(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6088366
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】板バネカバー及びそれを備えた鉄道車両用台車
(51)【国際特許分類】
B61F 5/30 20060101AFI20170220BHJP
B61F 5/52 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
B61F5/30 A
B61F5/52
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-128781(P2013-128781)
(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公開番号】特開2015-3559(P2015-3559A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2016年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 武宏
(72)【発明者】
【氏名】中尾 俊一
(72)【発明者】
【氏名】奥村 泰史
(72)【発明者】
【氏名】安藤 慎太郎
【審査官】
畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−35536(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/008468(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/137257(WO,A1)
【文献】
米国特許第6338300(US,B1)
【文献】
米国特許第3806148(US,A)
【文献】
米国特許第1508954(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の車体を支持するための横ばりと、
車幅方向両側において車両長手方向に並んで配置された車輪と、
車幅方向左右の車輪をつなぎ、前記横ばりを挟んで車両長手方向の前方及び後方において車幅方向に沿って配置された前後一対の車軸と、
前記車軸の車幅方向両側に設けられて、前記車軸を回転自在に支持する軸受と、
前記軸受を収容する軸箱と、
前記横ばりの車幅方向両端部を支持した状態で車両長手方向に延びて、その車両長手方向両端部が前記軸箱に支持され、繊維強化樹脂で形成された板バネと、
前記板バネと前記軸箱の間に介在する非導電性の緩衝部材と、
前記板バネと前記横ばりの間に介在する非導電性の当接部材と、
前記板バネの少なくとも一部を覆い、前記車輪と電気的に接続される導電性の板バネカバーと、を備える、鉄道車両用台車。
【請求項2】
前記板バネカバーは、前記横ばり又は前記横ばりの近傍に位置する部材に取り付けられており、前記横ばりから前記板バネの車両長手方向端部まで延びている、請求項1に記載の鉄道車両用台車。
【請求項3】
前記板バネカバーは、車幅方向に延びる回転軸部材を介して前記横ばり又は前記横ばりの近傍に位置する部材に回動可能に取り付けられている、請求項2に記載の鉄道車両用台車。
【請求項4】
前記板バネカバーは前記板バネの車両長手方向端面を覆う端面部を少なくとも有し、前記端面部は前記板バネ又は前記板バネを支持する部材に係止するように構成されている、請求項3に記載の鉄道車両用台車。
【請求項5】
鉄道車両の車体を支持するための横ばりと、車幅方向両側において車両長手方向に並んで配置された車輪と、車幅方向左右の車輪をつなぎ、前記横ばりを挟んで車両長手方向の前方及び後方において車幅方向に沿って配置された前後一対の車軸と、前記車軸の車幅方向両側に設けられて、前記車軸を回転自在に支持する軸受と、前記軸受を収容する軸箱と、前記横ばりの車幅方向両端部を支持した状態で車両長手方向に延びて、その車両長手方向両端部が前記軸箱に支持され、繊維強化樹脂で形成された板バネと、前記板バネと前記軸箱の間に介在する非導電性の緩衝部材と、前記板バネと前記横ばりの間に介在する非導電性の当接部材とを備えた鉄道車両用台車に適用可能な導電性の板バネカバーであって、
一端が前記横ばり又は受け座を介して前記横ばりに取り付けられ、他端が前記板バネ又は前記板バネを支持する部材に係止され、前記車輪と電気的に接続される、板バネカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄道車両用台車において、繊維強化樹脂製の板バネの一部を覆う板バネカバー及びそれを備えた鉄道車両用台車に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼材によって製造されていた従来の側ばりに代えて、繊維強化樹脂製の板バネで車体を支持する鉄道車両の台車が開発されている(特許文献1参照)。この台車は、簡素かつ軽量であり、組立の作業性も良好である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO 2013/008468 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、鉄道車両に搭載された電気機器を駆動する電力が架線から供給される場合、電流は電気機器内を通ってレールへと流れる。このような鉄道車両において、何らかの原因により車体と台車に大きな電位差が生じると、車体から空気中を伝って台車へと電流が流れる「車体サージ」と呼ばれる現象が発生する。車体サージが発生した場合、板バネが導電性を有していたり、表面に鉄粉などの異物が付着していたりすると、板バネに電流が流れやすくなる。車体サージによって板バネに電流が繰り返し流れると、熱応力によって板バネの樹脂(マトリックス)に亀裂が発生し、また、微小放電によってマトリックスが熱分解を起こして炭化路(トラック)が発生するおそれがある。
