【実施例】
【0013】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、
図1および
図2に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤12を着脱可能に保持する本体枠としての中枠13が開閉および着脱可能に組み付けられて、該遊技盤12の裏側に、各種図柄を変動表示可能な図柄表示装置14が着脱可能に配設されている。また、前記中枠13の前面側には、前記遊技盤12を透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透明部材で前後に開口する窓部を覆うよう構成された装飾枠としての前枠15が開閉可能に組み付けられる。前枠15の下部位置には、パチンコ球を貯留する上球受け皿16および下球受け皿17が上下に離間して前枠15と一体的に開閉可能に設けられている。また前枠15には、下球受け皿17の側方に、前記中枠13に配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドル18が設けられ、該操作ハンドル18の回動操作によって打球発射装置が作動されて、前記上球受け皿16に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤12に向けて発射されるようになっている。なお、実施例では、前記図柄表示装置14としては、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の図柄表示装置を採用し得る。
【0014】
(中枠13について)
前記中枠13は、
図2に示す如く、上側縁をなす上枠体13aと、下側縁をなし、スピーカおよび打球発射装置等の各種遊技部品を設置する設置部として機能する合成樹脂製の下枠体13bと、左側縁をなす左枠体13cと、右側縁をなす右枠体13dとから略矩形状に形成されている。そして外枠11に対して中枠13は、互いの正面左側上下に配設されたヒンジ機構で横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられた一般的な施錠装置を利用して常には外枠11と係合された閉鎖状態に保持される。中枠13には、4つの枠体13a,13b,13c,13dにより前後に開口する遊技盤保持部が画成され、該遊技盤保持部に遊技盤12が着脱自在にセット保持される。なお、中枠13は、上下・左右の枠体を一体で形成したものであってもよい。
図1において、遊技盤12の前面に配設されている各種の遊技部品は、後述する案内レール27を除いて図示省略してある。
【0015】
前記パチンコ機10には、
図2に示す如く、前記中枠13の裏側上部(図柄表示装置14の上側)に位置して、設置枠台等に設けられた外部球供給設備から供給されるパチンコ球を貯留する球タンク19が左右方向に延在するよう設けられている。また、中枠13の裏側下部(図柄表示装置14の下側)には、上下の球受け皿16,17に連通する球通出案内部(図示せず)が設けられている。パチンコ機10では、球タンク19と球通出案内部とが、各部材19,21における左側の端部間に架設された球通路ユニット21を介して連通接続されており、該球通路ユニット21に配設された球払出し装置22の駆動により球タンク19に供給されたパチンコ球を上下の球受け皿16,17へ給出し得るよう構成されている。
【0016】
前記中枠13(パチンコ機10)における下枠部13bの裏側には、パチンコ機10の電源制御を行なう電源基板、球通路ユニット21に配設した球払出し装置22を駆動制御する払出し制御基板23、中枠13に設置された打球発射装置を駆動制御する発射制御基板24、外部端末に接続されるインターフェース基板25等が配設されている(
図2参照)。電源基板、払出し制御基板23、発射制御基板24、インターフェース基板25は、遊技盤12の裏側に配設される主制御基板(制御基板)26に配線接続され、この主制御基板26からの制御信号に基づいて所定の制御が実行される。前記中枠13に配設される各種制御基板23,24,25は、何れもケースに収容された状態でユニット化され、該ケースが下枠部13bの裏側の所定位置に取り付けられる。
【0017】
(遊技盤12について)
前記遊技盤12は、合板等の木製板部材の表面にセル板を配設したもの、あるいはアクリル板等の透明な合成樹脂製等からなる平板状の板部材で構成される。遊技盤12の前面には、案内レール27によって遊技領域12aが画成され、前記中枠13に配設された打球発射装置から発射されたパチンコ球が遊技領域12a内に打ち出され、該遊技領域12a内をパチンコ球が流下して遊技が行なわれる。また遊技盤12の前面には、図示しないが、遊技領域12a内に枠状装飾部材、パチンコ球が入賞可能な始動入賞装置、特別入賞装置、普通入賞装置等の各種入賞装置および多数本の遊技釘や風車等の各種遊技部品が配設されている。遊技盤12の裏側には、図柄表示装置14、可動演出装置および発光装置等の各種の遊技部品が配設される合成樹脂材で形成された設置部材28が配設される。そして、設置部材28に形成された前後に開口する開口部および枠状装飾部材に形成した窓口を介して図柄表示装置14の表示部を前面側から視認し得るよう構成されている。
【0018】
前記始動入賞装置は、遊技領域12aを流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞口が設けられ、該始動入賞口へ入賞したパチンコ球が始動入賞センサで検出されることで、図柄表示装置14の表示部で図柄変動が開始されると共に、所定数(例えば5個)のパチンコ球が賞球として前記上下の球受け皿16,17に払い出される。また、前記特別入賞装置は、入賞口が開閉扉で常には閉鎖されており、前記図柄表示装置14での図柄変動の結果、図柄表示装置14に所定の図柄組み合わせ(例えば同一図柄の三つ揃い等)で図柄が停止表示されることで所謂「大当り」が発生し、これにより開閉扉が開放するよう作動制御されて、入賞口への入賞により多数の賞球を獲得し得るようになっている。
【0019】
前記設置部材28に着脱可能に配設される図柄表示装置14には、該図柄表示装置14における液晶パネルの表示を制御する演出表示制御基板29が、ケースに収容されて後面に配設されている(
