(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
モータの回転が伝達される駆動軸を基準位置から第1方向および第1方向とは反対の第2方向に駆動する駆動ユニット、前記駆動軸に着脱可能に装着されて当該駆動軸の軸線回りに回転する製氷皿、および、前記駆動軸に装着された製氷皿に前記第2方向の前方から当接可能な製氷皿回転規制部を備える装置本体と、
前記モータの駆動電流の変化を検出する電流検出部、前記駆動軸が前記基準位置から前記第2方向に駆動された駆動時間を計測するタイマ、および、前記駆動軸に前記製氷皿が装着されているか否かを判定する判定部を備える制御部と、を有し、
前記駆動ユニットは、前記駆動軸に装着された製氷皿を、前記製氷皿回転規制部に当接して前記製氷皿の前記第2方向の回転が阻止される回転規制位置と、開口が下方を向く離氷位置との間で製氷位置を経由して移動させ、
前記駆動軸は、前記製氷皿が装着されていない状態では、前記製氷皿を前記製氷位置から前記回転規制位置に移動させる間に回転する回転角度を超えて前記基準位置から前記第2方向へ駆動され、
前記製氷皿の前記製氷位置から前記離氷位置への移動は、前記駆動軸の前記第1方向への駆動により行われ、
前記製氷皿の前記製氷位置から前記回転規制位置への移動は、前記駆動軸の前記第2方向への駆動により行われ、
前記製氷皿は、前記駆動軸が前記基準位置にあるときに前記製氷皿に供給された製氷用水を凍らせる製氷動作が行われる前記製氷位置に配置されるとともに、前記製氷皿の前記第2方向の回転が阻止される前記回転規制位置は、前記製氷皿が、前記開口を上方に向け貯留された製氷用水を当該開口から溢すことなく保持可能である位置であり、
前記製氷皿が前記駆動軸に装着されているか否かを判定するときには、前記制御部が前記駆動軸を前記回転角度を超えるように前記基準位置から前記第2方向へ駆動させる製氷皿装着検知動作を行い、前記判定部は、当該製氷皿装着検知動作における前記駆動時間と前記駆動電流の変化に基づいて前記製氷皿が前記駆動軸に装着されているか否かを判定することを特徴とする製氷装置。
モータの回転が伝達される駆動軸を基準位置から第1方向および第1方向とは反対の第2方向に駆動する駆動ユニットと、前記駆動軸に着脱可能に装着されて当該駆動軸の軸線回りに回転する製氷皿を備える装置本体とを有し、前記駆動ユニットが前記駆動軸を前記基準位置から前記第1方向に駆動することにより、前記駆動軸に装着された製氷皿を当該製氷皿の開口が上方を向く製氷位置から当該開口が下方を向く離氷位置に回転させて当該製氷皿で製造された氷を落下させる製氷装置の製氷皿装着検知方法であって、
前記駆動軸に装着されて前記第2方向に回転させられる前記製氷皿に回転方向の前方から当接可能な位置に製氷皿回転規制部を設け、
前記製氷皿が前記製氷皿回転規制部に当接した状態では、前記開口が上方を向き前記製氷皿に貯留された製氷用水を前記開口から溢すことなく保持可能であるとともに、前記製氷皿の前記第2方向への回転が規制され、
前記製氷皿が前記駆動軸に装着されているか否かを判定するときには、前記製氷皿を前記製氷位置から前記製氷皿回転規制部に当接した回転規制位置に移動させる間に回転する回転角度を超えるように前記駆動軸を前記第2方向に駆動して、前記駆動軸が前記基準位置から前記第2方向に駆動された駆動時間を計測するとともに、前記モータの駆動電流の変化を監視し、
前記駆動時間と前記駆動電流の変化に基づいて前記製氷皿の前記第2方向への回転が前記製氷皿回転規制部によって規制されているかどうかを検出し、前記製氷皿が前記駆動軸に装着されているか否かを判定することを特徴とする製氷装置の製氷皿装着検知方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、センサによって製氷皿の装着の有無を検出するのでは、装置の製造コストが増加してしまうという問題がある。また、製氷皿を離氷位置に配置するまで駆動軸を駆動して製氷皿の装着の有無を検出するのでは、製氷皿の装着の有無を検出するまでに時間がかかるという問題がある。さらに、製氷皿の装着の有無を検出するために製氷皿が離氷位置に配置されるまで駆動軸を駆動するのでは、駆動軸に製氷皿が装着されており、かつ、装着された製氷皿に製氷用水が保持されている場合に、製氷用水を製氷皿から貯氷部の側に溢してしまうという問題がある。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、製氷用水を製氷皿から溢さずに、製氷皿検出用の新たなセンサを設けることなく、駆動ユニットへの製氷皿の装着の有無を短時間で判断できる製氷装置、このような製氷装置の装置本体、および、製氷装置の製氷皿装着検知方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の製氷装置は、
モータの回転が伝達される駆動軸を基準位置から第1方向および第1方向とは反対の第2方向に駆動する駆動ユニット、前記駆動軸に着脱可能に装着されて当該駆動軸の軸線回りに回転する製氷皿、および、前記駆動軸に装着された製氷皿に前記第2方向の前方から当接可能な製氷皿回転規制部を備える装置本体と、
前記モータの駆動電流の変化を検出する電流検出部、前記駆動軸が前記基準位置から前記第2方向に駆動された駆動時間を計測するタイマ、および、前記駆動軸に前記製氷皿が装着されているか否かを判定する判定部を備える制御部と、を有し、
前記駆動ユニットは、前記駆動軸に装着された製氷皿を、前記製氷皿回転規制部に当接して前記製氷皿の前記第2方向の回転が阻止される回転規制位置と、開口が下方を向く離氷位置との間で製氷位置を経由して移動させ、
前記駆動軸は、前記製氷皿が装着されていない状態では、前記製氷皿を前記製氷位置から前記回転規制位置に移動させる間に回転する回転角度を超えて前記基準位置から前記第2方向へ駆動され
、
前記製氷皿の前記製氷位置から前記離氷位置への移動は、前記駆動軸の前記第1方向への駆動により行われ、
前記製氷皿の前記製氷位置から前記回転
規制位置への移動は、前記駆動軸の前記第2方向への駆動により行われ、
前記製氷皿は、前記駆動軸が前記基準位置にあるときに前記製氷皿に供給された製氷用水を凍らせる製氷動作が行われる前記製氷位置に配置されるとともに、前記製氷皿の前記第2方向の回転が阻止される前記回転規制位置は、前記製氷皿が、前記開口を上方に向け貯留された製氷用水を当該開口から溢すことなく保持可能である位置であり、
前記製氷皿が前記駆動軸に装着されているか否かを判定するときには、前記制御部が前記駆動軸を前記回転角度を超えるように前記基準位置から前記第2方向へ駆動させる製氷
皿装着検知動作を行い、前記判定部は、
当該製氷皿装着検知動作における前記駆動時間と前記駆動電流の変化に基づいて前記製氷皿が前記駆動軸に装着されているか否かを判定することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、駆動ユニットに製氷皿が装着されている場合には、すなわち、駆動軸に製氷皿が装着されている場合には、駆動軸を基準位置から第2方向に駆動すると、製氷皿が製氷皿回転規制部に当接してその回転が阻止され、駆動軸を回転駆動するモータに負荷がかかり、その駆動電流が上昇する。従って、製氷皿を製氷位置から回転規制位置に移動させるまでに必要な駆動軸の駆動時間よりも僅かに長い時間を基準駆動時間としておき、モータの駆動電流が予め設定した設定電流値以上に上昇した時点で基準駆動時間を経過していない場合には、駆動ユニットに製氷皿が装着されていると判断できる。その一方で、基準駆動時間に達してもモータの駆動電流が上昇していない場合には、駆動軸の回転が阻止されていないので、駆動ユニットに製氷皿が装着されていないと判断できる。よって、新たに製氷皿検出用のセンサを設けることなく、駆動ユニットに製氷皿が装着されているか否かを判断できる。ここで、回転規制位置では、製氷皿は反転しておらず、開口が上方を向いているので、製氷皿を製氷位置から回転規制位置に移動させるまでに必要な駆動軸の駆動時間は、製氷皿を製氷位置から反転した離氷位置まで移動させるまでに必要な駆動軸の駆動時間と比較して短い。従って、駆動ユニットへの製氷皿の装着の有無を短時間で判断できる。また、回転規制位置において、製氷皿は開口を上方に向け貯留された製氷用水を開口から溢すことなく保持可能なので、製氷皿の装着の有無を検知する際に、製氷皿から製氷用水が溢れることがない。なお、駆動ユニットが駆動軸に装着された製氷皿を回転規制位置と離氷位置との間で製氷位置を経由して移動させる構成には、製氷皿回転規制位置と製氷位置とが同じ位置の場合も含まれている。
