(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6088413
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】差動トランス型角度センサ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/22 20060101AFI20170220BHJP
G01B 7/30 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
G01D5/22 A
G01B7/30 M
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-255759(P2013-255759)
(22)【出願日】2013年12月11日
(65)【公開番号】特開2015-114188(P2015-114188A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 亮
(72)【発明者】
【氏名】成田 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】染谷 秀明
【審査官】
平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0001419(US,A1)
【文献】
実公昭39−18340(JP,Y1)
【文献】
特開2002−71308(JP,A)
【文献】
実開昭51−154563(JP,U)
【文献】
実開昭57−59331(JP,U)
【文献】
実開平2−18602(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/252
G01D 5/39−5/62
G01B 7/00−7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が開口された絶縁部材よりなる円弧状の管と、
前記円弧状の管の外周面の中央に巻回された励磁コイルと、
前記円弧状の管の一方の開口端から前記励磁コイルまでの間の外周面に巻回された第1の検出コイルと、
前記円弧状の管の他方の開口端から前記励磁コイルまでの間の外周面に巻回された第2の検出コイルと、
前記円弧状の管の管路中に移動可能に収容された円弧状の可動鉄心と、
前記円弧状の管の一方の開口および他方の開口からその管路中に入り、この管路中の前記円弧状の可動鉄心を間に挟んで円環を形成し、この円環の一部を前記円弧状の管の外部に露出させた状態で、検出対象の角度変化に応じて前記円弧状の可動鉄心とともに前記円弧状の管の管路に沿って回転する非磁性材よりなる円弧状のレバーと
を備えることを特徴とする差動トランス型角度センサ。
【請求項2】
請求項1に記載された差動トランス型角度センサにおいて、
前記円弧状のレバーは、2分割されている
ことを特徴とする差動トランス型角度センサ。
【請求項3】
請求項2に記載された差動トランス型角度センサにおいて、
前記2分割された円弧状のレバーを前記円弧状の管の外部に露出した位置で連結する連結部材を備え、
前記連結部材は、
前記検出対象の角度変化に応じて回転するリング部と、
前記リング部の外周面から突出して前記2分割された円弧状のレバーの分割点と係合する係合部と
を有することを特徴とする差動トランス型角度センサ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載された差動トランス型角度センサにおいて、
前記円弧状の管は、
管路と直交する方向に2分割されている
ことを特徴とする差動トランス型角度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、差動トランスの出力電圧に基づいて検出対象の角度を検出する差動トランス型角度センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、電動バルブアクチュエータの回転角度の検出には、ポテンショメータが用いられている。一般的なポテンショメータの構造は、抵抗体、シャフト、電極およびそれらを包むケース、カバーなどで構成され、構成がシンプルなため、安価であり、内部に電子回路を有さないため、ノイズに強いという特徴がある。しかし、ポテンショメータは、抵抗体と電極が常に接触、摺動しており、経年劣化でひげ状のノイズが発生するという欠点がある。
【0003】