図2参照)。また、図柄表示装置14の後面には、パチンコ機10を発光演出する発光装置を発光制御したり、スピーカの効果音出力制御を行なう統括制御基板30が、ケースに収容されて演出表示制御基板29と並んで配設されている。パチンコ機10では、制御基板同士または制御基板と遊技部品である入賞装置の入賞センサ、図柄表示装置14、発光装置、スピーカ、図示しない可動体のモータやソレノイド等がハーネスを介して電気的に接続される。
【0020】
前記設置部材28の裏側下部(図柄表示装置14の配設位置の下側)に、パチンコ機10の遊技を総合的に制御する主制御基板26が配設されている。この主制御基板26には、制御動作を所定の手順で実行することができる主制御用CPU、主制御用CPUの制御プログラムを格納する主制御用ROMおよび必要なデータの書き込み及び読み出しができる主制御用RAM等の電子部品(何れも図示せず)が設けられている。主制御用CPUには、始動入賞口に入賞したパチンコ球を検知した始動入賞センサからの検知信号、特別入賞口に入賞したパチンコ球を検知した特別入賞センサからの検知信号、および普通入賞口に入賞したパチンコ球を検知した普通入賞センサからの検知信号等が入力される。主制御用CPUは、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数や変動パターン振分用乱数などの各種乱数の値を所定の周期毎に更新し、更新後の値を主制御用RAMの設定領域に記憶(設定)することで更新前の値を書き換えている。例えば、主制御基板26では、始動入賞センサから検知信号が入力されると、主制御用CPUが主制御用RAMから大当り判定用乱数を取得し、この大当り判定用乱数と主制御用ROMの大当り判定値とを比較し、大当りとするか否かの大当り抽選(大当り判定)を行なう。また主制御基板26では、前記大当り判定の結果が大当りの場合には、大当り演出のみが含まれる変動パターンテーブルから大当り演出を決定する。これに対して、前記大当り判定の結果がはずれの場合には、はずれ演出のみが含まれる変動パターンテーブルからはずれ演出を決定する。大当り演出およびはずれ演出の決定は、前記大当り判定と同様に、主制御用CPUが主制御用RAMから取得した乱数により行なう。なお、変動パターンテーブルから決定される大当り演出およびはずれ演出の変動パターンは、少なくとも図柄変動ゲームの変動時間および演出内容を特定するものである。
【0021】
前記パチンコ機10では、主制御基板26の抽選結果に応じて出力された統括制御基板30の制御信号に基づいて、演出表示制御基板29が図柄表示装置14を所定の演出表示させると共に、主制御基板26の制御により出力された払出し制御基板23の制御信号に基づいて、前記球払出し装置22によって所定数の賞球が払い出される。また、パチンコ機10では、統括制御基板30の制御信号に基づいて、各発光装置を発光させ、スピーカから効果音を出力するようになっている。このように、主制制基板26は、パチンコ機10の遊技および賞球の払出しを司る極めて重要な基板である。
【0022】
前記主制御基板26は、不正なプログラムが記憶されたROMを搭載した不正なものと交換されることを防ぐために、前半体と後半体とからなる基板ケース31に収容される。前半体および後半体は、開封方向への回転が困難に形成されたねじで連結することで、主制御基板26を封入し、前記ねじによる締結部位を破壊しない限り基板ケース31の開放を阻止する構成を採用することで、主制御基板26の不正交換を抑止するようにしている。実施例では、主制御基板26を基板ケース31に収容したものを主制御装置(制御装置)32と指称する。
【0023】
(ベース部材33について)
前記設置部材28の裏側下部(図柄表示装置14の下側)に、主制御装置32の設置部となるベース部材33が着脱自在に配設されている。
図3〜
図6に示す如く、このベース部材33における左右方向の一端(実施例では左端)に、外側方に突出する第1の係合突部34が設けられると共に、該ベース部材33における左右方向の他端(実施例では右端)に、外側方に突出する第1の固定部35が設けられている。これに対し、前記設置部材28の裏面には、第1の係合突部34に対応する位置に、後方に突出する受部36が形成されると共に、該受部36における右側面には、設置部材28の裏面との間に所定の隙間を画成するよう右方に向けて延出する被係合受部36aが上下に離間する2箇所に設けられている。そして、第1の係合突部34を被係合受部36aの右方に臨ませたベース部材33を設置部材28に対して左側へ移動することで、設置部材28の裏面と被係合受部36a,36aとの間に第1の係合突部34が挿入され、これによってベース部材33の左端部が設置部材28に対して係止されるよう構成される。なお、第1の係合突部34の裏面には、該第1の係合突部34が一対の被係合受部36a,36aと設置部材28の裏面との間に挿入された状態で、両被係合受部36a,36aの間に嵌合する規制突部34aが設けられ、該規制突部34aと両被係合受部36a,36aとによってベース部材33の上下方向の移動が規制されるようになっている。
【0024】
前記設置部材28には、
図3,
図4または
図7に示す如く、前記受部36から右方に離間して第1の被固定部37が設けられ、前記第1の係合突部34が被係合受部36a,36aと設置部材28の裏面との間に挿入された係止状態で、ベース部材33に設けた前記第1の固定部35が設置部材28の第1の被固定部37の後側に整合するよう構成される。そして、第1の固定部35と第1の被固定部37とを連結具38によって連結することで、ベース部材33は設置部材28に位置決め固定されるようになっている。
【0025】
(主制御装置32について)
前記設置部材28に位置決め固定した前記ベース部材33の裏側に、前記主制御装置32が取り付けられる。主制御装置32を構成する基板ケース31には、
図3または
