特許第6088771号(P6088771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6088771
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】熱源装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20060101AFI20170220BHJP
   F24D 17/00 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   F24H1/18 D
   F24D17/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-205844(P2012-205844)
(22)【出願日】2012年9月19日
(65)【公開番号】特開2014-59126(P2014-59126A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000129231
【氏名又は名称】株式会社ガスター
(74)【代理人】
【識別番号】100093894
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 清
(72)【発明者】
【氏名】木村 晃太郎
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−021751(JP,A)
【文献】 特開2010−151429(JP,A)
【文献】 特開2002−310505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/18
F24D 17/00
F24H 1/00
F24H 4/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯槽を備えた主熱源装置と、一つ以上の給湯先への給湯機能を有する給湯回路を備えた補助熱源装置とを備え、該補助熱源装置の前記給湯回路には給湯熱交換器が介設され、前記貯湯槽から出湯された湯を前記給湯回路に導入し前記給湯熱交換器によりさらに加熱して前記給湯先に給湯する機能を有しており、前記補助熱源装置には熱媒体の液体を循環させる液体循環ポンプと、該液体循環ポンプにより循環される液体を加熱する循環熱媒体加熱用熱交換器とを備えた液体循環通路が設けられ、該液体循環通路が前記貯湯槽の出湯側と該出湯側から出湯される湯の前記給湯回路への導入側とを連通する通路の途中部に液−液熱交換器を介して熱的に接続されて、前記貯湯槽から出湯される湯を前記循環熱媒体加熱用熱交換器の加熱によって前記液―液熱交換器を介して加熱する機能を有し、前記貯湯槽から出湯される湯の前記循環熱媒体加熱用熱交換器による加熱と前記給湯熱交換器による加熱とが共に、前記給湯回路の前記給湯先側に設けられている給湯栓の開動作に基づいて行われる構成と成していることを特徴とする熱源装置。
【請求項2】
−液熱交換器の出側から給湯回路の入側に至る通路を通る湯水温を検出する湯水温検出手段が設けられ、前記給湯回路の出側から出湯される湯の流量を調節する給湯流量調節手段と、前記湯水温検出手段による検出温度に基づき該検出温度が予め定められた基準温度よりも低いときには前記給湯流量調節手段によって前記給湯回路の出側から出湯される湯の流量を小さく調節することにより出湯される湯の温度を給湯設定温度に近づける湯水温対応流量調節制御手段を有することを特徴とする請求項1記載の熱源装置。
【請求項3】
液体循環通路には暖房装置が接続されており、前記液体循環通路を循環する液体を前記暖房装置に供給することによって該暖房装置を加熱する機能を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光の熱や燃料電池等の排熱を利用して貯湯槽を加熱する機能を備えた熱源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貯湯槽を備えた熱源装置が用いられており(例えば、特許文献1、参照)、貯湯槽内の湯水を、燃料電池の排熱を利用して加熱したり、太陽熱を利用して加熱したりすることが行われている。
【0003】
