(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の態様に基づき、下記の流体圧または気圧駆動システムが提供される。流体圧または気圧駆動システムは、a)流体を利用した圧力生成および伝達システムと、b)流体モータとを含む、流体圧または気圧駆動システムであって、前記流体モータは、第一のシリンダー手段と、ピストン手段であって、前記第一のシリンダー手段と、前記第一のシリンダー手段の中に設置された前記ピストン手段の第一の端部とが第一のチャンバを画定し、前記圧力生成および伝達システムは、前記第一のシリンダー手段に結合されて、前記第一のチャンバへ交互に流体を流入・流出させ、それによって前記ピストン手段の往復移動を起こす、ピストン手段と、運動変換手段であって、連続して中心軸を中心として周方向に延びる非線形部と、連結手段とを含み、前記非線形部と前記連結手段とは前記中心軸を中心とした相対的な回転のために構成され、前記非線形部と前記連結手段とのうちの一方が前記ピストン手段に結合され、前記ピストン手段に対して固定的に配置される、運動変換手段とを含み、前記連結手段と前記非線形部とは協働するように構成され、それによって、前記ピストン手段の往復移動が、前記非線形部と前記連結手段とのうちの他方の、前記中心軸を中心とした相対的な回転運動を起こす。
【0006】
前記流体圧モータは、そのモータにおいて、往復移動を回転運動へ効率良く変換する。前記連結手段と前記非線形部とのうちの他方は、好適には、回転させる対象に動作可能に結合できる。自転車では、ペダリングによる回転運動が自転車の後輪に伝達され、後輪の回転を駆動する。これにより、チェーンおよびギアの必要が無くなるので、従来のチェーンおよびギアシステムを改良する。乗り手の足に汚れが移ることもなくなるだろう。前記システムは閉じられているので、汚れよって伝達効率が悪くなることもない。また、かかる流体圧モータを使用すると、後輪の代わりに、または後輪に加えて、自転車の前輪を駆動することができる。これによりコーナリングにおけるトラクションが改善されるだろう。有利なことに、前記流体圧モータは、機械的なシステムと比べてさらに効率が良い。
【0007】
前記流体モータは、第二のシリンダー手段をさらに含み、前記第二のシリンダー手段と、前記第二のシリンダー手段の中に設置された前記ピストン手段の第二の端部とが第二のチャンバを画定し、前記圧力生成および伝達システムは、前記第二のチャンバへ交互に流体を流入・流出させ、それによってさらに前記ピストン手段の往復移動を起こすように構成されてもよい。
【0008】
前記圧力生成および伝達システムが、加圧流体を供給するための流体ポンプと、前記第一および第二の流体チャンバを前記流体ポンプへ動作可能に結合され、前記第一および第二のチャンバへの流体の流通を可能にするように構成される流体伝達システムとを含んでもよい。前記流体伝達システムは、一対の流体伝達路を含んでもよく、各伝達路は、一方の端部が第一および第二の流体チャンバの一方に封止状態が得られるよう接続され、他方の端部が、流体ポンプに封止状態が得られるよう接続される。この場合、流体は、同じ伝達路を通って第一および第二のチャンバそれぞれに対して流入・流出してもよい。
【0009】
前記流体伝達システムは、前記第一および第二のチャンバへそれらの各注入口を介して流体を流入させたり、前記第一および第二のチャンバからそれらの各排出口を介して流体を流出させたりすることを、選択的に許可または防止し、前記ピストン手段の往復移動を起こす制御手段を含んでもよい。
【0010】
前記流体伝達システムが加圧可能な流体貯留器を含み、前記第一および第二のチャンバの各々は前記注入口のそれぞれ一つを介して前記加圧可能な流体貯留器に結合されてもよい。
【0011】
前記加圧可能な流体貯留器が前記流体ポンプに結合され、それにより前記流体ポンプの動作が前記加圧可能な流体貯留器を加圧してもよい。この場合、流体ポンプの動作が加圧可能な流体貯留器を加圧する。
【0012】
前記制御手段が前記ピストン手段に結合される作動手段を含み、それにより前記ピストン手段の前記第一および第二の端部の一方が、前記第一および第二のチャンバのそれぞれ一方の中へ少なくとも所定の距離だけ移動することによって、前記作動手段に前記制御手段へ働きかけさせて前記制御手段が流体の流通を制御するようにし、それにより前記第一および第二の端部を、前記第一および第二のチャンバの他方の中へ移動させてもよい。
【0013】
前記制御手段が第一および第二の状態を有し、前記作動手段は前記制御手段に状態間を移行するように構成され、前記第一の状態では、前記第一のチャンバからその排出口を通って流体が流出することが防止され、前記第二のチャンバへその注入口を通って流体が流入することが防止され、前記第二のチャンバからその排出口を通って流体が流出するようにされ、前記第一のチャンバへその注入口を通って流体が流入するようにされ、前記第二の状態では、前記第二のチャンバからその排出口を通って流体が流出することが防止され、前記第一のチャンバへその注入口を通って流体が流入することが防止され、前記第一のチャンバからその排出口を通って流体が流出するようにされ、前記第二のチャンバへその注入口を通って流体が流入するようにされてもよい。
【0014】
前記ピストン手段が前記中心軸と位置合わせした軸を有し、前記往復移動は前記中心軸に沿ってもよい。したがって、前記非線形部および前記ピストン手段は同軸である。
【0015】
一つの実施形態において、前記駆動システムはさらに、前記ピストン手段と同軸のスリーブ手段をさらに含み、前記非線形部と前記連結手段とのうちの前記他方が前記スリーブ手段と結合されて前記スリーブ手段に対して固定的に配置され、前記ピストン手段の往復移動が、前記中心軸を中心とした前記スリーブ手段および前記ピストン手段の相対的な回転運動を起こしてもよい。
【0016】
前記スリーブ手段がほぼ円筒状の内面を有し、前記非線形部は当該面に設けられ、前記連結手段は前記ピストン手段から突出して前記非線形部に係合してもよい。前記スリーブ手段と前記非線形部とは、一体的に形成されてもよい。前記スリーブ手段には、追加で、または代替として、第一および第二のシリンダー手段が形成されてもよい。
【0017】
または、前記連結手段がスリーブ手段から内側に突出してもよく、また、前記非直線部が前記ピストン手段に結合されてその周りに配置されてもよい。この場合、前記非直線部が、前記ピストン手段の本体部に形成されてもよい。
【0018】
別の実施形態において、前記ピストン手段が、前記ピストン手段と同軸になるように配置された駆動シャフトに結合され、前記ピストン手段の回転が、前記駆動シャフトの対応する回転を起こして、前記中心軸上の前記駆動シャフトに対する前記ピストン手段の往復移動が可能になる。この場合、前記連結手段と前記非直線部とのうちの他方が、好適には、機械または車両の外部フレームに固定される。
【0019】
前記ピストン手段が軸方向の貫通部を有し、前記駆動シャフトは前記第一のシリンダー手段の端部の開口を通り当該軸方向の貫通部内へ延びて封止状態が得られるように設置され、前記駆動シャフトと前記軸方向の貫通部はともに、前記駆動シャフトと前記ピストン手段とを結合するように構成されてもよい。
【0020】
前記連結手段と前記非線形部とのうちの前記他方が、車両に結合され、前記車両のフレームに対して固定的に配置され、前記第一のシリンダー手段から延びる前記駆動シャフトの端部は、前記車両の車輪に結合するよう構成され、それにより前記駆動シャフトの回転が前記車輪の対応する回転を起こしてもよい。
【0021】
前記流体モータは、前記車両のフレームに取り付けられるよう構成された、外向きに延びるアームをさらに含み、それによって前記連結手段と前記非線形部とのうちの前記他方の前記フレームに対する位置を固定してもよい。例えば、前記アームは、自転車のフレームのドロップアウトにボルトで取り付けられるよう構成されてもよい。
【0022】
前記連結手段と前記非線形部とのうちの前記一方が、車両に結合され、前記車両に対して相対的に固定的に配置され、前記スリーブ手段が前記車両の車輪に動作可能に結合され、前記スリーブ手段の回転運動が、前記車輪の回転運動を起こす。この場合、前記一つが直接結合される前記ピストン手段を介して、結合されてもよい。
【0023】
前記駆動システムは、前記連結手段の運動を前記中心軸に平行な往復移動に制限する支持手段をさらに含んでもよい。例えば、前記支持手段は、前記連結手段の一部、例えばベアリングが前後に移動できる、中心軸と平行に延びたスロットを有するサポートスリーブの形状でもよい。
【0024】
前記駆動システムは、移動制限手段をさらに含み、前記移動制限手段は、前記非直線部と前記連結手段とのうちの前記他方の、前記中心軸を中心とした回転運動を防止し、前記連結手段と前記非直線部分とのうちのいずれか一方の往復移動を防止し、前記連結手段と前記非直線部分とのうちの他方の前記往復移動を可能にしてもよい。
【0025】
本発明の第二の態様に基づき、下記の流体圧または気圧駆動システムが提供される。前記流体圧または気圧駆動システムは、a)流体伝達システムと、b)流体ポンプとを含み、前記流体ポンプは、軸を中心として回転可能な駆動シャフトと、ピストン手段と、運動変換手段であって、連続して中心軸のまわりを周方向に延びる非線形部と、連結手段とを含み、前記非線形部と前記連結手段とは前記中心軸を中心とした相対的な回転のために構成され、前記連結手段と非線形部とは、相対的な回転が中心軸に沿った相対的な往復移動を起こすように協働するよう構成され、前記非直線部分と前記連結手段とのうちの一方が、前記駆動シャフトに結合され、それにより、前記駆動シャフトの回転が前記一方の前記中心軸を中心とした回転を起こす、運動変換手段と、第一のシリンダー手段であって、前記第一のシリンダー手段と前記第一のシリンダー手段の中に設置された前記ピストン手段の第一の端部とが第一のチャンバを画定し、前記流体伝達システムは、前記第一のシリンダー手段に結合されて、前記第一のチャンバへ交互に流体を流入・流出させ、前記ピストン手段は前記中心軸上の、または前記中心軸に平行な、往復移動のために構成されて前記第一のチャンバへ流体を流入・流出させる、第一のシリンダー手段と、を含み、前記ピストン手段は前記非線形部と前記連結手段とのうちの他方に結合されて、前記非線形部と前記連結手段とのうちの前記一方の回転により、前記第一のシリンダー手段の中での前記ピストン手段の往復移動を起こす。
【0026】
前記流体ポンプが、第二のシリンダー手段をさらに含み、前記第二のシリンダー手段と、前記第二のシリンダー手段の中に設置された前記ピストン手段の第二の端部とが、第二のチャンバを画定し、前記流体伝達システムが前記第二のシリンダー手段へ動作可能に結合されて前記第二のチャンバへ交互に流体を流入・流出させ、使用中は前記ピストン手段の往復移動が流体を前記第二のチャンバに対して流入・流出させてもよい。
【0027】
前記ピストン手段が前記中心軸と位置合わせした軸を有し、前記駆動シャフトが前記中心軸と位置合わせした軸を有し、前記往復移動が前記中心軸に沿っていてもよい。好適には前記ピストン手段は円形の断面を有する。
【0028】
前記連結手段と前記非線形部とのうちの前記前記一方が前記ピストン手段と結合され、前記ピストン手段が前記駆動シャフトと結合されて、前記駆動シャフトの回転が、前記ピストン手段のその軸を中心とした対応した回転運動を起こし、前記駆動シャフト上を前記ピストン手段が相対的な往復移動を行うようにさせ、前記駆動シャフトの回転運動が前記ピストン手段の、したがって前記連結手段と前記非線形部とのうちの前記一方の、回転運動を起こし、それが前記ピストン手段の前記駆動シャフト上の往復移動を起こしてもよい。
【0029】
前記ピストン手段がそれを貫通する貫通部を有し、前記駆動シャフトは前記第一のシリンダー手段の端部の開口を通り当該貫通部内へ延びて、封止状態が得られるように設置され、前記駆動シャフトと前記貫通部はともに、前記駆動シャフトと前記ピストン手段とを結合するように構成されてもよい。
【0030】
前記非線形部と前記連結手段とのうちの前記一方が、前記ピストン手段に結合され、前記非線形部と前記連結手段とのうちの他方は、機械または車両のフレームに結合されてもよい。
【0031】
前記非直線部が、円筒状の内面を有するスリーブ手段の中に配置され、前記円筒状の内面は前記中心軸をその中心軸として有して前記ピストン手段のまわりに延びてもよい。
【0032】
前記駆動システムが、流体モータをさらに含み、前記流体伝達システムは前記流体モータに動作可能に結合されて流体を前記流体モータに供給し、それによって前記流体モータを駆動してもよい。前記流体モータは、本発明の第一の態様とその任意の特徴に基づいた上記b)の流体モータであってもよい。
【0033】
前記流体ポンプが移動制限手段をさらに含み、前記移動制限手段は、前記非直線部と前記連結手段とのうちの前記他方の前記中心軸を中心とした回転運動を防止し、前記連結手段と前記非直線部分とのうちのいずれか一方の往復移動を防止し、前記連結手段と前記非直線部分とのうちの他方の前記往復移動を可能にしてもよい。
【0034】
