(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記状態判定手段は、前記状態判定用発電出力値の総個数に対する、前記状態判定用発電出力範囲に含まれている状態判定発電出力値の個数の割合が、所定の閾値を下回ると、前記発電システムが異常な状態であると判定する、
請求項1に記載の発電システム分析装置。
前記疑似システムモデルは、日射量を入力とし、発電電力を出力とし、前記太陽光発電システムの前記測定点で発電出力の値を算出する、請求項3に記載の発電システム分析装置。
前記状態判定手段は、前記入力の変動が所定の閾値を超えるタイミングの前および後の所定時間における発電出力値を用いて前記発電システムの状態を判定する、請求項4に記載の発電システム分析装置。
対象の太陽光発電システムとは異なる他の太陽光発電システムの疑似システムモデルに対して、前記対象の太陽光発電システムのソーラーパネルと前記他の太陽光発電システムのソーラーパネルとの設置地点の相違および/または設置角度の相違に関する補正を加えて生成した補正疑似システムモデルを保持するモデル管理手段を更に有する、請求項3に記載の発電システム分析装置。
対象の太陽光発電システムとは異なる他の太陽光発電システムの疑似システムモデルに対して、前記対象の太陽光発電システムと前記他の太陽光発電システムとのソーラーパネルの個数の相違および/または接続構成の相違に関する補正を加えて生成した補正疑似システムモデルを保持するモデル管理手段を更に有する、請求項3に記載の発電システム分析装置。
対象の太陽光発電システムとは異なる他の太陽光発電システムの疑似システムモデルに対して、前記対象の太陽光発電システムと前記他の太陽光発電システムとの使用された期間の相違に関する補正を加えて生成した補正疑似システムモデルを保持するモデル管理手段を更に有する、請求項3に記載の発電システム分析装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、第1実施形態による発電監視システムのブロック図である。
【0011】
発電監視システムは、発電システム14の故障や劣化の検知など状態の監視を行うシステムであり、分析サーバ11、パワーコンディショナー12、およびセンサー13を有している。
【0012】
発電システム14およびセンサー13はパワーコンディショナー12に接続されている。パワーコンディショナー12と分析サーバ11は共にネットワーク15に接続されており、相互にデータ通信を行うことができる。ネットワーク15はインターネットなどの広域ネットワークである。
【0013】
発電システム14は、再生可能エネルギーを利用して発電を行う装置であり、第1実施形態では一例として複数のソーラーパネル(不図示)を接続した太陽光発電システムである。
【0014】
分析サーバ11は、パワーコンディショナー12が測定した発電システム14の発電出力の情報およびセンサー13によるセンサー値の情報を収集し、それらの情報に基づき発電システム14の状態を判定する装置である。分析サーバ11は発電システム14と距離を隔てた遠方の場所に設けられてもよく、また複数の発電システム14を1つの分析サーバ11で監視してもよい。
【0015】
パワーコンディショナー12は、発電システム14の発電出力である発電電力を直流から交流に変換する装置である。第1実施形態のパワーコンディショナー12は発電システム14の発電出力を測定し、測定した発電出力を分析サーバ11に通知する機能を備えている。
【0016】
センサー13は、発電システム14およびその周囲の環境を測定する各種センサーである。第1実施形態では、日射量を測定し、測定したセンサー値を出力するセンサーと、ソーラーパネルの裏面温度を測定してセンサー値として出力するセンサーがこれに含まれている。裏面温度は、発電システム14を構成する複数のソーラーパネルのうち、中央付近のソーラーパネルの裏面に設置された温度センサーで測定される温度である。センサー13からのセンサー値は、センサー13に接続された無線送信器(Tx)16によって送信され、ネットワーク15経由で分析サーバ11に受信される。分析サーバ11では時刻情報に紐付けて記録される。
【0017】
なお、ここで測定される裏面温度は、ソーラーパネルの性能に影響する温度情報の一例であり、本発明がこれに限定されることはない。他の例として、ソーラーパネルを構成するセル内部の温度を測定することにしてもよい。その場合、セル内部の温度を測定するためのソーラーパネルを設け、そのセル内部の温度を測定することにしてもよい。また、更に他の例として、サーモグラフィを用いてソーラーパネルの温度を測定することにしてもよい。
【0018】
図2は、第1実施形態による分析サーバ11のブロック図である。
【0019】
分析サーバ11は、モデル管理部21、範囲情報管理部22、状態判定部23、および実測値取得部24を有している。
【0020】