図4には、燃料電池1の排熱を利用して貯湯槽2を加熱する構成を備えた熱源装置の一例が、模式的なシステム構成図により示されている。同図において、貯湯槽2を備えた主熱源装置としてのタンクユニット60が、液体を循環させる循環通路3を介して燃料電池1と熱的に接続されている。燃料電池1は、例えば固体高分子型燃料電池(PEFC)等により形成されており、水の電気分解の逆反応で、都市ガス等の燃料から取り出された水素と空気中の酸素とを反応させて発電する装置である。貯湯槽2には、貯湯槽2内の湯水温を検出する貯湯槽内湯温検出手段78が、貯湯槽2の上下方向に互いに間隔を介して複数(図4では4個)設けられている。
【0004】
前記循環通路3には、該循環通路3内に液体(ここでは湯水)を循環させるポンプ4が介設されており、ポンプ4を駆動させて貯湯槽2内の水を燃料電池1の冷却水として燃料電池1側に導入する。そして、この水を燃料電池1により形成された発電装置の発電時に生じる排熱によって加熱して、例えば60℃といった温度の湯として貯湯槽2に蓄積する。つまり、ポンプ4を駆動させ、図の矢印Aに示すように、貯湯槽2の下部側から循環通路3内に湯水を導入して、燃料電池1に通し、燃料電池1の稼働時に発生する排熱により温められた湯を貯湯槽2の上部側から貯湯槽2内に導入する。
【0005】
貯湯槽2には、その下部に貯湯槽2への給水通路61が接続され、貯湯槽2の上部には、貯湯槽2で形成された湯を出湯する出湯通路62が接続されており、給水通路61と出湯通路62とは、バイパス通路63および混合弁64を介して接続されている。出湯通路62には、バキュームブレーカ65、電磁弁66、水流センサ68、サーミスタ69a,69bが介設されており、出湯通路62から分岐した分岐通路62aに、圧力逃がし弁71が設けられている。
【0006】
出湯通路62の先端側には補助熱源装置としての給湯器8が設けられており、給湯器8に設けられた、一つ以上の給湯先への給湯機能を有する給湯回路35の入側が出湯通路62に接続されている。また、同図には図示されていないが、給湯回路35には給湯熱交換器が介設され、給湯器8は給湯熱交換器を加熱する給湯バーナや給湯バーナへの空気の給排気を行う燃焼ファン等の適宜の給湯燃焼構成を有して、タンクユニット60の貯湯槽2から出湯通路62を通して出湯された湯を給湯熱交換器によりさらに加熱して給湯先に給湯する機能を有している。
【0007】
なお、図4の図中、符号106は配水管、106aは手動の排水弁、107は逆止弁、108は手動の給水弁、109は入水サーミスタ、110は減圧弁、111は手動の給水元弁、120a、120bはサーミスタ、をそれぞれ示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−343056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、前記のような給湯器8は、例えば8号、16号、24号といったような号数で示される燃焼能力が高いものほど、燃焼能力が高い分だけ迅速な加熱が可能になる反面、価格が高くなるため、例えば24号の給湯器8を補助熱源装置として適用して図4に示される構成の熱源装置を形成すると、その価格が高くなってしまう傾向にあった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、貯湯槽を有する主熱源装置と貯湯槽から出湯される湯の再加熱を行う補助熱源装置を有する構成の熱源装置において、補助熱源装置の価格を抑えた低コストの熱源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために、次の構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、貯湯槽を備えた主熱源装置と、一つ以上の給湯先への給湯機能を有する給湯回路を備えた補助熱源装置とを備え、該補助熱源装置の前記給湯回路には給湯熱交換器が介設され、前記貯湯槽から出湯された湯を前記給湯回路に導入し前記給湯熱交換器によりさらに加熱して前記給湯先に給湯する機能を有しており、前記補助熱源装置には熱媒体の液体を循環させる液体循環ポンプと、該液体循環ポンプにより循環される液体を加熱する循環熱媒体加熱用熱交換器とを備えた液体循環通路が設けられ、該液体循環通路が前記貯湯槽の出湯側と該出湯側から出湯される湯の前記給湯回路への導入側とを連通する通路の途中部に液−液熱交換器を介して熱的に接続されて、前記貯湯槽から出湯される湯を前記循環熱媒体加熱用熱交換器の加熱によって前記液―液熱交換器を介して加熱する機能を有し、前記貯湯槽から出湯される湯の前記循環熱媒体加熱用熱交換器による加熱と前記給湯熱交換器による加熱とが共に、前記給湯回路の前記給湯先側に設けられている給湯栓の開動作に基づいて行われる構成をもって課題を解決する手段としている。
