(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6088045
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】自動開口ヒンジ蓋を備えたスイングオープン式硬質タバコパケット、及びそれに関連した製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 85/10 20060101AFI20170220BHJP
B65D 5/32 20060101ALI20170220BHJP
B65D 5/66 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
B65D85/10
B65D5/32 D
B65D5/66 Z
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-510883(P2015-510883)
(86)(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公表番号】特表2015-515952(P2015-515952A)
(43)【公表日】2015年6月4日
(86)【国際出願番号】IB2012052366
(87)【国際公開番号】WO2013167938
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2015年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】392003937
【氏名又は名称】ジー.デー ソチエタ ペル アツィオニ
【氏名又は名称原語表記】G.D SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ポローニ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ギーニ
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ ネグリーニ
【審査官】
小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第03/053818(WO,A1)
【文献】
特開2009−083932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/10
B65D 5/32
B65D 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装されたタバコの一群を含んだ少なくとも1つの内パッケージ(2)、
前記内パッケージ(2)を収容する少なくとも1つの内箱(3)であって、開口上端(5)と、蓋ヒンジ(30)によって前記内箱(3)にヒンジ結合されて内箱(3)に対し前記開口上端(5)を開閉する開放位置と閉鎖位置との間で回転する蓋(29)と、を有する少なくとも1つの内箱(3)、
前記内箱(3)を収容すると共に少なくとも1つの開口側方端(13)を有する外箱(4)、
前記内箱(3)と前記外箱(4)とを接続して、内箱(3)を、内箱(3)が外箱(4)の内側に挿入された閉鎖位置と、内箱(3)が外箱(4)から少なくとも部分的に引き出された開放位置との間で回転させる接続ヒンジ(14)、及び
前記内箱(3)の、前記外箱(4)に対する前記接続ヒンジ(14)周りの回転によって、前記蓋(29)が前記蓋ヒンジ(30)周りに対応して回転するように蓋(29)を外箱(4)に接続する調整タブ(34)、を有するスイングオープン型硬質タバコパケット(1)であって、
前記調整タブ(34)は、前記外箱(4)の上壁(10)の内面に一体化された上端(35)と、前記上端(35)と反対側にあって前記蓋(29)の上壁(31)に一体化された下端(36)とを有し、
前記内箱(3)が前記外箱(4)の内側に挿入された閉鎖位置にある時は前記調整タブ(34)は折り畳まれて前記外箱(4)の完全に内側にあり、前記内箱(3)が前記外箱(4)から部分的に引き出された開放位置にある時は前記調整タブ(34)は広げられることを特徴とするタバコパケット(1)。
【請求項2】
