(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各ハイサイド側駆動回路は、直列に接続された複数のダイオードを含むダイオード列であって、前記ハイサイド容量スイッチ列または前記容量に並列に接続されたハイサイドダイオード列を有し、
各ローサイド側駆動回路は、直列に接続された複数のダイオードを含むダイオード列であって、前記ローサイド容量スイッチ列または前記容量に並列に接続されたローサイドダイオード列を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の充放電信号回路。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態を説明する前に、DCDCコンバータおよびそこで使用される充放電信号回路について説明する。
図1は、DCDCコンバータ10の概略構成を示す図である。
【0011】
DCDCコンバータ10は、交流信号を出力する充放電信号回路11と、インダクタL1と、容量C1と、を有する。C1の一方の端子は接地され、他方の端子はL1の一方の端子に接続される。L1の他方の端子は、充放電信号回路11の出力ノードに接続される。L1とC1の接続ノードから変換されたDC出力電圧Voutが出力され、負荷13に印加される。
【0012】
充放電信号回路11は、PWM制御IC12と、高電位側電源VinとGNDの間に直列に接続されたPMOSトランジスタM1およびNMOSトランジスタM2と、を有する。PWM制御IC12は、高(H)と低(L)の間で変化する駆動信号を発生し、Voutに応じて駆動信号のデューティ比を変化させる。PMOSトランジスタM1およびNMOSトランジスタM2は、駆動信号に応じてオン・オフする。M1がオンでM2がオフの時には、出力ノード、すなわちL1の端子にVinから電流を流し込み、M1がオフでM2がオンの時には、L1の端子からGNDに電流を引き込む。
【0013】
図1のDCDCコンバータは広く知られているので、これ以上の説明は省略する。
図1に示すように、高効率でDCDC変換を行うためには、インダクタL1が使用される。
【0014】
図2は、電源ICにインダクタを付加してDCDCコンバータを形成する場合の構成例を示す図である。
これまで、インダクタは、ディスクリート(個別)部品の形で供給されるのが一般的で、ある程度の大きさを有していた。そのため、
図2の(A)に示すように、内部にDCDC変換用の充放電信号回路22を有する電源IC21を搭載するプリント基板等に、ディスクリート部品であるインダクタ23を搭載し、基板上で配線を行い、DCDCコンバータを形成していた。言い換えれば、インダクタは外付け部品であった。
【0015】
近年、電源回路についても小型化が求められており、インダクタを電源IC内に収容することが望まれている。電源IC内にインダクタを収容するには、インダクタを小型化するが、インダクタは、小型化すれば、インダクタンスの値が小さくなる。インダクタのインダクタンス値および容量値を小さくすると、出力電圧リップル(ノイズ)が増加する。DCDCコンバータの出力電圧リップル(ノイズ)に関する仕様を満たした上で、インダクタンス値および容量値を小さくするには、スイッチング周波数を高く(上昇)すればよい。しかし、スイッチング周波数を高くすると、容量の充放電動作に伴う電力ロスが増加し、効率が低下するという問題がある。
【0016】
このように、DCDCコンバータにおいては、高効率化と小型化の両立が技術的な課題となっている。
スケーリングファクタSでスケーリング(小型化)したトランジスタをS段縦積みにすることにより、スイッチングに伴う電力ロスを、1/Sに低減することが知られている。
【0017】
図3は、S=1、2としてスケーリング(小型化)した場合のスイッチングに伴う電力ロスを説明する図である。
図3の(A)に示すように、S=1としたスケーリング前の1段の(NMOS)トランジスタで、ソースを接地し、ゲートおよびドレインをVddと0Vの間でスイングする場合を考える。ここで、トランジスタのオン抵抗をR,ゲートソース間容量をCgs、ゲートドレイン間容量をCgd、ドレインソース間容量をCds、ゲートソース間電圧をVgs、ゲートドレイン間電圧をVds、スイッチング周波数をfswで表す。スイッチング損失は、次のように表される。
【0018】
(Cgs+Cgd)Vgs
2fsw+(Cgd+Cds)Vds
2fsw
=(Cgs+2Cgd+Cds)Vdd
2fsw
【0019】
図3の(B)に示すように、S=2としてスケーリングした2段の(NMOS)トランジスタを2個縦積みし、下側のトランジスタのソースを接地し、上側のトランジスタのドレインをVddと0Vの間でスイングする。さらに、下側のトランジスタのゲートを、Vdd/2と0Vの間でスイングし、上側のトランジスタのゲートを、VddとVdd/2の間でスイングし、2個のトランジスタの接続ノードが、Vdd/2と0Vの間でスイングする。
【0020】
