(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087906
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】鐘音機構付き時計
(51)【国際特許分類】
G04B 21/06 20060101AFI20170220BHJP
G04C 21/06 20060101ALI20170220BHJP
G04B 37/08 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
G04B21/06 Z
G04C21/06
G04B37/08 A
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-509578(P2014-509578)
(86)(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公表番号】特表2014-513309(P2014-513309A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】CH2012000103
(87)【国際公開番号】WO2012151710
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2015年4月24日
(31)【優先権主張番号】11405255.8
(32)【優先日】2011年5月12日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】11405256.6
(32)【優先日】2011年5月12日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】1234/11
(32)【優先日】2011年7月22日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】513114803
【氏名又は名称】ウブロ ソシエテ アノニム, ジュネーブ
【氏名又は名称原語表記】HUBLOT S.A., GENEVE
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブテ, マティアス
【審査官】
榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−019823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 21/06 − 08
G04B 23/02
G04B 37/08
G04C 21/06
G10K 1/10
G10K 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密封部分(2)および非密封部分(3)を含むケース(1)と、
前記ケース(1)の前記密封部分(2)内に配設された時打ち機構(40)と、
前記時打ち機構(40)によって操作されるための少なくとも1つの鐘(10、30)と
を備える時計であって、
前記1つまたは複数の鐘(10、30)が完全に前記ケース(1)の前記非密封部分(3)の中に位置し、
前記ケース(1)の前記非密封部分(3)が少なくとも1つの共鳴箱(12)を備え、
前記ケース(1)の前記密封部分(2)の中で発生する前記時打ち機構(40)の運動を、完全に前記ケース(1)の前記非密封部分(3)の中に位置する前記1つまたは複数の鐘(10、30)に伝達するために設けられた伝達手段(4、5、6、7、9、14〜28)を備え、
前記伝達手段が、前記ケース(1)の前記密封部分(2)と前記非密封部分(3)とを少なくとも部分的に隔てる弾性かつ非振動性の膜(14、17、19、22)を備え、当該膜(14、17、19、22)が前記時打ち機構(40)の運動を前記1つまたは複数の鐘(10、30)に伝達するように配設されることを特徴とする時計。
【請求項2】
密封部分(2)および非密封部分(3)を含むケース(1)と、
前記ケース(1)の前記密封部分(2)内に配設された時打ち機構(40)と、
前記時打ち機構(40)によって操作されるための少なくとも1つの鐘(10、30)と
を備える時計であって、
前記1つまたは複数の鐘(10、30)が完全に前記ケース(1)の前記非密封部分(3)の中に位置し、
前記ケース(1)の前記非密封部分(3)が少なくとも1つの共鳴箱(12)を備え、
前記ケース(1)の前記密封部分(2)の中で発生する前記時打ち機構(40)の運動を、完全に前記ケース(1)の前記非密封部分(3)の中に位置する前記1つまたは複数の鐘(10、30)に伝達するために設けられた伝達手段(4、5、6、7、9、14〜28)を備え、
