(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記旋回用スプールのみが作動したとき、または前記旋回用スプールが作動し、かつ、前記第2マルチコントロールバルブに含まれる1つまたは複数のスプールが必要流量が少ない方向に作動したときに、前記パワーシフト圧が高くなって前記第1油圧ポンプおよび前記第2油圧ポンプの吐出流量が減少するように前記比例弁を制御するコントローラをさらに備える、請求項1に記載の油圧駆動システム。
前記旋回用スプールを含む監視用スプールを経由するように前記第1マルチコントロールバルブおよび前記第2マルチコントロールバルブに跨って延びるスプール作動検出ラインと、
前記スプール作動検出ラインが遮断されたことを検出するための監視用圧力検出器と、
前記旋回用スプールを作動させるパイロット回路のパイロット圧が立ったことを検出するための旋回用圧力検出器と、をさらに備え、
前記旋回用スプールは、作動したときでも前記スプール作動検出ラインを遮断しないように構成されている、請求項2に記載の油圧駆動システム。
前記旋回用スプールを含む監視用スプールを経由するように前記第1マルチコントロールバルブおよび前記第2マルチコントロールバルブに跨って延びるスプール作動検出ラインと、
前記旋回用スプールを作動させるパイロット回路のパイロット圧が立ったことを検出するための旋回用圧力検出器と、
前記旋回用スプール以外の前記監視用スプールを作動させるパイロット回路のいずれかにおいてパイロット圧が立ったことを検出するための非旋回用圧力検出器と、をさらに備え、
前記旋回用スプールは、作動したときに前記スプール作動検出ラインを遮断するように構成されている、請求項2に記載の油圧駆動システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に開示された油圧駆動システムにおいては、レギュレータの馬力制御用ピストンがスプールを押圧する方向を逆にすることが考えられる。換言すれば、各レギュレータを、自己側油圧ポンプおよび相手側油圧ポンプの吐出圧ならびに制御圧が高くなるほど自己側油圧ポンプの吐出流量を減少させるように構成する。このようにすれば、一方の油圧ポンプが無負荷のときに、他方の油圧ポンプの吐出流量を大きくできるというメリットがある。例えば、
図9(a)に、一方の油圧ポンプの性能特性を、当該油圧ポンプおよび他方の油圧ポンプに同じ負荷がかかったときを実線Aで示し、他方の油圧ポンプが無負荷の場合を一点鎖線Bで示す。上記のメリットは、例えば、バケット単独操作の場合に効果的である。
【0009】
しかしながら、旋回単独操作の場合は、旋回油圧モータにより旋回される旋回体が旋回し始める初期に、上記のメリットによって増大された吐出流量が過大となる。建設機械では旋回体の重量(厳密に言えば、イナーシャ)が大きいために、旋回加速時の初期には多くの流量は不要であるからである。旋回加速時に旋回モータに供給される余分な作動油は、旋回モータのリリーフ弁から逃される。このように、旋回単独操作の場合には、旋回加速時にエネルギーが無駄に消費されることになる。
【0010】
そこで、本発明は、旋回加速時のエネルギーの無駄な消費を抑制することができる油圧駆動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明の油圧駆動システムは、旋回油圧モータを具備する建設機械用の油圧駆動システムであって、エンジンにより駆動されて傾転角に応じた流量の作動油を吐出する第1油圧ポンプおよび第2油圧ポンプと、前記第1油圧ポンプと接続された、前記旋回油圧モータを制御するための旋回用スプールを含む第1マルチコントロールバルブと、前記第2油圧ポンプと接続された第2マルチコントロールバルブと、前記第1油圧ポンプの吐出圧およびパワーシフト圧に応じて、それらが高くなるほど前記第1ポンプの吐出流量が減少するように前記第1油圧ポンプの傾転角を調整する第1レギュレータと、前記第2油圧ポンプおよび前記第1油圧ポンプの吐出圧ならびに前記パワーシフト圧に応じて、それらが高くなるほど前記第2ポンプの吐出流量が減少するように前記第2油圧ポンプの傾転角を調整する第2レギュレータと、前記第1レギュレータおよび前記第2レギュレータに導かれる前記パワーシフト圧を設定する比例弁と、を備える、ことを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、第1油圧ポンプの吐出流量は、第2油圧ポンプの吐出圧に依存せず、第2油圧ポンプの負荷状態によって変わることはない。従って、旋回操作のときに、第1油圧ポンプの吐出流量が過大となることがなく、旋回加速時のエネルギーの無駄な消費を抑制することができる。しかも、第2油圧ポンプの吐出流量は従来と同様に第1油圧ポンプの吐出圧に依存するため、第2油圧ポンプ側では第1油圧ポンプが無負荷の場合に吐出流量を増大させることができる。
【0013】