図6に示す如く、左右方向の一端(実施例では左端)に、外側方に突出する第2の係合突部(係合突部)39が設けられると共に、該基板ケース31における左右方向の他端(実施例では右端)に、外側方に突出する第2の固定部(固定部)40が設けられている。これに対し、前記ベース部材33の裏面には、第2の係合突部39に対応する位置に、該第2の係合突部39を挿脱可能な差込み受部41が後方へ突出するよう形成される。この差込み受部41には、右側(後述する第2被固定部側)に開口する係合孔41aが開設され、第2の係合突部39を差込み受部41の右方に臨ませた基板ケース31をベース部材33に対して左側へ移動することで、差込み受部41の係合孔41aに第2の係合突部39が挿入されて差込み受部41に係合し、これによって基板ケース31の左端部がベース部材33に対して係止されるよう構成される。
【0026】
前記ベース部材33には、
図3〜
図5に示す如く、前記差込み受部41から右方に離間して第2の被固定部(被固定部)42が設けられ、前記第2の係合突部39が差込み受部41の係合孔41aに挿入された係止状態で、基板ケース31に設けた前記第2の固定部40がベース部材33の第2の被固定部42の後側に整合するよう構成される。そして、第2の被固定部42に第2の固定部40を固定具43によって固定することで、基板ケース31(主制御装置32)はベース部材33に位置決め固定されるようになっている。
【0027】
(固定具43について)
前記ベース部材33と基板ケース31(主制御装置32)とを固定する前記固定具43は、出没式の固定具であって、
図7に示す如く、前記第2の固定部40の後側に操作部43aが位置すると共に、該第2の固定部40の前側に係止部43bが位置する状態で第2の固定部40に支持されている。この固定具43は、操作部43aを前方に向けて押圧操作すると、係止部43bが拡開する固定位置へ変位し、操作部43aを後方に向けて引っ張り操作することで係止部43bが縮小する固定解除位置へ変位するよう構成される。そして、前記固定具43を固定解除位置に保持した状態で第2の被固定部42に設けた固定筒部42aの後方に向けて開口する孔に係止部43bを挿入し、この状態で固定具43の操作部43aを押圧操作して係止部43bを固定位置へ変位させることで、係止部43bと固定筒部42aとが係合して第2の固定部40が第2の被固定部42に固定されるよう構成される。また、前記固定具43の操作部43aを引っ張り操作して係止部43bを固定解除位置へ変位させることで、係止部43bと固定筒部42aとの係合が解除されるようになっている。
【0028】
(通孔44,46について)
前記基板ケース31における第2の固定部40には、前記固定具43の支持部位に隣接して前後方向に貫通する第1通孔44が形成されている。この第1通孔44は、
図6に示す如く、該第1通孔44を画成する右内側面が前側から後側に向かうにつれて左内側面から離間するように傾斜することで、該第1通孔44は前側から後側に向かうにつれて拡開するよう設定される。また、前記設置部材28の裏面には、
図4または
図6に示す如く、ベース部材33に位置決め固定した基板ケース31の第1通孔44(第2の固定部40)から右方に離間した位置に、後方に突出する保持部45が設けられ、該保持部45に、左右方向(第1通孔44に対する近接・離間方向)に貫通する第2通孔46が形成されている。そして、第1通孔44および第2通孔46に挿通されて環状とした合成樹脂製の締結バンド47によって、基板ケース31(主制御装置32)が設置部材28に対して取り外しが困難となる状態で連結される。
【0029】
前記保持部45は、
図4〜
図6に示す如く、前記設置部材28の裏面から突出する台部45aと、該台部45aにおける左右方向の中間から後方に突出するアーチ部45bとを備え、台部45aの後面とアーチ部45bとによって前記第2通孔46が画成される。また、保持部45には、台部45aの後面における上下の端縁部に沿って、後方に延出するガイド壁45cが夫々形成され、両ガイド壁45c,45cによって締結バンド47の第2通孔46への挿通を案内するよう構成される。なお、基板ケース31を設置部材28に位置決め固定した状態での第1通孔44の前側の開口位置は、
図6に示す如く、前記保持部45の台部45aにおける後面より後方に位置している。
【0030】
(締結バンド47について)
前記締結バンド47は、
図8〜
図11に示す如く、細長状のバンド本体48と、該バンド本体48の一端側(以後、挿入端側と称す)に設けた係合部49と、前記バンド本体48の他端側に設けた締結部50と、該締結部50に形成した締結孔50a内に設けられ、前記係合部49に係合可能な被係合部51とを備えている。バンド本体48は、前記第1通孔44および第2通孔46における内部の上下幅より細幅に設定された挿入部48aと、該挿入部48aより幅広に設定されて締結部50から挿入端側に向けて所定長さで延在する規制部48bとを備え、該バンド本体48は、前記第1通孔44および第2通孔46に挿通可能な幅寸法に設定されている。なお、挿入部48aは、規制部48bより厚みが小さく設定された薄肉部および厚みが大きく設定された厚肉部を備え、該挿入部48aは薄肉部が規制部48bに接続されて該薄肉部において板厚方向に折り曲げ易くなっている。実施例の規制部48bは、挿入部48aの数倍(実施例では約3倍)の幅寸法に設定されると共に、該規制部48bの厚みは前記の如く挿入部48aの薄肉部より厚く設定されて、規制部48bは、挿入部48aより板厚方向へ折り曲げ難く構成されている。また、挿入部48aの所定位置に、後述する挿入口部50b(
図10,
図11参照)を塞ぐ蓋部52が設けられると共に、該蓋部52より挿入端側(締結部50から離間する側)に前記係合部49が設けられている。
【0031】
前記係合部49は、挿入部48aにおける厚み方向一方の面(締結バンド47を環状とした際に内側となる裏面)に突設されて挿入部48aにおける挿入端から他端に向かうにつれて突出量が大きくなる三角形状に形成される(
図10参照)。また係合部49の幅は、挿入部48aの幅と同一に設定される。なお、挿入部48aの裏面における係合部49と前記蓋部52との間に、該係合部49と略同一形状の第1係合片53が突設されると共に、挿入部48aにおける厚み方向の他方の面(締結バンド47を環状とした際に外側となる表面)には、係合部49と対応する位置に第2係合片54が突設されている。第2係合片54は、挿入部48aの幅寸法より小さい幅で、該挿入部48aの幅方向の略中間に設けられる。また、前記係合部49、蓋部52、第1係合片53および第2係合片54は、挿入部48aにおける前記厚肉部に設けられて、該係合部49、蓋部52、第1係合片53および第2係合片54が締結部50の対応箇所に係合した状態で、厚肉部の変形を困難にして係合が解除されるのを抑制し得るようになっている。
