(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る在宅酸素療法管理システムの構成を示すブロック図である。
図1に示す在宅酸素療法管理システム100は、通常は患者の自宅に設置して患者が使用する酸素濃縮器110と、患者が携帯して使用するパルスオキシメータ(生体情報測定装置)120と、通常は医療施設に設置して医師が使用する在宅酸素療法管理装置130、ディスプレイ装置140及びプリンタ装置150とを有する。
【0026】
在宅酸素療法管理システム100は、酸素濃縮器110、パルスオキシメータ120、在宅酸素療法管理装置130及びディスプレイ装置140又はプリンタ装置150を組み合わせて成るシステムであるため、
図1においてはこれらの機器が相互に接続された状態で示されている。しかし、特に、酸素濃縮器110とパルスオキシメータ120との間の接続、及び、パルスオキシメータ120と在宅酸素療法管理装置130との間の接続は、常時通信可能な接続を意味するものではなく、これらの機器間でのデータ授受が必要なときにのみ相互に通信可能に接続されることを意味するものである。
【0027】
なお、これらの機器により取得されたデータをリムーバブルメディアを用いて相互に授受可能な構成が採られる場合には、これらの機器間を通信可能に接続する構成は必ずしも必要ではない。
【0028】
酸素濃縮器110は、酸素供給制御部111、器械動作ログ取得部112、時計・カレンダ機能部113及びデータ転送処理部114を有する。また、酸素濃縮器110は、既述のとおり、室内から取り込んだ空気を圧縮し、圧縮空気から高濃度酸素を生成し、鼻腔カニューラを介して高濃度酸素を患者体内に供給するための構成(図示せず)を有するが、これは従来の酸素濃縮器と同様であるので、簡略化のためその詳細な説明を省略する。
【0029】
酸素供給制御部111は、酸素濃縮器110から患者への高濃度酸素の供給を、操作者(通常は患者本人であるが、患者の家族等であってもよい)が酸素濃縮器110の操作部(図示せず)を操作することにより設定された酸素流量値(以下「設定流量値」という)に従って制御する。通常、操作者は、予め医師が決定した処方流量値(例えば、安静時は1.00L/min、労作時は2.00L/min、就寝時は1.50L/min等)に従って酸素流量値を設定する。ただし、操作者の操作によって処方外の酸素流量値を設定し、その設定流量値に従って、高濃度酸素の供給を制御することも、機能的には可能である。
【0030】
また、酸素供給制御部111は、設定流量値による制御の下で実際に酸素濃縮器110から送り出される高濃度酸素の流量値を流量センサ(図示せず)により検知する。以下、検知された流量値を「実測流量値」という。
【0031】
器械動作ログ取得部112は、酸素濃縮器110において発生した全ての動作や事象をその発生日時と関連付けて器械動作ログとして取得し、取得した器械動作ログを内部の記憶装置(図示せず)に格納する。例えば、酸素濃縮器110において故障や異常が発生した場合は、その事象とその発生日時とがアラーム情報として記録され、また、酸素濃縮器110の電源が投入されている期間は、その日時と各時点で設定されている設定流量値とが動作情報として記録される。なお、酸素濃縮器110の電源が投入されている期間に、各時点で検知された実測流量値を、設定流量値に加えて記録してもよい。
【0032】
器械動作ログ取得部112は、日時についての情報を時計・カレンダ機能部113から取得する。
【0033】
なお、「日時」の「時」は時刻であり「日」は日付であるが、日付には年月日のほかに曜日も含まれる。後述の「測定日」における「日」も、日付であり、年月日のほかに曜日も含むことを意味する。
【0034】
データ転送処理部114は、酸素濃縮器110とパルスオキシメータ120とを通信可能に接続するためのコネクタ(図示せず)を有する。そして、データ転送処理部114は、このコネクタを介してパルスオキシメータ120が酸素濃縮器110に接続されたときに、器械動作ログ取得部112に格納された器械動作ログの少なくとも一部、特に酸素濃縮器110の動作情報を、パルスオキシメータ120に転送する。
【0035】
パルスオキシメータ120は、酸素飽和度センサ(図示せず)と酸素飽和度計測回路(図示せず)とを有する酸素飽和度計測部121(測定手段)、データ統合部122(測定情報生成手段、動作情報取得手段)、時計・カレンダ機能部123、データ転送処理部124(送信手段)及びデータ記憶部125を有する。酸素飽和度計測部121は、酸素飽和度センサにより、赤色光や赤外光を発光して患者の特定部位(例えば、指先、つま先等)に透過させ、その透過光を検出することにより、検出信号を得る。そして、酸素飽和度計測部121は、酸素飽和度計測回路により、その検出信号を用いて、動脈血の総ヘモグロビンに対する酸化ヘモグロビンの割合を求め、また、動脈血の脈拍に同期する吸光度の変化を検出することにより、酸素飽和度及び脈拍数(つまり脈波測定値)を計測する。さらに、酸素飽和度計測部121は、この計測結果をディジタルデータに変換することにより、酸素飽和度測定値及び脈拍測定値を取得する。
【0036】
データ統合部122は、酸素飽和度計測部121により取得された酸素飽和度測定値及び脈拍測定値を酸素飽和度計測部121から取得し、取得した測定情報をその測定日時と関連付けてパルスオキシメータ120の測定情報として後述のデータ記憶部125に格納する。データ統合部122は、日時についての情報を時計・カレンダ機能部123から取得する。
【0037】
また、データ統合部122は、データ転送処理部124が酸素濃縮器110から受信した酸素濃縮器110の動作情報を取得する。そして、データ統合部122は、取得した動作情報を、既にデータ記憶部125に格納されている測定情報と統合することにより、在宅酸素療法についての情報を一元的に管理し得る統合済み情報を生成し、生成した統合済み情報を、データ記憶部125に格納する。
【0038】
データ転送処理部124は、パルスオキシメータ120と酸素濃縮器110とを通信可能に接続するためのコネクタ(図示せず)を有する。そして、データ転送処理部124は、このコネクタを介してパルスオキシメータ120が酸素濃縮器110に通信可能に接続されたときに、器械動作ログの少なくとも一部、特に酸素濃縮器110の動作情報を、酸素濃縮器110から受信する。
【0039】
