(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6088704
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】ガスタービンおよびガスタービンを作動させる方法
(51)【国際特許分類】
F02C 7/042 20060101AFI20170220BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
F02C7/042
F02C7/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-503584(P2016-503584)
(86)(22)【出願日】2014年2月20日
(65)【公表番号】特表2016-512864(P2016-512864A)
(43)【公表日】2016年5月9日
(86)【国際出願番号】EP2014053312
(87)【国際公開番号】WO2014146854
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2015年12月4日
(31)【優先権主張番号】13160102.3
(32)【優先日】2013年3月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】トルシュテン・エングラ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ゴリンスキー
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル・グーテルムート
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・クロイツァー
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・リンク
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ザヴィリウス
(72)【発明者】
【氏名】カイ・スーセルベック
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ターティルト
【審査官】
橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−032869(JP,A)
【文献】
特開2009−167904(JP,A)
【文献】
実開平01−053429(JP,U)
【文献】
特開2002−357320(JP,A)
【文献】
特開昭54−001709(JP,A)
【文献】
特開2007−040171(JP,A)
【文献】
特開昭59−054738(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02466096(EP,A1)
【文献】
米国特許第05911679(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0031238(US,A1)
【文献】
米国特許第02756596(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C1/00−9/58
F23R3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気部(14)および圧縮機流れダクト(4)を有する圧縮機(1)を備えたガスタービン(13)であって、前記圧縮機(1)が、前記圧縮機流れダクト(4)内に位置決めされた、調節可能な入口ガイドブレードを備えた入口ガイドブレード列(3)を有するガスタービン(13)において、
前記ガスタービン(13)は、第1の圧縮機回転子ブレード列(5)と第1の圧縮機ガイドブレード列(6)との間に配置された、複数のセンサを備えた氷結センサユニット(17)を有し、前記第1の圧縮機回転子ブレード列(5)は、前記入口ガイドブレード列(3)のすぐ下流側に配置され、前記第1の圧縮機ガイドブレード列(6)は、前記圧縮機流れダクト(4)内の前記第1の圧縮機回転子ブレード列(5)のすぐ下流側に配置され、
前記氷結センサユニット(17)は、少なくとも1つの空気湿度センサ(11)を有し、加えて、少なくとも1つの圧力センサ(7)および1つの温度センサ(8)を有し、前記少なくとも1つの圧力センサ(7)および前記1つの温度センサ(8)は、両方とも前記第1の圧縮機回転子ブレード列(5)と前記第1の圧縮機ガイドブレード列(6)との間に配置されていることを特徴とするガスタービン(13)。
【請求項2】
前記氷結センサユニット(17)は、前記少なくとも1つの空気湿度センサ(11)、ならびに前記少なくとも1つの圧力センサ(7)および前記1つの温度センサ(8)を有し、前記少なくとも1つの空気湿度センサ(11)、ならびに前記少なくとも1つの圧力センサ(7)および前記1つの温度センサ(8)は、前記第1の圧縮機回転子ブレード列(5)と前記第1の圧縮機ガイドブレード列(6)との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン(13)。