スケーリングに伴い、トランジスタの寸法(幅、長さ等)を1/Sに、基板のドーピング密度をS倍に、電圧を1/Sに、デバイス当たりの電流を1/Sに、する。これにより、ゲート容量Cgは1/Sに、トランジスタのオン抵抗は1(同じ)になる。しかし、
図3の(B)のようにカスコード接続を想定する場合、縦積み後のオン抵抗を同じ条件、すなわち上側と下側のトランジスタのオン抵抗をR/Sにするために、トランジスタの幅をS倍にする。その結果、Cgがスケーリング前後で同じ値になる。
図3の(B)ではS=2であるから、上側と下側のトランジスタのオン抵抗をR/2で、CgsおよびCgdは同じ値である。
【0021】
図3の(B)の場合のスイッチング損失は、次のように表される。
2(Cgs+2Cgd+Cds)(Vdd/2)
2fsw
=1/2*(Cgs+2Cgd+Cds)Vdd
2fsw
【0022】
このように、スケーリングファクタSでスケーリング(小型化)したトランジスタをS段縦積みにすることにより、スイッチングに伴う電力ロスは、1/Sに低減される。
【0023】
図4は、非特許文献2に記載された出力段を2段積みにしたDCDCコンバータの構成例を示す図である。高電位側電源VddとGNDの間に2個のPMOSトランジスタと2個のNMOSトランジスタを直列に接続
し、中央のPMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタのゲートにはVm=Vdd/2を印加し、常時オンとする。そして駆動信号をゲートドライバでレベル変換して両側のPMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタのゲートに印加する。
図4のDCDCコンバータでは、スケーリングファクタS=2により微細化しており、各トランジスタの耐圧はVdd/2より少し大きい値になる。
図4のDCDCコンバータは公知であり、これ以上の説明は省略する。
【0024】
図4のDCDCコンバータには、次の問題がある。
(1)Vmの変動を十分に抑制して各トランジスタの耐圧条件を守るために必要となるバイアス容量Cmの容量値が大きくなることである。
(2)制御信号の生成が難しくなり、ドライバ回路の設計が複雑になるため、3段以上の縦積みを実現するのが難しいことである。
【0025】
図5は、(1)のバイアス容量Cmの容量値が大きくなることを説明するための等価回路図である。
図5の(A)に示すように、PMOSトランジスタのゲートとソースおよびドレインとの間の容量をそれぞれ0.5*Cgpとすると、1個のトランジスタの駆動容量はCgpとなる。そして、
図4のDCDCコンバータの出力段は、2個のPMOSトランジスタおよび2個のNMOSトランジスタを縦積みしており、出力段全体では、Ctot=2.25Cgpの容量を駆動することになる。
【0026】
図5の(A)の回路は、2個のPMOSトランジスタおよび2個のNMOSトランジスタの駆動周波数における実効的な抵抗RgpおよびRgnを直列に接続し、その接続ノードにCmおよびCtotを接続した回路となる。この回路で、出力LXとしてVdd/2と0Vの間スイングした時にRgpとRgnの接続ノードに発生する電圧変動ΔVは、次の式で表される。
【0027】
ΔV=2.25Cgp/(Cm+2.25Cgp)*Vdd
ここで、電圧変動の許容量をΔV<Vdd/(10S)とすると、Cm>2.25Vgp(10S−1)であり、出力段のスイッチのゲート容量の20〜30倍の容量値のCmが必要である。このように大きな容量は、外付け部品で実現することになる。
【0028】
図6は、(2)の3段以上の縦積みを実現するのが難しいことを説明する図である。
図6の(A)は、VddとGNDの間に3個のPMOSトランジスタと3個のNMOSトランジスタをカスコード接続した充放電信号回路を示す。1番目のPMOSトランジスタMp1のゲートには、2Vdd/3とVddの間でスイングする駆動信号が印加される。2番目のPMOSトランジスタMp2のゲートには、2Vdd/3の固定電圧が印加される。1番目のNMOSトランジスタMn1のゲートには、0VとVdd/3の間でスイングする駆動信号が印加される。2番目のNMOSトランジスタMn2のゲートには、Vdd/3の固定電圧が印加される。3番目のPMOSトランジスタMp3および3番目のNMOSトランジスタMn3のゲートには、2Vdd/3とVdd/3の間でスイングする駆動信号がインバータで反転した後印加される。ここで、3番目のPMOSトランジスタMp3および3番目のNMOSトランジスタMn3のゲートに印加する駆動信号の論理反転のタイミング制約が厳しく、早すぎても遅すぎてもMp3またはMn3が破壊するおそれがある。製造プロセスのバラツキ等を考慮して、3つの駆動信号にタイミング差を設けてこの制約を守るようにしているが、その分効率が低下するなどの問題を生じる。
【0029】
図6の(B)は、VddとGNDの間に4個のPMOSトランジスタと4個のNMOSトランジスタをカスコード接続した充放電信号回路で、出力LX=0、出力LX=Vddとする場合の各部の電圧を示す図である。図では、”0”が0Vを、”1”がVdd/4を、”2”がVdd/2を、”3”が3Vdd/4を、”4”がVddを示す。このような多段の充放電信号回路で、各部の駆動信号のタイミング制約を守ることは難しく、実際には駆動制御回路を実現することも難しい。