そこで、本出願人は、電動バルブアクチュエータの回転角度の検出に差動トランス型角度センサを用いようと考えている。差動トランス型角度センサは、検出対象の角度を差動トランスの出力電圧に基づいて検出するので、検出部が非接触となり、検出部の機械的な経年変化が起こりにくという利点がある。
【0004】
この差動トランス型角度センサの一例として、例えば特許文献1には、多回転角度検出器が示されている。この多回転角度検出器では、筒状ケース内に設けられた直線差動トランスのコアを回転/直動変換機構を介して直動させることにより、回転軸の多回転を直線差動トランスの出力電圧で検出する構成としている。
【0005】
この多回転角度検出器において、筒状ケースの内壁には筒状ボビンが設けられており、筒状ボビンの外周に直線差動トランスの巻線として1次巻線(励磁コイル)および1対の2次巻線(検出コイル)が巻回されている。また、筒状ケースには回転/直動変換機構が設けられており、回転軸の回転を接続体の直動に変換する。直線差動トランスのコアは、各巻線の軸心に位置し、接続体の直動に伴って、軸方向に往復移動する。
【0006】
図8に各巻線とコアとの関係を示す。同図において、Pは1次巻線(励磁コイル)、S1,S2は2次巻線(検出コイル)、Cはコア(可動鉄心)である。コアCの+X側および−X側への直線移動に応じて、2次巻線S1からは出力電圧VA、2次巻線S2からは出力電圧VBが得られる。この出力電圧VA,VBは、1次巻線Pに加えられる励磁電圧の位相と同相又は逆相の電圧で、
図8では各巻線S1,S2を逆極として直列接続しているため、
図9に示すような差電圧VA−VBが直線差動トランスの出力電圧として得られる。
【0007】
また、特許文献2には、回転型のコアと、このコアと同心状に配置された励磁コイルと、この励磁コイルを挟むように配置された第1,第2の検出コイルと、励磁コイルと第1の検出コイルとの間に配置された第1のヨークと、励磁コイルと第2の検出コイルとの間に配置された第2のヨークとを備え、第1の検出コイルの出力電圧と第2の検出コイルの出力電圧との差電圧に基づいてコアの回転角度を検出する差動トランス型角度センサが示されている。
【0008】
この差動トランス型角度センサでは、第1,第2のヨークの磁束伝達部を第1,第2円弧状帯により構成し、第1,第2のヨークの磁束遮断部を第1,第2円弧帯状空間により構成し、かつ、コアの外周面を円弧角240゜の円弧面と円弧角120゜の弦面とで構成し、コアの磁束伝達部を円弧面と弦面とで囲まれた部位で構成し、コアの磁束遮断部を円弧角120゜の仮想円弧面と弦面とで囲まれた空間により構成している。
【0009】
また、特許文献3には、傾斜面が形成された円盤状のロータと、このロータを支持する軸部となる鉄心と、この鉄心の軸部に巻回されたコイルからなる1次コイルと、傾斜面を指向する複数の突極が形成されたステータと、ステータの突極に巻回された第1および第2の2次コイルとからなる差動トランスとにより構成された回転角度検出装置が示されている。
【0010】
この回転角度検出装置では、ロータの回転に伴って、ロータの傾斜面と第1および第2のコイルが巻回されたステータの突極との間のエアギャップが変化し、2次コイル間の電位が変化する。この2次コイル間の電位変化に基づいて、ロータの回転角度を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−210309号公報
【特許文献2】特開2007−240372号公報
【特許文献3】特開2000−116068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した特許文献1,2,3に示された差動トランス型角度センサは、その作動原理からも分かるように、いずれも構造が複雑で、高価であり、電動バルブアクチュエータの角度センサとして用いるには難があった。また、例えば、特許文献1に示された多回転角度検出器では、直線差動トランスのコアを回転/直動変換機構を介して直動させるようにしており、直線差動トランスはコアの長さに対し、可動範囲を2倍以上にする必要があり、大型化が避けられない。
