(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。なお、ここに示す各図では説明のため一部の部材を省略したり、透視して示したり、部材の形状を誇張して表したりすることがある。
【0016】
図1は1つの形態にかかる屋根構造体1の外観斜視図である。
図2は屋根構造体1の正面図、
図3は屋根構造体1を上方から見た平面図、
図4は屋根構造体1を側方から見た図である。なお、ここでは
図3に表したように桁20を境に前枠40側を「前枠側」、これとは反対側を「外側」と記載することがある。
以下、
図1乃至
図4及び適宜示す図を参照しつつ屋根構造体1について説明する。
【0017】
屋根構造体1は、支柱10、桁20、梁30、前枠40、及び面材50を有して構成されている。ここで桁20、梁30、前枠40、及び面材50により屋根が形成されている。
【0018】
支柱10は、
図1乃至
図4からわかるように、地面から立設される柱であり、本形態では3本の支柱10を備え、これらが所定の間隔を有して直線状に並べられている。
図5には
図2にV−Vで示した線に沿った支柱10の断面を表した。
図5には断面における向きも表している。
図5からわかるように、支柱10は、その長手方向に直交する断面がいわゆるH型である支柱本体11を備えている。従って支柱本体11は、所定の間隔を有して面が対向されるように配置された片11b及び片11cを有し、片11b、片11cの当該対向する面を連結するように連結片11aが備えられている。本形態では片11bは前枠側、片11cは外側に配置されている。これにより、支柱本体11には、連結片11aを介して一方側と他方側に片11bと片11cとに挟まれた一対の溝部11d、11eが形成される。
【0019】
支柱本体11の材質は、屋根構造体1の屋根を支持するために必要な強度が備えられていればよい。例えば強度が許容する限りにおいて加工性の観点からアルミニウムを用いることができる。一方、例えば面材の重量が増加する観点や支柱を細くする観点から、支柱本体11の材料自体により高い強度が求められるときには、支柱本体11に鋼材を用いてもよい。
【0020】
支柱10には、支柱本体11を覆うように被覆材が配置され、緩衝や外観向上が図られている。詳しくは次の通りである。
支柱本体11のうち前枠側の面を覆うように被覆材12が配置されている。被覆材12は、端部被覆材12a及び中央被覆材12bを有している。端部被覆材12aは支柱本体11の片11bの前枠側表面のうち、桁20が延びる方向の両端部を被覆するように該端部のそれぞれに配置され、固定部材12eにより支柱本体11に固定されている。従って、2つの端部被覆材12aの間には所定の間隙が生じている。一方、中央被覆材12bは2つの端部被覆材12aの間に配置される被覆材である。中央被覆材12bは、平板状の被覆部12c及びその両端から支柱本体11側に延びる係止片12dを有し、当該係止片12dが端部被覆材12aに係合している。
支柱本体11のうち外側の面を覆うように被覆材13が配置されている。被覆材13は、端部被覆材13a及び中央被覆材13bを有している。端部被覆材13aは支柱本体11の片11cの外側表面のうち桁20が延びる方向の両端部を被覆するように該端部のそれぞれに配置され、固定部材13cにより支柱本体11に固定されている。従って、2つの端部被覆材13aの間には所定の間隙を生じている。一方、中央被覆材13bは2つの端部被覆材13aの間に配置される被覆材であり、その両端部が端部被覆材13aに係止している。また中央被覆材13bは
図5からわかるように中空状の断面を有しており、この中空が支柱本体11に沿って上下に延びている。これにより後述するようにこの中空を縦樋として利用することができる。
【0021】
さらに、支柱本体11の片11bと片11cとにより形成される開口部分(すなわち溝部11d、溝部11eの開口部)を塞ぐように被覆材14が具備されている。被覆材14は、片11bと片11cとを渡すように、溝部11d、11eの開口部を覆う被覆部14a、及び被覆部14aから連結片11a側に向けて延びる固定片14bを有している。被覆材14は固定片14bが固定部材14cにより片11b、11cに固定されることで保持されている。また、固定部材14cは
図5からわかるように被覆材12、13の端部被覆材12a、13aにより外観には表れないように隠蔽されている。
【0022】
このように、支柱10では、支柱本体11の外周を覆うように被覆材が配置されているが、これらは分割されており、これらを組み合わせることにより構成される。これにより、固定部材等を外観から隠蔽するとともに、長尺である支柱本体の外周を効率よく被覆することができる。
【0023】
桁20は屋根を構成する1つの部材であり、
図1、
図2によく表れているように、隣り合う支柱10の上端部間を渡すように水平方向に延びる長尺の部材である。本形態では上記のように支柱10が3つ設けられているので、屋根構造体1には2つの桁20が具備されている。
図6には
図3にVI−VIで示した線に沿った桁20の断面を表した。