上記の油圧駆動システムは、前記旋回用スプールのみが作動したとき、または前記旋回用スプールが作動し、かつ、前記第2マルチコントロールバルブに含まれる1つまたは複数のスプールが必要流量が少ない方向に作動したときに、前記パワーシフト圧が高くなって前記第1油圧ポンプおよび前記第2油圧ポンプの吐出流量が減少するように前記比例弁を制御するコントローラをさらに備えてもよい。この構成によれば、旋回単独操作またはそれに準じた操作のときに、旋回加速時のエネルギーの無駄な消費を効果的に抑制することができる。
【0014】
上記の油圧駆動システムは、前記旋回用スプールを含む監視用スプールを経由するように前記第1マルチコントロールバルブおよび前記第2マルチコントロールバルブに跨って延びるスプール作動検出ラインと、前記スプール作動検出ラインが遮断されたことを検出するための監視用圧力検出器と、前記旋回用スプールを作動させるパイロット回路のパイロット圧が立ったことを検出するための旋回用圧力検出器と、をさらに備え、前記旋回用スプールは、作動したときでも前記スプール作動検出ラインを遮断しないように構成されていてもよい。この構成によれば、簡単な構成で旋回単独操作を検出することができる。
【0015】
あるいは、上記の油圧駆動システムは、前記旋回用スプールを含む監視用スプールを経由するように前記第1マルチコントロールバルブおよび前記第2マルチコントロールバルブに跨って延びるスプール作動検出ラインと、前記旋回用スプールを作動させるパイロット回路のパイロット圧が立ったことを検出するための旋回用圧力検出器と、前記旋回用スプール以外の前記監視用スプールを作動させるパイロット回路のいずれかにおいてパイロット圧が立ったことを検出するための非旋回用圧力検出器と、をさらに備え、前記旋回用スプールは、作動したときに前記スプール作動検出ラインを遮断するように構成されていてもよい。この構成によれば、通常の構造の旋回用スプールを用いて旋回単独操作を検出することができる。
【0016】
前記建設機械は、バケット、アームおよびブームを備える油圧ショベルであり、前記第2マルチコントロールバルブは、前記監視用スプールとして、バケット用スプールとブーム用スプールを含み、前記バケット用スプールは、バケットアウトの方向に作動したときでも前記スプール作動検出ラインを遮断しないように構成されており、前記ブーム用スプールは、ブーム下げの方向に作動したときでも前記スプール作動検出ラインを遮断しないように構成されており、上記の油圧駆動システムは、前記バケット用スプールを作動させるパイロット回路におけるバケットアウト用ラインのパイロット圧が立ったことを検出するためのバケットアウト用圧力検出器と、前記ブーム用スプールを作動させるパイロット回路におけるブーム下げ用ラインのパイロット圧が立ったことを検出するためのブーム下げ用圧力検出器と、をさらに備えてもよい。この構成によれば、旋回操作だけでなく、必要流量が少ないバケットアウト操作およびブーム下げ操作も検出することができる。これにより、旋回とブーム下げの同時操作、旋回とバケットアウトの同時操作、旋回とブーム下げとバケットアウトの同時操作という頻繁に行われる操作のときに、旋回加速時のエネルギーの無駄な消費を効果的に抑制することができる。
【0017】
前記建設機械は、バケット、アームおよびブームを備える油圧ショベルであり、上記の油圧駆動システムは、前記旋回用スプールを含む監視用スプールを経由するように前記第1マルチコントロールバルブおよび前記第2マルチコントロールバルブに跨って延びるスプール作動検出ラインをさらに備えてもよい。さらに、前記第1マルチコントロールバルブと前記第2マルチコントロールバルブのどちらかは、前記監視用スプールとして、アーム用スプールを含み、前記第2マルチコントロールバルブは、前記監視用スプールとして、バケット用スプールとブーム用スプールを含み、前記旋回用スプール、前記アーム用スプール、前記バケット用スプールおよび前記ブーム用スプールは、作動したときに前記スプール作動検出ラインを遮断するように構成されており、前記旋回用スプール、前記アーム用スプール、前記バケット用スプールおよび前記ブーム用スプールを作動させるパイロット回路のそれぞれには、当該パイロット回路のパイロット圧が立ったことを検出するための圧力検出器が設けられていてもよい。この構成によれば、既存の建設機械に組み込まれた油圧駆動システムを、本発明の油圧駆動システムに安価に改造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、旋回加速時のエネルギーの無駄な消費を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
図1および
図2に、本発明の第1実施形態に係る油圧駆動システム1Aを示す。
図1は、後述する第1および第2マルチコントロールバルブ4A,4Bの内部構成を簡略的に示す油圧駆動システム1Aの全体的な油圧回路図であり、
図2は、第1および第2マルチコントロールバルブ4A,4Bから油圧アクチュエータまでの油圧回路図である。
【0021】
