特許第6088243号(P6088243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川崎重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6088243-エンドエフェクタ 図000002
  • 特許6088243-エンドエフェクタ 図000003
  • 特許6088243-エンドエフェクタ 図000004
  • 特許6088243-エンドエフェクタ 図000005
  • 特許6088243-エンドエフェクタ 図000006
  • 特許6088243-エンドエフェクタ 図000007
  • 特許6088243-エンドエフェクタ 図000008
  • 特許6088243-エンドエフェクタ 図000009
  • 特許6088243-エンドエフェクタ 図000010
  • 特許6088243-エンドエフェクタ 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6088243
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】エンドエフェクタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20170220BHJP
   H01L 21/67 20060101ALI20170220BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   H01L21/68 L
   B25J15/08 U
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-286697(P2012-286697)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-130866(P2014-130866A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】芝田 武士
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0101633(US,A1)
【文献】 特開2000−124289(JP,A)
【文献】 特開平06−260548(JP,A)
【文献】 特開平06−345261(JP,A)
【文献】 特開2010−110891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 15/08
H01L 21/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二股の一対の先端部と当該一対の先端部と基端との間に形成された貫通穴からなるスリットとを有するハンドと、
前記ハンドに設けられた、第1の基板を保持するための保持部と、
前記ハンドの一対の先端部に設けられた、カセットに収納された第2の基板に対向させ当該第2の基板の有無を検出するためのマッピング検出部と、
前記ハンドの基端部の裏側に設けられ、電気的入力を変換して検出光を発生する発光部と、
前記ハンドの基端部の表側に設けられた前記検出光を受光して当該検出光を電気的出力に変換する受光部と、
前記ハンドに、前記発光部から出射された前記検出光が通過して前記受光部に入射するように形成された光路と、を備え、
前記光路は、前記保持部に保持される前記第1の基板によって前記検出光が遮光され且つ前記マッピング検出部が検出する前記第2の基板によって前記検出光が遮光されるように形成されており
前記光路は、前記発光部から前記ハンドの一方の先端部の裏側まで延びる第1導光区間と、前記第1導光区間の終端から前記ハンドの他方の先端部の裏側まで延びる第2導光区間と、前記第2導光区間の終端から前記スリットを通って前記受光部まで延びる第3導光区間とを含み、
前記第3導光区間の前記スリットと前記受光部との間の部分が、前記保持部に保持される前記第1の基板によって前記検出光が遮光される第1検出区間であり、
前記第2導光区間の前記一方の先端部と前記他方の先端部との間の空間を通る部分が、前記マッピング検出部が検出する前記第2の基板によって前記検出光が遮光される第2検出区間である、エンドエフェクタ。
【請求項2】
前記第1検出区間は、正常な前記第1の基板が前記保持部に正常に在席している場合に当該第1の基板によって前記検出光が遮光され、そうでない場合に前記検出光が遮光されないように形成され、