【0012】
また、第2の発明は、前記第1の発明の構成に加え、前記−液熱交換器の出側から給湯回路の入側に至る通路を通る湯水温を検出する湯水温検出手段が設けられ、前記給湯回路の出側から出湯される湯の流量を調節する給湯流量調節手段と、前記湯水温検出手段による検出温度に基づき該検出温度が予め定められた基準温度よりも低いときには前記給湯流量調節手段によって前記給湯回路の出側から出湯される湯の流量を小さく調節することにより出湯される湯の温度を給湯設定温度に近づける湯水温対応流量調節制御手段を有することを特徴とする。
【0013】
さらに、第3の発明は、前記第1または第2の発明の構成に加え、前記液体循環通路には暖房装置が接続されており、前記液体循環通路を循環する液体を前記暖房装置に供給することによって該暖房装置を加熱する機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、貯湯槽を備えた主熱源装置と、一つ以上の給湯先への給湯機能を有する給湯回路を備えた補助熱源装置とを備えており、前記貯湯槽から出湯された湯を前記給湯回路に導入し前記給湯熱交換器によりさらに加熱して前記給湯先に給湯する機能を有していることに加え、以下の構成を有している。つまり、本発明では、補助熱源装置に、熱媒体の液体を循環させる液体循環ポンプと該液体循環ポンプにより循環される液体を加熱する循環熱媒体加熱用熱交換器とを備えた液体循環通路が設けられて、該液体循環通路が前記貯湯槽の出湯側と該出湯側から出湯される湯の前記給湯回路への導入側とを連通する通路の途中部に液−液熱交換器を介して熱的に接続され、前記貯湯槽から出湯される湯を前記循環熱媒体加熱用熱交換器の加熱によって前記液―液熱交換器を介して加熱する機能を有し、前記貯湯槽から出湯される湯の前記循環熱媒体加熱用熱交換器による加熱と前記給湯熱交換器による加熱とが共に、前記給湯回路の前記給湯先側に設けられている給湯栓の開動作に基づいて行われるので、貯湯槽から出湯された湯を、液体循環通路との液−液熱交換器を介して加熱した後、給湯熱交換器によって加熱して給湯することができる。
【0015】
したがって、本発明によれば、給湯熱交換器の能力が小さくても、貯湯槽から出湯された湯を十分に加熱することができ、その分だけ補助熱源装置のコストダウンを図ることができ、その補助熱源装置を設けた熱源装置のコストダウンを図ることができる。
【0016】
また、貯湯槽から補助熱源装置側に送られる湯水を、液体循環通路との液−液熱交換器により加熱した後に給湯熱交換器による加熱する場合、その給湯熱交換器よりも燃焼能力が高い給湯熱交換器によって湯水を加熱する場合に比べ、加熱開始直後は単位時間当たりの加熱量が小さい。つまり、貯湯槽から出湯される湯を、循環熱媒体加熱用熱交換器によって加熱される液体循環通路の液体との熱交換と、燃焼能力が小さめの給湯熱交換器とにより加熱する場合には、貯湯槽から出湯される湯を燃焼能力が大きい給湯熱交換器によって一気に加熱を行う場合に比べると、同様の加熱量になるまでに例えば5分といった時間だけ遅れが生じる。そのため、燃焼能力が高い給湯熱交換器によって加熱する場合と給湯(出湯)流量が同じ場合には、加熱開始直後の湯水温が設定温度よりも許容範囲を超えて低くなることがある。
【0017】
そこで、前記液−液熱交換器の出側から給湯回路の入側に至る通路を通る湯水温を検出する湯水温検出手段を設け、その湯水温検出手段による検出温度に基づき該検出温度が予め定められた基準温度よりも低いときには、給湯回路の出側から出湯される湯の流量を調節する給湯流量調節手段によって前記給湯回路の出側から出湯される湯の流量を小さく調節することにより、出湯される湯の温度を給湯設定温度に近づける湯水温対応流量調節制御手段を設けることにより、出湯の湯水温を設定温度に近づけることができ、使い勝手を良好にできる。
【0018】
さらに、また、最近では、給湯器に、暖房装置への加熱された熱媒体の供給が可能な暖房回路を設けた複合タイプの熱源装置が広く用いられるようになっており、本発明において、補助熱源装置の液体循環通路に暖房装置を接続して液体循環通路を循環する液体を前記暖房装置に供給することにより該暖房装置を加熱する機能を有する構成とすると(言い換えれば、接続される暖房装置に加熱された熱媒体を供給して加熱する機能を有する液体循環通路を、液−液熱交換器を介し、貯湯槽の出湯側と該出湯側から出湯される湯の給湯回路への導入側とを連通する通路に熱的に接続すると)、暖房機能付きの補助熱源装置を用いて本発明の熱源装置を形成し、使い勝手の良好な熱源装置を構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る熱源装置の一実施例を簡略化して示す要部システム構成図である。