【0013】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、電動バルブアクチュエータの角度検出に適用可能な、構造が簡単で安価な、小型の差動トランス型角度センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために本発明は、両端が開口された絶縁部材よりなる円弧状の管と、円弧状の管の外周面の中央に巻回された励磁コイルと、円弧状の管の一方の開口端から励磁コイルまでの間の外周面に巻回された第1の検出コイルと、円弧状の管の他方の開口端から励磁コイルまでの間の外周面に巻回された第2の検出コイルと、円弧状の管の管路中に移動可能に収容された円弧状の可動鉄心と、円弧状の管の一方の開口および他方の開口からその管路中に入り、この管路中の円弧状の可動鉄心を間に挟んで円環を形成し、この円環の一部を円弧状の管の外部に露出させた状態で、検出対象の角度変化に応じて円弧状の可動鉄心とともに円弧状の管の管路に沿って回転する非磁性材よりなる円弧状のレバーとを備えることを特徴とする(請求項1)。
【0015】
この発明によれば、検出対象の角度変化に応じて、円弧状のレバーが円弧状の可動鉄心とともに円弧状の管の管路に沿って回転する。この円弧状のレバーの回転によって、円弧状の可動鉄心の第1の検出コイルおよび第2の検出コイルに対する位置が変化し、第1の検出コイルおよび第2の検出コイルから得られる出力電圧が変化する。したがって、この第1の検出コイルおよび第2の検出コイルから得られる出力電圧の差電圧の変化から、検出対象の角度を検出することが可能となる。
【0016】
本発明において、円弧状のレバーは、円弧状の可動鉄心を間に挟んで円環を形成するので、360゜から円弧状の可動鉄心の円弧の角度を差し引いた角度の円弧とする必要がある。この場合、円弧状のレバーを円弧状の管に入れ込むためには、円弧状のレバーを2分割することが望ましい(請求項2)。すなわち、円弧状の管の一方の開口から2分割した円弧状のレバーの一方を管路中に入れ込み、円弧状の管の他方の開口から2分割した円弧状のレバーの他方を管路中に入れ込んで、円弧状の可動鉄心を間に挟んだ円環を形成するようにすることが望ましい。
【0017】
本発明において、円弧状のレバーを2分割した場合、2分割された円弧状のレバーを円弧状の管の外部に露出した位置で連結する連結部材を設けるようにするとよい。この場合、連結部材は、例えば、検出対象の角度変化に応じて回転するリング部と、リング部の外周面から突出して2分割された円弧状のレバーの分割点と係合する係合部とを有するものとする(請求項3)。
【0018】
また、本発明において、円弧状の管はコイルの巻軸となるが、この円弧状の管は一体物であってもよいし、管路と直交する方向(上下)に2分割されていてもよい(請求項4)。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、円弧状の管をコイルの巻軸とし、この円弧状の管の管路中に円弧状の可動鉄心を収容し、この円弧状の管の管路中に円弧状のレバーを入れ込んで、円弧状の可動鉄心を間に挟んで円環を形成し、円弧状のレバーを円弧状の可動鉄心とともに円弧状の管の管路に沿って回転させるような構造としたので、回転/直動変換機構などの複雑な機構を必要とせず、構造を簡単として、安価とすることが可能となる。また、小型でコンパクトな構造とし、電動バルブアクチュエータの角度検出に適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る差動トランス型角度センサの一実施の形態の要部を示す外観斜視図である。
【
図2】この差動トランス型角度センサにおける円弧状の管の2分割構造およびこの円弧状の管における円弧状の可動鉄心の収容状況を示す図である。
【
図3】この差動トランス型角度センサにおける円弧状の管に励磁コイルおよび検出コイルを巻回した状態を示す図である。
【
図4】この差動トランス型角度センサにおける連結部材および円弧状のレバーを入れ込んだ円弧状の管を示す斜視図である。
【
図5】この差動トランス型角度センサの平面断面図である。
【
図6】円弧状のレバーを時計方向に一杯まで回転した状態および反時計方向に一杯まで回転した状態を示す平面断面図である。
【
図7】電動バルブアクチュエータへの取り付け用フランジを含めた差動トランス型角度センサの外観斜視図および平面断面図である。
【
図8】特許文献1に示された多回転角度検出器における各巻線とコアとの関係を示す図である。
【
図9】特許文献1に示された多回転角度検出器の2次巻線S1,S2から得られる出力電圧VA,VBおよび差電圧VA−VBの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る差動トランス型角度センサの一実施の形態の要部を示す外観斜視図である。
【0022】
