(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6088405
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】ヒートシンクの取付構造および基板
(51)【国際特許分類】
H01L 23/40 20060101AFI20170220BHJP
【FI】
H01L23/40 A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-244944(P2013-244944)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2015-103734(P2015-103734A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2014年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真一
【審査官】
麻川 倫広
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第08139360(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0163207(US,A1)
【文献】
特開2007−095746(JP,A)
【文献】
特開2002−141450(JP,A)
【文献】
特開2010−062458(JP,A)
【文献】
特開平05−283823(JP,A)
【文献】
実開平05−038945(JP,U)
【文献】
特開2006−177613(JP,A)
【文献】
特開2011−258869(JP,A)
【文献】
特開2004−179463(JP,A)
【文献】
特開平08−247117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/29
23/34−23/36
23/373−23/427
23/44
23/467−23/473
H05K 1/00−1/02
7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路パターンの形成された基板と、
該基板に搭載される電子部品と、
前記基板にネジで固定され、前記電子部品を冷却するヒートシンクと、を有し、
前記基板には、前記電子部品の搭載位置周辺に前記回路パターンの形成されないネジ穴エリアが設けられ、
前記ヒートシンクを固定するネジのネジ穴が前記ネジ穴エリアに設けられるヒートシンクの取付構造であって、
前記基板に搭載される電子部品を、サイズの異なる他の電子部品に変更可能であり、
前記ヒートシンクは、前記電子部品と前記他の電子部品とで前記基板上の異なる位置に固定され、
前記ネジ穴エリアは、前記異なる位置を含み、かつ、1の前記ネジ穴を設けるために必要な面積よりも大きい面積を有し、前記ネジ穴以外の穴が形成されていないことを特徴とするヒートシンクの取付構造。
【請求項2】
前記ヒートシンクは、前記ネジが貫通する取り付け部を有していることを特徴とする請求項1記載のヒートシンクの取付構造。
【請求項3】
回路パターンが形成され、電子部品が搭載されるとともに該電子部品を冷却するヒートシンクがネジで固定される基板であって、
前記電子部品の搭載位置周辺に設けられる前記回路パターンの形成されないネジ穴エリアに、前記ヒートシンクを固定するネジのネジ穴が設けられ、
前記電子部品は、サイズの異なる他の電子部品に変更可能であり、
前記ヒートシンクは、前記電子部品と前記他の電子部品とで前記基板上の異なる位置に固定され、
前記ネジ穴エリアは、前記異なる位置を含み、かつ、1の前記ネジ穴を設けるために必要な面積よりも大きい面積を有し、前記ネジ穴以外の穴が形成されていないことを特徴とする基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に取り付けられる放熱用のヒートシンクの取付構造および基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、CPUは基板に取り付けられ、CPUを冷却するためにCPUの上面にヒートシンクが取り付けられる。ヒートシンクの4箇所は、ネジで基板に形成されたネジ穴にネジ止めされる。
【0003】
