(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、回転カムの回転により、押圧部材を回転カムの両側に拡張して一対の係止レールに圧接係止させているため、押圧部材を圧接係止させる押圧力を高め、より安定してヘッドレストを固定するためには改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、固定方向に作用する力を高め、より安定して可動部材を子供乗せ装置本体に固定することができる高さ調整機構、子供乗せ装置および二輪車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る高さ調整機構は、子供乗せ装置本体に対して上下方向に移動可能に設けられた可動部材と、前記子供乗せ装置本体に設けられ、上下方向に沿って配置された複数の凹部と、前記可動部材に設けられ、前記凹部に係合される係合部と、前記可動部材に移動可能に設けられ、前記係合部を押圧することにより前記係合部を前記凹部に係合させるロック位置と、前記係合部が前記凹部から離脱するロック解除位置とに移動する操作部と、前記可動部材に設けられ、前記操作部を前記ロック位置に向けて付勢する付勢部材と、を有
し、前記係合部は、2つの部材に分割されており、前記2つの部材の内部に弾性部材が配置されている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、子供乗せ装置本体に対して可動部材が上下方向に移動可能に設けられており、子供乗せ装置本体には、上下方向に沿って複数の凹部が配置されている。可動部材には、凹部に係合される係合部と、ロック位置とロック解除位置とに移動可能な操作部が設けられている。操作部がロック位置に移動することで、操作部が係合部を押圧することにより係合部を凹部に係合させる。可動部材には、操作部をロック位置に向けて付勢する付勢部材が設けられており、ロック時には、付勢部材により操作部を介して係合部が凹部に係合される位置に力が作用する。また、操作部がロック解除位置に移動することで、係合部が凹部から離脱され、可動部材を上下方向に移動させて可動部材の高さを調整することができる。このような構成では、ロック時に係合部が凹部に係合する固定方向に常に力が掛かるようにしているので、より安定して可動部材を子供乗せ装置本体に固定することができる。
【0010】
さらに、係合部が2つの部材に分割されると共に、2つの部材の内部に弾性部材が配置されているので、可動部材を上下方向に移動させ、係合部を凹部に係合および係合解除させるときに、係合部の移動位置を微調整することができる。
【0011】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の発明において、前記操作部には、前記係合部に当接して押圧する当接部が設けられており、前記当接部は、前記操作部の移動により前記係合部を前記ロック位置に移動させるテーパー部を備える。
【0012】
請求項
2に記載の発明によれば、操作部に設けられた当接部は、操作部の移動により係合部をロック位置に移動させるテーパー部を備えている。これによって、テーパー部が係合部に当接して押圧することで、テーパー部がロック位置に移動しやすくなり、係合部が凹部に係合しやすい。
【0013】
請求項
3に記載の発明は、請求項1
又は請求項
2に記載の発明において、前記凹部の上側と下側に、前記凹部の上下の壁面に滑らかに繋がる傾斜面が形成されている。
【0014】
請求項
3に記載の発明によれば、凹部の上側と下側に、凹部の上下の壁面に滑らかに繋がる傾斜面が形成されている。これによって、可動部材を上下方向に移動させるときに、係合部が傾斜面を摺動することで、係合部を凹部にスムーズに係合させることができる。
【0015】
請求項
4に記載の発明は、請求項
1から請求項
3までのいずれか1項に記載の発明において、前記係合部の前記凹部と接触する位置には、前記凹部との摩擦を軽減するための曲面部が形成されている。
【0016】
請求項
4に記載の発明によれば、係合部に形成された曲面部が凹部と接触することで、凹部との摩擦を軽減することができる。
【0017】
請求項
5に記載の発明は、請求項1から請求項
4までのいずれか1項に記載の発明において、前記可動部材には、前記係合部の移動方向に沿って配置されると共に、前記係合部に形成された摺動部が摺動するガイド部が設けられている。
【0018】
請求項
5に記載の発明によれば、可動部材には、係合部の移動方向に沿って配置されるガイド部が設けられているので、係合部に形成された摺動部がガイド部を摺動することで、係合部をスムーズに移動させることができる。
【0019】
請求項
6に記載の発明は、請求項1から請求項
5までのいずれか1項に記載の発明において、前記子供乗せ装置本体及び前記可動部材の一方には、前記可動部材の移動方向に沿って配置されると共に、前記子供乗せ装置本体及び前記可動部材の他方に形成された挿入部が摺動するレール部が設けられている。