前記第2検出区間は、前記カセットに収納された前記第2の基板が有る場合に当該第2の基板の外周部によって前記検出光が遮光され、そうでない場合に前記検出光が遮光されないように形成される、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項3】
前記第1検出区間及び前記第2検出区間は直列に設けられている、請求項1又は請求項2に記載のエンドエフェクタ。
【請求項4】
前記発光部及び前記受光部は、発光素子及び受光素子を含み、
当該発光素子及び受光素子が透過型の光センサを構成している、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のエンドエフェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を保持して搬送する基板搬送ロボットが備えるエンドエフェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置、あるいは液晶パネル製造装置等において半導体ウェハ、ガラス基板等の基板を所望の位置に精度良くかつクリーンに搬送するために、基板搬送ロボットが使用される。基板搬送ロボットは、エンドエフェクタとして例えば吸着式のハンドにより基板が多段に収納されたカセットから基板を取り出した後に、ハンド上で基板を保持してこれを搬送する。
【0003】
従来、カセット内の基板の有無の検出は、ロボットのハンド先端に設けた光センサを用いて行っていた(例えば特許文献1を参照)。更に、近年では、ハンドに2種類の光センサを搭載し、第1のセンサを光軸が水平になるように設置し、第2のセンサを光軸が水平よりも一定角度傾斜するように設置することで、カセット内の基板の有無を、迅速に検出する基板搬送ロボットが開示されている(例えば特許文献2を参照)。
【0004】
ところで、従来の吸着式エンドエフェクタの場合、基板が反っていると、吸着が不十分になり、その状態で搬送すると基板がエンドエフェクタから脱落してしまう恐れがある。このため、吸着が十分でエンドエフェクタ上に基板が安定して載置されているかを確認する必要がある。
【0005】
そこで、従来の基板搬送ロボットは、例えばハンド上に設けられた圧力スイッチからの情報に基づいて、ハンド上の基板が反っているか否かを判定して正常に吸着していることを検出していた。その他、特許文献3にはハンド上に設けられた透過型の光センサにより、基板が正常に保持されたか否かを検出する搬送用ロボットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−83833号公報
【特許文献2】特開2010−219209号公報
【特許文献3】特開平7−22493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の基板搬送ロボットでは、カセット内の基板の有無の検出と基板が正常に保持されたか否かの検出とを合わせて行うことができなかった。また、上記従来の技術を組み合わせた場合、複数のセンサが必要となるため、センサ部分の回路構成が複雑なものとなるという課題があった。
【0008】
そこで、本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、基板搬送ロボットにおいて簡単な構成でカセット内の基板の有無の検出及び基板が正常に保持されたか否かの検出が可能なエンドエフェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明のある態様に係るエンドエフェクタは、ハンドと、前記ハンドに設けられた、第1の基板を保持するための保持部と、前記ハンドの先端部に設けられた、カセットに収納された第2の基板に対向させ当該第2の基板の有無を検出するためのマッピング検出部と、前記ハンドに設けられ、電気的入力を変換して検出光を発生する発光部と、前記ハンドに設けられた前記検出光を受光して当該検出光を電気的出力に変換する受光部と、前記ハンドに、前記発光部から出射された前記検出光が通過して前記受光部に入射するように形成された光路と、を備え、前記光路は、前記保持部に保持される前記第1の基板によって前記検出光が遮光され且つ前記マッピング検出部が検出する前記第2の基板によって前記検出光が遮光されるように形成されている。
【0010】
前記構成によれば、光路を進む検出光が遮光されたか否かにより受光部で検出する受光量の変化に応じて電気的出力が変化する。一方、第1の基板の保持態様を検出する基板保持態様検出動作と、カセットに収納された第2の基板の有無を検出するマッピング検出動作とは、同時に行われることはない。そこで、基板保持態様検出動作及びマッピング検出動作時に、それぞれ、受光部で検出する受光量に応じて変化する電気的出力を監視することにより、正常な第1の基板が正常に在席しているか否か及びカセットに収納された第2の基板のマッピングを検出することができる。そして、これら2種類の検出を一対の発光部及び受光部によって行うことができるので、その構成を簡素化することができる。