【請求項3】
前記空気湿度センサ(11)は、前記吸気部(14)内に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のガスタービン(13)。
【請求項4】
前記氷結センサユニット(17)は、前記圧縮機流れダクト(4)内において、前記第1の圧縮機回転子ブレード列(5)と前記第1の圧縮機ガイドブレード列(6)との間の周面に沿って分配されるように配置された複数の前記圧力センサ(7)を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のガスタービン(13)。
【請求項5】
前記氷結センサユニット(17)は、前記圧縮機流れダクト(4)内において、前記第1の圧縮機回転子ブレード列(5)と前記第1の圧縮機ガイドブレード列(6)との間の周面に沿って分配されるように配置された複数の前記温度センサ(8)を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のガスタービン(13)。
【請求項6】
圧縮機(1)の圧縮機流れダクト(4)内の吸気質量流量(12)を加速させるガスタービン(13)を作動させるための方法(18)であって、
第1のステップでは、空気湿度判断(19)が、圧縮機入口領域(2)内、および/または前記圧縮機流れダクト(4)内で実行され、圧力判断(20)が、前記圧縮機流れダクト(4)内において、第1の圧縮機回転子ブレード列(5)と第1の圧縮機ガイドブレード列(6)との間で実行され、温度判断(21)が、同様に前記圧縮機流れダクト(4)内において、前記第1の圧縮機回転子ブレード列(5)と前記第1の圧縮機ガイドブレード列(6)との間で実行され、
第2のステップでは、氷結危険性判断(22)が実行され、
第3のステップでは、氷結の危険性がある場合に、入口ガイドブレード列(3)の少なくとも入口ガイドブレードが、前記吸気質量流量(12)の加速度が減少され、前記圧縮機(1)の氷結がそれによって避けられるように設定されるように、ブレード調節(23)が実行されることを特徴とする方法(18)。
【請求項7】
前記空気湿度判断(19)は、圧縮機入口領域(2)内で実行されることを特徴とする請求項6に記載の方法(18)。
【請求項8】
前記空気湿度判断(19)および/または前記圧力判断(20)ならびに/もしくは前記温度判断(21)では、判断が複数のセンサの測定値から実行される、ことを特徴とする請求項6または7に記載の方法(18)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン、およびガスタービンを作動させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、燃焼機関である。ガスタービンは、通常、圧縮機、燃焼チャンバ、およびタービンを備えている。ガスタービンの動作中、空気は最初、1つまたは複数の圧縮機段階の翼配列により圧縮され、その後、燃焼チャンバ内で気体または液体燃料と混合され、点火および燃焼される。空気は、冷却のためにも使用される。したがって、タービンのその後の部分で膨張される、高温ガス(hot gas)と呼ばれる燃焼ガスおよび空気の混合物が発生する。このプロセスの間、熱エネルギーは機械エネルギーに変換される。この機械エネルギーは、まず圧縮機を駆動し、残りの部分は、特に、発生装置を駆動させるために使用される。この種類のガスタービンは、例えば特許文献1に示されている。
【0003】
部分負荷動作のガスタービンの場合、可変圧縮機入口ガイドブレードによって設定することによって圧縮機吸気質量流量を適合させることは、知られている実施である。それによって、所与の最大排気ガス温度での最大効率を達成することが可能である。ここで、可変圧縮機入口ガイドブレードの許容最小位置は、入口ガイドブレード列および/または第1の圧縮機回転子ブレード列の領域内の吸気の冷却、および関連する氷結の危険性によって特に限定される。吸気の湿度によって、流れの冷却につながる入口ガイドブレード列の下流側の流れの加速の結果、圧縮機内の氷結につながり、したがって、機械の完全性の損傷、おそらくは機械の損傷につながることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第2 128 406号明細書
【特許文献2】特開昭63-248931号公報
【特許文献3】特開2011-032869号公報
【特許文献4】欧州特許出願公開第2 466 096号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、技術的目的は、