【0020】
請求項
6に記載の発明によれば、子供乗せ装置本体及び可動部材の一方には、可動部材の移動方向に沿って配置されるレール部が設けられており、子供乗せ装置本体及び前記可動部材の他方に形成された挿入部がレール部を摺動する。このため、可動部材を子供乗せ装置本体に対してスムーズに移動させることができる。
【0021】
請求項
7に記載の発明に係る子供乗せ装置は、請求項1から請求項
6までのいずれか1項に記載の高さ調整機構を備えている。
【0022】
請求項
7に記載の発明によれば、ロック時に係合部が凹部に係合する固定方向に常に力がかかるようにすることで、より安定して可動部材を子供乗せ装置本体に固定することができる。
【0023】
請求項
8に記載の発明に係る二輪車は、請求項
7に記載の子供乗せ装置が取り付けられている。
【0024】
請求項
8に記載の発明によれば、ロック時に係合部が凹部に係合する固定方向に常に力がかかるようにすることで、より安定して可動部材を子供乗せ装置本体に固定することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、固定方向に作用する力を高め、より安定して可動部材を子供乗せ装置本体に固定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、
図1〜
図14を用いて、本発明の一実施形態である高さ調整機構を備えた子供乗せ装置について説明する。なお、図において適宜示される矢印UPは、子供乗せ装置の上方側を示しており、矢印FRは、子供乗せ装置の前方側を示しており、矢印Wは、子供乗せ装置の幅方向外側又は内側を示している。
【0028】
図1には、本発明の一実施形態である高さ調整機構を備えた子供乗せ装置が前方側から見た斜視図にて示されている。また、
図2には、高さ調整機構を備えた子供乗せ装置が後方側から見た斜視図にて示されている。
図1に示されるように、二輪車1は、略上下方向に沿って延在されるハンドルポスト2を備えており、ハンドルポスト2の上部の前側には、略幅方向に沿って配置されたハンドルバー4が設けられている。
【0029】
図1及び
図2に示されるように、子供乗せ装置10は、ハンドルポスト2の上部に取り付けられる子供乗せ装置本体(座席部)12を備えている。子供乗せ装置本体12は、子供が着席可能な座部12Aと、この座部12Aの後端部から上方側に起立するように延びた背凭れ部12Bと、を備えている。背凭れ部12Bは、座部12Aに着席した子供の背中を支持するように両サイドが前方側に突出した湾曲形状とされている。座部12Aの前側の両サイドには、座部12Aから垂下されて子供の左右の足を載置可能なステップ12Cが設けられている。座部12Aの前端部の幅方向中央部には、座部12Aから立ち上がった突出部14が設けられている。突出部14の上端部には、子供の前方側をガードする略逆U字状のハンドル部16が設けられている。ハンドル部16を設けることで、座部12Aに子供が着座したときにハンドル部16を握って自身の身体を支えることができ、子供に安心感を与えることができる。
【0030】
子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bの内側面(前方側の面)の上部には、背凭れ部12Bの内側面と一部が重なり合うように可動部材としてのヘッドガード22が設けられている。ヘッドガード22は、座部12Aに着席した子供の頭部を保護するものである。ヘッドガード22は、後面部から両サイドが前方側に突出した湾曲形状に形成されており、座部12Aに着席した子供の後頭部および側頭部を保護するようになっている。
【0031】
図3〜
図6に示されるように、子供乗せ装置10には、ヘッドガード22を背凭れ部12Bに沿って上下方向に移動させて所定の位置で固定する高さ調整機構としての高さ調整装置20が設けられている。
図4〜
図6に示されるように、高さ調整装置20は、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bの内側面に、上下方向に沿って配置された左右一対の凹凸部24を備えている。なお、
図4〜
図6には、子供乗せ装置10の正面視にて幅方向右側の凹凸部24のみが示されているが、凹凸部24は左右対称であるので、幅方向左側の凹凸部24を図示を省略している。
【0032】
凹凸部24は、背凭れ部12Bの上下方向のセンター部26(
図3参照)からの距離がほぼ同じになるように左右対称に配置されている。凹凸部24は、背凭れ部12Bのセンター部26側に向けて対向する壁部28に設けられている(
図5参照)。凹凸部24は、複数の凹部24Aと複数の凸部24Bとを備えており、凹部24Aと凸部24Bが交互に配置されている。凹部24Aの上側と下側には、凸部24Bに滑らかに繋がる傾斜面25が形成されている。本実施形態では、凹凸部24は、凹部24Aと凸部24Bが滑らかに連続する波状形状とされている。