【0010】
ここで、製氷皿回転規制部を製氷皿における駆動ユニットとは反対側の部位に当接可能に設けた場合には、製氷皿において駆動ユニットからの駆動力が伝達される部分と製氷皿回転規制部の当接部位とが駆動軸の軸線方向で離れてしまうので、製氷皿回転規制部と当接した製氷皿が駆動軸の回転力によって捻られてしまう可能性がある。この場合には、製氷皿の捻り変形によってモータの駆動電流の変化が緩やかなものになるので、製氷皿の装着の有無について誤判定を招く可能性がある。かかる問題を回避するためには、前記製氷皿回転規制部は、前記製氷皿における前記駆動ユニット側の部位に当接可能に設けられていることが望ましい。このようにすれば、製氷皿において駆動ユニットからの駆動力が伝達される部分と製氷皿回転規制部の当接部位と接近するので、製氷皿回転規制部に当接し
た製氷皿が捻られることを抑制できる。この結果、モータの駆動電流の変化が顕著なものとなるので、誤判定を防止できる。
【0011】
本発明において、前記製氷皿回転規制部は、前記駆動ユニットに設けられていることが望ましい。このようにすれば、装置本体に製氷皿回転規制部を備えることが容易となる。
【0012】
本発明において、前記装置本体は、前記駆動軸に装着された前記製氷皿を下方から回転可能に支持するフレームを備えており、前記製氷皿回転規制部は、前記駆動軸よりも下方に設けられていることが望ましい。このようにすれば、製氷皿を上方からフレームに支持させる際に、製氷皿回転規制部と製氷皿とが干渉することを防止できる。従って、装置本体への製氷皿の装着が容易となる。
【0013】
本発明において、前記駆動軸が前記基準位置に位置すると操作されるスイッチを備えていることが望ましい。このようにすれば、スイッチの操作に基づいて駆動軸が基準位置にあることを検出できる。
【0014】
本発明において、前記駆動ユニットは、前記駆動軸の前記基準位置から第2方向への回転角度範囲を規制する駆動軸回転規制機構を備えており、前記駆動軸が前記製氷皿を前記製氷位置から前記回転規制位置に移動させる間に回転する回転角度範囲は、前記駆動軸回転規制機構により規制される回転角度範囲内にあることが望ましい。このようにすれば、製氷皿が装着されていない場合に、第2方向へ回転駆動される駆動軸を駆動軸回転規制機構によって予め定めた停止位置に停止させることができる。すなわち、駆動軸回転規制機構によって製氷皿が装着されていない場合の駆動軸の停止位置が規定される。従って、駆動軸を第1方向に回転駆動して基準位置に戻すイニシャライズが容易となる。
【0015】
本発明において、前記駆動軸を前記基準位置から第2方向に回転させる駆動速度は、前記駆動軸を前記基準位置から第1方向に回転させる駆動速度および前記製氷皿を前記離氷位置から前記製氷位置に移動させる際の前記駆動軸の駆動速度と比較して遅くしてもよい。このようにすれば、第1駆動軸を基準位置から第2方向に回転させる駆動速度がゆっくりしたものとなる。従って、製氷皿を製氷位置から回転規制位置に移動させるまでに必要な第1駆動軸の駆動時間が経過した時に、モータの駆動電流が予め設定した設定電流値以上に上昇していることを確認することが容易となる。よって、製氷皿の装着の有無を判定することが容易となる。
【0016】
本発明において、前記駆動ユニットは、前記装置本体の下方に設けられた貯氷部に貯留された氷量を検出するための検査部材と、前記検査部材を貯氷部内に向かって下降させる検査部材駆動機構と、前記検査部材の下降の停止を検出する検出機構とを備え、前記タイマは、前記駆動軸が前記基準位置から前記第1方向に駆動された第2駆動時間を計測し、前記検査部材駆動機構は、前記駆動軸の前記第1方向への駆動の開始と同期して前記検査部材の下降動作を開始し、前記制御部は、前記検査部材の下降の停止を検出した時点の前記第2駆動時間が予め設定した基準駆動時間よりも短い場合に、前記貯氷部の氷が満杯であると判定することが望ましい。このようにすれば、貯氷部の氷量を検出する際に用いるタイマと、製氷皿の装着の有無を検知するために用いるタイマとを兼用できるので、装置の製造コストを抑制できる。
【0017】
次に、本発明は、上記の製氷装置の装置本体とすることができる。
【0018】
また、本発明は、モータの回転が伝達される駆動軸を基準位置から第1方向および第1方向とは反対の第2方向に駆動する駆動ユニットと、前記駆動軸に着脱可能に装着されて当該駆動軸の軸線回りに回転する製氷皿を備える装置本体とを有し、前記駆動ユニットが前記駆動軸を前記基準位置から前記第1方向に駆動することにより、前記駆動軸に装着された製氷皿を当該製氷皿の開口が上方を向く製氷位置から当該開口が下方を向く離氷位置に回転させて当該製氷皿で製造された氷を落下させる製氷装置の製氷皿装着検知方法であって、
前記駆動軸に装着されて前記第2方向に回転させられる前記製氷皿に回転方向の前方から当接可能な位置に製氷皿回転規制部を設け、
前記製氷皿が前記製氷皿回転規制部に当接した状態では、前記開口が上方を向き前記製氷皿に貯留された製氷用水を前記開口から溢すことなく保持可能であるとともに、前記製氷皿の前記第2方向への回転が規制され、
前記製氷皿が前記駆動軸に装着されているか否かを判定するときには、前記製氷皿を前記製氷位置から前記製氷皿回転規制部に当接した回転規制位置に移動させる間に回転する回転角度を超えるように前記駆動軸を前記第2方向に駆動して、前記駆動軸が前記基準位置から前記第2方向に駆動された駆動時間を計測するとともに、前記モータの駆動電流の変化を監視し、
前記駆動時間と前記駆動電流の変化に基づいて
前記製氷皿の前記第2方向への回転が前記製氷皿回転規制部によって規制されているかどうかを検出し、前記製氷皿が前記駆動軸に装着されているか否かを判定
することを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、駆動ユニットに製氷皿が装着されている場合には、すなわち、駆動軸に製氷皿が装着されている場合には、駆動軸を基準位置から第2方向に駆動すると、製氷皿が製氷皿回転規制部に当接してその回転が阻止され、駆動軸を回転駆動するモータに負荷がかかり、その駆動電流が上昇する。従って、製氷皿を製氷位置から回転規制位置に移動させるまでに必要な駆動軸の駆動時間よりも僅かに長い時間を基準駆動時間としておき、モータの駆動電流が予め設定した設定電流値以上に上昇した時点で基準駆動時間を経過していない場合には、駆動ユニットに製氷皿が装着されていると判断できる。その一方で、基準駆動時間に達してもモータの駆動電流が上昇していない場合には、駆動ユニットに製氷皿が装着されていないと判断できる。よって、新たに製氷皿検出用のセンサを設けることなく、駆動ユニットに製氷皿が装着されているか否かを判断できる。ここで、回転規制位置では、製氷皿は反転しておらず、開口が上方を向いているので、製氷皿を製氷位置から回転規制位置に移動させるまでに必要な駆動軸の駆動時間は、製氷皿を製氷位置から反転した離氷位置まで移動させるまでに必要な駆動軸の駆動時間と比較して短い。従って、駆動ユニットへの製氷皿の装着の有無を短時間で判断できる。また、回転規制位置において、製氷皿は開口を上方に向け貯留された製氷用水を開口から溢すことなく保持可能なので、製氷皿の装着の有無を検知する際に、製氷皿から製氷用水が溢れることがない。なお、駆動ユニットが駆動軸に装着された製氷皿を回転規制位置と離氷位置との間で製氷位置を経由して移動させる構成には、製氷皿回転規制位置と製氷位置とが同じ位置の場合も含まれている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、製氷皿検出用のセンサを新たに用いることなく、モータの駆動電流と駆動軸の駆動時間に基づいて、駆動ユニットへの製氷皿の装着の有無を検知できる。また、製氷皿を製氷位置から回転規制位置に移動させるまでに必要な駆動軸の駆動時間は、製氷皿を製氷位置から離氷位置まで移動させるまでに必要な駆動軸の駆動時間よりも短いので、駆動ユニットへの製氷皿の装着の有無を短時間で判定できる。さらに、回転規制位置では、製氷皿は、開口を上方に向け貯留された製氷用水を開口から溢すことなく保持可能となっているので、製氷皿の装着の有無を検知する際に、製氷皿から製氷用水が溢れることがない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した製氷装置を説明する。
