特許第6088013号(P6088013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジック アーゲーの特許一覧

特許6088013物体を検査及び/又は計測するためのカメラシステム及び方法
<>
  • 特許6088013-物体を検査及び/又は計測するためのカメラシステム及び方法 図000002
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6088013
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】物体を検査及び/又は計測するためのカメラシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20170220BHJP
   G01J 1/12 20060101ALI20170220BHJP
   G01J 1/44 20060101ALI20170220BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20170220BHJP
   H04N 9/04 20060101ALI20170220BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   G01N21/84 E
   G01J1/12
   G01J1/44 E
   G01J1/02 P
   H04N9/04 B
   G06T1/00 420F
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-175370(P2015-175370)
(22)【出願日】2015年9月7日
(65)【公開番号】特開2016-80688(P2016-80688A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2015年10月2日
(31)【優先権主張番号】14188434.6
(32)【優先日】2014年10月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591005615
【氏名又は名称】ジック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン シュナイダー
【審査官】 蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−062862(JP,A)
【文献】 特開平05−048958(JP,A)
【文献】 特開2002−320231(JP,A)
【文献】 特開2011−013300(JP,A)
【文献】 特開2008−275487(JP,A)
【文献】 特開昭53−119623(JP,A)
【文献】 特開2003−009162(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0060755(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0061850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01、21/17−21/61、
21/84−21/958
G01J 1/00−1/60、11/00
G06T 1/00、1/60
H04N 9/04−9/11
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラーイメージセンサ(16)と、前記カラーイメージセンサ(16)の前にある、物体(2)を環境(40)から前記カラーイメージセンサ(16)上に結像するための対物機構(26)と
記環境(40)を非単色光により照明することができる少なくとも1つの撮影用照明光源(10、12)
少なくとも1つの参照用内部照明光源(14)であって、前記カラーイメージセンサ(16)を、該参照用内部照明光源により、該参照用内部照明光源により照射される光が前記対物機構(26)を通過することなく照明することができるように配置される参照用内部照明光源、を有するカメラシステム(1)を使用する方法であって、
前記少なくとも1つの撮影用照明光源(10、12)の経年劣化及び温度の作用を補正するために、中間画像又は中間部分画像が、前記少なくとも1つの参照用内部照明光源(14)のみによる前記カラーイメージセンサ(16)の照明の下で且つ前記少なくとも1つの撮影用照明光源(10、12)による照明なしに、前記カメラシステム(1)の作動中に周期的に撮影され、前記少なくとも1つの撮影用照明光源(10、12)による照明の下で撮影される画像と関係付けられる、前記環境(40)中の物体(2)を検査及び/又は計測するための方法
【請求項2】
