特許第6088384号(P6088384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6088384
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】トナーを製造するための連続プロセス
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/087 20060101AFI20170220BHJP
【FI】
   G03G9/08 381
【請求項の数】20
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-163756(P2013-163756)
(22)【出願日】2013年8月7日
(65)【公開番号】特開2014-48664(P2014-48664A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2016年8月4日
(31)【優先権主張番号】13/597,749
(32)【優先日】2012年8月29日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ティー・チャン
(72)【発明者】
【氏名】チー−ミン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ツェン・ライ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・イー・マング
(72)【発明者】
【氏名】ユージン・エフ・ヤング
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・アンダヤ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・レオナルド
【審査官】 高松 大
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0248119(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0316946(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0138738(US,A1)
【文献】 特開2011−052058(JP,A)
【文献】 特開2011−032471(JP,A)
【文献】 特開2011−028049(JP,A)
【文献】 特開2005−250299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを製造するための連続プロセスであって、
乾燥状態の複数のトナー成分をホッパーを介して押出機に一緒に供給することと;
前記トナー成分を押出機中で溶融混合することと;
乾燥した中和剤を溶融混合物が収容された前記押出機に供給することと;
前記押出機中で、中和された前記トナー成分からコアトナー粒子を形成することと;
前記押出機中で、前記コアトナー粒子をシェルラテックスでコーティングして、コアシェル構造を有するトナー粒子を形成することと;
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記プロセスは、コアシェル構造を有する前記トナー粒子を押出機から出して集めることを含む、請求項1に記載の連続プロセス。
【請求項3】
前記トナー粒子は、3.8μm〜10μmの粒径を有する、請求項2に記載の連続プロセス。
【請求項4】
前記プロセスが、凝集および融着を含まない、請求項2に記載の連続プロセス。
【請求項5】
前記押出機は、区画に分けられたバレルを備え、
前記溶融混合は、90℃〜120℃の温度で、100rpm〜350rpmのスクリュー速度を有する区画内で行われる、請求項1に記載の連続プロセス。
【請求項6】
前記トナー成分は、1〜30lb/hrの速度で前記押出機に供給される、請求項1に記載の連続プロセス。
【請求項7】
前記プロセスは、さらに、前記トナー成分を前記押出機に供給する前に、前記トナー成分を15分〜45分間、乾燥状態でブレンドし、
前記トナー成分を前記押出機に供給した後、前記トナー粒子を形成するプロセスの合計滞留時間は120秒〜180秒である、請求項1に記載の連続プロセス。
【請求項8】
前記トナー成分の前記溶融混合は、分布混合、分散混合、散逸的な混合、およびカオス混合から選択される混合形態を含む、請求項1に記載の連続プロセス。
【請求項9】
前記トナー成分の前記溶融混合は、前記散逸的な混合を含み、
前記中和剤の前記押出機への供給により、溶融混合された前記トナー成分に前記中和剤が分散混合される、請求項8に記載の連続プロセス。
【請求項10】
第2の分散または乳化を最初に行うことなく、前記トナー成分が粉末の形態で前記押出機に供給される、請求項1に記載の連続プロセス。
【請求項11】
前記シェルラテックスによる前記コアトナー粒子のコーティングは、前記押出機の特定の区画内で行われる、請求項1に記載の連続プロセス。
【請求項12】
前記トナー粒子を前記押出機から出した後、前記トナー粒子の粉砕を行わない、請求項2に記載の連続プロセス。
【請求項13】
水系化学トナーを製造する連続プロセスであって、
乾燥状態の複数のトナー成分をホッパーを介して押出機に一緒に供給することと;
前記トナー成分を押出機中で溶融混合することと;
乾燥した中和剤およびDI水を溶融混合物が収容された前記押出機に供給することと;
前記押出機中で、中和された前記トナー成分からコアトナー粒子を形成することと;
前記押出機中で、前記コアトナー粒子をシェルラテックスでコーティングして、コアシェル構造を有する水系化学トナー粒子を形成することと;
前記水系化学トナー粒子を押出機から出して集めることと;
を含む、プロセス。
【請求項14】
前記中和剤を前記押出機に供給することにより、溶融混合された前記トナー成分の油中水エマルションが生成する中和反応を開始させる、請求項13に記載の連続プロセス。
【請求項15】
前記トナー粒子は、3.8μm〜10μmの粒径を有する、請求項13に記載の連続プロセス。
【請求項16】
前記トナー粒子を前記押出機から出した後、前記トナー粒子の粉砕を行わない、請求項13に記載の連続プロセス。
【請求項17】
前記トナー成分が、樹脂、着色剤、およびワックスを含み、
第2の分散または乳化を最初に行うことなく、前記トナー成分を粉末の形態で押出機に一緒に供給することとを含む、請求項13に記載の連続プロセス。
【請求項18】