図2】実施例の熱源装置を形成する補助熱源装置のシステム構成例を説明するための説明図である。
図3】実施例の熱源装置の制御構成を示すブロック図である。
図4】貯湯槽を備えた熱源装置のシステム構成例を示す説明図である。
図5】その他の実施例の熱源装置を形成する補助熱源装置のシステム構成の一部を示す模式的な説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本実施例の説明において、従来例と同一構成要素には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【実施例】
【0021】
図1には、本発明に係る熱源装置の一実施例のシステム構成が模式的に示されている。本実施例は、図4に示した熱源装置と同様の構成要素を有し、さらに、図1に示されるように、給湯器8に、熱媒体の液体を循環させる液体循環ポンプ6と、該液体循環ポンプ6により循環される液体を加熱する循環熱媒体加熱用熱交換器(同図には図示せず)とを備えた液体循環通路5とを設けている。そして、該液体循環通路5の途中部を、貯湯槽2からの湯を出湯する出湯通路62における給湯器8の給湯回路35との接続部よりも上流側に、液−液熱交換器14を介して熱的に接続している。
【0022】
また、出湯通路62には、該出湯通路62の液−液熱交換器14との接続部から給湯回路35との接続部に至る通路を通る湯水温を検出する湯水温検出手段(サーミスタ)15が設けられており、給湯回路35には、その出側から出湯される湯の流量を調節する給湯流量調節手段27が設けられている。
【0023】
なお、本実施例に適用される給湯器8のシステム構成の詳細は特に限定されるものではないが、その一例が、図2に、貯湯槽2の出湯通路62と共に示されている。同図に示されるように、液体循環通路5には暖房装置10(10a〜10c)が接続されており、給湯器8は、液体循環通路5を循環する液体を加熱して暖房装置10に供給することによって該暖房装置10を加熱する機能を有している。つまり、本実施例において、液体循環通路5は、暖房装置10(10a,10b,10c)に熱媒体の液体(例えば温水)を加熱供給する機能を備えた暖房用液体循環通路であり、器具ケース42内に設けられた管路89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99を有して形成され、器具ケース42の外部に設けられた管路40,41,44,45,59に接続されている。
【0024】
管路40の一端側は管路97に接続され、他端側は分岐して、その分岐端側は暖房装置10a側と液−液熱交換器14側とにそれぞれ接続されている。管路41,44は液体合流手段115と管路59と介して管路95に接続され、管路45は液体分岐手段37を介して管路90に接続されている。暖房装置10aに接続されている管路40,41には、暖房装置10aの内部通路51が接続され、管路44,45には、暖房装置10b,10cの内部通路52がそれぞれ接続されている。
【0025】
暖房装置10b,10cは、例えば温水マット等の低温暖房装置であり、暖房装置10aは浴室暖房機等の高温暖房装置であり、暖房装置10aには熱動弁12が設けられている。液体分岐手段37と液体合流手段115には、必要に応じ、同図に示している他にも暖房装置を接続することができる。なお、これらの暖房装置10a〜10cと暖房装置10a〜10cに接続されている管路40,41,44,45、液体合流手段115は、図1においては図示を省略している。
【0026】
液体循環通路5には、前記の如く、液体循環通路5に液体を循環させる液体循環ポンプ6が設けられ、また、該液体循環ポンプ6の駆動により循環する液体を加熱する暖房用交換器28(28a,28b)が設けられている。これらの暖房用熱交換器28は、液体循環ポンプ6により循環される液体(例えば温水)を加熱する循環熱媒体加熱用熱交換器として機能する。暖房熱用交換器28aの液体導入側には管路95が、液体導出側には管路94がそれぞれ接続されており、暖房熱用交換器28bの液体導入側には管路91が、液体導出側には管路92がそれぞれ接続されている。管路92には、暖房高温サーミスタ33が設けられており、暖房高温サーミスタ33は、暖房熱用交換器28bから出る液体の温度を検出する。
