(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087912
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】エンドレス・ケーブル・ウインチ
(51)【国際特許分類】
B66D 5/16 20060101AFI20170220BHJP
B66D 1/54 20060101ALI20170220BHJP
B66D 1/12 20060101ALI20170220BHJP
B66B 5/24 20060101ALI20170220BHJP
B66B 9/00 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
B66D5/16
B66D1/54 Q
B66D1/12
B66B5/24
B66B9/00 C
【請求項の数】19
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-517701(P2014-517701)
(86)(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公表番号】特表2014-523381(P2014-523381A)
(43)【公表日】2014年9月11日
(86)【国際出願番号】EP2012062573
(87)【国際公開番号】WO2013004588
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2015年3月3日
(31)【優先権主張番号】102011106636.9
(32)【優先日】2011年7月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514002938
【氏名又は名称】トラクテル グライフツーク ゲーエムべーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロットレンダー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】オット クラウス ディーター
(72)【発明者】
【氏名】グセル ユルゲン
【審査官】
三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03944185(US,A)
【文献】
特開平08−270212(JP,A)
【文献】
特開平05−238680(JP,A)
【文献】
実開昭53−061972(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 1/12,1/16,1/54
B66D 5/16−5/18
B66B 5/00−5/28,9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動ケーブル(28)と、
安全ケーブル(16)と、
前記作動ケーブル(28)が少なくとも周囲の一部に巻き付けられた駆動ケーブルプーリ(58)と、
前記駆動ケーブルプーリ(58)を駆動する駆動部(24)と、を備え、
前記安全ケーブル(16)のための安全装置(30)を更に備え、
前記安全装置(30)は、ハウジング(54)に回動可能に取付けられ、少なくとも周囲の一部に前記安全ケーブル(16)が巻き付けられた非駆動ケーブルプーリ(68)を備え、
ブレーキ(71)を介して前記非駆動ケーブルプーリ(68)に接続され、前記安全ケーブル(16)における少なくとも一方向の所定の速さで固定し、前記ブレーキ(71)により前記安全ケーブル(16)を制動する拘束装置(31)を更に備え、
前記拘束装置(31)は、前記安全ケーブル(16)の所定の速さにおいて、爪(34)がラチェットホイール(32)にラッチするように、前記ハウジング(54)に取付けられた前記爪(34)と相互作用するラチェットホイール(32)を備え、
前記ラチェットホイール(32)及び前記非駆動ケーブルプーリ(68)は、回動の共通軸に対して回動可能であり、
前記ラチェットホイール(32)は前記非駆動ケーブルプーリ(68)に対する摩擦ブレーキ(71)を形成する、ことを特徴とする、特にサービスリフト(10)のための、特に風力発電装置のための、エンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項2】
請求項1に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチにおいて、
前記拘束装置(31)の固定を検出するセンサーを有し、前記センサーは、前記拘束装置(31)の固定を示す信号を出力する、ことを特徴とするエンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチにおいて、
前記爪(34)は、第1爪アーム(38)及び第2爪アーム(40)を有し、
前記爪(34)はこれらの間で前記ハウジング(54)に回動可能に取付けられ、