有利には、前記流体ポンプが、かかる機械または車両のボトムブラケットシェル内での設置用に構成されていてもよい。
【0035】
上記第二の態様に基づく前記伝達システムを含む、ペダルで駆動される機械または車両が提供されてもよく、前記駆動シャフトの前記第一の端部と前記駆動シャフトの第二の端部とが前記ピストン手段のそれぞれの端部から延び、前記駆動シャフトの端部は各クランクアームの第一の端部に動作可能に取り付けられ、各クランクアームの第二の端部は各ペダルに動作可能に取り付けられる。
【0036】
前記駆動シャフトが、モータに動作可能に結合されてもよい。前記モータは、電動でもよく、または内燃機関を備えていてもよい。
【0037】
第一または第二の態様に基づく駆動システムを備えたオートバイやその他のモータ車両が提供されてもよい。
【0038】
本発明の第三の態様によると、気圧または流体圧駆動システム用の流体モータが提供される。気圧または流体圧駆動システム用の流体モータは、ピストン手段と、第一のシリンダー手段であって、第一のシリンダー手段と、前記第一のシリンダー手段の中に設置された前記ピストン手段の第一の端部とが第一のチャンバを画定し、圧力生成および伝達システムは、前記第一のシリンダー手段に結合されて、前記第一のチャンバへ交互に流体を流入・流出させ、それによって前記ピストン手段の往復移動を起こす、第一のシリンダー手段と、運動変換手段であって、連続して中心軸を中心として周方向に延びる非線形部と、連結手段とを含み、前記非線形部と前記連結手段とは前記中心軸を中心として相対的に回転可能であり、前記連結手段と前記非線形部とのうちの一方が前記ピストン手段に固定的に結合され、前記連結手段と前記非線形部とは協働するように構成され、それによって、前記ピストン手段の往復移動が、前記非線形部と前記連結手段とのうちの他方の、前記中心軸を中心とした相対的な回転運動を起こす、運動変換手段と、前記ピストン手段に対して同軸に回転可能に設けられたスリーブ手段であって、前記非線形部と前記連結手段とのうちの前記他方が前記スリーブ手段と固定的に結合され、前記ピストン手段の往復移動が、前記中心軸を中心とした前記スリーブ手段の相対的な回転運動を起こす、スリーブ手段とを含む。
【0039】
前記流体モータは、移動制限手段をさらに含み、前記移動制限手段は、前記非直線部と前記連結手段とのうちの前記一方の前記中心軸を中心とした回転運動を防止し、前記連結手段と前記非直線部分とのうちの他方の往復移動を防止し、前記連結手段と前記非直線部分とのうちの他方および前記スリーブ手段の往復移動を可能にしてもよい。
【0040】
前記非線形部が前記スリーブ手段に結合され、前記スリーブ手段のほぼ円筒状の内面に設置されてもよい。この場合、前記連結手段は前記ピストン手段から突出して前記非線形部と協働する。
【0041】
前記非線形部が前記ピストン手段に結合されて前記ピストン手段の周囲に同軸に延びてもよい。この場合、前記連結手段は前記スリーブ手段のほぼ円筒状の内面から突出して前記非直線部と協働する。
【0042】
前記流体モータが、第二のシリンダー手段をさらに含み、前記第二のシリンダー手段と、前記第二のシリンダー手段の中に設置された前記ピストン手段の第二の端部とが、第二のチャンバを画定し、前記第二のチャンバ手段が圧力生成および流体伝達システムに動作可能に結合されて前記第二のチャンバ手段へ交互に流体を流入・流出させ、さらに前記ピストン手段を往復移動させてもよい。
【0043】
前記スリーブ手段の外周面が、回転させる対象への結合のために適用されてもよい。
【0044】
前記ピストン手段が車両のフレームに結合されてその移動を防止してもよい。この場合、前記スリーブ手段の外面が、前記車両の車輪への結合のために適用される。
【0045】
本発明の第四の態様に基づき、流体ポンプが提供される。流体ポンプは、軸を中心に回転可能な駆動シャフトと、ピストン手段と、前記ピストン手段に対して同軸に回転可能に設けられたスリーブ手段と、運動変換手段であって、連続して中心軸のまわりを周方向に延びる非線形部と、連結手段とを含み、前記非線形部と前記連結手段とは前記中心軸を中心とした相対的な回転のために構成され、前記連結手段と非線形部とは、相対的な回転が中心軸上の相対的な往復移動を起こすように協働するよう構成され、前記非直線部分と前記連結手段とのうちの一方が、前記スリーブ手段に結合され、それにより、前記スリーブ手段の回転が前記一方の前記中心軸を中心とした回転を起こす、運動変換手段と、第一のシリンダー手段であって、前記第一のシリンダー手段と前記第一のシリンダー手段の中に設置された前記ピストン手段の第一の端部とが第一のチャンバを画定し、前記流体伝達システムは、前記第一のシリンダー手段に結合されて、前記第一のチャンバへ交互に流体を流入・流出させ、前記ピストン手段は前記中心軸上の、または前記中心軸に平行な、往復移動のために構成され、前記ピストン手段の前記往復移動が前記第一のチャンバへ流体を流入・流出させる、第一のシリンダー手段と、を含み、前記ピストン手段が前記非線形部と前記連結手段とのうちの前記他方に結合され、それによりスリーブ手段の回転が前記ピストン手段の往復移動を起こす。
【0046】
前記流体ポンプはさらに、移動制限手段をさらに含み、前記移動制限手段は、前記非直線部と前記連結手段とのうちの他方の前記中心軸を中心とした回転運動を防止し、前記連結手段と前記非直線部分とのうちのいずれか一方の往復移動を防止してもよい。
【0047】
前記流体ポンプが、第二のシリンダー手段をさらに含み、前記第二のシリンダー手段と、前記第二のシリンダー手段の中に設置された前記ピストン手段の第二の端部とが、第二のチャンバを画定し、前記流体伝達システムが前記第二のシリンダー手段へ結合されて前記第二のチャンバへ交互に流体を流入・流出させ、前記ピストン手段の往復移動が前記第二のチャンバに対して流体を流入・流出させてもよい。
【0048】
前記非線形部と前記連結手段とのうちの前記他方が、前記ピストン手段に結合され、前記ピストン手段はまた、機械または車両のフレームに結合され、前記中心軸を中心とした回転を防止してもよい。
【0049】
前記非直線部が、円筒状の内面を有するスリーブ手段の中に配置され、前記円筒状の内面は前記中心軸をその中心軸として有して前記ピストン手段のまわりに延設されてもよい。
【0050】
前記駆動システムが、流体モータをさらに含み、前記流体伝達システムは前記流体モータに接続されて流体をそこに供給し、それによって前記流体モータを駆動してもよい。
【0051】
本発明の第五の態様に基づき、流体圧駆動システムの流体ポンプを自転車に後付けする方法が提供される。前記流体ポンプはその中を通って延びる駆動シャフトを有し、ボトムブラケットシェルの中に設置されるように構成され、前記方法は、前記流体ポンプをボトムブラケットシェルの中にしっかりと取り付け、その後部および/または前部ハブへ延びる少なくとも二つの流体伝達路を動作可能に結合させる工程と、一対のクランクアームの各々の第一の端部を、前記駆動シャフトの各端部に動作可能に結合させ、ペダルを前記クランクアームの第二の端部へそれぞれ取り付ける工程とを含む。
【0052】
前記流体圧駆動システムが、上記の流体圧駆動システムを含んでもよく、または、上記の流体ポンプまたはモータを含んでもよい。
【0053】
上記の駆動システム、流体モータ、および流体ポンプにおいて、好適には、前記非直線連結部が非直線溝であり、前記連結手段が前記非直線溝に係合するための突起を含む。前記非直線溝と前記突起とが前記中心軸を中心として相対的に回転すると、前記突起が溝の表面に当接し、前記中心軸に沿った相対的な往復移動を起こす。逆に、非直線溝と突起が前記軸に沿って相対的に往復移動すると、前記突起が溝の表面に当接し、相対的な回転運動をおこす。いくつかの実施形態においては、流体ポンプが流体モータとして逆の動作をしてもよく、その逆も可である。実施形態によっては、これは可能ではなく、特に、非直線溝の経路が流体ポンプで使用するためか流体モータで使用するためかによって設計されていて、他方での使用が防止されていたり、または他方で使用すると支障があったりする。
【0054】
前記突起が、ベアリングと、前記ベアリングを部分的に前記溝の中に保持するための手段とを含んでもよい。これは、突起と溝との間の摩擦を低減するので有利である。
【0055】
本発明の第六の態様に基づき、流体圧または気圧モータが提供される。流体圧または気圧モータは、第一および第二のチャンバをそれぞれ画定する第一および第二のシリンダー手段であって、各々が少なくとも一つの開口を含み、前記開口は前記第一および第二のチャンバに対する流出・流入を制御する流体制御システムに動作可能に結合される、第一および第二のシリンダー手段と、第一の端部と第二の端部とを有する両頭ピストン手段であって、前記ピストンは往復移動が可能であり、前記第一の端部と前記第二の端部とは前記第一のおよび第二のチャンバに対して出入りして、前記第一のおよび第二のチャンバの体積をそれぞれ交互に増加および減少させる、両頭ピストン手段と、制御手段であって、前記第一および第二のチャンバへそれらの各注入口を介して流体を流入させたり、前記第一および第二のチャンバからそれらの各排出口を介して流体を流出させたりすることを許可または防止して、前記ピストン手段の往復移動を可能にするための制御手段とを含む。
【0056】
前記少なくとも一つの開口が、前記第一および第二のチャンバの各々について、流体の流入用の注入口と、流体の流出用の排出口を含み、各注入口および排出口は各流体伝達路に動作可能に結合されてもよい。
【0057】
前記流体制御システムが、流体圧ポンプに結合される加圧可能な流体貯留器を含み、それにより前記流体圧ポンプの動作が前記加圧可能な流体貯留器を加圧してもよい。
【0058】
前記制御手段が、前記ピストン手段に結合される作動手段を含み、それにより前記ピストン手段の前記第一および第二の端部の一方が、前記第一および第二のチャンバの一方の中へそれぞれ少なくとも所定の距離だけ移動することによって、前記作動手段に前記制御手段へ働きかけさせて前記制御手段が流体の流通を制御するようにし、それにより前記第一および第二の端部を、前記第一および第二のチャンバの他方の中へ移動させてもよい。
【0059】
前記駆動手段が、前記ピストン手段はその軸に沿って往復運動するが、そのピストン手段の軸にほぼ平行に延びる部材であって、前記軸に平行な往復移動用に構成された部材と、前記ピストン手段と前記部材とを結合させる結合手段であって、使用中、前記ピストン手段の第一の端部が前記第一のチャンバの中へ少なくとも前記所定の距離を移動すると、前記ピストン手段は前記部材を当該軸と平行な第一の方向に移動させ、また、使用中、前記ピストン手段が前記第二のチャンバの中へ少なくとも前記所定の距離を移動すると、前記ピストン手段は前記部材を前記第二の方向に移動させ、前記部材を前記第一の方向に前記所定の距離を超えて移動させると、前記制御手段に流体の流通を制御させて前記ピストン手段を逆方向に移動させる、結合手段とを含んでもよい。
【0060】
前記結合手段が、第一および第二の、互いに離間した、前記部材から延びるローブと、前記第一および第二のローブの間で前記ピストン手段から延びる突起であって、前記第一のローブに対する前記突起の働きによって前記ピストン手段が前記部材を前記第一の方向へ移動させ、前記第二のローブに対する前記突起の働きによって前記ピストン手段が前記部材を前記第二の方向へ移動させる、突起とを含んでもよい。
【0061】
前記制御手段が、前記第一および第二のチャンバに対する前記流体の流入をそれぞれ制御するような形状および配置の、第一および第二の回動可能なゲート部材を含み、前記流体の流通を制御するのに適した回動のために、前記部材の移動が前記第一および第二のゲート部材に結合されてもよい。
【0062】
前記流体の流通の制御が、第一の状態と第二の状態のどちらかを選択することを含んでもよく、前記第一の状態では、前記第一のチャンバからその排出口を通って流体が流出することが防止され、前記第二のチャンバへその注入口を通って流体が流入することが防止され、前記第二のチャンバからその排出口を通って流体が流出するようにされ、前記第一のチャンバへその注入口を通って流体が流入するようにされ、前記第二の状態では、前記第二のチャンバからその排出口を通って流体が流出することが防止され、前記第一のチャンバへその注入口を通って流体が流入することが防止され、前記第一のチャンバからその排出口を通って流体が流出するようにされ、前記第二のチャンバへその注入口を通って流体が流入するようにされる。
【0063】
前記第六の態様の流体モータの特徴をさらに含む、上記のような駆動システム、または上記の流体モータも、提供されてもよい。とりわけ、前記流体伝達システムが、流体モータへの流体の流通を調整するために使用されてもよく、それによってモータによる回転出力の速度が制御される。
【0064】
本発明の実施形態は、駆動力伝達システムが必要とされる車両や機械で実施することができる。特に、トルクが増減される場合に本実施形態が実施されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0066】