また、データ転送処理部124は、パルスオキシメータ120が在宅酸素療法管理装置130に接続されたときに、データ記憶部125に格納された統合済み情報を在宅酸素療法管理装置130に転送する。
【0040】
データ記憶部125は、データ統合部122によって格納された動作情報及び統合済み情報を保持する。本実施の形態では、データ記憶部125は、パルスオキシメータ120に内蔵されたものであるが、リムーバブルメディア等の着脱自在な記憶媒体であってもよい。
【0041】
在宅酸素療法管理装置130は、典型的にはパソコンにおいて実現される装置であり、データ転送処理部131、記憶部132及びデータ解析部133を有する。
【0042】
データ転送処理部131は、パルスオキシメータ120と在宅酸素療法管理装置130とを通信可能に接続するためのコネクタ(図示せず)を有する。そして、データ転送処理部131は、このコネクタを介してパルスオキシメータ120が在宅酸素療法管理装置130に接続されたときに、データ転送処理部131は、統合済み情報をパルスオキシメータ120から受信し、受信した統合済み情報を記憶部132に格納する。
【0043】
なお、パルスオキシメータ120が、統合済み情報をリムーバブルメディアに格納する構成を採る場合には、データ転送処理部131は、リムーバブルメディアを接続するためのコネクタを有し、このコネクタに接続されたリムーバブルメディアに格納された統合済み情報を読み取り、読み取った統合済み情報を記憶部132に格納する。
【0044】
記憶部132は、統合済み情報のほかに、医師その他の医療従事者が入力部(図示せず)を操作することにより入力された患者情報(例えば、患者基本情報、バイタル情報及び処方流量情報等を含む)を記憶する。さらに、記憶部132は、統合済み情報に基づいて在宅酸素療法の解析を行うための在宅酸素療法管理プログラムを記憶する。
【0045】
取得手段及び作成手段としてのデータ解析部133は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置(図示せず)を有し、この演算装置で在宅酸素療法管理プログラムを実行することにより、記憶部132に記憶された統合済み情報を取得する取得機能と、取得した統合済み情報に基づいて在宅酸素療法の解析を行い、その解析の結果としての解析情報を、ディスプレイ装置140(例えば液晶ディスプレイ)の画面に表示させ、又は、プリンタ装置150(例えばレーザプリンタ)に用紙に印刷させることにより、解析情報を作成する作成機能とを実現する。
【0046】
図2は、データ解析部133の解析情報作成動作を説明するフロー図である。データ解析部133は、医療従事者が在宅酸素療法管理装置130の入力部(図示せず)を操作することによりデータ解析部133に解析情報の作成指示が入力されると、データ解析部133は、上記取得機能により、酸素飽和度測定値、脈拍測定値及びそれらの測定日時並びに酸素濃縮器110の設定流量値及びその動作日時についての情報を、記憶部132に記憶されている統合済み情報から抽出する(ステップS100)。そして、データ解析部133は、上記作成機能により、抽出した情報に基づいて、酸素飽和度測定値及び脈拍測定値の解析情報を在宅酸素療法の解析情報として表示させ又は印刷させる(ステップS200)。
【0047】
以下、データ解析部133により作成される解析情報について、
図3〜
図8に示す例を参照しながら説明する。ここでは、ディスプレイ装置140の画面上に解析情報を表示する場合を例にとって説明するが、既述のとおり解析情報は印刷によって用紙上に作成することもできる。
【0048】
図3は、脈拍測定値別の酸素飽和度測定値の分布図の一例を示す図である。
【0049】
酸素動作状況ビュアーのウィンドウ141が画面に表示されている状態で、医療従事者がウィンドウ141内の識別情報(ID)入力欄142aへの識別情報入力を行って表示ボタン142bのクリック操作を行うと、データ解析部133に解析情報作成指示として解析情報表示指示が入力されて、データ解析部133はそれに従って、解析情報表示部142cに解析情報を表示させる。なお、表示ボタン142bの代わりに印刷ボタン142dのクリック操作が行われた場合には、データ解析部133に解析情報作成指示として解析情報印刷指示が入力され、データ解析部133がプリンタ装置150に解析情報を印刷させる。
【0050】
表示対象の解析情報は操作によって選択することができ、この例では、解析情報表示部142cには、脈拍測定値別の酸素飽和度測定値の分布
図143aが表示される。
【0051】
また、患者情報表示部142eには患者情報が表示される。患者情報表示部142eは、患者の氏名等の個人基本情報を表示する基本患者情報表示部142f、患者の身長等のバイタル情報を表示するバイタル情報表示部142g及び患者の処方流量情報を表示する処方流量情報表示部142hを有する。なお、患者情報表示部142eを利用して患者情報の入力を行うこともできる。
【0052】
分布
図143aは、記憶部132に記憶されている統合済み情報のうち、操作によって指定された期間(例えば1ヶ月)に対応する部分に基づいて作成される。つまり、例えば7月24日から8月23日までの期間が指定された場合、その期間に行われたスポット測定の結果が表示される。脈拍測定値別の酸素飽和度測定値の分布
図143aの場合、X軸を脈拍測定値の軸としY軸を酸素飽和度測定値の軸とする平面上に、各スポット測定における測定値を示すマーク144a〜144eがプロットされる。
【0053】
各マーク144a〜144eは、ある日時に行われたスポット測定において得られた脈拍測定値と酸素飽和度測定値とを示す。したがって、異なるマーク144a〜144eは、異なる年月日或いは異なる時刻に測定された脈拍と酸素飽和度とを示す。
【0054】
マーク144a〜144eは、それぞれのマーク144a〜144eに示された脈拍測定値と酸素飽和度測定値との測定日時における酸素濃縮器110の設定流量値を可視化する態様で示される。
【0055】
より具体的には、設定流量値が1.00L/minに設定されている時に測定された酸素飽和度及び脈拍を示すマーク144aは、四角形(□印)で示されている。なお、図示された例では、マーク144aは、設定流量値そのものが直接的に判別できるような態様で示されたものではなく、酸素飽和度及び脈拍が測定された時点において安静時用の処方流量値が適用されていたことが直接的に判別できるような態様で示されている。換言すれば、安静時用の処方流量値に従って酸素流量値が設定されていた時に測定された酸素飽和度測定値及び脈拍測定値であることが判別できる。図示された例では、処方流量情報表示部142hを参照すると安静時用の処方流量値は1.00L/minであるので、測定日時における設定流量値が1.00L/minであることが判別できる。
