合によるガスの迅速な均一化をより確実に実現することが可能になる。
【0059】
なお、本実施形態の燃焼装置500dでは、燃焼ガス排出口70と調整ガス排出口150とは、互いに間隔を置いた状態で隣接している。このように、本発明の燃焼装置では、燃焼ガス排出口から排出された直後の燃焼ガスと調整ガス排出口から排出された直後の調整ガスとを速やかに混合させることが可能な形態である限り、燃焼ガス排出口と調整ガス排出口とが必ずしも密接した状態で設けられていなくてもよいものとする。
【0060】
図11は、本発明の燃焼装置の一実施形態の燃焼ガス排出口および調整ガス排出口の周辺の模式図である。本実施形態の燃焼装置500eは、筒形状の燃焼部100と、筒形状の調整ガス流路部200とを備える。さらに、本実施形態の燃焼装置500eでは、燃焼部100の燃焼ガス排出口70からの燃焼ガスの排出方向(X方向)に対して、90度に交わる角度で筒形状の調整ガス流路部200が延びている。そして、図示されているように、本実施形態の燃焼装置500eでは、対向する調整ガス流路部200が、燃焼ガス排出口70の手前でちょうど互いの調整ガス排出口150を向き合わせた状態で開口するように設けられている。よって、本実施形態の燃焼装置500eでは、燃焼ガス排出口70から排出された直後の燃焼ガスを挟み込むように、調整ガスを噴きつけることができる。その結果、燃焼ガスと調整ガスとの混合によるガスの迅速な均一化を促進することが可能になる。
【0061】
ここで、燃焼部100の燃焼ガス排出口70からの燃焼ガスの排出方向(X方向)と、調整ガス排出口150から排出される調整ガスの排出方向とのなす角度は、燃焼ガスと調整ガスとの混合によるガスの迅速な均一化をより確実に実現するという観点から、5〜90度であることが好ましく、さらに10〜70度であることがより好ましく、特に15〜50度であることが最も好ましい。
【0062】
上述の燃焼ガス排出口70の排出方向(X方向)と調整ガス排出口150の排出方向とのなす角度を規定する際には、燃焼ガス排出口70の先端が短めの管構造(当該管構造の長さが燃焼ガス排出口70の幅の4倍以下)となっており、当該短めの管構造が燃焼ガスの排出方向(X方向)に伸びるように設けられている場合においても適用可能である(なお、上述の管構造の短さはガスの迅速な均一化を阻害しない限度において許容される範囲にあるものとする)。上述の短めの管構造の長さが燃焼ガス排出口70の幅の4倍以下である場合には、燃焼ガス排出口70から排出された燃焼ガスが調整ガス排出口150から排出された調整ガスを逆流させることなく、ガスの迅速な均一化を行うことが可能になる。また、上述の短めの管構造の長さが燃焼ガス排出口70の幅の4倍以下である場合には、燃焼ガス排出口70から一旦排出された燃焼ガスが調整ガスの流れを受けて再び燃焼ガス排出口70内に逆流してしまうことを抑制し、その結果として、ガスの迅速な均一化を行うことが可能になる。
【0063】
ここでまでに述べた燃焼装置500は、例えば、以下の加熱炉に用いることができる。
【0064】
2.加熱炉:
図12は、本発明の加熱炉の一実施形態の模式図である。図示されているように、本実施形態の加熱炉800aは、上述の燃焼装置500と収容室650とを備える。本実施形態の加熱炉800aの収容室650は、炉壁630に囲まれた収容空間600を有する。この収容空間600に燃焼装置500の燃焼ガス排出口70および調整ガス排出口150が炉壁630から開口している。これにより、所望の組成に調整された高温のガスを、燃焼装置500から収容室650の収容空間600内に排出させることができる。その結果、収容室650の収容空間600内の雰囲気を所望の組成に迅速に均一化しかつ雰囲気温度を昇温することが可能になる。
【0065】
さらに、本実施形態の加熱炉800aでは、上述の燃焼装置500を用いることにより、高温のガスを均一な組成にて収容室650の収容空間600内に排出することができる。そのため、収容室650の収容空間600内の雰囲気の組成が場所ごとに大きくばらつくことを抑制することが可能である(例えば、収容室650の収容空間600内の上部と下部との間で雰囲気の組成が大きく異なってしまうことを抑制することが可能である)。
