特許第6088187号(P6088187)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6088187光学表示パネルの連続製造方法及び光学表示パネルの連続製造システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6088187
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】光学表示パネルの連続製造方法及び光学表示パネルの連続製造システム
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20170220BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20170220BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   G02F1/1335
   G02B5/30
   G02F1/13 101
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-212735(P2012-212735)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-66909(P2014-66909A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 聡
(72)【発明者】
【氏名】梅本 清司
(72)【発明者】
【氏名】秦 和也
(72)【発明者】
【氏名】近藤 誠司
【審査官】 森江 健蔵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−361741(JP,A)
【文献】 特開2004−338408(JP,A)
【文献】 特開2011−237464(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/115022(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/078253(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
G02B 5/30
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤を介して光学フィルムが積層されたキャリアフィルムを搬送する工程と、
搬送された前記キャリアフィルムを、内側にして折り返して当該キャリアフィルムから前記光学フィルムを前記粘着剤と共に剥離する工程と、
前記剥離する工程によって前記光学フィルムの前端部がアライメント用の検出位置よりも前方の頭出し位置に達するまで前記キャリアフィルムが剥離された後、前記光学フィルムの前端部を前記検出位置に引き戻す工程と、
前記引き戻す工程の後、前記検出位置にて前記光学フィルムの前端部を検出し、当該検出結果に基づいて前記光学フィルムのアライメントを行う工程と、
搬送される光学セルに対し、アライメント後の前記光学フィルムを、前記粘着剤を介して当該光学セルに貼り合わせる工程とを含む光学表示パネルの連続製造方法。
【請求項2】
前記キャリアフィルムの搬送方向を反転させるバックフィード動作を一回又は複数回行うことで前記光学フィルムの前端部を前記検出位置に引き戻すことを特徴とする請求項1に記載の光学表示パネルの連続製造方法。
【請求項3】
前記光学フィルムの前端部を前記検出位置に引き戻した後、前記検出位置において、前記キャリアフィルムから剥離された前記光学フィルムを前記光学セルに貼り合わせることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学表示パネルの連続製造方法。
【請求項4】
粘着剤を含む光学フィルムが当該粘着剤を介して積層されているキャリアフィルムを搬送するキャリアフィルム搬送部と、
前記キャリアフィルム搬送部により搬送されたキャリアフィルムを、折り返し部にて内側にして折り返して当該キャリアフィルムから前記光学フィルムを剥離する剥離部と、
光学セルを搬送する光学セル搬送部と、
前記剥離部で前記キャリアフィルムから剥離された前記光学フィルムを、前記粘着剤を介して、前記光学セル搬送部によって搬送されてきた前記光学セルに貼り合わせる貼合部と、
前記キャリアフィルムの搬送方向の制御が可能な駆動制御部と、を有し、
前記駆動制御部は、前記光学フィルムの前端部がアライメント用の検出位置よりも前方の頭出し位置に達した段階で、前記光学フィルムの前端部を前記検出位置に引き戻す制御を行い、
前記貼合部は、前記光学フィルムの前端部が前記検出位置に引き戻された後、当該検出位置にてアライメントされた前記光学フィルムを前記光学セルに貼り合わせることを特徴とする光学表示パネルの連続製造システム。
【請求項5】
前記折り返し部の上流側において、前記光学フィルムが積層された前記キャリアフィルムを前記剥離部に向けて搬送する駆動ローラを備え、