前記シェルラテックスによる前記コアトナー粒子のコーティングは、前記押出機の特定の区画内で行われる、請求項13に記載の連続プロセス。
【請求項19】
界面活性剤溶液を前記溶融混合物が収容された前記押出機に供給することをさらに含む、請求項1に記載の連続プロセス。
【請求項20】
界面活性剤溶液を前記溶融混合物が収容された前記押出機に供給することをさらに含む、請求項13に記載の連続プロセス。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トナー組成物を製造するプロセスに関する。さらに具体的には、本開示は、凝集および融着のプロセスを行わずに水系化学トナーを製造する連続プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
水相で化学トナーを調製するために、容器中で攪拌した溶融ワックスを高温乳化し、次いで、ホモジナイザー、例えば、Gaulinホモジナイザーで均一化することを含むバッチプロセスを使用してもよい。
【0003】
バッチプロセスは、長い処理時間を必要とし、大量のエネルギーを消費する。望ましい乳化度を得るため、またバッチプロセスを用いて調製したトナー粒子の均一性および粒径を確保するために、ホモジナイザーを複数回通過させることが必要な場合がある。しかし、複数回通過させた後であっても、望ましい乳化度、均一性、粒径を得ることは保証されない。バッチ反応が異なるため、バッチごとの一貫性をもたらすことおよびバッチをスケールアップすることは困難である。バッチプロセスが、温度、インペラーの速度などの観点で制御からはずれた場合、バッチ全体を中止しなければならないこともあるため、バッチプロセスは、常に注意することも必要である。
【0004】
したがって、改良されたトナー製造プロセス、つまり、トナー組成物を調製するための連続的な水系化学トナープロセスが必要である。それに加え、バッチ処理方法で用いられる時間およびエネルギーが増えることなく、品質、均一性および粒径を維持することを含む、製造される粒子をもっと制御するプロセスが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する実施形態は、ツインスクリュー押出機を用いて水系化学トナーを製造するための連続プロセスを含む。本明細書のプロセスは、従来の化学トナーを製造するバッチ処理プロセス工程、例えば、前混合、凝集、融着などの必要性を排除するだろう。本明細書に開示する連続的な水系化学トナープロセスの実施形態は、バッチ反応器およびインペラーの代わりにツインスクリュー押出機を使用する。このプロセスは、トナー成分を中央のホッパーを介して押出機に一緒に供給することと;一緒に供給したトナー成分を溶融混合することと;中和剤と界面活性剤溶液を押出機に加えることによって中和反応を開始させることとを含んでいてもよい。溶融混合したトナー成分を中和剤および界面活性剤溶液と反応させて油中水分散物を作成してもよく、この分散物がトナーのコア構造を形成してもよい。シェルラテックスを下流に加え、トナーのコア構造を保護してもよい。例えば、油中水エマルションが水中油エマルションに変化するような転相のために押出機にDI水を注入してもよく、凝集および融着の工程を行うことなく水系化学トナースラリーを生成する。したがって、このプロセスは、従来の化学トナーバッチ製造プロセスを単純化する。
【0006】
本実施形態をもっとよく理解するために、添付の図面を参照しなければならないだろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、ツインスクリュー押出機を用いた連続的な水系溶媒を含まない樹脂乳化の模式図である。
図2図2は、本明細書に開示したプロセスの実施形態を実施するために用いられる連続的な水系化学トナープロセスの模式図である。
図3図3は、実施例1で製造したトナーの粒径および粒度分布を示す。
図4図4は、実施例2で製造したトナーの粒径および粒度分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に開示する水系化学トナーを製造する連続プロセスの実施形態は、バッチ反応器で通常みられるような温度、剪断場、圧送能力などの大きな変動に起因するバッチごとの不一致性のような変動に打ち勝つだろう。バッチプロセスは、ひとかたまりで取り扱うため、バッチプロセスでのプロセス制御の故障により、大量の材料が無駄になる。水系化学トナーを製造するためのここに開示した連続プロセスは、厳しい制御下で少量のトナーを連続的に処理することによって、プロセス制御の故障という事象において、無駄を減らすだろう。
【0009】
それに加え、本プロセスの実施形態は、従来のトナーを製造するバッチプロセスのさまざまな工程を省く。例えば、本明細書に開示するプロセスの実施形態は、トナー成分を押出機に供給する前に、トナー成分の前処理分散物を調製する必要性を排除する。したがって、水系化学トナーを製造する連続プロセスは、従来のトナーを製造するバッチプロセスと比較して、もっと効果的に、もっと一貫性が大きく、安価にトナーを調製するだろう。開示されているプロセスは、トナーを「ちょうどよいときに」製造し得るため、在庫も減る。
【0010】
本明細書に開示する水系化学トナーを製造する連続プロセスの実施形態は、制御された速度でスクリュー押出機の供給区画に乾燥トナー成分を連続的に供給することを含んでいてもよい。乾燥トナー成分の連続供給は、外部または第2の分散工程を最初に行うことなく、スクリュー押出機の供給区画へとトナー成分を供給することを含んでいてもよい。つまり、最初に分散物を作成することなく、トナー成分を乾燥成分として押出機に直接供給してもよい。したがって、水系化学トナーを製造するための連続プロセスの実施形態は、あらかじめ作成しておいたラテックス、顔料またはワックスの分散物ではなく、商品の樹脂、顔料、ワックスを使用してもよい。したがって、トナーを製造する費用は、商品の材料からラテックス、顔料、ワックスおよび他の成分の分散物を作成することが高価な場合があるため、著しく下がるだろう。
【0011】