同様の部分には、概ね同様の参照符号を付す。
【0067】
下記ではまず、実施形態にかかる流体圧駆動または伝達システムの概略について、
図1Aまたは
図1Bを参照して記載する。特定の実施形態に基づく流体圧駆動システムが記載されているが、いくつかは
図1Aまたは
図1Bを参照して記載されるシステムの特徴を備える。
【0068】
下記記載には便宜と参照のみのために、所定の専門用語が使用されるが、発明を制限するものではない。例えば、「シリンダー(cylinder)」または「シリンダー部分(cylinder portion)」という用語は、封止状態が得られるようピストン端部を延在させることができる、流体を入れるのに適した少なくとも一つのチャンバを画定する筺体を称するために、本明細書で使用されている。図示されているシリンダーやシリンダー部分は、円形または環状の断面を有していてもよいが、特段に解すべき事情の無い限りこれは必須ではない。「流体(fluid)」という用語は、液体と気体との両方を包含する。流体圧システムにおいて、この用語は、液体やゲルなどのほとんど非圧縮性の流動可能な材料、例えば油であると考えられる。気圧システムにおいては、この用語は気体、一般的には、窒素や空気など不活性ガスであると考えられる。
【0069】
「車両(vehicle)」という用語は、例えば、自転車、三輪車、オートバイ、乗用車、重量積載物車両、および重機など、駆動力伝達システムを備えたいかなる車両をも包含する。「重機(heavy equipment)」とは、大型車、特に建築作業を行うよう設計されたものを指し、土工作業を行うものを指すことが最も多い。かかる車両は、重車両、または大型油圧重機としても知られ、非網羅的に例をあげれば、ブルドーザ、掘取機、クレーン、積込機、ソイルコンパクター、およびトラクターなどがある。
【0070】
流体圧伝達システムは、流体圧ポンプ10と、流体圧モータ12と、前記ポンプ10と前記モータ12とに接続する流体伝達システムと、を含む。前記流体は、好適には油であるが、実質的に非圧縮性である代替の流体が適している。前記システムは、密閉されている、すなわちシステムからの流体の流出および外部からの空気や混入物の侵入が防止されている。
【0071】
図25〜34を参照して記載される実施形態を除いた実施形態において、ポンプ10は第一の両頭ピストン16と第一のシリンダー18とを含む往復式の容量型ポンプである。前記第一のシリンダー18は、両側端部が第一および第二のクロージャ20a、20bによって閉じられた円筒状外側スリーブを備える。第一のシリンダー18および第一のピストン16の第一および第二のクロージャ20a、20bは、それらを貫通する、位置合わせされた開口(
図1Aまたは1Bで図示省略)を有し、それらを通って第一の回転可能な駆動シャフト24が延在する。前記第一のピストン16および前記第一の駆動シャフト24は同軸である。前記第一のピストン16は、第一のシリンダー18の中を第一の駆動シャフト24に対して長軸方向に前後に移動可能であり、第一のピストン16の第一の端部16aと第一のクロージャ20aとの間の第一のチャンバ22a内の流体と、第一のピストン16の第二の端部16bと第二のクロージャ20bとの間に画定される第二のチャンバ22b内の流体とに、交互に圧力をかける。第一のピストン16の第一および第二の端部16a、16bの周縁部は、外側スリーブの内側表面と同一平面になるように配置され、前記第一および第二のチャンバ22a、22bは、第一のピストン16と外側スリーブとが接して密閉されるようになっている。前記第一の回転駆動シャフト24の終端部24a、24bは、それぞれ第一および第二のクロージャ20a、20bの開口から延在している。いくつかの実施形態では、一方の終端部のみが延在してもよい。以下により詳細に記載されるように、第一の駆動シャフト24、第一のピストン16および第一の連結部(図示せず)は、第一の駆動シャフト24の回転運動が、第一のピストン16の反復的な往復運動を起こすように協働するよう、一緒に構成される。
【0072】
前記モータ12は、容積式ポンプと同様の一般的な設計である。前記モータ12は、第二の両頭ピストン26および第二のシリンダー28を含む。前記第二のシリンダー28は、各端部で第一および第二のクロージャ30a、30bによって閉じられた外側スリーブを含む。前記第二のシリンダー28および第二のピストン26の第一および第二のクロージャ30a、30bは、それらを貫通する、位置合わせされた開口を有し(
図1Aまたは1Bにおいて図示省略)、それらを通って第二の回転可能な駆動シャフト32が延在する。前記第二のピストン26および第二の駆動シャフトは同軸である。第二のピストン26は、第二のシリンダー28の中を第二の駆動シャフト32に対して長軸方向に前後に移動可能であり、第二のピストン26の第一の端部26aと第一のクロージャ30aとの間に確定される第一のチャンバ34a内の流体と、第二のピストン26の第二の端部26bと第二のクロージャ30bとの間に画定される第二のチャンバ34b内の流体とに、交互に圧縮力をかける。第二のピストン26の第一および第二の端部26a、26bの環状周縁部は、外側スリーブの内側表面と同一平面になるように配置され、前記第一および第二のチャンバ34a、34bは第二のピストン26と外側スリーブとが接して密閉されるようになっている。第二の回転駆動シャフト32の終端部32a、32bはそれぞれ、第一および第二のクロージャ30a、30bの開口から延在する。実施形態の変形例においては、端部32a、32bの一方のみが延在してもよい。第二の駆動シャフト32、第二のピストン26、および第二の連結部(図示せず)は、第二のピストン26の往復運動が第二の駆動シャフト32の回転運動を起こすように協働するよう、一緒に構成される。
【0073】
第一の軸芯24は、なんらかの適した手段によって回転でき、ピストン16を前後に駆動する。例えば、第一の軸芯24は、電動モータ、内燃機関、風車などや、取り付けられたクランク・ペダルアセンブリの操作を含む人力などの力によって、回転可能に駆動することができる。第二の軸芯32は、回転軸(第二の軸芯32)が駆動器として適切である装置や機械であれば、どんな装置や機械を駆動するためにも使用できる。例えば、第二の軸芯32は車輪に結合されて、前記車輪を回転する。
【0074】
図1Aにおいて、前記圧力伝達システムは、単純に、第一および第二の流体伝達路38a、38bを備える。第一の伝達路38aの一方の端部はポンプ10の第一のクロージャ20aへ、その開口において、封止状態が得られるよう接続され、第一の伝達路38aの他方の端部は、モータ12の第一のクロージャ30aへ、その開口において、封止状態が得られるよう接続され、ポンプ10の第一のチャンバ22aとモータ12の第一のチャンバ34aとが流体連通するようになっている。第二の伝達路38bの一方の端部は、ポンプ10の第二のクロージャ20bへ、その開口において、封止状態が得られるよう接続され、また、第二の伝達路38bの他方の端部は、モータの第二のクロージャ30へ、その開口において、封止状態が得られるよう接続され、ポンプ10の第二のチャンバ22bとモータ12の第二のチャンバ34bとが流体連通するようになっている。
【0075】
図1Aおよび1Bでの図示は省略するが、ポンプ10およびモータ12の各々は、往復移動から回転運動へ、またその逆へ変換する運動変換構成を含む。実施形態に基づき、前記構成は、溝状の連続した非直線部分と、突起状の連結手段とを含む。前記溝は軸のまわりを、軸からの溝への距離がほぼ一定となるように周方向に延びる。前記溝は、部分的には、軸に沿って長軸方向に延びる。前記突起は、前記溝に係合する。前記突起は、いくつかの実施形態においてボールベアリングを備えていてもよい。前記突起および前記溝の一方は、固定的に設けられ、他方は溝の軸に対して相対的に回転可能であってもよい。例えば、前記突起が溝に対して固定的に設けられ、前記溝が軸の周囲をまわっている場合、前記突起は、溝を進んで軸上を往復し、回転を起こす。別の実施例では、前記突起が溝の軸と平行に往復運動してもよく、これは溝の回転運動を必要とし、前記突起が溝の平面部分に当接して溝をその軸の周りに回転させる。
【0076】
使用中は、第一の駆動シャフト24の回転が、第一のピストン16の往復移動を起こす。第一のピストン16が第一のクロージャ20aの方へ移動する際に、第一のチャンバ22aの体積が減少し、そこの圧力が増加し、流体が第一のチャンバ22aから第一の伝達路38aへ流れる。第一の伝達路38aからの流体が、モータ12の第一のチャンバ34aへ送られ、第二のピストン26をモータ12の第二のクロージャ30bへ移動させる。同時に、第一のピストン16の第二のチャンバ22bの体積が増加し、第二のピストン26の第二のチャンバ34bの体積が減少し、流体が第一のピストン16の第二のチャンバ22bの中へ第二の伝達路38bから引き込まれる。第一のピストン16が第二のクロージャ20bの方へ移動する際には、第二のチャンバ22bの体積が減少し、そこの圧力が増加し、流体が第二のチャンバ22bから第二の伝達路38bへ流れる。第二の伝達路38bからの流体が、モータ12の第二のチャンバ34bへ送られ、第二のピストン26をモータ12の第一のクロージャ30aのほうへ移動させる。同時に、第一のピストン16の第一のチャンバ22aの体積が増加し、第二のピストン26の第一のチャンバ34aの体積が減少し、流体が第一のピストン16の第二のチャンバ22bの中へ引き込まれる。このように、第一のピストン16が往復運動するにつれて、第二のピストン26が同様に往復運動し、それによって第二の駆動シャフト32を駆動する。
【0077】
なお、ピストン16が往復運動する時にポンプ10の第一および第二のチャンバ22a、22bから押し出された流体の量は、第一および第二のチャンバ34a、34bが受領する量を越えてはならず、また、流体圧伝達システムはそのように構成される。好適には、第一のピストン16がポンプ10を前後に移動するごとにポンプ10の第一および第二のチャンバ22a、22bから押し出される流体の量は、第二のピストン26が第二の駆動シャフト32を回転させるために必要な距離だけ前後に第二のピストン26を動かすのに必要な流体の量とほぼ同じである。
【0078】
図1Bにおいて、流体調整システムは、第二のピストン26の往復運動を駆動するのに必要な流体量に対して往復運動中にポンプ10の第一および第二のチャンバ22a、22bから押し出された流体の量にかかわらず、第一のピストン16の往復運動が、第二のピストン26の往復運動を駆動することを可能にする。前記システムは、加圧流体貯留部36と、第一〜第七の流体伝達路38a〜38gと、第一〜第六のバルブ40a〜40fを備える。
【0079】
第一の流体伝達路38aの端部の一方は、第一のシリンダー18の第一のクロージャ24aに、その開口において封止状態が得られるよう接続される。第一の伝達路38aの他方の端部は、加圧流体貯留部36に接続される。このように、第一のシリンダー18の第一のチャンバ22aと加圧流体貯留部36の内部とは、流体連通するように接続されている。第一の一方向バルブ40aは、第一の伝達路38a中に配置されて、ポンプ10の第一のチャンバ22aから加圧流体貯留部36へ流体が流れるようにし、かつ、前記流体が逆方向に流れることを防止する。
【0080】
第二の流体伝達路38bの端部の一方は、第一のシリンダー18の第二のクロージャ24に、その開口において封止状態が得られるよう接続される。第二の伝達路38bの他方の端部は、加圧流体貯留部36に、封止状態が得られるよう接続される。このように、第一のシリンダー18の第二のチャンバ22bと加圧流体貯留部36の内部とは流体連通するように接続されている。第二の一方向バルブ40bは、第二の伝達路38b中に配置されて、ポンプ10の第二のチャンバ22bから加圧流体貯留部36へ流体が流れるようにし、かつ、前記流体が逆方向に流れることを防止する。
【0081】
第三の伝達路38cの端部の一方は、モータ12の第二のシリンダー28の第一のクロージャ30aに、その開口において封止状態が得られるよう接続される。第三の伝達路38cの他方の端部は、加圧流体貯留部36に、封止状態が得られるよう接続される。このように、第三の伝達路38cは、モータ12の第一のチャンバ34aと加圧流体貯留部36の内部とを、流体連通するように接続する。第三の一方向バルブ40cは、第三の伝達路38c中に配置されて、加圧流体貯留部36から第一のチャンバ34aへ流体が流れるようにし、かつ、前記流体が逆方向に流れることを防止する。
【0082】
第四の伝達路38dの端部の一方は、モータ12の第二のシリンダー28の第二のクロージャ30bに、その開口において封止状態が得られるよう接続される。第四の伝達路38dの他方の端部は、加圧流体貯留部36に、封止状態が得られるよう接続される。このように、第四の伝達路38dは第二のシリンダー28の第二のチャンバ34bと加圧流体貯留部36の内部とを、流体連通するように接続する。第四の一方向バルブ40dは第四の伝達路38d中に配置されて、加圧流体貯留部36からモータ12の第一のチャンバ34aへ流体が流れるようにし、かつ、前記流体が逆方向に流れるのを防止する。
【0083】
