特許第6088043号(P6088043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6088043
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】車両用音出力装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 5/00 20060101AFI20170220BHJP
【FI】
   B60Q5/00 680D
   B60Q5/00 620A
   B60Q5/00 630B
   B60Q5/00 640Z
   B60Q5/00 650A
   B60Q5/00 670Z
   B60Q5/00 680A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-509727(P2015-509727)
(86)(22)【出願日】2013年4月1日
(86)【国際出願番号】JP2013059975
(87)【国際公開番号】WO2014162474
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2015年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(72)【発明者】
【氏名】奥山 健
(72)【発明者】
【氏名】森山 豊
(72)【発明者】
【氏名】新田 朋一
【審査官】 丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/141982(WO,A1)
【文献】 実開平3−35840(JP,U)
【文献】 実開昭62−185154(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 5/00
B60R 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のバンパを補強し、前面に開口を有する補強部材と、
前記補強部材との間に音道を形成する音道部材と、
前記音道内に収容されるスピーカ装置と、を備え、
前記音道が折返部を有するように、前記音道部材が設けられており、
前記スピーカ装置の前面から放射される音は、前記開口から放射され、
前記スピーカ装置の後面から放射される音は、前記音道を通り前記開口から放射されることを特徴とする車両用音出力装置。
【請求項2】
前記音道は、前記折返部を奇数個有する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用音出力装置。
【請求項3】
前記音道部材は、前記補強部材の後面の運転席側に取り付けられていることを特徴とする請求項に記載の車両用音出力装置。
【請求項4】
前記スピーカ装置は、前記補強部材に取り付けられていることを特徴とする請求項に記載の車両用音出力装置。
【請求項5】
前記スピーカ装置は、前記音道部材に取り付けられていることを特徴とする請求項に記載の車両用音出力装置。
【請求項6】
前記音道が直線部を有するように、前記音道部材が設けられ、
前記折返部と前記直線部との断面積は略等しいことを特徴とする請求項に記載の車両用音出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用音出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド自動車、電気自動車、及び、燃料電池自動車などの駆動音が静かな車両において、当該車両の接近を歩行者等の周囲の人に気付かせるための技術が提案されている。例えば、特許文献1には、車両の前端部の車幅方向中央下部に設けられた発音手段から、接近告知音を車両前方に向けて発する車両接近告知装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−168676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で提案された技術では、車両に発音手段を新たに設置する必要があるためコストがかかり、さらに、当該発音手段の構成上、車両の外部に存在する人に対して車両の接近告知音(例えば、エンジン音)を遠方、近傍いずれにも適切な音圧をもって発することは難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に対処することを課題の一例とするものである。即ち、本発明は、例えば、コストを極力抑えつつ、車両の遠方、近傍いずれに存在する人に対して車両の接近告知音を効果的に発することが可能な車両用音出力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の車両用音出力装置は、車両のバンパを補強し、前面に開口を有する補強部材と、前記補強部材との間に音道を形成する音道部材と、前記音道内に収容されるスピーカ装置と、を備え、前記音道が折返部を有するように、前記音道部材が設けられており、前記スピーカ装置の前面から放射される音は、前記開口から放射され、前記スピーカ装置の後面から放射される音は、前記音道を通り前記開口から放射されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の車両用音出力装置が取り付けられた車両の前面を示す図である。