前記伝達手段(4、5、6、7、9、14〜28)が、前記ケース(1)の前記密封部分(2)内で前記時打ち機構によって打たれることと、それに応じて前記ケース(1)の前記非密封部分(3)内で前記1つまたは複数の鐘(10、30)を打つこととがそれぞれ可能となるように配設されることを特徴とする時計。
【請求項3】
前記伝達手段が、
前記ケース(1)の前記密封部分(2)と前記非密封部分(3)とを隔てる隔壁(8)に設けられた少なくとも1つの穴(4)と、
前記穴(4)に配設された少なくとも1つのシールブッシュ(7)と、
前記シールブッシュ(7)を貫通する少なくとも1つの打鐘体(7)であって、前記時打ち機構(40)によって打たれ、それに応じて鐘(10)を打つように配設される少なくとも1つの打鐘体(5)と、
前記打鐘体(5)を休止位置に戻すための少なくとも1つの戻しばね(9)と
を備える、請求項2に記載の時計。
【請求項4】
前記膜(14、17、19、22)が、前記時打ち機構(40)によって打たれるように、および/または鐘(10、30)を打つように設けられた少なくとも1つの打鐘体(15、16、18、23、24)を備える、請求項1に記載の時計。
【請求項5】
前記打鐘体(15、16、18、23、24)が、前記ケース(1)の前記密封部分(2)に位置する部分(20、26、28)と、前記ケース(1)の前記非密封部分(3)に位置する部分(21、25、27)とを備える、請求項4に記載の時計。
【請求項6】
前記打鐘体(18、23、24)が複数の部分(20、21、25、26、27、28)からなる、請求項4または5に記載の時計。
【請求項7】
前記1つまたは複数の打鐘体(18、23、24)が前記膜(19、22)に取外し可能に固定されている、請求項4または5に記載の時計。
【請求項8】
前記伝達手段が、前記時打ち機構に関連付けられた少なくとも1つの磁石または電磁石であって、鐘に関連付けられた電磁石と協働する少なくとも1つの磁石または電磁石を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の時計。
【請求項9】
前記伝達手段が、前記時打ち機構によって操作される少なくとも1つのスイッチであって、少なくとも1つの鐘の作動を制御する電気的システムに接続された少なくとも1つのスイッチを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の時計。
【請求項10】
少なくとも1つの鐘(10、30)を前記ケース(1)の前記非密封部分(3)内に配置する、請求項1から9のいずれか一項に記載の時計を製作する方法。
【請求項11】
前記ケース(1)の前記密封部分(2)内で発生する前記時打ち機構(40)の運動を前記1つまたは複数の鐘(10、30)に伝達することができる伝達手段(4、5、6、7、9、14〜28)を配設する、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鐘音レベルが特に高い、ミニッツリピータ機構のような鐘音機構を備えた時計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、振動可能な膜によって隔てられた密封部分および非密封部分と、その膜に取り付けられた振動体と、振動体およびそれに付随する膜を振動させるための電気的手段とを具備するケースであって、電気的手段および振動体がケースの密封部分内にある、ケースを備える腕時計形の密封式音響アラーム安全装置を対象としている。この明細書は、振動体とそれに付随する膜以外にはいかなる鐘音機構についても記載していない。
【0003】
特許文献2は、金属フィルムであってもよいフィルタによって隔てられた密封部分および非密封部分と、鐘およびその鐘を打つように設けられたハンマを有する時打ち機構とを具備するケースを備え、その時打ち機構および鐘がケースの密封部分内にある、時計について記載している。
【0004】
これらの特許文献で提案されている時計で特に共通しているのは、十分な密封性を維持しつつ、高い鐘音レベルを得ることを目指している点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願第741344号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第1892592号明細書