図1において、1は両端が開口された絶縁部材よりなる円弧状の管(巻軸)、2は円弧状の管1の外周面の中央に巻回された励磁コイル(1次コイル)、3は円弧状の管1の一方の開口端から励磁コイル2までの間の外周面に巻回された第1の検出コイル(2次コイル)、4は円弧状の管1の他方の開口端から励磁コイル2までの間の外周面に巻回された第2の検出コイル(2次コイル)であり、円弧状の管1の一方の開口端にはフランジ1aが形成され、円弧状の管1の他方の開口端にはフランジ1bが形成されている。
【0023】
この実施の形態において、円弧状の管1は、
図2に示すように、上側の円弧状の管1−1と下側の円弧状の管1−2とに2分割されており、上側の円弧状の管1−1の一方および他方の開口端にフランジ1−1aおよび1−1bが形成され、下側の円弧状の管1−2の一方および他方の開口端にフランジ1−2aおよび1−2bが形成されている。
【0024】
円弧状の管1は、この上下に分割された上側の円弧状の管1−1と下側の円弧状の管1−2とが合わせられることによって1つの管とされているが、この円弧状の管1の管路中には移動可能に円弧状の可動鉄心5が収容されている。また、上側の円弧状の管1−1と下側の円弧状の管1−2とが合わせられた後、円弧状の管1を巻軸としてこの円弧状の管1の外周面の中央に励磁コイル2が巻回され、この励磁コイル2の両側に第1の検出コイル3と第2の検出コイル4とが巻回されている(
図3参照)。
【0025】
図1において、6は非磁性材よりなる円弧状のレバーである。この円弧状のレバー6は、円弧状の管1の一方の開口1cおよび他方の開口1dからその管路中に入り、この管路中の円弧状の可動鉄心5を間に挟んで円環を形成し、この円環の一部が円弧状の管1の外部に露出している。
図5に
図1に示した差動トランス型角度センサ100の平面断面図を示す。
【0026】
本実施の形態において、円弧状のレバー6は、第1の円弧状のレバー6−1と第2の円弧状のレバー6−2とに2分割されており、この2分割された第1の円弧状のレバー6−1と第2の円弧状のレバー6−2とが円弧状の管1の外部に露出した位置で連結部材7によって連結されている。
【0027】
連結部材7は、リング部7−1と、このリング部7−1の外周面に一体的に突出して設けられたフック状の係合部7−2とを有し(
図4参照)、この連結部材7の係合部7−2を第1の円弧状のレバー6−1と第2の円弧状のレバー6−2との分割点に係合させることによって、第1の円弧状のレバー6−1と第2の円弧状のレバー6−2とを連結して円弧状のレバー6としている。
【0028】
連結部材7において、そのリング部7−1の中心は、可動鉄心5を間に挟んで円環を形成する円弧状のレバー6の円環の中心O1に位置している。本実施の形態では、このリング部7−1が電動バルブアクチュエータの出力シャフト(図示せず)に直結される。
【0029】
この差動トランス型角度センサ100では、電動バルブアクチュエータに必要な角度検出範囲を105゜として、円弧状の管1の円弧の角度θ
B、円弧状の可動鉄心5の円弧の角度θ
C、励磁コイル2が巻き付けられる角度範囲θ1,第1の検出コイル3および第2の検出コイル4が巻き付けられる角度範囲θ2などを定めている。
【0030】
この例では、円弧状の管1の円弧の角度θ
Bを245゜、励磁コイル2が巻き付けられる角度範囲θ1を20゜、第1の検出コイル3および第2の検出コイル4が巻き付けられる角度範囲θ2を107.5゜、円弧状の可動鉄心5の円弧の角度θ
Cを127.5゜としてる。
【0031】
この実施の形態では、円弧状の可動鉄心5の円弧の角度θ
Cを127.5゜としているので、円弧状の可動鉄心5と円弧状のレバー6とで円環を形成するためには、円弧状のレバー6の円弧の角度θ
Lを232.5゜とする必要がある。しかし、円弧状のレバー6の円弧の角度θ
Lを232.5゜とすると、円弧状の管1の一方の開口端から他方の開口端までの隙間は360゜−θ
B(245゜)=115゜であるので、この隙間から円弧状のレバー6を円弧状の管1に入れ込むことができない。
【0032】
そこで、本実施の形態では、円弧状のレバー6を第1の円弧状のレバー6−1と第2の円弧状のレバー6−2とに2分割し、この第1の円弧状のレバー6−1および第2の円弧状のレバー6−2の円弧の角度を115゜以下とし、第1の円弧状のレバー6−1と第2の円弧状のレバー6−2とを円弧状の管1に入れ込んだ後、連結部材7によって両者を連結することによって、円弧状の可動鉄心5と円弧状のレバー6とで構成される円環を形成するようにしている。
【0033】
