(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6088894
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】過電圧保護回路
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20170220BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20170220BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20170220BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20170220BHJP
H03K 17/08 20060101ALI20170220BHJP
H02H 9/04 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/08 102F
H03K17/08 C
H02H9/04 B
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-81234(P2013-81234)
(22)【出願日】2013年4月9日
(65)【公開番号】特開2014-204072(P2014-204072A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】591128453
【氏名又は名称】株式会社メガチップス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】小沢 忠史
【審査官】
宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−198921(JP,A)
【文献】
特開2000−332207(JP,A)
【文献】
特開2014−063854(JP,A)
【文献】
特表2015−505644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 21/8234
H01L 27/04
H01L 27/088
H02H 9/04
H03K 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップの高電圧電源端子から第1の電源ノードに供給される高電源電圧から、内部信号に応じて、該高電源電圧よりも低い所定の出力電源電圧を生成して第3の電源ノードに出力する出力電源供給回路を有する電圧レギュレータに適用される過電圧保護回路であって、
前記高電源電圧よりも高い過電圧が前記高電圧電源端子から前記第1の電源ノードに印加されると、該第1の電源ノードと前記チップの低電圧電源端子から低電源電圧が供給される第2の電源ノードとを接続する第1のクランプ回路と、
前記過電圧が前記第1の電源ノードに印加されたことを検出する第1の過電圧検出回路と、
前記第1の過電圧検出回路によって前記過電圧が前記第1の電源ノードに印加されたことが検出されると、前記第3の電源ノードと前記第2の電源ノードとを接続する第2のクランプ回路と、を備えることを特徴とする過電圧保護回路。
【請求項2】
さらに、前記過電圧が前記第1の電源ノードに印加されたことを検出する第2の過電圧検出回路と、
前記第2の過電圧検出回路によって前記過電圧が前記第1の電源ノードに印加されたことが検出されると、前記過電圧による電流が前記第1の電源ノードから前記出力電源供給回路を介して前記第3の電源ノードに流入するのを停止させる出力電源停止回路とを備えることを特徴とする請求項1記載の過電圧保護回路。
【請求項3】
前記第1および第2の過電圧検出回路は同じ1つの回路であることを特徴とする請求項2記載の過電圧保護回路。
【請求項4】