図2】(A)及び(B)は、図1に示す車両用音出力装置の前面図及び後面図である。
図3図1に示すバンパリインフォースの後面図である。
図4】(A)及び(B)は、図2(A)のA−A線断面図、B−B線断面図である。
図5】(A)及び(B)は、図2(A)のC−C線断面図、D−D線断面図である。
図6図1に示す音道部材の前面側斜視図である。
図7】車両とリスニング位置との関係を示す図である。
図8】(A)は、図7に示す各リスニング位置でのスピーカ装置の音圧の周波数特性を示すグラフであり、(B)は(A)の部分拡大グラフである。
図9】(A)は第2実施例における車両用音出力装置の後面図であり、(B)は(A)のE−E線断面図である。
図10】(A)は第3実施例における車両用音出力装置の後面図であり、(B)は(A)のF−F線断面図であり、(C)は(A)に示すバンパリインフォース及び音道部材によって形成された音道の概略斜視図である。
図11】(A)は第4実施例における車両用音出力装置の後面図であり、(B)は(A)のG−G線断面図であり、(C)は(A)に示すバンパリインフォース及び音道部材によって形成された音道の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態にかかるを説明する。本発明の一実施形態にかかる車両用音出力装置は、車両のバンパを補強する補強部材と、スピーカ装置と、補強部材の後面側を覆い、補強部材との間にスピーカ装置の音道を形成する音道部材と、を備え、音道が折返部を有するように、音道部材が設けられている。
【0009】
音道に折返部を設けることにより、補強部材の長さに制限されることなく、所望の長さの音道を設けることができ、車両の外部に存在する人に対してスピーカ装置から出力された接近告知音を効果的に発することができる。
【0010】
また、音道は、折返部を奇数個有してもよい。これにより、音道を通る音をスピーカ装置側に戻すことができる。
【0011】
また、スピーカ装置の前面から放射される音は、補強部材の前面の開口から放射されるようにしてもよい。
【0012】
また、スピーカ装置の後面から放射される音は、音道を通り上記開口から放射されていてもよい。これにより、スピーカ装置の前面及び後面から放射される音を、1つの開口から外部に出力できる。このとき、音道長を調整して、開口から出力されるスピーカ装置の前面及び後面から放射される所望の周波数の音の音圧を大きくすることができ、どのリスニング位置からでも同じように聞こえることができる。
【0013】
また、音道部材は、補強部材の後面の運転席側に取り付けられていてもよい。これにより、運転席側から音を放射できる。
【0014】
また、スピーカ装置は、補強部材に取り付けられていてもよいし、音道部材に取り付けられていてもよい。
【0015】
また、音道が直線部を有するように、音道部材が設けられ、折返部と直線部との断面積を略等しくしてもよい。これにより、スピーカ装置から放射された音が音道をスムーズに進むことができる。
【実施例】
【0016】
第1実施例
以下、本発明の車両用音出力装置の第1実施例を図1図6に基づいて説明する。図1図6に示す車両用音出力装置1は、車両2に取り付けられ、車両2外部に接近告知音(音)を放射することにより、歩行者などに車両2の接近を知らせる装置である。なお、以下、車両2の進行方向を前方向、後退方向を後方向とし、進行方向側を前面側、後退方向側を後面側と定義して説明する。
【0017】
図2などに示すように、車両用音出力装置1は、車両2のフロントバンパを補強する補強部材としてのバンパリインフォース3と、スピーカ装置4と、バンパリインフォース3の後面側を覆い、バンパリインフォース3との間にスピーカ装置4の音道5(図4)を形成する音道部材6と、図示しないエアーシールと、を備えている。
【0018】
上記バンパリインフォース3は、金属板をプレス加工して設けられ、車両2の左右方向に長尺状に設けられている。このバンパリインフォース3は、衝撃吸収部材としてのバンパアブソーバ7(図1)の後面側に取り付けられている。このバンパリインフォース3には、図3図4などに示すように、左右方向に長尺状のリインフォース本体部31と、リインフォース本体部31の上下方向両端から後方向に向かって立設したリインフォース側壁部32と、リインフォース側壁部32の端部から上下方向に立設したリインフォースフランジ部33と、を備え、後面側から見て長手方向に沿ったリインフォース凹部34が形成されている。
【0019】
上記リインフォース本体部31の助手席側には、後述するスピーカ装置4から出力される接近告知音を放射する開口31Aが設けられている。このバンパリインフォース3の前面側に取り付けられるバンパアブソーバ7にも、図1に示すように、後述するスピーカ装置4から出力される接近告知音を放射する開口7Aが設けられている。このバンパアブソーバ7の開口7Aは、バンパリインフォース3の開口31Aに対向して設けられている。
