(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突出部の表面は、亜鉛、錫、鉛、ロジウム、パラジウム、白金、銅、金、アンチモンおよび銀のうちの何れか1つを主体とする金属、または、ホウ素とリンとの何れかを含有するニッケル合金を最も多く含有する
ことを特徴とする請求項2に記載のスパークプラグ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スパークプラグは、繰り返しの火花放電に対する電極の耐久性が要求される。この耐久性を向上させるためには、主体金具と、絶縁碍子の内部に配置された導体との間の静電容量を低減することが有効である。この導体とは、シール体または中心電極のことである。静電容量の低減は、例えば、頭部を短くし、且つ、頭部を短くした分、シール体の軸線方向の高さを低くすることによって実現される。しかし、頭部を短くすると、シール体による保持力が低下するので、中心電極の耐衝撃性が低下して、中心電極が緩みやすくなってしまう。本願発明は、上記に鑑み、静電容量の低減と、中心電極の耐衝撃性の確保と、を両立することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、以下の形態として実現できる。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、先端側に接地電極を有する略筒状の主体金具と;小径部と、前記小径部よりも径が大きく、前記小径部の後端に段部を介して接続する中径部と、前記中径部よりも径が大きく、前記中径部よりも後端側に配置された大径部と、を有する軸孔が内部に設けられ、前記主体金具内に保持される筒状の絶縁碍子と;少なくとも一部が前記大径部内に配置される抵抗体と;前記中径部内において径方向に張り出して前記段部に接触する鍔部と、前記鍔部から先端側に延び、前記小径部内に配置される脚部と、を有する中心電極と;前記段部よりも後端側に配置され、前記中心電極と前記抵抗体とを電気的に接続する導電性のシール体と;を備えるスパークプラグが提供される。このスパークプラグは;前記シール体の後端は、前記中径部内に位置することを特徴とする。この形態によれば、大径部内にはシール材が充填されないので、シール材と主体金具との距離が短くなることを回避できる。よって、静電容量が低減され、ひいては電極の耐久性が向上する。
【0007】
(2)上記形態において、前記中心電極は、前記シール体の後端よりも後端側に位置する突出部を有し;前記突出部は、前記抵抗体に埋設されていてもよい。この形態によれば、シール体の長さを減少させることで静電容量を減少させても、突出部が抵抗体に埋設されているので、中心電極の耐衝撃性を確保できる。
【0008】
(3)上記形態において、前記突出部の表面は、亜鉛、錫、鉛、ロジウム、パラジウム、白金、銅、金、アンチモンおよび銀のうちの何れか1つを主体とする金属、または、ホウ素とリンとの何れかを含有するニッケル合金を最も多く含有してもよい。この形態によれば、抵抗体と中心電極との電気的接続が良好となる。この結果、抵抗体と中心電極との界面における発熱が抑制され、ひいては抵抗体の耐久性が向上する。
【0009】
(4)上記形態において、前記中心電極の後端は、前記大径部内に配置されてもよい。抵抗体は、中心電極よりも電気抵抗が大きいので、中心電極の後端よりも先端側の部位に流れる電流は僅かである。この形態の場合、中心電極の後端が大径部内に配置されるため、抵抗体のうち中径部内に配置された部位には、僅かな電流しか流れない。つまり、抵抗体のうち、断面積が大径部よりも小さく、電流密度が大きくなる中径部内に配置された抵抗体には、僅かな電流しか流れない。この結果、発熱が抑制され、ひいては抵抗体の耐久性が向上する。
【0010】
(5)上記形態において、前記抵抗体の先端側端部から前記大径部の先端までの距離は、前記大径部の前記先端から前記抵抗体の後端側端部までの距離に対して20%以下でもよい。この形態によれば、抵抗体の耐久性が向上する。抵抗体は、断面積が小さい部位においては電流密度が上昇することで、発熱量が増大する。発熱量が増大して高温になる部位は、耐久性が低下する場合がある。この形態の場合、抵抗体の先端側端部から上記境界まで、つまり中径部に配置された分の長さが、上記境界から抵抗体の後端側端部まで、つまり大径部に配置された分の20%以下であるので、中径部に配置された分の長さが短い。ひいては中径部における発熱が抑制され、上記効果を得ることができる。
【0011】