前記爪(34)は、前記第1爪アーム(38)が前記所定の速さまで前記ラチェットホイールに沿って動くことができ、前記安全ケーブル(16)の下方向における速さが、前記所定の速さを超えるとき、前記第2爪アーム(40)で前記ラチェットホイール(32)にラッチするように、前記ラチェットホイールに対し予め負荷がかけられている、ことを特徴とするエンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチにおいて、
前記拘束装置(31)を選択的に起動する手段(45)、特に、前記ラチェットホイール(32)の中にラッチングするためのラッチング位置に前記爪(34)を移動させるためのボタン、を備えることを特徴とするエンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチにおいて、
前記ブレーキ(71)は、円錐ブレーキの形式である、ことを特徴とするエンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチにおいて、
前記摩擦ブレーキは、銅合金からなる第1摩擦パートナーと鉄合金からなる第2摩擦パートナーとにより構成されている、ことを特徴とするエンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項7】
請求項6に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチにおいて、
前記ブレーキ(71)は、約4〜10度の円錐角を有している、ことを特徴とするエンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチにおいて、
前記摩擦ブレーキ(71)は、少なくとも1つの摩擦ライニングを備える、ことを特徴とするエンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチにおいて、
前記ラチェットホイール(32)は、前記非駆動ケーブルプーリ(68)の内側円錐(74)に対してバネ荷重がかけられた外側円錐(72)を有している、ことを特徴とするエンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項10】
請求項9に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチにおいて、
前記ラチェットホイール(32)は、板バネ(78)により前記非駆動ケーブルプーリ(68)の前記内側円錐(74)に対して予め負荷がかけられ、前記負荷は好ましくは調整可能である、ことを特徴とするエンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチにおいて、
少なくとも前記作動ケーブル(28)又は前記安全ケーブル(16)のいずれかは、前記駆動ケーブルプーリ(58)又は前記非駆動ケーブルプーリ(68)の周囲に、巻き付け角度300度未満で、好ましくは260度から280度で、特に好ましくは270度で巻かれている、ことを特徴とするエンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチにおいて、
前記安全ケーブルの制動のための前記所定の速さは、毎分20〜40mであり、好ましくは毎分25〜35mであり、特に好ましくは毎分30mである、ことを特徴とするエンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチにおいて、
前記駆動ケーブルプーリ(58)及び前記非駆動ケーブルプーリ(68)は、共通のハウジング(54)に取付けられている、ことを特徴とするエンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチにおいて、前記非駆動ケーブルプーリ(68)は、前記安全ケーブル(16)を前記非駆動ケーブルプーリ(68)に対して付勢する付勢装置(48)を有している、ことを特徴とするエンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチにおいて、前記駆動ケーブルプーリ(58)は、前記作動ケーブル(28)を前記駆動ケーブルプーリ(58)に対して付勢する付勢装置(56)を有している、ことを特徴とするエンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項16】
請求項14又は15に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチにおいて、