このような欠点をなくし、改良型のガスタービン、および前記ガスタービンを作動させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的目的の達成に寄与する可能性がある解決法は、特許文献2の教示に見いだすことができ、例えば、これにより、圧縮機入口ガイドブレードカスケードの下流側の圧縮機流れダクト内の温度センサが動作温度を判断し、このように判断された温度の値の助けをかりて、ガスタービンは、氷結イベントの発生の可能性が少なくなるように制御することができる。
【0007】
2つの文献、特許文献3および特許文献4はさらに、圧縮機入口ガイドブレードカスケード上流側の吸気流れダクト内の複数の測定値をとること、およびガスタービンを制御する基礎として前記値の使用を教示している。この場合、吸気の温度、圧力および空気湿度は、その目的で設けられたそれぞれのセンサにより判断される。
【0008】
しかし、従来技術で知られているこれらの教示の欠点は、行なわれる測定がときどき、測定の状態によって激しい変動があり、したがって、圧縮機内の氷結イベントの発生を予測し、不十分な精度でしかこれに対抗する手段をとる可能性があるということである。
【0009】
したがって、本発明の目的は、従来技術で知られているこれらの欠点を回避することができる、ガスタービン、および前記ガスタービンを作動させる方法を提示することである。特に、ガスタービン、および関連する方法により、動作中に氷結点の極めて正確な判断を可能し、したがって、適切な対処を十分な信頼性で行なうことが可能になる。
【0010】
この目的は、請求項1に記載のガスタービンにより、および請求項6に記載された方法により達成される。本発明の利点は、独立請求項に示されており、明細書に記載されている。
【0011】
本発明によるガスタービンは、吸気部、および圧縮機流れダクトを有する圧縮機を備える。圧縮機はさらに、圧縮機流れダクト内に位置決めされた、調節可能な入口ガイドブレードを備えた入口ガイドブレード列を有する。本発明によると、ガスタービンは、第1の圧縮機回転子ブレード列と第1の圧縮機ガイドブレード列の間に配置された少なくとも1つのセンサを備えた氷結センサユニットを有する。ここで、第1の圧縮機回転子ブレード列は、入口ガイドブレード列のすぐ下流側に配置され、第1の圧縮機ガイドブレード列は、圧縮機流れダクト内の第1の圧縮機回転子ブレード列のすぐ下流側に配置されている。
氷結センサユニットはさらに、少なくとも1つの空気湿度センサを有し、加えて、少なくとも1つの圧力センサおよび1つの温度センサを有し、両方とも第1の圧縮機回転子ブレード列と第1の圧縮機ガイドブレード列の間に配置されている。
【0012】
このような配置により、有利には、差し迫った氷結を判断することが可能になる。差し迫った氷結に関する情報で、入口ガイドブレード列の調節可能な入口ガイドブレードを、このような氷結に対抗するように設定することができる。これは、ガスタービンを作動させるための本発明による方法での意図である。
【0013】
第1の圧縮機回転子ブレード列と第1の圧縮機ガイドブレード列の間
のセンサの本発明による位置決めは、有利には、静温度が最も低く、したがって氷結の危険性が最も高い、圧縮機流れダクト内の点でデータを取得することが可能になる。
【0014】
空気湿度、温度および圧力、特に静壁圧に対するデータから、氷結の危険性を判断することが可能である。ここでは、温度および圧力判断のためのセンサは、最低温度および最低静壁圧が予測される、圧縮機流れダクト内の場所に位置決めされる。
【0015】
本発明によるガスタービンの有利な実施形態では、空気湿度センサが吸気部内に配置されて、空気湿度の測定が装置の近くで起こる可能性がある。
【0016】
本発明によるガスタービンの別の有利な実施形態では、氷結センサユニットは、圧縮機流れダクト内で第1の圧縮機回転子ブレード列と第1の圧縮機ガイドブレード列との間の周面に沿って分配されるように配置された複数の圧力センサを備えている。ここで、圧力センサは例えば、均一に間隔をおいて配置されている。
【0017】
これにより、静壁圧に対する値をいくつかの点で判断することが可能になる。したがって、より正確およびより信頼性のある測定が可能である。さらに、1つの圧力センサの故障は、冗長性によって補償することができる。
【0018】
本発明によるガスタービンの別の有利な実施形態では、氷結センサユニットは、圧縮機流れダクト内で第1の圧縮機回転子ブレード列と第1の圧縮機ガイドブレード列との間の周面に沿って分配されるように配置された、複数の温度センサを有する。ここでは、温度センサは例えば、均一に間隔をおいて配置されている。
【0019】
これにより、温度に対する値をいくつかの点で判断することが可能になる。したがって、より正確なおよびより信頼性のある測定が可能である。さらに、1つの温度センサの故障は、冗長性によって補償することができる。
【0020】