前記駆動制御部は、前記駆動ローラの回転方向を反転させる制御を行うことで、前記キャリアフィルムの搬送方向を反転させて、前記光学フィルムの前端部を前記検出位置に引き戻す制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の光学表示パネルの連続製造システム。
【請求項6】
前記貼合部は、前記検出位置において、前記キャリアフィルムから剥離された前記光学フィルムを前記光学セルに貼り合せることを特徴とする請求項4又は5に記載の光学表示パネルの連続製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアフィルムから剥離された光学フィルムを、粘着剤を介して光学セルに貼り合わせることで光学表示パネルを形成する、光学表示パネルの連続製造方法及び光学表示パネルの連続製造システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
偏光フィルムなどの光学フィルムを、粘着剤を介して光学セルに貼り合わせる方法としては、以下の方法が知られている。キャリアフィルム上に、粘着剤を介して光学フィルムを形成した状態で、剥離部の先端でキャリアフィルムを内側にして折り返す。これにより、当該キャリアフィルムから光学フィルムを粘着剤と共に剥離する。そして、剥離された光学フィルムを、粘着剤を介して光学セルに貼り合わせる。
【0003】
ここで、光学セルの目標位置に光学フィルムを貼り合せるに際し、位置合わせを行うことが重要となる。位置合わせ方法としては、従来、以下の方法が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の方法は、まず、貼り合わせ位置に供給された光学フィルムの先端のエッジ部分を、エッジ検査装置を用いて剥離部にて確認し、キャリアフィルムの長手方向に対する光学フィルムの送り方向及び横方向のズレ量(x,y,θ)を算出する。そして、算出されたデータに基づいて、光学セルをθだけ回動させてアライメントした上で貼り合わせ位置に送り、剥離部でキャリアフィルムから光学フィルムを剥離しながら貼り合わせを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4377964号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、液晶表示パネルなどの光学表示パネルは、小型化、薄型化及び軽量化が進んでおり、これに伴って表示領域周辺の小型化、いわゆる狭額縁化が進んでいる。狭額縁化を実現するためには、光学セルと光学フィルムの貼り合わせに対して、より高い精度が要求される。
【0007】
しかしながら、従来の光学表示パネルの連続製造方法によれば、このような、更に高い貼り合わせ精度に応じられない可能性がある。
【0008】
従来の方法では、光学フィルムの前端部が剥離部の上に存在する時点で、当該光学フィルムの前端部の位置検出が行われる。そして、この位置情報に基づいて、光学セルの位置が補正された後、光学フィルムの前端部と光学セルの先端部がそれぞれ貼り合わせ位置まで搬送される。
【0009】
この搬送の過程で、光学フィルムにおいては、剥離の際にフィルムに及ぼされる力や搬送時の張力変動によって搬送量にばらつきが生じる。また、光学セルにおいては、搬送時の光学セルと搬送ローラとの滑りなどによって、やはり搬送量にばらつきが生じる。従って、光学フィルムの前端部と光学セルの先端部が貼り合わせ位置に到達したときには、一方又は双方の位置が、目標としていた本来あるべき位置からずれる場合がある。このとき、光学フィルムと光学セルの貼り合わせ時に、貼りズレが生じてしまう。現時点では、これらの搬送量を正確に調整することは困難であるため、従来方法では、上記のような高水準の貼り合わせ精度が得られにくい。
【0010】
従って、高い貼り合わせ精度を実現するためには、光学フィルムと光学セルの位置合わせを、なるべく貼り合わせ位置に近い位置で行うことが好ましいといえる。例えば、剥離部の先端で光学フィルムの前端部を検出する方法が考えられる。しかし、この方法による場合でも、以下のような問題があることを見出した。
【0011】
剥離部の先端において、光学フィルムはキャリアフィルムから剥離される。この剥離に際し、剥離部の先端のR部分で粘着剤の粘着力により光学フィルムが変形することがある。剥離点のばらつきを抑制するために、通常、貼り合わせごとに光学フィルムの前端部の頭出し動作が行われる。しかし、剥離部先端における光学フィルムの変形状態は、貼り合わせごとに異なる。このため、光学フィルムの前端部の位置が頭出しごとにばらついてしまい、カメラの焦点がずれて正確にアライメントできない。この点につき、図5A図5Cを参照して説明する。
【0012】
図5A図5B及び図5Cは、キャリアフィルムから光学フィルムを粘着剤と共に剥離する工程を、模式的に図示したものである。なお、図5Cは、図5Bの剥離部40の先端部40a付近を拡大した模式図である。
【0013】
光学フィルム13は、光学フィルム本体13aと粘着剤13bを含んで構成され、キャリアフィルム12上に積層されている。巻取部60が、キャリアフィルム12を巻き取ることで、剥離部40の面に沿って、キャリアフィルム12上に形成された光学フィルム13がD1方向に移動する。剥離部40は、先端部40aが細く形成されており、当該箇所において、キャリアフィルム12から、粘着剤と共に光学フィルム13が剥離される。そして、この光学フィルム13は、パネルラインPL上をD2方向に移動してきた光学セルPに貼り合わせられる。