【0056】
また、設定流量値が2.00L/minに設定されている時に測定された酸素飽和度及び脈拍を示すマーク144bは、丸形(○印)で示されている。なお、図示された例では、マーク144bは、設定流量値そのものが直接的に判別できるような態様で示されたものではなく、酸素飽和度及び脈拍が測定された時点において労作時用の処方流量値が適用されていたことが直接的に判別できるような態様で示されている。換言すれば、労作時用の処方流量値に従って酸素流量値が設定されていた時に測定された酸素飽和度測定値及び脈拍測定値であることが判別できる。図示された例では、処方流量情報表示部142hを参照すると労作時用の処方流量値は2.00L/minであるので、測定日時における設定流量値が2.00L/minであることが判別できる。
【0057】
また、設定流量値が1.50L/minに設定されている時に測定された酸素飽和度及び脈拍を示すマーク144cは、菱形(◇印)で示されている。なお、図示された例では、マーク144cは、設定流量値そのものが直接的に判別できるような態様で示されたものではなく、酸素飽和度及び脈拍が測定された時点において就寝時用の処方流量値が適用されていたことが直接的に判別できるような態様で示されている。換言すれば、就寝時用の処方流量値に従って酸素流量値が設定されていた時に測定された酸素飽和度測定値及び脈拍測定値であることが判別できる。図示された例では、処方流量情報表示部142hを参照すると就寝時用の処方流量値は1.50L/minであるので、測定日時における設定流量値が1.50L/minであることが判別できる。
【0058】
また、設定流量値が3.00L/min又は4.00L/minに設定されている時に測定された酸素飽和度及び脈拍を示すマーク144dは、三角形(△印)で示されている。なお、図示された例では、マーク144dは、設定流量値そのものが直接的に判別できるような態様で示されたものではなく、酸素飽和度及び脈拍が測定された時点において酸素濃縮器110の電源が投入されていて高濃度酸素の供給が行われているが所定の処方流量値がいずれも適用されていないことが直接的に判別できるような態様で示されている。換言すれば、処方流量値と異なる酸素流量値が設定されていた時に測定された酸素飽和度測定値及び脈拍測定値であることが判別できる。図示された例では、処方流量情報表示部142h及び選択操作が可能な流量値選択欄145aを参照すると、処方外の流量値は3.00L/min及び4.00L/minであるので、測定日時における設定流量値が3.00L/min又は4.00L/minであることが判別できる。
【0059】
また、高濃度酸素の供給が行われていない時(つまり流量値が0.00L/minである時)に測定された酸素飽和度及び脈拍を示すマーク144eは、十字形(+印)で示されている。なお、図示された例では、マーク144eは、酸素流量値そのものが直接的に判別できるような態様で示されたものではなく、酸素飽和度及び脈拍が測定された時点において酸素濃縮器110の電源が投入されていないことが直接的に判別できるような態様で示されている。換言すれば、電源が投入されていなければ酸素濃縮器110は高濃度酸素を供給しないので、測定日時における酸素流量値が0.00L/minであることが判別できる。
【0060】
なお、ここで、測定日時とは、パルスオキシメータ120において、酸素飽和度計測部121が酸素飽和度と脈拍との測定を行った時点において時計・カレンダ機能部123が示していた日時である。ただし、必要時応じて(例えば標準時との差異が大きい場合には)、データ解析部133は、測定が行われた時点に時計・カレンダ機能部123が示していた日時に修正を加えた値を測定日時とすることもできる。ここで、パルスオキシメータ120の時計・カレンダ機能部123と酸素濃縮器110の時計・カレンダ機能部113との間には、示される日時(特に時刻)に差異が生じている場合がある。この場合、パルスオキシメータ120のデータ統合部122は、その差異自体を統合済み情報に含める処理を行うことが望ましい。
【0061】
具体的には、例えば、データ統合部122は、酸素濃縮器110が動作情報に含めた日時を示す情報(以下適宜「時刻情報」という)と、その動作情報を受信した時刻にパルスオキシメータ120の時計・カレンダ機能部123が示す時刻情報とを、対応付けて、統合済み情報に含める。または、データ統合部122は、酸素濃縮器110が動作情報に含めた時刻情報と、その動作情報を受信した時刻にパルスオキシメータ120の時計・カレンダ機能部123が示す時刻情報との差分を検出し、検出した差分を、統合済み情報に含める。これにより、データ解析部133は、パルスオキシメータ120と酸素濃縮器110との間で時計・カレンダ機能に差異が生じていても、その差異を補正し、脈拍測定値と酸素飽和度測定値とが測定された実際の日時における設定流量値を正確に表示することができる。
【0062】
図示された例では、酸素流量値ごとに異なる形状でマーク144a〜144eをプロットすることにより、酸素流量値の相違を一目瞭然とすることができる。ただし、カラー表示が可能な場合には酸素流量値ごとに異なる色でマーク144a〜144eをプロットしてもよい。また、その他の表示態様も可能であり、必要に応じてマーク144a〜144eの表示態様を適宜変更することができる。
【0063】
また、処方選択欄145bにおいて選択操作を行うことにより、安静時用の処方流量値として決定された酸素流量値の適用時の測定値を示すマーク144a、労作時用の処方流量値として決定された酸素流量値の適用時の測定値を示すマーク144b、就寝時用の処方流量値として決定された酸素流量値の適用時の測定値を示すマーク144c、処方外の酸素流量値の適用時の測定値を示すマーク144d又は電源オフ時の測定値を示すマーク144eを選択的にプロットすることもできる。
【0064】
このように、
図3に示すような脈拍測定値別の酸素飽和度測定値の分布