【0032】
前記締結部50は、
図8〜
図10に示す如く、前記規制部48bの他端に連設されて、該規制部48b(バンド本体48)の表面(第2係合片54が設けられる側)から所定長さで突出する柱状の部分であって、該締結部50は、前記第1通孔44および第2通孔46に挿通不能な大きさに設定されている。また締結部50には、バンド本体48の表裏方向に貫通する前記締結孔50aが穿設される。締結孔50aは、前記挿入部48aが挿入可能な寸法に設定された角孔であって、裏面側の開口部分には、開口寸法が前記挿入部48aに設けた蓋部52を収容可能な寸法に設定された挿入口部50bが形成されている。また締結部50には、締結孔50aの内部におけるバンド本体48が延出する側に対応する一方の内側面(
図10において左側の内側面)に、前記係合部49が係合可能な被係合部51が設けられている。更に、締結部50には、締結孔50aの内部における被係合部51が設けられる内側面と対向する他方の内側面に、前記挿入口部50bから被係合部51と対向する位置までの間に延在する係合溝50cが形成され、該係合溝50cに前記第2係合片54が挿入されるようになっている。
【0033】
前記締結バンド47は、
図11に示す如く、前記締結孔50aに対して挿入口部50bから挿入部48aの挿入端側を挿入し、係合部49が被係合部51に係合したときに、係合溝50cに挿入された第2係合片54が係合溝50cの底部分に当接して位置規制されると共に、前記第1係合片53の突出端が締結孔50aの一方の内側面に当接した状態で、挿入部48aの厚み方向への変位(被係合部51と係合部49との係合が解除される方向の変位)が規制されて、被係合部51と係合部49とが係合保持される。これにより、締結孔50aに挿入した挿入部48aの締結孔50aからの抜き外しは極めて困難となり、挿入部48aを締結孔50aから抜け止め状態に保持し得るようになっている。また、前記被係合部51と係合部49とが係合した状態において、挿入部48aに設けた前記蓋部52が挿入口部50bに収容されて該挿入口部50bを塞ぎ、締結孔50aに対してドライバー等の工具を挿入口部50b側から差し込んで被係合部51と係合部49との係合状態を解除する行為を防止し得るよう構成される。
【0034】
なお、前記締結孔50aにおける挿入口部50bとは反対側の口部における被係合部51および係合溝50cが設けられる内側面間の離間寸法は、係合部49および第1係合片53が設けられている部位の挿入部48aの挿通を許容しない値に設定されている。また、被係合部51と係合部49とが係合した状態で、前記挿入部48aの挿入端側は、締結孔50aにおける挿入口部50bとは反対側の口部から外方に所定長さだけ延出すると共に、該口部を画成する内側面と挿入部48aの外面との間に画成される隙間は極僅かとなるよう設定される。
【0035】
前記締結部50の他端側から規制部48bの一端側までの長さは、基板ケース31の第2の固定部40に形成した前記第1通孔44と、設置部材28の保持部45に形成した第2通孔46との離間距離より長く設定される。より具体的には、第1通孔44が形成された第2の固定部40と第2通孔46が形成された保持部45(アーチ部45b)との対向する端縁部間の離間距離より、規制部48bと締結部50とを足した長さ(より具体的には、締結部50の締結孔50aにおける規制部48b側の端縁から規制部48bと挿入部48aの薄肉部との接続部までの長さ)が長くなっている。前記挿入部48aより幅広で、かつ該挿入部48aの薄肉部より肉厚に設定された規制部48bは、挿入部48aより板厚方向に折り曲げ難くなっており、該規制部48bを折り曲げつつ第1通孔44や第2通孔46に挿通するように締結バンド47を回転して該締結バンド47の姿勢を自由に変化させるのを規制し得るよう構成されている。
【0036】
(識別部55について)
前記締結バンド47には、赤外線の照射を受けて、目視できない赤外線波長域で発光して(赤外線を発して)専用の検査装置57(
図12,
図13参照)により検知可能となる識別部55が設けられている。以下の説明において、識別部55に外部から照射される赤外線を「入射赤外線」といい、入射赤外線によって識別部55から発せられる赤外線を「励起赤外線」という。実施例の識別部55は、所定波長域の入射赤外線によって励起されて入射赤外線と異なる特定波長域で発光するよう構成され、例えば識別部55は、800nmの入射赤外線に励起されて、1000nmの励起赤外線を発するようになっている。
【0037】
前記識別部55は、入射赤外線によって励起されて入射赤外線と異なる特定波長域で発光する赤外線インクが混練された部位であって、該識別部55は、無色透明あるいは付与対象となる締結バンド47と同色とされて、締結バンド47の外観に影響を与えないよう構成するのが望ましい。赤外線インクは、ZnSを母体とし、Nd等の発光中心をド−プした蛍光体や、WO4、P4O12、Mo4O16等の酸化物にNd等をド−プした蛍光体や、Ndの一部をY、Sc、La、Ce等で置換した蛍光体等を備える。なお、識別部55は、蛍光体からなる識別材を付着させるバインダとして、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂等の樹脂を含んでいてもよく、このバインダは赤外線の透過を妨げるものではない。なお、識別部55は、入射赤外線が照射されると当該入射赤外線を反射や吸収等して、入射赤外線と異なる波長域の励起赤外線を返す構成であってもよい。
【0038】