【0030】
以下に説明する実施形態によれば、各スイッチング用トランジスタのゲート寄生容量の2〜3倍程度の容量を付加するのみで、複雑な設計上の制約なしに多段縦積み(多段カスコード接続)のDCDCコンバータが実現される。
【0031】
図7は、第1実施形態のDCDCコンバータの回路図である。
第1実施形態のDCDCコンバータは、一方の端子が接地された容量C1と、一方の端子がC1の他方の端子に接続されたインダクタL1と、L1の他方の端子に接続される出力ノードLXに交流信号を出力する充放電信号回路30と、を有する。
【0032】
第1実施形態のDCDCコンバータは、充放電信号回路30のみをIC化してもよいが、インダクタンス値の小さいインダクタL1を使用できるので、
図7に示した全体構成をIC化することも可能である。
【0033】
充放電信号回路30は、高電位側電源VddとLX間に直列に接続された3個のハイサイド側トランジスタMp1〜Mp3と、低電位側電源GNDとLX間に直列に接続された3個のローサイド側トランジスタMn1〜Mn3と、を有する。ここでは、図示の都合上、ハイサイド側トランジスタMp1〜Mp3およびローサイド側トランジスタMn1〜Mn3がそれぞれ3個の場合を示すが、後述するように、4個以上にすることも可能である。また、ハイサイド側トランジスタMp1〜Mp3は、PMOSトランジスタであり、ローサイド側トランジスタMn1〜Mn3は、NMOSトランジスタである。
【0034】
充放電信号回路30は、3個のハイサイド側トランジスタMp1〜Mp3が同時にオン、3個のローサイド側トランジスタMn1〜Mn3が同時にオフすることにより、LXへVddから電流が流れる。また、3個のハイサイド側トランジスタMp1〜Mp3が同時にオフ、3個のローサイド側トランジスタMn1〜Mn3が同時にオンすることにより、LXからGNDへ電流が流れる。
【0035】
充放電信号回路30は、3個のハイサイド側トランジスタMp1〜Mp3に対応して3個のハイサイド側駆動回路と、3個のローサイド側トランジスタMn1〜Mn3に対応して3個のローサイド側駆動回路と、を有する。
【0036】
さらに、充放電信号回路30は、VddとGNDの間に直列に接続されたダイオード列Daおよび容量C0と、駆動信号であるPWM信号を出力するPWM制御回路31と、PWM信号のドライブ用インバータIn0と、を有する。ここでは、ダイオード列Daと容量C0の接続ノードの電圧がVdd/3となるように、ダイオード列Daのダイオードの個数が設定されている。図示していないが、
図1のように、PWM制御回路31は、L1とC1の接続ノードの出力電圧Voutがフィードバックされ、Voutに応じてPWM信号のデューティ比を変化させる。インバータIn0は、PWM信号に応じて、Vdd/3と0Vの間でスイングする信号を出力する。
【0037】
1番目のハイサイド側駆動回路は、Vddと、Mp1とMp2の接続ノードとの間に直列に接続された容量Ch1およびダイオードDh1と、レベルシフタ46と、インバータ(ハイサイド駆動部)Ip1と、を有する。Ip1は、Vddと、Ch1とDh1の接続ノード間に、すなわちCh1に並列に接続され、レベルシフタ46の出力を受けて、出力をMp1のゲートに印加する。
【0038】
2番目のハイサイド側駆動回路は、Mp1とMp2の接続ノードと、Mp2とMp3の接続ノードとの間に直列に接続された容量Ch2およびダイオードDh2と、レベルシフタ45と、インバータIp2と、を有する。Ip2は、Mp1とMp2の接続ノードと、Ch2とDh2の接続ノード間に、すなわちCh2に並列に接続され、レベルシフタ45の出力を受けて、出力をMp2のゲートに印加する。
【0039】
3番目のハイサイド側駆動回路は、Mp2とMp3の接続ノードと、出力ノードLXとの間に直列に接続された容量Ch3およびダイオードDh3と、レベルシフタ44と、インバータIp3と、を有する。Ip3は、Mp2とMp3の接続ノードと、Ch3とDh3の接続ノード間に、すなわちCh3に並列に接続され、レベルシフタ44の出力を受けて、出力をMp3のゲートに印加する。
【0040】
1番目のローサイド側駆動回路は、GNDと、Mn1とMn2の接続ノードとの間に直列に接続された容量Cl1およびダイオードDl1と、レベルシフタ41と、インバータ(ローサイド駆動部)In1と、を有する。In1は、GNDと、Cl1とDl1の接続ノード間に、すなわちCl1に並列に接続され、レベルシフタ41の出力を受けて、出力をMn1のゲートに印加する。
【0041】
2番目のローサイド側駆動回路は、Mn1とMn2の接続ノードと、Mn2とMn3の接続ノードとの間に直列に接続された容量Cl2およびダイオードDl2と、レベルシフタ42と、インバータIn2と、を有する。In2は、Mn1とMn2の接続ノードと、Cl2とDl2の接続ノード間に、すなわちCl2に並列に接続され、レベルシフタ42の出力を受けて、出力をMn2のゲートに印加する。
【0042】