【0011】
特に、上記基板保持態様検出動作においては、基板をハンドで取り出して保持したときに遮光であれば、正常な基板が正常に在席した状態であると判断する、一方で、通光であれば、基板が無い状態、異常な基板が在席している状態、あるいは正常な基板が異常に在席している状態であると判断することができる。
【0012】
前記光路は、正常な前記第1の基板が前記保持部に正常に在席している場合に当該第1の基板によって前記検出光が遮光され、そうでない場合に前記検出光が遮光されないように形成される第1区間と、前記カセットに収納された前記第2の基板が有る場合に当該第2の基板の外周部によって前記検出光が遮光され、そうでない場合に前記検出光が遮光されないように形成される第2区間とを含んでもよい。
【0013】
前記第1区間及び前記第2区間は直列に設けられていてもよい。
【0014】
前記発光部及び前記受光部は、発光素子及び受光素子を含み、当該発光素子及び受光素子が透過型の光センサを構成していてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、基板搬送ロボットにおいて簡単な構成でカセット内の基板の有無の検出及び基板が正常に保持されたか否かの検出が合わせて実現可能なエンドエフェクタを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係るエンドエフェクタを備えた基板搬送ロボットの側面図である。
図2図1のエンドエフェクタを上から見た平面図である。
図3図2のエンドエフェクタのハンド先端部のA−A´線断面図である。
図4図2のエンドエフェクタのハンドのB−B´線断面図である。
図5図1の基板搬送ロボットにおける制御系を示すブロック図である。
図6】上記エンドエフェクタのマッピング検出動作を示す平面図である。
図7】上記エンドエフェクタにより正常に基板が保持されている場合の基板保持検出動作を示す平面図及び断面図である。
図8】上記エンドエフェクタにより正常に保持されていない場合の基板保持検出動作を示す断面図である。
図9】上記基板搬送ロボットの制御動作の一例を示すフローチャートである。
図10図9の制御動作におけるエンドエフェクタのマッピング検出時及び基板保持検出時の入出力の波形を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係るエンドエフェクタ1を備えた基板搬送ロボット100の側面図である。図1に示すように、基板搬送ロボット100は、例えば半導体素子を製造する半導体処理設備において、半導体素子の材料であるウェハ等の基板Wを搬送するために利用される。ウェハには、半導体ウェハとガラスウェハが含まれる。半導体ウェハには、例えばシリコンウェハ、その他の半導体単体のウェハ、及び化合物半導体のウェハが含まれる。ガラスウェハには、例えばFPD用ガラス基板、MEMS用ガラス基板、及びサファイア(単結晶アルミナ)ウェハが含まれる。半導体処理設備には、例えば熱処理、不純物導入処理、薄膜形成処理、リソグラフィー処理、洗浄処理、及び平坦化処理といった処理をウェハに施す複数の処理装置が設置されている。基板搬送ロボット100は、これらの処理装置が配置されている領域(処理室)に基板Wを搬送する。本実施の形態では、カセット台7上に設置されたカセット6内部の棚に基板Wが多段に収納されている。
【0019】
<基板搬送ロボット>
基板搬送ロボット100は、例えば、エンドエフェクタ1と、第1アーム2a及び第2アーム2bを含むアーム2と、昇降軸3と、基台4と、制御装置5とを備える。本実施の形態では、いわゆる水平多関節型の4軸ロボットのエンドエフェクタ1に基板Wが載置される。
【0020】
基板搬送ロボット100は、半導体処理設備の適所(例えば床)に固定される基台4を有し、基台4には昇降軸3が設けられている。基台4においては、昇降軸3の軸線が例えば鉛直に向けられる。基台4には、例えばエアシリンダからなる図示しない昇降アクチュエータが内蔵されており、このアクチュエータの動作により昇降軸3は基台4の上面側にて上下方向に昇降する。
【0021】