実施例では、識別部55は締結バンド47と同色であって、締結バンド47において識別部55が形成されている部位と識別部55が形成されていない部位との見分けが付かないようになっている。また実施例では、前記規制部48bの表面側に設けられた複数の識別部55の配置によって、識別情報パターンを形成している(図面では、バンド表面から突出した丸や三角で各識別部55を表示しているが、バンド表面から突出しないものであってもよい)。なお、識別部55により形成される識別情報パターンとしては、文字、模様、図形、線や点等の配列などを選択することができる。また、識別部55は、設置部材28と基板ケース31とを連結した状態の締結バンド47において後側に臨む規制部48bに設けられて、検査装置57での検査を容易に行ない得るようにしてある。
【0039】
(検査装置57について)
次に、識別部55の適否を検査する検査装置57について説明する。
図12および
図13に示すように、検査装置57は、識別部55に対して入射赤外線を照射する照射部58と、識別部55が発する励起赤外線を検知する検知部59と、この検知部59で検知された励起赤外線を予め設定された照合基準と照合する照合部60と、この照合部60の照合結果に基づいて所定の情報を外部に報知する報知部61とを備えている。また、検査装置57は、検査者が指先操作可能な操作部62を備え、この操作部62の操作によって照射部58による入射赤外線の照射または照射停止を操作し得るようになっている。なお、検査装置57では、締結バンド47の外側から入射赤外線を照射して、識別部55から発せられた励起赤外線に基づいて検査が行われる。検査装置57は、ハウジング57aに収納された電池(図示せず)の電力によって、照射部58、検知部59、照合部60および報知部61を作動している。
【0040】
図12に示すように、検査装置57は、携帯可能なサイズのハウジング57aに、照射部58、検知部59、照合部60、報知部61および操作部62が設けられてユニット化されており、検査者が検査装置57を持ち運んで、締結バンド47を検査し得るようになっている。なお、実施例のハウジング57aは、矩形箱状に形成されている(
図12参照)。検査装置57は、照射部58および検知部59が、ハウジング57aの端面(検査端面という)に臨むように設けられ、検査装置57は、検査端面を締結バンド47に向かい合わせて検査を行なうようになっている。
【0041】
前記照射部58は、入射赤外線を締結バンド47に対して照射するものであって、例えば発光ダイオードが用いられる。実施例の照射部58は、識別部55を構成する識別材が反射・吸収・発光させることができる一定波長域の入射赤外線を、操作部62のON操作に基づいて連続的に照射するよう構成され、操作部62のOFF操作により照射を停止するようになっている。
【0042】
前記検知部59は、ハウジング57aにおける照射部58が臨む端面と同じ面に臨むように設けられ、照射部58から照射された入射赤外線によって励起された識別材の励起赤外線を検知するようになっている。検知部59としては、フォトダイオード、フォトトランジスタあるいはCCD等を用いることができ、実施例では検知部59としてフォトダイオードが採用されている。また、検知部59は、識別部55が発する特定波長域の赤外線だけを透過するフィルタが設けられて、検知部59は該特定波長域の赤外線を検知するよう構成されている。ここで、照射部58から照射した入射赤外線が識別部55以外の部位で反射や吸収(変調)されることで、照射した入射赤外線の波長のまま等、識別材が発する特定波長域以外の赤外線が、検査対象から返ってくることが考えられる。実施例の検知部59のように、照射部58からの入射赤外線(例えば800nm)に励起されて識別部55が発する特定波長域(例えば1000nm)だけを検知するよう構成することで、識別部55以外を検知してしまう誤検知を防止できる。
【0043】
前記照合部60は、検知部59と電気的に接続されており(
図13参照)、検知部59から励起赤外線の検知信号が入力されるようになっている。照合部60は、フィルタによって透過された特定波長域の励起赤外線の検知受光強度を数値化する変換手段60aと、照合基準が設定・記憶され、変換手段60aで数値化された検知信号値と照合基準とを比較して適否を判断する比較判定手段60bとを備えている。実施例の比較判定手段60bには、適正な識別部55が付与された締結バンド47に対して照射部58から入射赤外線を照射した際に、検知部59で検知されるべき受光強度の検出信号の値(設定受光強度)が、識別材の付与量の変動や照射部58における入射赤外線の照射強度のばらつき、入射赤外線の安定度や減衰等を考慮した所定の幅を持たして記憶されている。比較判定手段60bは、変換手段60aで数値化された検知受光強度の値と設定受光強度の値とを比較し、検知受光強度の値が設定受光強度の値以上であれば、報知部61に良判定信号を出力する。これに対し、比較判定手段60bは、変換手段60aで数値化された検知受光強度の値と設定受光強度の値とを比較し、検知受光強度の値が設定受光強度の値を下回れば、報知部61に対して何も信号を出力しない。また、比較判定手段60bは、変換手段60aで数値化された検知受光強度の値と設定受光強度の値とを比較し、検知受光強度の値が設定受光強度の値以上であっても、予め比較判定手段60bに設定された所定の上限値(上限値>設定受光強度)よりも検知受光強度が高ければ、報知部61に対して何も信号を出力しない。
【0044】
前記報知部61は、LED等からなる発光手段61aと音出力手段61bとを備え、正常および異常の少なくとも一方の情報を、光と音との両方によって報知し得るよう構成されている。報知部61は、比較判定手段60bから良判定信号が入力されると、発光手段61aを発光すると共に、ビープ音等の機械音や音声等が音出力手段61bから出力され、検査者は報知部61による光および音の報知によって検査対象が正規品であると判断できる。これに対して、報知部61は、比較判定手段60bから良判定信号が入力されないと、発光手段61aを消灯すると共に音出力手段61bから何も出力されないので、検査者は報知部61の無反応により検査対象が正規品ではないと判断できる。また、締結バンド47において識別部55により識別情報パターンが形成されている場合は、締結バンド47の表側に沿って検査装置57の検査端面を動かすことで、検知される励起赤外線によって所定の識別情報パターンの報知がなされ、この報知パターンによっても正規品か否かを判別できる。