【0066】
また、本実施形態の加熱炉800aでは、燃焼ガス排出口70および調整ガス排出口150が開口する炉壁630とちょうど向かい側にある炉壁630の表面に、すなわち燃焼ガス排出口70および調整ガス排出口150に対向する場所に温度計測部670が設けられている。こうして燃焼ガス排出口70および調整ガス排出口150が開口する炉壁630とちょうど向かい側にある炉壁630の表面に温度計測部670を設けることにより、収容空間600内全体の雰囲気温度をより正確に計測することが可能になる。
【0067】
さらに、本実施形態の加熱炉800aでは、流入量調整手段690が設けられている。この流入量調整手段690によれば、温度計測部670で計測した収容空間600内の雰囲気温度に基づいて可燃性ガス流入口30からの可燃性ガスの流入量および空気流入口50からの空気の流入量を増減させて、火炎の大きさを変化させることが可能になる。こうした温度計測部670や流入量調整手段690の働きにより、本実施形態の加熱炉800aでは、燃焼装置500から発せられる熱量を自在に調整し、収容室650の収容空間600内の雰囲気温度をより正確に調整することが可能になる。
【0068】
図13は、本発明の加熱炉の他の実施形態の模式図である。本実施形態の加熱炉800bは、複数(具体的には3機)の燃焼装置550a〜550cを備える。さらに、本実施形態の加熱炉800bでは、3機の燃焼装置550a〜550cが、それぞれ収容室650の上部、中部、下部に設けられている。図示されているように、これら3機の燃焼装置550a〜550cは、収容空間600内に水平方向に高温のガスを排出する。
【0069】
また、本実施形態の加熱炉800bでは、複数(具体的には3個)の温度計測部670a〜670cを備える。さらに、これらの温度計測部670a〜670cのそれぞれは、燃焼装置550a〜550cを設けられた側とは反対側の炉壁630の上部、中部、下部に設けられている。
【0070】
特に、本実施形態の加熱炉800bでは、温度計測部670aが燃焼装置550aの燃焼ガス排出口75aおよび調整ガス排出口160aに対向する場所に、温度計測部670bが燃焼装置550bの燃焼ガス排出口75bおよび調整ガス排出口160bに対向する場所に、そして、温度計測部670cが燃焼装置550cの燃焼ガス排出口75cおよび調整ガス排出口160cに対向する場所に設けられている。したがって、温度計測部670aが主に燃焼装置550aから排出された高温のガスの影響を受けた雰囲気温度を、温度計測部670bが主に燃焼装置550bから排出された高温のガスの影響を受けた雰囲気温度を、温度計測部670cが主に燃焼装置550cから排出された高温のガスの影響を受けた雰囲気温度をより的確に計測することが可能になる。
【0071】
そして、本実施形態の加熱炉800bでは、3つの流入量調整手段690a〜690cのそれぞれが、温度計測部670a〜670cで計測した収容空間600内の雰囲気温度に基づいて燃焼装置550a〜550cにおける可燃性ガスの流入量および空気流入口からの空気の流入量を増減させることができる。
【0072】
本実施形態の燃焼装置800bでは、収容室650の収容空間600内を上部、中部、下部と3つの部域に区分けし、収容空間600内の上部の雰囲気温度を燃焼装置550a、温度計測部670aおよび流入量調整手段690aによって制御し、また、収容空間600内の中部の雰囲気温度を燃焼装置550b、温度計測部670bおよび流入量調整手段690bによって制御し、さらに、収容空間600内の下部の雰囲気温度を燃焼装置550c、温度計測部670cおよび流入量調整手段690cによって制御することができる。すなわち、本実施形態の燃焼装置800bでは、収容室650の収容空間600内を上部、中部、下部という3つの部域に区分けし、これら3つの部域のそれぞれで個別に雰囲気温度を制御することが可能になる。その結果、本実施形態の燃焼装置800bでは、収容室650の収容空間600内の雰囲気温度をより確実に均一化することが可能になる。