特許文献1には、ヒートシンクの取り付け部の一つをガイド側に付勢しながら、ガイドの係合部とソケットの係合部とを係合させて仮止めした後、ネジとスタッドとを螺合させて締結し、ヒートシンクが持ち上がらず、ネジをスタッドへ容易に合わせることができるようにしたヒートシンクの固定構造が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、取付位置基準に対して各リード端子の位置がそれぞれ異なる複数の電子部品の中から選択する場合でも、プリント基板および放熱部品を共通化でき、プリント基板から電子部品がはずれにくいプリント基板への電子部品取付構造が開示されている。
【0005】
複数の電子部品の各リード端子の取付位置基準に対する位置の差が最小になる取付位置基準を電子部品に規定する。そして、この取付位置基準を基準にした場合に生じる複数の電子部品の各リード端子の位置の差を基にして、最小の幅の長孔形状のリード端子挿入孔をプリント基板に規定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−258464号公報
【特許文献2】特開2006−253333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来技術では、CPUをサイズの異なる別の種類のCPUに変更する場合に、変更されたCPUを同じ基板に取り付けると、CPUのサイズが異なるために基板上での位置が元のCPUのときの位置と異なるものとなる。位置の異なるCPUに対して元のCPUの位置に合わせた位置にヒートシンクを取り付けると、中心位置がずれることなどによってヒートシンクが傾いてCPUに荷重がかかり、CPUの故障の原因になってしまうという問題があった。
【0008】
ヒートシンクがCPUに対して傾かないようにするためには、新たなCPUに合った位置にヒートシンクを取り付けるため基板のネジ穴位置の変更が必要となるが、そのためには新たなネジ穴位置を通る多数の信号線を移動させた新たな基板を設計せねばならず、費用と時間が必要となって、非常に非効率である。
【0009】
また、特許文献1に開示されている技術では、ネジが基板の一定位置に固定されたネジ穴に締め付けられるので、CPUのサイズが変更された場合に、ヒートシンクの位置が新たなCPUと合わなくなるという問題は解決できていない。
【0010】
さらに、特許文献2に開示されている技術では、リード端子の位置が異なる電子部品に変更しても基板を共通化できるが、ヒートシンクはネジで基板に取り付けられるので、CPUのサイズが変更された場合に、ヒートシンクの位置が新たなCPUと合わなくなるという問題は解決できていない。
【0011】
本発明は、前記課題を解決するためのものであり、その目的とするところは、CPUのサイズの変更が行われた場合でも、新たなCPUに合った位置に取り付けるヒートシンクを移動することができるヒートシンクの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有する。
【0013】
本発明に係るヒートシンクの取付構造は、回路パターンの形成された基板と、該基板に搭載される電子部品と、前記基板にネジで固定され、前記電子部品を冷却するヒートシンクと、を有し、前記基板には、前記電子部品の搭載位置周辺に前記回路パターンの形成されないネジ穴エリアが設けられ、前記ヒートシンクを固定するネジのネジ穴が前記ネジ穴エリアに設けられるヒートシンクの取付構造であって、前記基板に搭載される電子部品を、サイズの異なる他の電子部品に変更可能であり、前記ヒートシンクは、前記電子部品と前記他の電子部品とで前記基板上の異なる位置に固定され、前記ネジ穴エリアは、前記異なる位置を含み、かつ、1の前記ネジ穴を設けるために必要な面積よりも大きい面積を有
し、前記ネジ穴以外の穴が形成されていないことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る基板は、回路パターンが形成され、電子部品が搭載されるとともに該電子部品を冷却するヒートシンクがネジで固定される基板であって、前記電子部品の搭載位置周辺に設けられる前記回路パターンの形成されないネジ穴エリアに、前記ヒートシンクを固定するネジのネジ穴が設けられ、前記電子部品は、サイズの異なる他の電子部品に変更可能であり、前記ヒートシンクは、前記電子部品と前記他の電子部品とで前記基板上の異なる位置に固定され、前記ネジ穴エリアは、前記異なる位置を含み、かつ、1の前記ネジ穴を設けるために必要な面積よりも大きい面積を有
し、前記ネジ穴以外の穴が形成されていないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、CPUのサイズの変更が行われた場合でも、新たなCPUに合った位置に取り付けるヒートシンクを移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係るヒートシンクの取付構造を示す概略図である。