前記調整タブ(34)の前記上端(35)は、前記調整タブ(34)に設けられた第1折り線(37)に沿って前記外箱(4)の上壁(10)に接続されると共に、調整タブ(34)の前記下端(36)は前記蓋(29)の上壁(31)に接着されている請求項1に記載のタバコパケット(1)。
【請求項3】
前記外箱(4)の前記上壁(10)は第1パネル(10’)と、前記第1パネル(10’)の内側に接着された補強タブ(27)とを有し、更に
前記調整タブ(34)の前記上端(35)は、前記第1折り線(37)に沿って外箱(4)の上壁(10)の前記補強タブ(27)に接続される請求項2に記載のタバコパケット(1)。
【請求項4】
前記調整タブ(34)は前記上端(35)と前記下端(36)との間に所定の距離を以て隔置された第2折り線(38)と第3折り線(39)を有して、前記内箱(3)が前記外箱(4)の内側に挿入された閉鎖位置にある時、調整タブ(34)が蓋(29)の上壁(31)と蓋(29)の後壁(32)の周りに“L”字状に折り畳んだ状態にさせる請求項2又は3に記載のタバコパケット(1)。
【請求項5】
前記調整タブ(34)の前記上端(35)は前記外箱(4)の上壁(10)の前記内面に接着され、調整タブ(34)の前記下端(36)は前記蓋(29)の上壁(31)に接着される請求項1に記載のタバコパケット(1)。
【請求項6】
前記調整タブ(34)は当初、前記外箱(4)の前記上壁(10)からは分離され、外箱(4)の上壁(10)の前記内面に接着される請求項5に記載のタバコパケット(1)。
【請求項7】
前記調整タブ(34)は、前記内箱(3)と前記外箱(4)とは異なる材料から作られている請求項6に記載のタバコパケット(1)。
【請求項8】
前記内箱(3)が前記外箱(4)の内側に挿入された閉鎖位置にある時、前記調整タブ(34)は“Z”状に折り畳んだ状態にあって、その全体が前記蓋(29)の上壁(31)と外箱(4)の上壁(10)の間に位置する請求項5、6又は7に記載のタバコパケット(1)。
【請求項9】
前記外箱(4)は2つの開口側方端(13)を有し、
2つの内箱(3)は夫々が各開口側方端(13)において外箱(4)内に収容され、夫々接続ヒンジ(14)によって外箱(4)にヒンジ結合されて閉鎖位置と開放位置との間で回転し、更に夫々ヒンジ蓋(29)を有し、更に
1つの材料片からなる2つの調整タブ(34)は夫々、外箱(4)の上壁(10)の前記内面に一体化された上端(35)と、前記上端(35)の反対側にあって対応する蓋(29)の上壁(31)に一体化された下端(36)とを有する請求項1〜8のいずれか一項に記載のタバコパケット(1)。
【請求項10】
前記2つの調整タブ(34)は、前記1つの材料片の一端側を一方の調整タブ(34)として、前記1つの材料片の他端側を他方の調整タブ(34)として構成され、かつ前記上端(35)で別の材料片に結合されている請求項9に記載のタバコパケット(1)。
【請求項11】
前記接続ヒンジ(14)は、前記外箱(4)の前記開口側方端(13)に位置する、前記内箱(3)の下壁(6)の端縁と外箱(4)の下壁(11)の端縁、双方の端縁の近傍に位置する請求項1〜10のいずれか一項に記載のタバコパケット(1)。
【請求項12】
前記外箱(4)からの前記内箱(3)の引き出しを制限するストッパであって、前記調整タブ(34)とは全く異なり分離したストッパを有する請求項1〜11のいずれか一項に記載のタバコパケット(1)。
【請求項13】
包装されたタバコの一群を含んだ少なくとも1つの内パッケージ(2)、
前記内パッケージ(2)を収容する少なくとも1つの内箱(3)であって、開口上端(5)と、蓋ヒンジ(30)によって前記内箱(3)にヒンジ結合されて内箱(3)に対し前記開口上端(5)を開閉する開放位置と閉鎖位置との間で回転する蓋(29)と、を有する少なくとも1つの内箱(3)、
前記内箱(3)を収容すると共に少なくとも1つの開口側方端(13)を有する外箱(4)、
前記内箱(3)と前記外箱(4)とを接続して、内箱(3)を、内箱(3)が外箱(4)の内側に挿入された閉鎖位置と、内箱(3)が外箱(4)から少なくとも部分的に引き出された開放位置との間で回転させる接続ヒンジ(14)、及び