【0020】
上記スピーカ装置4は、接近告知音を出力するスピーカであり、例えば、接近告知音として車両2の駆動音を擬似的に発生する。このスピーカ装置4は、図4(B)に示すように、後述する音道部材6に取り付けられ、バンパリインフォース3と音道部材6との間に形成された音道5内に収容される。また、スピーカ装置4は、その正面がバンパリインフォース3やバンパアブソーバ7に設けた開口31A、開口7Aに対向するように設けられている。
【0021】
上記音道部材6は、例えば樹脂などから構成され、バンパリインフォース3との間に左右方向に長尺状の音道5を形成する。音道部材6は、図4図6などに示すように、リインフォース凹部34の後面側開口を覆う板状の音道部材本体部61と、音道5を上下に仕切る仕切壁62と、音道5の長手方向開口を塞ぐ第1の側壁部63及び第2の側壁部64と、スピーカ装置4を収容する収容部65と、蓋部66と、補強リブ67と、を有している。
【0022】
上記音道部材本体部61は、長尺の板状に形成されている。音道部材本体部61は、バンパリインフォース3の長手方向の長さよりも短く設けられ、バンパリインフォース3の助手席側に設けられている。仕切壁62は、音道部材本体部61から前面側に向かって立設し、音道部材本体部61の上下方向中央から長手方向に延在している。この仕切壁62により、音道5が上下に仕切られ、長手方向に直線状の第1、第2の直線部51A、51Bに仕切られる。
【0023】
上記第1の側壁部63は、音道部材本体部61から前面側に向かって立設し、上下方向に延在している。また、第1の側壁部63は、仕切壁62よりもスピーカ装置4側(=助手席側)に離間して設けられている。この第1の側壁部63は、リインフォース凹部34に嵌め込まれることにより、音道5の長手方向助手席側の開口が塞がれる。
【0024】
上記第2の側壁部64は、音道部材本体部61から前面側に向かって立設し、上下方向に延在している。この第2の側壁部64は、リインフォース凹部34に嵌め込まれることにより、音道5の長手方向のスピーカ装置4から離れた側(=運転席側)の開口が塞がれる。また、第2の側壁部64は仕切壁62の運転席側に離間して設けられ、これにより、第1の直線部51Aと第2の直線部51Bの長手方向運転席側が連通し、音道5を第1の直線部51Aから第2の直線部51Bに折り返す折返部52が形成される。なお、上記第1の直線部51A、第2の直線部51B、折返部52の断面積は略等しくなるように、仕切壁62、第2の側壁部64が設けられている。
【0025】
また、上記第2の側壁部64は、長手方向のスピーカ装置4から離れた側に凹む凹部64Aが形成され、その凹部64AにはRが付けられている。一方、この凹部64Aに対向する仕切壁62の端面にもRが付けられている。これにより、折返部52は、曲線に沿う。
【0026】
上記収容部65は、図4(B)に示すように、音道部材本体部61に設けたスピーカ装置4の取付孔61A周縁から前面側に立設した周壁65Aと、スピーカ装置4の振動板を露出する開口65Bと、を備えている。スピーカ装置4は、この周壁65Aに囲まれた空間に収容される。これにより、スピーカ装置4は、バンパリインフォース3と音道部材6との間の空間である音道5内に収容される。また、上記周壁65Aには、図5(A)に示すように、第1の直線部51Aと連通する開口65A−1が設けられている。
【0027】
上記蓋部66は、板状に形成され、図4(B)に示すように、音道部材本体部61に設けた取付孔61Aを後面側から覆って塞ぐ。この蓋部66には、ネジ挿入孔66Aが設けられている。上記スピーカ装置4は、音道部材6の取付孔61Aから収容部65内に収容され、その後、取付孔61Aを塞ぐように蓋部66が配置される。次に、ネジNを蓋部66のネジ挿入孔66Aに挿入すると共に、スピーカ装置4に設けたネジ孔(図示せず)に螺合することにより、音道部材6にスピーカ装置4を取り付けることができる。
【0028】
上記補強リブ67は、音道部材6を補強するためのリブであり、図6に示すように、音道部材本体部61から前面側に向かって突出して設けられ、長手方向に沿って延在する。上記補強リブ67は、仕切壁62の上下にそれぞれ設けられている。
【0029】
上記図示しないエアーシールは、バンパリインフォース3と音道部材6との間の隙間を塞ぐために設けられ、例えば仕切壁62とバンパリインフォース3との間や、第1の側壁部63及び第2の側壁部64とバンパリインフォース3との間に挟まれている。
【0030】
次に、上述した構成の車両用音出力装置1を構成するスピーカ装置4から出力される音の放射について説明する。図4(B)に示すように、スピーカ装置4の前面から放射された音は、矢印Y1に示すように、バンパリインフォース3の開口31A及びバンパアブソーバ7の開口7Aから車両2の外部に放射される。一方、スピーカ装置4の後面から放射された音は、図5に示すように、矢印Y2に示すように、収容部65の開口65A−1を通って第1の直線部51Aに侵入し、第1の直線部51Aに沿って運転席側に向かって進み、スピーカ装置4から離れていく。その後、折返部52に沿って折返して、第2の直線部51Bに侵入し、第2の直線部51Bに沿って助手席側に向かって進み、スピーカ装置4側に戻ってくる。スピーカ装置4側に戻ってきた音は、バンパリインフォースの開口31A及びバンパアブソーバ7の開口7Aから車両2の外部に放射される。