油圧駆動システム1Aは、旋回油圧モータを具備する建設機械用のものである。本実施形態では、建設機械が油圧ショベルである。ただし、油圧駆動システム1Aが対象とする建設機械は、必ずしも油圧ショベルである必要はなく、例えば油圧クレーンなどであってもよい。
【0022】
例えば、自走式の油圧ショベルは、走行装置、走行装置に対して旋回する運転室を含む本体、本体に対して俯仰するブーム、ブームの先端に揺動可能に連結されたアーム、アームの先端に揺動可能に連結されたバケット、を備える。すなわち、本体、ブーム、アームおよびバケットが、後述する旋回油圧モータ24により旋回される旋回体である。船舶に搭載される油圧ショベルでは、本体が船体に旋回可能に支持される。
【0023】
図2に示すように、油圧駆動システム1Aは、油圧アクチュエータとして、旋回油圧モータ24、バケットシリンダ25、ブームシリンダ26、アームシリンダ27を備える。また、油圧駆動システム1Aは、
図1に示すように、それらの油圧アクチュエータに作動油を供給する第1油圧ポンプ21および第2油圧ポンプ22を備える。第1油圧ポンプ21からは、第1マルチコントロールバルブ4Aを介して旋回油圧モータ24、ブームシリンダ26およびアームシリンダ27に作動油が供給され、第2油圧ポンプ22からは、第2マルチコントロールバルブ4Bを介してバケットシリンダ25、ブームシリンダ26およびアームシリンダ
27に作動油が供給される。
【0024】
より詳しくは、第1油圧ポンプ21は、第1供給ライン11により第1マルチコントロールバルブ4Aと接続されている。また、第1マルチコントロールバルブ4Aからは、当該第1マルチコントロールバルブ4Aを通過した作動油をタンクに導く第1センターブリードライン12が延びている。同様に、第2油圧ポンプ22は、第2供給ライン15により第2マルチコントロールバルブ4Bと接続されている。また、第2マルチコントロールバルブ4Bからは、当該第2マルチコントロールバルブ4Bを通過した作動油をタンクに導く第2センターブリードライン16が延びている。
【0025】
本実施形態では、第1油圧ポンプ21の吐出流量および第2油圧ポンプ22の吐出流量がネガティブコントロール(以下、「ネガコン」という)方式で制御される。すなわち、第1センターブリードライン12に絞り13が設けられているとともに、この絞り13をバイパスする通路上にリリーフ弁14が配置されている。同様に、第2センターブリードライン16に絞り17が設けられているとともに、この絞り17をバイパスする通路上にリリーフ弁18が配置されている。なお、リリーフ弁14,18及び絞り13,17は、それぞれ第1マルチコントロールバルブ4Aおよび第2マルチコントロールバルブ4Bに組み込まれていてもよい。
【0026】
第1マルチコントロールバルブ4Aおよび第2マルチコントロールバルブ4Bは、複数のスプールを含むオープンセンター型のバルブである。すなわち、マルチコントロールバルブ(4Aまたは4B)では、全てのスプールが中立位置にあるときに供給ライン(11または15)からセンターブリードライン(12または16)へ流れる作動油の量が制限されない一方、いずれかのスプールが作動して中立位置から移動すると、供給ライン(11または15)からセンターブリードライン(12または16)へ流れる作動油の量がそのスプールによって制限される。
【0027】
より詳しくは、
図2に示すように、第1マルチコントロールバルブ4Aは、旋回油圧モータ24を制御するための旋回用スプール41を含み、第2マルチコントロールバルブ4Bは、バケットシリンダ25を制御するためのバケット用スプール44を含む。また、第1マルチコントロールバルブ4Aおよび第2マルチコントロールバルブ4Bは、ブームシリンダ26を制御するためのブーム用スプール42,45と、アームシリンダ27を制御するためのアーム用スプール43,46をそれぞれ含む。第2マルチコントロールバルブ4Bのブーム用スプール45は第1速度を、第1マルチコントロールバルブ4Aのブーム用スプール42は前記ブーム用スプール45と合わせて第1速度よりも速い第2速度を実現するためのものである。なお、ブーム用スプール45とブームシリンダ26の間のヘッド側ラインに合流する、ブーム用スプール42からのライン上には逆止弁47が配置されている。第1マルチコントロールバルブ4Aのアーム用スプール
43は第1速度を、第2マルチコントロールバルブ4Bのアーム用スプール46は前記アーム用スプール
43と合わせて第1速度よりも速い第2速度を実現するためのものである。
【0028】
また、第1マルチコントロールバルブ4Aおよび第2マルチコントロールバルブ4Bのそれぞれには、全てのスプールを横断して供給ライン(11または15)とセンターブリードライン(12または16)とを接続する中央通路4aと、中央通路4aから各スプールへ作動油を導くパラレル通路4bと、各スプール(ブーム用スプール42を除く)からタンクへ作動油を導くタンク通路4cが形成されている。
【0029】
なお、スプール41〜46の位置は特に限定されるものではなく、