前記付勢装置(48,56)は、バネ荷重圧力ローラ(50)を備えている、ことを特徴とするエンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか一項に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチにおいて、前記ラチェットホイール(32)は、前記非駆動ケーブルプーリ(68)のジャーナル(73)に取付けられている、ことを特徴とするエンドレス・ケーブル・ウインチ。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか一項に記載のエンドレス・ケーブル・ウインチを備えている、特にサービスリフトのための、また特に風力発電装置のための、人用リフト装置。
【請求項19】
請求項18に記載の人用リフト装置において、
前記作動ケーブル(29)及び前記安全ケーブル(16)は、上方のストランドに対し約90度の角度で前記エンドレス・ケーブル・ウインチ(20)の外側へ横方向にガイドされ、それぞれただ一つの迂回ローラ(14)により下方向に迂回されている、ことを特徴とする人用リフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に風力発電装置における、特にサービス・リフトにおける、エンドレス・ケーブル・ウインチに関し、作動ケーブル及び安全ケーブル、少なくとも周囲の一部に作動ケーブルが巻き付けられる駆動ケーブルプーリ、駆動ケーブルプーリを駆動する駆動部を備え、更に安全ケーブルのための安全装置を備える。
【背景技術】
【0002】
このタイプのエンドレス・ケーブル・ウインチは、人の運搬用途に広く利用されている。ここで、一般的な場合には、一人又はそれ以上の人を受けるためのリフトかご、プラットホーム又はそのようなものが、エンドレス・ケーブル・ウインチにより、上方向又は下方向に移動する。作動ケーブルのケーブル破損の際、又はエンドレス・ケーブル・ウインチのギアボックス破損の際の落下防止装置を提供するために、作動ケーブルと共に、及び独立して動く安全ケーブルが提供される。安全ケーブルは、安全ケーブルが速すぎる速さで下方に移動する際、安全装置で固定動作を発生させて、安全ケーブルが急停止され、リフトかごやプラットホーム等が捕獲される。
【発明の概要】
【0003】
しかしながら、作動ケーブルの破損の際の突然の制動は、安全ケーブルに高い負荷を発生させる。更に、そのケーブル・ウインチにより動作するリフト装置にいた人は、激しい物理的及び心理的ストレスにさらされる。
【0004】
本発明の目的は、上述の不利益を可能な限り削減するエンドレス・ケーブル・ウインチを提供することである。
【0005】
まず最初に、安全装置が、回動可能にハウジングに装着され、少なくとも周囲の一部に安全ケーブルが巻かれた非駆動ケーブルプーリを備え、更に、ブレーキを介して前記ケーブルプーリに結合され、少なくとも一方向における安全ケーブルの所定の速さにおいて固定し、前記ブレーキにより前記安全ケーブルを制動する拘束装置を備えるということで説明される型のエンドレス・ケーブル・ウインチの場合に、本発明によってこの目的は達成される。
【0006】
本発明の目的はこれにより完全に達成される。
【0007】
特に、所定のスピードに達したときに、拘束装置が固定し、ブレーキにより安全ケーブルを制動するという事実は、安全ケーブルに直接に作動する先行技術において使用される固定拘束装置と比較して、安全装置により安全ケーブルを捕獲する期間において、安全ケーブルをかなり遅く制動するという結果となる。先行技術の場合では、拘束装置による安全ケーブルを直接捕獲する間に制動加速度が約3〜5gに上昇するのに対し、ブレーキ装置の設計によっては例えば約2gという、かなり低い制動加速度とすることが可能である。これは、まず始めに、安全装置に対応した安全ケーブルの負荷がかなり減少するという結果を有している。次に、このようにエンドレス・ケーブル・ウインチにより移動する人用リフト装置にいる人の物理的及び心理的ストレスを減少させる。
【0008】
本発明の好ましい改良では、拘束装置は、ハウジングに装着された爪と相互作用するラチェットホイールを備え、安全ケーブルの所定の速さにおいて、爪がラチェットホイールにラッチされるようになっている。
【0009】
このように、拘束装置は、高い冗長性があり、単純で信頼性のある設計で提供される。
【0010】
ここで、本発明の好ましい改良では、爪は、第1の爪アームと第2の爪アームとを有し、これらの間で爪はハウジングに回動可能に装着されている。ここで、爪は、第1の爪アームは、所定の速さまでラチェットホイールに沿って動くことができ、安全ケーブルの下方向の速さが所定の速さを超えるときに、第2の爪アームでラチェットホイールにラッチするように、予めラチェットホイールに対して負荷がかけられている。
【0011】
このように、爪によりラチェットホイールの信頼性のある固定を確保することが可能である。固定が行われる所定の速さは、爪に予めかけられた負荷により細かく調整することができる。
【0012】
本発明の更なる形態において、拘束装置の固定を検知するためのセンサーが提供される。センサーは、拘束装置の固定を示す信号を出力する。
【0013】