本発明は、上記以外の種々の形態で実現できる。例えば、スパークプラグの製造方法の形態で実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、スパークプラグ101を示す断面図である。スパークプラグ101は、主体金具1と、絶縁碍子2と、中心電極3と、接地電極4と、端子金具13とを備えている。
図1において、スパークプラグ101の長手方向の中心を軸線Oとして表した。また軸線Oに沿って、接地電極4側をスパークプラグ101の先端側と呼び、端子金具13側を後端側と呼ぶ。
【0014】
主体金具1は、炭素鋼等の金属によって中空円筒状に形成されており、スパークプラグ101のハウジングを構成する。絶縁碍子2は、セラミック焼結体によって構成され、主体金具1の内部に先端側が収納されている。絶縁碍子2は、筒状の部材であり、内部には軸線Oに沿った軸孔6が形成されている。軸孔6の一方の端部側には端子金具13の一部が挿入及び固定され、他方の端部側には中心電極3が挿入及び固定されている。また、軸孔6内において、端子金具13と中心電極3との間には抵抗体15が配置されている。抵抗体15の両端部は、導電性ガラスシール層16および端子金具側導電性ガラスシール層17を介して、中心電極3及び端子金具13にそれぞれ電気的に接続されている。
【0015】
抵抗体15は、端子金具13と中心電極3との間における電気抵抗として機能することによって、火花放電時の電波雑音(ノイズ)の発生を抑制する。抵抗体15は、セラミック粉末と導電材とガラスとバインダ(接着剤)とから構成されている。本実施形態において、抵抗体15は、後述する製造手順を経て製造される。
【0016】
中心電極3は、先端に発火部31が形成されており、発火部31が露出した状態で軸孔6に配置されている。接地電極4は、一端が主体金具1に溶接されている。また、接地電極4の他端側は側方に曲げ返され、その先端部32が中心電極3の発火部31に間隙を介して対向するように配置されている。
【0017】
上記構成を有するスパークプラグ101の主体金具1の外周には、ねじ部5が形成されている。スパークプラグ101は、ねじ部5を用いて、エンジンのシリンダヘッドに装着される。
【0018】
図2は、導電性ガラスシール層16付近の拡大断面図である。軸孔6は、大径部6wと、中径部6mと、小径部6nとを備える。大径部6wは、中径部6mよりも内径が大きい。中径部6mは、小径部6nよりも内径が大きい。中径部6mは、段部6sを備え、小径部6nの後端に段部6sを介して接続する。
【0019】
大径部6w及び小径部6nは、ほぼ理想的な円筒の内周面である。但し、製造時の型抜きによる傾斜が付いていてもよい。大径部6wと中径部6mとの境界は、上記傾斜による径の縮小の程度を超えて、径の縮小が開始する位置であり、本実施形態においては
図2に示された境界Bwmである。ここでいう径の縮小とは、後端側から先端側に向かって径が縮小することである。
【0020】
段部6sは、ほぼ理想的な円錐台の錐面である。段部6s後端は、上記錐面による径の拡大が終了する位置であり、本実施形態においては
図2に示された境界Bmsである。ここでいう径の拡大とは、先端側から後端側に向かって径が拡大することである。
【0021】
上記「大径部6wは、中径部6mよりも内径が大きい」は、次の何れかに言い換えてもよい。
1.「大径部6wの内径の平均は、中径部6mの内径の平均よりも大きい」
2.「大径部6wの内径の最小値は、中径部6mのなかで、導電性ガラスシール層16に接触している部位における内径の最大値よりも大きい」
3.「大径部6wの内径の最小値は、中径部6mの内径の最大値以下である」
上記3で「以下」と表現したのは、大径部6wの内径の最小値、及び中径部6mの内径の最大値共に、境界Bwmにおける値であり、一致した値になるからである。
【0022】
中径部6mは、大径部6wと小径部6nとを接続する部位であると捉えることもできる。境界Bwmにおける内径は、境界Bmsにおける内径よりも大きいので、中径部6mは、少なくとも一部において、先端に向かって径が縮小する部位を有する。スパークプラグ101の場合、
図2に示すように、主に、段部6sの後端から先端まで、及び境界Bwmから角部Kまでにおいて、先端に向かって径が縮小する。
【0023】
中心電極3は、鍔部3Fと、脚部3Lと、頭部3Hとを備える。鍔部3Fは、中径部6m内において径方向に張り出して、段部6sに突き当てられている。脚部3Lは、鍔部3Fから先端側に延び、小径部6n内に配置される。頭部3Hは、鍔部3Fから後端側に延びる。
【0024】