【0023】
(全体構成)
図1(a)は本発明を適用した製氷装置の要部の平面図であり、
図1(b)は製氷装置の側面図である。
図1(a)では製氷皿の平面形状等が分かるように枠状フレームを1点鎖線で示している。製氷装置1は、氷を貯留するための貯氷槽(貯氷部)100の上方に配置された装置本体2と、装置本体2を駆動制御する制御部3を備えている。装置本体2は冷蔵庫の製氷室内に設置されて使用される。
【0024】
装置本体2は、駆動ユニット4と、駆動ユニット4に着脱可能に装着されている製氷皿5と、貯氷槽100内の氷量を検出するための棒状の検査部材6と、これらを支持する枠状フレーム7を備えている。駆動ユニット4は、駆動源としてモータ8を搭載しており(
図3参照)、モータ8の駆動力によって製氷皿5および検査部材6を連動させて駆動する。
図1(a)に示すように、枠状フレーム7は真上から見た形状が矩形をしており、駆動ユニット4、製氷皿5および検査部材6の周囲を囲んでいる。
【0025】
制御部3は冷蔵庫の制御部と一体に構成されている。
図1(b)に示すように、制御部3と駆動ユニット4は配線1aによって電気的に接続されている。制御部3には製氷皿5に製氷用水を供給するための給水ポンプ9が接続されている。
【0026】
制御部3は、給水ポンプ9を駆動制御して、製氷皿5に所定量の製氷用水を供給する給水動作を行う。また、制御部3は、駆動ユニット4のモータ8を駆動制御することにより、駆動ユニット4への製氷皿5の装着の有無を検出する製氷皿装着検知動作、貯氷槽100内の氷量を検出する氷量検出動作、および、製氷皿5で製氷された氷を貯氷槽100に移動させる氷移動動作を行う。さらに制御部3は、モータ8の駆動を停止した状態で維持することにより、後述する製氷位置5Aで製氷皿5に供給された製氷用水を凍らせる製氷動作を行う。制御部3は、駆動ユニット4の側から信号を取得する信号取得部10、モータ8の駆動電流の変化を検出する電流検出部11、タイマ12、駆動ユニット4に製氷皿5が装着されているか否かを判定する判定部13を備えている。
【0027】
ここで、
図1に示す状態は、装置本体2の基準状態である。基準状態では、製氷皿5は製氷を行う製氷位置5Aに配置されている。製氷位置5Aでは製氷皿5は開口5aを真上に向けている。
【0028】
給水動作および製氷動作は装置本体2が基準状態とされているとき、すなわち、製氷皿5が製氷位置5Aに位置しているときに行なわれる。なお、以下の説明では、製氷皿5と駆動ユニット4が配列されている方向を装置幅方向とする。また、
図1(a)に示すように、駆動ユニット4に対して検査部材6が配置されている側を装置前方とし、その反対側を装置後方とする。
【0029】
図2は駆動ユニット4を製氷皿5の前方から見た斜視図である。
図2に示すように、駆動ユニット4は直方体形状をしたユニットケース14を備えている。ユニットケース14
は、製氷皿5の側に位置する第1ケース部材14aと、第1ケース部材14aに対して製氷皿5とは反対側から被せられている第2ケース部材14bから構成されている。ユニットケース14の製氷皿5の側の側板14c(第1ケース部材14aの側板)の中央部分からは第1駆動軸(駆動軸)20が突出している。第1駆動軸20の先端側部分には製氷皿5が装着される被装着部20aが設けられている。被装着部20aは軸線方向から見た形状が小判型となるように外周面がカットされている。側板14cの製氷皿5の側の端面における第1駆動軸20の下方の装置後方の部位には、駆動軸の軸線方向に突出する第1製氷皿回転規制部15が設けられている。駆動ユニット4において側端面と隣接する前板の下側部分からは第2駆動軸23が突出している。
【0030】
製氷皿5は、
図1(a)に示すように、製氷位置5Aの状態で真上から見た平面形状が長方形をしており、長手方向を装置幅方向に向け、短手方向を装置前後方向に向けて配置されている。製氷皿5の駆動ユニット4の側の端部分における装置前後方向の中央部分には、製氷皿5を駆動ユニット4の第1駆動軸20に装着するための装着部5bが設けられている。装着部5bは第1駆動軸20の被装着部20aを嵌め込み可能な装着凹部5cを備えている。装着凹部5cは第1駆動軸20の被装着部20aと係合する小判型をしており、装着凹部5cが被装着部20aに嵌め込まれることにより、第1駆動軸20と製氷皿5は軸線L0回りに相対回転することなく一体に回転するものとなる。製氷皿5の駆動ユニット4とは反対側の端部分における装置前後方向の中央部分には、装置幅方向に突出する円柱形状の支軸5dが設けられている。また、製氷皿5は、
図1(a)に示すように、開口5aを真上に向けた状態において、駆動ユニット4とは反対側の端部分における装置後方の端部分に、装置幅方向に突出する突出部5eを備えている。
【0031】
支軸5dは、枠状フレーム7において駆動ユニット4と装置幅方向で対向しているフレーム部分7aに設けられた軸受部7bに、回転可能な状態、かつ、着脱可能な状態で下方から支持されている。軸受部7bは第1駆動軸20の軸線L0上に設けられている。軸受部7bは、軸線L0方向から見た形状がU字形状をしている。
【0032】
ここで、駆動ユニット4と対向しているフレーム部分7aには、
図1(b)に示すように、軸受部7bの上側に、製氷皿5を軸線方向に通過させることが可能な窓部7cが形成されている。製氷皿5を駆動ユニット4に装着する際には、
図1(b)において2点鎖線で示すように、製氷皿5を軸線L0方向から窓部7cを介して枠状フレーム7の内側に挿入し、駆動ユニット4の側が下になるように僅かに傾斜させて、装着凹部5cの開口5aと第1駆動軸20の被装着部20aの位置を合わせる。その後、製氷皿5を駆動ユニット4の側に移動させながら支軸5dを下方に移動させてU字形状の軸受部7bに挿入する。これにより、装着凹部5cに被装着部20aが嵌め込まれて製氷皿5が第1駆動軸20に装着される。また、支軸5dが軸受部7bに回転可能な状態で支持される。製氷皿5が第1駆動軸20に装着された状態では、製氷皿5は第1駆動軸20と一体に軸線L0回りに回転する。製氷皿5を駆動ユニット4に装着する際には、支軸5dを上方に移動させて軸受部7bから外し、製氷皿5を枠状フレーム7の窓部7cから外側に取り出す。
【0033】
なお、装置本体2が冷蔵庫内に設置される際には、例えば、冷蔵庫のドアが開閉されたときに、開放状態となる側に枠状フレーム7の窓部7cが位置し、開放状態となる側とは反対の奥側に駆動ユニット4が位置するように配置される。
【0034】
次に、駆動ユニット4と対向しているフレーム部分7aには、
図1(a)に示すように、軸線L0方向の製氷皿5の側に向って突出する第2製氷皿回転規制部7eが設けられている。
【0035】
検査部材6は駆動ユニット4側の端部分が駆動ユニット4の第2駆動軸23に装着され
ている。検査部材6は第2駆動軸23によって駆動され、第2駆動軸23の軸線L1回りを上下方向に揺動する。第2駆動軸23が下方に揺動すると検査部材6が貯氷槽100内に挿入される。
【0036】
図3(a)は駆動ユニット4の内部構成を示す側面図であり、第1ケース部材14aを取り外して駆動ユニット4を装置幅方向の製氷皿5の側から見た状態を示している。
図3(b)は第1ケース部材14aを第1駆動軸20が突出する側とは反対側から見た斜視図である。なお、
図3(a)では、内部構成を分かり易く見せるためにカム車の一部分を省略して示している。
図3を参照して、駆動ユニット4の内部構造を説明する。
【0037】
駆動ユニット4は、モータ8と、第1駆動軸20が一体に形成されたカム車21と、モータ8の駆動力をカム車21に伝達する駆動力伝達機構22を搭載している。モータ8はブラシ付の直流モータであり、モータ8への給電は制御部3により配線1aを介して行われる。第2駆動軸23はカム車21の第2ケース部材14bの側の端面に形成された第2駆動軸動作用カム面29(