第五の伝達路38eの第一の端部は、第一の伝達路38aの、第一の伝達路28a中の一方向バルブ40aとポンプ10の第一のチャンバ22aとの間の区間において、第一の伝達路に封止状態が得られるよう接続される。第五の伝達路38eの第二の端部は、第二のシリンダー28の第一のクロージャ34aにおける別の開口を介して、モータ12の第一のチャンバ34aに封止状態が得られるよう接続される。
【0084】
第六の伝達路38fの第一の端部は、第二の伝達路38bの、第二の伝達路28b中の一方向バルブ40bとポンプ10の第二のチャンバ22bとの間の区間において、第二の伝達路38bに封止状態が得られるよう接続される。第六の伝達路38fの第二の端部は、第二のシリンダー28の第二のクロージャ30bにおける別の開口を介して、モータ12の第二のチャンバ34bに封止状態が得られるよう接続される。
【0085】
第七の流体伝達路38gの第一の端部は、第五の伝達路38eの第一の端部と第二の端部との間の区間において、第五の伝達路38eに封止状態が得られるよう接続される。第七の流体伝達路38gの第二の端部は、第六の伝達路38fの第一の端部と第二の端部との間の区間において、第六の伝達路38fに封止状態が得られるよう接続される。
【0086】
第五の一方向バルブ40eは、第五の伝達路38e中に、第七の伝達路38eの第一の端部と第五の伝達路38eの第一の端部との間に配置される。このバルブ40eは、第五の伝達路38eの内部から第一の伝達路38aの内部へ流体が流れるようにし、かつ、流体が逆方向へ流れるのを防止する。
【0087】
第六の一方向バルブ40fは、第六の伝達路38中に、第六の伝達路38fの第二の端部と第六の伝達路38fの第一の端部との間に配置される。このバルブ40fは、第六の伝達路38fの内部から第二の伝達路38bの内部へ流体が流れるようにし、かつ、流体が逆方向へ流れるのを防止する。
【0088】
第七の一方向バルブ40gは、モータ12の第一のチャンバ34aの前記別の開口と第七の伝達路38gの第一の端部との間の第五の伝達路38e中に配置される。このバルブは第一のチャンバ34aから第五の伝達路38eへ流体が流れるようにし、かつ、流体が逆方向へ流れるのを防止する。
【0089】
第八の一方向バルブ40hは、モータ12の第二のチャンバ34bの前記別の開口と第七の伝達路38gの第二の端部との間の第六の伝達路38f中に配置されている。このバルブ40hは、第二のチャンバ34bから第六の伝達路38fへ流体が流れるようにし、かつ、流体が逆方向へ流れるのを防止する。
【0090】
実施形態によっては、第七の伝達路38gには流体の貯留部があってもよい。
【0091】
なお、モータ12を駆動するために、従来の流体ポンプが用いられてもよい。また、従来の流体モータを駆動するためにポンプ10が用いられてもよい。
図1Bを参照して記載されている流体伝達システムを含む実施形態において、加圧流体源が流体モータ12を駆動している−ただし、実施形態は、流体源を加圧するためにポンプ10または従来の流体ポンプを使用するものに制限されない。さらに、それぞれが実施形態に基づく複数のモータを結合して加圧流体源としてもよい。加圧流体源を加圧するために複数のポンプが用いられてもよく、それによって最終的に一つまたは複数のモータを駆動してもよい。また、流体モータの回転率を調整するために、流体伝達システムを用いてもよい。
【0092】
モータ12は、第一および第二の状態を切り替える制御機構(図示せず)を含む。第一の状態では、第二のピストン26が第二のシリンダー28の第一のクロージャ30aの方へ移動する時、第一のチャンバ34aから第五の伝達路38eへ流体が流れるようにされ、また第四の伝達路38dから第二のチャンバ34bへ流体が流れるようにされ、第二のチャンバ34bから第六の伝達路38fへ流体が流れるのを防止する。第三の伝達路38cから第一のチャンバ34aへの流体の流入も防止される。第三の伝達路38cへの第一のチャンバ34aからの流体の流入も、第三のバルブ40cによって防止される。加圧流体貯留部36から第四の伝達路38dへの流体の流入、および第四の伝達路38dから第二のチャンバ34aへの流体の流入は、第一のクロージャ30aへピストン26を移動させるために必要である。ピストン16の第一の端部16aが最も短い所定の距離で第一のクロージャ30aへ到達すると、開いていた第四の伝達路38dと第五の伝達路38eとが閉じ、閉じられていた第三の伝達路38cと第六の伝達路38fとが開かれて前記制御機構が第二の状態になるように、前記制御機構が構成されている。
【0093】
第二の状態では、第二のピストン26が第二のシリンダー28の第二のクロージャ30bの方へ移動する。この状態で第二のチャンバ34bから第六の伝達路38fへ流体が流れるようにされ、第一のチャンバ34aから第五の伝達路38eへの流体の流入が防止され、かつ、第三の伝達路38cから第一のチャンバ34aへ流体が流れるようにされる。第二のチャンバ34bから第四の伝達路38dへの流体の流入は、第四のバルブ40dによって防止される。加圧流体貯留部36から第三の伝達路38aへの流体の流入と第三の伝達路から第一のチャンバ34aへの流体の流入は、ピストン26を第二のクロージャ30bの方へ移動させるために必要である。ピストン16の第二の端部16bが最も短い所定の距離で第二のクロージャ30bへ到達すると、開いていた第三の伝達路38cと第六の伝達路38fとが閉じられ、閉じられていた第四の伝達路38dと第五の伝達路38eとが開かれて制御機構が第一の状態に戻るように、前記制御機構が構成されている。
【0094】
使用中、第一の軸芯24は回転し、連結部を介して非直線的な溝へ力が伝達されて、第一のピストン16の反復的な往復運動を起こす。
【0095】
第一のピストン16がポンプ10の第一のクロージャ20aの方へ移動すると、第一のチャンバ22a中の圧力が高まる。流体は、第一のチャンバ22aから第一の伝達路38aへ押し出され、さらに、前記伝達路から第一の一方向バルブ40aを通って加圧流体貯留部36へ押し出される。第五の一方向バルブ40eは、流体の第五の伝達路40eへの流入を防止する。第一の伝達路38a中の圧力は、第五の伝達路38e中の圧力を越え、そのため第五の伝達路38eから第一の伝達路38aへ流体が流入することは実質的に防止される。ピストン16が第一のクロージャ20aの方へ移動するにつれて、第二の伝達路38bの圧力が第六の伝達路38fの圧力よりも低くなる。そのため流体は、第六の伝達路40fから第二の伝達路38bへ流入し、さらに、第二の伝達路38bからポンプ10の第二のチャンバ22bへ流入する。
【0096】
第一のピストン16がポンプ10の第二のクロージャ20bの方へ移動すると、流体伝達システムは鏡像のように動作する。加圧流体貯留部36中の流体はこのように、第一のピストン16が往復する時に、圧力下に維持される。
【0097】
加圧流体貯留部36が適切に加圧される時に、モータ12が動作する。モータ12が第一の状態の時に、第二のピストン26がモータ12の第一のクロージャ30aの方へ移動する。第二のピストン26が第一のクロージャ30aに対して最も近い所定の位置に到達すると、制御機構はモータ12を第二の状態へ切り替える。モータ12が第二の状態になると、第二のピストン26がモータ12の第二のクロージャ30bの方へ移動する。第二のピストン26が第二のクロージャ30bに対して最も近い所定の位置に到達すると、前記機構は第一の状態を切り替える。第二のピストン26と、第二の駆動シャフト32と、連結部(図示せず)とは、協働して第二の駆動シャフト32に対する長軸方向の第二のピストン26の直線往復運動が第二の駆動シャフト32の回転を駆動するように構成される。
【0098】
まとめると、このように、第一の軸芯24の回転運動が第一のピストン16の直線的な往復運動を起こす。第一のピストン16の往復運動が、流体伝達システムの動作により、第二のピストン26の往復運動を起こす。第二のピストン26の往復運動が、第二の軸芯32の回転運動を起こす。
【0099】
伝達システムにおいて、第一の軸芯24の角速度と第二の軸芯32の角速度との比率は、システムのパラメータを特定することによって選択できるであろう。例えば、前記比率は、第一および第二のピストンの第一および第二の端部の、それぞれのピストン移動方向に垂直な平面の面積の相対的な大きさに依存する。前記システムはまた、第二の軸芯32の回転の角速度が第一の軸芯24の回転の角速度よりも小さい場合にはトルクを大きくし、第一の軸芯24の回転の角速度によって第二の軸芯32の角速度がより大きくなる場合にはトルクを小さくする。
【0100】
図2〜6を参照し、特定の実施形態に基づく流体圧ポンプ110を説明する。前記ポンプは、自転車の流体圧駆動伝達システム用である。前記流体圧ポンプは、第一のピストン116、第一のシリンダー118、回転可能な駆動シャフト124、および連結部を含む。
【0101】
図面では自転車は図示が省略されているが、ポンプ110は自転車のボトムブラケットシェルの中に配置するためのものであると理解すべきである。ボトムブラケットシェルは、自転車の基本面に直交する貫通部を画定し、従来からボトムブラケットはそれに通過させてしっかりと設置され、回転可能な駆動シャフトの端部が当該基本面に対して直交して延設されるようになっている。クランクアームは、駆動シャフトの端部にしっかりと取り付けられる。一般的な自転車では、シートチューブ、ダウンチューブおよびチェーンステーがすべてボトムブラケットシェルで接合される。本実施形態では、ポンプ110は、従来のボトムブラケットの位置に配置される。そのように配置される場合、当該技術分野では"スピンドル"と称されることがよくある回転可能な駆動シャフト124の端部124a、124bはそれぞれボトムブラケットシェルから自転車の基本面に対して直交する方向に延び、各端部は、適切に構成されたクランクアーム144a、144bがしっかりと取り付けられるように構成される。各クランクアーム144a、144bの他方の端部には、ペダル(図示せず)が取り付けられる。
【0102】
ボトムブラケットシェルは、通常、断面の内径と長さにおいて標準的なサイズがいくつかあるうちの1つであるので、対応する直径を有しシェルの長さに適したボトムブラケットが、シェル中にしっかりと取り付けられる。ポンプ110が入るためのシェルの寸法は、ポンプ110を入れるための標準のサイズとは異なってもよい。
【0103】
別の実施形態において、ポンプ110は、従来の標準サイズのボトムブラケットシェルに嵌合するような寸法を有するようになっている。これによって、特に流体圧伝達システム用に設計されたわけではない自転車へ、流体圧伝達システムを容易に後付けできる。
【0104】
第一のシリンダー118は、シリンダー本体部146と、第一および第二のクロージャ120a、120bとを含む。シリンダー本体部146は円形の断面を有する円筒状空間を画定するシリンダー内面146aを有し、ボトムブラケットシェルに嵌合する形状の外側長手面を有し、かつ、第一および第二の環状端面148a、148bを有する。第一および第二のクロージャ120a、120bの各々は、シリンダー本体部146に取り付けられて、シリンダー本体部146の端部の各々を閉じる。これは、各クロージャ120a、120bに周囲の開口を設けることにより達成され、前記開口は、シリンダー本体部146の環状端面148a、148bの各々にある対応するネジ穴150に合わせて位置合わせされている。第一および第二のクロージャ120a、120bの各々は、ネジ152で各端面148a、148bに封止状態が得られるよう取り付けられ、前記周囲の開口を介してネジ穴150へと延びる。第一および第二のクロージャ120a、120bを端面148a、148bへ取り付けるのに適した方法はその他いろいろあり、当業者には明らかであろう。
【0105】
第一および第二のクロージャ120a、120bの各々は、それらを貫通するよう配置された中央穴154a、154bを有し、それらは環状である。第一の駆動シャフト124は、シリンダー本体部146中で円筒状の空間を通って延設される。第一の軸芯124の端部124a、124bは穴154a、154bを通って延び、クランクアーム144a、144bに取り付けられる。第一の軸芯124は横方向の移動は防止されているが回転はできるようにしっかりと取り付けられ、第一および第二のチャンバ122a、122bは、第一の駆動シャフト124とクロージャ120a、120bとが接するところでベアリングアセンブリと自己潤滑性のO−リング156とによって密閉される。流体の流出と混入物の侵入はこのように防止される。
【0106】
ベアリングアセンブリとO−リング156のおかげで、第一の軸芯124とクロージャ120a、120bとの間の摩擦が低くなっている。様々なシーリングおよびベアリング構成を有するボトムブラケットが市販されており、当業者が本発明の実施形態をかかる構成を含むように改変することは予測可能なことである。かかるシーリングおよびベアリング構成の特性の詳細は、本明細書の範囲を超えている。
【0107】