【0073】
図14は、本発明の加熱炉の一実施形態の外観を示す斜視図である。図示されているように、本実施形態の加熱炉800cでは、収容室650の上部に燃焼装置550a、下部に燃焼装置550cが設けられている。さらに、本実施形態の加熱炉800cでは、収容室650の長さ方向Yに沿って並ぶI列およびII列上に、燃焼装置550aおよび燃焼装置550cが設けられている。
【0074】
図15Aは、図14中のE−E’断面図である。図示されているように、本実施形態の加熱炉800cでは、I列上に燃焼装置550aおよび燃焼装置550cがそれぞれ1機ずつ設けられている。このI列には、R側の炉壁630の上部に燃焼装置550aが設けられ、この燃焼装置550aの燃焼ガス排出口75aおよび調整ガス排出口160aが反対側のL側の炉壁630に向けて開口している。さらに、本実施形態の加熱炉800cのI列には、L側の炉壁630の下部に燃焼装置550cが設けられ、この燃焼装置550cの燃焼ガス排出口75cおよび調整ガス排出口160cが反対側のR側の炉壁630に向けて開口している。
【0075】
なお、ここでは図示されていないが、本実施形態の加熱炉800cにおける収容室650のII列は、I列におけるL側とR側とを鏡像対称に反転させたかたちで、燃焼装置550a,550cが設けられている(II列ではL側の上部に燃焼装置550a、R側の下部に燃焼装置550cが設けられている)。
【0076】
図15Bは、図14中のF−F’断面図である。このF−F’断面は、I列とII列との中間部分に当たる箇所の断面である。図示されているように、このF−F’断面図には、燃焼装置550a,550cは配置されておらず、R側の炉壁630の中央部に温度計測部670が設けられている。すなわち、温度計測部670が、I列の燃焼装置550cおよびII列の燃焼装置550aの燃焼ガス排出口75c,75aおよび調整ガス排出口160c,160aに対向する炉壁630に設けられている。この温度計測部670で計測した雰囲気温度に基づいて、流入量調整手段690がI列の燃焼装置550a,550cおよびII列の燃焼装置550a,550cにおける可燃性ガスの流入量および空気流入口からの空気の流入量を増減する。
【0077】
なお、本実施形態の加熱炉800cでは、収容室650の上部および下部に燃焼装置550a,550cが設けられているが、例えば、収容室650の上部、中部、下部のそれぞれに燃焼装置550が設けられていてもよい。
【0078】
図16は、本発明の加熱炉の他の実施形態の外観を示す斜視図である。図示されているように、本実施形態の加熱炉800dでは、収容室650の上部に燃焼装置550a、下部に燃焼装置550cが設けられている。さらに、本実施形態の加熱炉800dでは、収容室650の長さ方向Yに沿って並ぶI列〜III列上に、燃焼装置550aおよび燃焼装置550cが設けられている。
【0079】
図17Aは、図16中のG−G’断面図である。図示されているように、本実施形態の加熱炉800dでは、I列上に燃焼装置550aおよび燃焼装置550cがそれぞれ1機ずつ設けられている。
【0080】
本実施形態の加熱炉800dにおける収容室650のI列では、R側の炉壁630の上部に燃焼装置550aが設けられ、この燃焼装置550aの燃焼ガス排出口75aおよび調整ガス排出口160aが反対側のL側の炉壁630に向けて開口している。そして、これらの燃焼ガス排出口75aおよび調整ガス排出口160aに対向するL側の炉壁630の上部に温度計測部670aが設けられている。この温度計測部670aで計測した雰囲気温度に基づいて、流入量調整手段690aが燃焼装置550aにおける可燃性ガスの流入量および空気流入口からの空気の流入量を増減する。
【0081】
また、本実施形態の加熱炉800dにおける収容室650のI列では、L側の炉壁630の下部に燃焼装置550cが設けられ、この燃焼装置550cの燃焼ガス排出口75cおよび調整ガス排出口160cが反対側のR側の炉壁630に向けて開口している。そして、これらの燃焼ガス排出口75cおよび調整ガス排出口160cに対向するR側の炉壁630の下部に温度計測部670cが設けられている。この温度計測部670cで計測した雰囲気温度に基づいて、流入量調整手段690cが燃焼装置550cにおける可燃性ガスの流入量および空気流入口からの空気の流入量を増減する。