導電性ガラスシール層16は、中径部6m内に配置される。つまり、導電性ガラスシール層16の先端および後端の何れも中径部6m内に位置する。よって、導電性ガラスシール層16は、大径部6w内には配置されない。
【0025】
ここで、導電性ガラスシール層16の先端から、抵抗体15の後端までにおいて形成されるコンデンサの静電容量について説明する。このコンデンサは、主体金具1と、軸孔6に配置された導体(以下、内部導体という)との間に形成される。本実施形態における内部導体は、導電性ガラスシール層16である。以下、上記の静電容量のことを、静電容量Cの後に、実施形態を示す数字(1又は2)を記すことで表現する。例えば実施形態1の場合、静電容量C1と表記する。
【0026】
一般的に、同軸円筒形状のコンデンサの静電容量Cは、C=2πεL/log(b/a)で算出される。Lは円筒の軸線方向の長さ、εは比誘電率、aは円筒の内径、bは円筒の外径を示す。よって、外径bが一定ならば、内径aが小さければ小さいほど、静電容量Cは小さくなる。
【0027】
図2に示された大径部6waは、中径部6mを備えない比較例において存在する大径部を示す。
図3に示された段部6saは、大径部6waの一部であり、この比較例において存在する段部を示す。比較例における段部6saは、大径部6waの一部であり、大径部6waと小径部6nと接続する部位である。
【0028】
この比較例の場合、大径部6waに接触するように導電性ガラスシール層16が充填される。よって、上記の内径aに相当する導電性ガラスシール層16の外径が大きくなり、その分、静電容量が大きくなる。本実施形態では、このような比較例に比べ、導電性ガラスシール層16の外径が小さくなるので、静電容量C1も小さくなる。
【0029】
図2に示す距離Lmは、軸線Oの方向について、抵抗体15の先端側端部から大径部6wの先端までの距離である。
図2に示す距離Lwは、大径部6wの先端から抵抗体15の後端側端部までの距離である。本実施形態においては、距離Lm/距離Lw(以下、この比を距離比という)が20%に設定されている。
【0030】
ここで、距離比と負荷寿命特性との関係について調べた実験結果を説明する。負荷寿命試験は、JIS B8031:2006(内燃機関−スパークプラグ)の7.14に規定された試験条件に基づいて行われた。そして、1つの種類のサンプルの評価のために同じ構成を有する10個のサンプルを準備し、各サンプルに対して100時間の試験運転を行った。そして、10個のサンプルのうち、抵抗値の変化率が50%未満のサンプルを合格、50%以上のサンプルを不合格とした。なお、抵抗値は、端子金具13と中心電極3との間の電気抵抗値であり、JIS B8031:2006の7.13の規定に従って、測定した。また、抵抗値の変化率は、試験前の抵抗値に対する、試験前後の抵抗値の差分の割合である。
【0031】
実験結果は、距離比が10%、20%の場合は何れも10本全て合格だったのに対して、距離比が25%、30%、50%の場合は何れも10本全て不合格だった。なお、上記比較例の場合についても実験し、その結果は、10本全て合格だった。
【0032】
上記の実験結果について説明する。抵抗体15は断面積が小さくなると放電時に流れる電流密度が上昇する。電流密度が上昇すると、電気的な負荷が大きくなり、耐久性低下に繋がる。よって、距離Lmは短い方が良い。そこで、距離Lwを基準にした距離比を変化させた実験を実施した。上記の通り、距離比が20%以下であれば合格だったので、本実施形態では距離比を20%に設定した。
【0033】
なお、
図2に示された長さLa,Lb1は、実施形態2との比較説明のために使用するので、実施形態2で後述する。
【0034】
図3は、スパークプラグの製造手順を示すフローチャートである。まず、抵抗体15の基材を製造する(S105)。
【0035】
図4は、抵抗体15の基材の製造手順を示すフローチャートである。まず、材料を湿式ボールミルによって混合する(S205)。この材料とは、セラミック粉末と、導電材と、バインダとである。セラミック粉末は、例えば、ZrO
2及びTiO
2を含むセラミック粉末である。導電材は、例えば、カーボンブラックである。バインダ(有機バインダ)は、例えば、ポリカルボン酸等の分散剤である。これらの材料に溶媒としての水を加えて湿式ボールミルを用いて攪拌して混合する。このとき、各材料は混合されるが、各材料の分散度合いは比較的低い。
【0036】
次に、混合後の各材料を、高速剪断ミキサによって分散させる(S210)。高速剪断ミキサとは、ブレード(攪拌羽根)による強力な剪断力によって材料を大きく分散させながら混合するミキサである。高速剪断ミキサは、例えば、アキシャルミキサ(Axial mixer)である。