【0014】
図5Bに示すように、光学フィルム13を頭出しすると、剥離部40の先端部40aにおいて、光学フィルム13の頭出し角度に変動が生じる(13,13x,13y)。このことは、光学パネルPの搬送方向D2に関し、光学フィルム13の位置にズレが生じることを意味するものである(δ1,δ2)。なお、このようなズレは、図5Cに示すように、粘着剤13bの粘着力Fによる光学フィルム本体13aの変形によるものであると考えられる。
【0015】
このように、頭出しされた光学フィルム13の先端位置にばらつきが生じることで、光学セルPへの貼り合わせのためのアライメントに時間を要する。また、光学フィルム13の前端位置を検出するためのカメラの焦点にズレが生じ、アライメント精度が悪化する。このことは、高い貼り合わせ精度が安定して得られない可能性を示唆している。
【0016】
本発明は、上記の問題に鑑み、光学セルに対して光学フィルムを貼り合わせる際に、高い貼り合わせ精度が安定的に実現できる光学表示パネルの連続製造方法及びそのシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成すべくなされた本発明の光学表示パネルの連続製造方法は、
粘着剤を介して光学フィルムが積層されたキャリアフィルムを搬送する工程と、
搬送された前記キャリアフィルムを、内側にして折り返して当該キャリアフィルムから前記光学フィルムを前記粘着剤と共に剥離する工程と、
前記剥離する工程によって前記光学フィルムの前端部がアライメント用の検出位置よりも前方の頭出し位置に達するまで前記キャリアフィルムが剥離された後、前記光学フィルムの前端部を前記検出位置に引き戻す工程と、
前記引き戻す工程の後、前記検出位置にて前記光学フィルムの前端部を検出し、当該検出結果に基づいて前記光学フィルムのアライメントを行う工程と、
搬送される光学セルに対し、アライメント後の前記光学フィルムを、前記粘着剤を介して当該光学セルに貼り合わせる工程とを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、光学フィルムの前端部が検出位置よりも前方の頭出し位置に達するまで頭出しされ、この頭出し部分に関して、いったんキャリアフィルムから強制的に剥離された後、光学フィルムの前端部は検出位置に再び戻される。このため、光学フィルムは、頭出し動作時にほぼ同一箇所にてキャリアフィルムから剥離され、その後に検出位置に設定される。従って、貼り合わせ動作ごとに剥離位置が変動することがない。
【0019】
従って、粘着剤の粘着力に由来する光学フィルムの変形に起因した位置ズレが緩和される。よって、本方法によれば、貼り合わせのためのアライメント時間が短縮化されると共に、その精度が大きく向上する。
【0020】
前記光学フィルムの前端部を前記検出位置に引き戻す工程として、前記キャリアフィルムの搬送方向を反転させるバックフィード動作を一回又は複数回行うことが可能である。
【0021】
上記方法において、前記光学フィルムの前端部を前記検出位置に引き戻した後、前記検出位置において、前記キャリアフィルムから剥離された前記光学フィルムを前記光学セルに貼り合わせるのが好適である。これにより、高い貼り合わせ精度が安定的に実現される。
【0022】
また、本発明の光学表示パネルの連続製造システムは、
粘着剤を含む光学フィルムが当該粘着剤を介して積層されているキャリアフィルムを搬送するキャリアフィルム搬送部と、
前記キャリアフィルム搬送部により搬送されたキャリアフィルムを、折り返し部にて内側にして折り返して当該キャリアフィルムから前記光学フィルムを剥離する剥離部と、
光学セルを搬送する光学セル搬送部と、
前記剥離部で前記キャリアフィルムから剥離された前記光学フィルムを、前記粘着剤を介して、前記光学セル搬送部によって搬送されてきた前記光学セルに貼り合わせる貼合部と、
前記キャリアフィルムの搬送方向の制御が可能な駆動制御部と、を有し、
前記駆動制御部は、前記光学フィルムの前端部がアライメント用の検出位置よりも前方の頭出し位置に達した段階で、前記光学フィルムの前端部を前記検出位置に引き戻す制御を行い、
前記貼合部は、前記光学フィルムの前端部が前記検出位置に引き戻された後、当該検出位置にてアライメントされた前記光学フィルムを前記光学セルに貼り合わせることを特徴とする。
【0023】
本システムにより、粘着剤の粘着力に由来する光学フィルムの変形に起因した位置ズレが緩和され、貼り合わせのためのアライメント時間が短縮化されると共に、その精度が大きく向上する。
【0024】
上記構成に加えて、本システムが、前記折り返し部の上流側において、前記光学フィルムが積層された前記キャリアフィルムを前記剥離部に向けて搬送する駆動ローラを備え、
前記駆動制御部は、前記駆動ローラの回転方向を反転させる制御を行うことで、前記キャリアフィルムの搬送方向を反転させて、前記光学フィルムの前端部を前記検出位置に引き戻す制御を行うものとすることができる。
【0025】