図2に示されている通りである必要はない。例えば、バケット用スプール44がブーム用スプール45の下流側であってアーム用スプール46の上流側に配置されていてもよい。また、自走式の油圧ショベルの場合には、第1マルチコントロールバルブ4Aおよび第2マルチコントロールバルブ4Bのそれぞれに、走行油圧モータを制御するための走行用スプールが含まれていてもよい。さらに、第1マルチコントロールバルブ4A若しくは第2マルチコントロールバルブ4Bのいずれか一方、又はその両方には、オプション用スプールが1個又は複数個含まれていてもよい。
【0030】
旋回用スプール41を作動させる旋回パイロット回路61は、旋回操作弁51から旋回用スプール41まで延びる右旋回ライン61Aおよび左旋回ライン61Bを含み、バケット用スプール44を作動させるバケットパイロット回路63は、バケット操作弁53からバケット用スプール44まで延びるバケットイン用ライン63Aおよびバケットアウト用ライン63Bを含む。また、ブーム用スプール42,45を作動させるブームパイロット回路64は、ブーム操作弁54からブーム用スプール42,45まで延びるブーム上げ用ライン64Aおよびブーム操作弁54からブーム用スプール45のみまで延びるブーム下げ用ライン64Bを含み、アーム用スプール43,46を作動させるアームパイロット回路62は、アーム操作弁52からアーム用スプール43,46まで延びるアームイン用ライン62Aおよびアームアウト用ライン62Bを含む。各操作弁51〜54は、操作レバーを含む。操作レバーが傾倒されると、パイロット回路(61〜64)における操作レバーが傾倒された方向のパイロットライン(61A〜64B)にパイロット圧が立ち、スプール(41〜46)が作動する。
【0031】
第1油圧ポンプ21および第2油圧ポンプ22は、エンジン10により駆動されて、傾転角に応じた流量の作動油を吐出する。本実施形態では、第1油圧ポンプ21および第2油圧ポンプ22として、斜板20の角度により傾転角が規定される斜板ポンプが採用されている。ただし、第1油圧ポンプ21および第2油圧ポンプ22は、斜軸の角度により傾転角が規定される斜軸ポンプであってもよい。
【0032】
第1油圧ポンプ21の傾転角は、第1レギュレータ3Aにより調整され、第2油圧ポンプ22の傾転角は、第2レギュレータ3Bにより調整される。油圧ポンプ(21または22)の傾転角が小さくなれば油圧ポンプの吐出流量が減少し、油圧ポンプの傾転角が大きくなれば油圧ポンプの吐出流量が増大する。
【0033】
第1レギュレータ3Aは、第1油圧ポンプ21の斜板20と連結されたサーボシリンダ31と、サーボシリンダ31を制御するためのスプール32と、スプール32を作動させるネガコン用ピストン33および馬力制御用ピストン34aと、を含む。
【0034】
サーボシリンダ31の小径側受圧室は、第1供給ライン11と連通している。スプール32は、サーボシリンダ31の大径側受圧室と第1供給ライン11とを連通させるラインの開口面積を制御するとともに、大径側受圧室とタンクとを連通させるラインの開口面積を制御する。サーボシリンダ31は、大径側受圧室が第1供給ライン11とより大きな開口面積で連通すると第1油圧ポンプ21の傾転角を小さくし、大径側受圧室がタンクとより大きな開口面積で連通すると第1油圧ポンプ21の傾転を大きくする。ネガコン用ピストン33および馬力制御用ピストン34aは、サーボシリンダ31の大径側受圧室を第1供給ライン11と連通させる方向、すなわち第1油圧ポンプ21の吐出流量を減少させる方向にスプール32を押圧する。
【0035】
第1レギュレータ3Aには、ネガコン用ピストン33にスプール32を押圧させるための受圧室が形成されている。ネガコン用ピストン33の受圧室には、第1センターブリードライン12における絞り13の上流側の圧力である第1ネガコン圧Pn1が導かれる。第1ネガコン圧Pn1は、中央通路4aに流れる作動油の、スプールによる制限度合によって定まり、第1ネガコン圧Pn1が大きくなればネガコン用ピストン33が進出して第1油圧ポンプ21の傾転角が小さくなり、第1ネガコン圧Pn1が小さくなればネガコン用ピストン33が後退して第1油圧ポンプ21の傾転角が大きくなる。
【0036】
馬力制御用ピストン34aは、第1油圧ポンプ21の吐出圧Pd1およびパワーシフト圧Psに応じて、それらが高くなるほど第1油圧ポンプ21の吐出流量を減少させるためのものである。具体的に、第1レギュレータ3Aには、馬力制御用ピストン34aにスプール32を押圧させるための2つの受圧室が形成されている。馬力制御用ピストン34aの2つの受圧室は、第1供給ライン11および後述するパワーシフトライン71Aと接続されており、それらの受圧室には、それぞれ、第1油圧ポンプ21の吐出圧Pd1およびパワーシフト圧Psが導かれる。
【0037】
なお、ネガコン用ピストン33と馬力制御用ピストン34aは、そのうちの第1油圧ポンプ21の吐出流量を制限する方(小さくする方)が優先してスプール32を押圧するように構成される。
【0038】
第2レギュレータ3Bは、馬力制御用ピストン34aの代わりに馬力制御用ピストン34bが採用された点を除いて、第1レギュレータ3Aと同様の構成を有している。すなわち、第2レギュレータ3Bは、ネガコン用ピストン33により、第2ネガコン圧Pn2に基づいて第2油圧ポンプ22の傾転角を調整する。