図11参照)によって操作されて当該第2駆動軸23の軸線L1回りに揺動する。すなわち、モータ8、駆動力伝達機構22、カム車21、および、第2駆動軸23によって検査部材6を貯氷部100内に向かって下降させる検査部材駆動機構26が構成されている。
【0038】
ここで、カム車21の第1ケース部材14a側の第1面21aには、軸線L0と同軸に円弧溝21cが形成されており、この円弧溝21cには、第1ケース部材14aの側板14cの内側面からカム車に向かって突出する突出部14d(
図3(b)参照)が挿入されている。円弧溝21cと突出部14dとは、カム車21(第1駆動軸20)の軸線L0回りの回転角度範囲を規制するカム車回転規制機構16(第1駆動軸回転規制機構)を構成しており、カム車21(第1駆動軸20)の回転は、円弧溝21c内に挿入された突出部14dが円弧溝21cの周方向の一方端或いは他方端と当接するまでの回転角度範囲で許容される。
【0039】
また、駆動ユニット4は、タクトスイッチ(スイッチ)17を備える信号出力回路が構成された回路基板18を備えている。信号出力回路は装置本体2の各種の状態を示す信号を出力するための回路である。タクトスイッチ17は第1駆動軸20(カム車21)の回転角度位置に基づいて変位する押圧部材24および第2駆動軸23により操作される。タクトスイッチ17が押圧されてオン状態となると、信号出力回路から信号が出力される。信号は、配線1aを介して制御部3に入力され、信号取得部10によって取得される。
【0040】
第1駆動軸20は、装置本体2が基準状態とされているときに、軸線L0回りの基準位置に配置されている。第1駆動軸20が基準位置に配置されると、その際のカム車21の回転角度位置に基づいてタクトスイッチ17が操作される。タクトスイッチ17がオフからオンに変化すると、変化したタイミングで信号出力回路から基準信号が出力される。制御部3の側は、基準信号により、装置本体2が基準状態となっていることを検出できる。
【0041】
(製氷皿装着検知動作)
図4は製氷皿装着検知動作の説明図であり、製氷皿5および駆動ユニット4を軸線L0方向の製氷皿5の側から見た状態を示している。
図4では、第1製氷皿回転規制部15と製氷皿5との位置関係が分かるように、製氷皿5を破線で示している。以下の説明では、製氷皿5を離氷位置5Cに向かって回転させる方向に第1駆動軸20を回転駆動する際のモータ8の駆動方向を正方向とし、それとは反対方向に第1駆動軸20を回転駆動する際のモータ8の駆動方向を逆方向とする。
【0042】
製氷装置1が製氷を開始する際には、まず、製氷皿装着検知動作が行われる。製氷皿装
着検知動作では、制御部3は、装置本体2が基準状態となっていることを基準信号で確認し、しかる後に、モータ8を逆方向に駆動して、第1駆動軸20を基準位置から
図4で示す反時計回りCCW(第2方向)に回転駆動する。また、制御部3は、タイマ12によりモータ8の逆方向への駆動時間、すなわち、第1駆動軸20が基準位置から反時計回りCCWに駆動された駆動時間の計測を開始するとともに、電流検出部11によってモータ8の駆動電流の変化を検出する。
【0043】
第1駆動軸20に製氷皿5が装着されている場合には、製氷皿5は開口5aを装置後方に向かって傾ける方向に回転を開始する。その後、製氷皿5が開口5aを下方に向ける前に、
図4(b)に示すように、ユニットケース14に設けられた第1製氷皿回転規制部15が製氷皿5の回転方向の前方から製氷皿5に当接して、製氷皿5の反時計回りCCWの回転を阻止する。
【0044】
製氷皿5が第1製氷皿回転規制部15に当接してその回転が阻止されると、第1駆動軸20を回転駆動しているモータ8に負荷がかかり、その駆動電流が上昇する。従って、制御部3の判定部13は、モータ8の駆動電流が予め設定した設定駆動電流値以上に上昇した時点で予め設定した第1基準駆動時間を経過していない場合には、駆動ユニット4に製氷皿5が装着されているものと判断できる。ここで、第1基準駆動時間は、製氷皿5を製氷位置5Aから第1製氷皿回転規制部15に当接する回転規制位置5Bに移動させるまでに必要なモータ8の駆動時間よりも長く、カム車回転規制機構16によって第1駆動軸20の回転が停止させられるまでの駆動時間よりも短い時間とされている。設定駆動電流値は、製氷皿5の回転が規制されない状態でモータ8が第1駆動軸20を回転駆動させる際の駆動電流値の最大値よりも大きな値である。
【0045】
判定部13によって、製氷皿5が装着されていると判定されると、制御部3はモータ8を正方向に所定の駆動時間だけ駆動して、第1駆動軸20を基準位置に戻す戻し動作を行う。すなわち、装置本体2を基準状態に戻す。
【0046】
一方、モータ8を逆方向に駆動してから第1基準駆動時間が経過しても、モータ8の駆動電流が設定駆動電流値未満の場合には、判定部13は、製氷皿5が装着されていないと判定する。すなわち、第1駆動軸20は、製氷皿5が装着されていない状態では、製氷皿5を製氷位置5Aから回転規制位置5Bに移動させる間に回転する回転角度を超えて基準位置から反時計回りCCWへ駆動されるので、製氷皿5が装着されていなければ、回転規制位置5Bにおいて第1駆動軸20の回転が妨げられることはない。このため、製氷皿5が装着されていない状態では、第1基準駆動時間が経過してもモータ8への負荷が上昇せず、モータ8の駆動電流が上昇することがないからである。
【0047】
なお、製氷皿5が第1駆動軸20に装着されていない場合には、第1駆動軸20は、カム車回転規制機構16によってカム車21の回転が阻止されるまで回転する。すなわち、第1駆動軸20が製氷皿5を製氷位置5Aから回転規制位置5Bに移動させる間に回転する回転角度範囲は、第1駆動軸20がカム車回転規制機構16により規制される回転角度範囲内に含まれており、製氷皿5が装着されていない場合には、第1駆動軸20はカム車回転規制機構16によってその反時計回りCCWの回転が規制されるまで、回転駆動される。
【0048】
カム車回転規制機構16によって第1駆動軸20の回転が停止すると、停止した時点における第1駆動軸20の回転角度位置は予め定めた設定角度位置となる。従って、制御部3は、第1駆動軸20が停止した状態からモータ8を正方向に所定時間だけ駆動することにより、第1駆動軸20を基準位置に戻すことができる。従って、装置本体2を基準状態に戻すイニシャライズを容易に行うことができる。
【0049】
本例では、製氷皿5が回転規制位置5Bに配置された状態では、
図4(b)に示すように、製氷皿5の開口5aは上方を向いている。また、製氷用水が貯留されている場合には、製氷用水の水面は開口5a縁よりも低い高さで維持され、開口5aから製氷用水を溢すことなく保持される。従って、本例によれば、製氷皿5を僅かに装置後方に傾ける角度範囲で第1駆動軸20を回転駆動するだけで、駆動ユニット4に製氷皿5が装着されているか否かを判断できるので、制御部3による製氷皿5の装着の有無の検知が早い。なお、本例では、製氷皿5が回転規制位置5Bに配置された状態では、第1駆動軸20は基準位置から反時計回りCCWに−6°回転している。製氷皿5を回転規制位置5Bに配置したときの第1駆動軸20の基準位置からの回転角度は20°以下としておくことが望ましい。
【0050】
ここで、第1製氷皿回転規制部15を製氷皿5における駆動ユニット4とは反対側の部位に当接可能に設けた場合、例えば、第1製氷皿回転規制部15を枠状フレーム7の製氷皿5の突出部5eと当接可能な位置に設けた場合には、製氷皿5において駆動ユニット4からの駆動力が伝達される装着部5bと第1製氷皿回転規制部15の当接部位とが第1駆動軸20の軸線L0方向で離れてしまう。従って、第1製氷皿回転規制部15と当接した製氷皿5が第1駆動軸20の回転力によって捻られてしまう可能性がある。製氷皿5が捻られると製氷皿5の捻り変形によってモータ8の駆動電流の変化が緩やかなものになるので、この場合には、製氷皿5の装着の有無について誤判定が発生する可能性がある。これに対して、本例では、第1製氷皿回転規制部15を製氷皿5における駆動ユニット4の側の部位に当接可能としてある。従って、製氷皿5において駆動ユニット4からの駆動力が伝達される装着部5bと第1製氷皿回転規制部15の当接部位と接近しており、第1製氷皿回転規制部15に当接した製氷皿5が捻られることが抑制される。この結果、製氷皿5が第1製氷皿回転規制部15と当接した時点におけるモータ8の駆動電流の変化が顕著なものとなるので、誤判定を防止できる。