このように、拘束装置の固定の際に、例えば駆動部を遮断したり、もし適当であれば、例えば遠隔モニター部への障害信号の送信というような更なる手段を実装するために、信号を利用することができる。
【0014】
更にまた、対象を定めて拘束装置を起動する手段、特に、ラチェット・ホイールにラッチするために爪をラッチ位置に移動させるためのボタンを提供することができる。
【0015】
このように、拘束装置は、手動的、機械的、電気的その他の方法、例えば、危機的な状況が検出された際に、制動動作が発生するように拘束装置を起動するために、対象を定めて起動させることができる。
【0016】
ここで、起動の後、拘束装置は、引き続き起こる安全ケーブルの上方向への移動の間に、自動的に解除されるように構成されていてもよい。
【0017】
本発明の更なる形態において、ラチェットホイール及びケーブルプーリは、回動の共通軸で回動可能であり、ラチェットホイールはケーブルプーリと共に摩擦ブレーキを形成している。
【0018】
単純な信頼性のある構造はこのように保証される。
【0019】
発明の更なる形態において、ブレーキは円錐ブレーキの形式である。
【0020】
円錐ブレーキとしてのブレーキの設計は、比較的小さな取付けサイズで、非常に効率的な制動動作を発生する。
【0021】
摩擦ブレーキが、銅合金を含む第1摩擦パートナーと、鉄合金を含む第2摩擦パートナーとを備えることが更に好ましい。
【0022】
本発明によれば、適用のための摩擦ブレーキの設計は、特に高いブレーキ力を許容する、特に好適な構成パラメータを生成することが分かった。使用される2つの摩擦パートナーに対して、代りに、少なくともうち1つは摩擦ライニングと共に提供されることも可能である。
【0023】
ここで、ブレーキは、約4度〜10度の円錐角を有する。
【0024】
ブレーキの特に適切な構成パラメータは、このように取得することができる。
【0025】
また、代りに、摩擦ライニングは、少なくとも一つの摩擦パートナー上に提供されるとすることもできる。この場合には、一般的に、約10度〜40度の大きさの、より大きな円錐角を使用することもできる。
【0026】
これは、起こりうる摩耗や固着を抑制する。
【0027】
更に発明の好適な形態において、ラチェットホイールは、ケーブルプーリの内側円錐に対してバネ荷重がかけられた外側円錐を有している。
【0028】
ここで、ラチェットホイールは、ケーブルプーリの内側円錐に対して、例えば板バネにより、予め負荷をかけることができ、この負荷は好ましくは調整可能である。
【0029】
これらの手段は、単純で信頼性のある構成を生成する。
【0030】
板バネの使用は、非常に高い圧力を与えることができるため、高い制動力を伝えることができる。
【0031】
本発明の更なる形態において、少なくとも作動ケーブル又は安全ケーブルのいずれかは、駆動ケーブルプーリ又はケーブルプーリの周囲に、巻き付け角度300度未満で、好ましくは260度から280度で、特に好ましくは270度で巻かれる。
【0032】
従来のエンドレス・ケーブル・ウインチに場合には、巻き付け角度は通常360度であるが、本発明によれば、より小さな巻き付け角度はより適当であることが認められた。人用リフト装置に使用されるエンドレス・ケーブル・ウインチの場合で、もし、ケーブルが、サービスリフトそれ自体を介してガイドされていなく、迂回ローラにより、サービスリフトを横方向に通過して下方向に迂回しているのであれば、特に約270度のより小さな巻き付け角度を用いることにより、迂回ローラを使用しないで済ますことができる。
【0033】
本発明の好ましい改良において、安全ケーブルの制動のための所定の速さは、毎分20〜40mであり、好ましくは毎分25〜35m、好ましくは毎分約30mである。
【0034】
このように、欧州規格EN1808に定義されたトリガー速さの遵守を保証することができる。
【0035】
本発明の更なる形態において、駆動ケーブルプーリ及びケーブルプーリは、共通ハウジングに取付けられる。
【0036】
このように、ウインチと安全装置との両方を共通ハウジングに収め、小型化された構造とすることができる。
【0037】
しかしながら、基本的に、安全装置が、拘束装置とブレーキとの分離ユニットとして構成されることも考えられる。
【0038】
本発明の更なる形態において、ケーブルプーリは、ケーブルプーリに対して安全ケーブルを付勢する付勢装置を有する。
【0039】
本発明の更なる形態において、駆動ケーブルプーリは、駆動ケーブルプーリに対して作動ケーブルを付勢する付勢装置を有する。
【0040】
ここで、付勢装置は、例えば、バネ荷重圧力ローラとすることができる。
【0041】
これらの手段は、もし両方のケーブルが予め負荷がかけられ、又は重りが積まれている場合には、基本的に必要ないが、安全性を更に高めることに繋がる付加的な安全手段に関するものである。
【0042】
更にまた、ラチェットホイールは、ケーブルプーリのジャーナルに取付けることができる。
【0043】