【0005】
また、繊維強化樹脂は、成型時の温度近傍において熱による変形を受けやすいところ、ブレーキの作動時には、車輪・制輪子の温度は約100℃〜300℃になる。そのため、車輪・制輪子の近傍にある板バネは熱によって、強度や剛性が低下する可能性がある。さらに、板バネは地面に近い位置に配置されるため、飛石などで破損するおそれもある。
【0006】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、繊維強化樹脂製の板バネの破損を防止する板バネカバー及びそれを備えた鉄道車両用台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る鉄道車両用の台車は、鉄道車両の車体を支持するための横ばりと、車幅方向両側において車両長手方向に並んで配置された車輪と、車幅方向左右の車輪をつなぎ、前記横ばりを挟んで車両長手方向の前方及び後方において車幅方向に沿って配置された前後一対の車軸と、前記車軸の車幅方向両側に設けられて、前記車軸を回転自在に支持する軸受と、前記軸受を収容する軸箱と、前記横ばりの車幅方向両端部を支持した状態で車両長手方向に延びて、その車両長手方向両端部が前記軸箱に支持され、繊維強化樹脂で形成された板バネと、前記板バネと前記軸箱の間に介在する非導電性の緩衝部材と、前記板バネと前記横ばりの間に介在する非導電性の当接部材と、前記板バネの少なくとも一部を覆い、前記車輪と電気的に接続される導電性の板バネカバーと、を備える。
【0008】
かかる構成によれば、板バネカバーが板バネを覆うため、板バネの表面に鉄粉などの異物が付着しにくく、車体サージによる電流が板バネに流れるのを抑制することができる。また、ブレーキの作動時に発生する熱によって板バネが受ける熱応力を低減することができる。さらに、石などが板バネに衝突するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のとおり、本発明によれば、繊維強化樹脂製の板バネが破損するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る台車の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、鉄道車両用の台車について図を参照しながら説明する。以下では、全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同じ符号を付して、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は台車100の側面図であり、
図2は台車100の平面図である。
図1における紙面左右方向が車両長手方向であり、紙面に垂直な方向が車幅方向である。
図1及び
図2に示すように、台車100は、横ばり10と、車輪20と、車軸30と、軸受40と、軸箱50と、板バネ60と、板バネ受70と、板バネカバー80と、を備えている。
【0013】
横ばり10は、鉄道車両の車体101を支持する部材である。
図2に示すように、横ばり10は車幅方向に延びており、その上面には二次サスペンションとなる空気バネ11が取り付けられている。横ばり10はこの空気バネ11を介して車体101を支持している。横ばり10の車幅方向両端部分には、それぞれ板状の受け座12が向かい合うようにして設けられている。後述する板バネ60は、向かい合う受け座12の間を通るようにして配置されている。
【0014】
車輪20は、台車100の車幅方向両側において車両長手方向に並んで配置されている。本実施形態の車輪20は鉄製であり、車輪20へと流れた電流(帰線電流)はさらにレール102へと流れる。
【0015】
車軸30は、車幅方向に延びて、車幅方向左右の車輪20をつないでいる。車軸30は、横ばり10を挟んで車両長手方向の前方及び後方に配置されている。また、車軸30にはギヤボックス31を介してモータ32が接続されており、モータ32が駆動すると車軸30が回転し、台車100は走行する。なお、台車100がいわゆる電動台車ではなく付随台車であれば、モータ32及びギヤボックス31は設けられていない。
【0016】
軸受40は、車軸30を回転自在に支持する部材である。軸受40は、車軸30の車幅方向両側に設けられており、軸箱50に収容されている。
【0017】
軸箱50は、軸受40を収容する部材である。軸箱50は、台車100の車両長手方向中央に向かって延びる軸ばり51を有している。軸ばり51の先端は、向かい合う受け座12の間に位置しており、車幅方向に延びる心棒52を介して受け座12に取り付けられている。また、軸箱50の上面には、板バネ座53が設けられている。ここで、
図3は、板バネカバー80付近の拡大図である。