第一のピストン116は、第一の端部平面116aから第二の端部平面116bへ貫通する貫通部160を有する。ピストン116は、ほぼ円筒状であり、かつ、第一の駆動シャフト124上に軸方向に設置され、第一の駆動シャフト124が貫通部160を通って延びるようになっており、すなわち、円筒状ピストン116と第一の駆動シャフト124が同軸である。第一のピストン116と第一の駆動シャフト124とが係合して、駆動シャフト124が回転する時にピストン116がそれと共に回転し、ピストン116が第一の駆動シャフト124上を長軸方向に前後にスライドできるようになっている。
【0108】
より詳しくは、第一の軸芯124は断面がほぼ円形であるが、周面に周方向に間隔を置いて複数の凹部を備えている。ベアリング162が前記凹部に配置され、前記周面から突出する。貫通部160の内側面は、ピストン116の軸に平行な貫通部160の長さ方向に延びた複数の溝164を備える。前記突出したベアリング162は、雄スプラインを形成し、溝164は前記雄スプラインと合う雌スプラインを形成する。したがって、第一のピストン116が第一の駆動シャフト124上に設置されると、何らかのトルクが第一の駆動シャフト124からピストン116へ移され、ピストンが第一の駆動シャフト124上を長軸方向に移動できる。ベアリング162は摩擦の低い移動を有利に達成する。O−リング166は流体がピストン116の一方の側から他方側へ貫通部160を通って通過することを防止する。
【0109】
一つのベアリング162が各凹部から突出しているように示されているが、存在するベアリングがそれより多くても少なくてもよいのは言うまでもない。また、本実施形態において、二つの凹部が第一の駆動シャフト124のまわりに距離をおいて設けられ、それぞれがベアリングをその中に有しているが、設けられている凹部の数はそれよりも多くても少なくてもよく、ピストン116の内側面の溝の数はそれに対応している。または、第一のピストン116と第一の駆動シャフトとが逆に係合し、与えられたトルクが第一の駆動シャフト124から第一のピストン116へ移され、第一のピストン116が第一の駆動シャフト124上を長軸方向に前後に移動する。簡単な変形例では、断面が正方形または多角形の第一の駆動シャフト124と断面がそれに合うピストン貫通部160によってそれが達成できる。
【0110】
シリンダー118は、シリンダー内面164aから外へ延びる第一および第二の穴168a、168bを有する。凸部分172をそれぞれ備えたベアリングマウント170a、170bが、孔168a、168bへそれぞれ延びる。各ベアリングマウント170a、170bは、凸部分172の端部から部分的に突出しているボールベアリング174a、174bの形状の連結部を支持するよう構成され、ベアリングはシリンダー本体部164のシリンダー内面164aを越えて延びるが、ベアリングマウント170a、170bは超えないようになっている。各ベアリングマウント170a、170bはシリンダー本体部164中のネジ穴175と前記穴175に係合するネジ176との対によって、シリンダー本体部164に固定され、ベアリングマウント170a、170bがシリンダー本体部164に取り付けられる。第一および第二の穴168a、168bと各ベアリングマウント170a、170bとは、シリンダー本体部164に正反対に対置され、前記本体部の長さ方向の中央に配置される。この結果、ボールベアリング184は、それぞれ正反対の対抗する方向に向いて突出する。。
【0111】
図5に最もよく示されるように、第一のピストン116は、波状に連続してシリンダー面116cの周囲に延設された、連続した非直線の溝178の形状の連結部分を含む、外側シリンダー面116cを有する。ピストン116の断面形状は、シリンダー118の内部空間の断面と適合する。ピストン116がシリンダー本体部164に配置されると、ボールベアリング174a、174bは非直線溝178の中へ入り、第一のピストン116が第一の軸芯124上を長さ方向に移動するようにさせる。第一のピストン116が第一の軸芯124の回転によって回転するので、非直線溝の各部分が常に各ボールベアリングに接し、ボールベアリング174a、174bは、第一のピストン116が第一の軸芯124上を前後に移動するようにさせ、第一のピストン116が回転して第一の軸芯124が回転する。
【0112】
なお、ボールベアリング174a、174bはひとつ設けられていればよいが、その数はそれより多くてもよい。しかしながら、ボールベアリングの数は、非直線溝178の形状、つまり、谷部と山部の数を考慮に入れる必要がある。ボールベアリングが一つのみが設けられていれば、山部および谷部も一つのみ設けられていればよい。二つの谷部と二つの山部が設けられていれば、一つまたは二つのボールベアリングが設けられていればよい。三つの山部および三つの谷部が設けられていれば、一つ、二つ、または三つの適切に配置されたボールベアリングが配置されていればよい。さらに、連結部はボールベアリングの形状でなくてもよい。または、シリンダー本体部の内側表面から突出した凸部であってもよい。
【0113】
第一および第二の端部116a、116b、第一および第二のクロージャ120a、120b、およびシリンダー本体部164は、ともに第一および第二のチャンバ122a、122bをそれぞれ画定する。各クロージャ120a、120bはそれぞれ、流体の流入及び流出用の開口180a、180bを有している。前記開口は、封止状態が得られるようノズル181a、181bに接続されて、模式的に
図1Aに示されているような方法で第一および第二の流体伝達路に接続される。
【0114】
図7〜10を参照すると、上記のポンプ110を含む流体圧伝達システムの、実施形態にかかる流体圧モータ112は、後輪の回転運動を駆動するために、自転車の後部に設置されるよう構成されている。モータ112は、ピストン126、第二の駆動シャフト132、および第二のシリンダー128を含む。
【0115】
第二の駆動シャフト132は、断面が円形の、軸方向に延びる、貫通部を有する。第二の駆動シャフト132もまた、先端部132aを有し、前記先端部132aは、それに対応して構成される自転車の後輪のハブ(図示せず)に係合するよう構成されている。先端部132aはハブと係合して、第二の軸芯132の回転運動が、それに対応するハブの、そして自転車車輪の、角移動を起こすようにする。先端部132aとハブとの係合は、スプライン平面を有する先端部と、凹部を有する適合する平面を有するハブとによって達成できる。実施形態の変形例において、第二の軸芯132は、従来のフリーホイール機構(図示せず)を含んでもよい。
【0116】
使用される後部ハブの大部分が、カセットにしっかり取り付けられるよう構成される。通常、ハブとカセットとは、多数ある標準的なもののひとつに従った形状にされる。好適には、先端部132aは、カセットではなくかかるハブに係合するような形状にされる。
【0117】
第二の駆動シャフト132と係合する場合に、ハブは前記軸方向の貫通部を通って延在するスキュア183上に設置可能である。スキュア183は従来の設計のものでもよく、自転車の、シートステーとチェーンステーが接合する領域のドロップアウトに設置可能である。スキュア183は、その上での第二の駆動シャフト132の自由回転を可能にする。
【0118】
第二のピストン126はほぼ円筒状であり、それを軸方向に貫通して延在する貫通部184を有し、第二の駆動シャフト132上に設置され、第二のピストン126の中心軸を中心とした回転運動が、それに対応する第二の駆動シャフト132の回転移動を起こし、相対的な縦方向往復スライド移動が可能になるようにしている。これは、上記のようにポンプ110中で第一の駆動シャフト124と第一のピストン116とがかみ合うことと同じ仕組みで、つまり、
図7の182および185に示された、適合している雄および雌スプライン部分と同じ仕組みで、達成できる。
【0119】
第二のシリンダー128は、ポンプ110のように、シリンダー本体部128aと、第一および第二のクロージャ130a、130bとを備える。
【0120】
シリンダー本体部128aは、断面がほぼ円形の円筒状空間を画定するシリンダー内面を有する。円筒状空間は、第一および第二のクロージャ130a、130bがシリンダー本体部128aの第一の環状端面に固定的に取り付けられることにより閉じられる。第一のクロージャ130aは、シリンダー本体部128aと一体的に形成される。
【0121】
第一および第二のクロージャ130a、130bの各々は、それを貫通する中央穴186a、186bをそれぞれ有する。第二の駆動シャフト132は、第二のピストン126の貫通部184および第一および第二のクロージャ130a、130bの穴186a、186bを通って延設され、先端部132aで終端する。第二の駆動シャフト132の他方の端部は、環状ベアリングアセンブリ188に突き当たり、ベアリングアセンブリは、第二のクロージャ130aに取り付けられて、第二の駆動シャフト132の回転を可能にし、第二の駆動シャフト132の横移動を防止し、かつ、流体の流出を防止する。
【0122】
シリンダー本体部128aと、第一および第二のクロージャ130a、130bと、第二のピストン126の第一および第二の端部とは、第一および第二の流体チャンバ134a、134bを画定する。流体伝達システムは、封止状態が得られるように第一および第二のチャンバに、これらチャンバ134a、134bの各々につながる一対の開口187a、187bを介して接続されされる。これら開口によって、第一の伝達路138aが第一のチャンバ134aに封止状態が得られるように接続され、第二の伝達路138bが第二のチャンバ134bに封止状態が得られるように接続されて、これらチャンバ各々に対して交互に流体を供給し、それによってピストン126を前後に駆動する。
【0123】
第一の穴はシリンダー128の円筒状の空間から外部へ延びる。ベアリングマウント190は、ポンプ110の一部として記載されたベアリングマウント170aと同様に、シリンダー内面からボールベアリング191が突出するようにシリンダー本体部中にボールベアリング191を保持する凸部分190aを備える。
【0124】
凸部分190aは、ネジ状の周面を有し、それに合うような、シリンダー本体部128c内のネジ状の面と係合する。
【0125】
ポンプ110内の第一のピストン116と同様に、第二のピストン126は、シリンダー外面126cの周囲に連続して波状に延設された、連続した非直線溝193の形状の連結部分を含む、シリンダー外面126cを有する。第二のピストン126がシリンダー本体部191に配置されるとき、ボールベアリング191は非直線溝193に入る。
【0126】
シリンダー128は自転車フレームに結合され、シリンダー128およびフレームの相対的な移動が防止される。この目的のために、シリンダー128の外側に固定的に取り付けられたローブ192は、通常は後部リアディレーラへの取り付け用に自転車フレームに設けられたドロップアウト(図示せず)と位置合わせ可能な、部分的に円筒状の凹部192aを有する。ボルト(図示せず)が前記凹部に嵌合し、ネジがかみ合うことによってドロップアウトへしっかりと取り付けられる。特に、フレームへのシリンダー128の固定結合は、第二のシリンダー128の軸を中心とした回転を防止し、これはボールベアリング191上の溝193の表面に付与された力によってシリンダー128が回転しないようになることを意味する。
【0127】
第一および第二の伝達路138a、138bは、チェーンステーの一方または両方の中に、またはそれに沿って延び、ハブに入る。実施形態において、これら伝達路は、前記または各チェーンステーと一体的に形成される。
【0128】
ポンプ110およびモータ112を含む伝達システムの動作を下記に説明する。自転車の自転車運転者がペダルを踏み、第一の軸芯124が回転し、それによって第一のピストン116が回転する。第一のピストン116が回転すると、非直線溝178のボールベアリング174a、174bと接する部分が、すぐに推移し、前記部分の縦方向の位置変化により、ボールベアリングがピストン116を往復運動させる。第一のピストン116の往復移動により、交互に第一および第二のチャンバ122a、122bのひとつのチャンバの体積が小さくなり圧力が高まるとそこから流体を流出させ、他方のチャンバ122a、122bの圧力が小さくなるとそこへ吸入させる。これが起こる仕組みは、
図1Aを参照して記載された流体圧伝達システムの動作に関して上述されたとおりである。
【0129】
このように、第一のピストン116の往復移動は、第二のシリンダー126内の第二のピストン126の反復的な往復移動となる。第二のピストン126が前後に移動する間、ボールベアリング191が溝193の表面に当接する。ボールベアリング191は第二のピストン126を往復運動させるために回転させる。第二のピストン126の回転は、対応する第二の駆動シャフト132の回転運動を起こし、これがスキュア183のまわりに取り付けられたハブと車輪の回転を駆動する。
【0130】
代替の実施形態において、モータ112は、前輪を駆動するように配置され、構成されてもよい。これを達成するようにモータ112をどのように改変するかは、当業者に自明である。代替の実施形態において、ポンプ110の動作により、一方は前輪の回転の駆動用であり他方は後輪の回転の駆動用である一対のモータが駆動されてもよい。この目的のために、流体調整システムが変更される。