範囲情報管理部22は、発電システム14の測定点における発電出力の値が所定以上の確率で含まれるべき発電出力の範囲(状態判定用発電出力範囲)を決定する。その際、範囲情報管理部22は、複数のモデル構築用発電出力値の標準偏差に基づいて状態判定用発電出力範囲を決定する。
【0021】
ここで、発電システム14の発電出力を測定する測定点は、一例として、複数のソーラーパネルが直列接続されストリングを構成し、その複数のストリングが更に並列接続された合成出力が測定できる箇所であり、発電システム14とパワーコンディショナー12の間にある。ただし、この測定点は例示であり、他の例として、パワーコンディショナー12の後段に測定点があり、交流電力を測定する形態でもよい。
【0022】
また、第1実施形態では、個々のソーラーパネルの発電出力をそれぞれ測定することはできず、一か所の測定点において発電システム14全体の合成出力が測定されるものとする。ただし、これも一例であり、他の例として、複数のストリングのそれぞれの発電出力が測定されるものであってもよい。その場合、ストリング単位で発電出力を監視、分析することが可能となる。更に他の例として、個々のソーラーパネルの発電出力が測定されるものであってもよい。その場合、ソーラーパネル単位で発電出力を監視、分析することが可能となる。
【0023】
また、モデル構築用発電出力値は、一例として、発電システム14が正常状態のときに測定点で測定された実測値であり、発電システム14の正常状態でのモデル(疑似システムモデル)を構築できる程度のデータ量が蓄積されているものとする。ただし、これは一例であり、人為的に設定した発電出力値、シミュレーションで得た発電出力値、発電システム14あるいは他の発電システムの実測値に補正を加えた発電出力値などの非実測値であってもよく、いずれの場合でも記録媒体やネットワーク15を介して分析サーバ11に入力することができる。また、複数のモデル構築用発電出力値は実測値と非実測値が混在するものであってもよい。
【0024】
モデル構築用発電出力値の標準偏差は、測定点における発電出力の代表値と、複数のモデル構築用実測値と、を用いて算出される。代表値を平均値と見立て、その値と、モデル構築用発電出力値の各々とを用いて標準偏差を計算することができる。具体的には、標準偏差σ=√(Σ((モデル構築用発電出力値−代表値)
2)/自由度)により求めることができる。ここで、自由度は、演算に用いるモデル構築用発電出力値の個数に依存した値、例えばその個数の値である
【0025】
なお、第1実施形態では、測定点における発電出力の代表値は、モデル構築用発電出力値を用いてノンパラメトリック法で生成される疑似システムモデルから予め算出されている。単純な例として、日射量などの入力値を細かい幅の入力値帯に分けて、それぞれの入力値帯における発電出力を一定の値(代表値)によって代表させるという算出方法が考えられる。なお、ここでは、モデル構築用発電出力値は随時追加、更新され、状態判定のたびに新たに代表値、標準偏差、および状態判定用発電出力範囲を計算するものとする。
【0026】
状態判定用発電出力範囲は、上述のように複数のモデル構築用発電出力値の標準偏差に基づいて決定するが、一例として、測定点における発電出力の代表値を含み、その代表値の上下それぞれに所定の幅を持った範囲であり、その所定の幅がモデル構築用実測値の標準偏差に基づき算出された値となる。例えば、その所定の幅として、標準偏差に所定の係数を乗算した値を用いることができる。
【0027】
状態判定用発電出力範囲は、測定点における発電出力の値が所定の基準となる確率値以上の確率で含まれるべき発電出力の範囲であるが、その確率が上記係数で決まる。例えば、実測値が正規分布であれば係数=1.96とすると、基準となる確率は約95%に設定される。
【0028】
基準となる確率値以上の確率で実測値が状態判定用発電出力範囲に含まれる状態であれば発電システム14は正常状態であると判定でき、実測値が状態判定用発電出力範囲に含まれる確率が、基準となる確率値を下回る状態であれば、実測値が低下してきたり、実測値のバラツキが大きくなってきたりしたことを意味するので、発電システム14は異常状態であると判定できる。
【0029】
モデル管理部21は、複数のモデル構築用発電出力値を用いてノンパラメトリック法で疑似システムモデルを予め生成し、管理している。この疑似システムモデルは、上述した、範囲情報管理部22による、測定点における発電出力の代表値の算出に用いられる。ただし、この疑似システムモデルは、必ずしも分析サーバ11内で生成したものでなくてもよい。予め生成された疑似システムモデルを分析サーバ11に記録媒体からあるいはネットワーク15経由で入力してもよく、その場合、モデル管理部21は入力された疑似システムモデルの情報を取得し、管理する。ノンパラメトリック法の一例として一般化加法モデル(GAM:Generalized Additive Model)を用いて疑似システムモデルを推定するという方法が利用できる。
【0030】