【0082】
本実施形態の加熱炉800dにおける収容室650のI列のように、収容室650の収容空間600内の上部と下部との間で所望の組成の高温のガスを流す方向を互い違いにすることにより、R側からL側へと流れる高温のガスと、L側からR側へと流れる高温のガスとを混じり合わせることが可能になる。その結果として、収容室650の収容空間600内の雰囲気を所望の組成に迅速に均一化しつつ雰囲気温度を均一に昇温することがより確実に実現可能となる。
【0083】
図17Bは、図16中のH−H’断面図である。図17A図17Bとを比較して理解できるように、本実施形態の加熱炉800dにおける収容室650のII列は、I列におけるL側とR側とを鏡像対称に反転させたかたちで、燃焼装置550a,550cおよび温度計測部670a,670cが設けられている。なお、ここでは図示しないが、本実施形態の加熱炉800dにおける収容室650のIII列は、I列と同様の配置態様にて燃焼装置550a,550cおよび温度計測部670a,670cが設けられている。
【0084】
まとめると、本実施形態の加熱炉800dにおける収容室650においては、R側の炉壁630の上部に燃焼装置550a、L側の炉壁630の下部に燃焼装置550cが設けられた第一の領域(I列、III列)と、L側の炉壁630の上部に燃焼装置550a、R側の炉壁630の下部に燃焼装置550cが設けられた第二の領域の領域(II列)とが収容室650の長さ方向Yに沿って交互に並んでいる。このように、第一の領域および第二の領域が配置されている場合には、収容室650の収容空間600内の雰囲気を所望の組成に迅速に均一化しつつ雰囲気温度を均一に昇温することがより一層確実に実現可能となる。
【0085】
図18は、本発明の加熱炉のさらに他の実施形態の外観を示す斜視図である。さらに、図19A図19Cのそれぞれは、図18中のI−I’断面図、J−J’断面図、およびK−K’断面図である。本実施形態の加熱炉800eは、上述の加熱炉800dの一変形例に相当する。図18および図19A図19Cから理解できるように、本実施形態の加熱炉800eにおける収容室650においては、R側の炉壁630の上部に燃焼装置550a、L側の炉壁630の下部に燃焼装置550cが設けられた第一の領域(I列、IV列)と、L側の炉壁630の上部に燃焼装置550a、R側の炉壁630の下部に燃焼装置550cが設けられた第二の領域の領域(II〜III列、V列)とが収容室650の長さ方向Yに沿って交互に並んでいる。
【0086】
なお、本実施形態の加熱炉800eでは、II列およびIII列によって1つの第二の領域を構成する。よって、本実施形態の加熱炉800dでは、II列およびIII列から構成された第二の領域は、燃焼装置550aおよび燃焼装置550cをそれぞれ2機ずつ(合計4機)有するのに対し、V列から構成された第二の領域は、燃焼装置550aおよび燃焼装置550cをそれぞれ1機ずつ(合計2機)有する。このように、同じ加熱炉800eにおいて、個々の第二の領域ごとに燃焼装置550aおよび燃焼装置550cの数が異なっていてもよい。第一の領域および第二の領域は、燃焼装置550a,550c、および温度計測部670a,670cが配置の規則性[第一の領域:R側の炉壁630の上部に燃焼装置550aかつL側の炉壁630の下部に燃焼装置550c、第二領域:L側の炉壁630の上部に燃焼装置550a、R側の炉壁630の下部に燃焼装置550c]を満たし、かつ、流入量調整手段690a,690cが所定の制御を行う限りにおいて、燃焼装置550a,550c、温度計測部670a,670c、および流入量調整手段690a,690cの数については特に制限されないものとする。
【0087】