昇降軸3の上端部には、長尺の第1アーム2aが設けられている。第1アーム2aは昇降軸3の上端部から水平に延びている。第1アーム2aの一端部は昇降軸3に対して鉛直軸線周りに揺動可能に連結され、昇降軸3には、例えば電気モータからなる図示しない揺動アクチュエータが内蔵されており、このアクチュエータの動作により第1アーム2aが昇降軸3に対して水平面内を揺動する。
【0022】
第1アーム2aの他端部の上面側には、長尺の第2アーム2bが設けられている。第2アーム2bは、第1アーム2aの他端部から水平に延びている。第2アーム2bの一端部は、第1アーム2aに対して鉛直軸線周りに揺動可能に連結されている。第1アーム2aの他端部には、例えば電気モータからなる図示しない揺動アクチュエータが内蔵されており、このアクチュエータの動作により、第2アーム2bが第1アーム2aの他端部に対して水平面内を揺動する。
【0023】
第2アーム2bの他端部の上面側には、基板Wが載置され且つこれを保持するエンドエフェクタ1が設けられている。エンドエフェクタ1は、第2アーム2bの他端部に対して鉛直軸線周りに揺動可能に連結されている。第2アーム2bの他端部には、例えば電気モータからなる図示しない揺動アクチュエータが内蔵されており、このアクチュエータの動作により、エンドエフェクタ1が第2アーム2bの他端部に対して水平面内を揺動する。
【0024】
制御装置5は、例えば図示しない操作装置からの入力によりあるいは自動的に、昇降軸3、第1アーム2a、第2アーム2b及びエンドエフェクタ1を駆動する各アクチュエータの動作を制御し、エンドエフェクタ1は、上下及び水平に移動する。そして、アクチュエータの動作速度を適宜制御することにより、エンドエフェクタ1は、水平面内で任意の経路に沿って、移動可能となる。この基板搬送ロボット100においては、昇降軸3、第1アーム2a、第2アーム2b及び各部を駆動するアクチュエータが、エンドエフェクタ1を移動させるための駆動装置30を構成している。
【0025】
<エンドエフェクタ>
図2は、図1のエンドエフェクタ1を上から見た平面図である。図2に示すように、エンドエフェクタ1は、ハンド10と、ハンド10に設けられた基板保持部11と、ハンド10の先端部10b、10c及び切欠空間21に渡る領域に形成され、カセット6に収納された基板Wに対向させ当該基板Wの有無を検出するためのマッピング検出部12と、ハンド10に設けられ、制御装置5からの電気的入力を変換して検出光を発生する発光部13と、ハンド10に設けられ、検出光を受光して当該検出光を制御装置5への電気的出力に変換する受光部14と、ハンド10に、発光部13から出射された検出光が通過して受光部14に入射するように形成された光路15と、を備える。
【0026】
ハンド10の構造は、特に限定されない。本実施の形態では、ハンド10は、例えば平面視でY状に形成された板材から成る。Y状の本体は、単一の基端部10aと、該基端部から二股に分かれて延びる一対の先端部10b及び10cとを有する。一対の先端部10b及び10cの間には切欠空間21が形成されている。ハンドの基端部10aは、取付板20の一端に固定され、ハンド10の本体は、取付板20から水平に延びている。取付板20の他端は、第2アーム2bの他端部に揺動可能に連結されている。
【0027】
ハンド10は、円盤状の基板Wが載置され且つこれを保持すべく構成され、ハンドの基端部10aとその先端部10b及び10cの上面にはそれぞれ基板Wを保持するための基板保持部11が3か所設けられている。本実施の形態では、基板保持部11は、例えば、基板Wと接触する部位の圧力を減じるように制御して当該部位を基板Wに吸着させることにより基板Wを保持するよう構成されている。
【0028】
光路15は、検出光が導光部材によって導かれる導光区間と、検出光が空間を進行する区間とを含んでいる。本実施の形態では、導光部材として光ファイバ15a及び15bが使用される。
【0029】
光ファイバ15aは、ハンド10の取付板20に内蔵された発光部13に一端が接続され、ハンドの基端部10aの裏側から先端部10bの裏側まで敷設されている。光ファイバ15aは、発光部13から出射された検出光をハンドの先端部10bの裏側まで導くものである。
【0030】
光ファイバ15bは、ハンドの先端部10cの裏側に一端が接続され、ハンドの基端部10aに形成された矩形状のスリット15cの一端(ハンド10の先端側の端)まで敷設されている。光ファイバ15bは、ハンドの先端部10cの裏側に入射した検出光をスリット15cまで導くものである。なお、光ファイバ15aおよび15bのそれぞれの両端に、図示されない光収束素子(例えば凸レンズ)及び光発散素子(例えば凹レンズ)を必要に応じて、適宜、配置してもよい。
【0031】