【0033】
図3〜
図6に示されるように、高さ調整装置20は、ヘッドガード22の内側面に設けられると共に凹部24Aに係合する係合部としてのスライド駒30と、ヘッドガード22の内側面に沿って配置されると共に略上下方向に移動する操作部としてのレバー32と、を備えている。レバー32は、正面視にて幅方向外側に延びた把持部32Aと、把持部32Aの幅方向中央部から下側に延びた略U字状の枠部32Bと、枠部32Bの下端部の幅方向両側から下方側に突出した突出部32Cと、を備えている。突出部32Cの下部の幅方向外側面には、スライド駒30に当接して押圧する当接部34が形成されている。なお、
図3では、ヘッドガード22の幅方向右側のスライド駒30のみが図示されているが、構成をより分かりやすくするため、ヘッドガード22の幅方向左側のスライド駒30は省略している。
【0034】
図5に示されるように、レバー32は、上下方向の下方側に移動することで、当接部34がスライド駒30を押圧することによりスライド駒30を凹部24Aに係合させるロック状態Aに移動する。また、
図6に示されるように、レバー32は、上下方向の上方側(矢印C方向)に移動することで、スライド駒30が凹部24Aから離脱するロック解除状態Bに移動する。また、高さ調整装置20は、レバー32の当接部34をロック状態Aに向けて付勢する付勢部材としてのコイルスプリング36を備えている。コイルスプリング36は、レバー32の枠部32Bの内側に配置されている。コイルスプリング36の一端は、ヘッドガード22の内側面に固定された支持部38に装着されており、コイルスプリング36の他端は、枠部32Bの下壁部の上面に装着されている。
【0035】
レバー32の当接部34の下部には、レバー32の移動方向に沿って、スライド駒30側が切り欠かれたテーパー部34Aが設けられている。言い替えると、テーパー部34Aは、レバー32の下方側への移動によりスライド駒30をロック状態Aに移動させるように形成されている。これにより、レバー32の当接部34が下方側に移動するときに、テーパー部34Aがスライド駒30に当接して押圧することで、テーパー部34Aがロック状態Aに移動しやすくなり、スライド駒30が凹部24Aに係合しやすい。
【0036】
図2に示されるように、ヘッドガード22の背面部には、レバー32の把持部32Aが露出する略矩形状の開口部40が設けられている。ヘッドガード22の高さを調整する際には、開口部40に露出したレバー32の把持部32Aに指を掛けて、レバー32を上方側(矢印C方向)に引き上げる。これによって、
図6に示されるように、レバー32の当接部34がコイルスプリング36の付勢力に抗して上方側のロック解除状態Bに移動し、スライド駒30と凹部24Aとの係合が解除されるようになっている。このときのスライド駒30の状態については後述する。
【0037】
図7(A)、
図7(B)および
図11に示されるように、スライド駒30は、棒状部材からなり、棒状部材の中間部よりやや当接部34側が分割された2つの部材からなる駒部30A、30Bを備えている。2つの駒部30A、30Bの先端部は、滑らかな曲面部42とされている。これにより、一方の駒部30Bの曲面部42が凹部24Aと接触する際に、凹部24Aとの摩擦が軽減されるようになっている(
図5参照)。
【0038】
スライド駒30の2つの駒部30A、30Bは、中空とされており、駒部30A、30Bの内部に弾性部材としてのバネ部材44が配置されている。バネ部材44は、2つの駒部30A、30Bに跨って配置されている。バネ部材44は、通常の伸び状態で2つの駒部30A、30Bの分割部が若干離れた状態となるように調整されている(
図7(A)参照)。レバー32の当接部34がスライド駒30を凹部24Aに押圧するロック状態Aに移動したときは、バネ部材44が圧縮され、2つの駒部30A、30Bの分割部が接触した状態となる(
図7(B)参照)。なお、この構成に限定されるものではなく、レバー32の当接部34がスライド駒30を凹部24Aに押圧するロック状態Aに移動したとき、2つの駒部30A、30Bの分割部に隙間を設けてもよい。
【0039】
図6および
図7(A)に示されるように、レバー32の当接部34が上方側のロック解除状態Bに移動したときは、レバー32の当接部34が引き上げられる前に比べて、スライド駒30内のバネ部材44の付勢力が弱まるので、スライド駒30がヘッドガード22の幅方向に移動可能となる。すなわち、スライド駒30は凹部24Aとの係合が解除されてほぼフリーの状態となり、ヘッドガード22を上下方向に移動させたときに、スライド駒30がバネ部材44の伸縮により凹部24Aと凸部24Bに摺動しながらヘッドガード22の幅方向に移動する。例えば、バネ部材44の付勢力によっては、スライド駒30の駒部30Bが常に凹部24Aと凸部24Bに接触しながら、駒部40Aと駒部30Bとの間が近接・離間する方向に移動する場合もある。