記少なくとも1つの参照用内部照明光源(14)と前記少なくとも1つの撮影用照明光源(10、12)とが、相互に同一の構造であること、を特徴とする請求項1に記載の方法
【請求項3】
記少なくとも1つの撮影用照明光源(10、12)と前記少なくとも1つの参照用内部照明光源(14)とが、各々、少なくとも1つのLEDにより形成されること、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法
【請求項4】
記少なくとも1つの撮影用照明光源と前記少なくとも1つの参照用照明光源とが、各々、少なくとも3つの個別光源を含むこと、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法
【請求項5】
記少なくとも1つの参照用内部照明光源(14)が、前記カラーイメージセンサ(16)をスペクトル的に一様に照明するように構成及び配置されること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法
【請求項6】
照射される光学要素が、前記少なくとも1つの参照用内部照明光源(14)と前記カラーイメージセンサ(16)との間の光路内に位置しないこと、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法
【請求項7】
動前に、
(i)既知である参照物体の画像が、前記少なくとも1つの撮影用照明光源(10、12)による照明の下で撮影され、
(ii)前記既知である参照物体の画像が照明なしに撮影され、
(iii)前記少なくとも1つの参照用内部照明光源(14)による照明の下でのみ画像が撮影される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の物体を検査及び/又は計測するための方法。
【請求項8】
境光の影響を補正するために、環境(40)の明/暗画像が作動中に周期的に撮影されて互いに関係付けられ、前記明画像が前記少なくとも1つの撮影用照明光源(10、12)による照明の下でのみ撮影され、前記暗画像が照明なしに撮影される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の物体を検査及び/又は計測するための方法。
【請求項9】
ペクトル感度の空間的非一様性を考慮するために、中間画像又は中間部分画像が、前記少なくとも1つの参照用内部照明光源(14)のみによる前記カラーイメージセンサ(16)の照明の下で、作動中に周期的に撮影される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の物体を検査及び/又は計測するための方法。
【請求項10】
記カラーイメージセンサ(16)の一部からのデータのみがそれぞれ読み出される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の物体を検査及び/又は計測するための方法。
【請求項11】
前記カメラシステムの前記少なくとも1つの撮影用照明光源(10、12)により、前記環境(40)が前記対物機構(26)を通過することなく前記非単色光により照明される得る、請求項1〜10のいずれか1項に記載の物体(2)を検査及び/又は計測するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境中の物体を検査及び/又は計測するためのカメラシステムであって、カラーイメージセンサと、前記カラーイメージセンサの前にある、物体を前記環境から前記カラーイメージセンサ上に結像するための対物機構とを含み、更に、前記環境を非単色光により照明することができる少なくとも1つの撮影用照明光源を含むカメラシステムに関する。本発明は更に、このようなカメラシステムを使用して実行される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検査する又は計測するという用語は、この点に関して、存在又は不在、寸法、又は、色彩等の物理的特性が判定されるようなことであると理解されるべきである。
【0003】
物体の検査及び計測において、カメラシステムの使用が増えている。この点に関し、物体の色が3つのチャネル(赤色、緑色、青色)において再現されることを許容するカラーイメージセンサを用いた検査用途の場合、色調を正しく捕捉することを確実にするために、ホワイトバランスを実行せねばならない(これは、透過スペクトルの教示及び/又はスペクトル的に異なるイメージセンサ感度の考慮である)。例えば、異なる照明LEDが異なる波長に対して異なる光パワー密度を有し、他方で、カラーチャネルが異なるとイメージセンサの量子収量のレベルが異なり得るため、このホワイトバランスが特に必要になる。
【0004】