【0039】
馬力制御用ピストン34bは、第2油圧ポンプ22の吐出圧Pd2および第1油圧ポンプ21の吐出圧Pd1ならびにパワーシフト圧Psに応じて、それらが高くなるほど第2油圧ポンプ22の吐出流量を減少させるためのものである。具体的に、第2レギュレータ3Bには、馬力制御用ピストン34bにスプール32を押圧させるための3つの受圧室が形成されている。馬力制御用ピストン34bの3つの受圧室は、第2供給ライン15、第1供給ライン11およびパワーシフトライン71Aと接続されており、それらの受圧室には、それぞれ、第2油圧ポンプ22の吐出圧Pd2、第1油圧ポンプ21の吐出圧Pd1およびパワーシフト圧Psが導かれる。
【0040】
馬力制御用ピストン34aと馬力制御用ピストン34bの相違により、第1レギュレータ3Aにおける馬力制御用ピストン34aと反対側からスプール32を付勢するバネ35aと第2レギュレータ3Bにおける馬力制御用ピストン34bと反対側からスプール32を付勢するバネ35bの付勢力は、互いに異なっている。
【0041】
エンジン10により駆動される補助ポンプ23からの吐出圧は、パイロット圧供給ライン71を通じて比例弁72に一次圧として供給される。比例弁72からの制御圧はパワーシフトライン71Aへ出力され、パワーシフトライン71Aからは、一対の分岐ラインが、第1レギュレータ3Aにおける馬力制御用ピストン34aの受圧室の1つおよび第2レギュレータ3Bにおける馬力制御用ピストン34bの受圧室の1つまで延びている。
【0042】
比例弁72は、第1レギュレータ3Aおよび第2レギュレータ3Bに導かれるパワーシフト圧Psを設定するためのものである。
【0043】
比例弁72は、コントローラ8により制御される。コントローラ8は、演算装置や記憶装置などで構成される。本実施形態では、コントローラ8は、旋回用スプール41のみが作動したときに、パワーシフト圧Psが高くなって第1油圧ポンプ21および第2油圧ポンプ22の吐出流量が減少するように比例弁72を制御する。以下、その制御のための構成を説明する。
【0044】
旋回用パイロット回路61には、当該旋回パイロット回路61のパイロット圧が立ったこと、換言すれば旋回操作弁51の操作レバーが傾倒されたことを検出するための旋回用圧力検出器81が設けられている。旋回用圧力検出器81は、一対のパイロットラインである右旋回ライン61Aおよび左旋回ライン61Bのうちでパイロット圧が高い方のパイロット圧を選択的に検出できるように構成されている。本実施形態では、旋回用圧力検出器81として圧力センサが用いられている。ただし、旋回用圧力検出器81は、旋回パイロット回路61にパイロット圧が立ったときにオンまたはオフとなる圧力スイッチであってもよい。
【0045】
パイロット圧供給ライン71からは、スプール作動検出ライン73が分岐している。スプール作動検出ライン73は、監視用スプール40を経由するように第1マルチコントロールバルブ4Aおよび第2マルチコントロールバルブ4Bに跨って延びており、タンクにつながっている。
【0046】
本実施形態では、監視用スプール40は、第1マルチコントロールバルブ4Aの旋回用スプール41と、第2マルチコントロールバルブ4Bのバケット用スプール44、ブーム用スプール45およびアーム用スプール46である。ただし、スプール作動検出ライン73が監視用スプール40を経由する順番は特に限定されないことは言うまでもない。また、監視用スプール40としては、第2マルチコントロールバルブ4Bのブーム用スプール45およびアーム用スプール46の代わりに、第1マルチコントロールバルブ4Aのブーム用スプール42およびアーム用スプール43が採用されてもよい。さらに、第1マルチコントロールバルブ4A又は第2マルチコントロールバルブ4Bがオプション用スプールを含む場合は、そのオプション用スプールが監視用スプール40に含まれてもよい。
【0047】
図2に示すように、旋回用スプール41は、中立位置に位置するときでも作動したとき(中立位置から移動したとき)でも、スプール作動検出ライン73を遮断しないように構成されている。一方、旋回用スプール以外の監視用スプール40は、中立位置に位置するときにはスプール作動検出ライン73を遮断しないが、作動したとき(中立位置から移動したとき)にスプール作動検出ライン73を遮断するように構成されている。すなわち、スプール作動検出ライン73は、旋回操作弁51のみが操作されたときには遮断されないが、バケット操作弁53、ブーム操作弁54およびアーム操作弁52のいずれかが操作されると遮断される。
【0048】
スプール作動検出ライン73の上流側の部分には、監視用スプールが全て中立のときでも、パイロット圧供給ライン71の圧力が低下し過ぎないようにするための絞り74が設けられている。また、スプール作動検出ライン73には、絞り74と第2マルチコントロールバルブ4Bの間に、スプール作動検出ライン73が遮断されたことを検出するための監視用圧力検出器75が設けられている。本実施形態では、監視用圧力検出器75として圧力センサが用いられている。ただし、監視用圧力検出器75は、スプール作動検出ライン73が遮断されたときにオンまたはオフとなる圧力スイッチであってもよい。