【0040】
図11、
図13(A)及び
図13(B)に示されるように、スライド駒30の一方の駒部30Bには、長手方向(移動方向)に沿って摺動部としての溝部46が形成されている。
図12、
図13(A)及び
図13(B)に示されるように、ヘッドガード22の内側面には、スライド駒30の移動方向に沿ってガイド部としての突起部48が形成されている。なお、
図12では、構成を分かりやすくするため、スライド駒30の駒部30Bは省略している。本実施形態では、溝部46の移動方向の長さが長く、突起部48の長さが短い構成とされている。
図13(A)及び
図13(B)に示されるように、スライド駒30の駒部30Bの溝部46にヘッドガード22の突起部48が挿入された状態で、溝部46が突起部48を摺動することで、スライド駒30の駒部30Bが所定の範囲をスムーズに移動するようになっている。
【0041】
図8及び
図9に示されるように、ヘッドガード22のセンター部には、上下方向に沿ってレール部としての長孔50が形成されている。子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bの内側面には、押さえ部としてのネジ52が締結固定される筒状の締結部54が形成されている(
図10参照)。ネジ52の頭部52Aの外径は、長孔50の幅よりも大きく形成されている。ネジ52の軸部52Bは、長孔50を貫通し、背凭れ部12Bの締結部54に締結固定されている。すなわち、背凭れ部12Bに固定されたネジ52の軸部52Bが長孔50を貫通することで、ネジ52の頭部52Aがヘッドガード22の内側面(背凭れ部12Bと反対側の面)を押さえている。これにより、ヘッドガード22が、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bから剥がれないようになっている。
【0042】
また、長孔50は、ヘッドガード22の移動範囲と対応する位置に設けられている。これにより、ネジ52の軸部52Bが長孔50を貫通した状態で、ヘッドガード22が子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bの内側面に沿って上下方向に移動する。すなわち、本実施形態では、ヘッドガード22の長孔50がレール部、ネジ52の軸部52Bが挿入部として機能している。ネジ52の軸部52Bが長孔50を貫通された状態で、軸部52Bが長孔50を摺動することで、ヘッドガード22の上下方向の移動がガイドされるようになっている(
図4〜
図6参照)。
【0043】
また、
図1及び
図8に示されるように、ヘッドガード22の高さ調整装置20は、組付け状態では、ヘッドガード22の内側面に取り付けられたカバー64によって覆われている。
【0044】
図14に示されるように、ヘッドガード22には、幅方向中央部の内側面から後方側に屈曲された壁部56に上下方向に沿ってレール部としての長孔58が形成されている。また、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bの内側面には、長孔58に挿通される挿入部としての突起部60が形成されている。長孔58は、ヘッドガード22の移動範囲と対応する位置に形成されている。背凭れ部12Bの突起部60がヘッドガード22の長孔58に挿入された状態で、突起部60が長孔58内を摺動することで、ヘッドガード22の上下方向の移動がより確実にガイドされるようになっている。なお、
図14では、正面視にて長孔58と突起部60は、ヘッドガード22および背凭れ部12Bの幅方向右側に設けられているが、ヘッドガード22および背凭れ部12Bの幅方向左側にも長孔58と突起部60が左右対称に設けられている。
【0045】
次に、本実施形態の高さ調整装置20の作用について説明する。
【0046】
図5等に示されるように、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bの内側面には、上下方向に沿って左右一対の凹凸部24が設けられている。また、ヘッドガード22の内側面には、凹部24Aに係合するスライド駒30と、ヘッドガード22の内側面に沿って略上下方向に移動するレバー32とが設けられている。高さ調整装置20では、コイルスプリング36の付勢力により、レバー32の当接部34が下方側のロック状態Aに移動しており、レバー32の当接部34がスライド駒30を押圧することによりスライド駒30が凹部24Aに係合されてロックされている。その際、スライド駒30の内部のバネ部材44が圧縮され、2つの駒部30A、30Bの分割部が接触した状態となり、スライド駒30が凹部24Aにしっかりと係合している(
図7(B)参照)。
【0047】