水系化学トナーを製造するための連続プロセスの実施形態は、乾燥トナー成分を押出機の上流で溶融混合した後の乳化、目標とするミクロンの大きさのトナー粒子を製造するために、温度、スクリュー速度、トナー成分の供給速度のような押出機の条件の調節とともに、押出機の下流において中和剤、界面活性剤、DI水の比率の調節を含んでいてもよい。この様式で、望ましい粒径を有する完全に配合したトナー粒子が、例えば、水系スラリーとして押出機を出る。次いで、この水系スラリーを粗い粒子をふるい分けるために濡れた状態でふるい、界面活性剤を洗い流すために洗浄し、水分を取り除くために乾燥させ、トナーの電荷を制御するために乾燥した添加剤ブレンドを加え、トナーの凝集をなくすために選別するような下流の単位操作へと供給してもよい。押出機の出口から望ましい粒径を有する完全に配合されたトナー粒子を得ることによって、あらかじめ混合、凝集、融着のバッチプロセスを行わなくてもよく、それによって、3つの大きなバッチ反応器が不要となる。バッチプロセスとは異なり、本明細書に開示するプロセスの実施形態は、プロセス中に任意の装置が故障を制御するような事象において押出機の内側に材料を含むことによって無駄を最小限にし、少量の材料を一度に取り扱うことによってエネルギーコストを下げ、溶媒を使用しないため、環境に優しい。
【0012】
本明細書に開示するトナーを製造するための連続プロセスの実施形態を使用し、樹脂、任意要素の着色剤、任意要素のワックス、他の任意要素の添加剤を含むトナー組成物を製造してもよい。以下に記載するように、これらの成分を所定の速度で乾燥成分としてツインスクリュー押出機に一緒に供給してもよい。この成分を押出機の上流部分で溶融混合してもよい。次いで、溶融混合した成分を押出機の下流部分で乳化してもよい。中和および安定化反応を誘発させてもよい。トナー組成物のトナー粒子が所望の粒径に達した後、トナー組成物を例えば水系スラリー中で洗浄システムへと圧送してもよい。
【0013】
トナーを製造するための連続プロセスの実施形態としては、限定されないが、以下のものを含んでいてもよい。例えば、それぞれのトナー成分材料を、個々のトナー成分供給部から中央の供給ホッパーに一緒に供給し、乾燥状態でブレンドした混合物を作成してもよい。それぞれのトナー成分材料の供給は、トナー配合物に基づいて独立して制御される。トナー成分材料の乾燥状態でブレンドした混合物を、中央の供給ホッパーを介して押出機に供給してもよい。乾燥状態でブレンドした混合物を押出機中で溶融混合し、溶融状態の混合物を製造してもよい。中和剤、界面活性剤、DI水を押出機の下流に加えてもよい。
押出機は、区画に分けられたバレルを有していてもよく、それぞれのバレル区画の温度および他のプロセスパラメーターを独立して制御してもよい。例えば、各バレルの加熱および冷却を独立して制御してもよい。押出機のスクリュー要素は、設計の容易さ、および特定の反応、適切な分散物(例えば、中和反応、油中水分散物、安定化、所望な粒径のトナー粒子(例えば、ミクロンの大きさのトナー粒子)を製造するための転相のために押出機の異なる区画で特定の混合力学を満たすように区画に分けられていてもよい。本明細書に開示するプロセスの実施形態は、押出機を例えば水系スラリーとして出て行く、所望な粒径(例えば、ミクロンの大きさの粒子)を有する完全に配合されたトナーを製造してもよい。
【0014】
上述のように、従来のバッチ化学トナープロセスは、分散物またはエマルション(例えば、顔料分散物、ラテックス分散物、ワックス分散物またはラテックスエマルション)を作成する第2または外部の処理工程を含む。高価な装置および高エネルギー消費に起因して、外部または第2の分散物の製造は高価になる場合がある。これらの高価な工程をなくすことは、高品質のトナーを製造するときに顕著な費用節約の機会となる。
【0015】
本明細書に開示する連続的な化学トナープロセスの実施形態は、例えば、押出機に成分を供給する前に着色剤分散物、樹脂分散物、ワックス分散物またはラテックスエマルションを作成する必要性を排除するだろう。その代わりに、トナーの成分(例えば、商品の樹脂、着色剤およびワックス)を独立して中央の供給ホッパーを介して押出機に供給して乾燥状態でブレンドした混合物を作成し、これを押出機に直接供給してもよい。つまり、前処理した分散物を必要とせず、個々のトナー成分材料を押出機に供給してもよい。
【0016】
さらに、中央の供給ホッパーに独立して供給される中和剤は、ビーズ形態の中和剤であってもよい。ビーズ形態の中和剤を押出機に直接加えてもよい。したがって、トナー成分材料のすべてが乾燥していてもよい(例えば、最初に分散物またはエマルションを作成することなく、押出機に供給してもよい)。
【0017】
図1は、乾燥状態の樹脂を押出機を通して水および界面活性剤を用いて処理する連続的な樹脂乳化プロセスの模式的な断面図である。その結果、化学トナーのための乳化凝集プロセスで使用するのに適したナノサイズのラテックス分散物になる。
【0018】
図2は、水系化学トナーを製造する連続プロセスの一実施形態の模式的な断面図である。このプロセスの実施形態は、複数のスクリュー押出機として示されるスクリュー押出機5を使用し、これに対し、それぞれの乾燥状態のトナー成分材料が供給されてもよい。この複数のスクリュー押出機は、ツインスクリュー押出機であってもよい。ツインスクリュー押出機を種々の用途で用いてもよい。例えば、ツインスクリュー押出機は、分布混合、分散混合、散逸的な混合(dissipative mixing)、カオス混合、圧送のような種類の混合を与えてもよい。ツインスクリュー押出機によって、商品の樹脂、顔料、ワックスを所定の速度でツインスクリュー押出機に一緒に供給し、押出機の上流部分で溶融混合し、押出機の下流で乳化することができる。
【0019】
押出機は、区画に分けられたバレルとスクリューとを備えていてもよい。上述のように、プロセスパラメーター(例えば、各区画の加熱および冷却)を独立して制御してもよく、連続した反応器として機能してもよい。スクリューは、特定のプロセス要求事項を満たすため、また、十分な混合を与えるためにスクリューの設計のために区画に分けられていてもよい。異なる種類のスクリュー要素を使用し、スクリューを設計してもよい。
【0020】
押出機の長さ/直径(L/D)の比率は、大きくしてもよく、小さくしてもよい。加えて、特定のプロセスのための所望な混合力学を満たすのに適したスクリューの設計によって、混合強度、剪断応力、剪断速度を調節してもよい。例えば、混合は、分布混合、分散混合、散逸的な混合、および/またはカオス混合であってもよい。スクリュー速度を変えることによって、充填容積、局所的な圧力、供給速度を制御してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、上の記載の個々の乾燥トナー成分材料15を中央の供給ホッパー25を介し、制御された速度でスクリュー押出機5に供給してもよい。スクリュー押出機5に供給した後、個々の乾燥トナー成分材料15は、以下に記載する押出機5の供給区画35Aを通り、以下に記載する区画35Bへと向かい、ここで、個々のトナー成分15を溶融混合するために熱と剪断とを加え、溶融状態を得てもよい。