3番目のローサイド側駆動回路は、Mn2とMn3の接続ノードと、出力ノードLXとの間に直列に接続された容量Cl3およびダイオードDl3と、レベルシフタ43と、インバータIn3と、を有する。In3は、Mn2とMn3の接続ノードと、Cl3とDl3の接続ノード間に、すなわちCl3に並列に接続され、レベルシフタ43の出力を受けて、出力をMn3のゲートに印加する。
【0043】
Ch1,Dh1,Ch2,Dh2,Ch3,Dh3,Dl3,Cl3,Dl2,Cl2,Dl1,Cl1は、VddとGND間にこの順で直列に接続される。
【0044】
図8は、レベルシフタ41および42の回路図である。
レベルシフタ41は、Dl1とCl1の接続ノード(Vdd/3)とGNDの間に接続された下段インバータ対と、インバータ対をソースとしてDl2とCl2の接続ノードとの間に縦積みされた3つのトランジスタ対と、を有する。レベルシフタ41は、下段インバータ対の入力(PWM制御回路31の出力)をIn1の入力に出力し、上段の2つのトランジスタ対の差動信号をレベルシフタ42に出力する。レベルシフタ42〜46は、同じ回路構成を有し、接続される電源が順にシフトすることと、入力が前段から入力されることが異なる。いずれにしろ、各レベルシフタは、PWM駆動信号およびそれに対応する前段の出力および供給される電源電圧に応じて、後述するようなシフト信号を出力する。なお、
図7では、PWM制御回路31の出力は、In0で反転されてレベルシフタ41に供給されるのに対して、
図8では、PWM制御回路31の出力が直接レベルシフタ41に供給されている。そのため、
図7と
図8では、PWM制御回路31の出力の論理を反転しているが、これは適宜設定すればよい。
【0045】
図9は、第1実施形態のDCDCコンバータにおける充放電信号回路30の動作を説明する図であり、(A)が出力ノードLXにVdd=15Vを出力している場合を、(B)が出力ノードLXにGND=0Vを出力している場合を示す。以下の説明も同様に行う。
図9において、オフ状態となるトランジスタは、横に×印を付している。
【0046】
図9の(A)に示すように、LXにVddを出力する場合、各レベルシフタは”高(H)”レベルを出力し、これに応じてIn1〜In3およびIp1〜Ip3のNMOSトランジスタがオンし、PMOSトランジスタはオフする。そのため、In1〜In3およびIp1〜Ip3は、各ローサイド側駆動回路およびハイサイド側駆動回路の容量とダイオードの接続ノードの電圧を出力する。これに応じて、Mp1〜Mp3はオンし、Mn1〜Mn3はオフする。
【0047】
Mp1〜Mp3がオンするため、LXにはVdd=15Vが供給され、Mp1とMp2の接続ノードおよびMp2とMp3の接続ノードは15Vとなる。このため、Dh1,Dh2,Dh3はオフする。Ip1の両端には、Vdd=15VとCh1に蓄積された電圧分降下した電圧10.6Vが印加される。同様に、Ip2の両端には、Mp1とMp2の接続ノードの電圧15VとCh2に蓄積された電圧分降下した電圧10.6Vが印加され、Ip3の両端にも15Vと10.6Vが印加される。したがって、Mp1〜Mp3がオンする条件が実現されている。
【0048】
一方、Mn1〜Mn3がオフするため、直列に接続されたDl3,Cl3,Dl2,Cl2,Dl1およびCl1の列の両端にはVdd=15VとGNDが印加される。これにより、列の間の接続ノードには、ダイオードの電圧降下分を除いた電圧を直列容量(同じ容量値)で電圧分割した電圧が生じる。具体的は、Cl1とDl1の接続ノードは4.4V、Dl1とCl2の接続ノードは5V、Cl2とDl2の接続ノードは9.4V、Dl2とCl3の接続ノードは10V、Cl3とDl3の接続ノードは14.4Vである。これに応じて、Mn1とMn2の接続ノードは5V、Mn2とMn3の接続ノードは10V、In1〜In3の出力は、それぞれ0V、5V、10Vになる。したがって、Mn1〜Mn3がオフする条件が実現されている。
【0049】
直列に接続されたDl3,Cl3,Dl2,Cl2,Dl1およびCl1の列の両端にはVdd=15VとGND=0Vが印加されるため、Cl3,Cl2およびCl1は、その両端の電圧で充電される。すなわち、Cl3,Cl2およびCl1の両端には、それぞれ4.4Vが印加されるので、4.4Vに充電される。
【0050】
図9の(B)に示すように、LXに0Vを出力する場合、各レベルシフタは”低(L)”レベルを出力し、これに応じてIn1〜In3およびIp1〜Ip3のPMOSトランジスタがオンし、NMOSトランジスタはオフする。そのため、In1〜In3およびIp1〜Ip3は、各ローサイド側駆動回路およびハイサイド側駆動回路の高電位側の電圧を出力する。これに応じて、Mp1〜Mp3はオフし、Mn1〜Mn3はオンする。
【0051】
Mn1〜Mn3がオンするため、LXにはGND=0Vが供給され、Mn1とMn2の接続ノードおよびMn2とMn3の接続ノードは0Vとなる。このため、Dl1,Dl2,Dl3はオフする。In1の両端には、GND=0VとCl1に蓄積された電圧分高い電圧4.4Vが印加される。同様に、In2の両端には、Mn1とMn2の接続ノードの電圧0VとCl2に蓄積された電圧分高い電圧4.4Vが印加され、In3の両端にも0Vと4.4Vが印加される。したがって、Mn1〜Mn3がオンする条件が実現されている。