また、燃焼装置550aおよび燃焼装置550c、温度計測部670aおよび温度計測部670cについては、収容室650の長さ方向Yに沿った特定の位置で同一平面上に設けられていなくてもよい。すなわち、第一の領域および第二の領域は、収容室650の長さ方向Yに沿って適当な幅を有してもよく、この幅内に燃焼装置550aおよび燃焼装置550c、温度計測部670aおよび温度計測部670cが上述の配置の規則性に従って設けられていればよいものとする。
【0088】
図20は、本発明の加熱炉のさらに他の実施形態の外観を示す斜視図である。さらに、図21A図20中のL−L’断面図であり、図21B図20中のM−M’断面図である。本実施形態の加熱炉800fは、上述の加熱炉800dのさらに別の変形例に相当する。図20および図21A図21Bから理解できるように、本実施形態の加熱炉800fにおける収容室650においては、R側の炉壁630の上部に燃焼装置550a、L側の炉壁630の下部に燃焼装置550cが設けられた第一の領域(I列、III列、V列)と、L側の炉壁630の上部に燃焼装置550a、R側の炉壁630の下部に燃焼装置550cが設けられた第二の領域の領域(II、IV列)とが収容室650の長さ方向Yに沿って交互に並んでいる。
【0089】
本実施形態の加熱炉800fでは、全ての第一の領域および第二の領域が燃焼装置550aおよび燃焼装置550cをそれぞれ1機ずつ(合計2機)有し、収容室650の長さ方向Yに沿って1列ごとに燃焼装置550の上下の配置が順次入れ替わる。
【0090】
上述の加熱炉800eと加熱炉800fとは、第二の領域(I列で構成されている第一の領域の隣に位置する領域)における燃焼装置の個数が異なる点で相違する。一般に、加熱炉800では、収容空間600内に収容されている対象物の大きさや配置に依って収容空間600内の雰囲気温度のばらつき方が異なる傾向がある。例えば、加熱炉800eおよび加熱炉800fのうちのいずれかを使用する場合には、対象物に依存した収容空間600内の雰囲気温度のばらつき方の傾向を考慮に入れて、両者のうちで収容空間600内の雰囲気温度の均一化により適した方を適用するとよい。
【0091】
図22は、本発明の加熱炉のさらに他の実施形態の外観を示す斜視図である。図示されているように、本実施形態の加熱炉800gでは、収容室650の上部に燃焼装置550a、中部に燃焼装置550b、下部に燃焼装置550cが設けられている。さらに、本実施形態の加熱炉800gでは、収容室650の長さ方向Yに沿って並ぶI列〜IV列上に、燃焼装置550a〜550cが設けられている。
【0092】
図23Aは、図22中のN−N’断面図である。図示されているように、本実施形態の加熱炉800gでは、I列上に燃焼装置550a〜550cがそれぞれ1機ずつ設けられている。
【0093】
本実施形態の加熱炉800gにおける収容室650のI列では、R側の炉壁630の上部に燃焼装置550aが設けられ、この燃焼装置550aの燃焼ガス排出口75aおよび調整ガス排出口160aが反対側のL側の炉壁630に向けて開口している。そして、これらの燃焼ガス排出口75aおよび調整ガス排出口160aに対向するL側の炉壁630の上部に温度計測部670aが設けられている。この温度計測部670aで計測した雰囲気温度に基づいて、流入量調整手段690aが燃焼装置550aにおける可燃性ガスの流入量および空気流入口からの空気の流入量を増減する。
【0094】
また、本実施形態の加熱炉800gにおける収容室650のI列では、L側の炉壁630の中部に燃焼装置550bが設けられ、この燃焼装置550bの燃焼ガス排出口75bおよび調整ガス排出口160bが反対側のR側の炉壁630に向けて開口している。そして、これらの燃焼ガス排出口75bおよび調整ガス排出口160bに対向するR側の炉壁630の中部に温度計測部670bが設けられている。この温度計測部670bで計測した雰囲気温度に基づいて、流入量調整手段690bが燃焼装置550bにおける可燃性ガスの流入量および空気流入口からの空気の流入量を増減する。
【0095】