検出光が空間を進行する区間は、ハンドの先端部10bとハンドの先端部10cとの間の切欠空間21を検出光が進行するマッピング検出部12としての第1区間と、ハンドの基端部10aのスリット15c及びハンドの基端部10a上の空間15dを検出光が進行する第2区間とにより構成される。
【0032】
図3は、図2のエンドエフェクタ1のハンド先端部10b及び10cのA−A´線断面図である。図3に示すように、ハンドの先端部10bの裏側の光ファイバ15aの端部から出射された検出光B1(矢印の一点鎖線)は、ハンドの先端部10bと先端部10cの間のマッピング検出部12(第1区間)を進行し、ハンドの先端部10cの裏側の光ファイバ15cの端部に入射する。
【0033】
図4は、図2のエンドエフェクタ1のハンド基端部10aのB−B´線断面図である。図4に示すように、ハンドの基端部10aの裏側の光ファイバ15bの端部から出射された検出光B2(矢印の一点鎖線)は、ハンド10の基端部10aに設けられたスリット15c及びハンド10の基端部10a上の空間15d(第2区間)を進行し、ハンド10の取付板20に設けられた受光部14で受光される。
【0034】
以上のように、光路15において第1区間及び第2区間は直列に設けられている。そして、発光部13から出射された検出光は、光路15を通過して、受光部14に入射するように形成されている。すなわち、発光部13から光路15を介して受光部14までは、単
一の光路を形成している。
【0035】
<制御系>
図5は、基板搬送ロボット100における制御系を示すブロック図である。図5に示すように、基板搬送ロボット100の制御装置5は、制御装置5からの電気的入力を変換して検出光を発生する発光部13と、発光部13からの検出光を光ファイバや空間を含む光路15を介して受光し、受光した検出光を制御装置5への電気的出力に変換する受光部14と、エンドエフェクタ1を移動させるための駆動装置30と、エンドエフェクタ1の基板保持部31とを主に制御する。
【0036】
駆動装置30は、制御装置5の制御指令に従って、図1で示した昇降軸3、第1アーム2a及び第2アーム2bを駆動するアクチュエータを動作させて、エンドエフェクタ1を上下及び水平に移動する。
【0037】
基板保持部11は、制御装置5の制御指令に従って、基板Wと接触する部位の圧力が制御され当該部位に基板Wに吸着させることにより基板Wを保持する。
【0038】
発光部13は、検出光を生成して出射する発光素子16と、発光素子16に電圧Vinを印加して該発光素子を駆動するドライブ回路17とを備える。本実施の形態では、発光素子16として、例えば発光ダイオード又はレーザーダイオードが用いられる。ドライブ回路17は、制御装置5からの制御信号(電気的入力)に応じて電圧Vinを生成して、発光素子16を駆動する。
【0039】
受光部14は、受光した検出光の受光量に応じて電圧Voutを発生するようにして、光信号を電気信号に変換する受光素子18と、電気信号を増幅してこれを検出信号(電気的出力)として出力する出力回路19とを備える。本実施の形態では、受光素子18として、例えばフォトダイオードが使用される。出力回路19は、検出信号を制御装置5に出力する。
【0040】
発光素子16又は受光素子18と光路15を構成する光ファイバとは、図示されないコネクタにより接続されている。このように、本実施の形態では、発光部13及び受光部14は、発光素子16及び受光素子18を含み、発光素子16及び受光素子18が透過型の光センサを構成している。
【0041】
<動作>
次に、エンドエフェクタ1によるマッピング検出動作の一例について説明する。例えば、基板搬送ロボット100は、マッピング検出動作において、最上段の棚から最下段の棚まで順次エンドエフェクタ1を走査させて基板の有無を検出するものとする。
【0042】
図6は、エンドエフェクタ1のマッピング検出動作を示す平面図である。図6に示すように、エンドエフェクタ1のマッピング検出部12を、例えばカセット6内のn段目の棚に収納された基板Wに対向するようにして走査させる。このとき、ハンドの先端部10bの裏側の光ファイバ15aの端部から出射された検出光B1(矢印の一点鎖線)は、ハンドの先端部10bと先端部10cの間のマッピング検出部12(第1区間)を進行中に基板Wがカセット6に収納されていれば、基板Wの外周部によって遮光される。これにより、検出光B1が、ハンドの先端部10cの裏側の光ファイバ15cの端部で受光されることはない。すなわち、光路15は、マッピング検出部12が検出する基板Wによって、検出光B1が遮光される。
【0043】
このように、マッピング検出部12(第1区間)では、カセット6に収納された基板Wが有る場合に当該基板Wの外周部によって検出光B1が遮光され、そうでない場合に検出光B1が遮光されないように形成されている。