【0052】
一方、Mp1〜Mp3がオフするため、直列に接続されたCh1,Dh1,Ch2,Dh2,Ch3およびDh3の列の両端にはVdd=15VとGNDが印加される。これにより、列の間の接続ノードには、ダイオードの電圧降下分を除いた電圧を直列容量(同じ容量値)で電圧分割した電圧が生じる。具体的は、Ch1とDh1の接続ノードは10.6V、Dh1とCh2の接続ノードは10V、Ch2とDh2の接続ノードは5.6V、Dh2とCh3の接続ノードは5V、Ch3とDh3の接続ノードは0.6Vである。これに応じて、Mp1とMp2の接続ノードは10V、Mp2とMp3の接続ノードは5V、Ip1〜Ip3の出力は、それぞれ15V、10V、5Vになる。したがって、Mp1〜Mp3がオフする条件が実現されている。
【0053】
直列に接続されたCh1,Dh1,Ch2,Dh2,Ch3およびDh3の列の両端にはVdd=15VとGND=0Vが印加されるため、Ch1,Ch2およびCh3は、その両端の電圧で充電される。すなわち、Ch1,Ch2およびCh3の両端には、それぞれ4.4Vが印加されるので、4.4Vに充電される。
【0054】
以上説明したように、Mp1〜Mp3のハイサイド側スイッチングトランジスタとMn1〜Mn3のローサイド側スイッチングトランジスタが交互にオン・オフする。オフした側では、容量とダイオードの列の両端にVddとGNDが印加され、容量の充電が行われる。オンした側では、ダイオードがオフし、ハイサイド側およびローサイド側駆動回路は、スイッチングトランジスタのソース電圧と、それから容量に充電された電圧分変化させた電圧が印加される。このため、スイッチングトランジスタのゲートに印加される電圧が、容量に充電した分電圧以上にならず、過電圧の印加を確実に防止する。
【0055】
第1実施形態では、容量Ch1〜Ch3およびCl1〜Cl3を設けているが、追加するこれらの容量は、各スイッチングトランジスタのゲート容量の2〜3倍程度であればよい。そのため、全体としての面積は、これまでの回路の2.5〜4.5倍程度であり、
図4に示したバイアス容量を設ける場合に比べて大幅に少ない。
【0056】
図10は、第1実施形態のDCDCコンバータの変形例を示す図である。
第1実施形態では、容量Ch1〜Ch3およびCl1〜Cl3を充電するが、スイッチングのタイミング等が原因で、想定より大きな電圧に充電される場合が起こり得る。そこで、
図10の変形例では、容量Ch1〜Ch3およびCl1〜Cl3に並列に、ダイオード列Dha1〜Dha3およびDla1〜Dla3を設けている。ダイオード列の個数は、容量Ch1〜Ch3およびCl1〜Cl3に充電する電圧を、ダイオードの電圧降下分で除した値より大きな最小の整数である。
【0057】
図10の回路構成であれば、容量Ch1〜Ch3およびCl1〜Cl3の両端に想定より大きな電圧が印加される場合には、ダイオード列を介して電流が流れるので、容量Ch1〜Ch3およびCl1〜Cl3に想定より大きな電圧が充電されることはない。これによりスイッチングトランジスタMp1〜Mp3およびMn1〜Mn3のゲートに想定外の電圧が印加されて、破壊されるのを防止できる。
【0058】
図11は、第1実施形態のDCDCコンバータの問題点と別の変形例を示す図である。
スイッチング用のハイサイド側トランジスタMp1〜Mp3およびローサイド側トランジスタMn1〜Mn3のオン・オフタイミングは、現実的には理想的な場合から少しずれる。その結果、先にオフしたスイッチング用トランジスタのドレインとソース間に過電圧が印加される恐れがある。
図11の(A)は、Mp1およびMp2がオンの状態で、Mp3が先にオフした場合を示している。この場合、図示のように、Mp3の両端に約15Vの大きな電圧がかかり、Mp3が破壊されるおそれがある。
【0059】
そこで、
図11の(B)に示すように、スイッチング用のハイサイド側トランジスタMp1〜Mp3およびローサイド側トランジスタMn1〜Mn3に並列に、ダイオード列Dhb1〜Dhb3およびDlb1〜Dlb3を設ける。ダイオード列の個数は、Mp1〜Mp3およびMn1〜Mn3の両端に印加することが想定される電圧(ここでは5V)を、ダイオードの電圧降下分で除した値より大きな最小の整数である。
【0060】
これにより、上記のように、Mp1およびMp2がオンの状態で、Mp3が先にオフする場合でも、ダイオード列Dhb3を介して電流が流れるので、Mp3に大きな電圧が印加されることはない。これによりスイッチングトランジスタMp1〜Mp3およびMn1〜Mn3のドレインとソース間に想定外の電圧が印加されて、破壊されるのを防止できる。
【0061】
なお、
図10のDha1とDh1を合わせると、Dhb1と同じ作用を行う。これはほかのダイオード列についても同様である。したがって、
図10の変形例でも、
図11の(B)の変形例と同様の作用が行われる。
【0062】
図12は、第2実施形態のDCDCコンバータの回路図である。