【0037】
次に、S210によって得られた材料を、すぐにスプレードライ法によって造粒する(S215)。S215で得られた粉体にガラス(粗粒ガラス粉末)に水を加えて混合し(S220)、乾燥させることで(S225)、抵抗体15の基材(粉体)が完成する。なお、前述のS220の混合に用いる混合器としては、例えば、万能混合器を用いることができる。
【0038】
次に、絶縁碍子2を作製する(S107)。具体的には、まず、外周形状、並びに大径部6w、中径部6m及び小径部6nを含む軸孔6の形状を型成形で作製する。その後、切削で、軸孔6の表面を仕上げてもよい。
【0039】
次に、絶縁碍子2の軸孔6に中心電極3を挿入する(S110)。導電性ガラス粉末を軸孔6に充填して圧縮する(S115)。この圧縮は、例えば、軸孔6に棒状の冶具を挿入し、堆積した導電性ガラス粉末を押すことによって実現する。S115によって形成される導電性ガラス粉末の層は、後述する加熱圧縮工程を経て、導電性ガラスシール層16となる。導電性ガラス粉末は、例えば、銅粉末とホウケイ酸カルシウムガラス粉末とを混合した粉末である。
【0040】
次に、抵抗体15の基材(粉体)を、軸孔6に充填して圧縮し(S120)、さらに、導電性ガラス粉末を軸孔6に充填して圧縮する(S125)。S120によって形成される粉末の層は、後述する加熱圧縮工程を経て、抵抗体15となる。同様に、S125によって形成される粉末の層は、後述する加熱圧縮工程を経て、端子金具側導電性ガラスシール層17となる。なお、S125において用いられる導電性ガラス粉末は、S115で用いた導電性ガラス粉末と同じ粉末である。また、S120,S125における圧縮方法は、S115における圧縮方法と同じ方法である。
【0041】
端子金具13の一部を軸孔6に挿入して、絶縁碍子2全体を加熱しながら端子金具13側から所定の圧力を加える(S130)。この加熱圧縮工程によって、軸孔6に充填された各材料が圧縮及び焼成されて、軸孔6内に、導電性ガラスシール層16と、端子金具側導電性ガラスシール層17と、抵抗体15とが形成される。
【0042】
主体金具1に接地電極を接合し(S135)、絶縁碍子2を主体金具1に挿入して(S140)、主体金具1を加締める(S145)。S145の加締め工程によって、絶縁碍子2が主体金具1に固定される。次に、主体金具1に接合された接地電極の先端が曲げ加工され(S150)、接地電極4が完成する。その後、ガスケット(図示しない)が主体金具1に取り付けられ(S155)、スパークプラグ101が完成する。
【0043】
図5を用いて、スパークプラグ102による実施形態2を説明する。実施形態2及び後述する実施形態3において、特に説明しない内容については、実施形態1と同じである。
【0044】
中心電極3は、導電性ガラスシール層16の後端よりも後端側に位置する突出部3pを有する。このため、突出部3pは、抵抗体15に埋設されている。突出部3pの表面は、所定の金属とニッケル合金との何れかを最も多く含有する。上記所定の金属とは、亜鉛、錫、鉛、ロジウム、パラジウム、白金、銅、金、アンチモン及び銀のうちの何れか1つを主体とする金属のことである。上記のニッケル合金は、例えばニッケルろうであり、ホウ素とリンとの何れかを含有する。この種のニッケル合金や上記所定の金属は、融点が低く、充填粉末をホットプレスする際の温度で軟化する為、抵抗体15と中心電極3との接触が良好になり、ひいては抵抗体15と中心電極3との電気的な接続状態が良好になる。
【0045】
突出部3pの表面を上記のように形成するために、中心電極3を鉄系の材料で製造した後、頭部3Hに対し、めっき等を用いてコーティングを施す。
【0046】
ここで、静電容量C2を説明する。静電容量C2は、頭部3H及び導電性ガラスシール層16を内部導体とする。静電容量C2は、C2=C3H+C16と表記できる。静電容量C3Hは、内部導体を頭部3H、誘電体を絶縁碍子2及び抵抗体15とするコンデンサの静電容量である。静電容量C16は、内部導体を導電性ガラスシール層16、誘電体を絶縁碍子2とするコンデンサの静電容量である。静電容量C3H,C16は、並列接続の関係にあるので、上記のように加算すると、合成値としての静電容量C2に等しくなる。
【0047】
静電容量C16に対応するコンデンサの軸線Oの方向の長さは、長さLaであり、
図2に示した長さLaに等しい。さらに、他のパラメータも実施形態1と同じなので、導電性ガラスシール層16の先端から、後端に向かって長さLaの位置(以下、分割位置という)までに形成されるコンデンサの静電容量は、実施形態1,2で同じ値(実施形態2における静電容量C16)になる。