【0045】
前記検査装置57は、設置部材28と基板ケース31とを連結した締結バンド47の識別部55に合わせて、照射部58から照射する入射赤外線の波長域や、入射赤外線と異なる波長域の励起赤外線を検知するため検知部159、照合部60の照合基準が設定されている。このように、締結バンド47とこの締結バンド47を検査可能な検査装置57とは、関連付けられており、締結バンド47と検査装置57とによって検査システムが構成される。なお、実施例の検査装置57は、締結バンド47から離した状態で検査を行なえるので、締結バンド47に合わせて特別な形状とすることも特に必要はなく、汎用性が高い。
【0046】
(ベース部材33のガイド部56について)
前記ベース部材33には、前記基板ケース31の第2の固定部40と、設置部材28の保持部45との間に臨む位置に、前記締結バンド47における挿入部48aの第1通孔44への挿通を案内するガイド部56が設けられている。このガイド部56は、
図5に示す如く、左右方向に延在する案内面56aと、該案内面56aの上下の端縁部に沿って形成されて後方に延出する一対のガイド片56b,56bとを備え、該案内面56aと一対のガイド片56b,56bとにより後方および左右方向に開口する案内溝56cが形成されている。前記案内面56aおける保持部側の端部は、
図6に示す如く、保持部45における台部45aの後面より前側に位置すると共に、該案内面56aにおける第2の固定部側の端部は第2の固定部40の前側に臨んでいる。また、案内面56aにおける第2の固定部側の所定領域は、第2の固定部40に近接するにつれて後方に湾曲するよう形成されると共に、その端部は第1通孔44を画成する前記右内側面より内側(右側)に位置するよう設定される。これにより、前記第2通孔46に右側から挿通された締結バンド47の挿入部48aを案内面56aで案内して第1通孔44にスムーズに挿通させ得るよう構成される。
【0047】
前記各ガイド片56a,56aは、前記保持部45の対応するガイド壁45c,45cと左右方向に整列するよう形成され、前記第2通孔46に右側から挿通された締結バンド47の挿入部48aが上下に変位するのを一対のガイド片56a,56aで規制するよう構成される。また、一対のガイド片56a,56aにおける第2の固定部40の前側に臨む端部は、前記第1通孔44の内側に臨むよう設定され、該ガイド片56a,56aで位置規制されつつ移動する挿入部48aを第1通孔44に確実に案内し得るようになっている。
【0048】
(実施例の作用)
次に、実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0049】
前記設置部材28に対してベース部材33を取り付けるに際しては、設置部材28の裏面にベース部材33の前面を対向すると共に、前記第1の係合突部34を設置部材28に設けた前記被係合受部36aの右方に臨ませた状態で、該ベース部材33を設置部材28に対して左側へ移動することで、設置部材28の裏面と被係合受部36a,36aとの間に第1の係合突部34が挿入され、これによってベース部材33の左端部が設置部材28に対して係止される。また、第1の係合突部34に設けた規制突部34aが一対の被係合受部36a,36aの間に嵌合し、当該ベース部材33の左端部は左方、前後および上下方向への移動が規制された状態で設置部材28に対して位置決めされる。このとき、ベース部材33の第1の固定部35が、設置部材28の第1の被固定部37の後側に整合するので、該第1の固定部35に支持している連結具38によって第1の被固定部37に第1の固定部35を連結することで、設置部材28に対してベース部材33は所定位置に位置決め固定される。なお、連結具38による連結を解除することで、ベース部材33を設置部材28から取り外すことができる。
【0050】
前記設置部材28に位置決め固定したベース部材33に主制御装置32を取り付けるに際しては、ベース部材33の裏面に前記基板ケース31の前面を対向すると共に、前記第2の係合突部39をベース部材33に設けた前記差込み受部41の右方に臨ませた状態で、該基板ケース31をベース部材33に対して左側へ移動することで、差込み受部41の係合孔41aに第2の係合突部39が挿入され(
図6参照)、これによって基板ケース31の左端部が設置部材28に対して左方、前後および上下方向への移動が規制された状態でベース部材33に位置決めされる。このとき、基板ケース31の第2の固定部40が、ベース部材33の第2の被固定部42の後側に略整合しており、基板ケース31の右端部をベース部材33に近接することで、該第2の固定部40に支持している固定具43の係止部43bが前記第2の被固定部42における固定筒部42aの孔に挿入される(
図7参照)。そして、この状態で固定具43の操作部43aを押圧することで、前記係止部43bが固定位置へ変位して固定筒部42aと係合し、基板ケース31(主制御装置32)はベース部材33に位置決め固定される。
【0051】
次に、前記基板ケース31と設置部材28とを締結バンド47で連結する工程を説明する。前記締結バンド47の表面を設置部材28の裏面に対向する姿勢とした状態で、該締結バンド47における挿入部48aの挿入端を、前記保持部45における台部45aの後面に当接した状態で左方に移動させる。台部45aには、上下端縁に沿ってガイド壁45c,45cが設けられているので、挿入部48aは上下のガイド壁45c,45cによって上下方向に大きく変位することなく第2通孔46に確実に挿通される。第2通孔46を挿通した挿入部48aの挿入端は、引続き前記ガイド部56の案内面56aおよびガイド片56b,56bで案内されつつ左方に移動し、前記第1通孔44に挿通されて第2の固定部40から後方に延出する。なお、台部45aの後面に対してガイド部56の案内面56aにおける台部側の端部は前側に位置すると共に、第1通孔44における第2通孔46から離間する側に傾斜している内側面に対して案内面56aの第1通孔側の端部は第1通孔44の内側に変位しているので、台部45aの後面および案内面56aに沿って案内される挿入部48aの挿入端が、ガイド部56の側端や第2の固定部40の前面に突き当たることなくスムーズに第1通孔44に挿通される。すなわち、保持部45のアーチ部45bや第2の固定部40の存在によって作業者が締結バンド47を第1および第2通孔44,46に挿通する作業を行なう側(設置部材28の裏側)から通孔44,46と挿入部48aとの関係が見え難い構成であっても、該挿入部48を両通孔44,46に簡単に挿通することができ、作業性がよい。