図143aを作成することにより、脈拍測定値に対する酸素飽和度測定値の傾向を、酸素濃縮器110から供給される酸素流量値との関係で把握することができる。例えば、脈拍測定値が上昇するにつれて酸素飽和度測定値が低下している傾向を把握することができるだけでなく、労作時用の酸素飽和度測定値が安静時用の酸素飽和度測定値に比べて低下する傾向にあることも把握することができる。よって、労作時用の処方の見直しを検討することができる。また、例えば、電源オフ時の脈拍測定値はいずれもが電源オフ時の酸素飽和度測定値は分散していることも把握することができる。よって、患者が酸素ボンベを携帯せずに外出等をしていた可能性を認識することができるため、それについての問診を行うことができる。
【0065】
図4は、測定時刻別の酸素飽和度測定値の分布図の一例を示す図である。
【0066】
測定時刻別の酸素飽和度測定値の分布
図143bは、記憶部132に記憶されている統合済み情報のうち、操作によって指定された期間に対応する部分に基づいて、その期間に行われたスポット測定の結果が表示されるように作成される。測定時刻別の酸素飽和度測定値の分布
図143bの場合、X軸を時刻の軸としY軸を酸素飽和度測定値の軸とする平面上に、各スポット測定における測定値を示すマーク144a〜144eがプロットされる。
【0067】
なお、この分布
図143bは、例えばトレンドグラフのように測定値を時系列の表示するものとは異なり、複数の酸素飽和度測定値の測定日が相違していても測定時刻が同一であればそれらをそれぞれ示す複数のマークのX座標は同一となる。したがって、特定の一日における測定値の傾向でなく、長期間にわたる日常生活における全体的な測定値の傾向を把握することができる。
【0068】
このように、
図4に示すように測定時刻別の酸素飽和度測定値の分布
図143bを作成することにより、測定時刻に対する酸素飽和度測定値の傾向を、酸素濃縮器110から供給される酸素流量値との関係で把握することができる。例えば、朝や夜は酸素飽和度が高い値で安定しているが昼は酸素飽和度が若干低下する傾向にあることを把握することができるだけでなく、労作時用の酸素飽和度測定値は測定時間帯とは無関係に若干低下する傾向にあることを把握することができ、労作時用の処方の見直しを検討することができる。また、例えば、15:00前後には酸素濃縮器110があまり使用されないことを把握することができる。よって、その時間帯は患者が日常的に外出している可能性を、日記や問診に依存しなくても認識することができる。
【0069】
図5は、安静時脈拍測定値の推移図の一例を示す図である。
【0070】
安静時脈拍測定値の推移
図143cは、記憶部132に記憶されている統合済み情報のうち、操作によって指定された期間(この例では過去3ヶ月間)とその後1ヶ月間に対応する部分に基づいて、その期間に行われたスポット測定の結果が表示されるように作成される。安静時用(この例では処方流量値1.00L/min)の脈拍測定値の推移
図143cの場合、X軸を測定日から解析日までの日数の軸としY軸を脈拍測定値の軸とする平面状に、各スポット測定における脈拍測定値を示すマーク144fがプロットされる。
【0071】
また、指定された過去3ヶ月間における脈拍測定値の平均値を示す線145が表示され、さらに、それとの比較の目安として、指定された過去3ヶ月間における脈拍測定値の平均値の120%に相当する値を示す線146が表示される。これにより、同じ処方流量値に対する脈拍測定値の傾向を把握することができる。
【0072】
図6は、時間帯別の酸素飽和度測定値の平均値比較図の一例を示す図である。
【0073】
時間帯別の酸素飽和度測定値の平均値比較
図143dは、記憶部132に記憶されている統合済み情報のうち、操作によって指定された期間に対応する部分に基づいて、その期間に行われたスポット測定の結果が表示されるように作成される。時間帯別の酸素飽和度測定値の平均値比較
図143dの場合、X軸を時間帯の軸としY軸を酸素飽和度測定値及び測定回数の軸とする平面上に、時間帯ごとの酸素飽和度測定値の平均値が折れ線グラフによって表示され、時間帯ごとの測定回数が棒グラフによって表示される。なお、時間帯ごとの平均値及び回数は、データ解析部133によって算出される。この平均値比較
図143dにより、時間帯ごとの傾向を一目瞭然とすることができるほか、各平均値の信頼性を同時に把握することができる。例えば、平均値が低下する傾向にある昼においては測定回数が比較的多いため、昼に測定された酸素飽和度の平均値の信頼性が比較的高いことが分かる。一方、就寝時については、測定回数が比較的少ないため、平均値が良好であってもその信頼性は必ずしも高くないことが分かる。
【0074】
図7は、酸素流量値別の酸素飽和度測定値の平均値比較図の一例を示す図である。
【0075】
酸素流量値別の酸素飽和度測定値の平均値比較
図143eは、記憶部132に記憶されている統合済み情報のうち、操作によって指定された期間に対応する部分に基づいて、その期間に行われたスポット測定の結果が表示されるように作成される。酸素流量値別の酸素飽和度測定値の平均値比較
図143eの場合、X軸を酸素流量値の軸としY軸を酸素飽和度測定値及び測定回数の軸とする平面上に、酸素流量値ごとの酸素飽和度測定値の平均値が折れ線グラフによって表示され、酸素流量値ごとの測定回数が棒グラフによって表示される。なお、酸素流量値ごとの平均値及び回数は、データ解析部133によって算出される。この平均値比較
図143dにより、酸素流量値ごとの傾向を一目瞭然とすることができるほか、各平均値の信頼性を同時に把握することができる。
【0076】
図8は、曜日別の酸素飽和度測定値の平均値比較図の一例を示す図である。
【0077】
曜日別の酸素飽和度測定値の平均値比較
図143fは、記憶部132に記憶されている統合済み情報のうち、操作によって指定された期間に対応する部分に基づいて、その期間に行われたスポット測定の結果が表示されるように作成される。曜日別の酸素飽和度測定値の平均値比較
図143fの場合、X軸を曜日の軸としY軸を酸素飽和度測定値及び脈拍測定値の軸とする平面上に折れ線グラフが表示される。具体的には、曜日ごとの酸素飽和度測定値の平均値の折れ線グラフが測定時間帯ごとに表示され、曜日ごとの脈拍測定値の平均値も測定時間帯ごとに表示される。なお、曜日ごと及び時間帯ごとの平均値は、データ解析部133によって算出される。この平均値比較
図143fにより、曜日ごとの傾向を一目瞭然とすることができる。例えば、土曜日は酸素飽和度が低下し脈拍が高くなる傾向にあることが分かる。なお、選択操作によって特定の時間帯の平均値の折れ線グラフを選択的に表示させることもできる。
【0078】