【0031】
上述した実施例によれば、音道5に折返部52を設けることにより、バンパリインフォース3の長手方向の長さに制限されることなく、所望の長さの音道5を設けることができ、車両2の外部に存在する人に対してスピーカ装置4から出力された接近告知音を効果的に発することができる。
【0032】
また、上述した実施例によれば、音道5が、折返部52を奇数個(上記実施例では1個)有している。これにより、音道5を通る音をスピーカ装置4側に戻すことができる。
【0033】
また、上述した実施例によれば、スピーカ装置4の前面から放射される音は、バンパリインフォース3の前面の開口31Aから放射され、スピーカ装置4の後面から放射される音は、音道5を通りバンパリインフォース3の前面の開口31Aから放射される。これにより、スピーカ装置4の前面及び後面から放射される音を、1つの開口31Aから外部に出力できる。このとき、音道5の長さを調整して、開口31Aから出力されるスピーカ装置4の前面及び後面から放射される所望の周波数の音の音圧を大きくすることができ、どのリスニング位置からでも同じように聞こえることができる。
【0034】
次に、本発明者らは、上述した車両用音出力装置1を製造して、図7に示すように、車両2に対して正面、左前45度、左90度でのスピーカ装置4の音圧と暗騒音との周波数特性を測定した。結果を図8に示す。同図からも明らかなように、リスニング位置が変わってもほぼ同じ周波数特性を得ることができ、どのリスニング位置からでも同じように聞こえることが確認できた。
【0035】
また、上述した実施例によれば、音道5の第1の直線部51A、第2の直線部51B及び折返部52の断面積が略等しい。これにより、スピーカ装置4から放射された音が音道5をスムーズに進むことができる。
【0036】
また、上述した実施例によれば、第2の側壁部64の凹部64Aと、この凹部64Aに対向する仕切壁62の端面にRを付けている。これにより、折返部52は、曲線に沿って設けられ、スピーカ装置4から放射された音がスムーズに折返部52で折り返される。
【0037】
なお、上述した第1実施例では、スピーカ装置4の後面から放射された音は、下側に設けられた第1の直線部51A、折返部52、第2の直線部51Bの順に音道5を通っていたが、本発明はこれに限ったものではない。上側の第2の直線部51B、折返部52、第1の直線部51Aの順に音道を通るようにしてもよい。
【0038】
また、上述した第1実施例では、音道部材6は、バンパリインフォース3の助手席側に取り付けられていたが、本発明はこれに限ったものではない。運転席側に取り付けられるようにしてもよい。また、国によっては運転席が右側または左側の場合があるが、本願の実施例においてはそのいずれかに限定するものではない。
【0039】
また、上述した第1実施例では、スピーカ装置4は、音道部材6に取り付けられていたが、本発明はこれに限ったものではない。スピーカ装置4は、バンパリインフォース3に取り付けられるようにしてもよい。
【0040】
第2実施例
次に、第2実施例について図9を参照して説明する。なお、図9(A)は音道部材6については、断面で示している。第2実施例で異なる点は、音道5の形状である。第1実施例では、折返部52を1箇所だけ設けていたが、第2実施例では、3箇所の第1〜第3の折返部52A〜52Cを設けている。
【0041】
詳しくは、第1実施例では、仕切壁62を1つ設けていたが、第2実施例では、仕切壁62を3つ設けて、音道5を上下に4つに仕切る。これにより、音道5が長手方向に直線状の4つの第1〜第4直線部51A〜51Dに仕切られる。また、図9(A)に示すように、中央の仕切壁62は、第2の側壁部64に連なって設けられる。また、一番上と一番下の仕切壁62のスピーカ装置4側の端部を連結する第3の側壁部68Aが設けられている。中央の仕切壁62は、第3の側壁部68Aからは離間している。
【0042】
これにより、第1の折返部52Aは、第1の直線部51A及び第2の直線部51Bのスピーカ装置4から離れた側の端部を連通し、第2の折返部52Bは、第2の直線部51B及び第3の直線部51Cのスピーカ装置4側の端部を連通し、第3の折返部52Cは、第3の直線部51C及び第4の直線部51Dのスピーカ装置4から離れた側を連通する。
【0043】
以上の構成によれば、スピーカ装置4の後面から放音された音は、矢印に示すように、第1の直線部51A、第1の折返部52A、第2の直線部51B、第2の折返部52B、第3の直線部51C、第3の折返部52C、第4の直線部51Dの順に進んでバンパリインフォース3の開口31A及びバンパアブソーバ7の開口7Aから車両2の外部に放射される。よって、さらに音道5を長くすることができる。また、音道部材6の長さを短くして軽量化もしくはコストダウンを図ることができる。