動作中にガスタービンを調節するための本発明による方法では、前記タービンは、圧縮機流れダクト内の吸気質量流量を加速させ、第1のステップでは、圧縮機流れダクト内の圧力判断および圧縮機流れダクト内の温度判断と同様に、圧縮機入口領域内および/または圧縮機流れダクト内で空気湿度判断が行なわれる。第2のステップでは、氷結危険性判断が行なわれる。第3のステップでは、氷結の危険性がある場合に、入口ガイドブレード列の少なくとも入口ガイドブレードは、吸気質量流量の加速度が減少するように設定されるように、ブレード調節がその後、行なわれる。本発明による方法では、圧力判断および温度判断は、第1の圧縮機回転子ブレード列と第1の圧縮機ガイドブレード列の間で
行なわれる。
【0021】
本発明による方法により、有利には、氷結を防ぐことが可能である、またはガスタービンを氷結限界のより近くで作動させることができる。その結果、ガスタービンの動作のために可変入口ガイドブレードの幅広い有用な範囲の調節がある。したがって、従来の手順と比較してガスタービンのより効率的な動作が可能である。
【0022】
本発明による方法の有利な実施形態では、空気湿度判断が、圧縮機入口領域で行なわれる。
【0023】
この領域では、吸気質量流量の流れの速度は、圧縮機流れダクトより低い。したがって、空気湿度測定はこの領域内でより望ましく行なうことができる。
【0024】
本発明による方法の別の有利な実施形態では、空気湿度判断および/または圧力判断および/または温度判断の際、複数のセンサの測定値から判断が行なわれる。
【0025】
したがって、圧縮機流れダクトのより大きな領域が監視される。この測定により、方法は、精度および信頼性が高くなる。
【0026】
本発明の例示的な実施形態が、図面および以下の説明により、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】本発明によるガスタービンの圧縮機を示す図である。
【
図3】ガスタービンを調節するための本発明による方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、略図において例として本発明によるガスタービン13を示している。本発明によるガスタービンは、供給空気内に供給するための吸気部14を有する。ここで、供給空気は、吸気質量流量12内のガスタービン13の圧縮機入口領域2(
図1には特に図示せず)に入る。圧縮機1は、吸気部14の下流側に配置されている。ガスタービンで通例であるように、燃焼チャンバ(ここでは特に図示せず)は、圧縮機の下流側に配置され、タービンは、この燃焼チャンバの下流側に位置決めされる。
【0029】
本発明によるガスタービン13の圧縮機1は、
図2の断面図で例として示されている。
【0030】
圧縮機入口領域2は、吸気部14内に配置されている。空気湿度を測定するための、少なくとも1つの空気湿度センサ11は、例えば吸気部14内に配置されている。空気湿度センサ11は、氷結センサユニット17の本発明による一部である。代替形態として、空気湿度センサ11はまた、吸気部14の外側、例えば、システムの空気入口フィルタの前方、または隣接した天候ステーション内に配置することができる。さらに、少なくとも1つの入口圧力センサ9および少なくとも1つの入口温度センサ10は、吸気部14内に置くことができる。
【0031】
圧縮機1は、圧縮機入口領域2の下流側に配置されている。本発明によると、圧縮機は、入口ガイドブレードを備えた入口ガイドブレード列3を有する。圧縮機回転子ブレードを備えた第1の圧縮機回転子ブレード列5は、入口ガイドブレード列3の下流側に配置されている。圧縮機ガイドブレードを備えた第1の圧縮機ガイドブレード列6は、第1の圧縮機回転子ブレード列5の下流側に配置されている。第1の圧縮機回転子ブレード列5および第1の圧縮機ガイドブレード列6は、圧縮機流れダクト4内に配置されている。
【0032】
ブレード列の全てのブレードは、圧縮機流れダクト4内の同じ点で周面に沿って均一に分配されるように配置されている。これらは、列に配置される。圧縮機回転子ブレード列5のブレードは、シャフト15上に固定されている。圧縮機ガイドブレード列6のブレードは、圧縮機流れダクト4のダクト壁面16上に固定されている。ブレードの別の列(ここには特には図示せず)は、図示したブレードのセット5、6の下流側に配置することができる。
【0033】
本発明によると、少なくとも入口ガイドブレードは、調節可能な入射角度を有することができる。別のガイドブレード列はまた、調節可能である。入口ガイドブレードの入射角度の調節機能により、吸気質量流量12を変更し、したがって、幅広い部分負荷範囲にわたって最大許容タービン出口温度を一定に保つことが可能になる。
【0034】
本発明によると、氷結センサユニット17の別の部分が、圧縮機流れダクト4内に配置されている。少なくとも1つの圧力センサ7および1つの温度センサ8は、圧縮機流れダクト4内に配置されている。ここで、圧力センサ7は静壁圧に対するセンサである。特に、少なくとも1つの圧力センサ7および少なくとも1つの温度センサ8は、第1の圧縮機回転子ブレード列5の下流側に配置されている。特に、複数の圧力および/または温度センサ7、8を、特に周面に沿って分配されるように配置することも可能である。