図3に示すように、板バネ座53は板バネ60を支持する支持面54を有しており、この支持面54は板バネ60の形状にあわせて台車100の車両長手方向中央に近い部分が低くなるよう傾斜している。
【0018】
板バネ60は、横ばり10を介して車体101を支持する部材であり、従来のコイルバネ(一次サスペンション)と側ばりの機能を兼ね備えている。板バネ60は車両長手方向に延びており、下面が円弧状に形成された当接部材61を介して横ばり10の車幅方向両端部を支持している。当接部材61は、CFRP(炭素繊維強化樹脂)と天然ゴムを積層して形成したものであり、非導電性を有している。また、板バネ60の車両長手方向両端部は板バネ受70及び緩衝部材71を介して軸箱50に支持されている。
【0019】
また、板バネ60は、側面視で下方に凸となる弓状であって、車両長手方向中央部分が車両長手方向両端部分よりも厚くなるように形成されている。板バネ60は、FRP(繊維強化樹脂)のみで形成してもよく、FRPと金属によって形成してもよい。本実施形態の板バネ60は、CFRPからなる上層及び下層と、CFRP及びGFRP(ガラス繊維強化樹脂)からなるコア層とからなる三層構造を有している。本実施形態では、板バネ60に炭素繊維が含まれるため、板バネ60は導電性を有している。
【0020】
板バネ受70は、板バネ60の車両長手方向両端部分において、板バネ60を受ける部材である。板バネ受70は、平面視で略矩形の形状を有しており、車幅方向内側、車幅方向外側、及び車両長手方向外側の辺の三辺に保護壁72が形成されている。また、板バネ受70は金属で形成されているが、その表面にはゴムシート(不図示)が敷かれている。さらに、板バネ受70と板バネ座53の間には緩衝部材71が設けられている。緩衝部材71は、金属板からなる層と天然ゴムからなる層を積層して形成されており、非導電性を有している。板バネ60は弾性変形しながら車体101を支持するが、その弾性変形による板バネ60の変位はこの緩衝部材71で吸収される。
【0021】
板バネカバー80は、板バネ60を覆って板バネ60を保護する部材である。板バネカバー80は、各板バネ60の車両長手方向両端をそれぞれ覆うよう台車100の4か所に配置されている。いずれの板バネカバー80も車両長手方向に延びている。また、板バネカバー80の基端部分(板バネカバー80のうち台車100の車両長手方向中央に近い部分)は、横ばり10の近傍に位置している。そのため、横ばり10と板バネカバー80との間には実質的に隙間は無い。さらに、板バネカバー80の先端部分(板バネカバー80の車両長手方向端部)は板バネ60の車両長手方向端部の近傍に位置している。以上のように板バネカバー80を配置することにより、板バネ60のうち車両長手方向中央部分は横ばり10によって覆われ、それ以外の部分は板バネカバー80によって覆われることになる。
【0022】
また、板バネカバー80の基端部分は、受け座12に設けられた回転軸部材81に取り付けられている。回転軸部材81は横ばり10の近傍に位置しており、車幅方向に延びる円柱状の部材である。板バネカバー80は、この回転軸部材81の中心軸を回動軸として回動することができる。この構成によれば、板バネ60が変形すると、板バネ60の変形に追随して板バネカバー80も回動することになる。そのため、板バネカバー80は板バネ60を常に覆うことができる。なお、回転軸部材81は受け座12ではなく、横ばり10に直接設けられていてもよい。また、本実施の形態では回動軸部材81を備えているが、板バネカバー80は回動しない構成としてもよい。かかる場合、板バネカバー80は、板バネ60の変形量を考慮して、板バネ60に対して所定のクリアランスを確保して取り付けられてもよい。
【0023】
また、板バネカバー80は、金属製であって導電性を有している。ただし、板バネカバー80の表面にアルミ箔等の導電性を有する物質を付着させれば、板バネカバー80は樹脂製であってもよい。すなわち、板バネカバー80は全体として導電性を有していれば、その材料は特に限定されない。
【0024】
また、板バネカバー80は、板バネ60の上面を覆う上面部82と、板バネ60の車幅方向内側面を覆う内側面部83と、板バネ60の車幅方向外側面を覆う外側面部84と、板バネ60の車両長手方向端面を覆う端面部85と、を有している。このうち内側面部83と外側面部84は面対照の関係にある。内側面部83と外側面部84は、板バネ受70や緩衝部材71と干渉しないように、板バネカバー80の先端付近では基端付近に比べて上下方向の寸法が小さくなるように形成されている。また、端面部85は、上面部82の先端から、台車100の車両長手方向中央へ戻るようにして、斜め下方に延びている。つまり、端面部85は、上面部82に対して垂直な方向に延びているのではなく、それよりも板バネカバー80の基端側へ傾斜するようにして延びている。図示はしていないが、端面部85が板バネ60、板バネ受70、又は緩衝部材71に係止するように構成すれば、板バネカバー80の回動が制限され、板バネカバー80が板バネ60から離れて過度に回動するのを防ぐことができる。
【0025】
次に、
図4を参照して台車100の電気系統について説明する。
図4は、本実施形態に係る台車100及び車体101の電気系統の概略図である。