【0052】
前記第2の固定部40から後方に延出した挿入部48aを、前記締結部50の締結孔50aに挿入口部50b側から挿入する。そして、締結孔50aにおける挿入口部50bと反対側の口部から外方に延出した挿入部48aを更に引っ張ることで、該挿入部48aに設けた前記係合部49が締結孔50a内の被係合部51に係合する。係合部49が被係合部51に係合した状態では、
図11に示す如く、前記係合溝50cに挿入された第2係合片54が係合溝50cの底部分に当接して位置規制されると共に、前記第1係合片53の突出端が締結孔50aの一方の内側面に当接して、被係合部51と係合部49との係合が解除される方向への挿入部48aの変位が規制される。すなわち、締結バンド47は、第1通孔44と第2通孔46とに挿入部48aが挿通された環状になった状態で、該挿入部48aを締結孔50aから抜き外すのは困難な状態に保持される。これにより、締結バンド47を切断して通孔44,46から引き抜かない限り、ベース部材33(設置部材28)に対して主制御装置32(基板ケース31)を取り外すのは困難となり、主制御装置32を不正に取り外して偽装品と交換するのを抑制し得る。また、締結バンド47を切断した場合は、新しい締結バンドを取り付けない限り、該バンドが無いことによって不正の痕跡が残るので、不正行為を発見することが容易である。
【0053】
更に、前記締結バンド47は、入射赤外線によって励起された励起赤外線を発する識別部55を備えているので、該締結バンド47に向けて入射赤外線を照射することで、正規品の締結バンド47であれば、識別部55が赤外線領域で発光するのに対し、外観だけを模倣して識別部を備えていない不正な締結バンドに交換されていれば、照合基準を満たす赤外線は該締結バンドから発せられない。すなわち、識別部55によって発せられる励起赤外線を検知して照合基準と照合することで、入射赤外線を照射した締結バンド47が正規品であるか否かを簡単に確認でき、正規の締結バンド47によって連結された主制御装置32であれば正規品であることが判る。ここで、識別部55は、入射赤外線と異なる波長域の励起赤外線を発するようにすれば、照射した入射赤外線の単なる反射と区別することができ、識別部55を精度よく検知し得る。
【0054】
実施例の識別部55は、入射赤外線によって励起されて励起赤外線を発するので、入射赤外線の照射の有無にかかわらず、識別部55自体が目視できず、仮に赤外線を照射したとしても専用の検査装置57を保有していない者は、識別部55の存在が分からない。このように、識別部55は、入射赤外線または入射赤外線以外の光線(可視光や紫外線)をあてても、人の目で識別可能な態様で識別部55が発光しないので、不正行為対策を行っていること自体が気づかれ難く、不正行為者の締結バンド47の偽造をより困難にすることができる。
【0055】
前記締結バンド47は、識別部55を所定パターンで形成することで、識別部55から発せられる励起赤外線により形成される識別情報パターンによっても、締結バンド47が正規品であるか否かを判別することができる。また、識別部55の識別情報パターンを、例えばロットや機種や構成部材等で変更することで、これらロットや機種や構成部材等に合わせた識別情報パターン情報を有している者だけが締結バンド47の真贋判定を行なうことができ、不正行為者の複製等の不正行為をより困難にすることができる。なお、実施例の締結バンド47では、板厚方向に折れ曲がり難く、かつ設置部材28と基板ケース31とを連結した状態で後側に臨む規制部48bに識別部55を設けたので、他の部品等が邪魔となることはなく、識別部55に入射赤外線を照射する真贋判定が容易となる。
【0056】
ここで、不正行為者が締結バンド47を切断することなく、前記被係合部51と係合部49との係合を無理矢理解除して挿入部48aを締結孔50aから抜き外すことが考えられる。この場合において、前記挿入部48aの挿入端側が締結孔50aから延出する側の口部の開口寸法は小さく、該口部側から工具を差し込んで被係合部51と係合部49との係合状態を解除するのは極めて困難である。また、実施例の締結バンド47は、
図6に示す如く、保持部45および第2の固定部40の後側に臨む締結部50および規制部48bは厚み方向に折り曲げ難く、かつ締結部50と規制部48bとを足した長さが、前記第1通孔44が形成された第2の固定部40と第2通孔46が形成された保持部45(アーチ部45b)との対向端部間の離間距離より長く設定されている。従って、規制部48bを無理矢理折り曲げつつ第2通孔46および第1通孔44に挿通するように締結バンド47を回転し、締結孔50aの挿入口部50bを保持部45および第2の固定部40の後側(不正行為者が工具を締結孔50aに差し込もうとする行為を行ない易い側)に臨ませることは困難であり、不正行為を抑制することができる。なお、仮に挿入口部50bを保持部45や第2の固定部40の後側に臨ませることができたとしても、該挿入口部50bは前記蓋部52で塞がれているので、工具を締結孔50aに差し込んで被係合部51と係合部49との係合状態を強制的に解除するのは極めて困難であり、不正行為を確実に抑制し得る。
【0057】
また、前記締結部50の締結孔50aに挿通されている挿入部48aにおける前記係合部49、蓋部52、第1係合片53および第2係合片54の形成部位は肉厚に形成されて板厚方向への折り曲げは困難に構成してあるので、工具による被係合部51と係合部49との係合状態を強制的に解除するのをより困難にしている。但し、挿入部48aにおける規制部48bと、係合部49、蓋部52、第1係合片53および第2係合片54が形成される厚肉部とを、該厚肉部より厚みの薄い所定長さ寸法の薄肉部で連結しているので、板厚方向に曲がり難い規制部48bや厚肉部を設けても、締結バンド47を環状にする際には薄肉部が曲がることで作業性が低下することはない。
【0058】
(別実施例について)