中和剤および界面活性剤溶液を以下に記載する第2の区画35Cに供給し、トナー成分材料を溶融混合した後に、押出機の中で溶融混合した溶融状態になっていてもよい。第2の区画35Cの中で、界面活性剤溶液中の水が中和反応の引き金となり、界面活性剤を用いて油中水の分散が起こる。界面活性剤を注入した後に、シェルラテックスを加えてもよい。押出機の下流にある異なる位置でDI水を加え、トナーの油中水分散物から水中油分散物への転相を促進し、押出機5の区画35Dを通るような水系トナースラリーを製造してもよい。押出成型の条件は、例えば、バレル温度が約90℃〜約120℃、例えば、約95℃〜約115℃、または約100℃〜約110℃;スクリュー速度が約100〜約350rpm、例えば、約110〜約340rpm、または約120〜約330rpm;供給速度が約5〜約15lb/hr、例えば、約7〜約12lb/hr、または約8〜約10lb/hrである。所望な粒径のトナー粒子、例えば、ミクロンの大きさのトナー粒子を得るように、押出成型の条件を調節してもよい。本明細書に開示するプロセスから製造されるトナー粒子は、直径が約3.8μm〜約10μm、例えば、約3.8μm〜約8μm、または約3.8μm〜約5μmであってもよい。
【0022】
望ましい粒径を有する完全に配合されたトナー(例えば、ミクロンの大きさのトナー)を、水系スラリーとして押出機(例えば、押出機5の末端45)で押出機から出してもよく、均一度および粒径について分析してもよい。
【0023】
押出機5は、スクリューシャフト10を備えており、スクリューを回転させるためにギアボックス(図示せず)を介してモーター(図示せず)に接続していてもよい。スクリュー速度は、モーターおよびギアボックスによって正確に制御されてもよい。バレル50は、スクリューの筐体を与え、異なる条件での連続プロセスの実施形態における混合、分散、乳化、均一化に使用してもよい。バレル50およびスクリュー10は、両方とも区画に分けられていてもよく、それぞれの区画を独立して所望な温度まで加熱し、制御してもよい。処理温度を制御することは、押出機5のスクリューが、特定の処理用途に適したスクリュー設計のために区画に分けられていてもよいため、非常に大きな質量を加熱し、制御するような大きなバッチの攪拌タンクとは異なり、もっと簡単であり、もっと正確であってもよい。複数の区画をそれぞれ約30℃〜約400℃、例えば、約40℃〜約350℃、または約50℃〜約300℃の温度まで加熱してもよい。バレルに沿って異なる温度プロフィールに設定する能力があれば、バッチプロセスでは達成できないような粒径および均一度のよりよい制御が可能になる。
【0024】
それに加え、押出機5を使用するプロセスを含めてもよく、連続プロセスの任意の部分の間に何らかのプロセス制御に故障があった場合は中止してもよい。連続プロセスの別の利点は、例えば、プロセス制御の故障の場合のように、押出機が押出機中に捨てるべき材料を含んでいるために処理中に捨てなければならない材料がほんの少量であることである。対照的に、バッチプロセスは、制限事項となる故障の場合、バッチ全体を捨てなければならない。
【0025】
上述のように、押出機5の供給区画35Aにあるホッパー25を介し、乾燥成分を押出機に加えてもよい。供給前に、トナー成分を約15分〜約45分かけて乾燥状態でブレンドしてもよい。乾燥状態の前トナー混合物を制御された速度で加えてもよい。供給速度は、約1〜約30lb/hr、例えば、約5〜約25lb/hr、または約10〜約20lb/hrであってもよい。
【0026】
供給区画35Aを通った後、前トナー混合物を区画35Bに通し、ここで、溶融混合によって溶融状態の混合物を得るために熱および剪断を加えてもよい。区画35Bを約90℃〜約120℃、例えば、約95℃〜約115℃、または約100℃〜約110℃の温度まで加熱してもよい。区画35B中で、低いバレル温度、高い剪断速度で高い剪断応力を加えて散逸的な混合(dissipative mixing)を誘発し、溶融混合およびすべての個々の成分の組み込み、中和剤の均一な分布を促進する。トナー成分を押出機に供給してからトナー(例えば、水系トナースラリー中のトナー)が押出機から出るまでの合計滞留時間は、約120秒〜約180秒である。
【0027】
溶融状態の混合物が、押出機5の第2の区画35Cに入り、そこで、押出機の下流で注入された中和剤および界面活性剤溶液と混合し、これが、溶融状態のトナー成分材料の中に溶融混合した中和剤との中和反応の引き金となってもよい。中和剤は、約0.1〜約2.5パーツパーハンドレッド(pph)、例えば、約0.2〜約2.0pph、または約0.5〜約1.5pphの量で存在していてもよい。界面活性剤は、約1〜約10pph、例えば、約1.5〜約9pph、または約2〜約8pphの量で存在していてもよい。この区画では、界面活性剤溶液を低圧で滞留時間が延びるように液滴で注入し、油中水分散物を作成してもよい。
【0028】
次いで、分散物をシェルラテックスでコーティングし、例えば、押出機の特定の部分にシェルラテックスを注入することによって、コア−シェルの形態を作成してもよい。後の日に、押出機を用いてシェルをトナーコアに塗布してもよい。
【0029】
図2に示すように、水相でのトナーの粒径のコロイド粒子の分散が最大限になるように、区画35Dにおいて押出機の下流部分に沿って注入したDI水(DIW)と粒子を混合してもよい。この区画では、トナーの水系分散物を安定化させて水系トナースラリーを得るために、油中水分散物から水中油分散物の転相が起こる。
【0030】
次いで、水系トナーの粒径のコロイドを押出機の圧送領域を通って圧送し、押出機5の末端45で洗浄するために集める。
【0031】
(樹脂)
本開示のトナーは、トナー中で使用するのに適した任意の樹脂を含んでいてもよい。また、このような樹脂は、任意の適切なモノマーから作られていてもよい。樹脂を作成するのに適したモノマーとしては、限定されないが、アクリロニトリル、ジオール、二酸、ジアミン、ジエステル、ジイソシアネート、これらの組み合わせなどが挙げられる。使用される任意のモノマーは、使用される特定のポリマーに依存して選択されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、樹脂を作成するために用いられるポリマーは、ポリエステル樹脂であってもよい。適切なポリエステル樹脂としては、例えば、スルホン酸化したもの、スルホン酸化していないもの、結晶性、アモルファス、これらの組み合わせなどを挙げることができる。ポリエステル樹脂は、直鎖、分枝鎖、これらの組み合わせなどであってもよい。
【0033】