【
図2】本実施形態に係るヒートシンクの取付構造を示す側面図である。
【
図3】ヒートシンクを移動した状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態について図面により詳細に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係るヒートシンクの取付構造を示す概略図である。
図2は、本実施形態に係るヒートシンクの取付構造を示す側面図である。ヒートシンクの取付構造は基板1とCPU2とヒートシンク3とを有している。基板1には、回路パターンが形成されている。基板1はCPU2の他に多数の電子部品を備えているが、説明と図示を省略する。
【0019】
CPU2はパッケージ7上に固定され、パッケージ7は基板1上に取り付けられる。CPU2の上面と接する支持部8の上にヒートシンク3が設置される。CPU2で発生した熱は、中央領域の突出された部分であるCPU2からヒートシンク3に伝導され、さらにヒートシンク3から放熱されることになる。
【0020】
ヒートシンク3が設置された支持部8の4つの角部には、取り付け部4が形成されている。取り付け部4には、ネジが貫通する穴が形成され、取り付け部4の穴を貫通したネジ6は、基板1のネジ穴エリア5に形成されたネジ穴9に螺合される。
【0021】
なお、取り付け部4は、ヒートシンク3の対角線上の斜め方向に形成されているが、これに限定されず、ヒートシンク3の各辺に垂直な方向等であってもよい。また、取り付け部4は4つに限定されず、4つ以上形成されてもよい。
【0022】
ネジ穴エリア5は、基板1においてCPU2が取り付けられる位置の周辺における、回路パターンが形成されていない部分である。これが一つのネジ穴を設けるのに必要な面積より大きい面積を持つように形成されていることにより、基板の設計変更をすることなく、変更したCPUに合わせた位置にヒートシンクが設置されるようネジ穴の位置を変更できるという効果が得られる。
【0023】
ネジ穴エリア5は、円形でネジ頭より大きく形成され、ネジ穴9を形成することができる。ヒートシンクはネジ穴9にネジ6で固定される。ネジ穴9はネジ穴エリア5の範囲内で位置をずらして形成することができるので、ヒートシンク3の位置を変更することができる。
なお、ネジ穴エリア5の形状は円形に限定されず、四角等の他の形状であってもよい。また、ネジ穴エリア5の面積は、自由に設計変更できる。
【0024】
本実施形態では、CPU2の中心とヒートシンク3の中心とは、一致している。CPU2の中心とヒートシンク3の中心とが一致している場合、ネジ穴9はネジ穴エリア5の中央に形成され、ネジ6はネジ穴エリア5の中央に固定される。
【0025】
次に、CPU2をサイズが異なる他のCPU11に変更した場合について説明する。
図3は、ヒートシンク3を移動した状態を示す概略図である。CPU11は、CPU2よりサイズが小さく、性能も異なる。
【0026】
基板1にCPU2の換わりにCPU11を取り付けることにより、CPU11のサイズが異なるために、基板上での位置がCPU2のときの位置と異なるものとなる。位置の異なるCPU11に対してCPU2の位置に合わせた位置にヒートシンク3を取り付けると、中心位置がずれることなどによってヒートシンク3が傾いて、CPU11に荷重がかかってしまうという問題があった。
【0027】
そこで、CPU11の中心とヒートシンク3の中心とを一致させる必要がある。CPU11の中心がヒートシンク3の中心より右側にずれている場合に、ヒートシンク3を図示する矢印方向に移動させる。
【0028】
CPU11が基板1に取り付けられた状態で、CPU11の中心とヒートシンク3の中心とを一致させる。ネジ穴9はネジ穴エリア5の中心から右方向にずらして形成され、ヒートシンク3はネジ6で固定される。
【0029】
また、CPU11の中心がヒートシンク3の中心より右側でなく、他の方向にずれている場合でも、ヒートシンク3の中心をCPU11の中心に一致させる方向にヒートシンク3を移動させ、ネジ穴エリア5のネジ穴9の位置をネジ穴エリア5の中心から他の方向に形成することができる。
【0030】
本実施形態によれば、CPUのサイズの変更が行われた場合でも、新たなCPUに合った位置に取り付けるヒートシンクを移動することができる。
なお、本実施形態はCPUに限定されず、抵抗やコンデンサー等の他の電子部品であってもよい。
【0031】
また、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 基板
2 CPU
3 ヒートシンク
4 取り付け部
5 ネジ穴エリア
6 ネジ
7 パッケージ
8 支持部
9 ネジ穴