図6には断面における向きも表している。
図6からわかるように、桁20は、その長手方向に直交する断面において矩形中空である桁本体21を備えている。桁本体21の断面形状は特に限定されることはないが、本形態では後述するように該桁本体21の端部が支柱本体11の溝部11d、11eの内側に挿入することができる大きさとされている。
【0024】
桁20には、桁本体21を覆うように被覆材が配置され、外観の向上が図られている。詳しくは次の通りである。
桁本体21のうち上面を覆うように被覆材22が配置されている。被覆材22は
図6に表れているように、桁本体21の上面を覆い、固定部材22aにより桁本体21に固定されている。
桁本体21の前枠側には、桁本体21の前枠側の面を覆うように被覆材23が配置されている。被覆材23は、桁本体21の前枠側の面を覆う被覆部23aを有し、該被覆部23aの上下のそれぞれには外側に延びる片23b、23cが形成されている。片23bが被覆部23aの上部に、片23cが被覆部23aの下部に配置されている。そして被覆材23は片23bが固定部材23dにより被覆材22に固定され、片23cが桁本体21の前枠側面に係止されている。
一方、桁本体21の外側には、桁本体21の外側の面を覆うように被覆材24が配置されている。被覆材24は、桁本体21の外側の面を覆う被覆部24aを有し、該被覆部24aの上下のそれぞれには前枠側に延びる片24b、24cが形成されている。片24bが被覆部24aの上部に、片24cが被覆部24aの下部に配置されている。そして被覆材24は片24bが固定部材24dにより被覆材22に固定され、片24cが桁本体21の外側面に係止されている。さらに、被覆部24aの上端からは、片24bよりも上方に片24eが延びている。これにより、後述するように片24bを底とし、片24e、及び面材保持部材51の片53を壁部とした溝20aが形成され横樋として機能する。
【0025】
梁30は屋根を構成する1つの部材であり、
図1、
図4によく表れているように、支柱10の上端部から前枠40に向けて持ち出されるように延在する長尺の部材である。本形態では支柱10は3つ配置されているので、それぞれの支柱10から梁30が平行に延在する。
図7には、
図3にVII−VIIで示した線に沿った梁30の断面を表した。
図7には断面における向きも表している。
図7からわかるように、梁30は、その長手方向に直交する断面において矩形中空である梁本体31を備えている。本形態では梁本体31は、該梁本体31のうち1つの面に凹部31aが形成されている。そして凹部31aの開口部を塞ぐように被覆材32が被せられている。当該被覆材32は、後述するように梁30を支柱側固定金具15に固定する際に用いられる固定部材15cを隠蔽する。
【0026】
前枠40は屋根を構成する1つの部材であり、
図1及び
図3からわかるように、複数の梁30の端部のうち支柱10側とは反対側の端部(前枠側端部)を渡すように延びる長尺の部材である。本形態では、前枠40は桁20に平行に延在する。
このような前枠は公知の形態のものを用いることが可能である。
【0027】
面材50は屋根を構成する1つの部材であり、桁20、梁30、及び前枠40により形成された枠組みに対してこれを覆うように配置される面材であり、いわゆる屋根として機能するための面材である。
面材として用いられる材料は特に限定されることなく屋根構造体に通常に用いられる面材を適用することができる。また通常の面材の他、上面に太陽電池を配置して発電機能を付加したり、2つの板材間にハニカム構造を挟んで形成した面材により強度が高められた面材を用いてもよい。この際、付加的な構成を備えることにより屋根の重量が増加した場合には、支柱の強度を高めることにより安定した屋根の保持が可能となる。そのときには例えば支柱本体を鋼材により形成すればよい。
【0028】
以上のような各構成部材が次のように組み合わされて屋根構造体1とされている。
図8には支柱10、桁20、及び梁30の連結部を上方から見た図、
図9には支柱10と桁20との連結部に注目した分解斜視図を示した。
図8、
図9からわかるように、支柱本体11に形成された溝部11d、11eに桁本体21の端部が差し込まれ、片11b、片11cに桁本体21が固定部材10aにより直接固定される。
すなわち、本形態によれば桁を、ブラケット等の他の部材を介することなく直接支柱に取り付けることができる。従って、屋根構造物を構成するための部材点数及び組み立て工程を削減することが可能となる。
【0029】
また、支柱本体11の前枠側となる面の上部には、前枠側に向けて延びる金具で、梁30を取り付けるための部材である支柱側固定金具15が取り付けられている。支柱本体11の前枠側面に支柱側固定金具15を接続するための手段は特に限定されることはないが、例えば溶接等を挙げることができる。
【0030】
一方、支柱本体11の下端部は
図2、
図4(
図10も参照)に表れているようにアングル材16により、基礎に固定されている。
【0031】
また、支柱本体11には、
図9及び先に