実測値取得部24は、測定点において測定される発電出力の実測値を取得する。上記モデル構築用発電出力値は予め測定され、蓄積されているものとする。それに対して、発電システム14の状態監視が開始され、状態を判定するために定期的に測定される実測値を状態判定用発電出力値と称することにする。
【0031】
状態判定部23は、複数の状態判定用発電出力値を状態判定用発電出力範囲と比較し、比較結果に基づいて、発電システム14の状態を判定する。第1実施形態の状態判定部23は、上述のように、基準となる確率値以上の確率で状態判定用発電出力値が状態判定用発電出力範囲に含まれる状態であれば、発電システム14が正常状態であると判定し、状態判定用発電出力値が状態判定用発電出力範囲に含まれる確率が、基準となる確率値を下回る状態であれば、発電システム14が異常状態であると判定する。
【0032】
第1実施形態によれば、ノンパラメトリック法による疑似システムモデルから算出される代表値とそれに基づくモデル構築用発電出力値の標準偏差とから決定した状態判定用発電出力範囲と、複数の状態判定用発電出力値とを比較して発電システム14の状態を判定するので、正常状態でも発電出力の特性を予め想定することが困難で発電出力の実測値がバラツキをみせるような発電システム14であっても、その状態変化を検知することが可能となる。
【0033】
例えば、状態判定部23は、状態判定用発電出力値の総個数に対する、状態判定用発電出力範囲に含まれる状態判定用発電出力値の個数の割合を算出し、算出した割合を、基準となる所定の閾値と比較する。例えば、状態判定用発電出力範囲を算出するときと同じ値である95%を閾値とすればよい。その割合が閾値を下回っていれば、状態判定部23は発電システム14が異常な状態(例えば劣化した状態)であると判定する。正常状態における発電出力の代表値との差が大きい実測値の割合が正常状態のときより高くなったことで、発電システム14が異常状態であると判定できるので、個々の状態判定用発電出力値のバラツキや個々のモデル構築用発電出力値のバラツキがあっても発電システム14の異常を検知することができる。なお、状態判定用発電出力値の総個数に対する、状態判定用発電出力範囲に含まれる状態判定用発電出力値の個数の割合についての閾値を、(95−α(αはマージン))%としてもよい。
【0034】
第1実施形態における疑似システムモデルは、一例として、センサー13で測定される日射量およびソーラーパネルの温度と、ソーラーパネルが設置される地点における太陽高度という3つのパラメータを入力とし、発電電力を出力とし、太陽光発電システムの測定点で発電出力の値を算出することを可能にするモデルである。太陽高度はソーラーパネルの設置地点から見た太陽の地平線に対する角度であり、ソーラーパネルの設置地点の緯度、経度、および日時から算出することができる。
図3は、第1実施形態による疑似システムモデルを模式的に示す図である。
図3を参照すると、上述の通り、疑似システムモデル31は、センサーで測定された日射量およびソーラーパネルの温度(裏面温度)と太陽高度とを入力とし、測定点の電力(発電電力)を算出して出力する。
【0035】
なお、第1実施形態では、全てのモデル構築用発電出力値を用いて決定された状態判定用発電出力範囲を用いる例を示したが、本発明はこれに限定されない。他の例として、モデル構築用発電出力値のうち、所定の条件を満たすときに測定されたモデル構築用発電出力値だけを用いることにしてもよい。その場合、状態判定部23は、実測値取得部24で取得された状態判定用発電出力値のうち、その同じ条件を満たすときに測定された状態判定用発電出力値だけを用いて発電システム14の状態を判定するとよい。これによれば、モデル構築および状態判定に用いる発電出力値を所定の条件によって絞り込むことにより、発電出力の安定した実測値を用いて発電システム14の故障を検知するので、故障検知の精度が向上する。
【0036】
また、第1実施形態では、どのタイミングで取得した実測値であっても、それを発電システム14の状態の判定に用いる例を示したが、本発明はこれに限定されない。他の例として、状態判定部23は、入力の変動が所定の閾値を超えるタイミングの前および後の所定時間における発電出力値を用いて発電システム14の状態を判定することにしてもよい。これによれば、発電システム14が故障や劣化などの状態変化により入力の変動に対する出力の応答性が変化する場合があり、その場合、入力変動の前後の発電出力値を用いて状態の判定を行うことで、状態変化を検知する精度を向上させることができる。なお、入力の変動が所定の閾値を超えるタイミングの検知においては、状態判定部23は、測定時刻によって複数のセンサー値を時系列に表し、時間に対するセンサー値の変化量(変動)を算出し、算出した変動の値が閾値を超えたことにより検知する。
【0038】
図4は、パワーコンディショナー12の動作例を示すフローチャートである。
【0039】