前記内箱(3)の、前記外箱(4)に対する前記接続ヒンジ(14)周りの回転によって、前記蓋(29)が前記蓋ヒンジ(30)周りに対応して回転するように蓋(29)を外箱(4)に接続する調整タブ(34)、を有し、前記内箱(3)が前記外箱(4)の内側に挿入された閉鎖位置にある時は前記調整タブ(34)は折り畳まれて前記外箱(4)の完全に内側にあり、前記内箱(3)が前記外箱(4)から部分的に引き出された開放位置にある時は前記調整タブ(34)は広げられる、硬質スイングオープン型タバコパケット(1)を製造する方法であって、
内パッケージ(2)を形成する段階と、
内ブランク(17)上に前記内パッケージ(2)を置く段階と、
前記内ブランク(17)を前記内パッケージ(2)の周りで折り畳んで内箱(3)を形成する段階と、
前記内箱(3)を外ブランク(24)上に置く段階と、
前記外ブランク(24)を前記内箱(3)の周りで折り畳んで外箱(4)を形成する、段階とを有する、硬質スイングオープン型タバコパケット(1)の製造方法であって、
前記内箱(3)を前記外ブランク(24)上に置く前に、前記調整タブ(34)の上端(35)を外箱(4)の上壁(10)を形成する外ブランク(24)の第1パネル(10’)の内面に接着する段階と、
前記内箱(3)を前記外ブランク(24)上に置く前に、前記調整タブ(34)の下端(36)を前記蓋(19)の上壁(31)に接着する段階とを有することを特徴とする方法。
【請求項14】
更に、
調整タブ(34)を広げた状態で調整タブ(34)の前記上端(35)を前記外ブランク(24)の前記第1パネル(10’)の前記内面に接着する段階と、
内箱(3)を、その少なくとも一部分が外ブランク(24)の外側になるような位置で外ブランク(24)の上に置き、前記蓋(29)の前記上壁(31)を、広げた調整タブ(34)の下端(36)に接着する段階と、
外ブランク(24)に対して内箱(3)を、内箱(3)が外箱(4)の内側に挿入される閉鎖位置に対応する位置へと移動させて調整タブ(34)を折り畳む段階とを有する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記内箱(3)を外ブランク(24)上に置く前に、前記外箱(4)の主側壁(12)を形成する第2パネル(12”)に対して前記第1パネル(10’)を90°折り曲げる追加の段階を有する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2パネル(12”)に対し前記第1パネル(10’)を90°折り曲げる前に、前記調整タブ(34)の上端(35)を前記第1パネル(10’)を接着する追加の段階を有する請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイングオープン式硬質タバコパケット、及びそれに関連した製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造が容易でありかつ使い勝手も簡単で実用的であり、さらに内部のタバコを効果的に保護することで硬質のヒンジ蓋タバコパケットは現在、最も広く市販されている。
【0003】
加えて、一方が他方の内側にあってかつ他方から部分的に引き出し可能な2つの容器、即ち内箱が紙巻きタバコの一群を含んで外箱の内側に収容され、外箱に対しては外箱の内側に挿入された閉鎖位置と外箱から引き出された開放位置との間で移動するような2つの容器を有する、スライドオープン式又はスイングオープン式の硬質タバコパケットが提案されている。外箱に対する内箱の移動は、これら2つの容器を接続するヒンジ周りで直線的(スライドオープン式)であったり、回転性(スイングオープン式)である場合がある。
【0004】
スライドオープン式の硬質タバコパケットの実施形態がある特許文献に記載されており(例えば、特許文献1〜3参照。)、また、スイングオープン式の硬質タバコパケットの2つの実施形態がある特許文献に記載されている(例えば、特許文献4及び5参照。)。
【0005】