図4に示すように、台車100は車軸30付近に接地装置90を備えている。接地装置90は、車体101から流れてきた電流を車軸30及び車輪20を介してレール102へ流す装置である。接地装置90の構成は特に限定されず、車軸30の表面に接地ブラシを接触させる方式のものであってもよく、車軸30の端面に接地ブラシを接触させる方式のものであってもよい。パンタグラフ103から流れた電流はインバータ104及び接地端子台105を介して接地装置90に流れる。また、台車100に搭載されたモータ32にはインバータ104から電流が流れ、その電流は接地装置90へと流れる。
【0026】
本実施形態では、接地装置90と板バネカバー80が電線91を介して電気的に接続されている。つまり、板バネカバー80は電気的に車軸30及び車輪20と接続されている。かかる構成によれば、車体サージによって車体101から板バネ60に向かって電流が流れようとしても、電流は板バネ60には達せず、板バネカバー80へと流れることになる。そして、板バネカバー80に流れた電流は接地装置90を介して車輪20へと向かう。なお、板バネ60は、非導電性の当接部材61を介して横ばり10に接するとともに、非導電性の緩衝部材71を介して軸箱50と接しているため、板バネ60は台車100内において他の部材と電気的に絶縁された状態にある。そのため、台車100の他の部分に電流が流れたとしても板バネ60に流れることはない。また、板バネカバー80は、板バネ60を覆っているため、板バネ60の表面に鉄粉などの異物が付着しにくく、板バネ60に電流が流れるのをより一層防ぐことができる。このように、本実施形態によれば、車体サージによって台車100に流れた電流は板バネ60を迂回して車軸30、車輪20、及びレール102へと順に流れることになる。よって、板バネ60が車体サージによって破損するのを防ぐことができる。
【0027】
また、本実施形態では、板バネカバー80が板バネ60を覆っているため、ブレーキ時に車輪や制輪子に生じる熱による影響を防ぐことができ、さらには石が衝突するなど物理的な衝撃からも板バネ60を守ることができる。
【0028】
以上のとおり、本実施形態に係る台車100は、鉄道車両の車体101を支持するための横ばり10と、車幅方向両側において車両長手方向に並んで配置された車輪20と、車幅方向左右の車輪20をつなぎ、横ばり10を挟んで車両長手方向の前方及び後方において車幅方向に沿って配置された前後一対の車軸30と、車軸30の車幅方向両側に設けられて、車軸30を回転自在に支持する軸受40と、軸受40を収容する軸箱50と、横ばり10の車幅方向両端部を支持した状態で車両長手方向に延びて、その車両長手方向両端部が軸箱50に支持され、繊維強化樹脂で形成された板バネ60と、板バネ60と軸箱50の間に介在する非導電性の緩衝部材71と、板バネ60と横ばり10の間に介在する非導電性の当接部材61と、板バネ60の少なくとも一部を覆い、車輪20と電気的に接続される板バネカバー80と、を備えている。
【0029】
このように、本実施形態に係る台車100は、板バネ60を覆う板バネカバー80を備えているため、板バネ60の表面に異物が付着しにくく、車体サージによる電流が板バネ60に流れるのを抑制することができる。さらに、板バネ60は台車100の他の部材と電気的に絶縁されることになるため電流が流れにくい。その上、板バネ60に電流が流れようとしても板バネ60を覆う板バネカバー80から車輪20へと電流が流れるため、板バネ60に電流が流れるのを防ぐことができる。また、ブレーキの作動時に発生する熱によって板バネ60が受ける影響を低減することができる。さらに、石などが板バネ60に衝突するのを防ぐことができる。よって、本実施形態によれば、板バネ60が破損するのを防ぐことができる。
【0030】
また、本実施形態の板バネカバー80は、横ばり10又は横ばり10の近傍に位置する部材(受け座12)に取り付けられており、横ばり10から板バネ60の車両長手方向端部まで延びている。そのため、板バネ60の車両長手方向中央は横ばり10で覆うことができ、それ以外の部分は板バネカバー80で覆うことができる。つまり、板バネ60の全体を横ばり10及び板バネカバー80で覆うことができる。
【0031】
また、本実施形態の板バネカバー80は、車幅方向に延びる回転軸部材81を介して横ばり10又は横ばり10の近傍に位置する部材(受け座12)に回動可能に取り付けられている。そのため、板バネ60が変形しても、板バネカバー80はその変形に追従して回動することができ、常に板バネ60を覆うことができる。
【0032】
また、本実施形態の板バネカバー80は、板バネ60の車両長手方向端面を覆う端面部85を少なくとも有し、端面部85は板バネ60又は板バネ60を支持する部材(板バネ受70及び緩衝部材71)に係止するように構成されていてもよい。かかる構成によれば、板バネカバー80の過度な回動を防止することができる。
【0033】
以上、本発明に係る実施形態について図を参照して説明したが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係る台車は、繊維強化樹脂製の板バネが破損するのを防ぐことができるため、鉄道車両の技術分野において有益である。
【符号の説明】
【0035】
10 横ばり
20 車輪
30 車軸
40 軸受
50 軸箱
60 板バネ
61 当接部材
70 板バネ受
71 緩衝部材
80 板バネカバー
81 回転軸部材
85 端面部
100 台車
101 車体