トナーを作成するのに1種類、2種類またはそれ以上の樹脂を使用してもよい。2種類以上の樹脂を使用してもよい実施形態では、樹脂は、任意の適切な比率(例えば、重量比)であってもよく、例えば、約1%(第1の樹脂)/99%(第2の樹脂)〜約99%(第1の樹脂)/1%(第2の樹脂)、いくつかの実施形態では、約10%(第1の樹脂)/90%(第2の樹脂)〜約90%(第1の樹脂)/10%(第2の樹脂)であってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、本開示の適切なトナーは、アモルファス樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを含んでいてもよい。樹脂の重量比は、約98%のアモルファス樹脂/2%の結晶性樹脂〜約70%のアモルファス樹脂/30%の結晶性樹脂、いくつかの実施形態では、約90%のアモルファス樹脂/10%の結晶性樹脂〜約85%のアモルファス樹脂/25%の結晶性樹脂であってもよい。
【0035】
樹脂は、トナー組成物(つまり、外部添加剤を除いたトナー粒子)の約65〜約95重量%、または約70〜約90重量%、または約75〜約85重量%の量で存在していてもよい。
【0036】
結晶性樹脂は、任意要素の触媒存在下、ジオールと二酸またはジエステルとを反応させることによって作られるポリエステル樹脂であってもよい。結晶性ポリエステルを作成するために、適切な有機ジオールとしては、約2〜約36個の炭素原子を含む脂肪族ジオール、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、エチレングリコール、これらの組み合わせなどを挙げることができる。脂肪族ジオールは、例えば、樹脂の約40〜約60モル%、いくつかの実施形態では、約42〜約55モル%、または約45〜約53モル%の量になるように選択されてもよい。
【0037】
結晶性樹脂を調製するために選択される有機二酸またはジエステルの例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸およびメサコン酸、これらのジエステルまたは酸無水物、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。有機二酸は、例えば、樹脂の約40〜約60モル%、いくつかの実施形態では、約42〜約55モル%、または約45〜約53モル%の量になるように選択されてもよい。
【0038】
結晶性樹脂の例としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、これらの混合物などを挙げることができる。具体的な結晶性樹脂は、ポリエステル系、例えば、ポリ(エチレン−アジペート)、ポリ(プロピレン−アジペート)、ポリ(ブチレン−アジペート)、ポリ(ペンチレン−アジペート)、ポリ(ヘキシレン−アジペート)、ポリ(オクチレン−アジペート)、ポリ(エチレン−サクシネート)、ポリ(プロピレン−サクシネート)、ポリ(ブチレン−サクシネート)、ポリ(ペンチレン−サクシネート)、ポリ(ヘキシレン−サクシネート)、ポリ(オクチレン−サクシネート)、ポリ(エチレン−セバケート)、ポリ(プロピレン−セバケート)、ポリ(ブチレン−セバケート)、ポリ(ペンチレン−セバケート)、ポリ(ヘキシレン−セバケート)、ポリ(オクチレン−セバケート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(エチレン−アジペート)、ポリ(デシレン−セバケート)、ポリ(デシレン−デカノエート)、ポリ−(エチレン−デカノエート)、ポリ−(エチレン−ドデカノエート)、ポリ(ノニレン−セバケート)、ポリ(ノニレン−デカノエート)、ポリ(ノニレン−ドデカノエート)コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−セバケート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−デカノエート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−ドデカノエート)、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0039】
結晶性樹脂は、種々の融点を有していてもよく、例えば、約30℃〜約120℃、いくつかの実施形態では、約50℃〜約90℃であってもよい。結晶性樹脂は、数平均分子量(Mn)がゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される場合、例えば、約1,000〜約50,000、いくつかの実施形態では、約2,000〜約25,000であってもよく、重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される場合、例えば、約2,000〜約100,000、いくつかの実施形態では、約3,000〜約80,000であってもよい。結晶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、約2〜約6、いくつかの実施形態では、約3〜約4であってもよい。
【0040】
結晶性ポリエステルのために使用可能な重縮合触媒としては、チタン酸テトラアルキル、ジアルキルスズオキシド、例えば、ジブチルスズオキシド、テトラアルキルスズ、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジアルキルスズオキシド水酸化物、例えば、ブチルスズオキシド水酸化物、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズ、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。このような触媒を、例えば、ポリエステル樹脂を作成するために使用される出発物質の二酸またはジエステルを基準として約0.01モル%〜約5モル%の量で使用してもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、適切な結晶性樹脂は、以下の式を有するエチレングリコールとドデカン二酸およびフマル酸コモノマーの混合物とで構成されていてもよく、
【化1】

式中、bは、約5〜約2000、例えば、約7〜約1750、いくつかの実施形態では、約10〜約1500であってもよく;dは、約5〜約2000、例えば、約7〜約1750、いくつかの実施形態では、約10〜約1500であってもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、本開示のトナーに使用される適切な結晶性樹脂は、重量平均分子量が約10,000〜約100,000、例えば、約12,000〜約75,000、いくつかの実施形態では、約15,000〜約30,000であってもよい。