以上のように、本実施の形態によれば、酸素飽和度測定値及び脈拍測定値の解析情報として、動脈血酸素飽和度測定値を示すマークがその動脈血酸素飽和度測定値の測定日時における酸素流量値を判別可能な態様でプロットされている分布図が作成される。このため、酸素飽和度測定値の分布傾向と設定流量値との相関性を容易に且つ明確に見出すことができ、処方の的確性を正確に判断することができる。また、酸素飽和度測定値の分布から、患者が処方を遵守しているかについての客観的な判断材料を得ることもできる。すなわち、パルスオキシメータ120のスポット測定の結果を有効活用して、在宅酸素療法の詳細な経過観察を行うことができる。さらに、患者からの主観的で且つ限られた量の情報に依存することなく、より詳細な在宅療養生活を把握することができ、患者のQOLの向上に寄与することができる。
【0079】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に係る在宅酸素療法管理システムの構成を示すブロック図であり、実施の形態1の
図1に対応するものである。
図1と同一部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。
【0080】
図9に示すように、本実施の形態に係る在宅酸素療法管理システム100aは、実施の形態1とは異なる動作を行う器械動作ログ取得部112aを備えた酸素濃縮器110aと、実施の形態1とは異なる動作を行うデータ統合部122a(測定情報生成手段、測定時刻系設定手段)を備えたパルスオキシメータ120aとを有する。また、本実施の形態に係る在宅酸素療法管理システム100aは、クレードル(動作情報取得装置)160aを有する。本実施の形態においては、パルスオキシメータ120aは、酸素濃縮器110aの動作情報を、酸素濃縮器110aからではなく、クレードル160aから取得する。また、本実施の形態において、少なくともパルスオキシメータ120aは、工場出荷時以降に、手動での時計合わせと、在宅酸素療法管理装置130からの時計合わせとが可能となっているものとする。
【0081】
酸素濃縮器110aの器械動作ログ取得部112aは、器械動作ログを取得する毎に、取得した器械動作ログを、イベント情報として、データ転送処理部114を介してクレードル160aへ送信する。イベント情報は、例えば、故障や異常の発生等のアラーム情報、設定流量値の切り替え、酸素供給の開始及び停止、酸素供給中の実測流量値を含む。イベント情報は、酸素濃縮器110aの内部時計(時計・カレンダ機能部113)の時刻系(以下「濃縮器時刻系」という)に基づく時刻情報(以下「濃縮器時刻」という)を必ずしも含まなくてもよい。
【0082】
クレードル160aは、パルスオキシメータ120aの拡張機器であり、酸素濃縮器110aの外面に固定され、パルスオキシメータ120aを着脱可能に構成されている。クレードル160aは、パルスオキシメータ120aが装着されているとき、酸素濃縮器110aの給電を利用して、パルスオキシメータ120aの充電を行う。
【0083】
また、クレードル160aは、酸素濃縮器110aからイベント情報を受信し、受信した動作情報に、クレードル160aの内部時計の時刻系(動作時刻系、以下「クレードル時刻系」という)に基づく時刻情報(以下「クレードル時刻」という)を関連付けた情報を、動作情報として記憶する。酸素濃縮器110aが動作してからクレードル160aがイベント情報を受信するまでの時間は短い。したがって、本実施の形態の動作情報は、濃縮器時刻系ではなくクレードル時刻系が基準となっていること以外は、実施の形態1の動作情報と同質のものである。
【0084】
更に、クレードル160aは、パルスオキシメータ120aとの間で、クレードル時刻と、パルスオキシメータ120aの内部時計(時計・カレンダ機能部123)の時刻系(測定時刻系、以下「オキシメータ時刻系」という)との時計合わせを行う。
【0085】
クレードル160aは、データ管理部162a(動作時刻系設定手段、検出手段、動作情報生成手段)、時計・カレンダ機能部163a、データ転送処理部164a及びデータ記憶部165aを有する。
【0086】
データ管理部162aは、データ転送処理部164aが酸素濃縮器110aから受信した酸素濃縮器110aのイベント情報を取得する。そして、データ管理部162aは、取得したイベント情報に、時計・カレンダ機能部163aから取得するクレードル時刻を関連付けた情報を、酸素濃縮器110aの動作情報として、データ記憶部165aに格納する。
【0087】
また、データ管理部162aは、データ転送処理部164aを介してパルスオキシメータ120aに通信可能に接続されたときに、パルスオキシメータ120aとの間で、オキシメータ時刻系とクレードル時刻系との時計合わせを行う。より具体的には、データ管理部162aは、オキシメータ時刻系の信頼度が高いときには、時計・カレンダ機能部163aに対して、クレードル時刻系をオキシメータ時刻系に合わせる調整を行う。
【0088】
データ転送処理部164aは、クレードル160aと酸素濃縮器110a及びパルスオキシメータ120aとを通信可能に接続するためのコネクタ(図示せず)を有する。そして、データ転送処理部164aは、このコネクタを介して酸素濃縮器110aに通信可能に接続されている間、酸素濃縮器110aから送られてくるイベント情報を受信し、受信したイベント情報を、データ管理部162aへ渡す。
【0089】
また、データ転送処理部164aは、コネクタを介してパルスオキシメータ120aに通信可能に接続されたときに、データ記憶部165aに格納された動作情報を、パルスオキシメータ120aに転送する。
【0090】
データ記憶部165aは、データ管理部162aによって格納された動作情報を保持する。本実施の形態では、データ記憶部165aは、クレードル160aに内蔵されたものであるが、リムーバブルメディア等の着脱自在な記憶媒体であってもよい。
【0091】
パルスオキシメータ120aのデータ統合部122aは、実施の形態1と同様に、酸素飽和度測定値及び脈拍測定値にオキシメータ時刻を関連付けた測定情報と、酸素濃縮器110aの動作情報とを統合した統合済み情報を、データ記憶部125に格納する。
【0092】
また、データ統合部122aは、データ転送処理部124を介してクレードル160aに通信可能に接続されたときに、クレードル160aとの間で、クレードル時刻系とオキシメータ時刻系との時計合わせを行う。より具体的には、データ統合部122aは、オキシメータ時刻系の信頼度が低いときには、時計・カレンダ機能部123に対して、オキシメータ時刻系をクレードル時刻系に合わせる調整を行う。