【0027】
また、管路91は、前記液体循環ポンプ6の吐出側に、管路90と共に接続されており、管路91には、暖房熱用交換器28bに導入される液体循環通路5内の液体の温度を検出する暖房低温サーミスタ36が設けられている。また、液体循環ポンプ6の吸入口側には前記管路93が接続されており、管路93と管路94との間にはシスターン装置100が介設されている。シスターン装置100は、その上部側に大気開放部を有し、また、シスターン装置100にはオーバーフロー通路53が接続されている。
【0028】
暖房熱用交換器28(28a,28b)は、それぞれ、燃焼室24内に設けられており、燃焼室24には、暖房熱用交換器28と共に、暖房熱用交換器28を加熱するバーナ16と、バーナ16の燃焼の給排気を行なう燃焼ファン18とが設けられている。また、燃焼室24と連通して燃焼室25が設けられ、燃焼室25内には、バーナ17と、バーナ17により加熱される給湯熱交換器29(29a,29b)と、バーナ17の燃焼の給排気を行なう燃焼ファン19とが設けられている。暖房用熱交換器28bと給湯熱交換器29bは、それぞれ、対応するバーナ16,17の排気の顕熱を回収するメインの熱交換器であり、暖房用熱交換器28aと給湯熱交換器29aは、それぞれ、主に対応するバーナ16,17の排気の潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器であり、この潜熱回収用熱交換器で発生するドレンを回収して中和し、外部に排出するために、ドレン排出通路75,77、ドレンの中和手段76が設けられている。
【0029】
バーナ16,17には、それぞれのバーナ16,17に燃料を供給するガス管31,32が接続されている。これらのガス管31,32は、ガス管30から分岐形成されており、ガス管30には、ガス開閉弁80が介設されている。また、ガス管31には、ガス比例弁86とガス開閉弁81,82が、ガス管32には、ガス比例弁87とガス開閉弁83,84,85がそれぞれ介設されている。これらの弁80〜87はいずれも電磁弁により形成されており、ガス開閉弁80〜85は、対応するバーナ16,17への燃料供給・停止を制御し、ガス比例弁86,87は、対応するバーナ16,17への供給燃料量を弁開度でもって制御する。なお、バーナ16,17の燃焼制御は、図示されていない燃焼制御手段によって、適宜の制御方法により制御される。
【0030】
前記給湯熱交換器29aの入口側には湯水導入通路88が設けられ、給湯熱交換器29bの出口側には給湯通路26が設けられており、給湯通路26の先端側は、適宜の給湯先に導かれている。これらの湯水導入通路88、給湯熱交換器29a,29b、給湯通路26を有して前記給湯回路35が形成され、湯水導入通路88の入口側が前記出湯通路62に接続されている。
【0031】
また、湯水導入通路88は、接続通路57と補給水電磁弁46を介して、前記シスターン装置100に接続され、前記液体循環通路5に接続されている。湯水導入通路88の入口側には、湯水導入通路88を流れる湯水の量を検出する流量センサ73と湯水の温度を検出する入湯水温度センサ74が設けられている。また、給湯通路26には、分岐通路70と湯水経路切替弁58を介して前記湯水導入通路88が接続されており、給湯通路26には、分岐通路70の分岐部よりも下流側に出湯湯温検出センサ113が設けられ、給湯熱交換器29側に出湯湯温検出センサ114が設けられている。
【0032】
また、前記液体循環通路5には、浴槽(図示せず)に接続された追い焚き循環通路13が、液―水熱交換器により形成された追い焚き熱交換器7を介して熱的に接続されており、液体循環通路5の追い焚き熱交換器7を形成する管路89には、追い焚き熱交換器7の入口に流量制御弁38が設けられている。追い焚き循環通路13には、浴槽湯水を循環させる浴槽湯水循環ポンプ20が設けられ、追い焚き熱交換器7は、浴槽湯水循環ポンプ20の駆動によって追い焚き循環路13を循環する浴槽湯水を加熱する風呂熱交換器と成している。追い焚き循環通路13には、浴槽湯水の温度を検出する浴槽湯水温検出手段としての風呂温度センサ21と、浴槽湯水の水位を検出する水位センサ22と、追い焚き循環路13の水流を検知する風呂水流スイッチ34とが介設されている。
【0033】