【0043】
アモルファス樹脂も、同様に、任意要素の触媒存在下、ジオールと二酸またはジエステルとの反応によって作られるポリエステル樹脂であってもよい。適切な触媒としては、上述の重合触媒を挙げることができる。
【0044】
有機二酸またはジエステルは、例えば、樹脂の約40〜約60モル%、いくつかの実施形態では、樹脂の約42〜約55モル%、いくつかの実施形態では、樹脂の約45〜約53モル%の量で存在していてもよい。
【0045】
選択される有機ジオールの量はさまざまであってもよく、例えば、樹脂の約40〜約60モル%、いくつかの実施形態では、樹脂の約42〜約55モル%、いくつかの実施形態では、樹脂の約45〜約53モル%の量で存在していてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、適切なアモルファス樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、これらの組み合わせなどを挙げることができる。使用可能なアモルファス樹脂の例としては、アルカリスルホン酸化ポリエステル樹脂、分岐したアルカリスルホン酸化ポリエステル樹脂、アルカリスルホン酸化ポリイミド樹脂、分岐したアルカリスルホン酸化ポリイミド樹脂を挙げることができる。例えば、コポリ(エチレン−テレフタレート)−コポリ(エチレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(プロピレン−テレフタレート)−コポリ(プロピレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(ジエチレン−テレフタレート)−コポリ(ジエチレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(プロピレン−ジエチレン−テレフタレート)−コポリ(プロピレン−ジエチレン−5−スルホイソフタレート)、コポリ(プロピレン−ブチレン−テレフタレート)−コポリ(プロピレン−ブチレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(プロポキシル化ビスフェノール−A−フマレート)−コポリ(プロポキシル化ビスフェノールA−5−スルホ−イソフタレート)の金属塩またはアルカリ塩のようなアルカリスルホン酸化ポリエステル樹脂は、いくつかの実施形態で有用であろう。
【0047】
いくつかの実施形態では、不飽和アモルファスポリエステル樹脂を樹脂として使用してもよい。例示的な不飽和アモルファスポリエステル樹脂としては、限定されないが、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(1,2−プロピレン フマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(1,2−プロピレン マレエート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(1,2−プロピレンイタコネート)、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。いくつかの実施形態では、コアに使用されるアモルファス樹脂は直鎖であってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、適切なアモルファスポリエステル樹脂は、以下の式を有するポリ(プロポキシル化ビスフェノールA コ−フマレート)樹脂であってもよく、
【化2】

式中、mは、約5〜約1000、例えば、約7〜約750、いくつかの実施形態では、約10〜約500であってもよい。
【0049】
樹脂として使用可能な直鎖プロポキシル化ビスフェノールAフマレート樹脂の一例は、SPARIIの商品名でResana S/A Industrias Quimicas(サンパウロ、ブラジル)から入手可能である。
【0050】
いくつかの実施形態では、本開示のトナーに使用される適切なアモルファス樹脂は、重量平均分子量が約10,000〜約100,000、例えば約12,000〜約75,000、いくつかの実施形態では、約15,000〜約30,000であってもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、コアトナー粒子に樹脂コーティングを塗布し、コアトナー粒子の上にシェルを作成してもよい。トナー樹脂を作成するのに適していると上に記載した任意の樹脂をシェルとして使用してもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、シェルを作成するために使用可能な樹脂としては、限定されないが、上述の結晶性ポリエステルおよび/またはコアとして使用するための上述のアモルファス樹脂を挙げることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ポリアルコキシル化ビスフェノールA−コ−テレフタル酸/ドデセニルコハク酸/トリメリット酸樹脂、ポリアルコキシル化ビスフェノールA−コ−テレフタル酸/フマル酸/ドデセニルコハク酸樹脂、またはこれらの組み合わせをポリドデカン二酸−コ−1,9−ノナンジオール結晶性ポリエステル樹脂と合わせてシェルを作成してもよい。複数の樹脂を任意の適切な量で使用してもよい。
【0053】
中和剤は、樹脂中の酸基を中和する任意の適切な中和剤であってもよい。例えば、適切な中和剤は、無機塩基剤および有機塩基剤の両方を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、単環化合物および多環化合物は、環の任意の炭素位置で置換されていなくてもよく、または置換されていてもよい。
【0054】
前トナー混合物中に樹脂の約0.001重量%〜50重量%、いくつかの実施形態では、樹脂の約0.01重量%〜約25重量%、いくつかの実施形態では、樹脂の約0.1重量%〜5重量%の量で存在し得るように、塩基剤を使用してもよい。
【0055】
上述のように、酸基を有する樹脂に中和剤を加えてもよい。このように、中和剤の添加によって、酸基を含む樹脂を含むエマルションのpHを約5〜約12、いくつかの実施形態では、約6〜約11まで上げてもよい。
【0056】