また、ある特許文献には、夫々が包装された紙巻きタバコ群を含んだ2つの内パッケージ、夫々が各内パッケージを収容してヒンジ蓋を有する2つの内箱、それら2つの内箱を収容すると共に向かい合った2つの開口側方端を有する外箱、及び夫々が内箱を外箱に接続すると共に、内箱を、外箱の内側に挿入された閉鎖位置と外箱から少なくとも部分的に引き出された開放位置との間で回転させる2つのヒンジ、を有している、スイングオープン式の硬質タバコパケットが記載されている(例えば、特許文献6参照。)。各内箱の蓋には、蓋を外箱に接続して内箱と外箱の間の相対的運動を生かすことで、蓋を“自動的”(即ち、ユーザーが蓋に接する必要なしに)に開ける調整システムがある。各調整システムは、外箱の上壁端縁から内箱の内方へと延びる調整タブと、蓋の上壁を通って形成されて調整タブと係合するスリットとを有する。
【0006】
しかしながら、上記の蓋調整システムには幾つかの欠点がある。即ち、それは内箱が閉鎖位置にある時、蓋の上壁は外箱の上壁から十分距離をおいて保持されなければならず、外箱上部にかなり大きな空の(即ち、不使用の)空間を残さねばらないことにより、外箱容積の最適な使用が阻害されているということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許第2499947号
【特許文献2】米国特許第4534463号
【特許文献3】米国特許第5080227号
【特許文献4】国際公開第03/053818号
【特許文献5】国際公開第2006/021581号
【特許文献6】欧州特許第2017198号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記欠点を解消するように設計されると共に、特に安価でかつ実施が容易なスイングオープン式硬質タバコパケット、及びそれに関連する製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、添付した特許請求の範囲によって請求されたスイングオープン式硬質タバコパケット、及びそれに関連する製造方法が提供される。
【0010】
本発明の非限定的な幾つかの実施形態を、添付図面を参照する例によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】全閉鎖位置での、本発明によるスイングオープン式硬質タバコパケットの斜視図である。
【
図2】全閉鎖位置での、
図1のタバコパケットの斜視図である。
【
図3】部分的開放位置での、
図1のタバコパケットの概略的前方図である。
【
図4】内箱蓋を開ける際の連続段階での
図1のタバコパケットの上部分の概略的前方に関して、明瞭化のために部品を取り除いた図である。
【
図5】内箱蓋を開ける際の連続段階での
図1のタバコパケットの上部分の概略的前方に関して、明瞭化のために部品を取り除いた図である。
【
図6】内箱蓋を開ける際の連続段階での
図1のタバコパケットの上部分の概略的前方に関して、明瞭化のために部品を取り除いた図である。
【
図7】
図1のタバコパケットの内箱を形成するためのブランクの平面図である。
【
図8】
図1のタバコパケットの外箱を形成するためのブランクの平面図である。
【
図9】内箱蓋を開ける際の連続段階での
図1のタバコパケットの別実施形態の上部分の概略的前方に関して、明瞭化のために部品を取り除いた図である。
【
図10】内箱蓋を開ける際の連続段階での
図1のタバコパケットの別実施形態の上部分の概略的前方に関して、明瞭化のために部品を取り除いた図である。
【
図11】内箱蓋を開ける際の連続段階での
図1のタバコパケットの別実施形態の上部分の概略的前方に関して、明瞭化のために部品を取り除いた図である。
【
図13】
図9、
図10及び
図11のタバコパケットの箱に連結タブを付ける2つの製造段階の中の1つを示す図である。
【
図14】
図9、
図10及び
図11のタバコパケットの箱に連結タブを付ける2つの製造段階の中の1つを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜
図3の参照番号1は、全体としてのスイングオープン式硬質タバコパケットを示している。
【0013】
図1〜
図3のタバコパケット1は、2つの内パッケージ2(
図2)と、夫々が内パッケージ2を収納する硬質の平行六面体状の内箱3と、内箱3を収納する硬質の平行六面体状の外箱4とを有する。各内パッケージ2は、多数の列を成して配置された紙巻きタバコの一群と、その紙巻きタバコ群の周りに巻かれてそれを完全に同封する1枚のホイルとを有する。各内箱3は外箱4にヒンジ結合され、外箱4に対して、外箱4内に完全に挿入された閉鎖位置(