【0035】
ガスタービン13を調節するための本発明による方法18は、
図3の流れ図で例として示されている。方法18は特に、可変入口ガイドブレード列3の設定に関する。
【0036】
低い温度および高い空気湿度では、圧縮機1内の前方ブレード列に氷結が起こる危険性がある。入口ガイドブレード列3および第1の圧縮機回転子ブレード列5は、最も危険性が高い。吸気質量流量は、第1の圧縮機回転子ブレード列5の下流側で、吸気質量流量12の高い加速度によって集中的に冷却される。したがって、0℃より高い吸気質量流量12の入口温度でさえも氷結が起こる可能性がある。本発明による方法は、このような氷結を防ぐ。
【0037】
本発明による方法18では、空気湿度判断19、圧力判断20および温度判断21は最初に、氷結センサユニット17により行なわれる。
【0038】
空気湿度判断19は、少なくとも1つの空気湿度センサ11の助けをかりて達成される。空気湿度が、特に、吸気部14の圧縮機入口領域2で判断19される。代替方法として、空気湿度判断19はまた、吸気部14の外側、例えば、システムの空気入口フィルタの前方、または隣接した天候ステーション内で行なわれる。空気湿度に対して判断された値は、いくつかの成分値から得ることができる。成分値は、圧縮機流れダクト4内に配置された、複数の空気湿度センサ11から来てよい。値として、例えば、湿球温度法により、相対的空気湿度を判断する19ことが可能である。
【0039】
圧力判断20は、少なくとも1つの圧力センサ7の助けをかりて達成される。圧力は、圧縮機1の圧縮機流れダクト4内、特に、第1の圧縮機回転子ブレード列5の下流側、特に第1の圧縮機ガイドブレード列6の上流側で判断20される。圧力に対して判断された値は、いくつかの成分値から得ることができる。成分値は、圧縮機流れダクト4内で、特に周面に沿って配置された複数の圧力センサ7から来てよい。圧力判断20では、静壁圧が特に判断される。
【0040】
温度判断21は、少なくとも1つの温度センサ8の助けをかりて達成される。温度は、圧縮機1の圧縮機流れダクト4内、特に第1の圧縮機回転子ブレード列5の下流側、特に第1の圧縮機ガイドブレード列6の上流側で判断される21。温度に対して判断された値は、いくつかの成分値から得ることができる。成分値は、圧縮機流れダクト4内、特に列で径方向に配置された複数の温度センサ8から来てよい。
【0041】
吸気質量流量12が極めて迅速に加速される第1の圧縮機回転子ブレード列5の下流側では、氷結の状態は、圧縮機流れダクト4内の他の点と比較して極めて望ましい。最低温度および最低静圧は、第1の圧縮機回転子ブレード列5の下流側で予測される。
【0042】
圧縮機入口領域2内の空気の湿度、圧縮機流れダクト4内の静壁圧および温度に対して得られる値から、方法の次のステップで、本発明により氷結の危険性が判断22される。氷結の危険性は、特に、露点温度差を判断することによって判断22される。ここで、露点温度差は、計算によって判断された温度と判断された昇華温度の間の差である。一般に、氷結の危険性は、低下する温度、低下する圧力、および上昇する空気湿度と共に高くなる。
【0043】
判断22された氷結の危険性によって、ブレード設定23がその後、次のステップで本発明により行なわれる。ガスタービン13が動作中に氷結点に近づくと、ブレード、特に入口ガイドブレード列3内のものは、吸気質量流量12があまり強くなく加速されるように設定される。ここで、ブレード調節は、特に露点温度差が規定の安全値より下に下がった場合に開始される。本発明によると、氷結が起こらない可能性がある入口ガイドブレード列3の最小位置が設定される。低い温度および高い空気湿度での入口ガイドブレード列3の入口ガイドブレードの有用な調節範囲がそれによって、大きくなる。
【0044】
本発明による方法18は、ガスタービンの動作中に、定期的な間隔で行なわれることが好ましい。方法18は、特に制御ユニット(ここでは特に図示せず)によって、開ループおよび/または閉ループ制御が行なわれる。特に、この制御ユニットは、ガスタービンの主制御ユニットであってもよい。
【0045】
本発明は好ましい例示的実施形態により特に詳細に図示および記載したが、本発明は、開示した例に制限されるものではなく、本発明の保護の範囲を超えることなく当業者は、他の変形をそこから導き出すことができる。
【符号の説明】
【0046】
1 圧縮機
2 圧縮機入口領域
3 可変入口ガイドブレード列
4 圧縮機流れダクト
5 第1の圧縮機回転子ブレード列
6 第1の圧縮機ガイドブレード列
7 圧力センサ
8 温度センサ
9 入口圧力センサ
10 入口温度センサ
11 空気湿度センサ
12 吸気質量流量
13 ガスタービン
14 吸気部
15 シャフト
16 ダクト壁面
17 氷結センサユニット
18 方法