第2実施形態のDCDCコンバータは、スイッチング用のハイサイド側トランジスタMp1〜Mp3をNMOSトランジスタMn6〜Mn4としたことが第1実施形態と異なる。この変更に伴い、Ip1〜Ip3をMn6〜Mn4に対応してIn6〜In4とするが、回路自体は同じものである。また、レベルシフタ44〜46をレベルシフタ47〜49に変更する。Mn4〜Mn6のゲートには、Mn1〜Mn3のゲートに印加する信号と逆相の信号(反転信号)を印加する必要がある。レベルシフタ47〜49は、
図8に示したレベルシフタと同じ回路構成を有するが、In4〜In6のゲートに出力する信号を逆相の信号としたことが、レベルシフタ44〜46と異なる。さらに、ハイサイド側における容量とダイオード列の接続順を変更している。
【0063】
第2実施形態のDCDCコンバータの動作は、第1実施形態の場合と同じであり、説明は省略する。
NMOSトランジスタはPMOSトランジスタに比べて小面積で実現されるので、第1実施形態に比べて面積が1/2程度に縮小する。
【0064】
図13は、第3実施形態のDCDCコンバータの回路図である。
第3実施形態のDCDCコンバータは、ダイオードDh1,Dh2,Dh3およびDl1,Dl2,Dl3の代わりにNMOSトランジスタSn1,Sn2,Sn3およびPMOSトランジスタSp1,Sp2,Sp3を接続したことが、第1実施形態と異なる。
【0065】
Sn1,Sn2,Sn3およびSp1,Sp2,Sp3のゲートには、Ip1,Ip2,Ip3およびIn1,In2,In3の出力が印加され、スイッチとして動作する。具体的には、Sn1〜Sn3は、Mp1〜Mp3がオンの時にはオフとなり、Mp1〜Mp3がオフの時にはオンとなる。Sp1〜Sp3は、Mn1〜Mn3がオンの時にはオフとなり、Mn1〜Mn3がオフの時にはオンとなる。これにより、Sn1〜Sn3およびSp1〜Sp3は、Dh1〜Dh3およびDl1〜Dl3と同様のスイッチング動作を行い、Ch1〜Ch3およびCl1〜Cl3の充電動作を交互に行う。
【0066】
図14は、第4実施形態のDCDCコンバータの充放電信号回路の回路図である。なお、PWM制御回路、PWM信号のインバータおよびレベルシフタは、図示を省略している。
第4実施形態の充放電信号回路は、以下の事項が第1実施形態と異なる。
【0067】
まず、VddとGNDの間に直列に接続された複数のダイオード列Dc1,Dc2,Dc3と、Dc1に並列に接続された容量C3と、を有する。Dc1とDc2の接続ノードは、Cl1とDl1の接続ノードに接続され、Dc2とDc3の接続ノードは、Ch1とDh1の接続ノードに接続される。Dc1とDc2の接続ノードの電圧は、トランジスタの耐圧を超えない範囲の任意の値、例えば、約Vdd/3=4.4Vに設定される。Dc2とDc3の接続ノード電圧は、Vddとの電圧差がトランジスタの耐圧を超えない範囲の任意の値、例えば、Vdd/3になるように、約2Vdd/3=10.6Vに設定される。これらの電圧設定は、Dc1,Dc2およびDc3のそれぞれのダイオード数により行う。
【0068】
さらに、Ch1とDh1の接続ノードとCh2とDh2の接続ノードの間にPMOSトランジスタSh2を接続し、Ch2とDh2の接続ノードとCh3とDh3の接続ノードの間にPMOSトランジスタSh3を接続する。さらに、Cl1とDl1の接続ノードとCl2とDl2の接続ノードの間にNMOSトランジスタSl2を接続し、Cl2とDl2の接続ノードとCl3とDl3の接続ノードの間にNMOSトランジスタSl3を接続する。Sh2のゲートにはIp2の出力が、Sh3のゲートにはIp3の出力が、Sl2のゲートにはIn2の出力が、Sl3のゲートにはIn3の出力が、それぞれ印加される。
【0069】
第4実施形態の充放電信号回路は、第1実施形態と同様に、LXにVddを出力する場合にはCl1〜Cl3の充電が行われ、LXに0Vを出力する場合にはCh1〜Ch3の充電が行われる。しかし、これだけでは十分に充電されない場合が生じるので、第4実施形態では、さらに、LXにVddを出力する場合にもCh1〜Ch3の充電が行われ、LXに0Vを出力する場合にもCl1〜Cl3の充電が行われる。
【0070】
第4実施形態の充放電信号回路では、Ch1およびIp1の両端には15Vと10.6Vが、Cl1およびIn1の両端には4.4Vと0Vが常に印加される。言い換えれば、Ch1とDh1の接続ノードの電圧は、常にDc2とDc3の接続ノードの電圧10.6Vである。また、Cl1とDl1の接続ノードの電圧は、常にDc1とDc2の接続ノードの電圧4.4Vである。
【0071】
図9の(A)に示すように、Mp1〜Mp3がオンの時、Dh1とCh2の接続ノードの電圧は15Vであり、Ch2とDh2の接続ノードの電圧は、Ch2の充電電圧4.4Vだけ降下した10.6Vである。したがって、Ch1とDh1の接続ノードの電圧とCh2とDh2の接続ノードの電圧は、共に10.6Vである。
【0072】
Sh2をオンして、Ch1とDh1の接続ノードとCh2とDh2の接続ノードを接続すると、Ch2の一方の端子にはMp1を介して15Vが、Ch2の他方の端子にはSh2を介して、Dc2とDc3の接続ノードの電圧10.6Vが印加される。これにより、Ch2は、4.4Vの電圧差に充電される。