図1)と、内パッケージ2へのアクセスのために外箱4から部分的に引き出された開放位置(
図2)との間で回転する。
【0014】
各内箱3は、カップ状平行六面体の形態であり、内パッケージ2にアクセスするための開口上端5と、その開口上端5の反対側にある下壁6と、前壁7と、その前壁7に対して平行な状態で反対側にある後壁8と、平行に向かい合った2つの側壁9とを備える。
【0015】
外箱4も又、平行六面体状であり、上壁10と、その上壁10に平行に対向する下壁11と、対向して平行な2つの側壁12と、これを介して夫々の内箱3が外箱4から引き出されて開放位置へと至ったり、外箱4内に挿入されて閉鎖位置へ至るような、対向する2つの開口側方端13とを有する。
【0016】
各内箱3は、内箱3の下壁6の端縁と外箱4の下壁11の端縁の近くに位置するヒンジ14によって、外箱4の開口側方端13においてヒンジ結合されている。より具体的には、各ヒンジ14は、外箱4の開口側方端13において、内箱3の下壁6の端縁と外箱4の下壁11の端縁から所定の距離をおいて配置され、即ち、内箱3と横方向下端縁と外箱4の横方向下端縁から所定距離を隔てて配置されている。
【0017】
好ましい実施形態では、閉鎖位置で前壁7が外箱4の各開口側方端13を完全に閉じるように、各内箱3の後壁8は前壁7よりも低くなっており、外箱4の上壁10と干渉することで、後壁8は外箱4に対しての内箱3のヒンジ14周りの回転を妨げていない。また、各内箱3の側壁9の上部分は、前壁7を円滑に後壁8へと接続し、高さの差を補償するように成形されている。
【0018】
タバコのパケット1は、外箱4からの各内箱3の引き出しを制限して分離を防止するためのストッパを有するが、それらは各内箱3につき、側壁9から内箱3の外側に突出して内箱3の後壁8近くに位置する2つの保持タブ15と、側壁12から外箱4の内側に突出して外箱4の開口側方端13近くに位置する2つの保持ポケット16とを有する。実際の使用では、外箱4に対して内箱3がヒンジ14周りに開放位置へと回転した際には、各保持タブ15は、内箱3の戻りを阻止するために各保持ポケット16の内側でスライドする。
【0019】
内箱3を引き出すために、タバコパケット1のユーザーは、一方の手で外箱4を、他方の手で内箱3を握ることにより外箱4に対して内箱3を動かさなければならない。
図1及び
図2に示したように、内箱3の握りを容易にするために、外箱4の各側壁12は各開口側方端13の近くに、ユーザーに握らせて各内箱3の側壁9に引く力を課させるための凹部を有する。
【0020】
図1〜
図3の実施形態では、タバコパケット1は2つの内箱3を有し、その夫々は外箱4の内部に収容され、開放位置と閉鎖位置との間で回転するようにヒンジ14によって外箱4にヒンジ結合されている。図示しない別の実施形態では、タバコのパケット1は、外箱4の内側に収容されかつ開放位置と閉鎖位置との間で回転するようにヒンジ14によって外箱4にヒンジ結合された1つの内箱3を有する。この場合、外箱4は、
図1〜
図3の実施形態の外箱4の半分のサイズであり、
図1〜
図3の外箱4の2つの開口側方端13の一方は、追加の側壁によって閉じられる。
【0021】
図2及び
図3に示すように、各内箱3は、ヒンジ30により内箱3にヒンジ結合されて内箱3に対して、開口上端5を開く開放位置と開口上端5を閉じる閉鎖位置との間を回転する蓋29を有する。
【0022】
各蓋29は、蓋29が閉じた際に内箱3の下壁6と反対側にあってこれに平行な矩形の上壁31、蓋29が閉じた際に内箱3の後壁8の延長部を形成する矩形の後壁32、及び蓋29が閉じた際に内箱3の側壁9の延長部を形成する2つの三角側壁33を有する。各蓋29のヒンジ30は、内箱3の後壁8の上端縁を蓋29の後壁32の下端縁に接続する。
【0023】
図4、
図5及び
図6に示すように、各蓋29は、ユーザーが直接、蓋29に作用する必要なく外箱4に対して内箱3が移動することによっても蓋29を移動するように、蓋を外箱4に接続する調整タブ34を有している。従って、夫々の調整(又は接続)タブ34を設けたことにより、各内箱3が引き出された際にはユーザーが直接、蓋29に作用する必要なく各蓋29は“自動的に”開口する。