また、上記構成に加えて、前記貼合部が、前記検出位置において、前記キャリアフィルムから剥離された前記光学フィルムを前記光学セルに貼り合せるものとすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の構成によれば、粘着剤の粘着力に由来する光学フィルムの変形に起因した位置ズレが緩和され、貼り合わせのためのアライメント時間が短縮化されると共に、その精度が大きく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】光学表示パネルの連続製造システムの一実施形態を示す模式図である。
図2A】キャリアフィルムから光学フィルムを粘着剤と共に剥離する工程を示す模式図である。
図2B】キャリアフィルムから光学フィルムを粘着剤と共に剥離する工程を示す模式図である。
図2C】キャリアフィルムから光学フィルムを粘着剤と共に剥離する工程を示す模式図である。
図3】実施例の実験方法を説明するための模式図である。
図4A】実験結果を示す図である。
図4B】実験結果を示す図である
図5A】キャリアフィルムから光学フィルムを粘着剤と共に剥離する工程を示す模式図である。
図5B】キャリアフィルムから光学フィルムを粘着剤と共に剥離する工程を示す模式図である。
図5C】キャリアフィルムから光学フィルムを粘着剤と共に剥離する工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る光学表示パネルの連続製造方法及び光学表示パネルの連続製造システムの実施形態につき、図面を参照して説明する。以下、適宜「本方法」、「本システム」と略記する。
【0029】
[システムの全体構成]
図1は、本システムの第1実施形態の模式図である。本システム100は、キャリアフィルム搬送部101、剥離部40、第1光学セル搬送部102、貼合部103、第2光学セル搬送部104、及び駆動制御部110などを備える。
【0030】
キャリアフィルム搬送部101は、キャリアフィルム12上に粘着剤を含む光学フィルム13が積層されてなる積層光学フィルム11を搬送する。第1光学セル搬送部102は、光学セルPを搬送する。剥離部40は、積層光学フィルム11から粘着剤を含む光学フィルム13を剥離する。貼合部103は、第1光学セル搬送部102より搬送されてきた光学セルPの一方の面上に、粘着剤を介して光学フィルム13を貼り合わせる。第2光学セル搬送部104は、一方の表面に光学フィルム13が貼り合わされた光学セルPを更に下流へと搬送する。
【0031】
図1では第2光学セル搬送部104より下流側の装置態様につき図示を省略しているが、本システム100では、光学セルPの両面に光学フィルム13を貼り合わせて光学表示パネルを製造することができるものとして構わない。この場合、本システム100は、更に別のキャリアフィルム搬送部、貼合部、剥離部、及び光学表示パネル搬送部を第2光学セル搬送部104の下流側に備える。ここで、以下において、本システム100を構成する要素が、第2光学セル搬送部104の上流側か下流側であることを区別するために、前者には「第1」、後者には「第2」という接頭表現を付すことがある。この表現方法を用いて説明すると、第1貼合部103にて一方の面に光学フィルム13を貼り合わされた光学セルPは、第2光学セル搬送部104の下流側にて反転(裏表反転、必要に応じて90°回転)された後、光学フィルム13が貼り合わされていない他方の面に対し、第2貼合部にて別の光学フィルムが貼り合わされる。これにより、光学セルPの両面に光学フィルムが貼り合わされ、光学表示パネルが生成される。
【0032】
なお、光学セルPに対して光学フィルムを貼り合わせる際の方法は、種々の方法が採用され得る。一例としては、水平面に平行に光学セルPを配置し、第1貼合部103が、光学セルPの上面に対してその上方から光学フィルムを貼り合わせる。そして、光学セルPの表裏を反転して再び光学フィルムが貼り合わされていない面を上方に向けて、第2貼合部にてその上方から別の光学フィルムを貼り合わせる。
【0033】
無論、光学セルPの下方から光学フィルムを貼り合わせるものとしても構わない。この場合、第1貼合部103、第2貼合部の双方において、下方から光学フィルムを貼り合わせても構わないし、両者の貼り合わせ方向を異ならせても構わない。後者の場合、第1貼合部103において光学セルPの上方から光学フィルムを貼り合わせた後、光学セルPを表裏反転させずに第2貼合部にて光学セルPの下方から光学フィルムを貼り合わせる方法を採用することができる。当然に、第1貼合部103及び第2貼合部の貼り合わせ方向を逆転させても構わない。
【0034】
特に、光学セルPを液晶セル、光学フィルムを偏光フィルムとする場合、液晶セルPの両面に貼り合わされる偏光フィルムの偏光方向を相互に直交させる必要がある。このため、第1貼合部103において、第1貼合方向で、(第1)光学フィルムを光学セルPの第1面に貼り合わせ、第2貼合部において、第1貼合方向と直交する方向である第2貼合方向で、(第2)光学フィルムを光学セルの第2面に貼り合わせる。
【0035】
以下、本システム100を構成する各要素につき、詳細に説明する。
【0036】
[フィルム及びロール]