【0051】
また、第1製氷皿回転規制部15と当接した製氷皿5が第1駆動軸20の回転力によって捻り変形する場合には、製氷皿5から製氷用水がこぼれてしまう可能性がある。これに対して、本例では、第1製氷皿回転規制部15を製氷皿5における駆動ユニット4の側の部位に当接可能としてあるので、製氷皿5の変形を抑制でき、製氷用水がこぼれることを防止できる。
【0052】
さらに、第1製氷皿回転規制部15を枠状フレーム7に形成した場合には、製氷皿装着検知動作において枠状フレーム7に負荷がかかるが、本例では、第1製氷皿回転規制部15を駆動ユニット4のユニットケース14に形成してあるので、枠状フレーム7への負荷を抑制できる。
【0053】
また、本例では、第1製氷皿回転規制部15は第1駆動軸20よりも下方に設けられているので、第1駆動軸20に対して着脱される製氷皿5と第1製氷皿回転規制部15が干渉することがない。従って、製氷皿5の着脱が容易となっている。
【0054】
ここで、製氷皿装着検知動作は、冷蔵庫の制御部によって製氷室の扉の開閉が確認された時点、製氷室内の温度の上昇が確認された時点など、製氷皿の着脱が行われる可能性がある場合などにも行われる。
【0055】
(給水動作および製氷動作)
製氷皿5の装着が確認されて装置本体2が基準状態に戻されると、制御部3は給水ポンプ9を駆動して、製氷皿5に所定量の製氷用水を供給する給水動作を行う。既に、製氷皿5に製氷用水の供給が行われている場合には、後述する氷量検出動作および氷移動動作が行われた後に装置本体2が基準状態に戻されると給水動作を行う。
【0056】
給水動作が終了すると、制御部3はタイマ12により製氷時間の計測を開始する。ここで、制御部3は、予め設定された設定製氷時間が経過するまでモータ8を駆動せず、装置本体2を基準状態のままで維持する。これにより、製氷皿5では氷が製造される。なお、装置本体2に製氷用水や製氷皿5の温度を検出する温度センサを設けておき、温度センサにより製氷の完了が確認されるまで、制御部3が装置本体2を基準状態のままで維持するような制御を行うこともできる。
【0057】
(氷移動動作および氷量検出動作)
図5は氷移動動作の説明図であり、製氷皿5および駆動ユニット4を軸線L0方向の製氷皿5の側から見た状態を示している。なお、
図5には枠状フレーム7に設けられた第2製氷皿回転規制部7eを記載してある。製氷が完了すると、制御部3はモータ8を正方向に駆動する。これにより、第1駆動軸20は基準位置から
図5で示す時計回りCW(第1方向)に回転駆動する。また、制御部3は、タイマ12によりモータ8の正方向への駆動時間、すなわち、第1駆動軸20が基準位置から時計回りCWに駆動された駆動時間の計測を開始する。氷量検査動作はモータ8の駆動に同期して(氷移動動作と同期して)開始される。
【0058】
より具体的には、
図5(a)に示す基準状態からモータ8が正方向に駆動されると、カム車21が回転して、基準位置に配置されていた第1駆動軸20が時計回りCWに回転駆動される。これにより、製氷皿5は開口5aを装置前側に向ける方向に回転を開始する。その後、第1駆動軸20に装着された製氷皿5は、開口5aが下方を向き、製造された氷を落下させることが可能な離氷位置5Cに配置される。製氷皿5が離氷位置5Cに配置された状態では、
図5(b)に示すように、枠状フレーム7に設けられた第2製氷皿回転規制部7eが回転方向の前方から製氷皿5の突出部5e(
図1(a)参照)に当接しており、製氷皿5はねじれ変形を起こす。これにより、氷が製氷皿5から剥がれて、貯氷槽100内に落下する。
【0059】
氷移動動作が開始すると、信号出力回路のタクトスイッチ17は、第1駆動軸20の基準位置からの回転によって(カム車21の回転によって)、押圧部材24による押圧から開放されてオフ状態となる。その後、第1駆動軸20が製氷皿5を離氷位置5Cに配置するまで回転すると、カム車21の回転によって押圧部材24が再びタクトスイッチ17を押圧し、タクトスイッチ17はオフ状態からオン状態に切り換えられる。この結果、製氷皿5が離氷位置5Cに配置されると信号出力回路からは終了信号が出力される。従って、制御部3の側では、氷移動動作が終了したことを検出できる。
【0060】
一方、モータ8の正方向への駆動によりカム車21が回転を始めると、第2駆動軸23がその軸線L1回りの回転を開始する。これにより、検査部材6が貯氷槽100内に向かって下方に回動する。すなわち、氷量検出動作が開始される。
【0061】
ここで、
図1(b)に示すように、検査部材6が下方に回動したときに、検査部材6が貯氷槽100内の予め定めた高さの満杯位置6Aで氷に当接し、この満杯位置6Aから下方に回動しない場合には、第2駆動軸23が押圧部材24を変位させる。第2駆動軸23により変位させられた押圧部材24はタクトスイッチ17を押圧して、タクトスイッチ17をオン状態とする。これにより、信号出力回路からは信号が出力される。
【0062】
信号出力回路からの信号が、予め定めた第2基準駆動時間(基準駆動時間)が経過する前に出力された場合には、制御部3はこの信号を貯氷槽100内の氷が満杯の状態であることを示す満杯信号であると判断する。満杯信号を取得した制御部3は、モータ8を逆方向に所定の駆動時間だけ駆動して、第1駆動軸20を反時計回りCCWに回転させて、製氷皿5を製氷位置5Aに戻す。すなわち、装置本体2を基準状態にもどす。これにより、
満杯となっている貯氷槽100に製氷皿5から氷を移動してしまうことを回避できる。なお、貯氷槽100内の氷が満杯であった場合には、タイマ12によって予め定めた待機時間が計測され、待機時間の経過後に、再度、氷量検出動作が行われる。
【0063】
一方、信号出力回路からの信号が、第2基準駆動時間を越える前に出力されなかった場合には、制御部3は貯氷槽100内の氷が満杯の状態ではないと判断する。従って、制御部3は氷移動動作および氷量検出動作を継続する。すなわち、検査部材6を満杯位置6Aよりも下方の氷不足位置6Bに向かって回動させながら、製氷皿5を離氷位置5Cまで回転させて、製氷皿5で製造された氷を貯氷層に落下させる。これにより氷移動動作が完遂される。
【0064】
ここで、予め定めた第2基準駆動時間は、第2駆動軸23が検査部材6を初期位置から満杯位置6Aに下降させるまでの駆動時間よりも長く、第2駆動軸23が検査部材6を初期位置から氷不足位置6Bに下降させるまでの駆動時間よりも短い時間とされている。また、第2基準駆動時間は、製氷皿5が製氷位置5Aから離氷位置5Cまで回転させられる際のモータ8の駆動時間(第1駆動軸20の駆動時間)よりも短い時間とされている。
【0065】
なお、本例では、氷量検出動作に用いているタイマ12と製氷皿装着検知動作に用いているタイマ12は同一のタイマ12である。また、製氷時間および待機時間を計測するためのタイマ12と、モータ8の駆動時間を計測するタイマ12も同一のタイマ12を兼用している。このように、一つのタイマ12を複数の用途に利用しているので、装置の製造コストを抑制できる。
【0066】
(駆動ユニットの構成例)
以下に、
図6乃至
図11を参照して、氷移動動作と氷量検出動作を同期して行う駆動ユニット4の構成例の詳細を説明する。なお、以下の説明では、製氷皿5が駆動ユニット4に装着されていることを前提として説明する。
【0067】
(第1駆動軸およびカム車)
図6は駆動ユニット4の駆動力伝達機構22とカム車21の装着関係を示す断面展開図である。
図7は
図3の矢示X−X断面図である。
図6に示すように、第1駆動軸20はカム車21と同軸に設けられている。第1駆動軸20の一方の端部分は第1ケース部材14aの側板14cに形成された貫通孔14eに支持されている。第1駆動軸20の被装着部20aは貫通孔14eから外側に突出している。第1駆動軸20の他方の端部分は筒状をしており、第2ケース部材14bに設けられた円形の突部14fによって回転可能に支持されている。これにより第1駆動軸20およびカム車21は装置幅方向に延びる軸線L0回りに回転可能となっており、製氷皿5は軸線L0回りをカム車21と一体に回転する。第1駆動軸20の他方の端部分の外周側には筒状のフリクション部材25が遊嵌配置されている。