前記第2のクランプ回路および前記出力電源停止回路は、前記出力電源電圧で動作するトランジスタよりもゲート絶縁膜が厚いトランジスタで構成されている請求項2または3に記載の過電圧保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧レギュレータから出力される出力電源電圧で動作する素子を、半導体チップの外部高電圧電源端子から高電源電圧の電源ノードに印加される過電圧による破壊から保護する過電圧保護回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電圧レギュレータ(Voltage Regulator)は、半導体チップの外部高電圧電源端子から電源ノードに供給される高電源電圧から、高電源電圧よりも低い所望の出力電源電圧を生成して出力するものである。電圧レギュレータは、通常、その出力電源電圧に安定化容量を接続して使用するが、出力電源電圧をチップの外部出力電源端子として引き出して外付けで安定化容量を接続する場合と、チップ内部に安定化容量を設けて接続する場合とがある。
【0003】
半導体チップのピン数削減の要求が高い場合、チップ内部に安定化容量を設けることが多い。この場合、安定化容量の大きさが制限されることから、通常動作時には出力電源電圧が急峻に立ち上がる可能性が高い。そのため、ESD(Electro-Static Discharge)などの過電圧保護回路として、電圧のスルーレートでトリガするスルートリガタイプのアクティブクランプ回路を使っている場合、通常動作で誤作動を起こし、発振などの異常を引き起こす恐れがある。
【0004】
そこで、従来、外付け容量がない、もしくは、小さい場合の出力電源電圧の保護回路として、スルートリガタイプのアクティブクランプ回路ではなく、一般的にGGNMOS(Gate Grounded NMOS)といった電圧トリガタイプのクランプ回路が使用されている。
【0005】
以下、従来の過電圧保護回路について説明する。
【0006】
図3は、従来の過電圧保護回路を適用する電圧レギュレータの構成を表す一例の回路図である。同図に示す電圧レギュレータ30は、出力電源供給回路32と、過電圧保護回路34とによって構成されている。
【0007】
出力電源供給回路32は、電圧レギュレータ30が搭載された半導体チップの外部高電圧電源端子から第1の電源ノードV1に供給される高電源電圧VDDIN、例えば、3.3Vから、内部信号に応じて、高電源電圧VDDINよりも低い所定の出力電源電圧VROUT、例えば、1.2Vを生成して第3の電源ノードV3に出力するものであり、PMOS(P型MOSトランジスタ、以下同じ)MP1によって構成されている。
PMOSMP1は、第1の電源ノードV1と第3の電源ノードV3との間に接続され、そのゲートには内部信号が入力されている。
【0008】
過電圧保護回路34は、過電圧検出回路36と、第1のクランプ回路38と、第2のクランプ回路40とによって構成されている。
【0009】
過電圧検出回路36は、ESDイベント発生時に、高電源電圧VDDINよりも高い過電圧が高電圧電源端子から第1の電源ノードV1に印加されたことを検出するものであり、抵抗素子Rと、容量素子C(図示例では、NMOS(N型MOSトランジスタ、以下同じ)MN3のゲート容量)と、インバータINV1とによって構成されている。
抵抗素子Rおよび容量素子Cは積分回路を構成するものであり、第1の電源ノードV1と第2の電源ノードV2との間に直列に接続されている。抵抗素子Rと容量素子Cとの間の内部ノードN0から出力される信号がインバータINV1に入力されている。
【0010】
第1のクランプ回路38は、過電圧検出回路36によって過電圧が第1の電源ノードV1に印加されたことが検出されると、第1の電源ノードV1と第2の電源ノードV2とを接続して、第1の電源ノードV1に印加された過電圧による電流を第2の電源ノードV2に流し、第1の電源ノードV1をクランプするものであり、NMOSMN1によって構成されている。
NMOSMN1は、第1の電源ノードV1と第2の電源ノードV2との間に接続され、そのゲートには過電圧検出回路36のインバータINV1の出力信号が入力されている。
過電圧検出回路36および第1のクランプ回路38からなる保護回路は、例えば、特許文献1の
図2に記載されている。
【0011】
第2のクランプ回路40は、過電圧が第1の電源ノードV1に印加されると、寄生バイポーラトランジスタがターンオンすることにより、第3の電源ノードV3と第2の電源ノードV2とを接続して、第1の電源ノードV1からPMOSMP1を介して第3の電源ノードV3に流入した過電圧による電流を第2の電源ノードV2に流し、第3の電源ノードV3をクランプする電圧トリガタイプのクランプ回路であり、NMOSMN2によって構成されている。