【0049】
コントローラ8は、旋回用圧力検出器81および監視用圧力検出器75により、旋回操作弁51のみが操作されたと判定される場合は、パワーシフト圧Psが高くなるように比例弁72を制御する。これにより、第1油圧ポンプ21および第2油圧ポンプ22の吐出流量が減少する。その結果、旋回加速時に旋回油圧モータ24に供給される作動油の量を抑えて、エネルギーの無駄な消費を抑制することができる。なお、コントローラ8は、旋回の加速期間が過ぎれば、パワーシフト圧Psを元に戻すように比例弁72を制御してもよい。
【0050】
ここで、
図9(b)に、パワーシフト圧Psを上昇させたときの第1油圧ポンプ21の性能特性を二点鎖線Cで示す。なお、図中の実線Aは、パワーシフト圧Psが低いとき、すなわちパワーシフト圧を上昇させる前の第1油圧ポンプ21の性能特性を示す。
図9(b)から、旋回単独操作の場合にパワーシフト圧Psを上昇させることによって、第1油圧ポンプ21の吐出流量が低く抑えられることが分かる。
【0051】
しかも、本実施形態では、旋回パイロット回路61に旋回用圧力検出器81を設けているので、第1供給ライン11に圧力検出器を設ける場合に比べて、安価な構成で上記の効果を得ることができる。また、本実施形態では、パワーシフト圧Psをレギュレータによる馬力制御に重畳して利用しているため、簡単な制御ロジックで、旋回単独操作の場合に第1油圧ポンプ21の吐出流量の増加が抑えられるという効果を得ることができる。更に、旋回加速の後半に進むにつれて旋回
油圧モータ24に作用する負荷圧力が低下し、旋回速度を上昇させるには多くの流量が必要になるが、本実施形態では、パワーシフト圧Psの作用によって旋回単独操作時の第1油圧ポンプ21の吐出流量を一時的に減少させるものの、旋回加速の後半においては、第1油圧ポンプ21の吐出圧Pd1の低下に伴い、上述するレギュレータによる馬力制御の作用によって、第1油圧ポンプ21の吐出流量が自動的に増大する。これにより、旋回
油圧モータ24には各旋回段階での負荷に応じた十分な流量の作動油が供給されるので、旋回時の操作フィーリングを損なうこともない。
【0052】
さらには、旋回用スプール41が作動してもスプール作動検出ライン73を遮断しないように構成されているので、旋回パイロット回路61とスプール作動検出ライン73に圧力検出器を設けるだけで、旋回操作弁51のみが操作されたことを検出できる。すなわち、簡単な構成で旋回単独操作を検出することができる。
【0053】
また、本実施形態では、第2油圧ポンプ22の吐出流量は従来と同様に第1油圧ポンプ21の吐出圧Pd1に依存するため、第2油圧ポンプ22側では第1油圧ポンプ21が無負荷の場合(例えば、バケット単独操作の場合)に吐出流量を増大させることができる。
【0054】
<変形例>
前記実施形態では、旋回用スプール41のみが作動したときにパワーシフト圧Psが高くなるように比例弁72が制御されるが、旋回用スプール41のみが作動したときでも比例弁72が制御されずに、パワーシフト圧Psが一定に維持されてもよい。すなわち、
図1に示す第1レギュレータ3Aの構成では、第1油圧ポンプ21の吐出流量は、第2油圧ポンプ22の吐出圧Pd2に依存せず、第2油圧ポンプ22の負荷状態によって変わることはない。換言すれば、第2油圧ポンプ22の負荷状態が変わっても
図9(b)の実線Aは不変である。このため、パワーシフト圧Psが一定に維持されても、旋回操作のときに第1油圧ポンプ21の吐出流量が過大となることがなく、旋回加速時のエネルギーの無駄な消費を抑制することができる。ただし、前記実施形態のように、旋回用スプール41のみが作動したときにパワーシフト圧Psが高くなれば、旋回単独操作のときに旋回加速時のエネルギーの無駄な消費を効果的に抑制することができる。なお、旋回操作のときにパワーシフト圧Psを一定に維持するという変形例は、後述する第2〜第4実施形態にも適用可能である。
【0055】
また、スプール作動検出ライン73は必ずしも旋回用スプール41を経由する必要はなく、旋回用スプール41に対するポート数を6としてもよい。この場合、スプール作動検出ライン73が第2マルチコントロールバルブ4Bのみに設けられていてもよい。
【0056】
(第2実施形態)
次に、
図3および
図4を参照して、本発明の第2実施形態に係る油圧駆動システムを説明する。なお、本実施形態ならびに後述する第3および第4実施形態において、第1実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0057】
本実施形態では、
図4に示すように、旋回用スプール41が、作動したときにスプール作動検出ライン73を遮断するように構成されている。すなわち、旋回操作弁51、バケット操作弁53、ブーム操作弁54およびアーム操作弁52(操作弁51〜54については
図1参照)のいずれが操作されても、スプール作動検出ライン73が遮断される。