【0044】
次に、エンドエフェクタ1による基板保持検出動作の一例について説明する。例えば、基板搬送ロボット100は、上述のマッピング検出動作でカセット6のn段目に基板Wが検出されると、その後、空のエンドエフェクタ1をカセット6のn段目に挿入し、n段目に収納された基板Wをハンド10の基板保持部11に移載し、当該基板Wの在席が正常か否かを検出後、エンドエフェクタ1をカセット6から退出させて、基板Wの取り出し及び保持を行うものとする。
【0045】
図7(a)及び図7(b)は、エンドエフェクタ1により正常に基板が保持されている場合の基板保持検出動作の平面図及び断面図である。同図に示すように、光路15は、基板保持部11に保持される基板Wによって検出光B2(矢印の一点鎖線)が遮光されるように形成されている。正常な基板が基板保持部11に正常に在席している場合に基板Wによって検出光B2が遮光され、正常な基板が正常に在席した状態であると判断する。
【0046】
一方、正常に在席していない場合に検出光B2が遮光されないように形成されている。
【0047】
図8(a)及び図8(b)は、エンドエフェクタ1により正常に基板が保持されていない場合の基板保持検出動作を示す断面図である。
【0048】
図8(a)は、基板Wが反っている状態を示している。このように異常な基板が在席している場合には、検出光B2は光ファイバ15bから受光部14まで到達する。
【0049】
図8(b)は、基板Wが基板保持部11ではなく受光部14の上に載った状態を示している。このように正常な基板であっても異常な状態で在席している場合には、検出光B2は光ファイバ15bから受光部14まで到達する。すなわち、通光であれば、基板が無い状態、異常な基板が在席している状態、あるいは正常な基板が異常に在席している状態のいずれかであると判断することができる。
【0050】
以下、基板搬送ロボット100の制御動作の一例について図9のフローチャートを用いて説明する。図9に示すように、まず、制御装置5により、エンドエフェクタ1のマッピング動作を制御する(ステップ1)。基板搬送ロボット100は、エンドエフェクタ1により、カセット6内の1〜n段目の棚を順次走査して、各段の棚に基板が収納されているか否かの検出を行う。
【0051】
次に、制御装置5により、基板搬送ロボット100の基板取り出し動作を制御する(ステップ2)。基板搬送ロボット100は、マッピング検出の結果、基板が収納されている棚(例えば1段目の棚)までアーム2を移動させ、エンドエフェクタ1により基板を取り出す。そして、制御装置5により、基板搬送ロボット100の基板移動動作を制御する(ステップ3)。基板搬送ロボット100は、エンドエフェクタ1の基板保持部11により、基板を保持した状態でアーム2を移動させる。
【0052】
次に、制御装置5により、所定の位置に基板搬送ロボット100のアーム2を移動させた後に、基板搬送ロボット100の基板置き動作を制御する(ステップ4)。エンドエフェクタ1の基板保持部11により、基板を保持した状態を解除し、基板を所定の位置に載置する。
【0053】
そして、制御装置5は、基板搬送ロボット100によるカセット6内の基板の取り出しが全て終了するまで上記基板取り出し動作を繰り返し、全ての基板を取り出した場合には制御を終了する(ステップ5)。
【0054】
上記フローチャートのステップ1では、エンドエフェクタ1のマッピング検出が行われ、ステップ2〜ステップ4では、エンドエフェクタ1の基板保持検出が行われる。
【0055】
次に、図10は、図9の制御動作におけるエンドエフェクタ1のマッピング検出時及び基板保持検出時の入出力の波形を示す波形図である。
【0056】
図10の上段の波形図は、制御装置5から駆動装置30及び基板保持部11への制御指令を示している。図10の中段の波形図は、制御装置5から発光部13のドライブ回路17へ入力される制御信号を示している。制御信号がハイレベルの場合は発光部13の発光素子16を発光させるようにドライブ回路17が電圧Vinを印加する。
【0057】
図10の下段の波形図は、受光部14から制御装置5へ出力される検出信号の波形を示している。光路15を進む検出光が遮光されたか否かにより受光部14で検出する受光量の変化に応じて検出信号のレベル(電気的出力)が変化する。
【0058】
時刻t0〜t1では、制御装置5により、エンドエフェクタ1のマッピング動作を制御する。制御装置5から駆動装置30への制御指令により、基板搬送ロボット100は、カセット6内の1〜n段目の棚に収納された基板Wのマッピング動作に移行する。まず、時刻t0では、制御装置5は、駆動装置30への制御指令に同期して、発光部13へハイレベル(ON)の制御信号を送る。これにより、発光素子16が発光して検出信号がハイレベルになる。