通常、ホワイトバランスのために、一様な反射率を有する参照物体が、カメラシステムにより検出される環境に導入される。このような工程では、参照物体の画像が撮影され、続いてイメージセンサの3つのカラーチャネル(赤色、緑色、青色)が、個々のゲインにより又は個々のオフセットにより、均一な信号レベルまでもたらされる。その後、極力良好な色忠実度を得るために、後の作動において、撮影された各画像が対応する値により補正される。カメラ採光を用いて及び用いずに複数の画像を撮影した後に、環境光の影響を算出又は考慮することができる。この点で、このようなカメラシステムの色忠実度は、ホワイトバランスの質に、そして特にスペクトル照明特性の安定性に依存している。ところが、照明特性は特に作動中に変化することがある。
【0005】
こうして、作動中に使用される照明LEDの経年劣化が生じることがある。従って、特に複数のLED(赤色、緑色、及び青色)が使用される場合、3つの異なるカラーチャネルについて、光子中の電子間における変換効率の個々の経年劣化が生じることがある。他方、照明LEDとして白色LEDが使用される場合、特に長めの波長へのスペクトルのシフトが起こることがある。
【0006】
温度作用がスペクトルシフトをもたらすこともある。複数の照明LED(赤色、緑色、青色)の使用に関して、3つの異なるカラーチャネルの変換効率の個々の温度依存性が生じることがある。白色光LEDの使用に関して、青色ピークのシフトが、ここで特に、長めの波長の方向に起こることがある。
【0007】
他方、環境光(すなわち外部光スペクトル)も変動することがある。従って、例えば、時刻に依存した日光の影響、経年劣化の影響、又は、人工的な環境採光の交換の又は環境におけるランプのオンオフ切替の影響が生じることがある。
【0008】
これらの作用を考慮するために、参照物体を用いた時間のかかるホワイトバランスを実際の計測中も何度も繰り返し周期的に反復せねばならず、これによって計測は著しく遅延する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
物体を検査及び/又は計測するための、温度及び経年劣化への依存度が小さいカメラシステム及び方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴を有するカメラシステムにより及び請求項11の特徴を有する方法により達成される。
【0011】
本発明による前記カメラシステムでは、前記撮影用照明光源に加えて少なくとも1つの参照用内部照明光源が設けられ、前記参照用内部照明光源は、前記カラーイメージセンサを、該参照用内部照明光源により、該参照用内部照明光源により照射される光が前記対物機構を通過することなく照明することができるように配置される。
【0012】
後述するような本発明によるカメラシステムを用いれば、反復して実行されねばならないホワイトバランスを省くこと、及び/又は、経年劣化と温度の影響を考慮することが可能である。
【0013】
本発明による方法は、本発明によるカメラシステムを使用して実行される。
【0014】
従って、前記少なくとも1つの参照用内部照明光源を用いて前記カラーイメージセンサを前記少なくとも1つの撮影用照明光源による照明なしに照明する間にのみ、周期的な中間画像又は中間部分画像が実際の作動中に撮影され、前記少なくとも1つの撮影用照明光源を用いて(かつ任意で前記参照用内部照明光源による照明なしに)撮影される画像と関係付けられる、本発明による第1の方法(請求項11)を実行することが実現される。このことにより、前記撮影用照明光源及び前記参照用照明光源への均等負荷に基づき同一の経年劣化作用が予測されるべきであることから、前記少なくとも1つの撮影用照明光源の経年劣化及び温度作用は単純なやり方で補正することができる。更に、前記照明光源は、概して、同一の温度影響に晒される。従って、前記撮影用照明光源のスペクトル特性の変化は、同一のやり方で前記参照用照明光源にも反映される。従って、特に、前記撮影用照明光源の経年劣化及び温度の影響は、前記撮影用照明光源による環境の照明と、前記カメラシステム内部に設けられる前記参照用照明光源のみによる照明との間の周期的変化により、単純なやり方で考慮することができる。その際、温度又は経年劣化の影響は、例えば、前記撮影用照明光源による照明の下で撮影される画像について、対応する評価装置内で算出することができ、前記影響が両方の照明光源に同一のやり方で反映される。
【0015】
前記参照用内部照明光源と前記少なくとも1つの撮影用照明光源とが、相互に同一の構造であると、好ましくは同一のバッチでさえあると、特に有利である。このやり方では、例えば温度又は経年劣化の環境影響が、両方の照明光源において同一の作用を有することが確実になる。
【0016】
一方、これは労力が増すことを意味するが、例えば前記参照用内部照明光源への環境影響が既知であれば、温度又は経年劣化の環境影響は、異なる照明光源を用いて考慮することもできる。
【0017】