図14は、主制御装置32と設置部材28とを連結する部分の別実施例を示すものであって、基本的な構成は前記実施例と同じであるので、実施例と同一の部材や部分には同じ符号を付して異なる部分についてのみ説明する。
【0059】
別実施例では、
図14に示す如く、設置部材28に基板ケース31(主制御装置32)を位置決め固定した状態で、設置部材28の保持部45に基板ケース31の第2の固定部40が隣接するよう構成される。なお、保持部45と第2の固定部40とを隣接することで、実施例のガイド部56は省略されている。そして、基板ケース31に形成した第1通孔44および保持部45に形成した第2通孔46に挿通して環状とした締結バンド47で保持部45と第2の固定部40とを連結した状態では、締結バンド47の内側と保持部45および第2の固定部40との間に略隙間がないよう構成される。すなわち、締結バンド47で連結した状態で保持部45に対して第2の固定部40が移動し得る範囲は僅かであって、別実施例では前記固定具43の係止部43bが第2の被固定部42の固定筒部42aから抜き外すことができない寸法に設定される。これにより、基板ケース31を設置部材28から後方へ離間する移動が締結バンド47によって規制され、固定具43の係止部43bを第2の被固定部42の固定筒部42aから抜き外すことを阻止し得る。従って、基板ケース31を横方向(右方向)に移動して前記第2の係合突部39を係合孔41aから抜き外すことができず、設置部材28に締結バンド47で基板ケース31を連結させた状態のまま、該基板ケース31を設置部材28から取り外す不正行為を抑制し得る。また、第2の固定部40から固定具43が取り外されたとしても、保持部45と第2の固定部40とが締結バンド47で連結された状態では基板ケース31の横方向の移動は規制されているから、この場合であっても第2の係合突部39を係合孔41aから抜き外すのを阻止することができ、基板ケース31を設置部材28に締結バンド47で連結したまま、該基板ケース31を設置部材28から取り外す不正行為を抑制し得る。
【0060】
(変更例)
本願は前述した実施例や別実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1) 実施例では、設置部材に配設したベース部材に対して主制御装置を取り付ける構成で説明したが、設置部材に係合孔および被固定部を設け、設置部材に直に主制御装置を取り付ける構成であってもよい。
(2) 実施例では、設置部材と主制御装置の基板ケースとを締結バンドで連結したが、ベース部材と設置部材とを別の締結バンドで連結する構成を付加することができる。すなわち、設置部材に設けた第2の保持部に形成した通孔とベース部材の第1の被固定部に形成した通孔とに締結バンドを挿通して連結する構成を採用し得る。
(3) 実施例では、設置部材および基板ケースの固定具で固定する側を締結バンドで連結したが、基板ケースの係合突部が設けられる側を締結バンドで設置部材に連結する構成を採用し得る。この場合に、設置部材に対して基板ケースを、係合孔から係合突部を抜き外す方向へ移動するのを規制するように、締結バンドで設置部材と基板ケースとを緊密に連結するのが好適である。
(4) 実施例では、設置部材に対して締結バンドで連結する制御装置として、主制御基板を基板ケースに収容した主制御装置の場合で説明したが、その他の制御基板を基板ケースに収容した各種の制御装置に適用し得る。また設置部材は、遊技盤の裏側に配設されるものに限らず、中枠の裏側に配設されるものや、または中枠自体を設置部材として、該設置部材に払出し制御基板、その他の制御基板を基板ケースに収容した制御装置を中枠に取り付ける構成において、設置部材と制御装置とを締結バンドで連結する構成を採用し得る。
(5) 実施例では、締結バンドの一部に識別部を設けた場合で説明したが、締結バンドの全体に赤外線インクを塗布したものや、赤外線インクを混合した合成樹脂材料で締結バンドを形成する構成であってもよい。また、締結バンドに会社名やロゴマークを彫刻し、該彫刻部分に赤外線インクを塗布して識別部としてもよく、この場合であっても彫刻部分に赤外線インクが塗布されているか否かは目視では分からないので、不正対策が施されていることは見破られない。
(6) 締結バンドが正規品であるか否かを判別する手段として、該締結バンドにホログラムを設ける構成を採用し得る。
(7) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やパチンコ球を用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。
本願には、例えば以下のような技術的思想が含まれている。
(A)請求項1または2の何れか一項に記載の構成を含む遊技機において、
前記締結バンド(47)に、照射された赤外線により検知可能となる識別部(55)が設けられたことを要旨とする。
これによれば、締結バンド自体が偽装品か否かの判別が容易である。
(B)請求項1,2,(A)の何れか一項に記載の構成を含む遊技機において、
前記設置部材(28)に前記締結バンド(47)で連結された前記基板ケース(31)は、該締結バンド(47)によって前記設置部材(28)から離間する移動が規制されるよう構成したことを要旨とする。
これによれば、設置部材から基板ケースを離間する移動が締結バンドで規制されるので、設置部材に締結バンドで連結したまま基板ケースを取り外すのを困難として不正行為を抑制し得る。
(C)請求項1,2,(A),(B)の何れか一項に記載の構成を含む遊技機において、
前記バンド本体(48)は、前記第1および第2通孔(44,46)に挿通される挿入部(48a)と、該挿入部(48a)より幅広で前記締結部(50)から一端側に所定長さで形成された規制部(48b)とを備え、該締結部(50)の他端側から前記規制部(48b)の一端側までの長さは、前記第1通孔(44)と前記第2通孔(46)との離間距離より長く設定されたことを要旨とする。
これによれば、幅広の規制部は折り曲げ難いので、締結バンドを通孔の挿通方向に自由に移動(回転)するのを困難として、締結バンドを、係合部と被係合部との係合部位を工具を用いて破壊し易い姿勢とするのを防止し得る。