【特許文献3】欧州特許出願第1852755号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主たる目的は、密封性を維持し、むしろ向上させながら、時計によって発せられる鐘音レベルを一段と高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、1つまたは複数の鐘全体がケースの非密封部分内に位置するという特質を有する時計によって果たされる。
【0008】
そのため、本発明によれば、時打ち機構に発する鐘鈴情報は、その機構が置かれている環境とは異なる環境の中で再生される。
【0009】
具体的には、時打ち機構の運動は、その時打ち機構が置かれている密封空間の外で忠実に再現され、そうすることで最大効率で放音が行われる。
【0010】
ここからは、本発明のその他の特徴および利点について、添付の図面を参照しながら行う以下の説明で詳細に記していく。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】本発明のもう1つの実施形態における打鐘体付きの膜の図である。
【
図5】本発明のもう1つの実施形態における別種の打鐘体付きの膜の図である。
【
図9】
図6の膜を備える時計のもう1つの実施形態の正面断面図である。
【
図11】
図1および2の実施形態に対応する、2つの共鳴箱を備える時計の上面図である。
【
図12】
図4および6の実施形態に対応する、共鳴箱を持たない時計の上面図である。
【
図13】2つのホーン部に分かれた1つの共鳴箱を備える、
図4および6の実施形態に対応する時計の上面図である。
【
図14】
図4および6の実施形態に対応する、2つの共鳴箱を備える時計の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
したがって、本発明による時計の特質は、その1つまたは複数の鐘がケースの非密封部分内に位置することにある。
【0013】
好ましくは、本発明による時計は、ケースの密封部分内で発生する時打ち機構の運動を、全体がケースの非密封部分内に位置する1つまたは複数の鐘に伝達するために設けられた伝達手段を備える。
【0014】
本発明による時計については、いくつもの実施形態を企図することができる。そのうちのいくつかを例として以下に説明する。当業者であれば、本発明の枠組から外れることなく、以下の例から容易に別のものを引き出すことができよう。
【0015】
図1および2に示す本発明の第1の実施形態によれば、時計のケース1は密封部分2と非密封部分3を備える。非密封部分3は全体として密封部分2を少なくとも部分的に取り囲む。
【0016】
ケース1の隔壁8は、好ましくは全体が円筒形で一端に肩部6を備える打鐘体5が貫通する2つの穴4を備える。シールブッシュ7と呼ばれる部品が隔壁8の穴4に取り付けられ、打鐘体5はそこを貫通する。打鐘体5の周りには、肩部6とシールブッシュ7端部の間に戻しばね9が配設されて、打鐘体5がケース1の密封部分2の方に押し戻されるようにする。
【0017】
ケース1の非密封部分3内には、打鐘体5の端部によって打撃されるように鐘10が配設される。肩部6が位置する打鐘体5の他端部は、ケース1の密封部分2内にあって、時打ち機構40の一部をなすハンマ11によって打たれるように配置される。
【0018】
この時打ち機構は機械的方法によって音を発生させる機構である。その内容は既知のタイプの機構であってよく、したがってさらに詳細に示す必要のないものである。それは、たとえば、従来のアラーム時計機構や、従来のミニッツリピータ、クオータリピータ、グランドストライクの機構、さらには特許文献3の対象となっている機構などを挙げることができる。
【0019】
ケース1の非密封部分3は、鐘10で発生した音を外に出せるようにする、丸形など、何らかの形状の開口部13をケース1の外側に備える。
【0020】
好ましくは、とりわけ
図1および2を見るとわかるように、たとえば中空の円柱形などの共鳴箱12を形成する部分が、鐘10に対向するように開口部13に配設されて、発生した音を増幅させるようにする。
【0021】
図2を見ると、2つの鐘10が配設されており、2つのうちの一方は時の鐘で、もう一方は分の鐘であってもよく、2つの鐘はそれぞれ時ハンマと分ハンマによって打たれるようになっていることがわかる。この図では、ハンマは、一方がもう一方の上にあるが、変形形態として、ハンマを同一レベルで横に並べて配置することも全く可能であることは言うまでもない。
【0022】
本発明のもう1つの実施形態によれば、密封部分2と非密封部分3は、時打ち機構の運動が1つまたは複数の鐘に伝達されるように配設された弾性膜によって少なくとも部分的に隔てられる。
【0023】