なお、上側の円弧状の管1−1と下側の円弧状の管1−2とで挟むようにして円弧状のレバー6をセットすれば、円弧状のレバー6をわざわざ2分割しなくてもよいように思われる。しかし、そのようにすると、円弧状のレバー6が邪魔になって円弧状の管1に励磁コイル2および検出コイル3,4を巻き付けることができなくなる。
【0034】
すなわち、円弧状の管1の一方の開口端から他方の開口端までの隙間は円弧状の管1に検出コイル3,4を巻き付けるために必要であり、円弧状のレバー6はこの隙間から円弧状の管1に入れ込むことができるように分割しなければならない。なお、円弧状の管1の一方の開口端から他方の開口端までの隙間がなくても円弧状の管1に励磁コイル2および検出コイル3,4を巻き付けるような巻線機が開発されれば、円弧状のレバー6は分割しなくてもよい。
【0035】
この差動トランス型角度センサ100において、電動バルブアクチュエータの出力シャフトに直結された連結部材7は、この出力シャフトと一体となって回転する。これにより、円弧状のレバー6が円弧状の可動鉄心5とともに円弧状の管1の管路に沿って回転する。この円弧状のレバー6の回転によって、円弧状の可動鉄心1の第1の検出コイル3および第2の検出コイル4に対する位置が変化し、第1の検出コイル3および第2の検出コイル4から得られる出力電圧VAおよびVBが変化する。したがって、この第1の検出コイル3および第2の検出コイル4から得られる出力電圧VAおよびVBの差電圧VA−VBの変化から、電動バルブアクチュエータの出力シャフトの回転角度を検出することが可能となる。
【0036】
図6(a)に円弧状のレバー6が時計方向に一杯まで回転した状態を示し、
図6(b)に円弧状のレバー6が反時計方向に一杯まで回転した状態を示す。円弧状のレバー6が時計方向に回転すると、その回転は連結部材7の係合部7−2が円弧状の管1の一方の開口端に形成されたフランジ1aに当接することによって規制される。また、円弧状のレバー6が反時計方向に回転すると、その回転は連結部材7の係合部7−2が円弧状の管1の他方の開口端に形成されたフランジ1bに当接することによって規制される。すなわち、円弧状の管1のフランジ1aおよび1bは、第1の検出コイル3および第2の検出コイル4の巻き止めと円弧状のレバー6の回転止めの2つの役割を果たす。
【0037】
このように、本実施の形態の差動トランス型角度センサ100では、円弧状の管1をコイルの巻軸とし、この円弧状の管1の管路中に円弧状の可動鉄心5を収容し、この円弧状の管1の管路中に円弧状のレバー6を入れ込んで、円弧状の可動鉄心5を間に挟んで円環を形成し、円弧状のレバー6を円弧状の可動鉄心5とともに円弧状の管1の管路に沿って回転させるような構造としているので、回転/直動変換機構などの複雑な機構を必要とせず、構造を簡単として、安価とすることができるようになる。また、小型でコンパクトな構造とし、電動バルブアクチュエータの角度検出に適用することができる。
【0038】
図7(a)に電動バルブアクチュエータへの取り付け用フランジ8を含めた差動トランス型角度センサ100の外観斜視図を、
図7(b)にその平面断面を示す。電動バルブアクチュエータには、このような取り付け用フランジ8を用いて、その出力シャフトに連結部材7のリング部7−1を直結させるようにして、差動トランス型角度センサ100を取り付ける。
【0039】
なお、上述した実施の形態では、電動バルブアクチュエータへの適用例として説明したが、電動バルブアクチュエータへの適用に限られるものではない。本実施の形態の差動トランス型角度センサ100は、適用温度範囲が比較的広く、計測範囲が90゜程度である装置に転用が可能である。
【0040】
また、上述した実施の形態では、円弧状の管1を上下(管路と直交する方向)に2分割するようにしたが、必ずしも2分割しなくてもよく、円弧状の管1を一体物としてもよい。
【0041】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0042】
1…円弧状の管(巻軸)、1−1…上側の円弧状の管、1−2…下側の円弧状の管、1a(1−1a,1−2a)…フランジ、1b(1−1b,1−2b)…フランジ、1c…一方の開口、1d…他方の開口、2…励磁コイル(1次コイル)、3…第1の検出コイル(2次コイル)、4…第2の検出コイル(2次コイル)、5…円弧状の可動鉄心、6…円弧状のレバー、6−1…第1の円弧状のレバー、6−2…第2の円弧状のレバー、7…連結部材、7−1…リング部、7−2…係合部、8…取り付け用フランジ。