前記給湯通路26には、分岐通路70の形成部および出湯湯温検出センサ113の配設部よりも下流側に、管路54を介して注湯水ユニット55が接続されている。注湯水ユニット55には風呂用注湯導入通路23の一端側が接続され、風呂用注湯導入通路23の他端側は、前記浴槽湯水循環ポンプ20に接続されている。注湯水ユニット55には、湯張り電磁弁48、湯張り水量センサ49、逆止弁50a,50bが設けられている。給湯熱交換器29から給湯通路26と管路54、注湯水ユニット55、風呂用注湯導入通路23、浴槽湯水循環ポンプ20、追い焚き熱交換器7、追い焚き循環通路13を順に通って浴槽に至るまでの通路によって、湯張りや注水を行うための湯張り注水通路が構成されている。
【0034】
図3には、本実施例の熱源装置の特徴的な制御構成がブロック図により示されている。同図に示されるように、本実施例は、制御装置101内に、湯水温対応流量調節手段102、暖房燃焼制御手段103、給湯燃焼制御手段104を設けて形成されている。
【0035】
暖房燃焼制御手段103は、例えば各暖房装置10a,10b,10cに対応させて設けられた暖房用のリモコン装置67a,67b,67cの指令に基づき、バーナ16の燃焼制御を行って暖房用熱交換器28により液体循環通路5内の液体を加熱し、暖房用液体循環ポンプ6の駆動制御や、電磁弁38の開閉制御を行うことにより、暖房装置10への加熱された液体の供給による暖房運転を行う。例えば、液体循環通路5から加熱された液体を暖房装置(高温暖房装置)10aに供給する際には、暖房燃焼制御手段103は、暖房装置10aの暖房用のリモコン装置67aに設けられている暖房運転スイッチのオン信号を受けて、バーナ16の燃焼制御および燃焼ファン18の回転制御等を行い、暖房用熱交換器28a,28bを加熱し、暖房高温サーミスタ33の検出温度が約80℃となるように、液体循環通路5を循環する液体を加熱する。
【0036】
加熱された液体は、暖房用熱交換器28bから約80℃で導出され、図2の矢印Aに示すように管路92を通る。このとき、流量制御弁38は閉状態とされるので、前記液体は、図2の矢印Bに示すように、管路97,40を順に通って暖房装置10aに導入されると共に、同様にして液−液熱交換器14にも供給され、暖房装置10aおよび液−液熱交換器14には80℃程度の液体が供給される。なお、浴槽湯水の追い焚き時には、電磁弁38が開かれて暖房用熱交換器28bから導出された液体が追い焚き熱交換器7側にも送られ、このとき、浴槽湯水循環ポンプ20をオンすることにより浴槽湯水の追い焚きが行われる。
【0037】
暖房装置10aに供給された液体は、暖房装置10aの管路51を通るときに放熱して、その温度が例えば60℃程度に下がった状態で、管路41,59を通り、矢印Cに示すように、管路95を順に通って暖房用熱交換器28aに導入される。また、液−液熱交換器14に供給された液体は、液−液熱交換器14において出湯通路62を通る湯水との熱交換により放熱し、管路41,59を通った後、矢印Cに示すように、管路95を順に通って暖房用熱交換器28aに導入される。
【0038】
暖房用熱交換器28aに導入された液体は暖房用熱交換器28bによって加熱された後、矢印Dに示すように、管路94を通ってシスターン装置100に導入され、シスターン装置100を通った後に、矢印Eに示すように、管路93を通り、液体循環ポンプ6に導入される。その後、液体は、矢印Fに示すように、管路91を通って暖房用熱交換器28bに導入され、暖房用熱交換器28bによって加熱されて、前記と同様にして液体循環通路5を循環する。
【0039】
また、暖房装置(低温暖房装置)10b,10cの運転を行うときにも、暖房燃焼制御手段103は、暖房装置10b,10cの暖房用のリモコン装置67b,67cに設けられている暖房運転スイッチのオン信号を受けて、バーナ16の燃焼制御および燃焼ファン18の回転制御等を、暖房装置10aの運転時と同様に行い、それにより、暖房用熱交換器28bからは適宜の温度(例えば約80℃)の液体が導出されるが、暖房装置10b,10cの運転時には、流量制御弁38を開状態とする。そして、液体を、図2の矢印A、B’、C、D、Eに示す順に通すことにより、管路92、管路89、追い焚き熱交換器7、管路96、管路95、暖房用熱交換器28a、管路94、シスターン装置100、管路93を順に通して、液体循環ポンプ6に導入する。
【0040】
そして、液体循環ポンプ6から吐出された液体を、管路90と開状態の熱動弁37を介して、矢印Gに示すように管路45に通し、暖房装置10b,10cに導入されるようにする。このようにすることで、暖房装置10b,10cに導入される液体の温度が、暖房用熱交換器28bから直接的に液体が暖房装置10b,10cに導入されるよりも液体の温度が低くなるようにし、60℃程度の液体が暖房装置10b,10cに供給されるようにする。