NMOSMN2は、第3の電源ノードV3と第2の電源ノードV2との間に接続され、そのゲートは第2の電源ノードV2に接続されている。
【0012】
また、同図には、出力電源電圧VROUTに接続された安定化容量素子(NMOSMN4のゲート容量)C2が示されている。この容量素子C2は、第2の電源ノードV2と第3の電源ノードV3との間に接続されている。
【0013】
次に、電圧レギュレータ30の動作を説明する。
【0014】
まず、通常動作時に、第1の電源ノードV1に高電源電圧VDDINが供給されているとき、容量素子Cは充電されていて、内部ノードN0はハイレベル、つまり、インバータINV1の出力信号はローレベルとなっている。
これに応じて、第1のクランプ回路38のNMOSMN1はオフであり、第2のクランプ回路40のNMOSMN2はゲートが第2の電源ノードV2に接続されているためオフであるから、出力電源供給回路32のPMOSMP1は、内部信号に応じてオンオフ状態が制御される。
【0015】
一方、ESDイベント発生時に、第1の電源ノードV1に過電圧が印加されたとき、第1の電源ノードV1が急峻に立ち上がるのに対して、内部ノードN0は、積分回路の作用によって第1の電源ノードV1よりも緩やかに立ち上がり、抵抗素子Rを介して容量素子Cが充電されるまでの間、つまり、積分回路の時定数RCに相当する時間、ローレベルになる。
これに応じて、インバータINV1の出力信号は、時定数RCに相当する時間、ハイレベルになる。
【0016】
過電圧検出回路36によって過電圧が第1の電源ノードV1に印加されたことが検出されて、内部ノードN0がローレベル、すなわち、インバータINV1の出力信号がハイレベルになると、第1のクランプ回路38のNMOSMN1がオンして、第1の電源ノードV1に印加された過電圧による大部分の電流がNMOSMN1を介して第2の電源ノードV2に流れ、第1の電源ノードV1がクランプされる。
また、第1の電源ノードV1に過電圧が印加されたとき、第1の電源ノードV1から出力電源供給回路32のPMOSMP1を介して第3の電源ノードV3に過電圧による電流が流入し、第3の電源ノードV3の電圧が上昇する。仮に過電圧がVROUTに流入した場合にはGGNMOSの寄生バイポーラがオンして印加された電流を流す。
【0017】
図4は、
図3に示すNMOSMN2の電流電圧特性を表すグラフである。同図に示すグラフの縦軸はNMOSMN2のソース・ドレイン電流I(ESD電流)、横軸はNMOSMN2のソース・ドレイン電圧V(VROUT)を表す。
例えば高電源電圧VDDINが3.3Vである場合に、ESDイベント発生時に、第2のクランプ回路40のNMOSMN2はオフしているため、このグラフに示すように、第3の電源ノードV3に流入する過電圧による電流Iが0mAから増加するに従って、第3の電源ノードV3の電圧Vが5V前後から上昇する。そして、この例の場合、過電圧による電流Iが10mA(=It1)になると、第3の電源ノードV3の電圧VがNMOSMN2の寄生バイポーラトランジスタのターンオン電圧(=Vt1)に到達して、寄生バイポーラトランジスタがターンオンする。
これに応じて、第3の電源ノードV3に流入した過電圧による電流Iが、第3の電源ノードV3からNMOSMN2の寄生バイポーラトランジスタを介して第2の電源ノードV2に流れ、第3の電源ノードV3がクランプされる。
このように、第2のクランプ回路40のNMOSMN2は、第3の電源ノードV3の電圧VがVt1を超えると動作を開始する電圧トリガタイプのクランプ回路である。なお、クランプされることにより過電圧が急激に低下するが、過電圧の電流がクランプ回路の流すことができる電流値よりも過大であると、再び電圧が上昇し、やがてクランプ回路自身も破壊される(
図4の「危険」領域)。したがって、クランプ回路は、自身の流す電流値、すなわち過電圧の電流値を十分に考慮した上で設計される。
【0018】