パワーコンディショナー12は、所定の測定タイミングになるのを待ち(ステップS11)、測定タイミングになると、発電システム14の発電出力の実測値を取得する(ステップS12)。そして、パワーコンディショナー12は、取得した発電出力の実測値を分析サーバ11に通知する(ステップS13)。分析サーバ11では、パワーコンディショナー12から通知された発電出力の実測値を実測値取得部24が受信し、時刻情報に紐付けてメモリに格納する。なお、測定タイミングは特に限定されないが、例えば一定時間間隔とすればよい。
【0040】
発電システム14が正常状態のときに測定された実測値はモデル構築用発電出力値として利用することができる。発電システム14の状態監視を開始した後に取得された実測値が状態判定用発電出力値となる。
【0041】
図5は、第1実施形態による分析サーバ11の範囲情報管理部22の処理例を示すフローチャートである。
図5を参照すると、範囲情報管理部22は、複数のモデル構築用発電出力値と、モデル管理部21にて管理されている疑似システムモデルを用い、各入力値に対するモデル構築用発電出力値の代表値を算出する(ステップS11)。次に、範囲情報管理部22は、代表値を平均値と見立てて、モデル構築用発電出力値の標準偏差を求める(ステップS12)。次に、範囲情報管理部22は、モデル構築用発電出力値の標準偏差に基づいて、実測値が所定確率(ここでは95%(正規分布において標準偏差×1.96)とする)以上の確率で入る実測値の幅を算出し、ここでは、その幅を状態判定用発電出力範囲として扱うものとし、メモリに記録する(ステップS13)。
【0042】
図6は、第1実施形態による分析サーバ11の状態判定部23の処理例を示すフローチャートである。
図6を参照すると、状態判定部23は、所定の判定タイミングになるのを待ち(ステップS31)、判定タイミングになると、実測値取得部24によりメモリに格納された複数の状態判定用発電出力値のうち、現在時刻と現在時刻から所定時間遡った時刻との間に測定された過去の状態判定用発電出力値と、それに紐付いたセンサー値(日射量および裏面温度)および取得時刻の時刻情報とを取得する(ステップS32)。
【0043】
続いて、状態判定部23は、それぞれの状態判定用発電出力値と、その発電出力値が測定されたときの日射量と裏面温度と取得時刻から算出される太陽高度とを疑似システムモデルに入力して得られる代表値と、の差分の絶対値を算出する。更に、状態判定部23は、その差分の絶対値が、状態判定用発電出力範囲として保持されている所定の幅の値より大きいか否か、順次判定していく。その際、状態判定部23は、発電システム14のソーラーパネルの設置地点の情報を予め保持しておき、設置地点の緯度および経度と取得時刻とに基づいて太陽高度を算出する。
【0044】
全ての状態判定用発電出力値について判定を終えると、状態判定部23は、その差分の絶対値が状態判定用発電出力範囲の幅の値より小さい状態判定用発電出力値の割合、すなわち、状態判定用発電出力値が状態判定用発電出力範囲に入っている割合を算出する(ステップS33)。
【0045】
更に、状態判定部23は、算出された割合が、基準となる確率値(ここでは(95−α)%)以上であるか否か判定する(ステップS34)。算出した割合の値が、基準となる確率値以上であれば、発電システム14は正常状態であると判定される。一方、算出した割合の値が、基準となる確率値以下であれば、発電システム14は異常状態であると判定される。
【0046】
なお、第1実施形態では、状態判定用発電出力値の総個数に対する、状態判定用発電出力範囲に含まれる状態判定用発電出力値の個数の割合を算出し、算出した割合を基準の閾値と比較するという状態判定方法を採用した。しかし、これは一例であり、本発明はこれに限定されない。他の例として、状態判定部23は、複数取得された状態判定用発電出力値の代表値を求め、その代表値が状態判定用発電出力範囲に入っていれば正常状態、入っていなければ異常状態と判定することにしてもよい。
【0047】
また、第1実施形態では、疑似システムモデルとして、日射量と、ソーラーパネルの裏面温度と、太陽高度を入力とするものを例示したが、本発明はこれに限定されない。他の例として、日射量とソーラーパネルの裏面温度とを入力とする疑似システムモデル、あるいは日射量のみを入力とする疑似システムモデルも本発明に適用可能である。
【0048】
図7Aは、日射量と裏面温度と太陽高度を入力とする疑似システムモデルにより算出される発電電圧値(横軸)と、実験システムで測定された実測値(縦軸)との関係を示す散布図である。
図7Bは、日射量と裏面温度を入力とする疑似システムモデルにより算出される発電電圧値(横軸)と、実験システムで測定された実測値(縦軸)との関係を示す散布図である。
図7Cは、日射量を入力とする疑似システムモデルにより算出される発電電圧値(横軸)と、実験システムで測定された実測値(縦軸)との関係を示す散布図である。なお、
図7A〜Cは、電流が一定の実験システムによる発電出力の実測値として発電電力の代わりに発電電圧を測定したものである。
【0049】
図8Aは、日射量と裏面温度を入力とする疑似システムモデルを模式的に示す図である。
図8Bは、日射量を入力とする疑似システムモデルを模式的に示す図である。