【0131】
別の特定の実施形態において、流体圧駆動伝達システムのポンプ210は、オートバイの一部として実施される。特に、前記伝達システムは、たとえばステップスルーフレームや乗り手の足のためのプラットフォームを備えたオートバイであるスクータの一部として実施されてもよい。前記システムは、
図1Bを参照して概略が記載されたような、流体伝達システムを含む。
【0132】
図11〜13を参照すると、ポンプ210は構造においても動作においても自転車用ポンプ110と同様である。相違点の一つは、第一の駆動シャフト224が、ペダルの操作ではなく、電動モータ(図示せず)や内燃機関によって回転可能に駆動されることである。第一の駆動シャフト224の端部224aは、モータやエンジンなどと係合するよう構成されている。また、シリンダー本体部246および第一および第二のクロージャ220a、220bの外面が散熱や外見をよくするために波打たせてあるものが示されている。
【0133】
別の相違点は、第一および第二の流体チャンバの注入口および排出口を形成する開口が、ポンプ110のようにノズル191a、191bへと延びているわけではないことである。そのかわり、シリンダー本体部246は、それを貫通する第一および第二の貫通部を有する。第一の貫通部は、第一のチャンバ222aに対する、その第一の端部における第一の開口部から、ベアリングマウントの近くの第二の開口部203へ延びる。第二の貫通部は、第二のチャンバ222bに対する、その第一の端部における第一の開口部202bから、ベアリングマウント170の近くの第二の開口部203bへ延びる。各貫通部は、シリンダー本体部246の部材中に形成される。各貫通部の第一の開口部202a、202bは、シリンダー本体部246の各環状面に配置されている。上記のポンプ110と同様に、第一および第二のクロージャ220a、220bはそれぞれ、シリンダー本体部246の環状端面に封止状態が得られるよう取り付けられ、第一および第二の流体チャンバを部分的に画定する。ただし、本実施形態において、第一および第二の貫通部は、各クロージャ220a、220bの対応する内側表面中の凹部201aによって、第一および第二のチャンバ234a、234b各々と封止状態が得られるように接続されて流体連通する。各凹部201a、201bの一部は、第一の開口部を覆い、凹部201a、201bはまたチャンバに対して開口している。
【0134】
なお、ポンプ210は、ポンプ110が自転車に設置されたのと同じ方法でスクータに設置される必要は無く、第一の駆動シャフト224がスクータの基本面から垂直に伸びる必要もない。
【0135】
図14〜19を参照すると、別の実施形態において、ポンプ210を含む流体圧伝達システム用のモータ212はオートバイに使用するためのものであり、自転車用のモータ112に対する原理と同様の原理を使用して動作するが、構造的には異なる。モータ212は、ピストン226と、第一のシリンダー部分204aと、第二のシリンダー部分204bと、回転可能な円筒状駆動部材205の形状のスリーブ手段と、円筒状サポートスリーブ206とを含む。
【0136】
モータ212は、車輪のハブの一部を形成し、オートバイのフレーム上に取り付けられるものである。モータ212は、同じ軸上に離間して設置された第一および第二の車軸部分207a、207bを有し、これらはフレーム中の、適切に配置された凹部に固定的に係合している。
【0137】
第一および第二のシリンダー部分204a、204bの各々は、それぞれ一方の端部で第一および第二のクロージャ230a、230bによって閉じられている。第一および第二のシリンダー部分204a、204bはそれぞれ、第二のピストン226の第一および第二の端部226a、226bを封止状態が得られるように受け入れるよう構成される。第二のピストン226が往復運動できるように、第一および第二のシリンダー部分204a、204bは、開口端部がそれぞれ向かい合うように位置調整される。第二のピストン226は、第一および第二の車軸部分207a、207bの軸と位置合わせされた中心軸を有する。第一および第二の車軸部分207a、207bは、第一および第二のシリンダー部分204a、204bに対して固定的に取り付けられ、当該車軸部分207a、207bはそれぞれ、第一および第二のクロージャ230a、230bの外面から延びている。必須ではないが、第一および第二の車軸部分207a、207bと第一および第二のシリンダー部分204a、204bとは、それぞれ一体的に形成されている。
【0138】
第二のピストン226は第一および第二のシリンダー部分204a、204bを出入りできるよう前後に移動可能であり、第二のピストン226の第一の端部226aと第一のクロージャ230aの間に画定される第一のチャンバ234a内の流体と、第二のピストン226の第二の端部226bと第二のクロージャ230bとの間に画定される第二のチャンバ234b内の流体とに、交互に圧縮力を印加する。第二のピストン端部226a、226bの各々は、シリンダー部分204a、204bの対応する内部形状に対して密封するように嵌合する円形の外形断面を有する。第一および第二のO−リング214a、214bは、シリンダー部分204a、204bの環状の周方向に延びた凹部の中に配置され、各シリンダー部分の内側表面と各ピストン端部との間の第一および第二の流体チャンバ234a、234bから流体が流出するのを防止する。別の実施形態では、ピストン端部226a、226bの断面は円形ではない。
【0139】
モータ212は、ピストン本体部から放射方向に延びた一対のローブ208a、208bを含む。各ローブは、その端部にベアリング209a、209bを保持する。サポートスリーブ206は、第一および第二のフランジ211a、211bの周面上に設置され、シリンダー部分204a、204bの開口端部から放射方向に外向きに延びる。サポートスリーブ206は、サポートスリーブ206の軸と平行に延びる一対の細長いスロット213a、213bを含み、その各々を通って、ボールベアリング291a、291bの1つが部分的に突出している。スロット213a、213bは、各ボールベアリング291a、291bの移動を、スロット213a、213b中で第二のピストン226の軸と平行に移動するよう、制限する。スロットはまた、ボールベアリングが適所に保持されるように機能してもよい。
【0140】
円筒状の駆動部材205は、円形の断面と、第一および第二の車軸部分207a、207bの軸と同軸である中心軸とを有し、サポートスリーブ206のまわりに延設される。ピストン226の軸と同軸の、それぞれ離間した第一および第二の環状ベアリングアセンブリ217a、217bが、駆動部材205とサポートスリーブ206との間に配置され、スロット213a、213bがその間に延設されている。これらベアリングアセンブリ217a、217bは離間され、ベアリング291a、291bがスロット213a、213b中を移動し、第一および第二のフランジs211a、211bから放射方向に延びるリップ211c、211dに当接する。ベアリングアセンブリ217a、217bは、駆動部材205の軸方向または横方向の移動を防止するが、駆動部材205を低摩擦で回転移動させる。
【0141】
駆動部材205はまた、スポークを取り付けられる、離間した、放射方向に延びる、一対の環状フランジ205a、205bを含む。オートバイの車輪は、スポークを含まないことが多いので、その場合は、駆動部材205は車輪の縁に結合されるよう変更されてもよい。
【0142】
駆動部材205の内部表面は、駆動部材205の内周にそって連続して波状に延びる非直線溝215を有する。第一および第二のボールベアリング291a、291bはそれぞれ各スロットを通って突出し、非直線溝215に入る。ボールベアリング291、291bがスロット213a、213b中を往復移動するには、駆動部材205の回転が必要である。
【0143】
保護ケーシング219a、219bは、モータ212のシリンダー部分204a、204bを覆う。
【0144】
モータ212は、
図1Bに模式的に示された第一および第二の伝達路38a、38bの第二の端部に取り付けられるが、流体伝達システムやその中の制御機構の別の部分を内蔵してもよい。
【0145】
図1Bを参照して概略が説明された制御機構は、バー221および第一および第二の制御ブロック223a、223bを含む。バー221は第一および第二の環状サポートフランジ223a、223bの開口を通って長さ方向に延び、一方の端部に第一のラック225bを有し、他方の端部に第二のラック225bを有する。
【0146】
図20に最もよく示されているように、第一および第二の制御ブロック223a、223bはそれぞれ、第一および第二のゲート部材227a、227bを含み、各ゲート部材は第一および第二のピニオン229a、229bの各々に回転可能に結合される。第一および第二のピニオン229a、229bは、第一および第二のラック225a、225bのうちの対応する一方に結合される。第一および第二のラック225a、225bの直線移動はこのように、第一および第二のピニオン229a、229bの角移動を起こす。第一および第二のゲート部材227a、227bは、軸回転可能なスピンドルの形状であり、その端部には、第一および第二のピニオン229a、229bの対応する一方が取り付けられ、スピンドル中に第一および第二の放射方向に延びて角度がずれた、第一、第二、第三、第四の凹部233a〜d。
【0147】
バー221のスライド移動によって制御機構が第一の状態と第二の状態とを切り替える。第一の状態において、第一のラック225aは、以下のように配置される:第一のピニオン229a、したがって第一のゲート部材277aが所定の角度で配置され、ゲート部材227aは第五の伝達路38eを流体が流れないように遮断し、第二の凹部38eを通って第三の伝達路38cを流体が流れるようにする。この状態で、第二のピニオン229b、したがって第二のゲート部材227aが所定の角度で配置され、第二のゲート部材227aは第四の伝達路38dを流体が流れないように遮断し、第三の凹部233cを通って第六の伝達路を流体が流れるようにする。
【0148】
制御機構が第二の状態の時に、第一のピニオン229a、したがって第一のゲート部材227aが所定の角度で配置され、第一のゲート部材227aは第一の凹部233aを通って第三の伝達路38c中を流体が流れるようにし、伝達路の流体の流通を遮断する。この状態では、第二のピニオン229bと、したがって第二のスピンドル231aは所定の角度で配置されて、第三の突起233cが流体が伝達路を流れないよう遮断し、第四の突起が伝達路を流体が流れるようにする。
【0149】
バー221のスライド移動によって制御機構が第一の状態と第二の状態とを切り替え、それによって第一および第二のラック225a、225bを移動させる。第一および第二の押圧部235a、235bは、バー221に固定的に取り付けられ、互いに離間され、それぞれ第二のローブ208dの往復移動の経路中に配置される。第二のピストン226が第一および第二の流体チャンバの中へ交互に移動する時に、第二のローブ208bが第一および第二の押圧部235a、235bをそれぞれ押圧し、それによってバー221をスライドさせる。
【0150】
動作中、ポンプ210は上記のポンプ110と同様に働く。電動モータまたは内燃機関による駆動シャフト224の回転は、加圧流体貯留部36中に圧力を印加する。
【0151】
加圧流体貯留部224中の圧力が、モータ210を駆動する。第一および第二のチャンバに対して交互に流体が供給され、
図1Bを参照して記載された流体圧伝達システムの動作の記載に基づいて、第二のピストン226が往復運動する。制御機構の動作を詳細に説明する。第二のピストン226が最初に休止している場合、加圧流体貯留部36と制御機構は第二の状態にあり、流体は第一のシリンダー部分204aに流通し、それによって第一の流体チャンバの容積が大きくなり、第二のピストン226を第二のシリンダー部分204bへ移動させる。移動の所定の時点で、第二のローブ208baが第二の押圧部235bに突き当たり、押圧部を押圧する。押圧部235bが移動するにつれて、バー221がそれに応じてスライドし、その結果、第一および第二のラック225a、225bの各々が、第一および第二のピニオン225a、225bの対応する一方を角度移動させる。第二のローブ208bが、制御機構を第一の状態にする程度、押圧部235bを押圧すると、第二のピストン226が反転方向に動かされる、つまり、第一のシリンダー部分204a内へ入る。
【0152】
その後、同じようにして、移動の別の所定の点に達すると、第二のローブ208bが第一の押圧部235aに突き当たり、第一の押圧部235aを押圧する。第一の押圧部235aが移動するにつれて、バー221がそれに応じてスライドし、その結果、第一および第二のラック225a、225bの各々が、第一および第二のピニオン2259、229bの対応する一方を逆方向に角度移動させる。第一のローブ208aが、制御機構を第一の状態にする程度、押圧部235を押圧すると、第二のピストン226が移動方向を再び変える。第二のピストン226の往復移動と状態の切り替えは、加圧流体貯留部36に圧力の印加が有る限り継続する。