適切な着色した顔料、染料およびこれらの混合物を含め、任意の色の種々の適切な着色剤がトナーに存在していてもよい。トナーに望ましい色を付与するのに十分な量で、着色剤を前トナー混合物に加えてもよい。カラートナーの場合、顔料または染料は、例えば、トナー組成物の約2〜約10重量%、またはトナー組成物の約2〜約15重量%の量になるように選択されてもよい。黒色トナーの場合、顔料または染料は、トナー組成物の約3〜約10重量%の量で加えてもよい。
【0057】
例えば、約1,000〜約10,000の低分子量Mワックス(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、パラフィンワックス)が、例えば、融合剥離剤としてトナー組成物中に、またはトナー組成物表面に含まれていてもよい。
【0058】
他の添加剤(例えば、界面活性剤)をトナーに加えてもよい。1種類、2種類またはそれ以上の界面活性剤を使用してもよい。界面活性剤は、イオン系界面活性剤および非イオン系界面活性剤から選択されてもよい。アニオン系界面活性剤およびカチオン系界面活性剤が用語「イオン系界面活性剤」に包含される。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、トナー組成物の約0.01重量%〜約5重量%、例えば、約0.75重量%〜約4重量%、いくつかの実施形態では、約1重量%〜約3重量%の量で存在し得るように使用されてもよい。
【0059】
使用可能なアニオン系界面活性剤としては、サルフェートおよびスルホネート、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキルサルフェートおよびジアルキルベンゼンアルキル、酸(例えば、Aldrichから入手可能なアビエチン酸、第一工業製薬株式会社から得られるNEOGEN R(商標)、NEOGEN SC(商標)、これらの組み合わせなどを挙げることができる。他の適切なアニオン系界面活性剤としては、いくつかの実施形態では、DOWFAX(商標)2A1、The Dow Chemical Companyから入手可能なアルキルジフェニルオキシドジスルホネート、および/またはテイカ株式会社(日本)から入手可能な分岐したドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムTAYCA POWER BN2060を挙げることができる。いくつかの実施形態では、これらの界面活性剤と、上のいずれかのアニオン系界面活性剤の組み合わせを使用してもよい。
【0060】
カチオン系界面活性剤の例としては、通常は正に帯電しているもの、例えば、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ベンザルコニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミド、C12,C15,C17トリメチルアンモニウムブロミド、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、Alkaril Chemical Companyから入手可能なMIRAPOLおよびALKAQUAT(商標)、Kao Chemicalsから入手可能なSANIZOL(商標)(ベンザルコニウムクロリドなど、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0061】
次いで、本明細書に開示する連続プロセスから作られるトナー粒子を現像剤組成物に配合してもよい。例えば、トナー粒子を担体粒子と混合し、二成分系現像剤組成物を達成してもよい。担体粒子を種々の適切な組み合わせでトナー粒子と混合することができる。現像剤中のトナー濃度は、現像剤の約1重量%〜約25重量%、いくつかの実施形態では、約2重量%〜約15重量%であってもよい(が、これらの範囲からはずれた値を使用してもよい)。いくつかの実施形態では、トナー濃度は、担体の約90重量%〜約98重量%であってもよい(が、これらの範囲からはずれた値を使用してもよい)。しかし、異なるトナーおよび担体の割合を用い、所望の特性を有する現像剤組成物を達成してもよい。
【0062】
本開示にしたがって調製されたトナー組成物と混合するために選択可能な担体粒子の具体的な例としては、トナー粒子の電荷に対して反対の極性を有する電荷を摩擦電気によって与えることができる粒子が挙げられる。したがって、一実施形態では、担体粒子は、正に帯電したトナー粒子が担体粒子に付着するか、担体粒子を取り囲むように、負の極性を有するように選択されてもよい。
【0063】
コーティングとともに、またはコーティングを用いずに、選択した担体粒子を使用してもよい。いくつかの実施形態では、担体粒子は、その上にコーティングを有するコアを含んでいてもよく、コーティングは、帯電列に近い位置にはないポリマー混合物から作られてもよい。コーティングとしては、ポリオレフィン、フルオロポリマー、例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂、スチレンおよびアクリルおよびメタクリル(例えば、メタクリル酸メチル)ポリマーのターポリマー、フルオロポリマーまたはモノアルキルアミンまたはジアルキルアミンとのアクリル酸コポリマーおよびメタクリル酸コポリマー、および/またはシラン、例えば、トリエトキシシラン、テトラフルオロエチレン、他の既知のコーティングなどが挙げられる。例えば、ポリフッ化ビニリデンを含むコーティング、例えば、KYNAR 301F(商標)として入手可能、および/またはポリメタクリル酸メチルが挙げられ、例えば、重量平均分子量が約300,000〜約350,000のもの、例えば、Sokenから市販されているものを使用してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、ポリフッ化ビニリデンおよびポリメタクリル酸メチル(PMMA)を約30重量%〜約70重量%、いくつかの実施形態では、約40重量%〜約60重量%の比率で混合してもよい(が、これらの範囲からはずれた値を使用してもよい)。コーティングは、コーティング重量が、例えば、担体の約0.1重量%〜約5重量%、いくつかの実施形態では、約0.5重量%〜約2重量%であってもよい(が、これらの範囲からはずれた値を使用してもよい)。
【0065】