【0050】
図7A〜Cのいずれもモデルから算出された発電電圧値と実測値が線形の関係を示している。このことから、各疑似システムモデルが実際の発電システム14を良好に疑似し、実測値と良好に一致する代表値を算出することができると言える。よって、
図3、
図8A、
図8Bのいずれの疑似システムモデルも本発明に適用可能である。
【0051】
ただし、
図7Cに示した日射量のみを入力とする場合と比べ、
図7Bに示した日射量と裏面温度を入力とする方が、ばらつきが抑えられている。また、
図7Bに示した日射量と裏面温度を入力とする場合と比べ、
図7Aに示した日射量と裏面温度と太陽高度を入力とする方が、ばらつきが更に抑えられている。これは、日射量だけを入力とする場合に比べ日射量と裏面温度を入力とする場合の方が、更に、日射量と裏面温度を入力とする場合に比べ日射量と裏面温度と太陽高度を入力とする方が、より高い精度で発電システム14を疑似できることを意味する。必要とされる精度と演算の煩雑さとを考慮して、いずれの疑似システムモデルを適用するかを決めればよい。
【0052】
なお、
図7A〜Cは、疑似システムモデルにより算出される発電電圧値(横軸)と実験システムで測定された実測値(縦軸)との線形性と、ばらつきに関する
図7A〜Cの相対的関係とを示すためのものであり、結晶系のソーラーパネル単体を用い、負荷抵抗を5Ωとし、天候による限定をせず取得したデータが示されている。
【0053】
また、上述した第1実施形態では、範囲情報管理部22が実測値と代表値との差分に相当する発電電力の幅を状態判定用発電出力範囲として保持し、状態判定部23がその状態判定用発電出力範囲と、実測値と代表値の差分の絶対値とを比較した。
【0054】
これは、第1の実施形態では、実測値の発電電力が高い側と低い側のどちらにずれることも同様に扱うというものである。しかし、本発明がこれに限定されることはない。他の例として、((代表値)−(状態判定用発電出力値))≧(状態判定用発電出力範囲(幅))となる状態判定用発電出力値の割合が所定以上の場合に発電システム14が異常状態と判定することにしてもよい。これは発電システム14が異常状態になると発電電力が低下するということに着目し、発電電力が低い側にずれたことで異常状態と判定するというものである。
【0055】
更には、状態判定用発電出力範囲として、故障判定のための第1の状態判定用発電範囲と、劣化判定のための第2の状態判定用発電出力範囲の2つを定め、故障と劣化をそれぞれに検知することにしてもよい。その場合、第1の状態判定用発電出力範囲(幅)>第2の状態判定用発電出力範囲(幅)とするとよい。またその場合、故障の判定には、絶対値を用い、|(代表値)−(状態判定用発電出力値)|≧(状態判定用発電出力範囲(幅))であるか否かという条件で判定を行い、劣化の判定には、((代表値)−(状態判定用発電出力値))≧(第2状態判定用発電出力範囲(幅))であるか否かという条件で判定を行うことにしてもよい。これは、ソーラーパネルが故障した場合には発電出力が低下し、ソーラーパネルが劣化した場合には発電出力が低下するだけでなく、ばらつきが大きくなる可能性があることを考慮した処理である。
【0056】
また、他の例として、範囲情報管理部22は、実測値が測定されたときと同じときに測定された日射量およびソーラーパネルの温度と、実測値が測定されたときの太陽高度との組み合わせ毎に、その組み合わせに対して決まる発電電力の範囲を状態判定用範囲として予め保持しておき、パワーコンディショナー12で状態判定用発電出力値が測定されたときにセンサー13で測定された日射量およびソーラーパネルの温度と、状態判定用発電出力値が測定されたときの太陽高度とに基づき、状態判定用発電出力値が状態判定用発電出力範囲に入っているかどうか判断することにしてもよい。
【0057】
また、更に他の例として、範囲情報管理部22は、実測値が測定されたときと同じときに測定された日射量およびソーラーパネルの温度と、実測値が測定されたときの太陽高度との組み合わせに対して決まる発電電力の範囲を状態判定用範囲として、状態判定用実測値の判定を行う際にその都度計算し、センサー13で測定された日射量およびソーラーパネルの温度と、状態判定用発電出力値が測定されたときの太陽高度とに基づき、状態判定用発電出力値が状態判定用発電出力範囲に入っているかどうか判断することにしてもよい。
【0058】
また、第1実施形態では、
図6のステップS34の判定にて、状態判定部23は、算出された割合が、基準となる所定の確率値以上であるか否か判定し、算出された割合の値が基準となる確率値以下であると1回判定されれば、発電システム14は異常状態であると判定した。しかし、本発明はこれに限定されない。他の例として、ステップS34の判定において、算出された割合の値が基準となる確率値以下であると連続してN回判定されたときに、発電システム14が異常状態であると判定することにしてもよい。
【0059】
また、第1実施形態では、