【0073】
Ch3も同様であり、Mp1およびMp2を介して15Vが、Sh2およびSh3を介して10.6Vが印加され、4.4Vの電圧差に充電される。
なお、Mp1〜Mp3がオンの時、Mn1〜Mn3はオフであり、Sl2およびSl3はオフであり、Cl2およびCl3の充電は第1実施形態と同様に行われる。
【0074】
一方、
図9の(B)に示すように、Mn1〜Mn3がオンの時、Dl1とCl2の接続ノードの電圧は0Vであり、Cl2とDl2の接続ノードの電圧は、Cl2の充電電圧4.4Vだけ上昇した4.4Vである。したがって、Cl1とDl1の接続ノードの電圧とCl2とDl2の接続ノードの電圧は、共に4.4Vである。
【0075】
Sl2をオンして、Cl1とDl1の接続ノードとCl2とDl2の接続ノードを接続すると、Cl2の一方の端子にはMn1を介して0Vが、Cl2の他方の端子にはSl2を介して、Dc1とDc2の接続ノードの電圧4.4Vが印加される。これにより、Cl2は、4.4Vの電圧差に充電される。
【0076】
Cl3も同様であり、Mn1およびMn2を介して0Vが、Sl2およびSl3を介して4.4Vが印加され、4.4Vの電圧差に充電される。
なお、Mn1〜Mn3がオンの時、Mp1〜Mp3はオフであり、Sh2およびSh3はオフであり、Ch2およびCh3の充電は第1実施形態と同様に行われる。
【0077】
以上説明したように、第4実施形態では、LXにVddおよびGNDを出力する両方のステージで、Ch1〜Ch3およびCl1〜Cl3の充電が行われる。
【0078】
図15は、第5実施形態のDCDCコンバータの充放電信号回路の回路図である。
図15でも、PWM制御回路、PWM信号のインバータおよびレベルシフタは、図示を省略している。
第5実施形態の充放電信号回路は、以下の事項が第2実施形態と異なる。
【0079】
まず、VddとGNDの間に直列に接続された2つのダイオード列Dc1およびDc4と、Dc1に並列に接続された容量C3と、を有する。Dc1とDc
4の接続ノードは、Cl1とDl1の接続ノードに接続される。第4実施形態と同様に、Dc1とDc
4の接続ノードの電圧は、トランジスタの耐圧を超えない範囲の任意の値、例えば、約Vdd/3=4.4Vに設定される。この電圧設定は、Dc1およびDc4のそれぞれのダイオード数により行う。
【0080】
さらに、Cl1とDl1の接続ノードとCl2とDl2の接続ノードの間にNMOSトランジスタSl2を接続し、Cl2とDl2の接続ノードとCl3とDl3の接続ノードの間にNMOSトランジスタSl3を接続する。さらに、Cl3とDl3の接続ノードとCl4とDl4の接続ノードの間にPMOSトランジスタSm4を接続する。さらに、Cl4とDl4の接続ノードとCl5とDl5の接続ノードの間にNMOSトランジスタSm5を接続し、Cl5とDl5の接続ノードとCl6とDl6の接続ノードの間にNMOSトランジスタSm6を接続する。Sl2のゲートにはIn2の出力が、Sl3のゲートにはIn3の出力が、Sm4のゲートにはIn4の出力が、Sm5のゲートにはIn5の出力が、Sm6のゲートにはIn6の出力が、それぞれ印加される。
【0081】
第5実施形態の充放電信号回路は、第2実施形態と同様に、LXにVddを出力する場合には、Mn4〜Mn6がオンし、Mn1〜Mn3がオフするように、In4〜In6とIn1〜In3は逆の論理の出力を行う。前述のように、これはレベルシフタの出力を選択して行う。また、LXに0Vを出力する場合には、Mn1〜Mn3がオンし、Mn4〜Mn6がオフするように、In1〜In6が出力を行う。
【0082】
第5実施形態の充放電信号回路は、LXにVddを出力する場合にはCl1〜Cl3の充電が行われ、LXに0Vを出力する場合にはCl4〜Cl
6の充電が行われる。しかし、これだけでは十分に充電されない場合が生じるので、第5実施形態では、さらに、LXに0Vを出力する場合にもCl1〜Cl4の充電が行われ、LXにVddを出力する場合にもCl5およびCl6の充電が行われる。
【0083】
第5実施形態の充放電信号回路では、Cl1およびIn1の両端には4.4Vと0Vが常に印加される。言い換えれば、Cl1とDl1の接続ノードの電圧は、常にDc1とDc
4の接続ノードの電圧4.4Vである。
【0084】
Mn1〜Mn3がオンの時、Dl1とCl2の接続ノードの電圧は0Vであり、Cl2とDl2の接続ノードの電圧は、Cl2の充電電圧4.4Vだけ上昇した4.4Vである。したがって、Cl1とDl1の接続ノードの電圧とCl2とDl2の接続ノードの電圧は、共に4.4Vである。
【0085】
Sl2をオンして、Cl1とDl1の接続ノードとCl2とDl2の接続ノードを接続すると、Cl2の一方の端子にはMn1を介して0Vが、Cl2の他方の端子にはSl2を介して、Dc1とDc
4の接続ノードの電圧4.4Vが印加される。これにより、Cl2は、4.4Vの電圧差に充電される。
【0086】
Cl3も同様であり、Mn1およびMn2を介して0Vが、Sl2およびSl3を介して4.4Vが印加され、4.4Vの電圧差に充電される。このようにして、Cl2およびCl3の充電がより確実に行われる。