最後に、駆動ケーブルプーリ及びケーブルプーリの互いの回動可能な結合接続も考えられる。
【0044】
これらの手段は、全体として、安全装置及びエンドレス・ケーブル・ウインチのより単純な構造及び小さな設計を生み出す。
【0045】
発明は、上述したタイプのエンドレス・ケーブル・ウインチを有する人用リフト装置、特にサービスリフト、特に風力発電装置も提供する。
【0046】
ここで、作動ケーブル及び安全ケーブルが、上側のストランドに対し約90度の角度でエンドレス・ケーブル・ウインチの外側へ横方向にガイドされ、それぞれ単に一つの迂回ローラにより下方向に迂回させることが可能である。
【0047】
このように、更なる迂回ローラなしですまし、より単純なケーブルガイドを達成すること、及び、人用リフト装置、特に昇降かごのより小さな構造高さを達成することが可能である。
【0048】
上述した発明の特徴及び以下に説明される発明の特徴は、本発明の範囲から離脱することなく、それぞれ特定された組合せだけでなく、他の組合せ又は独立に利用することができるのは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本発明の更なる特徴及び優位性は、これらの図面を参照した好ましい実施形態の以下の説明から明らかとなるであろう。
【
図1】
図1は、風力発電装置に用いられるサービスリフトの構成で人用リフト装置の、単純化された側面図である。
【
図2】
図2は、
図1のような人用リフト装置に使用される、本発明によるエンドレス・ケーブル・ウインチの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2のようなエンドレス・ケーブル・ウインチの正面図である。
【
図4】
図4は、
図3のようなエンドレス・ケーブル・ウインチの正面図であり、ハウジングカバーが外された後の拡大図である。
【
図5】
図5は、
図2のようなエンドレス・ケーブル・ウインチの断面を示している。
【
図6】
図6は、ウインチ及び安全装置の領域における
図5のような部分断面であり、拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、風力発電装置のサービスリフトの構成における人用リフト装置を示す側面図であり、概略図である。
【0051】
概して、符号10で示される人用リフト装置は、エンドレス・ケーブル・ウインチ20に最上端が固定されたフレーム18を伴ったリフトかご12を有する。
【0052】
リフトかご12は、エンドレス・ケーブル・ウインチ20を介して横方向にガイドされ、ローラ14により下方向に迂回された作動ケーブルに架けられている。作動ケーブルに平行して、エンドレス・ケーブル・ウインチ20を介してガイドされるような安全ケーブル16が延びている。安全ケーブル16は、安全ケーブル16の上側ストランドに対して角度90度又は270度でエンドレス・ケーブル・ウインチ20の外側へ横方向にガイドされ、迂回ローラ14により下方向にガイドされている。
図1において、安全ケーブル16の経路のみを視認することができる。これは作動ケーブルは、これに正確に平行に延びており、安全ケーブル16により隠されているためである。
【0053】
エンドレス・ケーブル・ウインチ20の構成及び動作のモードは、
図2〜6に基づいて以下により詳細に説明される。
【0054】
図2は、エンドレス・ケーブル・ウインチ20の斜視図である。エンドレス・ケーブル・ウインチ20は、リフトかご12が作動ケーブル28上で上方向又は下方向に移動するように、作動ケーブル28を移動する。ウインチ22は、モータとギアボックスルとを有する駆動部24を備えると共に、制御部26を備えている。エンドレス・ケーブル・ウインチ20は、作動ケーブル28を移動させるウインチ22と共に、安全ケーブル16がガイドされる安全装置30と、を備えている。
【0055】
図3は、エンドレス・ケーブル・ウインチ20を示す正面図であり、
図4は、エンドレス・ケーブル・ウインチ20を示し、安全装置30のハウジングカバーを取り外した後の少し拡大した正面図である。
【0056】
図4は、安全装置30の一部である拘束装置31の構造を示している。拘束装置31は、回動軸36において回動可能となるように保持された爪34と相互作用するラチェットホイール32を備えている。爪34は、回動軸36から反対方向に延びる第1爪アーム38と第2爪アーム40とを有している。爪34は、第1爪アーム38が通常ラチェットホイール32の内側歯に対してもたれるように、バネ46により予め負荷がかけられている。この位置において、ラチェットホイールは、ラチェットホイール32に対して固定に導く爪なしの場合に、時計回り及び反時計回りにも動かすことができる。もしラチェットホイール32が、