前記撮影用照明光源と前記参照用照明光源の両方が、単純かつ安価である少なくとも1つのLEDにより形成されることを、別の実施形態が実現する。好ましくは、単純な構造を可能にする白色光LEDがそれぞれに使用される。
【0018】
もっとも、原則として、前記少なくとも1つの撮影用照明光源及び前記少なくとも1つの参照用照明光源用に、特に赤色光、緑色光、及び青色光を照射して白色光をシミュレートする少なくとも3つの個別光源をそれぞれに設けることもできる。
【0019】
本発明による前記カメラシステムにおいて使用される前記カラーイメージセンサは、例えば、相応に設計された、色に敏感なCCDアレイにより形成することができる。別法として、前記カラーイメージセンサは、相応に事前配置された色フィルタ(赤色、緑色、及び青色)に起因した異なる波長を好ましくは検出する複数のフォトダイオードを含むこともできる。
【0020】
大きな計算労力なしに環境影響を考慮できるようにするために、前記カラーイメージセンサは、前記参照用内部照明光源により、スペクトル的に極力一様に照明されるべきである。さもなくば、異なるスペクトル照明度に対する変換機能が必要である。
【0021】
この目的で、前記参照用照明光源は、有利なことに、前記カラーイメージセンサのすぐ近傍に配置される。
【0022】
従って更に、前記イメージセンサの前記参照用照明光源による光照射が空間的近接に起因して非常に強いため、環境影響がより比較的小さい影響しか有し得ないことが確実になる。というのも、特に前記参照用照明光源による照明の下で1回の照明時間を短く保つことができるからでもある。
【0023】
別法として又は同時に、前記カラーイメージセンサがスペクトル的に一様に照明されるよう、前記参照用内部照明光源が位置決めされる又はその設計が構成されることが実現されると有利である。ここでは、追加の拡散体を任意で使用することができ、又は、前記カメラシステム内に任意で設けられる光学フィルタの残留反射を利用して、前記カラーイメージセンサを前記参照用照明光源の光により一様に照明することを確実にすることができる。
【0024】
照射される光学要素が、温度又は経年劣化の影響を左右することが一切できないよう、前記少なくとも1つの参照用内部照明光源と前記カラーイメージセンサとの間の光路内にこのような要素が位置しない場合、前記構造はより一層単純になる。
【0025】
有利なことに、本発明による前記カメラシステム内には、前記カラーイメージセンサの少なくとも2種類の信号を読み出して互いに関係付けるように設計される評価ユニットが設けられ、前記カラーイメージセンサの少なくとも2種類の信号は、以下の群:(i)前記少なくとも1つの撮影用照明光源により(任意で前記参照用照明光源による照明なしに)受信される信号、(ii)前記少なくとも1つの撮影用照明光源による照明なしに且つ前記少なくとも1つの参照用内部照明光源による照明なしに受信される信号、及び(iii)前記少なくとも1つの参照用内部照明光源のみにより受信される信号、に包含される。特に、このような構成のカメラシステムを使用してホワイトバランスを作動前に実行することが、単純なやり方で可能である。
【0026】
この目的で、本発明による請求項12に記載の工程管理は、作動前に、(i)既知である参照物体の画像が、前記少なくとも1つの撮影用照明光源による照明の下で撮影され、(ii)既知である参照物体の画像が、照明なしに撮影されるということを実現する。前記環境光である前記外部光の影響を、まずこれらの2つの計測値により判定することができる。更に(iii)前記少なくとも1つの参照用内部照明光源による照明の下でのみ、画像が撮影される。このやり方で、前記対物レンズの特性を算出し考慮することもできる。
【0027】
結果として、前記第1ホワイトバランスの補正値が得られ、前記対物レンズと前記外部光の両方の色特性を判定することができる。
【0028】
本発明による前記カメラシステムを使用すれば、請求項11の主題であるような本発明による前記方法を使用して、前記少なくとも1つの参照用内部照明光源のみを使用して、前記カラーイメージセンサを照明しつつ実際の作動中に周期的に中間画像を撮影し、これらの中間画像を、前記少なくとも1つの撮影用照明光源により撮影された画像に関係付け、前記少なくとも1つの撮影用照明光源の経年劣化及び温度の作用を作動中に補正することが可能である。
【0029】
本発明による前記方法において、いずれの場合も前記カラーイメージセンサの一部のみからのデータが読み出され、本発明による前記カメラシステムが、例えば急速に変化する環境又は急速に動く物体にとって適応することができるよう、相応に構成されると有利なことがある。
【0030】
外部光レベル又は外部光のスペクトル特性の起こり得る変化の影響を考慮するために、環境の周期的な明/暗画像を、(前記撮影用照明光源による照明を用い及び用いずに、並びに前記参照光源による照明なしに)撮影することができる。