【0068】
カム車21において第1ケース部材14aの端面に対向する第1面21aには、円弧溝21cが周方向に沿って形成されている。円弧溝21c内には第1ケース部材14aの内面に設けられた突出部14dが挿入されており、突出部14dと円弧溝21cはカム車回転規制機構16を構成している。本例では、装置本体2が基準状態となっているとき(第1駆動軸20が基準位置にあるとき)のカム車21の回転角度位置を原点位置の0°としたときに、カム車21はカム車回転規制機構16によって−19°から168°の角度範囲で回転可能となっている。また、第1駆動軸20に製氷皿5が装着されている状態では、製氷皿回転規制部15と製氷皿5の当接によってカム車21は−6°から168°の角度範囲で回転可能となっている。
【0069】
カム車21において、第2ケース部材14bの端面に対向する第2面21bには、軸線L0方向に窪む凹部27が形成されている。凹部27は、軸線L0を囲む略円形に形成されている。凹部27の底面には、軸線L0方向に突出する環状壁28が軸線L0を囲んで形成されている。凹部27において内側を向いている環状内周面部分には、第2駆動軸23を操作するための第2駆動軸動作用カム面29が設けられている。環状壁28の環状内周面部分には、押圧部材24を操作するための押圧部材動作用カム面30が設けられている。第2駆動軸動作用カム面29および押圧部材動作用カム面30の詳細は後述する。
【0070】
(第2駆動軸)
第2駆動軸23は軸線L1が装置前後方向に沿うように配置されており、ユニットケース14の前端面で第1ケース部材14aと第2ケース部材14bの接合部に形成された貫通孔14gを貫通している。第2駆動軸23はユニットケース14に支持されて軸線L1回りに回動可能な状態となっている。ここで、第2駆動軸23と貫通孔14gの間には第2駆動軸23の回動(検査部材6の回動)が阻害されることがないようにクリアランスが設けられており、第2駆動軸23と貫通孔14gの間を塞ぐシール部材は用いられていない。
【0071】
図8(a)は第2駆動軸23の側面図であり、
図8(b)はその軸線L1方向から見た背面図である。
図8に示すように、第2駆動軸23の軸線L1方向の両端部分には係合凸部31と検査部材装着部32が設けられている。係合凸部31と検査部材装着部32の間の外周面には、装置前側から、環状突部33、押圧動作阻止部34、ガイド片35、バネ係合部36、係合片37が設けられている。係合片37は、係合凸部31に対して周方向にずれた位置に設けられている。
【0072】
係合凸部31は第2駆動軸動作用カム面29に沿って摺動するカムフォロワーである。係合凸部31が第2駆動軸動作用カム面29に沿って移動すると、第2駆動軸動作用カム面29の形状に基づいて第2駆動軸23がその軸線L1回りに回動する。
【0073】
検査部材装着部32は検査部材6の端部分が装着される部位であり、ユニットケース14の外側に配置される。環状突部33は、ユニットケース14内に設けられた突部(不図示)と当接することにより、第2駆動軸23が軸線L1方向に所定量以上移動することを防止する。ガイド片35は、第1ケース部材14aの天板の裏側部分に形成されたガイド溝(不図示)に入り込み、ガイド溝に沿ってガイド溝内を移動する。ここで、ガイド溝は軸線L1回りの所定の角度範囲に形成されている。従って、第2駆動軸23はガイド片35がガイド溝に沿って移動可能な角度範囲内で回動する。本例では第2駆動軸23は約35°の角度範囲で回動する。
【0074】
押圧動作阻止部34は、第2駆動軸23の回転角度が予め定めた所定の角度となると、押圧部材24と干渉する位置に出現して、押圧部材24によるタクトスイッチ17の押圧を阻止する(
図7参照)。バネ係合部36には一方の端部分がユニットケース14の内面部分に固定されたコイルバネ(不図示)の他方の端部分が係合している。コイルバネは圧縮された状態でバネ係合部36とユニットケース14の間に配置されており、第2駆動軸23を、係合凸部31が第2駆動軸動作用カム面29に押し付けられる回転方向に付勢している。係合片37はフリクション部材25の外周面から突出する回動阻止片40(
図9参照)と当接可能となっている。
【0075】
ここで、フリクション部材25は、第1駆動軸20に対して摩擦力により一体的に回転可能となっている。
図9(a)はフリクション部材25の側面図であり、
図9(b)は
図9(a)のY−Y断面図である。
図9に示すように、このフリクション部材25には、切り欠き形状の溝41が形成されており、この溝41の周方向の両端が第2ケース部材14
bに形成された凸部(不図示)と当接可能となっている。そのため、フリクション部材25は、軸線L0回りを溝41の両端と第2ケース部材14b側の凸部が当接するまでの角度範囲で第1駆動軸20(カム車21)と一体的に回転する。溝41の両端と第2ケース部材14b側の凸部が当接した後には、フリクション部材25は第1駆動軸20と共に回転せずに第1駆動軸20のみが回転する。なお、フリクション部材25の内周壁には平行面42が設けられている。平行面42は、フリクション部材25と第1駆動軸20の一体回動をより確実なものとなるための部位となっている。
【0076】
回動阻止片40は、カム車21が製氷皿5を離氷位置5Cとする方向に回転すると、フリクション部材25がカム車21と共に
図9中のF方向に回転することにより第2駆動軸23の係合片37と干渉しない位置に移動する。従って、第2駆動軸23は、氷移動動作時に、第2駆動軸動作用カム面29の形状に従って自在に回動する。なお、第2駆動軸23の回動は、氷移動動作時に回動阻止片40によっては阻止されないものの、貯氷槽100内で氷が満杯となっている場合には、検査部材6が貯氷槽100の氷に当接して下方に移動できなくなるので、阻止されることがある。
【0077】
一方、回動阻止片40は、カム車21が製氷皿5を製氷位置5Aとする方向(装置本体2が基準状態へ戻る方向)に一定回転角度以上(本例では30°以上)回転すると、フリクション部材25がカム車21と共に
図9中のR方向に回転することにより第2駆動軸23の係合片37と係合する位置へ移動して、係合片37と係合する。この結果、第2駆動軸23は、装置本体2の戻し動作時に第2駆動軸動作用カム面29の形状に従って回動することが阻止される。また、この回動の阻止によって第2駆動軸23の押圧動作阻止部34が押圧部材24と干渉する位置に出現することが阻止されるので、押圧部材24が第2駆動軸動作用カム面29の形状に従って回動することが可能となる。この結果、装置本体2の戻し動作時には、押圧部材24によるタクトスイッチ17の押圧動作は、第2駆動軸動作用カム面29の形状に基づいて行われる。
【0078】
(押圧部材)
図10(a)は押圧部材24を下方から見た平面図であり、
図10(b)は押圧部材24を装置前側から見た側面図である。押圧部材24は、その軸線L2を上下方向に向けている回動支持部45と、回動支持部45から軸線L2と直交する方向に突出しており、先端にカム車21の押圧部材動作用カム面30を摺動するカムフォロアーとなるカム当接部46が設けられている第1腕部47と、回動支持部45から軸線L2および第1腕部47と直交する方向に突出している第2腕部48と、回動支持部45から軸線L2と直交する方向で第1腕部47と反対方向に突出する第3腕部49を備えている。押圧部材24は、回動支持部45の両端が第2ケース部材14bの端面に立設された2つの端板14hの上端縁部分に設けられた各U字状溝14i内に挿入されることにより、回動支持部45の軸線L2を中心として回動する(
図3(a)参照)。第1腕部47のカム当接部46は製氷皿5が位置する側とは反対の側からカム車21の凹部27内に挿入される(
図6参照)。
【0079】
第2腕部48の先端部分の一方の面はコイルバネ50によって付勢される被押圧部51となっている。より詳細には、被押圧部51には山形状の突部が設けられ、この突部にはコイルバネ50の一端がはめ込まれている。コイルバネ50の他端は、