この膜は、時打ち機構によってもたらされる衝撃の際の移動を保証するのに十分な薄さと弾性を有する一方で、相応の剛性を有するものでなければならないが、これは、時打ち機構または時計の装着者による衝撃の作用で膜自体が振動することがないようにするとともに、膜が鐘に突き当たったときには鐘が振動できるようにするためである。
【0024】
そのため、膜は、ゴム、金属、有機ポリマー、とりわけエラストマーのようなポリマーなどの素材からなるものであることができるが、加えてその素材は、膜がケース1の部分、たとえば胴、裏蓋、ベゼルと一体となることを可能にするものでなければならない。その固定は、挟着、接着、溶接など、適当な手段で行うことができるが、それらの作業はケース1の密封部分2の密封性を得ることができるものでなければならない。
【0025】
膜の厚さおよび面積は、その膜を構成する材料に応じて変わる。例を挙げれば、膜は厚さが1mmで、面積が1cm
2であることができる。
【0026】
膜は、時打ち機構のハンマが、好ましくは極力その中心部を、打つことができる場所に位置しなければならない。さらに膜は、その柔軟性により、ケースの密封空間から非密封空間に伝達されなければならないリズムと運動を正確に再現することができるものである。膜は、その後、振動することなく、その初期位置に戻ることができるものでなければならない。
【0027】
変形形態として、時打ち機構のハンマを膜に直接取り付け、ハンマが膜を貫通してケース1の非密封部分3内の1つまたは複数の鐘を打てるようにすることを企図することもできる。
【0028】
図3に部分的に図示した好ましいもう1つの実施形態によれば、符号14で示した膜は、密封側では時打ち機構によって打たれ、非密封側では鐘を打つために設けられた少なくとも1つの打鐘体15を備えている。
【0029】
この打鐘体15は、たとえば接着、溶接、圧着、押込みばめなど、あらゆる適当な手段によって膜14に対して一体的かつ一般には取外し不能に固定される。打鐘体は様々な形状、とりわけ球形をとることができる。打鐘体は、密封側から受け取った機械的衝撃をケース1の非密封側に位置する鐘10で再現するようになっている。膜14の弾性および形状記憶により、その衝撃を伝達した後、膜14は初期位置に戻ることができる。
【0030】
打鐘体15は、たとえば直径1mmの球の形をとることができる。そのため、球をその中心で切ったときにできる円盤の面積は、その球を打つハンマの面積と同じまたはその前後であることができる。
【0031】
図4には、2つの同一の打鐘体15および16を備える膜17を示す。
【0032】
図5に示す本発明のもう1つの有利な実施形態によれば、膜19は、ケース1の密封部分2内に位置して、時打ち機構のハンマ11によって打たれるための「受動側半打鐘体」と呼ばれる部分20と、ケース1の非密封部分3内に位置して、鐘10を打つための「鐘側半打鐘体」と呼ばれる部分21とからなる打鐘体18を備える。
【0033】
受動側半打鐘体20と鐘側半打鐘体21はあらゆる適当な材料からなるものであることができる。
【0034】
2つの半打鐘体は、異なる材料からなり、異なる形状を有し、かつねじ留め、押込みばめ、リベット留め、接着、溶接など、あらゆる適当な手段によって、分解不能に、または、動力学的伝達、運動効率、跳返りの機械特性および/もしくは構成材料中の波動伝播速度の改善を目的としたそれらの修理、変更もしくは交換を行えるようにしたい場合には分解可能に、互いに組み立てるとともに、膜19に組み付けることができる。
【0035】
打鐘体18が膜19上に1つだけあるときは、打鐘体18は好ましくは膜19の中央に位置する。
【0036】
図6に示す変形形態によれば、膜22は、同一であることが好ましい2つの部分に分かれ、それぞれ受動側半打鐘体26、28および鐘側半打鐘体25、27からなる2つの打鐘体23、24を備えており、打鐘体23および24のうちの一方は第1の鐘に、もう一方は第2の鐘に割り当てられる。
【0037】
振動装置である本発明による鐘は、ケース1の非密封部分3、たとえば胴、裏蓋、ベゼル、または時計を構成するその他のあらゆる部品に固定される。鐘は、胴が円形である場合には、胴と同心であってよい。したがって、鐘はケース1の非密封部分3内に位置し、かつ鐘全体が密封部分2の周りに位置するため、ケースの密封部分内に収容される従来技術の鐘の周長を上回る周長を有することができるという利点を持つ。この周長の違いは、鐘から発生するより大きな音量となって直接現れる。
【0038】
それに加えて、本発明によれば鐘はケース1の非密封部分3、すなわち開口部13を備える部分の中にあることから、音を容易にケース1の外に出すことができる。