【0093】
なお、クレードル160aのデータ管理部162a及びパルスオキシメータ120aのデータ統合部122aは、例えば、それぞれCPU等の演算装置(図示せず)を有し、演算装置によるプログラムの実行により機能を発揮する。
【0094】
このような構成の在宅酸素療法管理システム100aは、パルスオキシメータ120aの充電中に、酸素濃縮器110aの動作情報とパルスオキシメータ120aの測定情報とを統合した統合済み情報を生成することができる。すなわち、在宅酸素療法管理システム100aは、患者に意識させることなく、また、特に負担を掛けることなく、統合済み情報の生成と搬送とを行うことができる。また、在宅酸素療法管理システム100aは、クレードル時刻系とオキシメータ時刻系との時計合わせを行うので、精度の高い統合済み情報を生成することができる。
【0095】
オキシメータ時刻系やクレードル時刻系の信頼度は、時計合わせから長い時間が経過したり内部時計が初期化されたときには低下する。時刻系の狂いの発見や時計合わせの操作は、患者の自宅に設置された酸素濃縮器110aに固定されているクレードル160aよりも、患者が携帯するパルスオキシメータ120aのほうが行い易い。したがって、通常は、クレードル時刻系の精度よりもオキシメータ時刻系の精度のほうが高く、時刻合わせはオキシメータ時刻系を基準として行われるべきである。
【0096】
ところが、時計合わせの操作を患者自身が行った場合や、内部時計が初期化されてそのままとなっている場合には、オキシメータ時刻系の精度は、クレードル時刻系の精度よりも低くなることがある。このような場合には、時刻合わせはクレードル時刻系を基準として行われるべきである。
【0097】
そこで、本実施の形態に係る在宅酸素療法管理システム100aは、オキシメータ時刻系の信頼度が高いときにはオキシメータ時刻系を基準とし、オキシメータ時刻系の信頼度が低いときにはクレードル時刻系を基準として、時計合わせを行う。これにより、在宅酸素療法管理システム100aは、時刻情報の信頼度の高い統合済み情報を生成することができる。したがって、例えば、医師は、実施の形態1のように統合済み情報を用いて患者の在宅酸素療法の経過観察を行う際に、より精度の高い統合済み情報を用いることができるので、当該経過観察をより的確に行うことができる。
【0098】
次に、本実施の形態に係るパルスオキシメータ120aおよびクレードル160aの動作について説明する。
【0099】
図10は、パルスオキシメータ120aの動作を説明するフロー図である。ここでは、統合済み情報に関する動作のみに着目して説明を行う。また、パルスオキシメータ120aは、オキシメータ時刻系の信頼度を示すフラグとして、第1のフラグと第2のフラグとを用いる。第1のフラグは、値が0のとき時計合わせが行われていること(信頼度の高低には無関係)を示し、値が1のとき時計合わせが行われていないことを示す。第2のフラグは、値が0のとき、オキシメータ時刻系の信頼度が低いことを示し、値が1のとき、オキシメータ時刻系の信頼度が高いことを示す。
【0100】
まず、ステップS1010〜S1030において、データ統合部122aは、順次、手動で時計合わせが行われたか、在宅酸素療法管理装置130によって時計合わせが行われたか、及び内部時計の初期化が行われたかを判断する。内部時計の初期化は、例えば、パルスオキシメータ120aの保護回路(図示せず)がなんらかの原因で働いたときに行われる。なお、データ統合部122aは、内部時計が初期状態のままの場合を、内部時計の初期化が行われた状態として扱っても良い。
【0101】
データ統合部122aは、手動で時計合わせが行われた場合には(S1010:YES)、ステップS1040を経てステップS1070へ進み、在宅酸素療法管理装置130から時計合わせが行われた場合には(S1020:YES)、ステップS1050を経てステップS1070へ進む。また、データ統合部122aは、時計の初期化が行われた場合には(S1030:YES)、ステップS1060を経てステップS1070へ進み、時計合わせも時計の初期化も行われていない場合には(S1010:NO、S1020:NO、S1030:NO)、そのままステップS1070へ進む。
【0102】
ステップS1040において、データ統合部122aは、第1のフラグを0に設定し、第2のフラグを0に設定する。
【0103】
また、ステップS1050において、データ統合部122aは、第1のフラグを0に設定し、第2のフラグを1に設定する。
【0104】
また、ステップS1060において、データ統合部122aは、第1のフラグを1に設定し、第2のフラグを1に設定する。
【0105】
そして、ステップS1070において、データ統合部122aは、第1のフラグが0か否かを判断する。データ統合部122aは、第1のフラグが0の場合には(S1070:YES)、ステップS1080へ進み、第1のフラグが1の場合には(S1070:NO)、ステップS1090へ進む。
【0106】
ステップS1080において、データ統合部122aは、酸素飽和度計測部121による測定値に、時計・カレンダ機能部123によるオキシメータ時刻を関連付けた測定情報を生成し、生成した測定情報を、データ記憶部125へ格納する。
【0107】
そして、ステップS1100において、データ統合部122aは、パルスオキシメータ120aが、クレードル160aに新たに装着されたか否かを判断する。データ統合部122aは、パルスオキシメータ120aがクレードル160aに新たに装着された場合には(S1100:YES)、ステップS1110へ進む。また、データ統合部122aは、パルスオキシメータ120aがクレードル160aに新たに装着されていない、またはクレードル160aに装着された状態が継続している場合には(S1100:NO)、ステップS1130へ進む。
【0108】
ステップS1110において、データ統合部122aは、第1のフラグの値と第2のフラグの値とをクレードル160aへ送信すると共に、クレードル160aとの間で現在時刻を交換する。すなわち、データ統合部122aは、オキシメータ時刻系による現在時刻を、その信頼度を示すフラグの値と共にクレードル160aへ送信し、クレードル時刻系による現在時刻をクレードル160aから受信する。
【0109】
ステップS1120において、データ統合部122aは、次に、第2のフラグが0か否かを判断する。データ統合部122aは、第2のフラグが0の場合には(S1120:YES)、ステップS1140を経てステップS1150へ進み、第2のフラグが1の場合には(S1120:NO)、そのままステップS1150へ進む。