【0031】
本発明による前記カメラシステムを使用して、本発明による前記方法の実施形態を実行することもできる。そこでは、例えば前記カラーイメージセンサのスペクトル感度の存在し得る空間的不規則性(この不規則性は、例えば経年数及び温度にも依存可能ある)を補正できるようにするために、前記カラーイメージセンサを照明しつつ前記少なくとも1つの参照用内部照明光源により中間画像のみが作動中に周期的に撮影される。
【0032】
本発明による前記カメラシステムの更なる展開は、前記したカラーイメージセンサに加えて、異なるスペクトル感度の光受信器が、前記対物機構の後方に、好ましくは同様に前記カラーイメージセンサの近傍に配置されることを実現する。「後方に」とは、ここでは、前記参照用照明光源により照射される光が、前記カラーイメージセンサに、前記対物機構を通過することなく到達できるようなことであると理解されるべきである。単純な実施形態が、この目的で事前配置されたスペクトル色フィルタ(赤色、緑色、及び青色)を備えた3つのフォトダイオードの配置を提供する。その場合、露出時間周期及び非露出時間周期における光のスペクトル分布を、前記カメラシステム内でスペクトル散乱光分析を介して分析し検査することができる。
【0033】
本発明による前記カメラシステムのこのような実施形態により、本発明による前記した工程管理に加えて、前記カラーイメージセンサと前記撮影用照明光源の両方のスペクトル特性の更なる考慮、例えば更なる制御可能性を提供することが可能になる。
【0034】
本発明を、添付の略図を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明によるカメラシステム。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1に、本発明によるカメラシステム1を概略的に示す。この点に関して、例えば物体2が中に位置する環境40が観察される。ここで図示する実施形態において、物体2は、コンベヤベルト又は棚ホルダ、又は同様のもの等である表面18上に位置する。ここで、カメラシステム1は、その前壁38が概略的に示されるハウジング内に配置される。前壁に開口部が位置し、この開口部の後方に、環境40からの光24を集束する1つ以上の対物レンズを含む対物機構26が配置され、この光がカラーイメージセンサ16上に光30として入射する。この点に関して、環境40は、照明光源22及び20をそれぞれ有する撮影用照明LED10、12の助けを借りて照明される。当然ながら、異なる数の撮影用照明LEDを設けることもできる。
【0037】
対物機構26によりカラーイメージセンサ16上に結像される光30は、任意で、光学フィルタ28を通して案内することもできる。
【0038】
カラーイメージセンサは、例えばそれ自体知られている、色に敏感なCCDアレイであり、その信号が評価ユニット17により評価される。本発明によるカメラシステムの記載する実施形態では、対物機構26の後方にあるカラーイメージセンサ16のすぐ近傍に参照用LED14が位置する。「後方にある」とは、ここでは、参照用LEDにより照射される光が、対物機構を通過することなくカラーイメージセンサ16に到達できるようなことであると理解されるべきである。この参照用LEDの光は拡散体32の助けを借りて、カラーイメージセンサ16へと指向される。直接照明を制限するために、絞り34を設けることができる結果、カラーイメージセンサ16のスペクトル照明が確実に一様になるようなやり方で拡散体によって広げられるような光のみが、カラーイメージセンサ16へと入射する。
【0039】
記載する例において、撮影用照明LEDと参照用LEDの両方は白色光LEDである。図示しない実施形態において、これらの照明光源は白色光をシミュレートできるよう、それ自体知られているやり方で3つのLED(赤色、緑色、及び青色)を含む。
【0040】
本発明による前記したカメラシステム構成を使用して、本発明による方法を以下のように実行することができる。
【0041】
カメラシステムを実際に作動する前に、ホワイトバランスが実行される。この目的で、環境40に持ち込まれる参照物体の画像捕捉が、一様な反射率で実行される。この第1の画像捕捉のために、照明LED10及び12のみが作動する。参照物体は、背景により、例えばコンベヤベルト18により、形成することもできる。
【0042】
同一の外部参照物体の第2の画像捕捉が、同一の位置で、照明LED10、12による照明なしに、及び参照用LEDによる照明なしに実行される。従って、実際の作動前に考慮されねばならない外部光を、既に決めておくことができる。
【0043】
第3に、対物レンズの特性を判定するために、実際の作動前に参照用内部発光ダイオード14を用いて及び照明LED10、12を用いずに、画像捕捉が実行される。
【0044】