【0039】
その結果、非密封部分を持たない従来技術の時計と比べて、本発明の場合、鐘から発生する音の音量は3倍となる。
【0040】
図7および8は、
図6に示す変形形態の膜を備える本発明による時計を示したものである。
図7および8に図示したシュー(sabot)29は、基本的に押込みばめ、接着または溶接によってそのシューに固定した鐘30を支えることを役割とする部品である。この2つの図では、鐘30は、一方がもう一方の上に位置しているが、変形形態として、鐘を同一レベルで横に並べて配置することもできる。
【0041】
図8に示すように、膜22はその中心31でケース1の一部分に固定されており、それによって、膜22はそれぞれが打鐘体23、24を支える2つの同一部分に分けられる。
【0042】
変形形態として、それぞれ1つの打鐘体を備える2つの膜を使用してもよいだろう。
【0043】
図7および8に示した鐘30は、前出の特許文献3の
図3に図示されているもののような、ほぼ円形の従来型の鐘である。
【0044】
図9および10に示すもう1つの実施形態によれば、鐘10はシロフォンの音板のような板の形状を有しており、それぞれが専用の共鳴箱12に関連付けられる。その共鳴箱の形状は審美的基準に応じて選ぶことができる。
【0045】
有利な変形形態(図示せず)によれば、鐘30を支えるシュー29であって、
図7および8で図示されているシュー29は、鐘30の振動が時計のケースのいずれか1つの構成要素によって吸収されて減衰しないように鐘30を隔離する役割を有する中間部
品によってケース1から引き離されている。
【0046】
図示しないもう1つの実施形態によれば、ケースの隔壁は膜も穴も備えていない。1つまたは複数のハンマが磁石または電磁石を具備し、その1つまたは複数のハンマと協働するように用意された1つまたは複数の鐘が磁石または電磁石を具備し、それによって、1つまたは複数のハンマの動きが対応する鐘に電磁気的に伝達されるようにする。具体的には、ハンマの端部に磁石または電磁石が配設されていると、ハンマが往復運動を行うとき、それらは、鐘に取り付けられた他の磁石または電磁石と近づき、(極性を逆にすると)次いで遠ざける。それにより、運動に関する情報は、膜も打鐘体も用意する必要なしに、隔壁の一方の側から反対側に伝達される。
【0047】
図示しないもう1つの実施形態によれば、ハンマのうち1つまたは複数が、電気的なシステムと連係させたスイッチをそれぞれ操作することができ、その電気的なシステムは、それぞれのハンマと協働するように設けられた鐘と連係させた1つまたは複数の振動体またはアクチュエータに電流を送ることができ、それによってハンマの運動が対応する鐘に電気的に伝達される。
【0048】
本発明による時計の製作
本発明の利点の1つは、時計の製作に当たって、既知の時打ち機構(アラーム、ミニッツリピータなど)に大きな変更を一切加える必要がないところにある。そのため、本発明は、往復システムを利用してある部品が別の部品を打ち鳴らす音発生のためのあらゆるタイプの鐘鈴で使用することができる。
【0049】
本発明による時計の製作は、少なくとも1つの鐘をケースの非密封部分の中に配置することを基本的にその特質とする。
【0050】
さらに、ケースの密封部分内で発生する打鐘機構の運動を1つまたは複数の鐘に伝達することができる伝達手段を設けることができる。
【0051】
一変形形態によれば、鐘鈴の円形ムーブメントの中枠直径に対して接線方向に打鐘体を直接打つように、時打ち機構のハンマの形状の変更を考えることができる。
【0052】
本発明のもう1つの態様によれば、時計は以下のものを備えることができる。
密封部分(2)と非密封部分(3)を含むケース(1)、
ケース(1)の密封部分(2)内に配設された第1の機構、および
第1の機構を操作する、または第1の機構によって操作されるための第2の機構であって、ケース(1)の非密封部分(3)内に位置する、とりわけ完全に位置する第2の機構。
【0053】
本発明のこのもう1つの態様による時計は、上に「発明を実施するための形態」の部分で説明した特徴を、技術的に互いに矛盾しないものである限り、あらゆる組み合わせで含むことができる。本発明のこのもう1つの態様による時計は、以下に特許請求の範囲の従属項の中で述べる特徴を、技術的に互いに矛盾しないものである限り、あらゆる組み合わせで、追加的にまたは代替的に含むことができる。
【0054】
第2の機構はとりわけ押しボタンを備えることができ、第1の機構は、あらゆる時計機構、とりわけクロノグラフ機構または修正機構、特にカレンダー修正機構を備えることができる。