図6に示すように、第1ケース部材14aに設けられた係合筒14j内に入れられ、係合筒14j内の軸(図示省略)がその他端内に入り込んでいる。コイルバネ50は圧縮された状態となっており、押圧部材24をカム当接部46が押圧部材動作用カム面30に押し付けられる回転方向に付勢する。
【0080】
第2腕部48の先端部分の他方の面は、タクトスイッチ17のボタン17aを押圧可能な押圧部52となっている。押圧部52はタクトスイッチ17のボタン17aと所定間隔
を開けて対向しており、押圧部材24の回動により押圧部52がボタン17aを押圧する。ボタン17aが押圧されると、タクトスイッチ17はその接点が閉じられたオン状態となる。
【0081】
ここで、第2腕部48の押圧部52は、
図7に示すように、第2駆動軸23に設けられた押圧動作阻止部34の近傍に位置しており、第2駆動軸23が図中の矢印の方向に所定の角度(30°)以上回転すると押圧動作阻止部34が押圧部52に当接する位置に出現する。押圧動作阻止部34が押圧部52に当接した状態となると、押圧部材24の回動が阻止され、押圧部材24はタクトスイッチ17を押圧することができなくなる。
【0082】
第3腕部49は、端板14hの内壁の間を延びており(
図3(a)参照)、カム当接部46がカム車21から力を受けたときの第3腕部49の移動は端板14hの内壁によって規制される。これにより、押圧部材24は、回動支持部45の軸線L2方向の端がU字状溝14iの底部から浮き上がって傾くことがなく、正確に押圧部材動作用カム面30に沿って動作する。
【0083】
なお、タクトスイッチ17の押圧方向の後ろ側には支持部14k(
図7参照)が第2ケース部材14bの端面より立設されており、この支持部14kがタクトスイッチ17を押圧方向の後ろ側から支持している。
【0084】
(カム面)
図11は、カム車21の第2面21b側の端面図である。第2面21bの凹部27内に設けられた環状壁28の環状内周面部分に設けられている第2駆動軸動作用カム面29は、非動作位置部29aと、検査部材降下動作部29bと、氷不足検出位置部29cと、検査部材復帰動作部29dを有している。
【0085】
非動作位置部29aは、第2駆動軸23の係合凸部31が当該非動作位置部29aを摺動する間に第2駆動軸23が回動することがない区間であり、検査部材6を下降させない状態で維持させる区間である。カム車21の原点位置を0°とした場合に、非動作位置部29aは−6°〜11°及び79°〜168°の区間に形成されている。
【0086】
検査部材降下動作部29bは、第2駆動軸23の係合凸部31が当該検査部材降下動作部29bを摺動する間に第2駆動軸23を回動させて、第2駆動軸23に装着されている検査部材6を下方に下降させるための区間であり、11°〜35°の区間に形成されている。氷不足検出位置部29cは、貯氷槽100が満杯ではなく氷が不足している場合に、検査部材6を最下降させた状態で維持させるための区間であり、35°〜55°の区間に形成されている。検査部材復帰動作部29dは、下降した検査部材6を上昇させるための区間であり、55°〜79°の区間に形成されている。
【0087】
第2面21bの凹部27の環状内周面部分に設けられている押圧部材動作用カム面30は、装置本体2が初期状態となっていること(製氷皿5が製氷位置5Aとなっていること)を示す基準信号を出力させるための第1の信号発生用カム部30aと、製氷槽が満杯のときに満杯信号を出力させるための第2の信号発生用カム部30bと、装置本体2が氷移動動作の終了状態となっていること(製氷皿5が離氷位置5Cとなっていること)を示す終了信号を出力させるための第3の信号発生用カム部30cとを有している。また、第1の信号発生用カム部30aと第2の信号発生用カム部30bの間、および、第2の信号発生用カム部30bと第3の信号発生用カム部30cの間に押圧部材非操作用カム部30dを有している。
【0088】
より具板的には、第1の信号発生用カム部30aは、カム車21の原点位置(0°)を含む−6°〜5°の角度範囲に形成されている。第2の信号発生用カム部30bは、第2駆動軸23の回転によって検査部材6を満杯位置6Aに位置させるカム車21の満杯検出位置(42°)を含む42°〜48°の角度範囲に形成されている。第3の信号発生用カム部30cは、カム車21の終点位置(160°)を含む160°〜168°の角度範囲に形成されている。
【0089】
押圧部材24のカム当接部46が押圧部材非操作用カム部30dに沿って摺動すると、押圧部材24は、コイルバネ50の付勢力に抗して回動支持部45の軸線L2回りに回動し、押圧部52がタクトスイッチ17のボタン17aを開放する。一方、押圧部材24のカム当接部46が第1の信号発生用カム部30a、第2の信号発生用カム部30b、および、第3の信号発生用カム部30cに沿って摺動すると、押圧部材24は、回動支持部45の軸線L2回りをコイルバネ50の付勢方向に回動して、押圧部52がタクトスイッチ17のボタン17aを押圧する。なお、第1の信号発生用カム部30aは、その形状上、−19°〜5°の範囲で信号を発生できるようになっている。第3の信号発生用カム部30cは、その形状上、160°〜179.5°の範囲で信号を発生できるようになっている。
【0090】
ここで、第2駆動軸23の押圧動作阻止部34によって押圧部材24の回動が阻止されている場合には、押圧部材24のカム当接部46がカム車21の半径方向で押圧部材非操作用カム部30dよりも外周側に移動することが阻止される。より具体的には、第2の信号発生用カム部30bがカム当接部46と対応する角度位置となったときにカム当接部46は押圧動作阻止部34と当接しており、押圧部材非操作用カム部30dから第2の信号発生用カム部30bの側に移動することができない。この結果、カム当接部46が第2の信号発生用カム部30bを摺接せず、押圧部材24によるタクトスイッチ17のボタン17aの押圧が行われない。なお、押圧動作阻止部34によって押圧部材24の回動が阻止される期間は、第2駆動軸23が検査部材6を初期位置に配置している初期位置を0°とすると、第2駆動軸23がこの初期位置から予め定めた角度(30°)以上の所定の角度範囲だけ回転している間であり、貯氷槽100が満杯ではなく、氷が不足している場合である。
【0091】
(タクトスイッチの動作および信号出力回路からの出力)
ここで、カム車21の回転に伴って押圧部材24によって行われるタクトスイッチ17の操作および信号出力回路から出力される信号について説明する。
【0092】
まず、カム車21が原点位置(0°)(製氷皿5は製氷位置5A)にあるときには、押圧部材24が第1の信号発生用カム部30aを摺接する。従って、タクトスイッチ17は押圧部材24によって押圧される。これにより、タクトスイッチ17の接点17b、17cが接続された状態となるので、信号出力回路からは信号が出力される。この信号は、第1駆動軸20が基準位置にあることを示す基準信号である。
【0093】
その後、カム車21が5°回転すると、押圧部材24が押圧部材非操作用カム部30dを摺動するので、押圧部材24はコイルバネ50の付勢力に抗してタクトスイッチ17のボタン17aから離され、タクトスイッチ17が一旦開放される。これによりタクトスイッチ17の接点17b、17cは開放された状態となるので、信号出力回路からの信号の出力は停止する。
【0094】
タクトスイッチ17が一旦開放された後、カム車21の回転により行われる氷量検査動作において貯氷槽100の満杯が検出されない場合には、タクトスイッチ17は、カム車21が終点位置(160°)(製氷皿5は離氷位置5C)に回転するまで押圧部材24に
よって押圧されない。従って、信号出力回路からは信号が出力されない。より具体的には、カム車21が満杯検出位置(42°)に回転した際に、コイルバネ50の付勢力により押圧部材24は回動して第2の信号発生用カム部30bを摺動しようとするが、このとき第2駆動軸23は所定の角度(ここでは30°)以上回動しており、押圧動作阻止部34が押圧部材24と干渉する位置に出現している。この結果、カム車21の回動角度が42°〜48°のときに、押圧部材24が第2の信号発生用カム部30bを摺動することができず、タクトスイッチ17は押圧されない。従って、タクトスイッチ17は、カム車21が終点位置(160°)となるまで、押圧されない。従って、信号出力回路からは信号が出力されない。