【0110】
ステップS1140において、データ統合部122aは、オキシメータ時刻系を、クレードル時刻系に合わせる。より具体的には、データ統合部122aは、クレードル160aから受信した現在時刻に、送信した現在時刻が一致するように、時計・カレンダ機能部123を調整する。
【0111】
そして、ステップS1150において、データ統合部122aは、クレードル160aから酸素濃縮器110aの動作情報が送られてきた場合には、動作情報を受信し、受信した動作情報をデータ記憶部125へ格納する。この動作情報は、上述の通り、測定情報と統合されて、統合済み情報を構成する。
【0112】
そして、ステップS1160において、データ統合部122aは、統合済み情報に関する処理を継続するか否かを判断する。データ統合部122aは、統合済み情報に関する処理を継続する場合には(S1160:YES)、ステップS1010へ戻り、統合済み情報に関する処理を継続しない場合には(S1160:NO)、一連の処理を終了する。
【0113】
一方、ステップS1130において、データ統合部122aは、パルスオキシメータ120aが、在宅酸素療法管理装置130に新たに接続されたか否かを判断する。データ統合部122aは、パルスオキシメータ120aが在宅酸素療法管理装置130に新たに接続された場合には(S1130:YES)、ステップS1170へ進む。また、データ統合部122aは、パルスオキシメータ120aが在宅酸素療法管理装置130に新たに接続されていない、または在宅酸素療法管理装置130に接続された状態が継続している場合には(S1130:NO)、ステップS1160へ進む。
【0114】
ステップS1170において、データ統合部122aは、データ記憶部125に、在宅酸素療法管理装置130に未送信の統合済み情報が格納されているか否かを判断する。データ統合部122aは、未送信の統合済み情報が格納されている場合には(S1170:YES)、ステップS1180へ進み、未送信の統合済み情報が格納されていない場合には(S1170:NO)、ステップS1160へ進む。
【0115】
在宅酸素療法管理装置130へ送信された統合済み情報を残す場合には、データ統合部122aは、例えば、統合済み情報の単位毎に、送信したか否かを示すフラグを設定すれば良い。また、データ統合部122aは、在宅酸素療法管理装置130へ送信された統合済み情報をデータ記憶部125から削除する場合には、単に、データ記憶部125に統合済み情報が格納されているか否かによって、上記判断を行うことができる。
【0116】
ステップS1180において、データ統合部122aは、未送信の統合済み情報を在宅酸素療法管理装置130へ送信して、ステップS1160へ進む。
【0117】
また、ステップS1090において、データ統合部122aは、時計合わせが行われておらず統合済み情報を生成することができないことを示すエラーメッセージを出力して、ステップS1160へ進む。エラーメッセージは、例えば、「測定を行うことができません」という文章の文字や音声である。
【0118】
このような動作により、パルスオキシメータ120aは、クレードル160aに装着される毎に未受信の酸素濃縮器110aの動作情報を受信すると共に、オキシメータ時刻系の信頼度が低いときに、クレードル時刻系を基準とする時計合わせを行うことができる。また、パルスオキシメータ120aは、在宅酸素療法管理装置130に接続される毎に、未送信の統合済み情報を在宅酸素療法管理装置130へ送信することができる。更に、パルスオキシメータ120aは、時計合わせが行われていないときは、統合済み情報の生成及び送信を行わずに、エラーメッセージを出力することができる。
【0119】
図11は、クレードル160aの動作を説明するフロー図である。ここでは、動作情報に関する動作のみに着目して説明を行う。
【0120】
まず、ステップS2010において、データ管理部162aは、酸素濃縮器110aから新たなイベント情報を受信したか否かを判断する。データ管理部162aは、新たなイベント情報を受信した場合には(S2010:YES)、ステップS2020へ進み、新たなイベント情報を受信していない場合には(S2010:NO)、ステップS2030へ進む。
【0121】
ステップS2020において、データ管理部162aは、受信したイベント情報(酸素供給の開始とそのときの設定流量値とを示す情報等)に、受信時のクレードル時刻を関連付けた動作情報を生成し、生成した動作情報を、データ記憶部165aに格納する。
【0122】
そして、ステップS2040において、データ管理部162aは、動作情報に関する処理を継続するか否かを判断する。データ管理部162aは、動作情報に関する処理を継続する場合には(S2040:YES)、ステップS2010へ戻り、動作情報に関する処理を継続しない場合には(S2040:NO)、一連の処理を終了する。すなわち、クレードル160aは、イベント情報を受信する毎に、クレードル時刻系による受信時刻を用いて動作情報を生成する。
【0123】
また、ステップS2030において、データ管理部162aは、パルスオキシメータ120aがクレードル160aに新たに装着されたか否かを判断する。データ管理部162aは、パルスオキシメータ120aがクレードル160aに新たに装着された場合には(S2030:YES)、ステップS2050へ進む。また、データ管理部162aは、パルスオキシメータ120aがクレードル160aに新たに装着されていない、またはクレードル160aに装着された状態が継続している場合には(S2030:NO)、ステップS2040へ進む。
【0124】
ステップS2050において、データ管理部162aは、第1のフラグの値と第2のフラグの値とをパルスオキシメータ120aから受信すると共に、パルスオキシメータ120aとの間で現在時刻を交換する。すなわち、データ管理部162aは、オキシメータ時刻系による現在時刻を、その信頼度を示すフラグの値と共にパルスオキシメータ120aから受信し、クレードル時刻系による現在時刻をパルスオキシメータ120aへ送信する。
【0125】
そして、ステップS2060において、データ管理部162aは、パルスオキシメータ120aの第1のフラグが0か否かを判断する。データ管理部162aは、第1のフラグが0の場合には(S2060:YES)、ステップS2070へ進み、第1のフラグが1の場合には(S2060:NO)、ステップS2040へ進む。