前述したように、キャリアフィルム搬送部101は、キャリアフィルム12上に粘着剤を含む光学フィルム13が積層されてなる積層光学フィルム11を搬送する。図1に拡大して示されるように、積層光学フィルム11は、キャリアフィルム12上に光学フィルム13が積層されて形成されている。この光学フィルム13は、光学フィルム本体13aと粘着剤13bとを含む構成である。
【0037】
図1では、キャリアフィルム搬送部101が、ロール1から繰り出された積層光学フィルム11を搬送する態様が図示されている。ロール1は、積層光学フィルム11がロール状に巻かれたものであるが、より具体的には、以下のような態様が可能である。
【0038】
ロール1は、キャリアフィルム12、及び当該キャリアフィルム12上に粘着剤を介して形成された帯状(長尺状)の光学フィルム13、を有する積層光学フィルム11がロール状に巻かれたものとして構成され得る。この場合、本システム100は切断部20を備え、この切断部20は、帯状の光学フィルムから、キャリアフィルム12を残しつつ当該帯状の光学フィルム及び粘着剤を所定間隔に切断する。つまり、切断部20によって、積層光学フィルム11はハーフカットされる。なお、この切断部20において、例えば、連続製造システム内の欠点検査装置の検査結果に基づいて、良品の光学フィルムと不良品のそれを区別するように切断が行われてもよい。
【0039】
別の態様として、ロール1は、キャリアフィルム12、及び当該キャリアフィルム12上に粘着剤を介して形成された光学フィルム13、を有する積層光学フィルム11がロール状に巻かれたものとして構成され得る。つまり、この場合、積層光学フィルム11には、キャリアフィルム12の上層部分において、光学セルPに対する貼り合わせ対象となる光学フィルム(シート片状)単位で、切り目が入れられている。この場合には、本システム100は必ずしも切断部20を備えなくてもよい。
【0040】
光学フィルム13の例として、偏光フィルムを用いることができる。偏光フィルムは、例えば、偏光子(厚さは1.5〜80μm程度)と、偏光子の片面又は両面に偏光子保護フィルム(厚さは一般的に1〜500μm程度)が接着剤を有して又は接着剤なしで形成される。
【0041】
光学フィルム13の他の例としては、λ/4板又はλ/2板などの位相差フィルム(厚さは一般的に10〜200μm)、視角補償フィルム、輝度向上フィルム、表面保護フィルムなどを用いることができる。また、光学フィルム13を、偏光フィルムを含むこれらのフィルムを2以上積層した積層フィルムとして構成しても構わない。
【0042】
積層光学フィルム11は、その厚みの一例を10μm〜500μmの範囲内にすることができる。光学フィルム本体13aとキャリアフィルム12との間に介在する粘着剤13bは、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、又はウレタン系粘着剤などの種々の材料を利用することができる。粘着剤13bは、その厚みを、10〜50μmの範囲内にすることができる。粘着剤13bとキャリアフィルム12の間の剥離力は、一例として0.15(N/50mm幅サンプル)に設定されることができるが、これに限定されるものではない。なお、前記剥離力は、JIS Z0237規格に準じて測定される。
【0043】
キャリアフィルム12は、一例として、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、ポリオレフィン系フィルムなどを初めとする公知のプラスチックフィルムを用いることができる。また、必要に応じて、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、又は硫化モリブデンなどで形成された剥離剤で従来のフィルムに適宜コート処理を施したものを用いることができる。
【0044】
[キャリアフィルム搬送部]
キャリアフィルム搬送部101は、キャリアフィルム12を下流側へと搬送する。本実施形態では、キャリアフィルム搬送部101は切断部20を有する。切断部20は、ロール1から繰り出された積層光学フィルム11を、キャリアフィルム12を残しつつ所定間隔で切断する。これにより、光学セルPの大きさに対応した光学フィルム13がキャリアフィルム12上に形成される。この光学フィルム13は剥離部40でキャリアフィルム12から剥離されて貼合部103に供給される。本実施形態では、キャリアフィルム搬送部101は、切断部20、ダンサーロール30、巻取部60、及び上流側フィルム供給部90を有する。
【0045】
切断部20は、吸着部21でキャリアフィルム12側から積層光学フィルム11を固定しながら、帯状の光学フィルム13を光学セルPに対応する大きさに切断し、キャリアフィルム12上にシート片形状の光学フィルム13を形成する。切断部20としては、例えばカッター、レーザー装置などが挙げられる。
【0046】
上流側フィルム供給部90は、剥離部40より搬送上流側に配置される。より詳細には、上流側フィルム供給部90は、不図示のモータで回転駆動される駆動ローラ90aとこの駆動ローラ90aと対向して配置され、駆動ローラ90aに向かって不図示の付勢手段(例えば、圧縮バネ、板バネなど)で押し付けられる従動ローラ90bとを有する。駆動ローラ90aと従動ローラ90bとの間に積層光学フィルム11が挟持された状態で、駆動ローラ90aが回転することで、従動ローラ90bが従動して回転し、積層光学フィルム11を下流の剥離部40へと搬送する。