【0024】
各調整タブ34は、外箱4の上壁10に恒久的に一体化された上端35、及びその上端35とは反対側に位置して対応した内箱3の蓋29の上壁31に恒久的に一体化された下端36を有する。各調整タブ34は、対応する内箱3が外箱4の内側に挿入された閉鎖位置にある時、(
図4に示すように)折り畳んだ状態となり、対応内箱3が外箱4から引き出された開放位置にある時、(
図6に示すように)広がった状態となる。好ましい実施形態では、各調整タブ34の下端36は蓋29の上壁31に接着される一方、各調整タブ34の上端35は(
図4、
図5及び
図6に示すように)折り線37に沿って外箱4の上壁10に接続されるか、あるいは(
図9、
図10及び
図11に示すように)外箱4も上壁10に接着されてもよい。
【0025】
図4、
図5及び
図6の実施形態では、各調整タブ34の上端35は、折り線37に沿って外箱4の上壁10に接続される。より具体的には、各調整タブ34の上端35は、折り線37に沿って、外箱4の上壁10を補強するための対応補強タブ27に接続される(以下に詳細に説明するが、外箱4の上壁10はパネル10’と、そのパネル10’の内側に接着された2つの補強タブ27とを有する)。
【0026】
図4、
図5及び
図6の実施形態では、各調整タブ34は、上端35と下端36との間に所定距離を以て隔置された2つの折り線38、39を有しており、対応する内箱3が外箱4の内側に挿入された閉鎖位置(
図4)にある時、調整タブ34を蓋29の上壁31と後壁32の周りで“L”字状に折り畳めるようになっている。
【0027】
図7に示すように、各内箱3は、平坦で実質上長方形の内ブランク17を折り畳むことにより形成されるが、その各部分は、内箱3の対応部分に関して可能な限り、同じ参照番号に上付き指標を付して示してある。
【0028】
内ブランク17は、2本の縦方向折り線18と、縦方向折り線18との間で、後壁8を形成するパネル8’、下壁6を形成するパネル6’、及び前壁7を形成するパネル7’、を形成する多数の横方向折り線19とを有する。
【0029】
パネル7は、横方向折り線19に沿ってパネル7’に接続された補強フラップ20を有し、同フラップはパネル7’上に180°に折り畳まれて前壁7の上部を補強する。
【0030】
パネル8’は、側壁9の夫々の内側部分を形成すると共にパネル8’の両側に配置され、かつ縦方向折り線18によりパネル8’から分離された2つの側方ウイング9’を有する。パネル7’は、側壁9の夫々の外側部分を形成すると共にパネル7’の両側に配置され、かつ縦方向折り線18によりパネル7’から分離された2つの側方ウイング9”を有する。パネル8’の各側方ウイング9’は横方向折り線19によって側方ウイング9’から分離されたタブ21を有し、それは側方ウイング9’に対して90°折り畳まれてパネル6’の内面に固定される。各側方ウイング9’には夫々、保持タブ15を含んだ窓22が形成される一方、各側方ウイング9”は、各保持タブ15に重なるように設計された凹部23を有する。
【0031】
また、内ブランク17は、蓋29の後壁32を形成すると共にヒンジ30に沿ってパネル8’に接続されるパネル32’、蓋29の上壁31を形成するパネル31’、及び蓋29の側壁33を形成する2つの側方ウイング33であって、夫々が側方ウイング33’に対して90°に折り曲げられパネル31’の内面に固定されるタブ31”を有する側方ウイング33を有する。
【0032】
図8に示すように、外箱4は、平坦で実質上長方形の外ブランク24を折り畳むことにより形成されるが、その各部分は、外箱4の対応部分に関して可能な限り、同じ参照番号に上付き指標を付して示してある。
【0033】
ブランク24は、2本の縦方向折り線25と、縦方向折り線25との間で、下壁11の内側部分を形成するパネル11’、一方の側壁12を形成するパネル12’、上壁10を形成するパネル10’、他方の側壁12を形成するパネル12”、及び下壁11の外側部分を形成するパネル11”、を形成する多数の横方向折り線26とを有する。
【0034】