このやり方で対物レンズの及び外部光の色特性を判定し、ホワイトバランスの補正値を固定する可能性が得られる。
【0045】
記載した参照用内部LED14を用いた第3の画像捕捉における環境影響を低減するために、露出時間を短く保つことができる。参照用LED14が空間的に近接していることに起因してイメージセンサ17の光照射が非常に強いことから、このことは特に可能である。
【0046】
記載した3つの画像捕捉は、ホワイトバランスに関して利用可能である。カメラ照明、外部光、イメージセンサの対物レンズ透過率及び量子収量というスペクトル特性に起因して、3つのカラーチャネル(赤色、緑色、青色)が全てバランスよく調整されるべきである。記載したように、この目的で、明画像は暗画像から減算され、個々の各カラーチャネルの個々のゲインにより、同一のデジタル値まで規準化される。
【0047】
その際、同一のカラーイメージセンサ16を用いて中間画像が実際の作動中に周期的に撮影され、参照用内部LED14がオンに切り替えられ、照明LED10、12は点灯しない。これらの中間画像の経時変化から参照用LED14の経年劣化及び温度の作用を判定することができ、このやり方で、照明LEDにより撮影される画像を補正することができる。
【0048】
参照用LED14及び照明LED10、12が同一のバッチであることから、経年劣化及び温度影響が同一の作用を有することになる結果、照明LED10、12の、対応する経年劣化及び温度の作用に関する結論を、参照用LED14の経年劣化及び温度の作用から、ならびに、カラーイメージセンサ16を用いた画像捕捉へのその作用から引き出すことができる。
【0049】
参照用LEDの温度影響は、任意で、3つのカラーチャネルを互いに対し相対的に観察することを介して算出することもできる。
【0050】
外部光レベルの及び/又は外部光のスペクトル特性の変化は、環境の周期的な明/暗画像(照明LED10、12による照明を用いたもの及び用いないもの)を介して、いずれの場合もオンに切り替えられた参照用LED14を用いずに包含することができる。外部光影響を考慮するには、このやり方で形成される明画像及び暗画像を互いから減算することができる。
【0051】
環境が変化する場合、このことは、動く物体が対応する画像処理を介して評価ユニット17内で直接排除又は追跡されるという点で考慮することができ、これらの物体のデータのみが考慮される又はこれらの物体のデータは実際には考慮されない。外部光影響を考慮するために、常にほんの数個のカラーイメージセンサが、照明LEDによる照明を用いて及び用いずに読み出され、互いから減算されるということを別の可能性が実現する。
【0052】
従って、それでもやはり、本発明による機構又は工程管理を用いれば、照明LED10、12の経年劣化及び温度の作用を、ホワイトバランスを周期的に反復する必要なしに補正することが可能である。場合によって変動する外部光レベルの影響を考慮するために、単純なやり方で実行することのできる比較のみを、周期的に実行される明/暗画像間で実行した。
【0053】
本発明により実現される参照用照明光源は、有利なことに、異なるやり方で使用することもできる。従って、これによって、カラーイメージセンサ画素の空間雑音であるいわゆる「固定パターン雑音」(FPN)を補正することができる。このような空間雑音は、一方で、暗信号の不規則性(「暗信号の不均一性」)(DSNU)により引き起こされるが、特に、個々の画素感度(「光応答不均一性」)(PRNU)によっても引き起こされる。DSNUは、短い露出時間の暗中間画像が作動中に撮影されるという点で考慮できるのに対して、PRNUは、特に本発明による機構を使用して、中間画像を介して、参照用発光ダイオード14による照明の下で判定し補正することができる。例えば異なる波長についてのカラーイメージセンサの空間的感度の変化を、作動中にこのやり方で点検し調整することができる。
【0054】
前記した参照用LEDに加えて、色フィルタ(赤色、緑色、青色)の事前配置されたフォトダイオード36を、例えば完全なカメラシステムの散乱光により照明されるカラーイメージセンサ16に直接的に近接させて事前配置することができる。露出時間周期及び非露出時間周期における光のスペクトル分布を、カラーイメージセンサ16を用いた周期的な明/暗画像又は参照用LEDを用いた参照画像の代わりに、このような機構を使用してスペクトル散乱光分析を介して分析することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 カメラシステム
2 物体
10,12 撮影用LED
14 参照用LED
16 CCDカラーイメージセンサ
17 評価ユニット
18 表面
20,22 照明光円錐
26 対物レンズ
28 光学フィルタ
30 反射光
32 拡散体
34 絞り
36 色フィルタを備えたフォトダイオード
38 ハウジング前壁
40 環境
図1