さらに、本実施形態の加熱炉800gにおける収容室650のI列では、R側の炉壁630の下部に燃焼装置550cが設けられ、この燃焼装置550cの燃焼ガス排出口75cおよび調整ガス排出口160cが反対側のL側の炉壁630に向けて開口している。そして、これらの燃焼ガス排出口75cおよび調整ガス排出口160cに対向するL側の炉壁630の下部に温度計測部670cが設けられている。この温度計測部670cで計測した雰囲気温度に基づいて、流入量調整手段690cが燃焼装置550cにおける可燃性ガスの流入量および空気流入口からの空気の流入量を増減する。
【0096】
本実施形態の加熱炉800gにおける収容室650のI列のように、収容室650の収容空間600内の上部、中部、下部との間で所望の組成の高温のガスを流す方向を互い違いにすることにより、R側からL側へと流れる高温のガスと、L側からR側へと流れる高温のガスとを混じり合わせることが可能になる。さらに、本実施形態の加熱炉800gでは、先に述べた加熱炉800d,800eのような上部および下部という2つの区分と比べ、上部、中部、下部という3つの区分になっているので、収容空間600内における高温のガスの混合がより促進され、収容室650の収容空間600内の雰囲気の組成の迅速な均一化および雰囲気温度の均一な昇温をより一層確実に実現可能となる。
【0097】
図23Bは、図22中のO−O’断面図である。図23A図23Bとを比較して理解できるように、本実施形態の加熱炉800gにおける収容室650のII列は、I列におけるL側とR側とを鏡像対称に反転させたかたちで、燃焼装置550a〜550cおよび温度計測部670a〜670cが設けられている。なお、ここでは図示しないが、本実施形態の加熱炉800gにおける収容室650のIII列は、I列と同様に燃焼装置550a〜550cおよび温度計測部670a〜670cが設けられている。また、IV列は、II列と同様に燃焼装置550a〜550cおよび温度計測部670a〜670cが設けられている。
【0098】
まとめると、本実施形態の加熱炉800gにおける収容室650においては、R側の炉壁630の上部に燃焼装置550aおよび下部に燃焼装置550c、L側の炉壁630の中部に燃焼装置550bが設けられた第一の領域(I列、III列)と、L側の炉壁630の上部に燃焼装置550aおよび下部に燃焼装置550c、R側の炉壁630の中部に燃焼装置550bが設けられた第二の領域の領域(II列、IV列)とが収容室650の長さ方向Yに沿って交互に並んでいる。このように、第一の領域および第二の領域が配置されている場合には、収容室650の収容空間600内の雰囲気を所望の組成に迅速に均一化しつつ雰囲気温度を均一に昇温することがより一層確実に実現可能となる。
【0099】
上述の本発明の実施形態に属する加熱炉800a〜800gは、セラミックス製品や金属製品を製造する際の加熱処理に用いると好適である。セラミックス製品や金属製品は、加熱処理の際に与えられる熱量や加熱時の雰囲気の組成を厳密に管理することが望まれているからである。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、燃焼装置およびこれを用いた加熱炉として利用できる。
【符号の説明】
【0101】
10:燃焼空間、30:可燃性ガス流入口、50:空気流入口、70:燃焼ガス排出口、75a〜75c:燃焼ガス排出口、100,100a:燃焼部、130:内壁、140:端壁、150,150a〜150d:調整ガス排出口、155:整流部材、160a〜160c:調整ガス排出口、170:外壁、200,200a〜200d:調整ガス流路部、300:空気噴出口、350,350a:仕切部材、370:支持部、380:可燃性ガス流路、385:空気流路、390:椀部、393:開口部、395:底壁、397:側壁、400:第一の空間、450:第二の空間、500,500a〜500e:燃焼装置、550a〜550c:燃焼装置、600:収容空間、630:炉壁、650:収容室、670,670a〜670c:温度計測部、690,690a〜690c:流入量調整手段、800,800a〜800g:加熱炉。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図19C
図20
図21A
図21B
図22
図23A
図23B