図5を参照して説明した通り、被覆材12乃至14が取り付けられている。本形態では
図5、
図9からわかるように、支柱本体11に形成された溝部11d、11eの開口を塞ぐように被覆材14が被せられる。そして被覆材14の片14b、14bをそれぞれ支柱本体11の片11b、11cに固定部材14c、14cで固定する。
次いで、支柱本体11の片11bの前枠側の面に被覆材12のうち端部被覆材12aを
図5のように配置して固定部材12eにより固定する。このとき、端部被覆材12aにより、被覆材14を固定する固定部材14cが外観から隠蔽される。そして、2つの端部被覆材12a間に中央被覆部材12bを係合する。これにより端部被覆材12aを固定する固定部材12eが外観から隠蔽される。
一方、支柱本体11の片11cの外側の面に被覆材13のうち端部被覆材13aを
図5のように配置して固定部材13cにより固定する。このとき、端部被覆材13aにより、被覆材14を固定する固定部材14cが外観から隠蔽される。そして、2つの端部被覆材13a間に中央被覆部材13bを係合する。これにより端部被覆材13aを固定する固定部材13cが外観から隠蔽される。
このように分割して構成された被覆材の構成により固定部材が外観から隠蔽され、外観にも優れたものとなる。また長尺である支柱本体への被覆材の取り付けも容易となる。
【0032】
以上のように組まれた支柱11及び桁20に対して、それぞれの支柱11に梁30が取り付けられている。
図10には
図2にX−X線で示した線に沿った鉛直方向の断面図を表した。
図10からわかるように、梁30の中空である内側に該梁30の一端側から上記した支柱側固定金具15が差し込まれる。そして
図7に表れているように、固定部材15cにより支柱側固定金具15と梁本体31とが固定される。
一方、梁30の他端側には、
図1、
図3からわかるように前枠40が渡されるように配置される。このときには
図10からわかるように、前枠40に設けられた前枠側固定金具41が、梁30の他端側から該梁30の内側に差し込まれる。そして不図示の固定部材により前枠側固定金具41と梁本体31とが固定される。
【0033】
面材50は、上記した桁20、梁30、及び前枠40により形成された枠組みに対して、上方から被せられるように配置され、屋根としての機能を発揮できるようにこの枠組みに固定される。面材50を当該枠組みに固定するための構造は特に限定されることなく通常の通りでよいが、例えば次のように構成することもできる。
図6には面材50のうち、桁20側の端部が表れている。
【0034】
図6からわかるように、面材50のうち桁20側の端部は面材保持部材51により面材50が保持されている。面材保持部材51は面材50の端部を上下から挟むように内包する保持部51aを有し、ここには面材50の端部とともにシール材51bが充填され、水密が図られている。保持部51aの下面からは2つの片52、53が垂下して桁本体21の上面を覆う被覆材22に接触している。本形態では片52が固定部材23dにより被覆材22に固定されている。また、面材保持部材51により、片24bを底部とし、片24e、及び片53を壁部とした溝20aが形成され、これが横樋として機能する。
一方、保持部51aの外側端部からはさらに外側に向けて片54が延在する。該片54により面材50及び保持部51aの上面を伝わって雨水が片54の上面に達し、その先端から雨水を溝20aに適切に導くことができる。
【0035】
以上のような屋根構造体1によれば、支柱本体11がいわゆるH型断面を有しており、反対方向に開口する一対の溝部11d、11eを有しているので、上記したようにここに桁等の屋根を構成する部材を差し込み固定することが可能となる。これにより、当該部位については支柱と構成部材との連結に際して介在する中間部材が不要となるので、部品点数及び組み上げ工数を削減することが可能となる。
【0036】
また、排水については次の通りである。上記したように
図6に断面が表れた溝20aにより水平方向の樋(横樋)が形成される。例えば溝20aにより雨水が
図3にAで示したように支柱10に向けて流れたとき、支柱10を縦樋として機能させることができる。すなわち、溝20aを流れた雨水は、支柱10の上端に達し、ここに中央被覆材13b(
図5参照)の中空状である内側に通じる排水穴や間隙を設けておけば、中央被覆材13bの中空内を水が落下するので縦樋として用いることができる。従って付加的な縦樋を必要とせず、さらなる部品点数の削減及び組み上げ工数の削減が可能となる。また、これによれば支柱10内に排水を通す場合であっても、支柱本体11に穴等の排水口を開ける必要なく、排水を中央被覆材から取り出して外部の排水施設に導くことも可能である。
【0037】
本形態では、支柱本体がH型断面を有することにより形成された一対の溝部に桁の端部を内包させて固定する形態を例に説明した。しかしながら、これに限らず、屋根構造体を構成する何らかの他の部材が当該溝部に内包されて固定されてもよい。例えば上記した梁を支柱本体の溝部に差し込み、固定部材により固定する形態でもよい。これによれば支柱側固定金具15が不要となる。