【0048】
これに対し、分割位置よりも後端側の静電容量は、実施形態1,2で異なる。実施形態2の場合、先述したように静電容量C3Hである。静電容量C3Hに対応するコンデンサの軸線Oの方向の長さはLb2であり、実施形態1の場合のLb1よりも短い。さらに、静電容量C3Hに対応する内径aは、頭部3Hの外径であり、中径部6mの内径よりも小さい。よって、分割位置よりも後端側の静電容量は、実施形態2の方が実施形態1よりも小さい。この結果、静電容量C2は、静電容量C1よりも小さくなる。
【0049】
また、上記のように導電性ガラスシール層16を短くすることによって、静電容量C2を減少させつつも、中心電極3の耐久性は確保されている。中心電極3の耐久性が確保されるのは、導電性ガラスシール層16の長さよりも長い頭部3Hが、抵抗体15及び導電性ガラスシール層16に埋設されているからである。
【0050】
実施形態2においても、距離比(=Lm/Lw)は、20%に設定されている。このため、後述する第2の距離比は、20%よりも小さい値に設定されている。第2の距離比とは、距離Lm2と距離Lwとの比(=Lm2/Lw)のことである。距離Lm2とは、
図5に示すように、軸線Oの方向について、中心電極3の先端側端部から大径部6wの先端までの距離である。
【0051】
実施形態2においては、中心電極3の後端が、抵抗体15の後端よりも後端側に突き出ているため、中心電極3の後端よりも先端側に位置する抵抗体15には、あまり電流が流れず、電気的な負荷は大きくならない。よって、長さLmを短くすることに加え、長さLm2を短くすること、つまり第2の距離比を小さくすることによって、抵抗体15の耐久性を更に向上させることができる。
【0052】
図6を用いて、スパークプラグ103による実施形態3を説明する。スパークプラグ103の場合、突出部3pの後端側端部が、大径部6w内に配置されている。言い換えると、頭部3Hの後端側端部が、大径部6w内に配置されている。さらに言い換えると、中心電極3の後端側端部が、大径部6w内に配置されている。上記3箇所の「大径部6w内に配置されている」は、「境界Bwmよりも後端側に位置する」又は「中径部6mの後端よりも後端側に位置する」と言い換えてもよい。
【0053】
実施形態3の場合、実施形態2と同様に、中心電極3の後端よりも先端側においては、抵抗体15にあまり電流が流れない。実施形態3の場合、中心電極3の後端側端部が、大径部6w内に配置されている。このため、中径部6m内に配置された抵抗体15にはあまり電流が流れない。この結果、実施形態1,2に比べても、更に抵抗体15の耐久性を向上させることができる。なお、実施形態3においても、距離比は20%に設定されている(図示しない)。
【0054】
本発明は、本明細書の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、先述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、先述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことができる。その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除できる。例えば、以下のものが例示される。
【0055】
導電性ガラスシール層16の材料として、銅粉末以外の導電性物質を用いてもよいし、ホウケイ酸カルシウムガラス粉末以外のガラス粉末を用いてもよい。例えば、導電性物質として、カーボンブラックやグラファイトの粉末を用いてもよい。
【0056】
距離比は、20%以下の任意の値でもよい。
実施形態2において、距離比が20%を超え、且つ、第2の距離比が20%以下に設定されてもよい。この場合でも、負荷寿命を確保できると考えられる。
【0057】
中径部6mの形状は、種々考えられる。例えば、内径を維持しつつ、肉厚を薄くしてもよい。この形状の場合、絶縁碍子と主体金具との間に隙間が生じる。この隙間には、燃焼室内のガス等が存在するので、ガス等が誘電体の一部となる。或いは、中径部6m全体がテーパ形状でもよい。
【0058】
突出部3pのバルクを含む全体を、先述した所定の金属とニッケル合金との何れかを最も多く含有するように形成してもよい。このようにしても、突出部3pの表面を、所定の金属とニッケル合金との何れかを最も多く含有するように形成できる。また、先述したニッケル合金は、ホウ素とリンとの両方を含有してもよい。