【0095】
一方、タクトスイッチ17が一旦開放された後、カム車21の回転により行われる氷量検査動作において貯氷槽100内が氷で満杯であることが検出された場合には、タクトスイッチ17はカム車21が満杯検出位置(42°)まで回転すると押圧部材24により押圧される。これによりタクトスイッチ17の接点17b、17cは接続された状態となるので、信号出力回路からは信号が出力される。すなわち、カム車21、第2駆動軸23、押圧部材24およびタクトスイッチ17は、検査部材6の下降の停止を検出する検出機構38を構成している。
【0096】
より具体的には、カム車21が満杯検出位置(42°)まで回転した際に、コイルバネ50の付勢力により押圧部材24は回動して第2の信号発生用カム部30bを摺動しようとする。しかし、貯氷槽100内が氷で満杯であれば、検査部材6は貯氷槽100内の氷と当接して満杯位置6Aよりも降下していないので、第2駆動軸23が所定の角度(30°)以上回転していない。この結果、押圧動作阻止部34が押圧部材24と干渉する位置に出現していないので、押圧部材24は回動してタクトスイッチ17のボタン17aを押圧する。
【0097】
なお、本例では、制御部3は、氷量検査動作を開始した後の最初の信号出力及び駆動時間に基づいてカム車21を逆回転させる制御を行う。従って、貯氷槽100の氷が不足している場合には、カム車21を終了位置(160°)まで回転させた時点での信号出力(終了信号)でモータ8を停止させ、その後逆回転させる。一方、貯氷槽100が満杯の場合には、カム車21を満杯検出位置(42°)まで回転させた時点での信号出力(満杯信号)でモータ8を停止させ、その後逆回転させる。
【0098】
ここで、カム車21を満杯検出位置(42°)まで回転させた際の最初の信号出力でモータ8を停止させた場合は、制御部3は、その駆動時間が短いことをモニターし、これに基づいて逆回転後の最初の信号出力(基準信号)に基づいてモータ8の駆動を停止させる。これによって、カム車21は原点位置(0°)またはその周辺位置にて停止する。
【0099】
一方、カム車21を160°回転させた際の最初の信号出力でモータ8を停止させた場合は、その駆動時間が長いことをモニターし、これに基づいて逆回転後の2度目の信号出力に基づいてモータ8の駆動を停止する。すなわち、最初の信号出力はカム車21が48°〜42°の位置まで戻されたことを示す復帰時の確定信号であり、2度目の信号がカム車21として5°となる位置まで戻されたことを示す信号(基準信号)なので、2度目の信号に基づいて、モータ8を停止させる。これによって、カム車21は原点位置(0°)またはその周辺位置にて停止する。なお、戻り動作では、フリクション部材25が第2駆動軸23の回動を防止しており、カム車21が48°〜42°となった際の信号出力は、フリクション部材25によって氷が不足していても充足していても、いずれの場合にも発生する。
【0100】
(その他の実施の形態)
上記の例では、製氷皿5が第1駆動軸20に装着されていない場合に、第1駆動軸20はカム車回転規制機構16によってカム車21の回転が阻止されるまで駆動されているが、第1駆動軸20を第1基準駆動時間を越える所定の駆動時間だけ駆動した後に、停止させてもよい。この場合には、タイマ12を用いて第1駆動軸20(モータ8)の駆動時間を制御することができる。このようにすれば、カム車回転規制機構16を省略することができる。
【0101】
上記の例では、第1製氷皿回転規制部15は、駆動ユニット4の側板14cの製氷皿5の側の端面における第1駆動軸20の下方に設けられているが、第1駆動軸20よりも上方に設けることもできる。この場合には、第1製氷皿回転規制部15は開口5aの側から製氷皿5に当接して、製氷皿5の回転を阻止するものとなる。
【0102】
上記の例では、第1製氷皿回転規制部15は、駆動ユニット4のユニットフレーム14に形成されているが、第1製氷皿回転規制部15を枠状フレーム7から製氷皿5の側に向かって突出するように形成してもよい。このようにした場合でも、製氷皿5において駆動ユニット4からの駆動力が伝達される装着部5bと第1製氷皿回転規制部15の当接部位が接近するので、第1製氷皿回転規制部15に当接した製氷皿5が捻られて捻り変形することが抑制される。この結果、製氷皿5が第1製氷皿回転規制部15と当接した時点におけるモータ8の駆動電流の変化が顕著なものとなるので、誤判定を防止できる。また、製氷皿5の捻り変形が抑制されるので、製氷皿5の変形に起因して製氷水がこぼれることを防止できる。
【0103】
上記の例では、製氷皿5の回転規制位置5Bは、製氷位置5Aとは異なる位置とされているが、回転規制位置5Bと製氷位置5Aとを同一の位置としてもよい。すなわち、製氷皿5が製氷位置5Aに配置されたときに(第1駆動軸20が基準位置に配置されたときに)、製氷皿5が第1製氷皿回転規制部15に当接している構成を採用することもできる。この場合には、第1駆動軸20を基準位置から反時計回りCCWに回転駆動した直後にモータ8の駆動電流の上昇が検出された場合に、製氷皿5が駆動ユニット4に装着されているものと判断できる。
【0104】
また、上記の例では、第1基準駆動時間を、製氷皿5を製氷位置5Aから第1製氷皿回転規制部15に当接する回転規制位置5Bに移動させるまでに必要なモータ8の駆動時間よりも長く、カム車回転規制機構16によって第1駆動軸20の回転が停止させられるまでの駆動時間よりも短い時間とし、製氷皿装着検知動作では、モータ8の駆動電流が設定駆動電流値以上に上昇した時点で、第1基準駆動時間を経過していない場合に、駆動ユニット4に製氷皿5が装着されているものと判断しているが、第1駆動軸20を基準位置から反時計回りCCWに駆動したときに、カム車回転規制機構16によって第1駆動軸20の回転が規制されるまでの駆動時間を基準駆動時間として、駆動ユニット4に製氷皿5が装着されているか否かを判断することもできる。この場合には、モータ8の駆動電流が設定駆動電流値以上に上昇したことが基準駆動時間よりも前に検出された場合には、駆動ユニット4に製氷皿5が装着されているものと判断し、モータ8の駆動電流が設定駆動電流値以上に上昇したことが基準駆動時間よりも後に検出された場合には、駆動ユニット4に製氷皿5が装着されていないものと判断することができる。すなわち、カム車回転規制機構16によって第1駆動軸20の回転が規制されると、第1駆動軸20を回転駆動しているモータ8に負荷がかかり、その駆動電流が上昇するので、この際の駆動電流の上昇に基づいて製氷皿5の装着の有無を検出してもよい。
【0105】
なお、上記の例では、モータ8の駆動による第1駆動軸20の回転速度は一定とされているが、第1駆動軸20を基準位置から時計回りCW回転させる駆動速度を、第1駆動軸20を基準位置から離氷位置5Cの側に反時計回りCCWに回転させる駆動速度、および
、第1駆動軸20を製氷皿5を離氷位置5Cに配置している状態から基準位置に戻す際の駆動速度と比較して遅くしてもよい。このようにすれば、第1駆動軸20を基準位置から反時計回りCCWに回転させる駆動速度がゆっくりしたものとなる。従って、モータ8の駆動電流が予め設定した設定電流値以上に上昇した時点で、第1基準時間に達しているか否かを判断することが容易となる。よって、製氷皿5の装着の有無を判定することが容易となる。ここで、第1駆動軸20を基準位置から時計回りCW回転させる駆動速度を遅くするためには、第1駆動軸20を基準位置から時計回りCW回転させる際のモータ8への供給電圧を、第1駆動軸20を基準位置から離氷位置5Cの側に反時計回りCCWに回転させる際の供給電圧、および、第1駆動軸20を製氷皿5を離氷位置5Cに配置している状態から基準位置に戻す際の供給電圧と比較して、低く抑えればよい。
【0106】
また、上記の例では、製氷装置1の制御部3は冷蔵庫の制御部3と一体に構成されているが、これらは別々に構成される場合がある。また、上記の例では装置本体2が枠状フレーム7を備えているが、装置本体2が枠状フレーム7を備えておらず、冷蔵庫に設けられた枠状部分に支持される場合がある。この場合には、第2製氷皿回転規制部7eは冷蔵庫の枠状部分に設けられる。