すなわち、高さ調整装置20では、コイルスプリング36の付勢力により、レバー32の当接部34がロック状態Aに向けて付勢されている。このため、スライド駒30が凹部24Aに係合されるロック時には、コイルスプリング36によりレバー32を介してスライド駒30が凹部24Aに係合される位置に力が作用している。すなわち、ロック時にスライド駒30が凹部24Aに係合する固定方向に常に力がかかるようにしている。このため、固定方向に作用する力を高め、より安定してヘッドガード22を子供乗せ装置本体12に固定することができる。
【0048】
図2に示されるように、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対するヘッドガード22の高さを調整する際には、ヘッドガード22の背面部の開口部40に露出したレバー32の把持部32Aに指を掛けて、把持部32Aを上方側(矢印C方向)に引き上げる。これによって、
図6に示されるように、レバー32の当接部34がコイルスプリング36の付勢力に抗して上方側のロック解除状態Bに移動する。このロック解除状態Bでは、レバー32の当接部34がスライド駒30から離れる方向に移動し、スライド駒30が横方向に移動可能な空間が形成される。これによって、スライド駒30と凹部24Aとの係合が解除され、スライド駒30は凹部24Aと反対側に移動することが可能となる。
【0049】
また、レバー32の当接部34によるスライド駒30の押圧が解除されるため、スライド駒30は、内部のバネ部材44の付勢力が弱められ、2つの駒部30A、30Bの分割部が離れた状態となる(
図6および
図7(A)参照)。
【0050】
図2に示されるように、高さ調整装置20では、把持部32Aを上方側(矢印C方向)に引き上げたまま、矢印D方向にヘッドガード22を引き上げ、又は矢印E方向にヘッドガード22を押し下げることにより、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対するヘッドガード22の高さを希望の高さに調整する。例えば、
図6に示されるように、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対してヘッドガード22を上方側に移動させると、スライド駒30の内部のバネ部材44の伸縮により駒部30Bが凹部24Aの上側の傾斜面25および凸部24Bに当接しながらスライド駒30が横方向(凹部24Aと反対方向)に移動する。その際、凹凸部24は、凹部24Aと凸部24Bが滑らかに連続する波状形状とされているため、スライド駒30の駒部30Bが凹部24A又は凸部24Bに引っかかることがなく、スライド駒30の横方向の移動がスムーズとなる。
【0051】
その際、
図13(A)、
図13(B)に示されるように、スライド駒30の駒部30Bの溝部46にヘッドガード22の突起部48が挿入された状態で、溝部46が突起部48を摺動することで、スライド駒30の駒部30Bが所定の範囲をスムーズに移動する。また、スライド駒30の内部にバネ部材44が配置されていることで、2つの駒部30A、30Bが分割され、それぞれ横方向に移動する。
【0052】
そして、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対してヘッドガード22が希望の高さになったときに、ヘッドガード22の背面部の開口部40に露出したレバー32の把持部32Aから指を離し、把持部32Aの上方側(矢印C方向)への引き上げを解除する。これによって、コイルスプリング36の付勢力により、レバー32が背凭れ部12Bの内側面に沿って下方側に押し戻され、元のロック状態Aに戻る。そして、レバー32の当接部34がスライド駒30を押圧することにより、スライド駒30が横方向に移動してスライド駒30が凹部24Aに係合され、ロック状態となる。
【0053】
その際、凹凸部24は、凹部24Aと凸部24Bが滑らかに連続する波状形状とされているため、スライド駒30の駒部30Bが凹凸部24の波形形状の面(傾斜面25)を摺動しながら、スライド駒30が凹部24Aに係合される。このため、ヘッドガード22の上下方向の任意の位置で、把持部32Aの上方側(矢印C方向)への引き上げを解除しても、ヘッドガード22の高さが微調整されると共に、スライド駒30が凹部24Aにスムーズに係合される。
【0054】
また、レバー32の当接部34の下部には、レバー32の移動方向に沿って、ロック状態A側の面に対してロック解除状態B側の面がスライド駒30の方向に突出するテーパー部34Aが設けられている。すなわち、テーパー部34Aは、レバー32の下方側への移動によりスライド駒30をロック状態Aに移動させるように形成されている。これにより、レバー32の当接部34が下方側に移動するときに、テーパー部34Aがスライド駒30に当接して押圧することで、テーパー部34Aがロック状態Aに移動しやすくなり、スライド駒30が凹部24Aに係合しやすい。
【0055】