【0153】
かかる往復移動により、それに対応する往復移動をベアリング209a、209bがそれぞれのスロットで行う。ベアリング209a、209bは、非直線溝の表面に力を印加し、駆動部材にサポートスリーブ206のまわりを回転させる。サポートスリーブ206の軸と第二のピストン226とは同じなので、駆動部材もまた第二のピストン226の周囲と、第一および第二の車軸部分207a、207bの軸のまわりを回転する。
【0154】
図22〜24を参照してここに記載される別の実施形態においては、重機に使用するための流体圧伝達システム用のモータ312が提供される。モータ310は、オートバイにおける用途に関連した上記のモータ210の変形例である。すでに記載したような、流体伝達システムと同じ特徴を有し、同じように動作するポンプ用いてもよい。
【0155】
モータ212と同様に、モータ312は第一および第二のローブ208a、208bと、機能的にはオートバイのモータサポートスリーブのような細長いスロットを有する円筒状サポートスリーブ311と、ピストン226と、機能的には駆動部材205のような駆動部材347の内側周面にある非直線溝215と、第一および第二のシリンダー部分207a、207bとを含む。
【0156】
フランジ349は駆動部材347のまわりを周方向に延びる。フランジ349は、それを貫通する複数の開口349aを有し、同軸の回転移動を駆動するために、同軸に位置決めされた車輪のボルト止めを可能にしている。
【0157】
図面に見られるように、流体伝達路38a、38bは、流体チャンバへ流体の供給と、チャンバからの流体の受け取りとを、適切に交互に行い、ピストン226の往復運動を起こすために、第一および第二のシリンダー部分207a、207bの各々に封止状態が得られるように取り付けられる。
図24に見られるように、第二の端部プレートは、重機のシャーシに固定的に結合され、サポートスリーブ311のプレートに対する相対的な移動を防止し、それにより回転移動を防止する。別の実施形態において、第一および第二の伝達路38a、38bは、車両への取り付けを容易にするためにモータ312の一方の側に延設される。例えば、伝達路38bは、モータ312の周囲に延設される。
【0158】
モータ312は、モータ112および
図1Aに関連して記載されたように、自転車用のモータ112と同じように伝達路38a、38bを介して、通常電動モータや内燃機関によって動作可能な流体ポンプに結合される。モータ312の動作は、この場合と同様に行われる。なお、モータ312の流体チャンバの各々は、
図1Bを参照して記載された流体を利用する圧力生成および伝達システムに動作可能に接続されてもよい。
【0159】
流体圧ポンプ410と流体圧モータ512とを含む流体圧伝達システムの別の実施形態を以下に説明する。
図25〜29を参照して流体圧ポンプを説明し、
図30〜34を参照してモータ512を説明する。上記の実施形態とは異なり、本実施形態のポンプおよびモータは、両頭ピストンを含まない。かわりに、ポンプ中の、ピストンの数に対応する数の流体チャンバと、モータ中の、ピストンの数に対応する数の、流体が流し込まれるシリンダーとに働きかける、多数のピストンがある。ポンプ中の各流体チャンバは、モータ中の、対応する一つの流体チャンバと、単一の流体伝達路を介して流体連通する。
【0160】
上記の実施形態と同様に、別の設計のポンプに前記モータ512を用いることができ、別の設計のモータに前記ポンプを用いてもよいと理解すべきである。換言すれば、記載された特定のポンプは前記モータに必須ではなく、またその逆も同様である。
【0161】
モータ512とポンプ610とに関して記載された、溝および突起を含む運動変換構成は、他の実施形態に関して記載されているように変更できる。
【0162】
前記システムは自転車に使用する目的のものであるが、前記システムやその変更例の適用は、自転車での用途に限定されないと理解されよう。ポンプ410は、第一、第二、および第三のシリンダー403a〜cにそれぞれ関連付けられた第一、第二、および第三の往復タイプのピストン401a〜cを含むピストン−シリンダーアセンブリを含む。第一、第二、および第三のシリンダー403a〜cの各々は、第一、第二、および第三のシリンダー403a〜cが実装される円盤405に担持される管状本体部を備える。前記第一、第二、および第三のシリンダー403a〜cの本体部は、円盤405と一体的に形成されるが、実施形態の変形例においては、分離して形成され、従来の技術によりボルトなどを使用して実装されてもよい。
【0163】
第一、第二、および第三のシリンダー403a〜cの本体部の各々の少なくとも一部分は、ほぼ正方形の断面を有し、すなわち4つの側壁を有し、そのうちのいくつかが407a、409a〜c、411a〜c、413a〜cに示される。第一、第二、および第三のシリンダー403a〜cの各々の4つの側壁の縁が、各本体部の一方の端部の開口部を形成する。側壁のうち第一の側壁407aは、円盤405と一体的に形成される。第一の側壁407aと、第一の側壁407aに対向する第二の側壁409a〜cとは、開口部の縁から側壁へと延びる直線スロット421a〜cと423a〜cを有する。
【0164】
第一、第二、および第三のピストン401a〜cの各々は、ピストン本体部425a〜cと、ピストン本体部の一方の端部のピストンヘッド427a〜cと、ピストン本体部の他方の端部のローラーピン429a〜cとを含む。ローラーピン429a〜cは、ピストン本体部の横方向に延びる端部を有する。第一、第二、および第三のピストン401a〜cの各々は、対応するシリンダー403a〜cに係合して、ローラーピン429a〜cが各スロット421a〜c、423a〜cに係合するように構成され、各ピストン本体部425a〜cとピストンヘッド427a〜cとは、対応するシリンダー403a〜c内で往復移動するような形状である。
【0165】
各シリンダー403a〜cとそれに関連付けられたピストンヘッド427a〜cとは、流体チャンバを画定する。ピストン本体部425a〜cの各々は、周方向に延びる溝を有し、そこにリップ封止部429a〜cが配置されて、流体が各流体チャンバから流出するのを防ぐ。各シリンダー本体部には、シリンダー本体部の、ピストンヘッド427a〜cから遠い方の端部に、開口が配置されている。伝達路431b、431cは各開口に対して封止状態が得られるように取り付けられて、流体の流入および流出を可能にしている。アーチ型のフランジ433が、円盤405の、第一のシリンダー403aに隣接している周縁から延設され、第一のシリンダー403aの本体部の端部はその一部を成す。第一のシリンダー403aのシリンダー本体部に配置された開口は、フランジ433を通って延びており、435aに示される。図示は省略されているが、実際はさらに伝達路が開口435aに取り付けられ、第一のシリンダー403aのチャンバに対する流体の流入および流出を可能にしている。第二のおよび第三のシリンダー403b、403cの各々から延びている伝達路431b、431cは、フランジ433のそれぞれの穴を通って延び、この結果、伝達路が整然と配置される。
【0166】
各シリンダー403a〜cは、円盤405上に配置され、各スロット421a〜c、423a〜cが駆動シャフトの軸に対して放射方向に延びるが、これについて以下に記載する。第三の側壁411a〜cと、第三の側壁411a〜cに対向する第四の側壁413a〜cとの各々は、各側壁の外側の縁から内側へ延びる凹部435a〜cを有している。
【0167】
シリンダー403a〜c内でのピストン401a〜cの往復移動を駆動するメカニズムについて下記に説明する。円盤405は、それを貫通する軸芯開口437を有し、それを通って駆動シャフト439が延びる。駆動シャフト439は、カム円盤441を担持し、カム円盤441は駆動シャフト439から放射方向に延びるよう実装される。カム円盤441は、縁をまるくした、ほぼ平行四辺形の形状である。カム円盤441は、駆動シャフト439上に設置され、カム円盤441の各回転中に各ピストン401a〜cのローラーピン429a〜cに対して突き当り、それによってカム円盤441が回転する毎に二度各ピストン401a〜cを押し下げる。
【0168】
カム円盤441の形状は、必須ではないが好適には、カム円盤441の縁が常時、または、振動の低減のために少なくともほとんどの時間、各ローラーピン429a〜cへの当接状態を維持するようになっている。カム円盤441が本実施形態ではほぼ平行四辺形であるが、実施形態の変形例では、例えば楕円形状や偏心円形のカムや、洋ナシ型のカムなど、ほかの形状のカム円盤が用いられてもよい。カムの形状は、ポンプが取り付けられる流体圧モータの構成によって選択してもよい。複数のカムがピストンを押圧するために実装されてもよい。
【0169】
駆動シャフトスリーブ443は円盤405の開口437の周縁から延設される。駆動シャフト439は、駆動シャフトスリーブ443を通って延びる。第一および第二のベアリングアセンブリ445a、bは、駆動シャフト439と駆動シャフトスリーブ443との間に配置され、スリーブ443内での駆動シャフト439の自由回転運動を可能にし、横方向の移動を防止する。スペーシング素子447が、駆動シャフトスリーブ443と駆動シャフト439との間に配置され、ベアリングアセンブリ445a、b間の所望の距離を維持する。
【0170】
第一および第二の溝449a、bが駆動シャフト439のまわりに周方向に延びる。第一の溝449aは、駆動シャフト439の第一の端部439aとカム円盤441との間に、カム円盤441に隣接して配置される。第二の溝449bは、第二のベアリングアセンブリ445bに対して配置される。第一および第二の止め輪451a、bは、それぞれ、第一および第二の溝449a、b中に配置される。
【0171】
上述のように、ポンプは、自転車の流体圧伝達システムに使用することを意図している。駆動シャフト439は、使用中、自転車のボトムブラケットシェル(図示せず)を通って延びている。第一および第二の端部439a、bの両方が、シェルを越えて延びる;駆動シャフト433の第一の端部439aは、カム円盤433を超えて延びる。両端は、正方形の断面を有し、クランクアームが設置できるようになっている。クランクアームの取り付け部分の構成は、当該技術分野で公知である。
【0172】
ねじナット453が、駆動シャフトスリーブ443の近端部443aの端部に取り付けられ、ポンプがボトムブラケットシェルに実装されると外れないようにする。
【0173】
使用中、クランクアームの回転が駆動シャフト439の回転を駆動する。駆動シャフト439の回転が、カム円盤を回転させる。カム円盤の回転の結果、第一、第二、および第三のピストン401a〜cの各々が、対応するシリンダー403a〜cの流体チャンバから流体を押し出し、それによって伝達路431b、cの対応する一方へ流体を押し出す。
【0174】
図30〜34を参照して、ポンプ410に使用する流体モータ512を記載する。第一、第二、および第三のシリンダー403a〜cからの第一、第二、および第三の伝達路は、ポンプ410から延設されて、流体モータ512の第一、第二、および第三のコネクタ部分501a〜cへ、封止状態が得られるように取り付けられる。流体モータ512は、第一および第二の端部部分を含む。第一の端部部分は、端部円盤503aと第一、第二、および第三のシリンダーとを含み、これらはすべて単一の材料部材により一体的に形成されている。
【0175】
端部円盤503aは、それを貫通する第一、第二、および第三の円筒状開口505a〜cを含み、その中に第一、第二、および第三のコネクタ部分501a〜cが係合する。第一、第二、および第三のシリンダー507a〜cは、円筒状開口505a〜cの各々の周縁で、円盤503aから垂直に延びる。第一、第二、および第三のシリンダー507a〜cの内部と第一、第二、および第三の伝達路とは流体連通しており、第一、第二、および第三のコネクタ素子501a〜cを介して第一、第二、および第三の伝達路から、第一、第二、および第三のシリンダー507a〜cに対して流体が流入・流出できるようにしている。第一、第二、および第三のピストン509a〜cは、対応するシリンダー507a〜cの中へ移動するよう配置されている。
【0176】
第一、第二、および第三の円筒状開口505a〜cの各々は、各内面に延びる周方向の溝を有する。第一、第二、および第三のコネクタ部分501a〜cの各々の基板は、対応する円筒状開口505a〜cにぴったりと嵌合するような、かつ、各溝に配置された止め輪によってその中に係合するような形状に形成されている。円盤503aもまた、それを貫通する三つの穴521a〜cを有し、これら穴はテーパーヘッドボルト523a〜cが入るように配置されている。
【0177】
第二の端部部分も、それを貫通する三つの開口を有する端部円盤503bを含み、前記三つの穴は、テーパーヘッドボルト529a〜cが入るように配置されている。
【0178】