図1に示したように、センサー13を無線送信器16に接続し、センサー値を無線送信器16からネットワーク15経由で分析サーバ11に送る例を示した。しかし、本発明はこの例に限定されない。他の例として、センサー13をパワーコンディショナー12に接続し、センサー値をパワーコンディショナー12からネットワーク15経由で分析サーバ11に送ることにしてもよい。また、複数のセンサーによってセンサーネットワークを構成し、センサー値を、そのセンサーネットワークのゲートウェイからネットワーク15経由で分析サーバ11に送ることにしてもよい。
【0060】
また、第1実施形態では、分析サーバ11が発電システム14による発電出力とセンサー13によるセンサー値をネットワーク15から受信し、それらを用いて演算を行う例を示したが、本発明はこの例に限定されない。発電システム14およびセンサー13は分析サーバ11と接続されていなくてもよく、発電システム14による発電出力およびセンサー13によるセンサー値のデータを記憶装置に蓄積し、それらのデータを任意の方法で分析サーバ11に入力し、演算を行うことにしてもよい。
【0062】
第1実施形態では、ソーラーパネルが設置された場所の天候を考慮せずに発電システム14の状態を判定した。これに対して、第2実施形態は、天候の情報を発電システム14の状態の判定に利用する例である。第2実施形態は、発電システム14の動作が安定していると判断できる条件(安定条件)を満たす時間に計測された発電出力値のみを発電システム14の状態判定に用いるものであり、天候の情報は、その安定条件を満たすか否かの判断に用いる。具体的には、安定条件として天候が“曇り”であるときの発電出力のみを用いて発電システム14の状態判定を行う。
【0063】
図9は、第2実施形態による発電監視システムのブロック図である。第2実施形態の発電監視システムは、
図1の構成に加え、カメラ41を有している。カメラ41は、上空画像を撮影する機能に加えて通信機能を備えている。カメラ41はネットワーク15に接続されており、発電システム14の上空を撮影した画像を、撮影時刻と共に、ネットワーク15経由で分析サーバ11に送信する。
【0064】
また、第2実施形態では、分析サーバ11の構成および動作が一部、第1実施形態のものと異なっている。
図10は、第2実施形態による分析サーバ11のブロック図である。
図10を参照すると、第2実施形態の分析サーバ11は、モデル管理部21、範囲情報管理部22、状態判定部23、実測値取得部24に加え、天候判定部25を有している。
【0065】
天候判定部25は、カメラ41から発電システム14の上空を撮影した画像と撮影時刻の情報を受信し、その画像に基づいて発電システム14の上空の天候を判定し、撮影時刻の情報とともに記録する。これにより時刻毎の天候の情報が生成される。
【0066】
天候判定部25は、一例として、晴れと雨を含めて各種天候を判別するのではなく、曇りか否かだけを判別するものとする。天候判定部25は、判定結果を天候が曇りであることを示すフラグによって示し、撮影時刻にフラグを付加することで、天候が曇りであった時間(曇り時間)の情報(曇り時間情報)を生成する。
【0067】
天候が曇りであるか否かの判定方法の例として、カメラ41で撮影された上空画像の全体に対する雲の占める領域の面積の割合が所定のパーセンテージ(例えば70%)以上であったら曇りとするという条件で判定することができる。画像中の雲の部分は、色相、明度、彩度による条件付けで判別することができる。また、他の例として、カメラ41で撮影された上空画像の平均明度が所定値以下であったら曇りとするという条件で判定することもできる。更に他の例として、カメラ41で撮影された上空画像の複数点の明度の標準偏差が所定値以下であったら曇りとするという条件で判定することもできる。
【0068】
モデル管理部21は、曇り時間情報によって曇り時間を知得し、その曇り時間に測定されたモデル構築用発電出力値のみを選択して用い、疑似システムモデルを予め生成する。疑似システムモデルの生成方法は、ノンパラメトリック法を用いた第1実施形態のものと同様である。
【0069】
範囲情報管理部22は、曇り時間情報によって曇り時間を知得し、その曇り時間に測定されたモデル構築用発電出力値のみを用いて状態判定用発電出力範囲を決定する。状態判定用発電出力範囲の決定方法は第1実施形態のものと同様である。
【0070】
状態判定部23は、曇り時間情報によって曇り時間を知得し、その曇り時間に測定された状態判定用発電出力値のみを用いて、発電システム14の状態を判定する。状態判定方法は第1実施形態のものと同様である。
【0071】
以上のように、第2実施形態による発電監視システムによれば、発電出力が安定し、故障等による影響が発電出力に顕著に表れやすい曇りのときの発電出力値を用いて発電システム14の状態を判定するので、ソーラーパネルの故障検知など状態判定の精度が向上する。
【0072】