【0041】
なお、暖房装置10b,10cに導入される液体の温度調節は、低温能力切替熱動弁47の開弁量を調節することによっても行われるものであり、必要に応じて、管路94からシスターン装置100に導入される液体に、管路92を通る高温の(暖房熱交換器28bによって例えば80℃に高められた)液体を、管路99,98を通して混合することにより、暖房低温サーミスタ36の検出温度が60℃程度になるようにして、暖房装置10b,10cに供給されるようにする。
【0042】
また、暖房装置10b,10cの運転開始直後には、暖房装置10b,10cの内部通路51,52や管路44,45内の液体が冷えている状態であり、このように液体を冷たい状態から加熱する場合のホットダッシュ運転(コールドスタート)では、例えば15分といった予め定められたホットダッシュ設定時間だけ、暖房低温サーミスタ36の検出温度が例えば70〜80℃のホットダッシュ設定温度になるように、低温能力切替熱動弁47の開弁量の調節が行われ、ホットダッシュ設定温度の液体が暖房装置10b,10cに供給されるようにする。
【0043】
以上のようにして暖房装置10b,10cに供給された液体は、暖房装置10b,10cを通って放熱し、例えば40℃以下の低温となった後、管路44を通り、管路95に導入され、前記と同様に、液体循環通路5を循環する。
【0044】
給湯燃焼制御手段104は、給湯通路26の先端側に設けられている給湯栓(図示せず)が開かれたときに、例えば台所配置や浴室配置のリモコン装置72により設定されている給湯設定温度の湯が給湯先から出湯できるように、バーナ17の燃焼制御や燃焼ファン19の駆動制御を行うものである。
【0045】
給湯燃焼制御手段104は、前記給湯栓が開かれたときに、入湯水温度センサ74の検出温度を取り込み、この検出温度とリモコン装置72により設定されている前記給湯設定温度とを比較し、入湯水温度センサ74の検出温度が給湯設定温度以上のときには、給湯熱交換器29による加熱を行わずに、出湯通路62から湯水導入通路88に導入される湯を分岐通路70を通して給湯通路26から給湯先に出湯する。また、前記検出温度が給湯設定温度よりも低いときには、バーナ17を燃焼させて給湯熱交換器29を加熱する動作を行うと共に、暖房燃焼制御手段103に暖房燃焼動作指令を加え、湯水温対応流量調節制御手段102に流量調節準備指令を加える。
【0046】
暖房燃焼制御手段103は、給湯燃焼制御手段104から暖房燃焼動作指令が加えられたときには、暖房装置10aの動作時と同様にして、バーナ16の燃焼制御と燃焼ファン18の駆動制御を行いながら、暖房用液体循環通路5に加熱された液体を循環させ、この液体を液−液熱交換器14に接続されている管路40に通して循環させることにより、液−液熱交換器14を介して出湯通路62を通る湯水を加熱する。
【0047】
湯水温対応流量調節制御手段102は、湯水温度検出手段15による検出温度に基づき、該検出温度が予め定められた基準温度よりも低いときには、給湯流量調節手段27によって給湯回路35の出側から出湯される湯の流量を小さく調節することにより、出湯される湯の温度を給湯設定温度に近づけるものであり、暖房燃焼制御手段103からの流量調節準備指令を受けると、湯水温度検出手段15の検出温度を取り込み、必要に応じて給湯流量調節手段27による出湯流量の調節を行う。湯水温対応流量調節制御手段102は、図示されていないメモリ部を有しており、このメモリ部に予め格納された流量と給湯温度との関係データ等の適宜の関係データと、湯水温度検出手段15による検出温度に基づき、給湯流量調節手段27を制御することにより給湯流量を調節する。
【0048】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。例えば、前記実施例では、貯湯槽2は燃料電池1に熱的に接続されていたが、燃料電池1の代わりに、太陽熱を集熱する集熱機を接続してもよい。この場合、夜間は、集熱機による集熱によって貯湯槽2内の湯水を加熱することができないため、給湯器8による補助加熱が必要となる頻度が高くなる。
【0049】
また、前記実施例では、制御装置101に湯水温対応流量調節制御手段102を設けたが、湯水温対応流量調節制御手段102は省略することもできる。
【0050】