流体モータ512はさらに、第一、第二、および第三のブリッジ部材515a〜cによって接合される一対の環状端部部分513a、bを含む、剛直なフレーム511含んでいる。フレーム511はまたは、円筒状の菅として形成されてもよいが、重量を削るために、記載されたように形成されている。各ブリッジ部材は、スロット517a〜cを有する。第一および第二の環状端部部分513a、bの各々は、それと一体的に形成された、内側に延びた三つのネジ込みソケット部分519a〜c、535a〜cを有し、それぞれ離間して、円盤503a中の穴521a〜cと位置合わせされている。フレーム511はこのように、テーパーヘッドボルト523a〜cによって第一の端部部分の端部円盤503aに取り付けられ、テーパーヘッドボルト523a〜cは開口521a〜cを通ってソケット部分519a〜cの中へ延び、ネジの係合によってそこへ取り付けられる。同様に、フレーム511は、テーパーヘッドボルト529a〜cによって第二の端部部分の端部円盤503bに取り付けられ、テーパーヘッドボルト529a〜cはその端部円盤の開口を通ってソケット部分535a〜cの中へ延び、ネジの係合によってそこへ取り付けられる。
【0179】
流体モータ512はさらに、剛直な駆動スリーブ525を含む。スリーブ525は、ブリッジ部分531a、bによって接合された、第一の端部部分527aと、第二の端部部分527bと、中間部分527cとを含む。フレーム511と同様に、駆動スリーブ525はほぼ円筒状に形成できるだろうが、重量を削減するためには本実施形態の形状が好ましい。駆動スリーブ525は、フレーム511上に嵌合し、それと同軸である。駆動スリーブ525は、駆動スリーブ525の他の部分よりも少し大きい直径の段差端部を有し、ニードルベアリング545a、545bを収容するようになっている。これらは、駆動スリーブ525とフレーム511との間に配置され、駆動スリーブ525とフレーム511との相対的な自由回転を可能にする。中間部分527bは、その内面に周方向に延びる連続した溝533を有する。前記溝は、内面を横方向と周方向に延びる。
【0180】
第一および第二の端部部分の各々は、三つの開口部を有し、その対になる二つはそれぞれ位置合わせされている。第二の端部部分の開口の二つは、537a、bに示されている。三つのレール539a〜cが対になる開口537a、bの間に延びる。各レールはそれに関連付けらたアーム541a〜cを有し、前記アーム541a〜cは、それを貫通する開口を一方の端部に有し、その開口を通ってレール539a〜cが延びる。これによって各アーム541a〜cは、それに関連付けられたレール上を前後に移動させることができる。各アーム541a〜cは、他方の端部にベアリング543a〜cを担持するようになっている。各アーム541a〜cは関連付けられたレールからフレーム511のスロット517a〜cのそれぞれに向かって延びる。各ベアリングは、スロット517a〜cを通って駆動スリーブ525の溝533に係合する。溝533とベアリングとは、アームが対応するスロット517a〜c中を前後に移動することによって駆動スリーブ525がフレーム511のまわりを回転するように、配置される。スロット517a〜cは、フレーム511に対するアームの相対的な回転移動を防止するために機能する。
【0181】
第一、第二、および第三のピストン509a〜cはそれぞれ、第一、第二、および第三のシリンダー507a〜c中に配置され、流体によって印加された力がかかると、そこを前後に移動できる。第一、第二、および第三のピストン509a〜cは、本明細書に記載された他のピストンと同様に、それぞれ配置され、対応するシリンダー中の流体チャンバをそれぞれ画定し、かつ、たとえば封止部材を使用して流体チャンバからの流体の流出を防止する。流体チャンバへ流体が流入することによって、それに対応するピストンが、それに対応するシリンダーから押し出され、流体チャンバへ流体が流入することによって、それに対応するピストンが、それに対応するシリンダーへ引き込まれる。第一、第二、および第三のピストン509a〜cの各々は、前記ピストンを対応するアーム541a〜cに接続するコネクタピン547a〜cが、そこに取り付けられている。各コネクタピン547a〜cは、それに対応するピストンを、それに対応するアームへ接続し、ピストンの前後移動によって、各レール539a〜c上でアームが前後移動するようにする。
【0182】
各アームの前後移動によって、アームに担持されているベアリング541a〜cがスロット517a〜c中で前後移動し、それによって駆動スリーブ525の回転が起こる。
【0183】
流体モータ512の回転は、その回転の結果、自転車の車輪の回転をおこすためのものである。この目的のために、外側駆動シェル549は、駆動スリーブ525上にそれと同軸に配置され、それら組み立てられた部品がハブを形成する。
【0184】
ハブは、何の力も印加されないときに、外側駆動シェル549が駆動部材525のまわりを自由回転できるように構成される。このためにフリーホイール機構が設けられる。フリーホイール機構は、駆動スリーブ525と外側駆動シェル549との間に配置された第一および第二のニードルベアリング551aをさらに備え、摩擦の小さい移動を可能にする。
【0185】
環状鋸歯状ラッチ553が駆動スリーブ525に固定的に取り付けられる。外側駆動シェル549は複数の離間した凹部555を備えた内面を有し、前記シェル549に取り付けられたラッチ(図示せず)の移動を許容する。フリーホイール機構とフリーハブは当該技術分野で公知であり、フリーホイール機構を達成する方法の詳細は当業者に明らかであろう。
【0186】
外側駆動シェル549は、自転車のスポーク(図示せず)が取り付けられるように構成された、放射方向に延びる、離間したフランジ557a、bの一対を有し、前記スポークはリム(図示せず)に取り付けられる。
【0187】
第一および第二の環状スペーサ559a、bもまた、ハブアセンブリの構成部品の横方向移動を防止するような大きさで設置される。
【0188】
図25〜29を参照して記載されている流体ポンプ510の動作において、第一、第二、および第三のシリンダー507a〜cの流体チャンバへ、流体が規則的に順々に供給される。流体圧システムの構成に応じて決まる最大限まで流体が特定のチャンバへ送り込まれた後は、流体は流体チャンバから流れ出ることができる。
【0189】
流体を流体チャンバへ送り込むと、対応するピストン509a〜cを移動させる。この結果、アーム541a〜cを前後に、各レール539a〜c上を往復移動させる。アームの往復移動、したがって溝533中をベアリング541a〜cが往復移動することにより、フレーム511上で中心軸のまわりに、駆動スリーブ525を回転させる。駆動スリーブが回転すると、フリーホイール機構が、外側駆動シェル549に対して駆動力を提供し、それによって車輪を駆動する。
【0190】
なお、ポンプ410および流体モータ512上のピストン/シリンダーアセンブリの数は、3よりも多くても少なくてもよい。
【0191】
上記のポンプ410およびモータ512は、部分的には、ある設計のモータに取り付けられた車輪が、一方向のみに回転するのではなく、一方向へ回転してから他方向へ回転する、という、本明細書に記載されたその他の実施形態のいくつかに起こる問題を解決するために開発された。当業者はこの問題に対処する様々な方法を思いつくであろう。ポンプ410およびモータ512の各々に三つのピストン−シリンダーアセンブリ使用して、力を順に印加することは、この問題への効果的な対処方法である。
【0192】
図35〜42を参照して別の実施形態を説明する。本実施形態において、流体圧伝達システム用のモータ610が提供される。モータ610は、上記のモータ210および310の変形例である。上記流体伝達システムと同様に、上記に記載されたものと同じ特徴を有し、同じように動作するポンプが、モータ610とともに用いられてもよい。以下、本実施形態のモータと上記のものとの相違点に焦点を当てる。
【0193】
本実施形態において、第一および第二の流体伝達路638a、638bは、便宜上、同じ側で流体モータ612へ接続する。図示が省略されている送管が、流体モータの内部を通って延設され、第一の伝達路638aを第一のシリンダー607aの流体チャンバに接続する。前記送管は、第二のシリンダー607bへ至る管部分638cに動作的に接続する。第二の伝達路638bは、第二のシリンダー607bの流体チャンバへ流体を供給する。
【0194】
同様に、
図22〜24の実施形態は、放射方向に延びている突出部208a、208bを有し、これらはあわせると円筒状駆動部材347内部の直径にわたって延びている。また、
図35〜42の実施形態は、二つの同等な部材を含む。これら部材は、それぞれ、アーム608a〜dの対の形状であり、駆動部材347の内部の直径にわたって延びている。その各々は、溝215に係合するために、その端部にベアリング614a、614bが設置されている。円筒状サポートスリーブ311は二対のスロット610a、610bを有するよう変更され、そのスロットを通ってベアリング209が突き出て溝215に係合する。部材は互いに45度未満の間隔でずれている。これら二つの部材を角度をずらして設けることにより、車輪が誤って単一の方向ではなく前後に回転するのを防止する。
【0195】
第一の対のアーム608a、608bは、スリーブ618上に放射方向に設置され、前記スリーブ618は、第二のシリンダー607bに最も近い端部に環状フランジ616を有する。スリーブ618は、第二のシリンダー607b内を往復する。フランジにかかる圧力は、スリーブを押すように働き、それによってスリーブはピストンとして機能する。
【0196】
第二の対のアーム608c、dは、ピストン部分620a、620b上に放射方向に設置され、前記ピストン部分620a、620bは、封止状態が得られるようにスリーブに係合している。スリーブはまた、シリンダーとして機能し、スリーブ中の流体がピストン部分620aをその第一の端部で押す。ピストン部分620aの第二の端部は、第一のシリンダー607a中の往復移動用に配置される。ピストン部分の第一および第二の端部620a、bにかかる圧力を変えることで、第二の対のアームを往復運動させる。スリーブとピストン部分との配置の結果、一方の対のアームの移動が他方の対の移動に続いて起こる。第一および第二の端部620a、bは、その中に周方向の溝を有し、その溝の中に第一のシリンダー607aとスリーブ618とを封止するためのシール部材(図示せず)が配置されている。
【0197】
部分622は、車両に固定的に取り付けられ、モータをそこへ取り付ける。
【0198】
動作中、流体が第一のシリンダー607a内に押し込まれると、ピストン部分の第二の端部620bが押される。流体が第二のシリンダー607bに押し込まれると、ピストン部分の第一の端部620aがスリーブ618に押し込まれる。
【0199】
流体が第二のシリンダー607b内に押し込まれると、スリーブ618がフランジにかかる作用により押され、また、スリーブ618内の流体がピストン部分620aの第一の端部に作用するため、ピストン部分620a、bが押される。このような構成により、車輪を単一の所定の方向に回転させることができる。
【0200】
本明細書に記載された部品はすべて、当業者に公知の通常の技術に従って製造することができる。
【0201】
本発明の実施形態について様々な変形例が作製できようことは、当業者に理解されるだろう。
【0202】
なお、上記の流体圧システムのいずれにおいても、液体ではなく気体を用い、したがって上記システムを気圧伝達システムとしてもてもよい。
【0203】
なお、突出した連結部と非直線溝の構成を、実施形態において反転できる。例えば、
図2〜6に記載された実施形態において、ボールベアリングや小突起などの連結部が第一のピストン116から延び、非直線溝が、第一のシリンダー118のスリーブ/本体部部分の内部のまわりに周方向に延びてもよい。非直線溝は、円を形成する概念上の線に対して非直線であり、つまり非直線溝は楕円であってもよい。
【0204】
実施形態に記載されたピストン手段は、直線経路に沿って往復運動するが、実施形態によっては、また用途に応じて、前記経路は湾曲してもよいことは理解できよう。部品は、前記湾曲した経路を収容するのに適するよう設計することができる。
【0205】
また、実施形態によっては、ピストン手段の軸と前記突起および非直線溝の相対的な回転の軸は、離間していてもよい。
【0206】
出願人はこれをもって、本明細書に記載された個別の特徴や工程や、二つ以上のかかる特徴の組み合わせを個々に開示しており、当該開示は、かかる特徴や工程または特徴および/または工程の組合せがここに開示するなんらかの問題を解決するかどうかにかかわらず、また、請求の範囲を制限することなく、かかる特徴や工程または特徴および/または工程の組合せが本明細書に全体的に基づいて当業者の技術常識に照らして実施できる程度の開示である。出願人は、本発明の態様が、かかる個別の特徴や工程、または特徴および/または工程の組合せのいくつかから構成されてもよいことを示している。上記の記載を参照すれば、発明の範囲内で様々な変形例を作成してもよいことは、当業者に明らかであろう。