【0058】
このため、旋回操作弁51のみが操作されたことを検出するための構成として、
図3に示すように、旋回用スプール41以外の監視用スプール40を作動させるパイロット回路62〜64のいずれかにおいてパイロット圧が立ったことを検出するための非旋回用圧力検出器82が設けられている。非旋回用圧力検出器82は、パイロット回路62〜64の全てのパイロットライン(62A〜64B)のうちでパイロット圧が最も高いもののパイロット圧を選択的に検出できるように構成されている。本実施形態では、非旋回用圧力検出器82として圧力センサが用いられている。ただし、非旋回用圧力検出器82は、パイロット回路62〜64のいずれかにおいてパイロット圧が立ったときにオンまたはオフとなる圧力スイッチであってもよい。
【0059】
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、コントローラ8が、旋回用スプール41のみが作動したときに、パワーシフト圧Psが高くなって第1油圧ポンプ21および第2油圧ポンプ22の吐出流量が減少するように比例弁72を制御する。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
また、本実施形態では、旋回用スプール41が作動したときにスプール作動検出ライン73を遮断するように構成されているので、通常の構造の旋回用スプールを用いて旋回単独操作を検出することができる。換言すれば、既存の建設機械に組み込まれた油圧駆動システムを、本実施形態の油圧駆動システムに安価に改造することができる。
【0061】
(第3実施形態)
次に、
図5および
図6を参照して、本発明の第3実施形態に係る油圧駆動システム1Bを説明する。本実施形態では、旋回操作だけでなく、必要流量が少ないバケットアウト操作およびブーム下げ操作も検出することができる構成が採用されている。そして、コントローラ8は、旋回用スプール41のみが作動したときだけでなく、旋回用スプール41が作動し、かつ、バケット用スプール44および/またはブーム用スプール45が必要流量が少ない方向(バケットアウトおよび/またはブーム下げの方向)に作動したときも、パワーシフト圧Psが高くなって第1油圧ポンプ21および第2油圧ポンプ22の吐出流量が減少するように比例弁72を制御する。
【0062】
具体的には、
図6に示すように、バケット用スプール44が、バケットアウトの方向に作動したときでもスプール作動検出ライン73を遮断しないように構成されている。また、バケットパイロット回路63には、バケットアウト用ライン63Bのパイロット圧が立ったことを検出するためのバケットアウト用圧力検出器83が設けられている。本実施形態では、バケットアウト用圧力検出器83として圧力センサが用いられている。ただし、バケットアウト用圧力検出器83は、バケットアウト用ライン63Bのパイロット圧が立ったときにオンまたはオフとなる圧力スイッチであってもよい。
【0063】
さらには、ブーム用スプール45が、ブーム下げの方向に作動したときでもスプール作動検出ライン73を遮断しないように構成されている。また、ブームパイロット回路64には、ブーム下げ用ライン64Bのパイロット圧が立ったことを検出するためのブーム下げ用圧力検出器84が設けられている。本実施形態では、ブーム下げ用圧力検出器84として圧力センサが用いられている。ただし、ブーム下げ用圧力検出器84は、ブーム下げ用ライン64Bのパイロット圧が立ったときにオンまたはオフとなる圧力スイッチであってもよい。
【0064】
そして、コントローラ8は、次の4つの場合に、パワーシフト圧Psが高くなるように比例弁72を制御する。これにより、第1油圧ポンプ21および第2油圧ポンプ22の各々のポンプの吐出圧に対する吐出流量が減少する。その結果、旋回加速時に旋回油圧モータ24に供給される作動油の量を抑えて、エネルギーの無駄な消費を抑制することができる。なお、コントローラ8は、旋回の加速期間が過ぎれば、パワーシフト圧Psを元に戻すように比例弁72を制御してもよい。
【0065】
上述した4つの場合の1つ目は、旋回用圧力検出器81によるパイロット圧検出ならびに監視用圧力検出器75、バケットアウト用圧力検出器83およびブーム下げ用圧力検出器84の非検出によって、旋回操作弁51のみが操作されたと判定される場合である。2つ目は、旋回用圧力検出器81およびバケットアウト用圧力検出器83によるパイロット圧検出ならびに監視用圧力検出器75およびブーム下げ用圧力検出器84の非検出によって、旋回操作弁51が操作され、かつ、バケット操作弁53がバケットアウト方向に操作されたと判定される場合である。3つ目は、旋回用圧力検出器81およびブーム下げ用圧力検出器84によるパイロット圧検出ならびに監視用圧力検出器75およびバケットアウト用圧力検出器83の非検出によって、旋回操作弁51が操作され、かつ、ブーム操作弁54がブーム下げ方向に操作されたと判定される場合である。4つ目は、旋回用圧力検出器81、バケットアウト用圧力検出器83およびブーム下げ用圧力検出器84によるパイロット圧検出ならびに監視用圧力検出器75の非検出によって、旋回操作弁51が操作され、かつ、バケット操作弁53がバケットアウト方向に操作され、かつ、ブーム操作弁54がブーム下げ方向に操作されたと判定される場合である。