【0047】
上流側フィルム供給部90を構成する駆動ローラ90aと従動ローラ90bに使用される材質としては、例えば、金属、ゴム、樹脂が挙げられる。これらの材質は、ロール全体に使用されていてもよく、少なくともロール外表面に構成されていてもよい。
【0048】
なお、後述するように、本実施形態では、この上流側フィルム供給部90の駆動ローラ90aは、駆動制御部110によって回転制御が行われる構成である。より詳細には、駆動制御部110が、例えば、駆動ローラ90aの回転を駆動するモータを駆動制御する。駆動制御部110によって、同モータの回転方向、回転数、回転開始、回転停止の各制御が行われる。
【0049】
ダンサーロール30は、搬送過程、貼合過程などの各過程において、キャリアフィルム12の張力を保持する機能を持つ。このダンサーロール30により、貼合初期から光学フィルム13に対して、より確実に張力を与えることができる。図1に示されるように、キャリアフィルム搬送部101は、ダンサーロール30を介してキャリアフィルム12を下流の貼合部103へと搬送する。
【0050】
巻取部60は、剥離部40にて光学フィルム13が剥離されたキャリアフィルム12を巻き取るための巻取ローラ60aを有する。
【0051】
[剥離部]
剥離部40は、貼合部103よりも上流に設けられており、先端部40aでキャリアフィルム12を内側にして折り返すことで、キャリアフィルム12から粘着剤を含む光学フィルム13を剥離する。先端部40aは折り返し部に相当し、以下では、適宜「折り返し部40a」と記載することがある。なお、図1では、剥離部40が、その先端に先鋭ナイフエッジ部を有する構成を示しているが、このような構成に限定されるものではない。
【0052】
[第1光学セル搬送部]
第1光学セル搬送部102は、貼合部103に光学セルPを供給し搬送する。本実施形態では、第1光学セル搬送部102は、搬送ローラ80及び吸着プレートなどを有し、搬送ローラ80の回転又は吸着プレートの移送により、光学セルPを製造ライン下流側へ搬送する。光学セルPは、第1光学セル搬送部102によって貼合部103の貼合位置に搬送されると、光学フィルム13の貼り合わせ処理が行われる。
【0053】
[貼合部]
貼合部103は、キャリアフィルム12から剥離された光学フィルム13を、粘着剤を介して光学セルPに貼り合わせて光学表示パネルを形成する。貼合部103は、貼合ローラ50a、駆動ローラ(受けローラ)50bで構成される。本実施形態では、貼合部103における貼り合わせ動作は、以下の手順で行われる。
【0054】
まず、剥離部40の折り返し部40aにおいて、キャリアフィルム12から剥離された光学フィルム13が頭出しされる。この頭出し動作は、前端部が後述する頭出し位置に達するまで行われる。その後、光学フィルム13がバックフィードされ、頭出し位置よりも剥離部40側の検出位置まで光学フィルム13の前端部が引き戻される。
【0055】
この検出位置において、CCDカメラなどで構成された検出部70によって光学フィルム13の前端部が検出されると、当該検出結果に基づいて光学フィルム13に対するアライメントが行われる。その後、光学フィルム13は光学セルPの貼り合わせ面に接触される。接触後、貼合部103が備える両ローラ50a及び50bによって押圧されることで、光学セルPに光学フィルム13が貼り合わされる。
【0056】
貼り合わせ動作は、検出位置にて行うのが好ましいが、検出位置から搬送方向の前後にずれた位置にて行われてもよい。
【0057】
駆動ローラ50bは、不図示のモータによって回転駆動される。なお、駆動ローラ50bの駆動に応じて、貼合ローラ50aが従動する機構であるが、これに制限されず、駆動と従動が逆の機構でもよく、両方が駆動機構であってもよい。
【0058】
[第2光学セル搬送部及びその下流側]
第2光学セル搬送部104は、第1貼合部103により一方の面に光学フィルム13が貼り合わされた光学セルPを下流側に搬送する。この下流側において、当該光学セルPを表裏反転させる反転機構、及び必要に応じて90°水平回転させる回転機構が備えられている。反転機構や回転機構を介して光学セルPの向きが調整された後、第2貼合部にて、別の光学フィルムが貼り合わされる。
【0059】
なお、第2光学セル搬送部104の下流側において、光学セルPの他方の面に光学フィルムの貼り合わせるための各種手段は、上記で説明した各種手段や装置と同一のものを利用することが可能である。すなわち、第2キャリアフィルム搬送部は、第1キャリアフィルム搬送部と同様の装置で構成でき、第2貼合部は、第1貼合部と同様の装置で構成できる。
【0060】
光学表示パネル搬送部(不図示)は、搬送ロールや吸着プレートなどで構成され、第2貼合部により作製された光学表示パネルをその下流へ搬送する。また、搬送下流側に、光学表示パネルを検査するための検査装置が設置されていてもよい。この検査装置の検査目的、検査方法は特に制限されない。
【0061】
[駆動制御部]
上述したように、本実施形態では、この上流側フィルム供給部90の駆動ローラ90aの回転制御を行う。これにより、駆動制御部110は、剥離部40に向かうキャリアフィルム12の搬送速度/搬送方向の調整を行うことができる。