このような高さ調整装置20では、レバー32の操作によりスライド駒30を移動させてヘッドガード22の高さを調整するため、ヘッドガード22をネジ等の締結手段で固定する構造などに比べて、容易にヘッドガード22の高さの調整が可能である。また、レバー32を操作しない場合には、スライド駒30が凹部24Aに係合する固定方向に常に力がかかるので、より安定してヘッドガード22を子供乗せ装置本体12に固定することができる。
【0056】
また、スライド駒30の2つの駒部30A、30Bが分割され、スライド駒30の内部にバネ部材44が配置されている。これにより、ヘッドガード22の上下方向に移動させ、スライド駒30を凹部24Aに係合および係合解除させるときに、2つの駒部30A、30Bが分割されて移動することで、スライド駒30の移動位置を微調整することができる。
【0057】
また、スライド駒30の曲面部42が凹部24Aと接触することで、凹部24Aとの摩擦を軽減することができる。
【0058】
さらに、
図8〜
図10に示されるように、ヘッドガード22のセンター部には、上下方向に沿って長孔50が形成されている。そして、背凭れ部12Bに固定されたネジ52の軸部52Bが長孔50を貫通することで、ネジ52の頭部52Aがヘッドガード22の内側面(背凭れ部12Bと反対側の面)を押さえている。これにより、ヘッドガード22が、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bから剥がれるのを防止することができる。
【0059】
さらに、長孔50は、ヘッドガード22の移動範囲と対応する位置に設けられており、ネジ52の軸部52Bが長孔50を貫通した状態で、ヘッドガード22が子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bの内側面に沿って上下方向に移動する。すなわち、ネジ52の軸部52Bが長孔50内を摺動することで、ヘッドガード22の上下方向の移動をガイドすることができる。
【0060】
さらにまた、
図14に示されるように、ヘッドガード22には、内側面から後方側に屈曲された壁部56に上下方向に沿ってレール部としての長孔58が形成されており、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bの内側面には、長孔58に挿通される突起部60が形成されている。背凭れ部12Bの突起部60がヘッドガード22の長孔58に挿入された状態で、突起部60が長孔58内を摺動することで、ヘッドガード22の上下方向の移動をより確実にガイドすることができる。
【0061】
なお、本実施形態の高さ調整装置20では、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bの内側面には、上下方向に沿って2列(左右一対)の凹凸部24が設けられているが、これに限定されず、上下方向に沿って1列の凹凸部24を設ける構成でもよい。
【0062】
また、本実施形態の高さ調整装置20では、上下方向に沿って凹部24Aと凸部24Bが交互に配置された凹凸部24が設けられると共に、凹凸部24は、凹部24Aと凸部24Bが滑らかに連続する波状形状とされているが、これに限定されるものではない。例えば、上下方向に沿って複数の凹部24Aを備える構成であれば、凹部24Aの間の距離や、凹部24Aの間の凸部などの壁部の形状は適宜に変更可能である。
【0063】
また、上下方向に沿って配置される凹部の形状は、適宜に変更可能である。また、凹部と係合される係合部の形状も、本実施形態のスライド駒に限定されず、適宜に変更可能である。
【0064】
また、本実施形態では、レバー32の当接部34は、レバー32の移動方向に沿って、ロック状態A側の面に対してロック解除状態B側の面がスライド駒30の方向に突出するテーパー部34Aを備えているが、この構成に限定するものではない。テーパー部は、レバー32の移動によりスライド駒30をロック状態Aに移動させることができれば、形状は変更可能である。また、レバー32の形状も本実施形態に限定されるものではなく、ロック状態Aとロック解除状態Bとに移動可能であれば、変更可能である。
【0065】
また、本実施形態では、スライド駒30が2つの駒部30A、30Bに分割され、駒部30A、30Bの内部にバネ部材44が配置されているが、バネ部材44に限定されるものではなく、例えば、ゴムなどの弾性部材を用いてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、ネジ52の軸部52Bが長孔50内を摺動すると共に、突起部60が長孔58内を摺動することで、ヘッドガード22の上下方向の移動をガイドするように構成されているが、必ずしもこれらの両方を設ける必要はなく、どちらか片方を設ける構成でもよい。
【0067】
また、本実施形態では、子供乗せ装置本体12に対して上下方向に移動可能なヘッドガード22に適用される高さ調整機構であるが、ヘッドガードに限定されず、他の可動部材の高さ調整機構に採用してもよい。