しかし、ESDイベント発生時に、第1の電源ノードV1から出力電源供給回路32のPMOSMP1を介して第3の電源ノードV3に必ずしも大電流が流入するとは限らない。電圧トリガタイプの第2のクランプ回路40では、ESDイベント発生時に、NMOSMN2の寄生バイポーラトランジスタがターンオンしない程度に、中途半端な電流Iが第3の電源ノードV3に流入した場合、第3の電源ノードV3の電圧VがVt1まで上昇せず、トリガがかからずに出力電源電圧VROUTが高電圧となったままの状態が続き、例えば、出力電源電圧VROUTが5Vを超えると、出力電源電圧VROUTで動作する素子、例えば、容量素子C2の破壊に至るリスクがある。そのため、本来、出力電源電圧VROUTは高電源電圧よりも低い電圧であり、ゲート耐圧の比較的低い薄膜(ゲート絶縁膜の薄い)のNMOSを使用して設計するところを、より高耐圧の素子、例えば、容量素子C2として、PMOSや厚膜(薄膜のMOSよりもゲート絶縁膜の厚い)の素子を使わざるをえない。この場合にはレイアウト面積が増大するといった設計上の制約が生じることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2009−21332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解消し、電圧レギュレータから出力される出力電源電圧で動作する素子を、過電圧による破壊から確実に保護することができる過電圧保護回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者は、電圧トリガタイプのクランプ回路ではなく、スルートリガタイプのクランプ回路を使用することにより、従来技術の問題点を解決することができることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
保護しようとする電源が電圧レギュレータの出力電源とはいえ、ESDイベント発生時に、電圧レギュレータによって生成される出力電源電圧VROUTが出力される外部出力電源端子にESDによる過電圧が印加されるわけではない。
つまり、ESDイベント発生時に、電圧レギュレータの出力電源電圧に影響を及ぼすものは、電圧レギュレータが搭載された半導体チップの外部高電圧電源端子から高電源電圧VDDINが供給される第1の電源ノードV1に過電圧が印加されることであるから、電圧レギュレータの高電源電圧VDDINをモニタし、過電圧検出回路によって第1の電源ノードV1に過電圧が印加されたことが検出されたとき、クランプ回路をスルートリガで動作させることにより、電圧レギュレータの出力電源電圧VROUTで動作する素子を過電圧による破壊から確実に保護することが可能となる。
【0022】
上記目的を達成するために、本発明は、チップの高電圧電源端子から第1の電源ノードに供給される高電源電圧から、内部信号に応じて、該高電源電圧よりも低い所定の出力電源電圧を生成して第3の電源ノードに出力する出力電源供給回路を有する電圧レギュレータに適用される過電圧保護回路であって、
前記高電源電圧よりも高い過電圧が前記高電圧電源端子から前記第1の電源ノードに印加されると、該第1の電源ノードと前記チップの低電圧電源端子から低電源電圧が供給される第2の電源ノードとを接続する第1のクランプ回路と、
前記過電圧が前記第1の電源ノードに印加されたことを検出する第1の過電圧検出回路と、
前記第1の過電圧検出回路によって前記過電圧が前記第1の電源ノードに印加されたことが検出されると、前記第3の電源ノードと前記第2の電源ノードとを接続する第2のクランプ回路と、を備えることを特徴とする過電圧保護回路を提供するものである。
【0023】
さらに、前記過電圧が前記第1の電源ノードに印加されたことを検出する第2の過電圧検出回路と、
前記第2の過電圧検出回路によって前記過電圧が前記第1の電源ノードに印加されたことが検出されると、前記過電圧による電流が前記第1の電源ノードから前記出力電源供給回路を介して前記第3の電源ノードに流入するのを停止させる出力電源停止回路とを備えることが好ましい。
【0024】
また、前記第1および第2の過電圧検出回路は同じ1つの回路であることが好ましい。
【0025】
また、前記第2のクランプ回路および前記出力電源停止回路は、前記出力電源電圧で動作するトランジスタよりもゲート絶縁膜が厚いトランジスタで構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、高電源電圧の保護回路である第1のクランプ回路と、出力電源電圧の保護回路である第2のクランプ回路とを備えることにより、ESDイベント発生時に、第3の電源ノードに流入した電流による出力電源電圧の電圧上昇を確実に抑えることができ、出力電源電圧で動作する素子を、過電圧による破壊から確実に保護することが可能となる。