なお、第2実施形態では、発電システム14が設置されている場所の上空画像から,分析サーバ11の天候判定部25が曇りか否か判定したが、本発明はこれに限定されない。他の例として、政府や地方公共機関などから提供される気象情報に基づいて天候が曇りか否かを決定することにしてもよい。その場合、カメラ41は不要である。分析サーバ11の天候判定部25は、気象情報に基づいて、発電システム14のソーラーパネルが設置されている場所の天候が曇りか否か判定すればよい。
【0073】
また、第2実施形態では、天候が曇りであるということを安定条件として用いる例を示したが、本発明はこれに限定されない。他の例として、発電システム14が設置された場所で観測される光量が所定値以下であるということを安定条件として用いることにしてもよい。その場合、発電システム14が設置された場所に、カメラ41の代わりに、光量計を設置し、そこから測定値を分析サーバ11に通知し、分析サーバ11が通知された測定値に基づいて天候が曇りか否か判定することにしてもよい。
【0075】
第1実施形態では、発電システム14を疑似する有効な疑似システムモデルを生成するのに十分なモデル構築用発電出力値として実測値が既に蓄積されていることを前提とし、疑似システムモデルを予め生成しておく例を示した。それに対し、第3実施形態では、発電システム14を良好に疑似する疑似システムモデルを生成できる程度の実測値が得られていない初期状態を想定し、発電システム14に類似する他のシステムの疑似システムモデルを補正して用いる例を示す。この第3の実施形態によれば、有効な疑似システムモデルが構築できない初期状態においても発電システム14の状態監視を開始することが可能となる。
【0076】
第3実施形態による発電監視システムの基本的構成は
図1に示したものと同様である。また、第3実施形態による分析サーバ11の基本的構成は
図2に示したものと同様である。ただし、第3実施形態のモデル管理部21は、第1実施形態のモデル管理部21が有する機能に加え、疑似システムモデルを補正する機能を有している。有効な疑似システムモデルができていない初期状態においては、その機能が活用される。
【0077】
第3実施形態のモデル管理部21は、監視対象の発電システム14とは異なる他の発電システムの疑似システムモデルに対して、監視対象の発電システム14のソーラーパネルと他の発電システムのソーラーパネルとの設置地点の相違および/または設置角度の相違に関する補正を加えて補正疑似システムモデルを生成し、保持する。その場合、範囲情報管理部22は、補正疑似システムモデルを、状態判定用発電出力範囲の決定に利用する。
【0078】
例えば、位置の相違により測定時刻に対応する太陽高度が異なってくる。モデル管理部21は、時刻から太陽高度を算出して用いている場合、ソーラーパネルの設置位置の相違の分だけ、時刻から算出される太陽高度を補正する。
【0079】
また例えば、ソーラーパネルの設置角度の相違により、ソーラーパネルへの太陽光の入射角が異なってくる。その場合、モデル管理部21は、ソーラーパネルから見た相対的な太陽高度を、ソーラーパネルの設置角度に応じて補正する。ここでいうソーラーパネルの設置角度には、ソーラーパネルを傾ける方向と傾ける角度が含まれる。例えば、ソーラーパネルを南向き方向に10度傾けて設置するといった場合がある。
【0080】
また、第3実施形態のモデル管理部21は、監視対象の発電システム14とは異なる他の発電システム14の疑似システムモデルに対して、監視対象の発電システム14と他の発電システムとのソーラーパネルの個数および/または接続構成に関する補正を加えて補正疑似システムモデルを生成し、保持する。
【0081】
例えば、発電システム14が複数のソーラーパネルを直列接続したものである場合、直列に接続されるソーラーパネルの個数が異なれば、発電システム14の発電出力の代表値は個数に比例して変化するので、その分を補正すればよい。標準偏差については、過去の様々な構成の発電システムの発電出力のデータを構成に紐付けて蓄積しておき、そのデータに基づいて、直列接続するソーラーパネルの個数の変化に対して標準偏差がどのように変化するかを算出し、算出結果に基づいて補正を行う。
【0082】
また例えば、発電システム14が、複数のソーラーパネルを直列接続したストリングが複数本並列接続されたものであれば、過去の様々な構成の発電システムの発電出力のデータを構成に紐付けて蓄積しておき、そのデータに基づいて、並列接続するストリングの個数の変化に対して標準偏差がどのように変化するかを算出し、算出結果に基づいて補正を行う。
【0083】
また、第3実施形態のモデル管理部21は、監視対象の発電システム14とは異なる他の発電システム14の疑似システムモデルに対して、監視対象の発電システム14と他の発電システムとの使用された期間の相違(経年劣化の度合いの違い)に関する補正を加えて補正疑似システムモデルを生成し、保持することにしてもよい。
【0084】
例えば、過去の様々な発電システムの発電出力のデータを、その発電システムが使用された期間に紐付けて蓄積しておき、そのデータに基づいて、経年により標準偏差がどのように変化するかを算出し、算出結果に基づいて補正を行う。