【0059】
そして、時刻t0〜t1において、カセット6内に基板Wを検出した場合は検出光B1が遮光されるので、検出信号はハイレベルからローレベルに低下する。図10の下段では、1〜n段目までの全ての段に基板が収納されている場合を示している。この場合、検出光B1はカセット6内に収納された基板の数nに応じてn回遮光されるので、時刻t0〜t1の間に検出信号はn回ハイレベルからローレベルに低下する。このようにしてエンドエフェクタ1のマッピング検出が行われる。
【0060】
時刻t1では、制御装置5により、基板搬送ロボット100の基板取り出し動作を制御する。制御装置5から基板保持部11への制御指令により、基板搬送ロボット100は、カセット6内の1段目の棚で検出された基板Wの取り出し動作に移行する。ここでも制御装置5は、基板保持部11への制御指令に同期して、発光部13へ引き続きハイレベル(ON)の制御信号を送る。このとき検出信号は引き続きハイレベルになる。
【0061】
時刻t2では、制御装置5から基板保持部11への制御指令により、基板搬送ロボット100は、取り出した基板Wを保持し、基板Wが正常に保持された場合には、検出信号はハイレベルからローレベルになる。
【0062】
時刻t2〜t3では、制御装置5により、基板搬送ロボット100の基板移動動作を制御する。基板搬送ロボット100は、エンドエフェクタ1の基板保持部11により、基板を保持した状態でアーム2を移動させる。このとき基板Wが正常に保持された状態であれば、検出信号はローレベルに維持される。
【0063】
時刻t3では、制御装置5により、所定の位置に基板搬送ロボット100のアーム2を移動させた後に、基板搬送ロボット100の基板置き動作を制御する。エンドエフェクタ1の基板保持部11により、基板を保持した状態を解除し、基板を所定の位置に載置する。このときハンドの先端のマッピング検出部12を遮る基板Wが無くなるので検出信号はハイレベルになる。このようにして、基板の取り出し、移動及び置き動作に伴って、基板保持検出が行われる。
【0064】
時刻t4では、制御装置5から基板保持部11への制御指令により、基板搬送ロボット100は、カセット6内の2段目の棚で検出された基板Wの取り出し動作に移行する。
そして、時刻t5では、2段目の基板Wを保持すると、検出光B1が遮光されるので、検出信号はハイレベルからローレベルに低下する。このように2段目以降の基板についても、1段目の基板と同様な基板保持検出が行われる。
【0065】
前記構成によれば、基板Wの保持態様を検出する基板保持態様検出動作と、カセット6に収納された基板Wの有無を検出するマッピング検出動作とは、同時に行われることはない。
【0066】
そこで、本実施の形態では、基板保持態様検出動作及びマッピング検出動作時に、それぞれ、受光部14で検出する受光量に応じて変化する電気的出力(検出信号)を監視することにより、正常な基板Wが正常に在席しているか否か及びカセットに収納された基板Wのマッピングを検出することができる。そして、これら2種類の検出を一対の発光部13及び受光部14によって行うことができるので、その構成を簡素化することができる。
【0067】
尚、本実施の形態では、基板保持部11は、基板Wと接触する部位の圧力を制御して当該部位を基板Wに吸着させることにより基板Wを保持する吸着式としたが、ハンドに設けられ、基板を保持することが可能な構成であれば、これに限定されない。
【0068】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、半導体ウェハ、ガラス基板等の基板を搬送する基板搬送ロボットのエンドエフェクタに用いることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 エンドエフェクタ
2a 第1アーム
2b 第2アーム
3 昇降軸
4 基台
5 制御装置
6 カセット
7 カセット台
10 ハンド
10a ハンド基端部
10b、10c ハンド先端部
11 基板保持部
12 マッピング検出部(第1区間)
13 発光部
14 受光部
15 光路
15a、15b 光ファイバ
15c スリット
15d 第2区間
16 発光素子
17 ドライブ回路
18 受光素子
19 出力回路
20 取付板
21 切欠空間
30 駆動装置
31 基板保持部
100 基板搬送ロボット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10