また、出力電源停止回路を出力電源供給回路に設けることにより、ESDイベント発生時に、第3の電源ノードに流入する電流量をさらに絞り、保護の確度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の過電圧保護回路を適用する電圧レギュレータの構成を表す一実施形態の回路図である。
【
図2】
図1に示すNMOSMN2の電流電圧特性を表すグラフである。
【
図3】従来の過電圧保護回路を適用する電圧レギュレータの構成を表す一例の回路図である。
【
図4】
図3に示すNMOSMN2の電流電圧特性を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の過電圧保護回路を詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の過電圧保護回路を適用する電圧レギュレータの構成を表す一実施形態の回路図である。同図に示す電圧レギュレータ10は、出力電源供給回路12と、本発明に係わる過電圧保護回路14とによって構成されている。
【0030】
出力電源供給回路12は、電圧レギュレータ10の構成要素であって、電圧レギュレータ10が搭載された半導体チップの外部高電圧電源端子から第1の電源ノードV1に供給される高電源電圧VDDIN、例えば、3.3Vから、図示していない内部回路から供給される内部信号に応じて、高電源電圧VDDINよりも低い所定の出力電源電圧VROUT、例えば、1.2Vを生成して第3の電源ノードV3に出力するものであり、PMOSMP1によって構成されている。
PMOSMP1は、第1の電源ノードV1と第3の電源ノードV3との間に接続され、そのゲートには内部信号が入力されている。
PMOSMP1は、通常動作時に、内部信号に応じてアナログ信号を受けて制御される。つまり、PMOSMP1は、内部信号がローレベルに近いほど強くオンして、出力電源電圧VROUTを第3の電源ノードV3に出力するが、内部信号がハイレベルに近いほど出力が絞られ、第3の電源ノードV3の電位は低くなる。
【0031】
一方、過電圧保護回路14は、過電圧検出回路16と、第1のクランプ回路18と、第2のクランプ回路20と、出力電源停止回路22とによって構成されている。
【0032】
過電圧検出回路16は、ESDイベント発生時(ESDによる過電圧の印加時)に、高電源電圧VDDINよりも高い過電圧が第1の電源ノードV1に印加されたことを検出するものであり、抵抗素子Rと、容量素子Cと、インバータINV1,INV2,INV3,INV4とによって構成されている。
抵抗素子Rおよび容量素子Cは積分回路を構成するものであり、第1の電源ノードV1と半導体チップの外部低電圧電源端子から低電源電圧、例えば、グランド電圧である0Vが供給される第2の電源ノードV2との間に直列に接続されている。本実施形態の場合、容量素子CはNMOSMN3のゲート容量であり、NMOSMN3のソースおよびドレインが第2の電源ノードV2に接続され、そのゲートが抵抗素子Rと容量素子Cとの間の内部ノードN0に接続されている。内部ノードN0から出力される信号はインバータINV1,INV2,INV3に入力され、インバータINV3の出力信号がインバータINV4に入力されている。
【0033】
続いて、第1のクランプ回路18は、過電圧検出回路16によって過電圧が第1の電源ノードV1に印加されたことが検出されると、第1の電源ノードV1と第2の電源ノードV2とを接続して、第1の電源ノードV1に印加された過電圧による電流を第2の電源ノードV2に流し、第1の電源ノードV1をクランプするものであり、NMOSMN1によって構成されている。
NMOSMN1は、第1の電源ノードV1と第2の電源ノードV2との間に接続され、そのゲートには過電圧検出回路16のインバータINV1の出力信号が入力されている。
NMOSMN1は、ESDイベント発生時に、インバータINV1の出力信号に応じてオンオフが制御される。つまり、NMOSMN1は、インバータINV1の出力信号がハイレベルのときオンして、第1の電源ノードV1と第2の電源ノードV2とを接続し、インバータINV1の出力信号がローレベルのときオフする。