【0085】
なお、上述した、ソーラーパネルの設置地点の相違および/または設置角度の相違に関する補正と、ソーラーパネルの個数および/または接続構成に関する補正と、発電システムの使用された期間の相違に関する補正は、それぞれ単独で適用してもよく、複数あるいは全てをいっしょに適用してもよい。
【0087】
第1実施形態では、モデル構築用発電出力値と状態判定用発電出力値とが分離されていたが、それらが分離されていない場合がある。モデル構築用発電出力値としては、発電システム14が正常状態で測定された実測値を用いるべきである。正常状態での実測値を用いることで、正常状態での発電システム14を疑似する疑似システムモデルが構築できるからである。しかし、モデル構築用発電出力値と状態判定用発電出力値とが明確に分離して与えられない場合がある。例えば、連続時間の実測値データが蓄積されているが、どの時刻まで発電システム14が正常状態であったかの情報が無いといった場合がある。第4実施形態は、そのようにモデル構築用発電出力値と状態判定用発電出力値とが分離されていない場合を想定し、その場合にも発電システム14の状態監視を可能にする。
【0088】
図11は、第4実施形態による分析サーバ11のブロック図である。第4実施形態の分析サーバ11は、
図1の構成に加え、更に発電出力値分離部26を有している。
【0089】
発電出力値分離部26には、発電システム14の測定点で測定された複数の実測値が与えられる。発電出力値分離部26は、所定の境界時刻より前に測定された実測値と、その境界時刻よりも後に測定された実測値とに分離する。
【0090】
モデル管理部21、範囲情報管理部22、および状態判定部23は、第1実施形態のものと同様であり、境界時刻より前に測定された実測値をモデル構築用発電出力値として用い、境界時刻より後に測定された実測値を状態判定用発電出力値として用いて処理を実行する。
【0091】
途中のいずれかのタイミングで発電システム14が異常状態になっていれば、異常状態での実測値は状態判定用発電実測値に比較的多く、モデル構築用発電出力値に比較的少なく含まれる傾向となる。そのため、第4実施形態によれば、モデル管理部21、範囲情報管理部22、および状態判定部23の処理によって発電システム14の異常が検知できるようになる。
【0092】
なお、発電出力値分離部26が複数の実測値を分離する境界時刻は、特に限定されることはなく、複数の実測値を測定時刻の早い側と遅い側とに二分することに意味がある。一例として、発電出力値分離部26が実測値を分離する境界時刻を、与えられた実測値の個数を2等分する時刻にしてもよい。あるいは、最初の実測値と最後の実測値の間を時間に2等分する時刻を境界時刻としてもよい。また、実測値の個数あるいは時間的に2等分することに限定されることもなく、1:2、1:3、2:1など任意の割合で分離することができる。
【0093】
また、複数の境界時刻を設定し、それぞれについて状態判定の処理を行い、いずれかの境界時刻を取ったときに発電システム14が異常状態であると判定されれば、発電システム14が異常状態であると判定することにしてもよい。実際に発電システム14にて異常が発生した時刻に近い時刻に境界時刻を設定した場合に、状態判定処理で発電システム14の異常状態を高い精度で検知できるので、いずれかで異常状態で異常がされれば発電システム14に異常が発生したと判定できる。また、その場合、発電システム14が異常状態であると判定されたときに用いていた境界時刻に近い時刻に発電システム14で異常が発生したと推定することもできる。
【0094】
その場合、まず複数の実測値全体を2等分する境界時刻を設定し、実測値全体をモデル構築用発電出力値あるいは状態判定用発電出力値として用いて発電システム14の状態判定を行い、それで発電システム14の異常が検知されなければ、前半の実測値を2等分する境界時刻を設定し、実測値全体をモデル構築用発電出力値あるいは状態判定用発電出力値として用いて発電システム14の状態判定を行い、それでも発電システム14の異常が検知されなければ、後半の実測値を2等分する境界時刻を設定し、実測値全体をモデル構築用発電出力値あるいは状態判定用発電出力値として用いて発電システム14の状態判定を行うというように境界時刻の設定を徐々に細かくしていくことにしてもよい。これによれば、異常状態が早期に検知されれば、それ以降の処理を省略することができる。
【0095】
なお、上述した各実施形態では、発電システム14が複数のソーラーパネルを接続した太陽光発電システムである例を示したが、本発明がこれに限定されることはなく、風力発電など他の様々な発電システムに広く適用可能である。
【0096】
また、上述した各実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではないことは言うまでもない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。