さらに、給湯器8を、例えば図5に示すシステム構成を有するものとしてもよい。つまり、液体循環通路5を備えた暖房回路が初期に暖められるまでに少し時間がかかる原因として、容量が大きいシスターンタンク100が液体循環通路5に介設されていて、そのシスターンタンク100を介して液体(例えば温水)が循環するために多くの熱量が必要であることが大きい。そこで、例えば同図に示されるように、シスターンタンク100を通さずに液体循環が行えるようなバイパス通路117を設けることにより、暖房回路が温められるまでの時間を小さくできる。
【0051】
この場合、バイパス通路117には例えば電磁弁118を介設し、制御装置101内に弁開閉制御手段を設け、この弁開閉制御手段が温水温度検出手段15による検出温度を取り込んで、該検出温度が基準温度より低いときには電磁弁118を開き、バイパス通路117を通して液体を循環させ、温水温度検出手段15による検出温度が基準温度に達したら電磁弁118を閉じるようにすることにより、暖房回路が温められるまでの時間を小さくできる。
【0052】
また、バイパス通路117に電磁弁118を設けることに加え、管路94にも弁119を介設してもよい。この弁119を流量制御弁により形成する場合には、制御装置101内に設けた弁開閉制御手段によって、温水温度検出手段15による検出温度が基準温度より低いときには電磁弁118を開くと共に、弁119を閉じ、温水温度検出手段15による検出温度が基準温度に近づいてきたら弁119の開弁量を徐々に大きくしていくようにするとよい。
【0053】
一方、弁119を開閉弁とする場合には、図5の破線に示されるように、管路94に、弁119を迂回する迂回通路121を設け、制御装置101内に設けた弁開閉制御手段によって、温水温度検出手段15による検出温度が基準温度より低いときには電磁弁118を開くと共に、弁119を閉じるが、液体循環通路5を循環する液体の温度が高くなったときには、温度上昇に伴って体積が膨張した液体の一部が迂回通路121を通してシスターンタンク100側に流れるようにしてもよい。
【0054】
さらに、2つの電磁弁118,119を設ける代わりに、バイパス通路117と管路94との接続部に1つの三方弁を設け、前記のような2つの電磁弁118,119の制御による液体の流れと同様に、液体が流れるような制御をしてもよい。
【0055】
なお、シスターンタンク100は、液体循環通路5内の液体の温度が高くなって膨張した際、その膨張した体積を吸収するものであるので、シスターンタンク100側に液体を通さないと、液体循環通路5を形成する管路内の圧力が高くなる可能性があるが、その圧力は給水圧以上とはならないため、管路に対しては特に支障がない。また、バイパス通路117を通して(シスターンタンク100を通さずに)液体を循環させることにより、液体循環ポンプ6に大きめの圧力がかかることが懸念される場合でも、その時間が短ければ支障はなく、また、同図に示す回路においては、液体の圧力が高くなったときには、管路93を介してシスターンタンク100側に圧力が逃げるので液体循環ポンプ6に過度の圧力が加えられることはなく、問題はない。
【0056】
さらに、給湯器8内の詳細なシステム構成等は、図2図5に示した態様とは限らず、適宜設定されるものであり、給湯熱交換器29を備えた給湯回路35を有して、その入側が出湯通路62に接続されて、出湯通路62を通して出湯された湯を給湯熱交換器29によりさらに加熱して給湯先に給湯する機能を有し、さらに、熱媒体の液体を循環させる液体循環ポンプ6と、液体循環ポンプ6により循環される液体を加熱する循環熱媒体加熱用熱交換器28とを備えた液体循環通路5とを有し、この液体循環通路5が貯湯槽2の出湯通路62と熱的に接続されていればよく、例えば石油燃焼式の給湯器8としてもよいし、電気ヒータにより加熱するタイプの給湯器としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の熱源装置は、貯湯槽を有する主熱源装置の貯湯槽から出湯される湯を低コストの補助熱源装置で再加熱することができてコストを安くできるので、例えば家庭用の熱源装置として利用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 燃料電池
2 貯湯槽
3 循環通路
4 ポンプ
5 液体循環通路(暖房用液体循環通路)
6 液体循環ポンプ
8 給湯器
14 液−液熱交換器
27 給湯流量調節手段
35 給湯回路
36 暖房低温サーミスタ
60 タンクユニット
61 給水通路
62 出湯通路
101 制御装置
102 湯水温対応流量調節制御手段
103 暖房燃焼制御手段
104 給湯燃焼制御手段
図1
図2
図3
図4
図5