【0034】
第2のクランプ回路20は、スルートリガタイプのアクティブクランプ回路であり、NMOSMN2によって構成されている。
NMOSMN2は、第3の電源ノードV3と第2の電源ノードV2との間に接続され、そのゲートには過電圧検出回路16のインバータINV2の出力信号が入力されている。
NMOSMN2は、ESDイベント発生時に、インバータINV2の出力信号に応じてオンオフが制御される。つまり、NMOSMN2は、インバータINV2の出力信号がハイレベルのときオンして、第3の電源ノードV3と第2の電源ノードV2とを接続し、インバータINV2の出力信号がローレベルのときオフする。これにより過電圧検出回路16によって過電圧が第1の電源ノードV1に印加されたことが検出されると、第3の電源ノードV3と第2の電源ノードV2とを接続して、第1の電源ノードV1からPMOSMP1を介して第3の電源ノードV3に流入した過電圧による電流を第2の電源ノードV2に流し、第3の電源ノードV3をクランプする。
【0035】
出力電源停止回路22は、過電圧検出回路16によって過電圧が第1の電源ノードV1に印加されたことが検出されると、出力電源供給回路12のPMOSMP1をオフして、過電圧による電流が第1の電源ノードV1からPMOSMP1を介して第3の電源ノードV3に流入するのを停止させるものであり、PMOSMP2によって構成されている。
PMOSMP2は、第1の電源ノードV1とPMOSMP1のゲートとの間に接続され、そのゲートには過電圧検出回路16のインバータINV4の出力信号が入力されている。
PMOSMP2は、ESDイベント発生時に、インバータINV4の出力信号に応じてオンオフが制御される。つまり、PMOSMP2は、インバータINV4の出力信号がローレベルのときオンして、出力電源供給回路12のPMOSMP1をオフし、インバータINV4の出力信号がハイレベルのときオフする。
【0036】
出力電源供給回路12のPMOSMP1、出力電源停止回路22のPMOSMP2、第1のクランプ回路18のNMOSMN1、第2のクランプ回路20のNMOSMN2、過電圧保護回路14の容量素子CのNMOSMN3は、いずれも厚膜のトランジスタにより構成されている。
【0037】
次に、電圧レギュレータ10の動作を説明する。
【0038】
まず、通常動作時に、第1の電源ノードV1に高電源電圧VDDINが供給されているとき、容量素子Cは充電されていて、内部ノードN0はハイレベル、つまり、インバータINV1〜INV3の出力信号はローレベル、インバータINV4の出力信号はハイレベルとなっている。
これに応じて、第1のクランプ回路18のNMOSMN1、第2のクランプ回路20のNMOSMN2および出力電源停止回路22のPMOSMP2はオフであり、出力電源供給回路12のPMOSMP1は、内部信号に応じてオンオフ状態が制御される。
【0039】
一方、ESDイベント発生時に、第1の電源ノードV1に過電圧が印加されたとき、第1の電源ノードV1が急峻に立ち上がるのに対して、内部ノードN0は、積分回路の作用によって第1の電源ノードV1よりも緩やかに立ち上がり、抵抗素子Rを介して容量素子Cが充電されるまでの間、つまり、積分回路の時定数RCに相当する時間、ローレベルになる。
これに応じて、インバータINV1〜INV3の出力信号は、時定数RCに相当する時間、ハイレベルになり、インバータINV4の出力信号は、時定数RCに相当する時間、ローレベルになる。
【0040】
過電圧検出回路16によって過電圧が第1の電源ノードV1に印加されたことが検出されると、内部ノードN0がローレベル、すなわち、インバータINV1,INV2,INV3の出力信号がハイレベル、インバータINV4の出力信号がローレベルとなり、第1のクランプ回路18のNMOSMN1、第2のクランプ回路20のNMOSMN2および出力電源停止回路22のPMOSMP2は、ほぼ同時にオンして動作を開始する。
なお、NMOSMN1、NMOSMN2、PMOSMP2がオンするタイミングは多少ずれていたとしても問題はない。NMOSMN1、NMOSMN2、PMOSMP2がオンするタイミングのずれが、好ましくは1ns程度であれば、過電圧のピークが来る前に、NMOSMN1、NMOSMN2、PMOSMP2の全てがオンしている状態になるからである。