【0126】
ステップS2070において、データ管理部162aは、パルスオキシメータ120aの第2のフラグが0か否かを判断する。データ管理部162aは、第2のフラグが0の場合には(S2070:YES)、そのままステップS2090へ進み、第2のフラグが1の場合には(S2070:NO)、ステップS2080を経てステップS2090へ進む。
【0127】
ステップS2080において、データ管理部162aは、クレードル時刻系を、オキシメータ時刻系に合わせる。より具体的には、データ管理部162aは、パルスオキシメータ120aから受信した現在時刻に、送信した現在時刻が一致するように、時計・カレンダ機能部163aを調整する。
【0128】
ステップS2090において、データ管理部162aは、データ記憶部165aに、パルスオキシメータ120aに未送信の動作情報が格納されているか否かを判断する。データ管理部162aは、未送信の動作情報が格納されている場合には(S2090:YES)、ステップS2100へ進み、未送信の動作情報が格納されていない場合には(2090:NO)、ステップS2040へ進む。
【0129】
パルスオキシメータ120aへ送信された動作情報を残す場合には、データ記憶部165aは、例えば、動作情報の単位毎に、送信したか否かを示すフラグを設定すれば良い。また、データ記憶部165aは、パルスオキシメータ120aへ送信された動作情報をデータ記憶部165aから削除する場合には、単に、データ記憶部165aに動作情報が格納されているか否かによって、上記判断を行うことができる。
【0130】
ステップS2100において、データ管理部162aは、未送信の動作情報をパルスオキシメータ120aへ送信して、ステップS2040へ進む。
【0131】
このような動作により、クレードル160aは、酸素濃縮器110aから受信したイベント情報に基づいて、動作情報を生成することができる。また、クレードル160aは、パルスオキシメータ120aが装着される毎に、未送信の酸素濃縮器110aの動作情報を送信すると共に、オキシメータ時刻系の信頼度が高いときに、オキシメータ時刻系を基準とする時計合わせを行うことができる。更に、クレードル160aは、パルスオキシメータ120aの時計合わせが行われていないときは、動作情報の送信を停止することができる。
【0132】
以上のように、本実施の形態に係る在宅酸素療法管理システム100aは、クレードル160aとパルスオキシメータ120aとの間で時計合わせを行うので、酸素濃縮器110aの動作情報とパルスオキシメータ120aの測定情報との間で時刻系が揃った状態で、統合済み情報を生成することができる。また、在宅酸素療法管理システム100aは、時計合わせがどのように行われたか、及び時計の初期化が行われたか否かを検出して記録するので、オキシメータ時刻系の信頼度を容易に判断することができる。また、在宅酸素療法管理システム100aは、オキシメータ時刻系の信頼度に応じて時間合わせの基準を変えるので、統合済み情報の時間軸の精度を向上させることができる。すなわち、患者の在宅酸素療法の経過観察を、より的確に行うことが可能となる。
【0133】
以上、本発明の各実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれらに限定されない。つまり、上記各装置の構成及び各装置の使用時の動作についての説明は例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【0134】
例えば、上記実施の形態2においては、動作情報は、クレードルにおいて生成されるとしたが、実施の形態1と同様に、酸素濃縮器において生成されても良い。この場合には、酸素濃縮器とパルスオキシメータとの間で、オキシメータ時刻系の信頼度に応じた、濃縮器時刻系とオキシメータ時刻系との間の時計合わせを行うようにすれば良い。また、この場合には、パルスオキシメータへの充電が別途可能であれば、酸素濃縮器とパルスオキシメータとの間にクレードルは必ずしも必要ではない。また、クレードルから酸素濃縮器の濃縮器時刻系を調整可能であれば、クレードルは、濃縮器時刻が関連付けられたイベント情報をそのまま動作情報として扱うと共に、濃縮器時刻系とオキシメータ時刻系との間の時計合わせを行っても良い。また、パルスオキシメータと在宅酸素療法管理装置との間に、パルスオキシメータの充電のためのクレードルを配置しても良い。
【0135】
また、上記実施の形態2において、第1のフラグを第2のフラグに包括させたり、第1のフラグを用いないようにしても良い。この場合には、在宅酸素療法管理システムは、第2のフラグの値のみに基づいて、時計合わせの基準を決定すれば良い。また、オキシメータ時刻系の信頼度をクレードルに通知する手段は、フラグの値の送信に限定されない。例えば、パルスオキシメータは、オキシメータ時刻系の信頼度が高いときにのみオキシメータ時刻系による現在時刻をクレードルに送信する。この場合、クレードルは、オキシメータ時刻系による現在時刻を受信したときに、オキシメータ時刻系にクレードル時刻系を合わせるようにすれば良い。また、パルスオキシメータは、オキシメータ時刻系の信頼度が低い場合には、クレードル時刻系に合わせることなく、処理を停止するようにしても良い。
【0136】
また、上記各実施の形態においては、パルスオキシメータで測定される生体パラメータの1つ或いは在宅酸素療法管理装置で解析される生体パラメータの1つが動脈血酸素飽和度であるが、上記実施の形態の変形例では、この生体パラメータが動脈血酸素分圧(PaO
2)であってもよい。また、上記実施の形態のさらなる変形例では、パルスオキシメータで動脈血酸素飽和度の測定を行い、在宅酸素療法管理装置でその測定値を動脈血酸素分圧の値に変換して変換後の値について解析を行ってもよいし、その逆を行ってもよい。
【0137】
また、上記各実施の形態においては、室内空気を圧縮して圧縮空気から高濃度酸素を生成するタイプの酸素供給装置である酸素濃縮器が用いられているが、上記各実施の形態の変形例では、液体酸素から高濃度酸素を生成するタイプの酸素供給装置を用いてもよい。
【0138】
また、上記各実施の形態においては、酸素濃縮器の動作情報を搬送する機器をパルスオキシメータとしたが、これに限定されない。当該機器としては、心電図、血圧、歩数、加速度センサによる計測される活動強度等の他の生体パラメータの測定を行う、酸素療法に関連する各種の生体情報測定器を採用することができる。