【0044】
第3実施例
次に、第3実施例について図10を参照して説明する。第3実施例で異なる点は、音道5の形状である。第1の実施例では、折返部52を1箇所だけ設けていたが、第3実施例では、3箇所の第1〜第3の折返部52A〜52Cを設けている。また、第1実施例では、音道5を上下に2つの直線部に仕切られていたが、第3実施例では、上下方向及び前後方向に4つの第1〜第4直線部51A〜51Dに仕切っている。
【0045】
詳しくは、第3実施例では、音道部材6は、音道部材本体部61から後面側に立設し、音道5を上下方向に仕切る第1の仕切壁62Aと、音道部材本体部61と平行に設けられ、音道5を前後方向に仕切る第2の仕切壁62Bと、を備えている。第2の仕切壁62Bは、第2の側壁部64からスピーカ装置4側に向かって立設し、第1の仕切壁62Aと交差する。第1の側壁部63は、この第2の仕切壁62Bとは離間して設けられている。
【0046】
これにより、図10(C)に示すように、第1の折返部52Aは、第1の直線部51A及び第2の直線部51Bのスピーカ装置4から離れた側の端部を連結し、第2の折返部52Bは、第2の直線部51B及び第3の直線部51Cのスピーカ装置4側の端部を連結し、第3の折返部52Cは、第3の直線部51C及び第4の直線部51Dのスピーカ装置4から離れた側を連通する。
【0047】
以上の構成によれば、スピーカ装置4の後面から放音された音は、図10(B)や図10(C)の矢印に示すように、前面、下側に設けられた第1の直線部51A、第1の折返部52A、前面、上側に設けられた第2の直線部51B、第2の折返部52B、後面、上側に設けられた第3の直線部51C、第3の折返部52C、後面、下側に設けられた第4の直線部51Dの順に進んでバンパリインフォース3の開口31A及びバンパアブソーバ7の開口7Aから車両2の外部に放射される。
【0048】
第4実施例
次に、第4実施例について図11を参照して説明する。第4実施例で異なる点は、音道5の形状である。第1実施例では、音道5を上下方向に2つの直線部に仕切っていたが、第4実施例では、前後方向に4つの第1〜第4の直線部51A〜51Dに仕切っている。詳しくは、第4実施例では、図11(B)に示すように、音道部材本体部61と平行に配置される3つの第2の仕切壁62Bを設けている。この第2の仕切壁62Bは、音道部材本体部61から前面側に向かって立設する一対の立壁69によって支持されている。
【0049】
前後方向中央の第2の仕切壁62Bは、第2の側壁部64からスピーカ装置4側に向かって立設している。前後の第2の仕切壁62Bは、その長手方向両端が第1、第2の側壁部63、64から離間して設けられている。また、前後の第2の仕切壁62Bのスピーカ装置4側の端部同士を連結する第4の側壁部68Bが設けられている。中央の第2の仕切壁62Bは、第4の側壁部68Bとは離間して設けられている。
【0050】
これにより、第1の折返部52Aは、第1の直線部51A及び第2の直線部51Bのスピーカ装置4から離れた側の端部を連通し、第2の折返部52Bは、第2の直線部51B及び第3の直線部51Cのスピーカ装置4側の端部を連通し、第3の折返部52Cは、第3の直線部51C及び第4の直線部51Dのスピーカ装置4から離れた側を連通する。
【0051】
この場合も、スピーカ装置4の後面から放音された音は、図10(B)や図10(C)の矢印に示すように、第1の直線部51A、第1の折返部52A、第2の直線部51B、第2の折返部52B、第3の直線部51C、第3の折返部52C、第4の直線部51Dの順に進んでバンパリインフォース3の開口31A及びバンパアブソーバ7の開口7Aから車両2の外部に放射される。
【0052】
なお、上述した実施例では、折返部52を奇数個設けて、スピーカ装置4の前面及び後面から出力される音を、バンパリインフォース3の前面に設けた1つの開口31Aから放射していたが、本発明はこれに限ったものではない。折返部52としては、偶数個設けて、スピーカ装置4の前面及び後面から出力される音を別々の開口から放射するような構造にしてもよい。
【0053】
また、上述した実施例では、スピーカ装置4から出力される音は、バンパリインフォース3の前面に設けた開口31Aから放射していたが、本発明はこれに限ったものではない。音道5の長手方向の開口から放音するようにしてもよい。
【0054】
また、上述した実施例では、バンパリインフォース3は、フロントバンパを補強するためのものであって、リアバンパを補強するためのものであってもよい。
【0055】
また、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 車両用音出力装置
2 車両
3 バンパリインフォース(補強部材)
4 スピーカ装置
5 音道
6 音道部材
51A 第1の直線部(直線部)
51B 第2の直線部(直線部)
51C 第3の直線部(直線部)
51D 第4の直線部(直線部)
52 折返部
52A 折返部
52B 折返部
52C 折返部
31A 開口
図1
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