【0041】
過電圧検出回路16によって過電圧が第1の電源ノードV1に印加されたことが検出されて、インバータINV1の出力信号がハイレベルになると、第1のクランプ回路18のNMOSMN1がオンして、第1の電源ノードV1に印加された過電圧による大部分の電流はNMOSMN1を介して第2の電源ノードV2に流れ、第1の電源ノードV1がクランプされる。
また、インバータINV2の出力信号がハイレベルになると、第2のクランプ回路20のNMOSMN2がオンして、第1の電源ノードV1から出力電源供給回路12のPMOSMP1を介して第3の電源ノードV3に流入した過電圧による電流がNMOSMN2を介して第2の電源ノードV2に流れ、第3の電源ノードV3がクランプされる。
また、インバータINV4の出力信号がローレベルになると、出力電源停止回路22のPMOSMP2がオンして、出力電源供給回路12のPMOSMP1のゲートがPMOSMP2を介してチャージアップされてハイレベルになり、PMOSMP1はオフする。これに応じて、過電圧による電流が、第1の電源ノードV1からPMOSMP1を介して第3の電源ノードV3に流入することが停止される。
【0042】
図2は、
図1に示すNMOSMN2の電流電圧特性を表すグラフである。同図に示すグラフの縦軸はNMOSMN2のソース・ドレイン電流I(ESD電流)、横軸はNMOSMN2のソース・ドレイン電圧V(VROUT)を表す。
ESDイベント発生時に、第2のクランプ回路20のNMOSMN2がオンするため、このグラフに示すように、第3の電源ノードV3に流入する過電圧による電流Iが0mAから増加するに従って、第3の電源ノードV3の電圧Vが0Vから上昇する。そして、この例の場合、過電圧による電流Iが500mAを超えると、第3の電源ノードV3の電圧VがNMOSMN2の寄生バイポーラトランジスタのターンオン電圧に到達して、寄生バイポーラトランジスタがターンオンする。
従来の電圧トリガタイプの第2のクランプ回路40では、過電圧による電流Iが10mA(=It1)になると、第3の電源ノードV3の電圧が、NMOSMN2の寄生バイポーラトランジスタのターンオン電圧(Vt1)に到達する。それに対して、本実施形態のスルートリガタイプの第2のクランプ回路20では、ESDイベント発生時に、NMOSMN2がオンし、第3の電源ノードV3に流入した過電圧による電流IがNMOSMN2を介して第2の電源ノードV2に流れる。そのため、第3の電源ノードV3の電圧は、過電圧による電流Iが500mAを超えるまでNMOSMN2の寄生バイポーラトランジスタのターンオン電圧には到達しない。したがって従来のクランプ回路のようにクランプ後に電圧が上昇して破壊される「危険」領域からも遠い過電圧の電流値によって動作する。
つまり、本実施形態のスルートリガタイプの第2のクランプ回路20は、過電圧による電流Iに対して従来の電圧トリガタイプの第2のクランプ回路40よりも非常に高い耐性を備えていることが分かる。
【0043】
上記のように、過電圧保護回路14は、高電源電圧VDDINの保護回路である第1のクランプ回路18のNMOSNM1と、出力電源電圧VROUTの保護回路である第2のクランプ回路20のNMOSMN2とを備えることにより、ESDイベント発生時に、第3の電源ノードV3に流入した電流による、出力電源電圧VROUTの電圧上昇を確実に抑えることができ、出力電源電圧VROUTで動作する素子を、過電圧による破壊から確実に保護することが可能となる。
また、出力電源停止回路22のPMOSMP2を出力電源供給回路12のPMOSMP1のゲートに設けることにより、ESDイベント発生時に、第3の電源ノードV3に流入する電流量をさらに絞り、保護の確度を高めることができる。
【0044】
本実施形態の第2のクランプ回路20は、従来の第2のクランプ回路40のGGNMOSでのバイポーラアクションとは異なり、ゲートを制御してNMOSをオンさせることによる、MOSアクションでのクランプを期待した構成である。