【0062】
本実施形態では、剥離部40においてキャリアフィルム12から光学フィルム13の頭出しをした状態で、一時的に駆動制御部110が駆動ローラ90aを逆回転に駆動し、折り返し部40aの上流に位置するキャリアフィルム12をバックフィードさせる制御を行う。これは、粘着剤13bの粘着力による光学フィルム本体13aの変形を防止する目的でなされる制御である。
【0063】
駆動制御部110からの制御によって行われるキャリアフィルム12のバックフィードは、各光学セルPへの貼り合わせ処理の前段階で、逐次行われる構成とするのが好ましい。このとき、光学フィルム13を頭出しした状態で、微小時間の前記バックフィード動作を行った後、剥離された光学フィルム13を光学セルPに貼り合わせるという一連の動作が繰り返される。
【0064】
[メカニズムの説明]
折り返し部40aの上流に位置するキャリアフィルム12をバックフィードさせることで、光学フィルム本体13aの変形が防止できる理由につき、図2A図2Cを参照して説明する。
【0065】
図2A図2Cは、キャリアフィルム12から光学フィルム13を粘着剤と共に剥離する工程を示す模式図である。本実施形態では、まず図2Aに示すように、光学フィルム13を剥離部40の折り返し部40aにおいて頭出しする。このとき、光学セルPの搬送方向D2について、貼り合わせのアライメントのための検出位置62よりも前方まで頭出しを行う(頭出し位置61)。つまり、光学フィルム13の前端部が頭出し位置61に達するまで頭出しを行う。
【0066】
次に、図2Bに示すように、折り返し部40aの上流側のキャリアフィルム12をD1r方向にバックフィードし、搬送方向D2について、光学フィルム13の前端部を検出位置62まで引き戻す。
【0067】
このような処理を施すことで、図2Aの時点で頭出しされた光学フィルム13は、いったんキャリアフィルム12から強制的に剥離された後、検出位置62に再び戻される。つまり、本方法によれば、光学フィルム13は、頭出し動作時にほぼ同一箇所にてキャリアフィルム12から剥離され、その後に検出位置62に設定されるため、貼り合わせ動作ごとに剥離位置が変動することがない。このため、図2Cに示すように、先端部が検出位置62に再設定された時点において、粘着剤13bの粘着力に起因する変形が大きく緩和される。
【0068】
従って、このバックフィード動作の後、当該検出位置62にて光学フィルム13に対するアライメントを行うことで、光学フィルム13の前端部のばらつきが少なくなるため、アライメントに要する時間が短縮化される。また、光学フィルム13の前端部の位置検出のためにカメラの焦点にズレが生じるということが極めて少なくなる。そして、この後に貼り合わせ動作を行うことで、貼り合わせ位置のズレの程度が抑制され、貼り合わせ精度は大きく向上する。
【0069】
[連続製造方法]
以上説明した本システム100により、光学表示パネルを連続的に製造する方法(本方法)は、以下の各工程を備えることで実現される。
【0070】
(1)本方法は、キャリアフィルム搬送部101によって、粘着剤13bを介して光学フィルム13が積層されたキャリアフィルム12を搬送する工程を有する。
(2)本方法は、剥離部40によって、搬送されたキャリアフィルム12を、折り返し部40aにて内側にして折り返して当該キャリアフィルム12から光学フィルム13を粘着剤と共に剥離する工程を有する。
(3)本方法は、光学セル搬送部102によって光学セルPを搬送する工程を有する。また、貼合部103によって、キャリアフィルム12から剥離された光学フィルム13を、粘着剤を介して、搬送されてきた光学セルPに貼り合わせて光学表示パネルを形成する工程を有する。
(4)本方法は、剥離部40によって光学フィルム13の前端部がアライメント用の検出位置62よりも前方の頭出し位置61に達するまでキャリアフィルム12が剥離された後、駆動制御部110によって、光学フィルム13の前端部を検出位置62に引き戻す制御を行う工程(バックフィード工程)を有する。
【0071】
本実施形態では、このバックフィード工程として、上述したように、駆動制御部110による上流側フィルム供給部90の駆動ローラ90aの回転制御により、折り返し部40aの上流側においてキャリアフィルム12をバックフィードすることが一例として挙げられる。また、別の例として、ダンサーロール30と剥離部40の間に搬送用ローラを備え、このローラの回転制御によってバックフィード動作を行わせる方法も可能である。
【0072】
なお、バックフィード工程においては、前端部が頭出し位置61に達するまで光学フィルム13を搬送した後、検出位置62に引き戻すまでに、搬送方向へのフィード動作と逆方向へのバックフィード動作が一回又は複数回組み合わされても構わない。
【0073】
また、光学フィルム13の前端部を検出位置62にまで引き戻した後、当該位置において光学セルPへの貼り合わせを行うものとするのが好適である。このようにすることで、高い位置合わせ精度を保ったまま、貼り合わせ動作を行うことができるので、貼りズレを小さくする効果がより高められる。
【0074】
なお、折り返し部40aの下流側に位置する巻取ローラ60a又は下流側フィルム供給部の駆動ローラ95aを逆回転に制御することで、キャリアフィルム12をバックフィードさせても構わない。