【0066】
本実施形態の構成によれば、旋回単独操作のときだけでなく、旋回とブーム下げの同時操作、旋回とバケットアウトの同時操作、旋回とブーム下げとバケットアウトの同時操作という頻繁に行われる操作のときにも、旋回加速時のエネルギーの無駄な消費を効果的に抑制することができる。
【0067】
<変形例>
バケットアウト操作およびブーム下げ操作は、必ずしも双方が検出可能である必要はなく、いずれか一方が検出可能であってもよい。
【0068】
また、第2実施形態のように、
図7に示す非旋回用圧力検出器82を採用すれば、旋回用スプール41、バケット用スプール44およびブーム用スプール45を、
図4に示すような通常の構造(作動したときにスプール作動検出ライン73を遮断する構造)に変更することができる。この場合、本実施形態ではバケットアウト用圧力検出器83およびブーム下げ用圧力検出器84が設けられているため、
図7に示すように、非旋回用圧力検出器82が選択的にパイロット圧を検出するパイロットラインからブーム下げ用ライン64Bおよびバケットアウト用ライン63Bが除かれていてもよい。
【0069】
(第4実施形態)
次に、
図8を参照して、本発明の第4実施形態に係る油圧駆動システム1Cを説明する。本実施形態では、全ての監視用スプール40が
図4に示すような通常の構造(作動したときにスプール作動検出ライン73を遮断する構造)を有している。
【0070】
また、本実施形態では、第3実施形態で説明したバケットアウト用圧力検出器83およびブーム下げ用圧力検出器84に加えて、バケットパイロット回路63のバケットイン用ライン63Aにバケットイン用圧力検出器85が設けられ、ブームパイロット回路64のブーム上げ用ライン64Aにブーム上げ用圧力検出器86が設けられ、アームパイロット回路62(アームイン用ライン62Aおよびアームアウト用ライン62B)にアーム用圧力検出器87が設けられている。バケットイン用圧力検出器85は、バケットイン用ライン63Aのパイロット圧が立ったことを検出するためのものであり、ブーム上げ用圧力検出器86は、ブーム上げ用ライン64Aのパイロット圧が立ったことを検出するためのものであり、アーム用圧力検出器87は、アームパイロット回路62(アームイン用ライン62Aおよびアームアウト用ライン62B)のパイロット圧が立ったことを検出するためのものである。
【0071】
本実施形態でも、第3実施形態と同様に、旋回操作だけでなく、必要流量が少ないバケットアウト操作およびブーム下げ操作も検出することができる。従って、本実施形態でも、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、全ての操作弁51〜54のパイロット回路61〜64に圧力検出器が設けられているので、監視用スプール40として、通常の構造の旋回用スプール41、バケット用スプール44、ブーム用スプール45およびアーム用スプール46を用いても、旋回単独操作を検出することができる。その結果、既存の建設機械に組み込まれた油圧駆動システムを、本実施形態の油圧駆動システムに安価に改造することができる。
【0072】
なお、本実施形態では、第2マルチコントロールバルブ4Bのアーム用スプール46が監視用スプール40であるが、第1実施形態で説明したように、第1マルチコントロールバルブ4Aのアーム用スプール43が監視用スプール40であってもよいことは言うまでもない。
【0073】
また、旋回単独操作および旋回とブーム下げの同時操作のみを検出する場合には、バケットパイロット回路63に、バケットアウト用圧力検出
器83およびバケットイン用圧力検出
器85の代わりに、バケットイン用ライン63Aおよびバケットアウト用ライン63Bのうちでパイロット圧が高い方のパイロット圧を選択的に検出できるように構成された圧力検出器(図示せず)が設けられてもよい。同様に、旋回単独操作および旋回とバケットアウトの同時操作のみを検出する場合には、ブームパイロット回路64に、ブーム下げ用圧力検出
器84およびブーム上げ用圧力検出
器86の代わりに、ブーム上げ用ライン64Aおよびブーム下げ用ライン64Bのうちでパイロット圧が高い方のパイロット圧を選択的に検出できるように構成された圧力検出器(図示せず)が設けられてもよい。
【0074】
(その他の実施形態)
前記第1実施形態ないし第4実施形態において、第1および第2油圧ポンプ
21,22の吐出流量の制御方式は、必ずしもネガコン方式である必要はなく、ポジティブコントロール方式であってもよい。すなわち、第1および第2レギュレータ3A,3Bはネガコン用ピストン33の代わりにポジコン用ピストンを有してもよい。あるいは、流量制御を電気的に行う方式(いわゆる電気ポジコン)であってもよい。また、第1および第2油圧ポンプ21,22の吐出流量の制御方式は、ロードセンシング方式であってもよい。