第2のクランプ回路20のNMOSMN2および出力電源停止回路22のPMOSMP2は、トリガ回路の構成上、薄膜の素子とすることが難しいため、出力電源電圧VROUTで動作する薄膜の素子よりも厚膜の素子とすることが望ましい。本実施形態のようにMOSアクションでESD電流を第2の電源ノードV2に流した場合、大電流を流すとクランプ電圧が高くなる場合があるため、より確実にESDから被保護素子を保護するには流入する電流量を絞ることが望ましい。そのため、出力電源停止回路22のPMOSMP2も構成要素として備えることが望ましい。
【0045】
なお、本実施形態の過電圧保護回路14の回路規模は、従来の過電圧保護回路と殆ど変わらない。
過電圧検出回路16は、従来回路にインバータINV2〜INV4を追加するだけである。第2のクランプ回路20のNMOSNM2は、従来のGGNMOSから置き換わるだけである。出力電源停止回路22のPMOSMP2も、ESDイベント発生時に、出力電源供給回路12のPMOSMP1のゲートをチャージアップしてオフさせるだけの役割であり、大きなサイズのものは必要ない。また、PMOSMP2を設けることによって、第3の電源ノードV3に流入する電流を停止できるため、NMOSMN2のサイズを小さくすることができる。
従って、従来と同様の回路規模で、電圧レギュレータの出力電源電圧VROUTで動作する素子を、ESDによる破壊から保護することができる。
【0046】
また、本実施形態の過電圧保護回路14は、ESDイベント発生時に、第3の電源ノードV3に流入する過電圧による電流を、第2のクランプ回路20のNMOSMN2を介して第2の電源ノードV2に確実に流すことができる。従って、出力電源電圧VROUTで動作する素子、例えば、
図3に示す容量素子C2として、薄膜のNMOS容量を使用することができる。つまり、薄膜のNMOSの使用禁止といった、設計上の制約もなくすことが可能となり、面積デメリットもなくすことができる。
【0047】
なお、上記実施形態において、高電源電圧VDDINは3.3V、出力電源電圧VROUTは1.2Vであるが、高電源電圧VDDINおよび出力電源電圧VROUTの具体的な電圧は何ら限定されない。
【0048】
また、第1のクランプ回路18は、過電圧が第1の電源ノードV1に印加されると、第1の電源ノードV1と第2の電源ノードV2とを接続して、過電圧による電流を第1の電源ノードV1から第2の電源ノードV2に流し、第1の電源ノードV1をクランプするものであればよく、その構成は何ら限定されない。例えば、第1のクランプ回路18は、GGNMOSであってもよく、この場合、第1のクランプ回路18のための過電圧検出回路は不要である。
【0049】
また、出力電源供給回路12としてPMOSMP1を使用しているが、NMOSを使用することも可能である。この場合、出力電源供給回路12のNMOSのゲートに入力される内部信号の極性が逆になることに応じて、例えば、内部信号の極性を逆にし、かつ、出力電源停止回路22のPMOSMP2をNMOSに変更してPMOSMP1のゲートと第2の電源ノードV2との間に接続し、インバータINV4を削除し、インバータINV3の出力信号を出力電源停止回路22のNMOSのゲートに入力する等の変更をする必要がある。
また、第1および第2のクランプ回路18,20についても同様である。
【0050】
また、
図1の例では、1つの過電圧検出回路16を使用して、第1のクランプ回路18のNMOSMN1、第2のクランプ回路20のNMOSMN2および出力電源停止回路22のPMOSMP2のオンオフを制御しているが、これも限定されない。
すなわち、前述のように、第1のクランプ回路18は、必ずしも過電圧検出回路が必要ではない。また、第2のクランプ回路20および出力電源停止回路22は、それぞれ、専用の過電圧検出回路を設けてもよい。
【0051】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0052】
10、30 電圧レギュレータ
12、32 出力電源供給回路
14、34 過電圧保護回路
16、36 過電圧検出回路
18、38 第1のクランプ回路
20、40 第2のクランプ回路
22 出力電源停止回路
MN1,MN2,MN3,MN4 NMOS
MP1,MP2 PMOS
R 抵抗素子
C、C2 容量素子
INV1,INV2,INV3,INV4 インバータ
V1 第1の電源ノード
V2 第2の電源ノード
V3 第3の電源ノード
N0 内部ノード
VDDIN 高電源電圧
VROUT 出力電源電圧