【実施例】
【0075】
[実験方法]
図3を参照して、実験方法について説明する。
【0076】
貼り合わせ前にバックフィード動作を行う場合を実施例とし、バックフィード動作を行わない場合を比較例とした。なお、実施例、比較例共に、剥離される側のフィルム(光学フィルム13に相当)の厚みを75μm、38μmの2パターンとした。
【0077】
比較例においては、剥離部40の折り返し部40aの先端から20mmだけ光学フィルム13を頭出しし、同先端からの水平面に対する角度θを測定した(この角度をθとする)。このとき、θはバックフィード動作を行わずに、光学フィルム13の前端部13tを検出位置62まで搬送したときの光学フィルム13の頭出し角度に対応する。その後、光学セルPに対する貼り合わせを行い、貼り合わせ位置を測定した。
【0078】
実施例においては、剥離部40の折り返し部40aの先端から30mmだけ光学フィルム13の頭出しをした後、10mmのバックフィード動作を行なって、頭出し長さを比較例と同様の20mmとした。そしてこの状況で角度θを測定した(この角度をθとする)。このとき、θは、検出位置62よりも前方の頭出し位置61まで搬送した後にバックフィード動作を行って前端部13tを再び検出位置62に引き戻したときの光学フィルム13の頭出し角度に対応する。その後、光学セルPに対する貼り合わせを行い、比較例と同様の方法により貼り合わせ位置を測定した。
【0079】
実験に用いた材料は次の通りである。
(1)剥離される側のフィルム(以下「フィルムA」と呼び、光学フィルム13に相当する。)として、三菱樹脂株式会社製のMRF75CK(厚み75μm)、MRF38CK(厚み38μm)を用いた。なお、実施例1及び比較例1においては、厚み75μmのものを用い、実施例2及び比較例2においては、厚み38μmのものを用いた。
(2)搬送用フィルム(以下「フィルムB」と呼び、キャリアフィルム12に相当する)。として、三菱樹脂株式会社製のMRF38CK(厚み38μm)を用いた。
(3)フィルムA、フィルムB共に、幅を100mmとした。
【0080】
その他の実験条件は次の通りである。
(1)フィルムAの頭出し速度を2m/秒とした。
(2)剥離部40の先端部40aの曲率半径Rを1mmとした。
(3)サンプル数を3とした。
【0081】
[実験結果]
上記実験条件の下で行われた実験結果につき、図4A及び図4Bを参照して実験結果について説明する。
【0082】
図4Aは、実施例及び比較例における、各実験での頭出し角度θの平均値並びにばらつき度合いを示したものである。図4Aにおいて、比較例1では、頭出し角度θの平均値が18.2°、ばらつきは17.6°〜19.4°である。これに対し、実施例1では、頭出し角度θの平均値が17.6°、ばらつきは17.4°〜18.1°である。これにより、比較例1に対して実施例1の方がばらつきが少ないことが分かる。同様に、比較例2と実施例2を対比しても、実施例2の方がばらつきが少ないことが分かる。つまり、光学フィルム13の厚みが75μm、38μmのいずれの場合においても、比較例に比べて実施例の方がばばらつきが少なくなっている。
【0083】
図4Bは、実施例及び比較例における、各実験での貼り合わせ位置の平均値並びにばらつき度合いを示したものである。この実験でも、やはり光学フィルム13の厚みが75μm、38μmのいずれの場合においても、比較例に比べて実施例の方がばばらつきが少なくなっている。
【0084】
光学フィルム13の厚みが薄いほど、粘着剤の粘着力の影響によって変形しやすく、頭出し角度にばらつきが生じやすいことが想定される。しかし、本実験結果によれば、厚みを38μmと薄くした場合においてもばらつきを小さくする効果が得られている。
【0085】
そして、貼り合わせ前にバックフィード動作を行ったことで、頭出し角度のばらつきが緩和された結果、貼り合わせ位置のばらつきも小さくする効果が得られている。
【符号の説明】
【0086】
1 : ロール
11 : 積層光学フィルム
12 : キャリアフィルム
13、13x、13y : 光学フィルム
13a : 光学フィルム本体
13b : 粘着剤
20 : 切断部
21 : 吸着部
30 : ダンサーロール
40 : 剥離部
40a : 剥離部の先端部(折り返し部)
50a : 駆動ローラ
50b : 受けローラ
60 : 巻取部
60a : 巻取ローラ
61 : 頭出し位置
62 : 検出位置
70 : 検出部
80 : 目標貼合せ位置
90 : 上流側フィルム供給部
90a : 上流側フィルム供給部の駆動ローラ
90b : 上流側フィルム供給部の従動ローラ
95 : 下流側フィルム供給部
95a : 下流側フィルム供給部の駆動ローラ
95b : 下流側フィルム供給部の従動ローラ
100、100a、100b、100c : 光学表示パネルの連続製造システム
101 : キャリアフィルム搬送部
102 : 第1光学セル搬送部
103 : 貼合部
104 : 第2光学セル搬送部
110 : 駆動制御部
F : 粘着力
P : 光学セル
PL : パネルライン
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C