パネル10’は2つの補強タブ27を有し、同タブはパネル10’の両側に位置すると共に縦方向折り線25によってパネル10’から分離され、かつ180°折り曲げられてパネル10’上に接着されて上壁10を補強する。
【0035】
パネル12’、12”は夫々2つの保持ポケット16を有し、同ポケットはパネル12’の両側に位置すると共に縦方向折り線25によってパネル12’、12”から分離され、かつ180°折り曲げられてパネル12’、12”上に接着される。
【0036】
パネル11’は、パネル11’の両側に位置すると共に縦方向折り線25によってパネル11’から分離された2つの接続タブ28を有する。同タブは、パネル11’上へと180°折り曲げられると共に夫々、各内箱3の下壁6上に接着され、内箱3を外箱4にヒンジ結合する。
【0037】
図4、
図5及び
図6の実施形態では、各調整タブ34の上端35は、折り線37に沿って外箱4の上壁10(より厳密に言えば、上壁10の補強タブ27)に接続される。これにより、調整タブ34は外ブランク24(ひいては外箱4)と同じ材料から成る一体部分を形成する。
【0038】
図4、
図5及び
図6の実施形態の一つの利点は、閉鎖位置(
図4)において、対応の蓋29の後壁32上にある各調整タブ34の一部分が2つの内箱3の間(更に厳密に言えば、2つの内箱3の蓋29間)に位置し、以て内箱3同士を所定距離を隔てた状態に保持することにあり、そのことは閉鎖位置において内箱3同士を正しい位置に保ち、それらが若干開いた状態となってしまうのを回避する利点となる。
【0039】
図9、
図10及び
図11の別実施形態では、各調整タブ34は、最初に外箱4の上壁10から分離され、外箱4の上壁10(更に厳密に言えば、上壁10の対応補強タブ27)に単純に接着される。この実施形態では、内箱3が外箱4の内側に挿入された閉鎖位置(
図9)にある時には、調整タブ34は“Z”状に折り畳んだ状態となり、蓋29の上壁31と外箱4の上壁10の間に完全に位置する。好ましい実施形態では、各調整タブ34はかなり柔軟性のある変形可能なプラスチック材から形成され、重大なダメージ(即ち、疲労破壊)無しに180°までも繰り返し折り畳むことが可能である。言い換えれば、各調整タブ34は、一方の側(上端35側)で外箱4の上壁10に接着されかつ反対側(下端35側)で対応する蓋29の上壁31に接着された一片のプラスチック材料を有する。言うまでもなく、各調整タブ34は、紙や多層材(例えば、プラスチックと紙からなるもの)から作るようにしても良い。
【0040】
図9、
図10及び
図11の実施形態において、2つの調整タブ35は(
図13及び
図14に示すように)上端35において一体品(1つの材料片)へと結合されるようにしても良い。
【0041】
図4、
図5及び
図6の実施形態(即ち、各調整タブ34が外箱4の外ブランク24との一体部分を成すもの)に比べ、
図9、
図10及び
図11の実施形態(即ち、各調整タブ34がプラスチック材料で作られており、初めから外箱4の外ブランク24から分離しているもの)は、(
図8と
図12の外ブランク24を比較することによって示されるように)外ブランク24の幅を大きく減じ、以て消耗量を大きく減らして外ブランク24の製造に含まれる梱包材料コストを低減するといった主たる利点を有する。
図9、
図10及び
図11の実施形態は又、各調整タブ34を外箱4の外ブランク24とは異なる材料(即ち、調整タブとしての機能のために特別に設計された材料)から作ることができるという利点を有する。これに関連して、各調整タブ34は、通常、容器3、4を成す材料((即ち、ブランク17、24)よりもはるかに薄いことに留意することが重要である。
【0042】
全ての実施形態において、調整タブ34は蓋29“自動的”に開くことだけに作用し、外箱4から内箱3の引き出しはストッパによってのみ(即ち、保持ポケット16に係合する保持タブ15によって)制限(拘束)されるということに留意することが重要である。この結果、各調整タブ34は、対応する内箱3がストッパによってもたらされる限界を超えた場合にのみ完全に広がるように設計されている。ストッパがあることで、各調整タブ34は決して完全には広がらず、対応する内箱3の引き出し動作を決して制限せず、それにより決して引き裂きの危険を冒すことはない。
【0043】
上述したタバコのパケット1には数多くの利点がある。