図4に示されるように、反時計回りに動くならば、リフトかご12は、下方向に移動する。ここで、爪34は、ラチェットホイール32の歯付きの内側面上の第1爪アーム38と共に動作する。バネ46の圧力は、今、以下のように設定される。安全ケーブル16の下方向の速さが毎分約30mに達したときに、第1爪アーム38とラチェットホイール32の歯付き内側面との相互作用は、爪34をラチェットホイール32の内側面から持ち上げ、爪が、第2爪アームの端のラッチング突起部42でラチェットホイール32の内側面にラッチされるような回転をもたらす。そして、ラチェットホイール32はハウジング54に取付けられた爪34により固定される。拘束装置31は、このように拘束され、爪34で固定されるように、回動可能に取付けられたラチェットホイール32となる。
【0057】
拘束された状態において、スイッチ44は動作する。スイッチは、制御部26へ駆動部24が遮断されなければならないという信号を送る。更に、スイッチ44は、応答の際に、例えば遠隔モニター装置に送信される例えば障害信号を出力するように使用することもできる。
【0058】
図4は、安全ケーブル16が上でガイドされるケーブルプーリのための圧力装置48も示している(
図5参照)。圧力装置48は、
図5のように、ケーブルプーリ68の付随ガイド溝に後続を押し込むために、安全ケーブル16に対してバネ52により圧力がかけられる圧力ローラ50を有している。
【0059】
図5は更に、ウインチ22の構造を示している。ウインチ22は、基本的に知られた方法で、作動ケーブル28が約270度の巻き付け角度でガイドされた駆動ケーブルプーリ58を有している。駆動ケーブルプーリ58は、作動ケーブル28が中で動作するガイド溝59を有している。圧力装置56は、作動ケーブル28をガイド溝59に押し込むためにも提供される。この圧力装置はバネと結合された圧力ローラを含む。作動ケーブル28は、
図2に見られるように、約270度の巻き付け角度の後、ウインチ22の外側の横方向に現れる。そして迂回ローラ14により下方向に迂回される。
【0060】
図5はまた、電気モータ及びギアボックスを備える駆動部24を示している。ギアボックスの出力シャフト70は、シャフト型のピニオン(不図示)を介して駆動ケーブルプーリ58を駆動する。
【0061】
図6の拡大図から分かるように、駆動ケーブルプーリ及びケーブルプーリの両方は、それぞれ2つのベアリング60、62、64、66によりウインチ22及び安全装置30の共通ハウジング54に取付けられている。
【0062】
安全装置30は、
図4に基づく上述の議論による拘束装置31を備え、この安全装置は、安全ケーブル16が上でガイドされるケーブルプーリ68に、全体として符号71に示されるブレーキにより結合される。ラチェットホイール32は、ケーブルプーリ68の内側円錐74に対して支持する外側円錐72を有している。ラチェットホイール32は、ラチェットホイール32の外側円錐72とケーブルプーリ68の内側円錐74との間が摩擦係合となるように、ケーブルプーリのジャーナル73上のベアリングリング76に対して支持されている板バネ78によりケーブルプーリ68に対して予め負荷がかけられている。板バネ78の予めの負荷は、ジャーナル73上のネジ山にネジ止めされたナット82により調整される。
【0063】
安全装置30の機能は以下の通りである。
【0064】
通常の状態において、非駆動ケーブルプーリ68は、駆動ケーブルプーリ58と同期して動作する。したがって安全ケーブル16は、ケーブルプーリ68にかけられた作動ケーブルと同じ速さで動く。
【0065】
何らかの理由で、作動ケーブル28の破損又は駆動部24のギアボックス障害のいずれかの結果として、ウインチ22が機能しなくなった場合、リフトかご12を下方向に落とす原因となり得る。リフトかご12は、最初、拘束装置31のトリガー速さに達するまで加速された速さで下方向に移動する。毎分約30mにおいて、爪34は、ラチェットホイール32を固定し、リフトかご12が最終的に停止するまで、以前回っていたケーブルプーリ68が、円錐ブレーキ71により制動される。
【0066】
拘束装置31のためのトリガー速さは毎分約30mである。板バネ78の予めの負荷、約5度〜8度である円錐ブレーキ71の円錐角、内側円錐74及び外側円錐72(銅合金/鉄合金)の材料の組合せの摩擦は互いに連携し、毎分約30mのトリガー速さで動作開始し、リフトかごは約2gで制動される。これは安全ケーブルが即座に固定され、約5gでのリフトかごの補足に繋がる従来の安全装置を用いた場合よりもかなりスムーズな制動を構成する。
【0067】
2つの金属(銅合金/鉄合金)の組合せの指定材料の代りに、さびの結果としての起こりうる摩耗や固着を抑えるために、少なくとも一つの摩擦パートナーに摩擦ライニングが提供されることも可能である。ここで一般的には、10度から40度の大きさ、例えば約20度のより大きな円錐角を用いることも必要であろう。
【0068】
ボタン45により、爪34は、手動的、機械的、電気的又はその他の方法で、拘束位置に動かされてもよい(
図5参照)。この目的のために、ボタン45は、爪34を回動するために一度動作される。もし安全ケーブル16が再び上方向に移動されたならば、拘束位置は、再び自動的に解除される。