【0087】
第5実施形態では、Mn4がオフの時、Sm4はPMOSトランジスタであるためオンし、Cl4とDl4の接続ノードは、Sm4を介してCl3とDl3の接続ノードに接続され、Sl2およびSl3を介して4.4Vが印加される。言い換えれば、Cl4の一方の端子は、出力ノードLXに接続されているので、Mn1〜Mn3を介して0Vが、Cl4の他方の端子にはSl2、Sl3およびSm4を介して4.4Vが印加される。これにより、Cl4は、4.4Vの電圧差に充電される。もちろん、Dl6,Cl6,Dl5,Cl5,Dl4およびCl4の両端にVdd=15VとGND=0Vが印加されることによる充電も行われるが、Cl4をより確実に4.4Vに充電する。
【0088】
なお、Mn1〜Mn3がオンの時、Mn4〜Mn6はオフであり、Sm5およびSm6はオフであり、Cl5およびCl6の充電は、上記のように第1実施形態と同様に行われる。
【0089】
次に、Mn1〜Mn3がオフし、Mn4〜Mn6がオンすると、Cl2およびCl3の充電は、第4実施例と同様に行われる。第5実施形態では、さらに、Cl4に充電された電圧が、Sm5およびSm6を介して、Cl5およびCl6に印加される。
【0090】
Mn4〜Mn6がオンの時、Sm5およびSm6もオンする。しかし、Sm4はオフである。出力ノードLX、Dl4とCl5の接続ノードおよび
Dl5とCl6の接続ノードの電圧は15Vである。Cl4、C
l5およびCl6には、4.4Vが充電されているので、Cl4とDl4、Cl5とDl5およびCl6とDl6の接続ノードの電圧は、19.4Vである。Sm5およびSm6がオンしているので、Cl4,Cl5およびCl6の19.4Vの端子は共通に接続され、他方の端子には15Vが共通に印加される。上記のように、Cl4は十分に充電されているので、Cl5およびCl6の充電量が不足している時に、Cl4からCl5およびCl6の充電が行われる。これにより、Mn4〜Mn6が確実にオンする。
【0091】
以上説明したように、第5実施形態では、ローサイド側ではLXにVddおよびGNDを出力する両方のステージで、Cl1〜Cl3の充電が行われる。ハイサイド側のCl4の充電も両方のステージで行われる。ハイサイド側のCl5およびCl6は、LXにGND=0Vを出力する時に充電されると共に、LXにVdd=15Vを出力する時に、Cl4からの充電が行われる。
【0092】
図16は、第6実施形態のDCDCコンバータの充放電信号回路の回路図である。
図16では、PWM信号のインバータおよびレベルシフタのインバータは、図示を省略している。
【0093】
第6実施形態の充放電信号回路は、Vddと基準電圧Vrefを比較するコンパレータ50と、レベルアップシフタ51およびレベルダウンシフタ52と、を設けたことが、第4実施形態の充放電信号回路と異なる。
【0094】
コンパレータ50は、VddをVrefと比較し、Vref以上であれば、高電圧状態信号を出力する。高電圧状態信号に応じて、レベルシフタ41および46は、第4実施形態と同様の動作を行い、レベルアップシフタ51は、Mn2のゲート信号をSl2のゲートに印加し、レベルダウンシフタ52は、Mp2のゲート信号をSh2のゲートに印加する。これにより、
図14の第4実施形態の充放電信号回路と同じ動作を行う。
【0095】
VddがVrefよりも低くなると、コンパレータ50は、低電圧状態信号を出力する。低電圧状態信号に応じて、レベルシフタ41および46は、レベルシフタ42およびレベルシフタ45への信号の出力は第4実施形態と同様に行うが、Mn1およびMp1を常時オンにする信号を出力する。言い換えれば、レベルシフタ41は常時”H”レベルを出力し、レベルシフタ46は常時”L”レベルを出力する。
【0096】
さらに、低電圧状態信号に応じて、レベルアップシフタ51は、レベルシフタ41の出力(常時H)を選択してSl2のゲートに印加し、レベルダウンシフタ52は、レベルシフタ46の出力(常時L)を選択してSh2のゲートに印加する。
【0097】
したがって、低電圧状態信号の出力時には、Mn1、Mp1、Sl2およびSh2は、常時オン状態になり、ハイサイド側およびローサイド側で、スイッチングトランジスタを、事実上2段積みした状態となる。Vddが低下しているので、2段積みした状態でもトランジスタの耐圧の問題は発生せず、Mn1およびMp1のスイッチング動作を行わないので、消費電力が低減される。
【0098】
以上、実施形態を説明したが、各種の変形例が可能であるのはいうまでもなく、第1実施形態の変形例を第2から第6実施形態に適用しても、異なる実施形態の構成をほかの実施形態に適用してもよい。
【0099】
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものである。特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではなく、明細書のそのような例の構成は発明の利点および欠点を示すものではない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。