いくつかの実施形態では、得られるコポリマーが適切な粒径を保持している限り、PMMAは、場合により、任意の望ましいコモノマーと共重合してもよい。適切なコモノマーとしては、モノアルキルアミンまたはジアルキルアミン、例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジイソプロピルアミノエチルメタクリレート、またはt−ブチルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられる。担体粒子は、担体コアに対する接着性が機械的な衝突および/または静電引力によって起こるまで、コーティングされた担体粒子の重量を基準として約0.05重量%〜約10重量%、いくつかの実施形態では、約0.01重量%〜約3重量%の量で担体コアとポリマーとを混合することによって調製されてもよい(が、これらの範囲からはずれた値を使用してもよい)。
【0066】
担体コア粒子の表面にポリマーを塗布するために、例えば、カスケードロール混合、タンブリング、粉砕、振とう、静電粉末雲の噴霧、流動床、静電ディスク処理、静電カーテン、これらの組み合わせなどの種々の有効で適切な手段を使用してもよい。次いで、担体コア粒子およびポリマーの混合物を加熱し、ポリマーを溶融させ、担体コア粒子に融合させてもよい。次いで、コーティングされた担体粒子を冷却し、その後、所望の粒径になるように分級してもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、適切な担体としては、例えば、いくつかの実施形態では、約0.5重量%〜約10重量%、いくつかの実施形態では、約0.7重量%〜約5重量%(しかし、これらの範囲からはずれた値を使用してもよい)の導電性ポリマー混合物でコーティングされた粒径が約25〜約100μm、約50〜約75μmの鋼鉄製コアが挙げられる(が、これらの範囲からはずれた値を使用してもよい)。
【0068】
担体粒子を種々の適切な組み合わせでトナー粒子と混合してもよい。その濃度は、トナー組成物の約1重量%〜約20重量%であってもよい(が、これらの範囲からはずれた濃度範囲を得てもよい)。しかし、異なるトナーおよび担体の割合を用い、所望の特性を有する現像剤組成物を達成してもよい。
【0069】
本明細書に記載する実施形態は、凝集の制御および均一性を与え、望ましい粒径、粒度分布、形状因子が得られることが示された。
【0070】
本明細書に開示する連続プロセスから作られるトナーを静電(電子写真を含む)画像化方法またはゼログラフィー画像化方法で使用してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、磁気ブラシによる現像、一成分ジャンピング現像、ハイブリッドスカベンジレス現像(HSD)などを含め、任意の既知の種類の画像現像システムを画像現像デバイスで使用してもよい。
【0071】
画像化プロセスは、例えば、帯電要素、画像化要素、光伝導性要素、現像要素、転写要素、融合要素を備えるゼログラフィーデバイスを用いて画像を作成することを含む。いくつかの実施形態では、現像要素は、担体と本明細書に記載のトナー組成物とを混合することによって調製される現像剤を含んでいてもよい。ゼログラフィーデバイスとしては、高速プリンター、白黒高速プリンター、カラープリンターなどを挙げることができる。
【0072】
適切な画像現像方法(例えば、上述のいずれか1つの方法)によってトナー/現像剤を用いて画像が作成されたら、次いで、画像を受け入れる媒体(例えば、紙など)に画像を転写してもよい。いくつかの実施形態では、フューザーロール部材を用いて画像現像デバイスで画像を現像するときにトナーを用いてもよい。フューザーロール部材は、当業者の技術常識の範囲内にある接触型融合デバイスであり、ロールからの熱および圧力を使用し、画像を受け入れる媒体にトナーを融合させてもよい。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、画像を受け入れる基材の上で溶融させた後、または溶融中に、フューザー部材をトナーの融合温度よりも高い温度まで、例えば、約70℃〜約160℃、約80℃〜約150℃まで、他の実施形態では、約90℃〜約140℃まで加熱してもよい(が、これらの範囲からはずれた値を使用してもよい)。
【実施例】
【0073】
(実施例1)
実施例1は、D50粒径が4.3μmの小さな粒径のトナーを製造した。トナー成分およびあらかじめブレンドした樹脂(25.3%の高Mwアモルファスポリエステル、25.3%の低Mwアモルファスポリエステル、6.8%の結晶性ポリエステル)を1つのフィーダーに供給した。9%の顔料と5.5%のワックスをあらかじめブレンドしたものを他のフィーダーに加えた。樹脂、顔料、ワックスを中央のフィーダーを介して押出機に一緒に供給した。トナー成分を溶融混合して溶融した状態を作成した。
【0074】
1.0pphのNaOHビーズを押出機に供給し、次いで、界面活性剤溶液(注入点で4.8モル濃度)を95℃の制御された温度で、あらかじめブレンドした樹脂の供給速度6.5kg/hr、250rpmで供給し、化学トナーのコア構造を作成するための油中水分散物を作成した。トナーのコア構造を作成した後、28%のシェルラテックスを押出機に供給した。次いで、油中水エマルションから水中油エマルションへの転相を促進するために50℃でDI水を加え、水系化学トナースラリーを製造した。
実施例1のトナー粒子の粒度分布を表1および図3に示す。
【0075】
実施例2は、D50粒径が5.97μmのトナースラリーを製造した。あらかじめブレンドした樹脂(25.3%の高Mwアモルファスポリエステル、25.3%の低Mwアモルファスポリエステル、6.8%の結晶性ポリエステル)を1つのフィーダーに供給し、9%の顔料と5.5%のワックスをあらかじめブレンドしたものを他のフィーダーに加えた。樹脂、顔料、ワックスを中央のフィーダーを介して押出機に一緒に供給した。トナー成分を溶融混合して溶融した状態を作成した。
【0076】
0.8pphのNaOHビーズを押出機に供給し、次いで、界面活性剤溶液(注入点で3.2モル濃度)を95℃の制御された温度で、あらかじめブレンドした樹脂の供給速度6.5kg/hr、250rpmで供給し、化学トナーのコア構造を作成するための油中水分散物を得た。トナーのコア構造を作成した後、28%のシェルラテックスを押出機に供給した。次いで、油中水エマルションから水中油エマルションへの転相を促進するために60℃でDI水を加え、水系化学トナースラリーを製造した。
【0077】
図4は、この試行結果を示し、本明細書に開示するプロセスが、完全に配合したトナーについて、ミクロンサイズの粒子を与えることを示す。DIAM30およびDIAM32の場合、1.40μm〜3.17μmの体積率は17.41であり、5.00μm〜12.00μmの体積率は45.36であり、12.70μm〜42.00μmの体積率は15.23であった。実施例2のトナー粒子の粒度分布を表1および図4に示す。
【0078】
【表1】
図1
図2
図3
図4