【0044】
特に、内箱3が閉鎖位置にある時、蓋29の上壁31を外箱4の上壁10に極めて近接して配置させる調整タブ34の設計により、外箱4の内部容積を最適に使用させることができる。
図4、
図5及び
図6の実施形態では、各調整タブ34は比較的厚いが、閉鎖位置(
図4)では、調整タブ34の大部分は蓋29の“後ろ側”に位置しており(即ち、蓋29の後壁32の上に載っている)、それは蓋29の“頂上側”(即ち、蓋29の上壁31と外箱4の上壁10との間にある状態)とは対照的である。
図9、
図10及び
図11の実施形態では、各調整タブ34は、特に蓋29の上壁31を外箱4の上壁10に接続するように設計されたプラスチック材料から作られることによって、非常に薄くなっている(即ち、容器3,4の材料よりもはるかに薄い)。
【0045】
また、上述したタバコパケット1は、類似した標準的なタバコパケットにちょっとした小規模の変更だけを含ませることで安価でかつ製造が容易である。
【0046】
上記タバコパケット1の製造方法について、
図13及び
図14を参照して以下、説明する。
【0047】
その方法は、2つの内パッケージ2を形成すること、各内パッケージ2を対応する内ブランク17上に置くこと、内パッケージ2の周りで各内ブランク17を折り畳んで対応する内箱3を形成すること、2つの内箱3を外ブランク24上に置くこと、及び内箱3の周りで外ブランク24を折り畳んで外箱4を形成すること、からなる。
【0048】
図13に示すように、2つの調整タブ34は、内箱3を外ブランク24に置く前に、上端35において接合され、双方共、接着剤40により(外箱4の上壁10を形成する)外ブランク24のパネル10’か、あるいはパネル10’の補強タブ27に接着される。次いで、内箱3を外ブランク24上に置く前に、
図14に示すように各調整タブ34の下端36は、接着剤41により、対応する内箱3の蓋29の上壁31に接着される。
【0049】
図13に示すように、調整タブ34を完全に広げた状態で、接着剤40により調整タブ34の各上端35は、外ブランク24のパネル10の夫々の補強タブ27に同時接着される。次いで、
図14に示すように、調整タブ34を広げつつ蓋29の上壁31を調整タブ34の下端36に接着するように、各内箱3は少なくともその一部が外ブランク24の外側に(平行に)なるような位置において、部分的に予め折り畳まれた外ブランク24上に置かれる(即ち、内箱3は、外ブランク24上に完全に静止する状態とは対称的に、恐らくは若干重なり合った外ブランク24に並んで位置決めされる)。最後に、各内箱3は、外ブランク24に対して移動(並進移動)されて外ブランク24上に完全に載った状態となり(即ち、内箱3が外箱4の内側に挿入されるような閉鎖位置に対応した位置へと移動され)、調整タブ34を折り畳む(
図14の位置から、2つの内箱3は、一方が他方に対して外ブランク24の内側へと押し込まれる)。
【0050】
一旦、外ブランク24の内側へ(即ち、閉鎖位置に対応した位置に)2つの内箱3が押し込まれたならば、内箱3の周りで外ブランク24が折り畳まれてタバコパケット1が完成する。
【0051】
図13に示すように、パネル10’は(パネル12’、11’と共に)、2つの内箱3を外ブランク24の上に置く前に、パネル12”に対して対応する横方向折り線26の周りで90°折り畳まれ、パネル12”に対してパネル10’を(パネル12’、11’と共に)90°折り畳む前に、2つの調整タブ34の上端35は、好ましくは外ブランク24のパネル10’の補強タブ27に接着される。
【0052】
接着剤40及び/又は接着剤41は、使用直前に(即ち、調整タブ34の端部35や36がパネル10’の補強タブ27又は蓋29の上壁31に当てられる直前に)“新鮮”な状態で塗布されるようにしても良いし、あるいは(相当以前から)事前に塗布して使用前に完全に乾かし、必要に応じて(即ち、調整タブ34の端部35又は36をパネル10’の補強タブ27や蓋29の上壁31に当てた後に)加熱することにで活性化するようにしても良い。
【0054】
特に、その方法は迅速かつ正確なタバコパケット1の製造を提供する。
【0055】
更に、既存の包装機械を用いても数少ない軽微な変更のみで安価かつ容易に実行可能である。